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急伸する「フードテック」を知ろう(前編)~社会問題の解決を目指すフードテック~

2020.09.10

「フードテック」という言葉を聞いたことがありますか?

フードテックは食×テクノロジー(技術)を意味し、食品関連分野にサイエンスやITを導入することにより更なる食の可能性を探る動きを指します。生きていく上での根幹ともいえる「食」は農業漁業から、食品製造、流通・保存、調理、配送など様々な分野にまたがります。関連したお仕事をしている方も多いでしょうし、末端の消費者として考えれば、フードテックによる新サービスや新ビジネスはまさに私たち一人ひとりの生活に直結しているわけです。
とはいっても、「フードテック」という言葉だけでは具体的なイメージは湧きにくいかもしれませんね。まずは社会問題の解決という視点から、フードテックを探ります。

食糧問題の解決を目指すフードテック

フードテックの目指す一つの行き先は食品ロスや将来のたんぱく源不足の解消といった食糧問題の解決です。食品ロスの問題は大変深刻です。国連食糧農業機関(FAO)によれば、食糧廃棄量は世界中では年間約13トン。これは人の消費のために生産された食料のおよそ1/3にも上るといいます。
ITを活用することで需要と供給をより精緻に予測することができれば、家庭に届く前までの食品ロスが減少すると考えられます。家庭に届いたあと、さらに最新技術により品質を保持できる保存期間が延長され、誰でも簡単においしく調理できる自動調理などが実現すれば、家庭内での食品ロスも減っていくでしょう。食品パッケージが変わってくれば、プラスチックごみの減少へもつながるでしょうし、流通のロスが少なくなればその分の輸送量が減り、排出CO2も削減できるなど、影響は計り知れません。たんぱく源不足も大きな食糧問題ですが、代替肉や培養肉の分野が解決の糸口となる可能性を秘めています。さらにはたんぱく源不足だけではなく、貧困層の栄養不良による健康問題、それとは逆の富裕層の食べすぎによる健康被害といった問題に対応できる代替肉や培養肉は、今後ますます注目されていくことでしょう。

人手不足をテクノロジーが解決する?

日本の人口は10年連続で減少し続けています。少子高齢化の流れは今後も加速の一途をたどりそうです。この労働力人口の減少をテクノロジーによって解決できるのでしょうか。
実は、その可能性は十分にあります。ドローンを活用した農薬散布、AIによる自動灌漑、食品工場でのロボット化などはすでに実現していますし、畑ではなく工場で野菜を生産することも今後ますます増えていくでしょう。さらには小売り・飲食業界でも調理や接客をロボットが行うことも当たり前の時代がやってくるかもしれません。あるいは小売という業態が変化していく可能性もあります。一昔前は、どのようなものでも出かけて行って店舗で買うのが一般的でしたが、現在の通信販売の躍進は皆さんご存じのところです。今後この流れがますます加速し、もしかしたら普段食べる生鮮食品についてもオンラインで購入し届けてもらう形が普及していくのかもしれません。
近い将来の購買形態がどうなるかは未知数ですが、フードテックがさまざまな可能性に満ちていることは確かです。

今回の記事のまとめ

以上のように、フードテックは社会問題の解決を目指して急伸してきています。しかしそれだけではフードテック全体をとらえたとは言えません。もう一つ別のアプローチとして、フードテックは食の多様化を目指しています。次回後編ではこの食の多様化、パーソナライズ化されたニーズを満たすフードテックについてお伝えします。

