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“ 昆虫食普及ネットワーク・ニュースレター ”

2022.11.04

本格化する国産コオロギ生産 ~コオロギ生産ガイドラインを作成~【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.5】

この数年、国内でコオロギ等昆虫を食用又は飼料用に生産する企業の動きが本格化しています。しかし、事業者が個々の価値観やルール、方法で生産・販売する結果、様々な情報が錯綜して、消費者はどの情報を頼りにすれば良いのかわからないほど、良いも悪いも一緒くたになっています。日本では、山菜採りやキノコ狩りと同様に昆虫を採取して食べる食文化があることから、昆虫に特化した規制はなく、他の食品や飼料と同様に、食品衛生法や飼料安全法(通称)が適用されます。一方で、人間の管理下で、昆虫を大量に養殖(飼育生産)することは、これまでに経験がなく、人工飼育生産の過程に潜むリスクやその対策について正しく理解するものがないので状況は異なってきます。集約して大量飼育する過程で、病原菌や有害化学物質、異物の混入、あるいは特異な生理作用を引き起 こす物質が生じる可能性がゼロではありません。また、万が一にも飼育している昆虫が自然界に散逸して、自然生態系等環境へ及ぼす影響も懸念されます。そのような観点からも、健康影響、環境影響等に配慮した生産管理が求められます 1)。昆虫食に対しては、奇異な姿形のため否定派も多く 2)、1 社でも好ましくない事態を起こすと、業界全てが同じにみられて、風評等で大きな痛手を受ける恐れがあります 3)。国は産業としての実績やリスクが顕在化しないうちは法整備には動きません。そこで、昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)が、民間自主ルールの第 1 号として“コオロギの食品及び飼料原料としての利用における安全確保のための生産ガイドライン(コオロギ生産ガイドライン)”を公表しました(図)。 http://www.kannousuiken-saka.or.jp/ibpf/guideline/index.html このガイドラインでは難しいことを求めるのではなく、「当たり前のことをしっかりと守って、安全に健全なコオロギを生産しましょう。」と提唱しています。ただ、販売ありきのプロモーションが溢れる中で、「人が口にするものは安全確保が最優先ですよ」とメッセージを送ることで、ゲームチェンジャーになると考えています。本ガイドラインに生産者が集まり、管理方法を定めてお互いに点検・評価することで、国産コオロギの安全確保を図ることが期待できます。ガイドライン遵守事業 者を公開する(表)ことで、消費者の皆様が購入される際の選択肢のひとつになるとともに、生産者の真摯な姿勢が国産コオロギ市場への信頼獲得と普及拡大につながることを期待しています。 <参考文献> 1) FAO : Looking at Edible Insects from a food safety perspective – Challenges and opportunities for the sector 2021、(2021) 2) 櫻井蓮、飯島明宏 : 生物工学会誌、100(6)、320–322、 (2022) 3) 藤谷泰裕 : JATAFF ジャーナル、10(7)、42-46、(2022) (藤谷泰裕/大阪府立環境農林水産総合研究所 食と農の研究部 審議役 昆虫ビジネス研究開発プラットフォームプロデューサー補佐)   ニュースレターは、NPO法人昆虫食普及ネットワークの公式HPで配信中です。
本格化する国産コオロギ生産 ~コオロギ生産ガイドラインを作成~【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.…
2022.10.07

イエバエに魅せられて【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.4】

我々は群馬県でおからを原料にイエバエを生産している養虫®農家です。 私がイエバエと初めて出会ったのは、もう8年ほど前でしょうか。千葉県でイエバエの生産工場を見学する機会がありました。豚糞を原料にして、イエバエの幼虫は観賞魚の餌として、残渣は肥料として販売していました。日本で初めての昆虫を使った民間の事業だったのではないでしょうか。しかし、豚糞由来だから汚いという言われなきイメージがあって、 世に受け入れられず、ビジネス的には難しい状況でした。4年前に、その会社の技術者と再会し、イエバエの優秀さ、可能性を再認識しました。その人と共に、豚糞ではなく、おからを原料にイエバエを生産する会社を作りました。おからというきれいな原料で、きれいな虫を育てる。それがフライハイです。 おからは人も食べるきれいな食材ですが、豆腐製造時の副産物として年間70万トンも排出され、その半分は焼却処分されています。焼却される前にいくばくかでも、タンパク質や肥料に変換して活用できれば。イエバエは成長が速く、また、タンパク質としても優秀です。なにより、昆虫食の中でも指折りの食べやすさ、おいしさです。初心者向けでもあり、 様々な料理に使える上級者向けでもあります。イエバエがコオロギに続く昆虫食の新しい柱になるといいなと思っています。もちろん、コオロギに比べてハードルがさらに高いのは承知の上です。だから、 挑戦する価値があるのです。 (左より冷凍幼虫、乾燥幼虫、乾燥さなぎ) (木下敬介/株式会社フライハイ 代表取締役)   「バタピー」ならぬ「バッタピー」【おススメの一皿】 バッタの季節になりました。というわけで、今回は バッタを使った一品をご紹介しようと思います。まずはバッタ捕りを楽しむところから始めましょう。 捕ってきたバッタは 1,2 日糞抜きをしたほうがよりおいしくいただけます。袋(洗濯ネットが便利です) に入れて物干しの隅にでもぶらさげておけばいいでしょう。それから、殺菌消毒と洗浄を兼ねて熱湯でさっとゆでます。エビやカニのように赤くなるのを見ると、それだけで食欲がわいてきます。ここでもうひと手間かけて、これを乾燥させるととても食べやすくなります。天日で干すといかにも自然食品といった感じで健康的ですが、私はいつも食品乾燥機で 70℃、4時間乾燥させています。ゆでるときに塩味をつけておけばもうこれだけで立派なおつまみになりますが、今回は味付けなしで乾燥させたものをバター適宜で炒めて塩を振って、市販のバターピーナッツと混ぜ合わせました。「バタピー」ならぬ「バッタピー」の出来上がりです。写真はトノサマバッタ等を使ったもの。これがもう、子どものおやつにもよし、お酒のお供にもよし。「みんなのバッタピー」とでも名付けましょうか。ぜひお試しあれ。 (小貫浩一)   夏に行った数々のイベントも無事、無事故で終える事が出来ました。予想以上に多くのお子さんや親御さんが参加して頂き、昆虫食への関心の高さを改めて感じることが出来ました。きっと昆虫に親しんだ今の子供が大人になる頃には、昆虫食=高タンパク食品が常識になっている事でしょう。 (須賀亮二)   ニュースレターは、NPO法人昆虫食普及ネットワークの公式HPで配信中です。
イエバエに魅せられて【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.4】
2022.09.02

