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AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線

2022.11.16

ゴミとして捨てられるプラスチックの多くが、適切に分別されないことにより、再利用の道が閉ざされているという嘆かわしい現実があります。この問題を高度なIT(情報技術)で乗り越えようと、オーストラリアの研究チームが動きました。飲料容器の分別を自動的に行うことができる「スマートビン技術」を搭載した画期的なゴミ箱を開発しました。

ITでゴミを自動分別、リサイクル率を向上

​​オーストラリア最大の都市・シドニーがあるニューサウスウェールズ州では、年間80万トン出るプラスチックゴミのうち、リサイクルされているのはわずか10%だそう。これは、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の調べで分かりました。

プラスチックのリサイクルのプロセスは非常に複雑です。適切に分別がされないと、こうした事態に陥ります。リサイクルできない廃棄物の一部が焼却場行きとなれば、その分温室効果ガスの排出量が増えます。これらがきちんとリサイクルに回れば、地球温暖化にも大いに貢献するでしょう。

問題解決に向けて、シドニー工科大学(UTS)の共同研究チームは、ゴミの中から自動的に飲料容器を選り分ける機能を搭載したゴミ箱を開発しました。その名は「スマートビン技術」。これにより、最も多い廃棄物のひとつである飲料容器のリサイクル率を向上させることができます。

人工知能(AI)、ロボット工学、画像の認識技術などを組み合わせた先端テクノロジーが搭載されたこのゴミ箱は、ガラスや金属、プラスチックなど素材別に仕分けしてくれます。さらに、ペットボトルの素材となるポリエチレンテレフタレート(PET)や、シャンプーボトルに使われる高密度ポリエチレン(HDPE)など、プラスチックをさらに細かい種類別に分けることができます。

方法としては、まずゴミをカメラで撮影し、AIアルゴリズムを実行して、膨大なデータを処理・分析することにより分類します。そしてIoT(モノのインターネット)を含む最新のロボット技術により、重さや物質、素材を感知してゴミを分別するという仕組みです。

スマートビン技術の社会実装の日は近い

今後、あらゆる地域でスマートビン技術搭載のゴミ箱が利用されるようになれば、プラスチックゴミのリサイクル率は飛躍的に向上し、業者による回収作業もより素早く正確になります。研究チームは、このゴミ箱を管理するシステムの開発を進めています。システムが実用化されれば、ゴミ箱の所有者が、ゴミ箱の充填具合などの状態を遠隔で監視、点検できるようになります。ゴミ箱が満杯になった時、ゴミ箱を空にする必要があることを知らせる通知が表示されるという仕組みです。また、地域の人々にとっては、自分がどれだけリサイクル活動に貢献しているかがアプリに記録され、そのことを通知として受け取ることができます。

この実証実験は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究プログラムの一環として行われています。同機構は2030年までに、オーストラリアで排出されるプラスチック廃棄物を80%削減することを目指しています。スマートビン技術はまだ試作段階ですが、いずれはショッピングセンター、学校、映画館、カフェ、企業、空港などにスマートビン技術搭載のゴミ箱が設置される予定です。