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食卓の魚離れ~いつから魚は食べられなくなったのか?

2021.05.24

魚、食べていますか? 最近いつ食べましたか?
家庭内での食卓で魚離れが進んでいます。
豊かな海の幸に恵まれた日本の食卓から魚料理が激減している。文章にすると不思議にも思えるこの状況は、どのようにしてもたらされたのでしょうか。

肉を食べて育った世代は肉を食べさせて子を育てる

肉が貴重品かつ高級品だった昭和30年以前、家庭の食卓の主役は魚でした。
これに対して昭和30年以降生まれ育った世代は、肉を日常的に食べて育ちました。昭和30年生まれは現在66歳。比較的高齢と感じる世代でも、魚よりも肉を食べて育ったと聞くと、少し不思議な気持ちにもなりますね。
そこから2世代ほど後になる現在の子供たちでは、もはや家庭内で丸ごと一尾の魚をさばいてる姿を見たことがない子のほうが多いかもしれません。魚を丸ごと一尾で購入し、自分でさばいて調理できる世代というのは、思ってるよりもずっと上の世代なのです。
これは良し悪しではなく、そのような時代の流れなので、再び家庭内で一尾丸ごとの魚を調理する時代には戻らないでしょう。
魚をさばくには技術も必要ですし、臭みのある内臓の処理の問題もあります。親から子へとこの技術が伝わらなかったのを、学校教育で補うのは難しいでしょう。また、魚は鮮度の落ちが早いので、昔のように大家族ではない現代では大きな魚は食べきれないという事態にもなりがちです。
このような高いハードルの割に、価格は高く、食べなれない子供たちはさほど喜ばず、気をつけて食べないと骨がのどに引っかかる、となると魚よりも肉を選んでしまうのも納得してしまいますね。

外食・中食・加工食品

しかし、四方を海に囲まれ、これだけ豊かな海の幸に恵まれていながら肉ばかりを食べているというのももったいない話です。
では活路はどこにあるのでしょうか。
ポイントは「外注」です。大きな意味の調理の外注、つまり「外食・中食・加工食品」ですね。
自宅であまり食べないけれども、外食では魚を食べる可能性があります。回転寿司店の盛況を見るに、リーズナブルにおいしい寿司を食べたいという需要は大きそうです。
同じように、家で寿司を握ることはなくても、スーパーでパック詰めされたお寿司がずらりと並んでいます。鮮魚コーナーに比べると、お寿司コーナーのほうが活況に見えますね。
また、今後大きく伸びる期待の分野がレトルト・チルド・冷凍・缶詰といった加工食品です。
実は魚か肉かに限らず、家庭での調理は徐々に減っていくのではないかと考えられています。シンガポールのように食費の3分の2が外食・中食というところまでいくかどうかは分かりませんが、この先は家庭内で自ら調理しない流れは加速していくように感じられます。その流れに乗り、買い置きできて日持ちする加工食品が重宝されるようになるという予想です。
特に注目なのは、魚の缶詰です。大規模災害が頻発する昨今、非常用保存食にもなり普段の食生活にも活用できる缶詰は、流行の味付けやおしゃれなデザインのものへと進化してきており、消費拡大が期待されます。

久しぶりになるでしょうか。今日の夕飯は魚を食べませんか。
需要があれば、魚は消えません。逆に言えば、需要がなくなったとき、魚は食べたくても食べられないものになってしまうかもしれないのです。
「魚を食べたい」というその欲望に忠実に従い、ちょっと面倒でも高くても、外食でも中食でも加工食品でも、ぜひ魚を食べてくださいね。