タイ産コオロギの魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.3】

初めまして、私は昆虫食の生産、製造に携わっているタイ国 BRICKET社のタナプーンと申します。タイ国は昆虫食の伝統を活かし、生産・製造に関する法令等も整備し、安全で安心な商品をタイ国 ばかりでなく世界に提供しています。又、「美味しい食品」を目指して昆虫を使った数々の商品を開発・提供し ています。 弊社 BRICKET 社は2021年4月にアジア初のバーガ ー・レストランをオープンしました。このレストランで はバーガーだけでなく、コオロギを使用したパンも、調味料も、飲み物も提供しています。 バーガーのパティは先ず、新鮮なコオロギを茹で、脚, 羽、触手を丁寧に取り除き、細かく擦りおろしたうえで 厳選した牛肉と混ぜ合わせて製造しています。ハンバー ガーには欠かせないパンにもコオロギのパウダーを使用し、開発しました。調味料にもコオロギパウダーを使用 しています。コオロギパウダーを混ぜることにより、従 来の調味料の「うま味」が増しました。大きな驚きでした。 弊社は最近、新しいプロジェクトをスタートしました。 従来の“バウンスバーガー”から“BOUNCE to the Taste of Thailand’s Cricket”に拡大しました。従来のバーガー だけでなく、コオロギを使ったあらゆる食品を一堂にご 提供することにしました。フラッペ、クロッフル、タイ の伝統的なミニライスクラッカー、クリスピーアーモン ドトゥイル等々。又、コオロギばかりでなくタイ国で生 産されるサゴワーム、エリサン等各種昆虫ベースの食品 も一堂に集めてお客様に提供しています。勿論、すべて 安全、安心な食品です。「オール・イン・ワンプレイス」 を目指しています。 お客様個々のご関心に応え、常に私どもは新しい昆虫 食品の開発・提供を心掛けています。昆虫食の美味しさ を、そしてその将来性、可能性を信じ、タイ国全土に、 そして世界中の皆様に弊社の食品を提供するという大き な夢に向かって!! ( タナプーン/RICKET 社マネージング・ディレクター) 「TAKEO」と「ニチレイ」で 昆虫のいちばんおいしい瞬間を食卓へ 2022 年 7 月、TAKEO㈱は㈱ニチレイと資本提携にいたりました。TAKEO は昆虫食専門企業として、昆虫が野菜、魚、肉などと同じような食として楽しまれるより豊かな食卓の実現に向けて様々な事業に取り組んできました。今回の提携を通じてニチレイが持つ食品開発力を活用し、昆虫食品の開発、製造、販売を強化していきます。 昆虫の「いちばんおいしい瞬間」は、きっと採れたてのフレッシュな状態です。TAKEO が築いたお客様との信頼関係とニチレイの冷凍食品技術が組み合わせれば、近い将来、昆虫の「いちばんおいしい瞬間」を届けることができるようにはずです。今後のTAKEO にご期待ください。(ニチレイのプレスリリースはこちら) (三橋亮太/TAKEO 株式会社) TV ではこの時期になると、カブトムシやクワガタなどを取り上げた番組が数多く放映されます。日本では当たり前になっている、昆虫を採集して飼育する文化は世界でも稀なことの様です。日本には昔から昆虫と共に生活 をしてきた文化が根付いているのでしょうね。 ニュースレターは、NPO法人昆虫食普及ネットワークの公式HPで配信中です。
タイ産コオロギの魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.3】
2022.08.05

