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止まらぬ食品の値上げ。ウクライナ侵攻後、混迷極まる世界の食品流通

2022.06.15

日本でも連日、食品値上げのニュースが流れていますが、ロシアによるウクライナ侵攻の余波で、世界各国に影響が生じています。急激な食品インフレを抑えるために輸出を制限する国もみられますが、それにより世界の食品流通はますます混迷を深めています。

小麦に砂糖、油…相次ぐ輸出規制

ロシアは国内の食料インフレに対処するため、2021年から小麦の輸出上限を設け、新たな関税を課しました。それに加え、翌年2月のウクライナへの侵攻後には、旧ソ連諸国への小麦の輸出を一時的に禁止しました。

一方、紛争の当事者であるウクライナは、小麦とトウモロコシを世界中に供給する「穀物の輸出大国」です。ウクライナはロシアによる侵攻後、国民への食料確保のため、小麦やオーツ麦など主要穀物の輸出制限をせざるを得なくなりました。人道支援物資を送る「人道回廊」も満足に機能せず、他に自国民を守る手段が見出せなかったからです。

世界的な生産大国であるロシアとウクライナが、紛争により小麦などの食料の輸出を規制したことで、各国も対応に追われました。世界第2位の小麦生産国のインドは、自国の食料安全保障を守ることを目的とし、4月に小麦の輸出禁止を決定。さらに5月末、砂糖の輸出を制限することも発表しました。

ウクライナ情勢が各国に与えた余波はそれだけにとどまりません。インドネシアでは4月末から1カ月弱もの間、パーム油の輸出を禁止。世界で最多の消費を誇る植物油であるパーム油の輸出がストップしたことにより、市場は大きな混乱に陥りました。

食品値上げは長期化の様相に

現在、世界貿易機関には、輸出制限を効果的に規律するルールがありません。とはいえ、各国が目先の食料確保に動くことで、世界の食料供給が逼迫することは明らかです。それにより食料価格がますます押し上げられる悪循環に陥っています。

インド政府は今回の小麦の輸出禁止を「国内で安定的な供給を確保し、物価の安定を図るため」だと説明していますが、国内の食糧価格は4月、前年同月比8.38%上昇しており、これは昨年10月の同0.85%増と比べるとはるかに高い水準です。

日本を含め、食品の値上げに次ぐ値上げは当面避けられない状況です。途上国を援助する世界銀行は、こうした食料インフレは2024年まで続くと予想しており、問題は長期化する様相を呈しています。