2022.02.10
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【2022.5.23】新着情報!(行政)
厚生労働省
☆ タイ産及びフィリピン産マンゴーのクロルピリホス命令検査の基準値に変更がありました。(令和4年5月13日)
☆ 放射線照射に係る輸入次検査強化対象製造者が追加されました。(令和4年5月16日)
☆ ベルギー産チョコレートの取扱いについて。(令和4年5月17日)
☆ 「食品、添加物等の規格基準」が一部改正されました-食品中の農薬の残留基準値の変更。(令和4年5月20日)
☆ 輸入時における輸入食品違反事例速報が公表されました。
・令和4年5月分(令和4年5月19日)
☆ 原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限が解除されました。
・岩手県一関市において産出されたナメコ(露地において原木を用いて栽培されたものに限る。)(令和4年5月13日)
消費者庁
☆ 機能性表示食品制度届出データベース届出情報が更新されました。(令和4年5月16日)
(提供:一般財団法人食品環境検査協会)


ディスコ×スープで「もったいない」を「楽しい」に:世界の食品ロス対策(3)
ドイツで生まれた「ディスコスープ」というイベントをご存知でしょうか。
食料廃棄問題の改善を目指して活動する団体「Slow Food Youth Network (スローフード ユース ネットワーク)」が始めたもので、コンセプトは「満たすなら、ゴミ箱ではなく、腹を満たせ!」。ディスコのようにDJの流す音楽に乗りながら、農家やスーパーマーケットから集めた廃棄寸前の食材を使ってスープを作り、みんなで食べるというイベントです。食品ロスについて楽しく学べるとあって瞬く間にヨーロッパ中に広がり、今では世界各国で開催されています。
2017年からは4月の最終土曜日を「ワールドディスコスープデー」と定め、世界30カ国以上で同時多発的にイベントが行われて話題となりました。日本でもスローフードユースネットワーク東京が中心となり、活動を行っています。
若者を中心に盛り上がりを見せる「ディスコスープ」。国境を越えたもったいないという思いが、今度は世代を超えていくことに期待したいものです。


「タンパク質危機」と向き合う、課題解決の方法は
地球の人口増加や環境問題により、食肉などのタンパク質が不足するのが「タンパク質危機」です。これは世界規模での課題であるにもかかわらず、世間ではまだ認知度が十分ではありません。そこで今回は、タンパク質危機とは何かを解説するとともに、課題解決に向けた取り組み事例を紹介します。
2030年までにタンパク源が足りなくなる…?
世界規模での人口の増加により、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が将来的に不足するとされています。国連の調査によれば、世界の人口は現在約78億人であるところ、2030年には約85億人、2050年には約100億人になると推定されています。これにより需要と供給のバランスが取れなくなり、2025~2030年頃に「タンパク質危機」と呼ばれる食料問題が生じるといわれています。
タンパク質危機と関係しているのは、人口増だけではありません。健康意識や環境問題への意識の向上、動物愛護などの観点から、私たちの食生活に変化が生じています。たとえば、自身の健康を保つために肉を食べる量を減らして、野菜や豆類などの摂取を増やす人も増えています。また、現在の畜産には多くの穀物が必要です。その過程で大量のメタンガスや温室効果ガスが発生することも指摘されていて、問題は複雑に絡み合っています。
植物性の代替素材が解決の糸口に
タンパク質危機という課題を解決していくために、世界各地でさまざまな取り組みが行われています。そのなかでも動物性食品の代わりに植物性の素材を使った「代替タンパク質」を増やす動きが顕著です。これは畜産の過程で発生するメタンガスや温室効果ガスの削減にも役立ち、動物愛護という面でも優れています。
代替タンパク質としては、大豆やえんどう豆などが使われることが多いです。一昔前に比べて、日本のスーパーで「大豆ミート」「代替肉」をよく見かけるようになりました。もうひとつ、最近注目されているのは昆虫食です。栄養が豊富で少ない資源で生成することができることから、サステナビリティ(持続可能性)という観点でも優れています。その一方で、古くから昆虫を食べてきた歴史のある特定の地域を除いては、昆虫を食べることに対する心理的なハードルが高いという現実もあります。
さらに別の選択肢としては「人工培養肉」があります。培養肉とは、牛や豚の幹細胞を採取し特定の栄養を与えることで完成する人工肉のことです。通常の畜産に比べて短期間でできあがることや食肉解体処理を行う必要がないことから、エネルギーの節約や、メタンガスや温室効果ガスの発生を抑制する効果が期待されています。


廃棄予定の食品だけを販売するスーパーマーケット:世界の食品ロス対策(2)
通常なら廃棄されてしまう食品のみを取り扱うスーパーマーケットが、イギリス、デンマーク、オーストラリアにあることをご存知でしょうか。いずれも賞味期限が切れてしまったり、パッケージに傷や汚れがあったりする品を販売していますが、設立の趣旨やお国柄の違いがあり、各店には異なる特色が表れています。
イギリス:Community Shop
イギリスで2013年にオープンした「Community Shop」。店舗から一定のエリア内に住む福祉手当受給者を対象に、別のスーパーで余った商品を定価の3割ほどの値段で販売しています。当時すでに、ヨーロッパ各地では低所得者向けのスーパーはありましたが、フードロス対策の試みという観点で脚光を浴びました。また、スーパーの目的は“援助ではなく救済”であることから、利用者が次のステップへ進めるよう、債務処理や料理の方法、履歴書の書き方などをアドバイスする窓口も設けています。
デンマーク:We Food
続いて、デンマーク。2016年にオープンした「We Food」は、賞味期限切れまたは消費期限内でも不要になった商品をはじめ、傷のついた野菜や果物などが定価の3~5割ほどの値段で並びます。スーパーはホームレスを支援する非営利団体とキリスト教系の慈善団体が共同運営しており、オープンセレモニーにはデンマーク王室の皇太子妃殿下も参列するなど、大きな話題となったそうです。このことが追い風となり、デンマークの食料廃棄量は徐々に減少していると言います。
オーストラリア:OZ HARVEST MARKET
最後に紹介する、オーストラリアの「OZ HARVEST MARKET」は、何と言っても最大の特徴が“すべて無料”であることです。店内には値札やレジが一切なく、利用者は買い物かご1つ分の商品を自由に選び、持ち帰ることができます。運営しているのは、オーストラリア各地で食事提供事業を行う市民団体。店内の食品を無料で提供する代わりに利用者に寄付を募り、集まった資金を運営費に充てています。オープン時には5週間で約170万円も集まったとか。店のスタッフはボランティア、家賃や光熱費はビルのオーナーの厚意で無料など、この場所だから実現できた取り組みかもしれませんが、この店がきっかけとなり食品ロスの問題に関心を持つ人が増えることでしょう。
さて、日本ではこれからどんな活動が広がっていくのでしょうか。
前回の記事:
https://reports.shareshima.com/57/