昆虫食王国タイにおける 昆虫食の魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.2】

トロピカルフルーツや鶏肉の産地として名高いタイですが、実は昆虫食王国の一面も併せ持っています。高温多湿の気候が昆虫資源の宝庫を生み出し、追求された美味しさや栄養価の高さによって、昆虫食は身近な食材として地位を確立させています。 昆虫食を伝統食文化として親しみをもつタイは、早い時期から産業化へと舵を切り、産官学で研究開発を重ねて、国際基準に準拠する生産レベルを高めることに成功しました。かつては屋台で見かけることが多かったですが、現在では、多様な昆虫食の商品がスーパーやコンビニの店頭に並ぶ光景は決して珍しくありません。 タイ農業・協同組合省は昆虫食を推進するために、2017 年にコオロギ養殖場の生産工程管 理 (GAP) TAS8202(G)-2017 を制定しました。近い将来、他の昆虫食の規格も公表する予定です。また、「世界の昆虫食ハブ」という目標を設定し、チェンマイ大学、 メジョー大学、コンケン大学、カセサート大学に昆虫食分野を特化した農業イノベーションセンターを設立して、 昆虫産業をさらに盛り上げようとしています。現在では、 昆虫養殖農家が全国に約2万戸にも上り、昆虫食の生産と輸出が目覚ましい成長を遂げています。一方、民間企業でも「タイ昆虫産業協会」を年内に立ち上げるために最終調整に入っています。豊かな資源、蓄積されたノウハウ、そして、連携の取れたステークホルダーを強みにもち、タイ昆虫食産業が今後更に加速化することに違いありません。  (サコン・ワナセッティー/タイ大使館農務担当官事務所)   「セミ会」【今月のトピック】  当NPO理事長の内山昭一が始めた「セミ会」は昆虫食界の夏の風物詩となって各地に拡がっています。現代では難しい「自分で狩って。料理して、食べる」、この当たり前を体験できる魅力がセミ会にはあります。しかし、それに勝る魅力はセミが美味しいという事実です。どんな味と聞かれますが、説明は難しいので是非ご自分の舌で体験していただきたいと私は思います。勇気をもって参加した時、アリストテレスが「きわめて甘美なり」と 表現したセミの味、あなたならどう感じるでしょう?心 に残る夏の体験になること間違いないです。  (増田隆紀/NPO法人昆虫食普及ネットワーク副理事長)   どんな味?香りも楽しむ昆虫メニュー【おススメの一皿 】   5 月14 日、米とサーカス高田馬場店にて皆さんと昆虫料理を。この日は夏野菜と昆虫をテーマにレシピを考案。 タガメの香りを楽しむキャロットラペ、ジャイミル入り のペペロンチーノ、オオスズメバチの洋風じゃが、そし て試作メニューの山梨名物ほうとう(ミックス昆虫入り)でお腹いっぱい! 毎回違うメニューで参加スタッフ一同も楽しみにしています。コロナ禍が落ち着いたら、一緒に調理に参加してもらえる形で開催できるといいですね。  (阿南)   ニュースレターは、NPO法人昆虫食普及ネットワークの公式HPで配信中です。
昆虫食王国タイにおける 昆虫食の魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.2】
2022.07.06

伝統から革新へと脱皮する昆虫食【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.1】

哺乳類の祖先ラオレステスから始まり、猿人、原人、旧人、新人と進化するなかで、人類は 400 万年の間身近で採集しやすい昆虫を日々の糧としてきました。日本でも 1919(大正8)年の調査で 55 種類もの昆虫が食べられていましたが、その後の食の西欧化で一部地域を除き昆虫は食べ物とみなされなくなってしまいました。世界は急速な人口増加と工業化による環境悪化が顕在化し、気候変動対応や生物多様性保全などの「環境」「持続性」が農業政策の最重要項目になってきています。 FAO が 2013 年に出した昆虫食を推奨するレポート『食用昆虫:食料と飼料の安全保障に向けた将来の展望』はこうした背景から生まれたものでした。世界的な趨勢を受けて農林水産省は 2020 年、完全資源循環型の食料供給と高い QOL の実現に向けて「フードテック官民協議会」を設立。そのなかに作業部会「昆虫ビジネス研究開発 WT」が設置されました。 哺乳類誕生とともに食べられてきた伝統食の昆虫が、新たな革新的な価値を付与された食材に脱皮しようとしています。受容傾向(食物新奇性嗜好)の高い消費者への働きかけ、そのための喫食機会の拡大や新たなメニュー開発が急務です。このたび発刊に至ったニュースレターが、昆虫の社会受容性を推進する情報発信ツールとなることを切に願っています。 (内山昭一/NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長)   夏はセミがおすすめ!【7月のトピック】 夏、昆虫食好きの私たちにとって待ち焦がれた狩りのシーズンです。今夏ぜひ狩って、食してもらいたいのは「セミ」。狩って楽しく、食べておいしい食材です。成虫を明るいうちに網で、日没後に羽化のために地面から出てくる幼虫を手で捕らえます。ミンミン、アブラ、ニイニイ、クマゼミ、外来種タケオオツクツク等のセミ種、幼虫と成虫、性別によって味、食感がかなり違いますので食べ比べの楽しみもあります。セミ食に興味が動いたなら、セミ会や昆虫食を楽しむ会等イベント参加をお勧めしたい。そこで得た新しい経験が今もなお私にとって昆虫食の最大の魅力だからです。 (増田隆紀/NPO法人昆虫食普及ネットワーク副理事長)   スズメバチ幼虫・蛹とピーマン、松の実の炒め物【7月の一皿】 スズメバチ幼虫と蛹は 巣から抜いて湯通しし、幼 虫は糞抜きしておく  細切りピーマン、乾燥松 の実、スズメバチをサラダ オイルで炒め、麺つゆで味 付け、最後に擦りごまを振 りかける 食材メモ: スズメバチ幼虫 は丁寧に糞抜きすると臭み も少なく、あっさりした甘味と旨味があります。野菜と炒め物や煮物にするなど何の料理にも使いやすい食材です。成虫の形になっているものは、オオスズメバチの場合は殻が硬く炒める程度では口当たりが悪いので別な料理に使いますが、コガタスズメバチ等では幼虫や蛹と一緒に料理してもまた違った 食感が楽しめます。  (樋口素子)     ニュースレターは、NPO法人昆虫食普及ネットワークの公式HPで配信中です。  
伝統から革新へと脱皮する昆虫食【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.1】

