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新鮮さだけが魚の価値じゃない!熟成魚の魅力とは

2021.05.26

コロナ禍で魚介類の外食需要が減り、スーパーに良い品が流通していると言います。ただ、魚離れはかなり深刻で、良い品が流通しているにもかかわらず魚コーナーが活況という光景はあまり目にしません。食べるとしても寿司や刺身、切り身や干物がほとんどで、丸魚を調理するスキルを持つ人は多くないと考えられます。
しかし、魚を食べるのが嫌、という人はそう多くはなく、むしろ好きだという人のほうが多い印象です。実際には食べたいけれども調理スキルがないので自宅では食べない、という人が多いのでしょうか。
そんな方に、今回は「熟成魚」をご紹介します。

魚は新鮮なほどいい?

「新鮮な魚はおいしい」と思いますか。いかにもそんな感じがしますよね。
しかし答えは「一概には言えない」が正解です。
釣りをしたとしましょう。逃げようとして大暴れした魚の身には乳酸がたまります。そんな魚を釣り上げてすぐに刺身で食べると酸味が出てきてしまい、あまりおいしくありません。
また魚のうま味成分であるイノシン酸は、死後ATP(アデノシン三リン酸)が少しずつ変化する過程で生じます。つまり、死後すぐの魚にはうま味成分が少ないのです。
それならばイノシン酸が多くなるまで待てばよいのでは?と思いますよね。しかしそううまくはいきません。変化がさらに進んでヒポキサンチンになってしまうと、それは腐敗です。この成分の変化が目に見えれば簡単で良いのですが、実際には熟練の職人が慎重に見分けるというレベルの難しさ。素人が簡単に判断できるものではありません。
鮮度が落ちる=熟成ではないので、単に置いておくだけで味が良くなると考えるのは誤りです。鮮度が落ちた魚は味も落ちます。そういう意味では新鮮さはおいしさの重要な要素ではありますが、熟成となると話は別です。
適切な管理のもと熟成された魚は、新鮮ではなくてもとびきりのおいしさなのです。

熟成肉」ならぬ「熟成魚」

熟成肉ブームが世を賑わせたこともありますが、「熟成魚」もまた注目されています。
聞きなれない言葉だと感じられるかもしれませんが、難しく考える必要はありません。すぐに食べるのではなく、寝かせることで素材の持つうま味を引き出した魚のことですので、身近なところでは刺身の漬けなども熟成魚と言えます。
ちなみに熟成寿司などに使われてる狭義の「熟成魚」は想像をはるかに超える世界です。もともと江戸前寿司は魚を寝かせる、酢締め、漬けなどの手法を多用しています。この寿司職人の熟練の技と冷蔵・冷凍技術の進歩でうま味を最高潮にまで高めた熟成寿司。ネタによっては数週間も寝かせるのだと言います。
気軽に食べられる値段ではありませんが、うま味があふれねっとりと口に絡みつくという魚の新たな一面を見直す驚きの体験をもたらしてくれるでしょう。

一方、職人の技を科学的に再現し、工業的手法で熟成魚を生産する動きもあります。安定した品質を極めるため、真鯛を養殖する段階から徹底管理しているのだとか。
スーパーや通信販売で熟成魚が買えるようになる、お馴染みのレストランで熟成魚のメニューに舌鼓を打てる日も、そう遠くないかもしれませんね。