後編はこちら

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NEW 2021.09.22

人と地球にやさしい「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」とは

海外で話題の「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」とは 持続可能な環境を保っていくためには、多方面からのアプローチが必要です。昨今いろいろな取り組みが行われていますが、私たちが身近にできることのひとつが「食事を見直す」ことではないでしょうか。そこで今回は、海外で最近話題になっている「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」について紹介したいと思います。 プラネタリー・ヘルス・ダイエットを一言でいえば、肉食を減らして、野菜や果物中心の食事にすること。これまでのダイエット方法は人間に対するものでしたが、ここでは人間を含む地球全体の健康を保つことを目的としています。 このダイエット法は、持続可能な食糧システムを実現するための方法として、2019年に世界16カ国の研究者が発表したガイドライン。日本ではまだあまり知られていませんが、海外ではとても注目されています。 プラネタリー・ヘルス・ダイエットの実践方法 プラネタリー・ヘルス・ダイエットと聞くと、「難しそう」「厳しい食事制限があるのでは」と思う人も多いでしょう。でも、そんなことはありません。たとえば「1日のエネルギーは2500キロカロリー」と設定されており、摂取カロリーを減らすというものではないのです。 プラネタリー・ヘルス・ダイエットの基本は、動物性食品や砂糖などの摂取を減らし、植物由来の全粒穀物や豆類、果物、野菜を増やすことです。一日の食事のおよそ半分は、野菜や果物、キノコ類からとることを推奨しています。 「一日あたりどの食材をどのくらい食べられるのか」という具体的な目安も、発表されています。たとえば、1日あたりの肉類の摂取量は、赤身肉が14g、鶏肉などの白身肉が29gとなっています。この基準量は「肉が大好き」という人にとっては、少し大変だと感じるかもしれません。でも全く食べられないわけではないので、上手に工夫すれば肉料理を楽しむこともできます。たとえば、肉や脂質の摂取量が多くなりがちな洋食から、野菜や穀物がベースの和食に切り替えるだけでも十分に達成できそうです。 ある研究によれば、プラネタリー・ヘルス・ダイエットの実践により、不健康な食事により引き起こされる病気の患者を大幅に減らすことができるといわれています。人の健康にも地球にもやさしい食事法として、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。
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NEW 2021.09.15

昨今話題の「チルアウト」!食のトレンドにも関係していた⁉

「チルアウト」の意味とは 昨今若者の間でよく使われている言葉「チルアウト」をご存知でしょうか。チルアウトには「心を落ち着かせる」「ゆっくりする」「のんびりする」という意味があります。自分の好きなことをしてくつろぐという時に、よく使われる言葉です。 チルアウトの一例として、カフェなどでのゆったりとした時間などが挙げられます。また、会話のなかでは「最近忙しかったので、週末はチルアウトしよう」や「映画を観て、チルアウトしたい」などのように使われます。チルアウトは、気が張っている状態を落ち着かせるような場面で使用することが多いです。チルアウトを省略して「チル」「チルする」と使うこともあります。 最近ブームの「チルアウト消費」 もともと、チルアウトは音楽のジャンルを示す用語として登場した言葉です。しかし、現在は音楽だけでなく、さまざまな場面で使われています。そのなかでも特に注目したいのは、若い人たちの間で昨今ブームになっている「チルアウト消費」です。 チルアウト消費の代表例のひとつが、「たき火」です。たき火をしていると体が温まるだけでなく、心が落ち着いたりすることがあります。たき火は一人でも楽しむことができます。コロナ禍での暮らしが長期化し旅行に出かけることが難しくなりつつある昨今、さらに人気が高まっています。 チルアウトと食のトレンドの関係とは チルアウト意識した商品として、リラクゼーションドリンク「CHILL OUT(チルアウト)」が登場し、注目を集めています。「Endian」という会社が販売しているもので、メーカーの公式サイトには「チルする?」「ストレス社会にチルでクリエイティブなライフスタイルを」という言葉が掲げられています。 この事例のようにチルアウトを全面に打ち出したものはまだ少ないですが、チルアウト消費を意識した商品は最近増えつつあるようです。たとえば、女性を中心に支持されている薬膳の考え方を取り入れた食事や薬膳食材などは、チルアウト消費につながるものでしょう。 チルトアウトという言葉とともに、人気が高まりつつあるチルアウト消費。今後もその動向を追っていきたいと思います! 
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アップサイクル食品はフードロス削減の強力な一手となるか