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NEW 2022.12.05

【令和4年12月5日】新着情報(厚生労働省・農林水産省・消費者庁)

厚生労働省 ベトナム産青とうがらしのプロピコナゾールの命令検査が解除されました。(令和4年11月29日) SARL BIOMOMO HASHIMOTOの製造したアーモンド及びごまの種子を含むフランス産食品、並びにUAB SILAVOTO B&Bの製造したピスタチオナッツを含むリトアニア産食品のアフラトキシン命令検査が発令されました。(令和4年11月29日) ベトナム産カエルのエンロフロキサシン及びフラゾリドンの命令検査が発令されました。(令和4年12月1日) IBERICOS TORREON SALAMANCA, S.L. 及びJAMONES EL CHARRO, S.Aの製造したスペイン産非加熱食肉製品は、輸入の都度リステリア・モノサイトゲネスの自主検査が指導されます。(令和4年11月30日) 原子力災害対策特別措置法第20条第2項の規定に基づく食品の出荷制限が解除されました。(令和4年11月25日) ・群馬県の吾妻川のうち岩島橋から東京電力株式会社佐久発電所吾妻川取水施設までの区間(支流を含 む。)において採捕されたイワナ及びヤマメ(養殖により生産されたものを除く。) 輸入時における輸入食品違反事例速報が公表されました。 ・令和4年11月分(令和4年12月2日) 農林水産省 「安全性審査の結果、組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査の手続第3条第5項の規定を適用した品目一覧(セルフクローニング、ナチュラルオカレンス、高度精製品)」、「安全性審査継続中の遺伝子組換え食品及び添加物一覧」(令和4年11月9日現在) が更新されました。(令和4年11月28日) 消費者庁 「機能性表示食品制度届出データベース 届出情報」が更新されました。(令和4年12月2日)   (提供:一般財団法人食品環境検査協会)
【令和4年12月5日】新着情報(厚生労働省・農林水産省・消費者庁)
NEW 2022.12.01

