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欧米でフレキシタリアンが急増中。私たちにとって本当の持続可能な食とは

2022.08.03

​​​​気候変動は加速しており、私たち人間が何を選んで食べるのかという食の選択も地球の存続に関わる大きな課題です。けれども地球のためとはいえ、あまりにも厳格な食事制限には躊躇してしまう人が多いでしょう。そこで今、欧米で急増しているのが、準菜食主義=フレキシタリアンという柔軟でバランスの取れた食事のスタイルです。

フレキシブル+ベジタリアン=フレキシタリアン

「柔軟な(フレキシブル)」と「菜食主義(ベジタリアン)」という言葉を組み合わせた「準菜食主義(フレキシタリアン)」。ヴィーガンは動物性食品を全く食べませんが、フレキシタリアンは、植物性食品に重点を置きつつ、肉、チーズ、卵、牛乳などの動物性食品も時折摂取します。そしてフレキシタリアンの多くは、味や食感、価格などが適切であれば、大豆などの植物性タンパク質から成る代替肉も抵抗なく受け入れます。

最新の研究によると、地球上の温室効果ガスの26%が食料生産によるもので、その中でも農業分野が排出する温室効果ガスのうち、肉や乳製品によるものが60%を占めています。肉や乳製品の消費を減らすフレキシタリアン食は、温室効果ガスの排出を確実に減らす手段です。科学誌「ネイチャー」掲載の研究によると、今後人間がより植物ベースのフレキシタリアン食に移行することで、2050年の温室効果ガスの排出が52%も削減できる可能性があるとしています。

世界人口が拡大すると共に、肉を食べる人が確実に増え続けています。そうした中、いくら肉を避けるヴィーガンが増えても、残念ながら世界全体の肉の消費量が減ることはありません。人間の食事が地球環境に影響を及ぼすことを避けるには、より大きな集団で実践しなければ意味がありません。そこでフレキシタリアンのように、多くの人が参加しやすい柔軟な考え方や手段が求められます。

地球上の全ての人が肉を全く食べないというのは、非現実的な話です。それよりも地球のためになる食事を、より多くの人が試しやすいフレキシタリアン食は、人類の未来にとって達成可能な目標と言うことができそうです。

極端なヴィーガンの限界、より現実的な選択を

動物性食品の消費を減らすことが、心臓病、がん、糖尿病のリスクを下げることは科学的に明らかになっています。実際、野菜がメインの食事はこれまで賞賛されてきました。その一方で、厳格すぎる植物性の食生活を送る人は、人間の体に必要なビタミン、ミネラル、カロリーの摂取量が足りていなかったり、栄養不足のためにうつ病のリスクが高まるとの報告もあります。

肉を完全に避けるヴィーガン食の方が、私たちの健康にとっても地球環境にとっても、フレキシタリアンに勝ると考えられてきました。しかし実際のところ、一概にヴィーガンが勝るとは言いきれません。問題はもっと複雑です。

例えば、肉の生産も全てが悪なのではなく、やり方によっては牛の飼育が土壌侵食や炭素排出の抑制につながり、森林を破壊して生産されたコーヒーやカカオ豆よりも温室効果ガスの発生を抑えるという事例があります。一方、ヴィーガンが好む牛乳の代替品のアーモンドミルク。その原料のアーモンドは、栽培に大量の水、肥料、農薬を必要とし、地球の資源を枯渇させる恐れがあり、健康上のメリットがあるとはいえ、環境保護の点においては疑問が残る食材と言えるわけです。

フレキシタリアンは、こういった食品の生産過程が環境にもたらす利害も認識した上で、食事を選びます。単純に動物性か植物性かが問題ではなく、どちらがより地球にとって持続可能な選択肢かで判断します。そう遠くない未来に、世界人口は100億人に至るでしょう。人間にとって何が重要で、どのような選択が現実的なのか、私たち自身が正しい選択をする必要があり、柔軟性に優れたフレキシタリアンの考え方はそのヒントになるはずです。