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「電子レンジ対応」で広がるレトルト食品の可能性

2022.06.30

疲れていたり、時間がなかったりするときに便利なレトルト食品。簡単に短時間で美味しく食べられることから、災害時の備蓄としてストックしている人も多いかもしれませんね。近頃では電子レンジ対応のレトルト食品も増えてきました。パウチをそのまま電子レンジで温められるので、お湯を沸かす手間すら必要なく、より便利で時短にもなります。今回はそんな電子レンジ対応のレトルト食品について、登場の背景や今後の展望を考察します。

レトルト食品の特徴は何といっても湯せんで温めるだけで食べられる点です。「食べたいその時にお湯さえ沸かせばお腹を満たせる。なんという魅力!」レトルト食品の黎明期にはそんな感激があったに違いありません。しかしレトルト食品が普及するにしたがって、簡単手軽な湯せんという調理法も当たり前のものと受け止められるようになっていきました。それどころか、一から食材を準備して調理するのに比べれば圧倒的に簡便なのに、お湯を沸かすことすら手間だと感じられてしまうようになってきました。

その背景には電子レンジの存在が見え隠れします。現在電子レンジの家庭への普及率は100%に近く、まさに「一家に一台」が現実のものとなっています。作り置きの料理や冷凍食品などを電子レンジで温めて食べることが一般的となった今では、湯せんは簡単ではあるけれども一手間かかる調理法となってしまったのかもしれません。

食品メーカーは電子レンジの可能性を強く意識しました。2003年には大塚食品から世界で初めての電子レンジ対応レトルトカレーが登場。湯せんではなく電子レンジ対応になったことで、調理はより簡単かつ短時間で済むようになりました。それだけではなく、電子レンジ調理の方が湯せん調理に比べて二酸化炭素の排出量が少ないので、環境負荷も軽減されます。簡便、時短かつエコな電子レンジ対応レトルト食品は多くの食品メーカーにより開発が進み、カレーだけでなくパスタソースやスープ、丼やお惣菜などバラエティに富んだラインナップが展開されています。

コロナ禍で外食機会が減った代わりに、調理済み食品を購入し家で食べる「中食」市場は拡大し、冷凍食品やレトルト食品の利用も増加しています。食品メーカーの努力と技術の進歩により、レトルト食品はよりおいしくなり、今や「おいしいから」とレトルト食品の多彩なメニューを楽しむ人も増えてきています。

食生活のニーズは多様化しています。以前の「おいしくない」「手抜き」といったマイナスイメージは払拭されつつあり、個食化や高齢化などからも電子レンジ対応レトルト食品の需要はさらに高まるでしょう。またコロナ禍をきっかけとした健康意識の高まりもあり、塩分制限やタンパク質制限などに対応した治療食、成人病予防食などの分野への進出も考えられます。電子レンジ対応レトルト食品は私たちの未来の食卓の選択肢を広げ、より健康で豊かな食生活を支えてくれそうです。