植物性ミルクが選ばれる理由とは?おすすめを原材料別に紹介

地球環境や自身の健康を考えて、プラントベースの食事を選ぶ人が増えてきました。こうした状況において、さまざまなニーズに対応する植物性ミルクが登場しています。そこで、この記事では植物性ミルクの特徴について解説すると共に、豆乳やアーモンドミルクなど植物性ミルクの事例を紹介します。 この記事を読むことで、植物性ミルクを選ぶメリットに加えて、植物性ミルクの具体的な選択肢を把握することができます。 植物性ミルクとは 植物性ミルクは、その名前の通り、植物由来の原料で作られたミルクです。スーパーやコーヒーショップでは植物性ミルクを見かける機会が増えましたが、なぜこれほどまでに人気を集めているのでしょうか。ここでは、植物性ミルクの特徴とおすすめしたい人のタイプについて解説します。 植物性ミルクの特徴 別名「プラントベースミルク」 植物性ミルクは、別名「プラントベースミルク」と呼ばれます。豆やナッツ、穀物などの植物を主原料にして作られたミルクのこと。基本的な作り方は、食材を粉砕した後、水で成分を抽出するという方法です。 日本で古くから親しまれている豆乳は大豆から作られていて、植物性ミルクに含まれます。豆乳は「第二のミルク」として利用されてきましたが、近年ではアーモンドミルクやオーツミルク、ココナッツミルクなどさまざまな種類の植物性ミルクが出回るようになりました。 低カロリーで高栄養 植物性ミルクのカロリーや栄養価は種類によって異なるものの、牛乳と比べてカロリーが低く高栄養のものが多いです。植物性の原料から作られているためコレステロールは含まれていません。原材料によっては、抗酸化作用や便秘予防の効果が期待できるものもあります。 ただし、植物性ミルクの中には砂糖などの甘味料や添加物を多く含むものがあります。メーカーによって異なるので、カロリーや栄養が気になる場合は、表示をよく確認するようにしてください。 環境への負荷が少ない 一般的に、牛乳を生産・製造する過程で多くの資源が使われます。例えば、乳牛を飼育するためには広大な土地や大量の水が必要です。それに対して、植物性ミルクの場合、環境にかかる負荷が比較的少なく、温室効果ガスの発生量は牛乳の3分の1程度と言われています。 最近は、牛乳を飲める人であっても「環境への負荷が少ない」「動物を搾取したくない」という理由で、植物性ミルクを選ぶケースも増えています。 こんな人にオススメ 牛乳アレルギーや乳糖不耐症の方でも飲むことができる 植物性ミルクは、牛乳アレルギーや乳糖不耐症の人でも飲むことができます。乳糖不耐症とは牛乳に含まれる糖質「乳糖」を分解する酵素の働きが低下しているために、乳糖を消化吸収できず下痢や体調不良が起きる疾患のことです。古くから乳製品を食べてきた欧米人に比べて日本人はその割合が高く、「3人に2人が乳糖不耐症である」と言われています。 植物性ミルク5種類を種類別に解説 植物性ミルクには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的な植物性ミルクとして、豆乳とアーモンドミルク、オーツミルク、ココナッツミルク、ポテトミルクの5種類について解説します。 豆乳 豆乳は、大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて加熱した液体をこして作られます。豆乳は牛乳に匹敵するほどタンパク質が多く、食物繊維や鉄分、ビタミン、イソフラボンも豊富に含まれています。カルシウムの含有量は少ないものの、牛乳よりも脂肪分が少なく低カロリーです。コップ一杯あたり(200ml)のカロリーは、牛乳が約122kcalであるのに対して、豆乳は88kcalです。 豆乳の中には砂糖や油脂、保存料が入った「調整豆乳」もあります。カロリーや栄養価を気にする場合は、大豆と水だけで作られた「無調整豆乳」を選ぶようにするのがおすすめです。一般的に牛乳の賞味期限は数日程度ですが、豆乳は未開封の状態であれば常温で3ヶ月程度保存できます。 アーモンドミルク   アーモンドミルクは、水に浸したアーモンドを潰してペースト状にした後、こして作ることが多いです。さらりとした口当たりで、アーモンド特有の香ばしさが特徴です。 アーモンドミルクには、ビタミンEを始めとするビタミン類やミネラル、オレイン酸、ポリフェノール、食物繊維を豊富に含有していて、高い抗酸化作用が期待されています。砂糖不使用のアーモンドミルクの場合、コップ一杯あたり(200ml)のカロリーは約39kcalで、牛乳の三分の一程度のカロリーです。未開封の状態であれば、常温で9ヶ月程度保存できます。 オーツミルク オーツミルクは、オートミールやグラノーラにも利用されている「オーツ麦」から作られます。別名「オートミルク」「オーツ麦ミルク」と呼ばれることもあり、優しい風味とクリーミーな味わいがあります。植物由来の食物繊維や不飽和脂肪酸を豊富に含有しているため、整腸作用や悪玉コレステロールの低下が期待されています。 オーツミルクは温かい飲み物に加えても分離しにくく、コーヒーとの相性が良いのが特徴で、大手コーヒーチェーン店では「オーツミルクラテ」として提供されています。植物性ミルクの中では糖質とカロリーが高めであるものの、濃厚な味わいが楽しめます。 ココナッツミルク ココナッツミルクは、熟したココナッツから白い胚乳を取り出し、水を加えて混ぜたものをこして作られます。濃厚な風味と甘さがあり、ベトナムやタイなどアジアの料理によく使われています。ココナッツミルクには、カリウムやマグネシウム、銅、鉄が多く含まれています。 ココナッツには「中鎖脂肪酸」が多く含まれていて、消化・吸収・分解しやすく、エネルギーになりやすいのが特徴です。食欲抑制効果も期待できるため、スポーツをしている人にもおすすめです。 ポテトミルク ポテトミルクは、ジャガイモを主原料として作られます。ポテトミルクは、ジャガイモ特有の香ばしさがあり、クセが少なく、飲みやすいのが特徴です。カルシウムや食物繊維などの栄養が豊富に含まれているにもかかわらず、糖質や脂質が少なく低カロリーです。 2021年10月にイギリスの高級スーパーマーケットが「2022年にポテトミルクが人気になる」と予測し、一躍注目を集めました。注目される大きな理由は、環境にやさしいということ。ジャガイモは栽培しやすく、大豆やアーモンド、オーツなどの他の植物性ミルクの原料と比較して、約2倍も効率よく土地が利用できるとされています。 まだある!植物性ミルク10種類 植物性ミルクの市場は世界規模で拡大していて、2020年の226億ドルから、2026年には406億ドルまで成長すると予測されています。ここでは、日本では販売されていないものも含めて、世界で出回っている植物性ミルク10種類について紹介します。 名称 特徴 ライスミルク 白米や玄米から作られている。自然な甘味とあっさりとした飲み口で、欧米で人気がある。 ヘンプミルク 植物性ミルクの中でも栄養が豊富で、欧米では別名「ミラクルドリンク」とも呼ばれている。すっきりとした風味で飲みやすい。 カシューナッツミルク ナッツ類の中でも脂質の含有量が少なく、低カロリー。口当たりが牛乳によく似ているため、アメリカでは次世代ミルクとして注目されている。 マカダミアミルク ナッツ特有の苦みやクセは少なく、クリーミーで甘味がある。良質な脂質のほか、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれている。 くるみミルク さらりとした口当たりでほのかな甘味がある。くるみには、ナッツ類の中でもオメガ3脂肪酸が多く含まれている。 ピーナッツミルク すっきりとした味わいと香ばしさがあり、アーモンドミルクにも似ている。ピーナッツはアレルギーの出やすい食材であるため、注意が必要である。 ピスタチオミルク ピスタチオ特有の濃厚なナッツの風味が楽しめる。油脂が多く含まれているためカロリーは高めだが、美容と健康に欠かせない栄養素が豊富に含まれている。 ピーミルク(えんどう豆ミルク) えんどう豆のタンパク質から作られている。クセが少なく牛乳によく似た口当たりで、コーヒーとの相性も良く、ラテメニューとしても利用されている。 フラックスミルク(亜麻仁ミルク) 亜麻仁という小さな種子から作られている。香ばしさとやさしい甘味があり、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれている。他の植物性ミルクと比べてカロリーが低い。 キヌアミルク 栄養価が高いことで知られる穀物・キヌアから作られている。クセのない味わいで飲みやすい。消化しやすいことから、離乳食など子どもの食事にも使われている。   まとめ 今回は、植物性ミルクの特徴と具体的な事例について紹介しました。プラントベースの市場拡大や美と健康への意識の高まりから、植物性ミルクの種類は今後も増えていくと予想されます。実際に、大手コーヒーチェーン店をはじめ食品業界では、植物性ミルクを使った商品開発が進んでいます。植物性ミルクの特性を把握し、顧客のニーズに合った植物性ミルクを上手に活用することで、他社との差別化にもつながりそうです。
植物性ミルクが選ばれる理由とは?おすすめを原材料別に紹介
NEW 2022.11.30

