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食事も個別最適化の時代へ、味のデジタル化の先は

2022.06.21

視覚や聴覚は、音や光という物理的刺激を量で測定できる、シンプルな感覚だと言えます。対する味覚は、食品に含まれる数百種類もの化学物質の絡み合いの中で捉えられる繊細で複雑な感覚です。味覚センサーは1990年代に実用化され、進化してきました。現在では香りや複雑な味わいを数値で示し、それをデータベース化して解析することもできるようになっています。主観的感覚とも言える味覚を測定し、客観的な数値として表す「味覚のデジタル化」。急速に発達してきたこの技術は、私たちの食を巡る身近な風景にどのような変化をもたらすことになるのでしょう。

味覚のデジタル化により、既にある味を再現するだけではなく、意外な組み合わせで生じる新しい「おいしさ」も発見されています。プリン+醤油=ウニ、牛乳+たくあん=コーンスープといった組み合わせによる味の変化を耳にしたことはありませんか。これらは味をデジタル化し、分析したことで分かった新しい味の組み合わせの一例です。

そもそも味を測定するという概念は、ここ10年ほどの考え方です。それまでは味わいとは一人ひとりの主観的感覚で、測定できるとは考えられていなかったのです。味覚センサーは急速に進化してきています。さまざまな味を測定して数値化するだけでなく、かなり正確に味や香りを再現できるようになってきました。九州大学特任教授の都甲潔氏は、音楽を視覚化して再現可能にする楽譜と同じように、味や香りを再現する「食譜」を作り出すことも夢ではない、と言います。味をデータとして蓄え、再現できるようになれば、あまたある味の中から好きな味を選択することもできるようになるでしょう。

味のデジタル化により、消費者は自分の好みを見つけやすくなるでしょう。すでに現在でも、お茶やコーヒー、アルコール類などでは味の特徴を示したチャートが存在しますが、ゆくゆくは食品全般にこのようなチャートが活用されることが考えられます。そして、グルメ番組のレポーターによる料理紹介にも、食レポと共にチャートや食譜が使われるようになるのかも?