シェアシマが発信する「食品開発者のための専門メディア」
業界情報や製品・サービス紹介などの食にまつわる情報をお届け!

menu icon

人気のタグはこちら

自社商品への情熱ゆえ?環境配慮のマーケティングに潜むリスク

2022.09.28

スウェーデンに拠点を置き、20か国で植物性ミルクを販売する大手企業「Oatly(オートリー)」。環境配慮をアピールする同社の広告表現が誇張されており、消費者に誤解を招きかねない内容だとして、イギリス広告基準局(ASA)が禁止措置を講じました。環境への取り組みをマーケティングに利用する企業が増える中、果たしてそれがエビデンスに基づくふさわしい内容なのか、環境意識の高い欧州で問題視されるようになっています。その背景には、日本でも浸透している「サステナブル」などの言葉の定義のあいまいさがあるようです。

植物性ミルクの最大手、100件以上の苦情が殺到

ASAは2021年9月、根拠がなく誤解を招くような環境に関する主張を宣伝する企業に対して、以前より厳しく取り締まる姿勢を明らかにしました。そうした中、自社の植物性ミルクが一般的な牛乳より優れており、肉や乳製品を摂取することが環境に悪いと訴えたオートリーの翌年1月の広告に対し、自社製品を有利にしようと環境配慮を誇張しているのではないかと、市民や団体などから100件以上の苦情が寄せられました。

イギリスの広告分野における独立規制機関であるASAは、オートリーの広告は内容を裏付けるだけの十分な根拠を示しておらず、消費者の誤解を招くものであったとし、苦情の大半を支持し、同社に対して広告の禁止を言い渡したのです。

オートリーは、この経緯を全面的に受け入れ、より科学的な根拠に基づいた分かりやすい表現を心掛けるべきだったとして、禁止を受けた広告を削除しました。ただし、苦情が寄せられた広告すべてに環境配慮を誇張した表現があった訳ではありませんでした。一部については、客観的に実証された内容であり苦情の内容に当たらないと、ASAから掲載の継続を認められています。

環境配慮を装う「グリーンウォッシュ」が問題に

気候変動対策が迫られる今、企業がマーケティングにおいて「サスティナブル」や「環境に良い」といった言葉を使う機会は急増しています。そうした中で顕在化してきた問題が、自社のブランドが「環境に優しい」ことを強調し、消費者の関心を引くやり方です。

中には環境意識の高い消費者をあざむく悪質なものもあり、「グリーン=環境に配慮した」と「ホワイトウォッシング=都合のいいようにごまかす」を合わせた造語で、「グリーンウォッシュ(グリーンウォッシング)」と呼ばれています。

うそやでまかせが横行すれば、消費者が環境配慮をうたう企業を信用しなくなるばかりか、きちんと環境問題と向き合う誠実な企業まで疑われる皮肉な状況が生まれます。実際には悪意がなくとも、商品のメリットを熱心に訴えたいがあまりに、グリーンウォッシュと捉えられてしまうケースもあります。このような事態を避けるには、情報発信の際は裏付けとなる客観的なデータに基づき、あいまいな表現は控えなければなりません。

企業側が真摯な姿勢を示すことはもちろん、消費者側が冷静に判断することも求められます。「サスティナブル」などの言葉を巧みに利用して、感情に訴えかけるグリーンウォッシュには注意が必要です。