規格外野菜を売る「闇市」とは。社会を動かした仏スーパーの好事例

規格外野菜の活用方法について、世界中でさまざまな取り組みが行われています。ヨーロッパ最大手のスーパー「カルフール」は、規格外野菜が欧州で「違法」に当たることを逆手にとって、これらの野菜を販売する「ブラックマーケット(闇市)」を開催して注目を集めました。スーパーが社会を動かした好事例を紹介します。 97%の野菜が規格外、厳格な基準の欧州 規格外野菜とは、傷があったり曲がっていたりして、大きさや形、色、品質が規格に適合しない野菜のことです。生産される過程で一定数発生し、そうした野菜の多くは廃棄されているという現実があります。 農作物の規格は、日本だけなく他の国にも存在します。ヨーロッパの厳格な規格「GAP(Good Agricultural Practice)」では、生産された97%の青果が違法扱いとなっていて、深刻なフードロスが生じている現実がありました。 こうした現状を改善しようと、2017年9月、パリ近郊に本社を置きヨーロッパ各地に進出している大手スーパーマーケット「カルフール」は、規格外野菜を販売するブラックマーケット(闇市)を開催すると発表しました。 スーパーのキャンペーンで議会が動いた カルフールが仕掛けたブラックマーケットでは、過激とも思われるプロモーションが注目を集めました。白を基調としたスーパーの一角が黒一色に変わり、黒い棚に当時「違法」とされていた品種の青果やシリアルが陳列。どれも通常のスーパーでは見かけることの少ない、ふぞろいながらおいしそうな食材ばかり。このほか、農家が採取した600種類の伝統的な品種の種や、笑みを浮かべる農家の人たちのポスターが展示されました。 ブラックマーケットの店員は、スーパーの利用者にこれらの食材の試食を促し、そのおいしさだけでなく、伝統的な農業を守る意味を説明しました。この試みは数多くのテレビやラジオ、新聞で取り上げられ、大きな話題を呼びました。 併せて、法律改正呼び掛ける署名活動を行ったところ、短期間で8万5千人以上の署名が集まりました。こうした一連の動きによって、EUの法律改正に至りました。 大手スーパーの大規模なキャンペーンによって農家とスーパー、消費者のつながりができ、多くの人たちの情熱が議会を動かしました。規格外野菜の活用という視点だけでなく、さまざまな主体が共感・協力し合うことで大きな成果に結びつくことを示したという意味でも、注目すべき事例と言えそうです。
規格外野菜を売る「闇市」とは。社会を動かした仏スーパーの好事例
NEW 2022.11.29

