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迫るタンパク質危機、植物性の代替素材が鍵

2022.05.19

地球の人口増加や環境問題により、食肉などのタンパク質が不足するのが「タンパク質危機」です。これは世界規模での課題であるにもかかわらず、世間ではまだ認知度が十分ではありません。そこで今回は、タンパク質危機とは何かを解説するとともに、課題解決に向けた取り組み事例を紹介します。

2030年までにタンパク源が足りなくなる…?

世界規模での人口の増加により、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が将来的に不足するとされています。国連の調査によれば、世界の人口は現在約78億人であるところ、2030年には約85億人、2050年には約100億人になると推定されています。これにより需要と供給のバランスが取れなくなり、2025~2030年頃に「タンパク質危機」と呼ばれる食料問題が生じるといわれています。

タンパク質危機と関係しているのは、人口増だけではありません。健康意識や環境問題への意識の向上、動物愛護などの観点から、私たちの食生活に変化が生じています。たとえば、自身の健康を保つために肉を食べる量を減らして、野菜や豆類などの摂取を増やす人も増えています。また、現在の畜産には多くの穀物が必要です。その過程で大量のメタンガスや温室効果ガスが発生することも指摘されていて、問題は複雑に絡み合っています。

植物性の代替素材が解決の糸口に

タンパク質危機という課題を解決していくために、世界各地でさまざまな取り組みが行われています。そのなかでも動物性食品の代わりに植物性の素材を使った「代替タンパク質」を増やす動きが顕著です。これは畜産の過程で発生するメタンガスや温室効果ガスの削減にも役立ち、動物愛護という面でも優れています。

代替タンパク質としては、大豆やえんどう豆などが使われることが多いです。一昔前に比べて、日本のスーパーで「大豆ミート」「代替肉」をよく見かけるようになりました。もうひとつ、最近注目されているのは昆虫食です。栄養が豊富で少ない資源で生成することができることから、サステナビリティ(持続可能性)という観点でも優れています。その一方で、古くから昆虫を食べてきた歴史のある特定の地域を除いては、昆虫を食べることに対する心理的なハードルが高いという現実もあります。

さらに別の選択肢としては「人工培養肉」があります。培養肉とは、牛や豚の幹細胞を採取し特定の栄養を与えることで完成する人工肉のことです。通常の畜産に比べて短期間でできあがることや食肉解体処理を行う必要がないことから、エネルギーの節約や、メタンガスや温室効果ガスの発生を抑制する効果が期待されています。