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古くて新しい昆虫食、日本のルーツは郷土料理にあり

2022.06.28

タンパク質危機の課題解決のひとつとして、「昆虫食の普及」が推進され始めています。昆虫食と聞くと新しい食事法のように感じるかもしれません。実は、信州など日本の郷土料理には昆虫を使ったものも多く、世界的にも注目を集めています。この記事では、昆虫を使った郷土料理について解説します。

タンパク質危機で脚光浴びる昆虫食

2025~2030年頃に起こるとされている「タンパク質危機」。タンパク質危機とは、増加し続ける世界人口に対して、牛肉や豚肉を主とするタンパク質の供給が追い付かず大幅に不足してしまうこと。この課題を解決するためのひとつの方法として、昆虫食が注目を集めています。

昆虫食の魅力としては、タンパク質が豊富に含まれることや育てるための水や飼料が少ないこと、飼育の過程で発生する温室効果ガスの排出量が少なくて済むことなどが挙げられます。国連食糧農業機関(FAO)は昆虫食を推奨していて、環境負荷の少ないサステナブルな食料として話題になっています。

その一方で、一般の人たちの間では昆虫食に対するネガティブな意見も少なくありません。ある調査で昆虫食に対するイメージを尋ねたところ、「気持ち悪い」「おいしくなさそう」という声も多く出ていました。

信州の暮らしに根付いた昆虫食文化

日本では、昔から昆虫を食べる地域があります。ここでは、昆虫を使った郷土料理が多いことで全国的に有名な信州の事例を紹介します。

信州でよく食べられている昆虫といえば、蜂の子やイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼び、カイコを除いた3種類は「信州三大珍味」とされています。この中で初心者にも比較的食べやすいのは蜂の子とイナゴで、佃煮(つくだに)にして食べることが多いです。

蜂の子はスズメバチの幼虫・さなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫で、一昔前までは長野県では飼育が盛んでした。ザザムシは水生昆虫でありヒゲナガカワトビケラの幼虫のことで、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。

自然と共生する暮らしの中で生まれた、昆虫食。イナゴやカイコなどは、稲作や製糸業を営む過程で副産物として発生するもので、人々の生活に深く結びついていました。昆虫食をより身近なものとして捉えるために、信州の郷土料理に目を向けてみてはいかがでしょうか。