ペスカタリアン(ペスカトリアン)とは?ベジタリアンとの食生活の違いやメリット・デメリットを紹介

自身の健康や地球環境のことを考えて、暮らしや食のスタイルを見直す人が増えています。こうした中、ベジタリアンやヴィーガンとは異なる「ペスカタリアン(ペスカトリアン)」と呼ばれる人々が数を増やしています。実践するハードルが比較的低く、健康にも良いことなどから、一つの有力な選択肢になcるのではと、巷で話題になっています。そこでこの記事では、ペスカタリアンとはどのような人たちのことを指すのかを説明し、ペスカタリアンを選択するメリット・デメリット、そしてペスカタリアンの実際の食生活について解説します。 ペスカタリアン(ペスカトリアン)とは ペスカタリアンは、魚介類は食べるものの、肉類は食べない、菜食主義者を意味しています。肉類は一切食べないベジタリアンやヴィーガンと比べると、食べられる食材が多いため、実践するハードルが低いです。肉の代わりに魚を積極的に食べることによって、健康面でのメリットも期待されています。 ペスカタリアンの名前の由来 ペスカタリアンの正式名称は、ペスコ・ベジタリアンです。イタリア語で魚という意味がある「ペスカ」と、主義者の意味を持つ「タリアン」を組み合わせた言葉で、別名「ペスカトリアン」「ペスクタリアン」と呼ばれることもあります。 ペスカタリアンはベジタリアン、ヴィーガンとこう違う ペスカタリアンは菜食主義に該当しますが、お肉以外は何でも食べることができます。牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品に加えて、卵も食べられます。 ベジタリアンとヴィーガンとの違いを表にまとめました。 カテゴリー 肉 魚 牛乳 卵 ペスカタリアン × 〇 〇 〇 ベジタリアン × × 〇 〇 ヴィーガン × × × × ベジタリアンの基本は「殺生により得られた食品を摂取しない」こと。肉や魚介類は食べないものの、乳製品や卵は食べるという人が多いです。ちなみに、乳製品は食べるが卵は食べないベジタリアンは「ラクトベジタリアン」、卵は食べるが乳製品は食べないベジタリアンは「オボベジタリアン」と呼ばれていて、さらに細かく分類されることもあります。 ヴィーガンは「暮らし全般において動物の搾取をできるだけ避ける人」を意味しています。食生活だけでなく、衣類や日用品を選ぶ際にも動物由来のものを避けるのが基本です。乳製品や卵を食べないだけでなく、はちみつも控えることがあります。 ペスカタリアンの食生活とは ペスカタリアンの食生活の主な特徴として、「魚介類は食べられる」「哺乳類と鳥類は食べない」という2つが挙げられます。ここでは、それぞれの特徴について確認しましょう。 魚介類は食べられる ペスカタリアンには、食べられる魚介類の制限はありません。たとえば、マグロやサーモンなどの魚類だけでなく、エビなどの甲殻類やアサリなどの貝類なども食べることができます。もちろん、煮干しやカツオから取った出汁も飲食可能です。 哺乳類と鳥類は食べない 肉類と一口に言ってもさまざまな種類がありますが、ペスカタリアンは、哺乳類と鳥類は食べることができません。豚肉や牛肉はわかりやすいNG食品例ですが、哺乳類に属するクジラや、鶏ガラスープや豚骨スープなど動物由来の原料で作られた食品も食べないとされています。 ペスカタリアンのメリット・デメリット メリット ベジタリアンやヴィーガンより始めやすい 食べられる食材についての制約が多いベジタリアンやヴィーガンに対して、ペスカタリアンが食べられる食材はたくさんあります。肉以外は何でも食べられるので、ベジタリアンやヴィーガンよりも始めやすいことが利点です。ベジタリアンやヴィーガンになるための、はじめの一歩としてペスカタリアンを選ぶ人も少なくありません。 体に必要な栄養素が豊富に含まれている 動物性食品を避けた食生活を続けていると、タンパク質やビタミンB12、亜鉛、カルシウムなどの体にとって必要な栄養素が不足しやすくなります。それに対して、ペスカタリアンの場合は魚介類を食べることができるため、必要な栄養素が不足しにくいのが特徴です。 また、青魚に含まれるオメガ3脂肪酸には、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防効果が期待されています。 島国・日本では最適な選択肢 海に囲まれた日本では、昔から人々は魚介類を食べて暮らしてきました。ペスカタリアンは魚介類を自由に食べられるので、島国の日本において最適な選択肢と言えるでしょう。ベジタリアンやヴィーガンに比べて、旅行や外食の際にメニュー選びで困ることも少ないです。 デメリット 不足しがちな栄養素に要注意 注意すべきは特定の栄養素が不足してしまうことです。でタンパク質や脂質、鉄が不足して、体調不良が起こりやすくなったり、カロリー不足のため体重が落ちたりするケースが想定されます。タンパク質は魚介類や卵、豆類、脂質は油の多い魚にたくさん含まれています。また、カツオやマグロなど赤身の魚は、鉄を多く含有しています。ペスカタリアンの食事法を実践する場合には、不足しやすい栄養素を意識的に摂取することが大切です。 魚介類への過度な偏りは環境破壊を招く恐れ 食肉を製造する過程では、牧場づくりのための森林伐採をはじめ、飼料や肥料の生産・搬送などにより、大量の温室効果ガスが発生します。ペスカタリアンを選択することにより、こうした環境負荷を減らすことができる一方で、魚介類への偏りから生じる海洋資源の不足をより深刻化させてしまう恐れもあります。 そのひとつが、乱獲による漁業資源の枯渇です。国連食糧農業機関(FAO)は、人間による魚介類の大量消費により、漁業が枯渇しているという報告を出しています。また、近年では養殖業による環境破壊が問題になっていて、養殖場で使われる防カビ材や抗生物質などの薬品による周辺の環境汚染も深刻です。日本のスーパーでも少しずつ、MSC(海洋管理協議会)の認証を受けた、より環境負荷の少ない商品の取り扱いが増えています。ペスカタリアンを選ぶからには、こうした動きにより一層注意を払う必要があります。 まとめ 魚を食べる菜食主義者である、ペスカタリアン。島国・日本では有力な選択肢であり、「実践しやすい」「必要な栄養素を摂取できる」というメリットがあります。一方で、やり方を誤ると栄養不足になったり、環境破壊を招く恐れもあります。食生活を見直すきっかけは人それぞれですが、環境への配慮としてペスカタリアンを選ぶ人も少なくありません。自身の健康と地球環境の両方改善していくことを目指して、食への意識を高めることが必要です。
ペスカタリアン(ペスカトリアン)とは?ベジタリアンとの食生活の違いやメリット・デメリットを紹介
NEW 2022.11.24

知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?