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NEW 2021.08.30

ビタミンCの王様アセロラの嬉しい栄養成分

ビタミンCは元気で健康的な生活を送るために欠かせない重要な栄養素です。厚生労働省によれば、ビタミンC欠乏症(壊血病)を回避するためには1日当たり10mg、心臓血管系の疾病予防・有効な抗酸化作用を期待するためには83.4mgが必要だとされており、推奨量は成人男女で100mg/日が提示されています。 欠乏症になるほどではなくても、ビタミンCが不足していると疲労感や肌荒れ、不眠、歯ぐきからの出血などの影響が出ることがあります。 そこで、ビタミンCの王様とも呼ばれるアセロラについてご紹介しましょう。 <傷みやすいので加工食品としておなじみ> アセロラというと「ジュースでは見かけるけど生の果実では見たことがない」という印象を持つ人が多いようです。確かに、生のアセロラは生産地以外では販売されていません。 というのも、アセロラの実は大変デリケートなのです。熟成するとすぐに傷んでしまうため、加工食品として利用されることがほとんどとなっています。なんと収穫後数時間で皮から発酵が始まり、2日後には変色してしまうのだとか。スーパーで売られていないのが納得できますね。 ちなみにこのアセロラ、花も実もかわいいので海外では盆栽としても人気があります。盆栽でも実をつけますので、アセロラを生で食べてみたければ家庭栽培にチャレンジするのも一手です。 <スーパーフードランキングの上位常連> アセロラはスーパーフードとしても注目されています。 最近ではスーパーフード協会発表の「2017S/S トレンド予測スーパーフードランキング」第1位、「2018年下半期ビューティースーパーフードランキング」で第6位、「2022食のトレンド予測 スーパーフードランキング」で2位と、スーパーフードランキングの上位常連と言っても過言ではありません。 その理由は何といっても突出したビタミンC含有量にあります。 アセロラに含まれるビタミンCはレモンの34倍とも言われています。上で述べた成人男女の推奨量100mgは生の果汁たったの10ccで摂れます。市販のアセロラドリンクでも1本で充分必要量を満たす商品もあるのです。 またアセロラの栄養成分はビタミンCだけにとどまりません。 高血圧の予防に効果的なカリウム、強い抗酸化作用を持つポリフェノール、「造血ビタミン」とも呼ばれる葉酸も豊富に含んでいます。 これらの栄養素が複合的に働き、老化や病気の予防や美肌などのさまざまな効果が期待できるとされているわけですね。 国内では唯一沖縄県でアセロラが栽培されています。糸満市、石垣市、本部町が主な産地です。コロナ禍が落ち着いたら、フレッシュなアセロラを求めて沖縄旅行に出かけてみるのも楽しそうですね。
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2021.08.25

暑い季節にネバネバがおいしい!オクラ大解剖

夏のネバネバとして今やすっかりおなじみのオクラですが、国内での歴史は比較的新しい野菜です。 輪切りにするときれいな星型になり、白いぷつぷつとした種が特徴的なオクラ。今回はそんなオクラを大解剖してみましょう。 <寒さに弱い高温性野菜> オクラは実は外来語です。和名は「アメリカネリ」と言い、幕末頃に導入されました。しかし当時は独特の青臭さや粘りが敬遠され、普及には至らなかったのだそう。 第二次世界大戦後になって、東南アジアから復員した人々の一部が現地で食べ慣れたオクラを栽培し始め、温暖地での夏のハウス活用のための野菜として採用されたことなどもあって、一躍脚光を浴び始めました。戦後の生活としてサラダが流行した時期とも重なり、人気が爆発。全国的に普及したのは1970年代頃で、比較的新しい野菜といえます。 普及以前から食べられていた沖縄や鹿児島では「ネリ」と呼ばれていましたが、「オクラ」として普及したため現在では広く全国では通じないようです。 主要な国内生産地は鹿児島、高知、沖縄など。旬の6月~10月には国産のものが全国のスーパーで販売されます。 オクラは高温性野菜で本来は多年草です。しかし非常に寒さに弱く、霜にあたると枯死してしまうほどなのだとか。そのため日本では一年草として扱われており、冬季にはタイやフィリピンからの輸入が頼りとなっています。 <おいしくて栄養豊富なネバネバ> オクラを刻むとネバネバが出てきます。この粘りはペクチンとムチレージ※が主成分です。 ペクチンは水溶性食物繊維で、コレステロールの吸収抑制作用、血糖値の上昇抑制作用などがあります。 ムチレージは糖とたんぱく質の混合物である多糖類の一種です。粘膜を保護する働きがあり、山芋や納豆にも含まれます。 ペクチン、ムチレージのどちらも整腸作用があり便秘改善の効果が期待できます。暑くて食欲が落ちる時期の夏バテ予防にぴったりで、粘りのあるとろみでのど越し良く食欲が促されますね。 市販品ではあまり心配ありませんが、家庭菜園などで大きくなりすぎると硬く筋張ることがあるので、注意しましょう。全体が濃い緑色で産毛が密に生えているものが良品です。 低温に弱いため保存する際は常温で涼しい場所がおすすめです。冷蔵庫に入れる場合は冷気が直接当たらないようにポリ袋などに入れるようにしましょう。鮮度が落ちると固くなって風味も落ちるので、早めに食べるのが一番。すぐに食べない場合は、下ゆでしてから冷蔵保存するのも便利ですね。 オクラは難しく調理しなくても、刻んで好みの味付けで和えるだけで、色鮮やかで目にも嬉しい副菜になります。油との相性も抜群なので炒めたり揚げたりしても美味しくいただけます。冷凍野菜としてもメジャーなので、常備しておくとあと一品という時に役立ちそうですね。 気になる産毛を塩で板ずりすれば、生食もできます。生のほうが粘りが強いので、ネバネバを楽しみたいときは生のまま細かく刻むのもおすすめです。 ※これまで植物粘液はムチンと呼ばれてきましたが、動物粘液だけをムチンと呼び、植物粘液はムチレージと呼ぶのが正式な呼称です。2019年に研究者より指摘されたということで、ネット上には「ムチン」表記もまだまだあふれていますが、正式には植物粘液は「ムチレージ」となります。
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2021.07.28

