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タンパク質危機で浮上する、昆虫食という選択肢

2022.06.17

少子化が叫ばれて久しい日本ではあまりピンと来ないかも知れませんが、世界では今、人口過剰による食糧問題が深刻化しています。世界人口は2011年には70億人に達し、増加のペースは加速度的に上がっていて、2056年には100億人を突破するとも言われています。増え続ける人間の数に対して、従来通りの食料供給に頼っていては、いずれ限界を迎えるのは明らかなことです。特に魚や動物から摂取する必要のあるタンパク質は資源に限りがあることから、増え続ける人類すべてを賄うことは難しいとされています。

タンパク質代替の「切り札」

そこで世界的に注目されているのがタンパク質の代替食料。中でも食糧問題の切り札とされているのが昆虫食です。昆虫食が見直されるきっかけとなったのは、2013年に国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した報告書がきっかけと言われています。

増え続ける世界人口に対し、昆虫食が問題解決のひとつになると提案したこの報告書をきっかけに、世界各地で一斉に昆虫食の取り組みが始まりました。2015年にはそれまで昆虫を食べる習慣のなかった欧州連合(EU)で、昆虫を新規の食品にすると規定されました。また、東南アジアには世界最大規模のコオロギの養殖場も完成。常時700万頭以上が飼育されています。

コオロギが牛や豚に替わる食材に?

ここで疑問になるのが、昆虫が牛や豚の代わりになるのか? という点です。まず、栄養価の面で見ると、ガやハチの幼虫の場合、体重の50%がタンパク質と言われています。牛や豚が1~3%ですから、それに比べると非常に高い含有率です。

また、環境問題の観点で考えても、極めて優秀です。牛1頭がゲップなどで1日に吐き出すメタンガスは160~320リットル。全世界にはおよそ15億頭の牛が飼育されているため、一部研究では地球温暖化の原因の一つとして指摘されています。対する昆虫自体はほとんど温室効果ガスを放出しないので、そうした問題もありません。

最後に、昆虫を食べるという行為に対する私たちの抵抗感が問題になります。しかし、考えてみればほんの数年前まで、西洋諸国では生で魚介類を食べる習慣がありませんでした。それが、今やアメリカやヨーロッパでも寿司は高級料理としてもてはやされています。近い将来、昆虫も私たちの食卓に当たり前に並ぶ時代が来るのかもしれませんね。