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唐辛子はどこまで辛くなる?

2021.07.21

唐辛子は中南米を原産とする、ナス科トウガラシ属の植物です。ピーマン、シシトウ、パプリカなど辛みがほとんどない甘味種もありますが、「唐辛子」と聞いて思い浮かぶのは辛みのある香辛料のイメージが一般的でしょう。
今回はこの唐辛子の辛さに注目して、レポートをお伝えします。

<辛さの単位「スコヴィル値」>
トウガラシの辛さのもとはカプサイシンです。カプサイシンが辛み受容体の神経末端を刺激することで辛みを感じますが、実は辛みは味覚ではなく痛覚の一種なのだとか。
アメリカの薬剤師であったウィルバー・スコヴィルは1912年にカプサイシンによる辛さの測定方法を考案しました。カプサイシンを含む唐辛子エキスを砂糖水で薄め、辛みを感じなくなるまでの希釈倍率で辛さ度合を表そうとしたのです。考案者にちなみ、スコヴィル値と呼ばれています。
辛くないピーマンのスコヴィル値は0、一方で激辛唐辛子の代表ともいえるハバネロではスコヴィル値は30万とも言われています。
開発当初は実際に検査官が官能検査を行って測定していましたが、人の舌に頼ることから主観も入ってしまい、不明瞭な点もありました。そこで近年では高速液体クロマトグラフィーで解析したカプサイシンの量をスコヴィル値に換算する方法がとられています。

<より辛い唐辛子を求めて>
日本ではお馴染みの鷹の爪は、スコヴィル値が5万程度です。これでも充分辛いわけですが、世界にはさらに辛い唐辛子も多種存在しています。
スナック菓子などで激辛ブームの火付け役となったハバネロは中南米の料理には欠かせない香辛料。このハバネロのスコヴィル値は30万程度です。
2007年、100万スコヴィル値でギネス認定されたのがブート・ジョロキア。原産地は北インド・バングラディシュで、現地では煮物の味付けやサルサソースなどに使われています。
2011年にはブッチ・テイラーがオーストラリアでスコヴィル値146万のトリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーを発見し、ギネス記録を塗り替えました。あまりの激辛ぶりに調理には防護服が必要なのだそうです。
2013年にはスコヴィル値157万でキャロライナ・リーパーがギネス記録に認定されました。栽培したのはアメリカの唐辛子関連会社経営のエド・カーリー。辛みには個体差もあり、高いものでは220万スコヴィル値に達するものもあるのだとか。食用には適さないほどの刺激があり、素手で触ると危険と言われています。
2017年にはイギリスで248万スコヴィル値のドラゴンズ・ブレスが開発され、ギネス記録を更新しました。あまりの刺激のため、食用よりも麻酔薬などに利用する研究が進められているのだそうです。
ギネス記録には認定されていませんが、その後もさらなる激辛唐辛子が開発されています。
キャロライナ・リーパーを開発したエド・カーリーが10年の歳月をかけてスコヴィル値318万というペッパー・Xを生み出しました。ここまでくるともはや生食すれば死につながる可能性もあるほどで、その辛みは想像するのも難しいですね。

激辛唐辛子の世界ランク上位はおいしく食べられる範囲を超えていますが、何事も究極を追求したくなるのは人間の性(さが)でしょうか。この先もさらに辛い唐辛子の開発競争は進んでいくと考えられます。次はどんな激辛唐辛子が開発されるのか、目が離せません。