和風・洋風・中華「だし」の違い

食事に温かいスープがついていると嬉しいものですよね。たとえ具がほとんど入っていなくても、お澄ましやコンソメスープなどだしが効いた汁物はとても心を満足させてくれます。 だしは汁物に限らず、料理の基本です。今回はそんな「だし」についてもっと詳しく知ってみましょう。 <だしの基礎知識> そもそも「だし」とは、魚介や肉・野菜などをつけたり煮出したりした、うま味成分や香りのある汁のことを言います。味の基本である「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」のうちの一つである「うま味」を引き出すことに特化した汁と言えるでしょう。 このうま味はグルタミン酸(植物に多い成分)やイノシン酸(動物に多い成分)によってもたらされます。 だしのすごいところは、これらのアミノ酸を単独ではなく複合して使っているところです。うま味は足し算ではなく掛け算され、相乗効果により飛躍的に伸びます。 使われる食材や調理法が異なっていても、この相乗効果を狙うのは世界共通。栄養素や味覚についての科学的な研究が行われる前から、人々はおいしさの掛け算を体で知っていたのかもしれませんね。 <和洋中における違い> 和風だしは昆布とかつお節の組み合わせた、キレのあるすっきりとしたうま味のだしです。短時間で作れますが保存性が悪く、味の劣化が早いという特徴があります。 一方、洋風だしは玉ねぎやにんじん、セロリと骨付きの肉や魚介を組み合わせた、濃厚なゼラチン質のうま味が特徴のだしです。和風だしと違って作るのに長時間かかりますが保存性は良いです。調理の直前にだしをとるというよりは、事前にまとめてだしをとり、調理ごとに取り分けて使うイメージですね。 中華だしはネギやショウガなどの香味野菜と鶏ガラや豚肉を組み合わせた、深いコクとうま味が特徴のだしです。中華料理では「湯(タン)」と呼ばれており、上湯(シャンタン)や白湯(パイタン)といった語を目にしたことがあるかもしれませんね。 ちなみに白湯は白濁したスープですが、これは強い火力でぼこぼこと泡が出るくらい煮立てると泡が破裂する際の音波で水と油が乳化するので白濁スープになるのだとか。日本ではラーメンのベースとなる豚骨スープとしてもお馴染みです。 <掛け算をさらに掛け算してみる> うま味に幅があるほど料理はおいしく感じられます。 キレはあっても厚みに欠ける和風だしとキレはないが重厚な厚みがある洋風だし。最近では洋食に和風だしを合わせるレシピも多くありますが、その狙いは旨みの幅を広げることにあります。 種類の違うだしをかけ合わせることでうま味は増しますので、既成概念にとらわれず隠し味に使ってみましょう。思いもかけないおいしさと出会えるかもしれませんね。
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2021.07.21

唐辛子はどこまで辛くなる?

