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その果物、冷やすと甘くなる? 種類による食べごろ温度の違いとは

2020.09.07

食後やおやつに食べると嬉しいフルーツ。特に旬で地場産の果物は、一年中いつでも食べられるお菓子やジュースにはない特別感があります。
よく冷えた一切れを頬張ると果汁が口中にあふれ、甘みをかみしめて……と、ちょっと待った!
何でもかんでも冷蔵庫で冷やして食べていませんか?
実は種類によって、冷やすと甘くなる果物と、冷やしても甘さが変わらない果物があるのです。

<果糖は温度変化で甘みの感じ方が変化する>

まずは糖について簡単におさらいしましょう。
糖には多くの種類がありますが、代表的なものに「ショ糖」「ブドウ糖」「果糖」があります。
ショ糖は砂糖に多く含まれます。甘味度1で甘味度の基本となっています。
これに対し、ブドウから発見されたブドウ糖は甘味度が0.7。穏やかな甘さです。
果糖には甘味度0.6のα型と甘味度1.8のβ型が存在します。同じ果糖なのに、β型はα型の3倍も甘く、なんと温度によってこの比率が変化します。温度が低いとα型がβ型に変化するので、より甘みを感じられるというわけです。
果糖全体で考えると、5℃で甘味度1.5程度とショ糖の1.5倍甘いのですが、温度上昇とともに減少して、60℃では甘味度0.8程度に低下します。

ほとんどの果物には果糖が含まれますが、その割合は種類によって様々です。
果糖の割合が多い=冷やすと甘くなる果物は、リンゴ、ナシ、ブドウ、スイカ、サクランボなど。
果糖の割合が多くない=冷やしても甘さが変わらない果物は、ミカン、バナナ、モモ、パイナップルなど。
振り返って考えてみれば、スイカは井戸水で冷やし、みかんはこたつの上の籠に盛ってあるイメージが湧きますね。昔ながらの風習は理にかなったものだったというわけです。

<甘みを感じる舌の機能との兼ね合いも考えて>

ここまでの話をまとめるとリンゴやナシは冷やせば冷やすほど甘く食べられるように思えますが、話はそう単純ではありません。糖の種類と量のほかに、甘みを感じる舌の機能が関係してくるからです。
人間の舌の甘みを感じる受容体は、15~35℃の温度帯の中で温度が高いほど活性化します。つまり、舌の機能としては、同じものを味わったとき、冷たいものよりも常温のものの方が甘く感じられるわけです。言い方を変えれば、冷たくなると甘みに対する舌の感度が鈍くなるとも表現できますね。ぬるくなったジュースや溶けたアイスが甘すぎると感じるのはこのためです。
冷やすほど甘くなる果糖と、常温で甘みを敏感に感じる舌の機能とのバランスを考えると、冷やして食べる果物でも冷やしすぎず、10℃前後がおすすめと言えそうです。

(まとめ)
未熟な果物は冷蔵庫で冷やしてしまうと熟成がうまくいかなかったり、南国系の果物では低温障害を起こしてしまったりするものもあります。熟して食べごろになったものを、乾燥を防ぐために新聞紙などでくるんで冷やすのがおすすめです。
また、冷やしても甘さが変わらない果物でも、食べる前に少し冷やしておくことで口当たりが良くなるほか、冷えた果物が体温で温まると一気に香りが口中に広がり、より果物らしい味わいを楽しめるという一面もあります。
簡単なようで意外と複雑な、果物の食べごろ温度。果物の特徴を理解して、よりおいしく味わいたいものです。