持続可能な循環型社会を目指し、リサイクルが活発化しています。 リサイクルでは製品を別の製品の原料にして別の製品を生み出します。しかし古紙が再生紙になる例のとおり、より良い品質と価値を持った製品に生まれ変わるわけではなく、どちらかと言えば価値の下がった製品へと変換される場合が大半です。古いタオルやシャツを雑巾として再利用するのも同様の例で、これらはダウンサイクリングと呼ばれます。 これに対し、副産物や廃棄物を新たな価値とより良い品質の製品にリサイクルするのがアップサイクリングです。創造的再利用とも呼ばれ、これまではアートやファッション、インテリアの分野が主でした。 しかし今や食品の分野にもこのアップサイクリングの波が来ています。米国での動きを中心にレポートをお届けします。 <業界団体による標準的な定義の制定> コーヒーの果実の皮を原料にした紅茶飲料やビール醸造の際に出る穀物廃棄物を原料としたプロテインバーなど、米国内では食品廃棄物を活用したアップサイクル食品への関心が高まっています。 米国企業を中心に70社ほどが参加して設立された業界団体「アップサイクル食品協会」(本部コロラド州デンバー)は、市場拡大を受け2020年5月アップサイクル食品の定義を定めました。「本来は人間の食用とならなかった食材を使用して、検証可能なサプライチェーンにより調達・生産され、環境に良い影響をもたらす食品」ということで、実際に食品廃棄物の削減につながるものだけを「アップサイクル食品」と定義しました。 アップサイクル食品という言葉の持つ良いイメージだけを利用して売り込む偽物との差別化を図り、フードロスを削減し持続可能な社会を実現したいという強い意図が感じられます。 食品廃棄物による世界経済のロスは年間でどれほどになるかご存じですか。なんとその額は100兆円を超えるという試算もあります。アップサイクル食品への取り組みにより、この膨大な経済損失を削減できる可能性があるのです。 日本には昔から「もったいない」という言葉がある通り、廃棄物削減の意識は比較的高いと言えるでしょう。しかし米国は廃棄物に寛容な風潮があり、供給された食料のうち3~4割がロスとなっているとも言われているのです。 ただ、米国でも時代は動いてきているようで、ミレニアル世代(1980年代~1995年生まれ)やZ世代(1996年~2012年生まれ)は消費者としての意識が高く、芯のある理念をもちメッセージを発する企業やブランドを購入する傾向があるのだそう。今後世代交代が進むにつれ、フードロス削減を掲げるアップサイクル食品市場はどんどん拡大していくことが予想されます。 米国の動きをお伝えしましたが、日本国内でもアップサイクル食品は続々と増えています。これまで廃棄されていた米やパン耳を使ったビール、規格外野菜や規格外フルーツを原料とした加工食品など、環境に良いから、フードロス削減につながるからといった理由がなくても味わってみたい魅力的な食品が目白押しです。 アップサイクル食品という言葉が生まれたということは、大量生産大量消費をベースにした一定の無駄には目をつぶるという社会から、より持続可能な循環型社会へと社会風潮が成熟してきていることを示します。時代は変わり、動きます。そのただなかにいるのだと思うと少し不思議な感じもしますが、この大きなうねりを楽しむ気持ちを持ちたいものですね。
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2021年食のトレンドはどうなる?ホールフーズの予測を解説!

ホールフーズ「食のトレンド予測」とは 食品業界では新しい食材や料理、食にまつわる言葉が、毎年どんどん登場しています。そんな状況において次の流行を予想する「食のトレンド予測」をご存知でしょうか。アメリカを中心に店舗展開をするオーガニックスーパー「ホールフーズ」が発表しているもので、2020年で6回目になります。 この予測を検討しているのは、バイヤーを含む50人以上の食の専門家で構成されるメンバーたちです。詳しい予測内容は追って紹介しますが、2021年の予測では、新型コロナウィルスによる暮らしの変化が如実に表れています。たとえば、健康や美容に関する食品への意識がこれまで以上に高まっています。これは、外出自粛などにより自炊をする機会が増えたことも大きく関わっています。 2021年の食のトレンドはどうなる? では具体的に、2021年の食のトレンド予測を見ていきましょう。上位10位までにランクインしているもののなかから、いくつかピックアップして紹介します。 ・心身を健やかにしてくれるもの 近年スーパーフードや出汁スープ(ボーンブロススープ)など、健康効果に注目した食品や料理が人気を集めています。サプリメントと食品の垣根があいまいになりつつありますが、2021年はその動きがさらに加速するでしょう。 ・充実した朝食のために 新型コロナウィルスの影響により、自炊をする人が大幅に増えました。週末や夜だけでなく、普段の朝ごはんに注目する人が増加しています。こうした状況をうけて、オーガニックのパンケーキミックス粉や植物性のソーセージなど、簡単に作れて体にもやさしい朝食用の食材のニーズが高まっていくでしょう。 ・ベビーフードも進化中 小さな子ども向けのベビーフードもどんどん進化しています。たとえば、紫色のにんじんやオメガ3が豊富に含まれるブラックスシードを使った商品なども登場しています。 ・アップサイクル商品 アップサイクル商品とは、廃棄されがちな野菜や果物の皮・茎などを使った商品のこと。元の商品よりも付加価値が高く魅力的なものが多いという点で、これまでの「リサイクル」とは異なります。たとえば、ビールの生産後の大麦や小麦を使った栄養補助バーなどの販売も始まっています。 ・ひよこ豆も人気 植物性タンパク質や食物繊維を豊富に含むひよこ豆。ひよこ豆を使った豆腐や粉、シリアル、パスタなども登場しています。カリフラワーに続く人気食材となるのでは?と予測されています。 食のトレンド予測は、アメリカでは多くのメディアの注目を集めています。この予測を吟味して、ビジネス展開に活かしてみてはいかがでしょうか。
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