唐辛子は中南米を原産とする、ナス科トウガラシ属の植物です。ピーマン、シシトウ、パプリカなど辛みがほとんどない甘味種もありますが、「唐辛子」と聞いて思い浮かぶのは辛みのある香辛料のイメージが一般的でしょう。 今回はこの唐辛子の辛さに注目して、レポートをお伝えします。 <辛さの単位「スコヴィル値」> トウガラシの辛さのもとはカプサイシンです。カプサイシンが辛み受容体の神経末端を刺激することで辛みを感じますが、実は辛みは味覚ではなく痛覚の一種なのだとか。 アメリカの薬剤師であったウィルバー・スコヴィルは1912年にカプサイシンによる辛さの測定方法を考案しました。カプサイシンを含む唐辛子エキスを砂糖水で薄め、辛みを感じなくなるまでの希釈倍率で辛さ度合を表そうとしたのです。考案者にちなみ、スコヴィル値と呼ばれています。 辛くないピーマンのスコヴィル値は0、一方で激辛唐辛子の代表ともいえるハバネロではスコヴィル値は30万とも言われています。 開発当初は実際に検査官が官能検査を行って測定していましたが、人の舌に頼ることから主観も入ってしまい、不明瞭な点もありました。そこで近年では高速液体クロマトグラフィーで解析したカプサイシンの量をスコヴィル値に換算する方法がとられています。 <より辛い唐辛子を求めて> 日本ではお馴染みの鷹の爪は、スコヴィル値が5万程度です。これでも充分辛いわけですが、世界にはさらに辛い唐辛子も多種存在しています。 スナック菓子などで激辛ブームの火付け役となったハバネロは中南米の料理には欠かせない香辛料。このハバネロのスコヴィル値は30万程度です。 2007年、100万スコヴィル値でギネス認定されたのがブート・ジョロキア。原産地は北インド・バングラディシュで、現地では煮物の味付けやサルサソースなどに使われています。 2011年にはブッチ・テイラーがオーストラリアでスコヴィル値146万のトリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーを発見し、ギネス記録を塗り替えました。あまりの激辛ぶりに調理には防護服が必要なのだそうです。 2013年にはスコヴィル値157万でキャロライナ・リーパーがギネス記録に認定されました。栽培したのはアメリカの唐辛子関連会社経営のエド・カーリー。辛みには個体差もあり、高いものでは220万スコヴィル値に達するものもあるのだとか。食用には適さないほどの刺激があり、素手で触ると危険と言われています。 2017年にはイギリスで248万スコヴィル値のドラゴンズ・ブレスが開発され、ギネス記録を更新しました。あまりの刺激のため、食用よりも麻酔薬などに利用する研究が進められているのだそうです。 ギネス記録には認定されていませんが、その後もさらなる激辛唐辛子が開発されています。 キャロライナ・リーパーを開発したエド・カーリーが10年の歳月をかけてスコヴィル値318万というペッパー・Xを生み出しました。ここまでくるともはや生食すれば死につながる可能性もあるほどで、その辛みは想像するのも難しいですね。 激辛唐辛子の世界ランク上位はおいしく食べられる範囲を超えていますが、何事も究極を追求したくなるのは人間の性(さが)でしょうか。この先もさらに辛い唐辛子の開発競争は進んでいくと考えられます。次はどんな激辛唐辛子が開発されるのか、目が離せません。
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