シェアシマが発信する「食品開発者のための専門メディア」
業界情報や製品・サービス紹介などの食にまつわる情報をお届け!

menu icon

人気のタグはこちら

食品原料高の背景に「水不足」。世界の穀倉地帯で表面化するリスク

2022.06.29

日本で暮らしていると、「水不足」と聞いても、ピンとこないかもしれません。しかし実は今、世界の穀倉地帯が深刻な水不足に陥っています。背景には、干ばつや洪水による不作があります。ロシアのウクライナ侵攻の影響で、食品値上げのニュースが毎日のように報じられていますが、近い将来、私たちも向き合わなければならない水の問題をひも解きます。

異常気象が小麦産地を襲う

アメリカ

アメリカの穀倉地帯は、以前から干ばつ被害に悩まされており、2012年の中西部での大干ばつが代表的です。2021年も熱波と干ばつが重なったことで小麦が不作となりました。特に米南西部は、「メガドラウト」と呼ばれる大規模な干ばつ被害に悩まされています。

アジア

アジアの小麦生産大国インドも、記録的な熱波による不作に見舞われています。ウクライナ情勢の影響を危ぶみ、一時、小麦の輸出を停止しました。アジアにおけるもう一つの小麦大国・中国も、昨年の大雨と洪水で2022年は「史上最悪」の小麦不足です。

ヨーロッパ

小麦生産高世界5位のフランスも、熱波や干ばつで収穫量が減少しています。専門家の調査によると、土壌の水分レベルは過去10数年の中で「最低」。ウクライナ情勢のあおりで小麦不足が懸念される中東・北アフリカからも頼られているだけに、この問題は深刻です。

中東・北アフリカ

中東トップの小麦生産国はイラン、そして、アフリカ最大がモロッコです。ここも同様に干ばつの影響で小麦の生産を大きく落としています。地理的に干ばつ傾向の強いアフリカですが、近年はインド洋の温暖化によって引き起こされる洪水被害も目立ちます。

水不足を起こす要因

水不足の直接的要因としては、干ばつや熱波といった気候変動が目立ちます。しかしこの問題を掘り下げると、背景に人口増加と産業活動があり、それらが密接に関わり合っています。

水の需要が増したのは、産業革命によって工業化が急速に進んだ18世紀半ばから19世紀にかけて。人口が集中する都市が各地に生まれ、世界中で水が求められるようになりました。日本は世界の中で最も早く少子高齢化に直面し、すでに人口減少の局面に入っていますが、世界では人口が増え続けています。

人口の増加は、水を汚染します。生活排水の他、工場など産業活動に伴う水の汚染は公害問題を引き起こしました。私たちが生きることと水を汚染すること、それらは決して切り離すことのできない関係性にあります。

干ばつや熱波、洪水といった気候変動が2050年までに世界農業にもたらす経済的損失は、16%に上るという試算もあります。