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東京五輪で日本の食材が使えない!? 日本人がよく知らない「GAP問題」とは

2019.09.13

「日本の農産物は安心・安全!」と思っているのは、日本国内だけ。

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪)が、いよいよ間近に迫ってきました。
東京五輪への期待が高まる一方、一部でひっそりと心配されていることがあります。五輪は日本の農産物を世界にアピールする絶好の機会であるにもかかわらず、選手村で提供される料理に国産の食材が使えないかもしれないという懸念です。

「日本の農産物は安心・安全!」。常識だと思っていたことが、海外ではまったく違う捉えられ方をしていることがあります。国産農産物が安全だと思っているのは日本人だけで、世界では日本の甘い安全基準が不安視されていました。中国から輸入した野菜で基準を超える残留農薬が検出されたことなどを受け、日本では国産であることが安全性を担保しているように受け止められてきましたが、「日本産の信用力」は国内では通用しても、海外では安全性の根拠にならないのです。

2018年3月、東京五輪の選手村で提供される食材の調達基準にGAP認証が加えられました。GAPとは、「Good Agricultural Practices」の頭文字をとったもの。農薬の使い方や保管の仕方、水や土壌の保全など環境への配慮、スタッフの安全の確保、記録のつけ方などを広範に定めた農業のルールで、国境を越えた農産物の取引が増えたことを背景に1990年代後半にヨーロッパで誕生し、その後、世界中に広まりました。現在も「グローバルGAP」として世界120カ国以上で活用されています。

グローバルGAP取得のためには、約200項目にわたるチェック項目をクリアし、その通りに行われているかどうかを第三者機関に審査してもらう必要があります。しかし現状、グローバルGAPを取得した国内の農家は圧倒的に少なく、現在、取得しているのは全農家の1%未満。そのために、東京五輪を迎えても食材が足らず、GAP認証を取得した海外の食材を調達せざるを得ないのではとの心配が広がっているのです。

これを受けて、各自治体は五輪の施設で地元の食材を使ってもらうため、生産者にGAPを取得するよう強く呼び掛けています。もちろん、東京五輪をきっかけにGAPを取得するのは前向きな一歩といえます。認証を受ければ、ヨーロッパなどへの輸出拡大に役立つ可能性もあります。ただ、課題もあります。多くの産地が取得しようとしているGAPは、必ずしも国際基準とはいえないのです。

東京五輪で食材をPRしたい。そんな生産者たちにとって、GAP認証取得は大きな課題となります。

各都道府県の自治体が推奨するGAPは、農林水産省のガイドラインに即し、作業の安全の確保や農薬の適正な使用など基本的な要素は満たしており、東京五輪の食材基準はクリアできますが、従業員の教育訓練や内部点検などの項目は抜け落ちており、欧州発の「グローバルGAP」と比べるとハードルは低いです。

農水省が取得を後押ししているのが、日本発のGAPとして立ち上げている「JGAP」です。2007年11月に国際基準に準拠するような第三者認証制度を盛り込んでスタートしたものです。日本GAP協会の統計によれば、JGAPの認証を受けた農場の数は4100程度(2017年3月現在)。グローバルGAPを取得した農家と合わせても、まだ国内全体の1%に届きません。

選手村で提供される食材に国産が使われることは、日本の農作物を世界にPRする最高の機会。高品質である上に安全である国産の農作物を世界のアスリートに味わってもらうことは、国際的な競争力を高めることにもつながるはずです。そのためにも、国内のGAP認証を取得する農家を早急に増やす必要があり、今後ますます取得のための環境整備も進んでいくでしょう。

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