地球の人口増加や環境問題により、食肉などのタンパク質が不足するのが「タンパク質危機」です。私たちの食卓に影響するかもしれない世界規模での課題であるにもかかわらず、一般にはそれほど広く認知されていません。こちらの記事では、タンパク質危機とはどのような問題かを解説すると共に、タンパク質危機を避けるための4つの選択肢について説明します。タンパク質危機という問題が生じている理由から取りうる対応策までを紹介し、プラントベースフードなどがにわかに注目を浴びている背景をお伝えしていきます。 タンパク質危機(タンパク質クライシス)とは タンパク質危機は、世界人口の急速な増加に由来する問題です。まずはその背景的な事情からみていきましょう。 少子化真っ只中の日本。でも世界の人口は? 日本では、出生率の低下に伴い若年層の人口が減少する「少子化」が急速に進んでいます。そのためあまり実感がわきませんが、一方で世界の人口は増え続けている状況です。国連の調査によれば、世界の人口は現在約80億人であるところ、2030年には約85億人、2050年には約98億人、2100年には約112億人になると推定されています。 2030年までにタンパク源が足りなくなる恐れ 世界規模での人口増加に伴って、近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足すると予測されています。この予測は「タンパク質危機」と呼ばれていて、欧米諸国を中心に話題になっています。現状のままだと早ければ2025年から2030年ごろまでに需要と供給のバランスが崩れ始めると言われています。 人間の身体を構成するのは、水分が約60%、タンパク質が約15~20%とされています。つまり、タンパク質は水分を除いて体の重量の約半分を構成する、生きていく上で大切な栄養素です。欧米では「プロテインチャレンジ2040」と題したコンソーシアムが立ち上がり、その中から複数のプロジェクトが始動しています。タンパク質危機をどう乗り越えていくのかは、人類が生きていく上で極めて重要な課題です。 タンパク質危機を避けるための4つの選択肢 タンパク質危機を回避するために、世界中でさまざまな検討が行われています。ここでは、その中から代替肉と培養肉、昆虫食、藻類という4つの選択肢について解説します。 代替肉 代替肉とは、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「肉のような食材」のことです。欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされていて、別名「プラントベースミート」と呼ばれることもあります。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも大豆ミートを使ったメニューが登場し、話題になっています。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場するなど、さまざまな研究・開発が進められています。 培養肉 培養肉は、牛などの動物から取った少量の細胞を、再生医療の技術により体外で増やして作られます。プラントベースの代替肉とは異なり「本物の肉を使った代用品」です。従来の食肉の生産方法と比べて、飼育・繁殖する過程における動物へのストレスや環境への負荷が少ないとされています。こうした特徴から、別名「クリーンミート」と呼ばれることもあります。 培養肉は、2013年にオランダの研究者が培養ミンチ肉を作ったのがその始まりです。日本でも培養肉の研究が進められていて、2019年には世界で初めてサイコロステーキ状の培養肉を作ることに成功しました。大きな肉を作るための技術の開発など乗り越えなくてはならないハードルが多いものの、持続可能な食材という意味で期待が寄せられています。 昆虫食 昆虫食とは、コオロギなどの昆虫を原料にした食品のことです。大豆ミートなどのプラントベースフードは植物性のタンパク質しか得られないのに対して、昆虫食の場合、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができます、また、昆虫食は飼育・加工に必要なスペースや資源が最小限で済み、環境負荷が低いというメリットもあります。 日本にも貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫食には食品の安全性や見た目への抵抗感といった課題があるものの、環境負荷の少ないサステナブルな食材として注目を集めています。 藻類 細胞分裂をして増殖する藻類はタンパク質含有量が50~75%であり、新たなタンパク質源としての可能性を持っています。藻類は良質なタンパク質だけでなく、炭水化物や脂質、ビタミン、ミネラルなども豊富に含まれています。現在市場に流通しているのはタンパク質が豊富に含まれるクロレラやスピルリナで、藻類をそのまま乾燥させて粉末状にしたものが主流です。 藻類は栄養価が豊富であるものの、藻類を乾燥した粉末は独特の匂いがあることや、藻類バイオマスの生産コストが肉や大豆に比べて価格が高いことなどから、タンパク質源としてはこれまで積極的に利用されていませんでした。しかし、近い将来に訪れるとされるタンパク質危機を前に、藻類の利活用が見直され始めています。 まとめ 世界の人口増加に伴って、近い将来訪れると言われているタンパク質危機。この記事では、タンパク質危機を回避するために私たちが取りうる選択肢として、代替肉、培養肉、昆虫食、藻類の4つを紹介しました。食品としての安全性や抵抗感、生産コストなど、それぞれに乗り越えるべき障壁はありますが、タンパク質危機を避けるために、世界中でさまざまな研究・開発が行われています。これまでの常識にとらわれない、新しい食の選択肢が求められていると言えそうです。
知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?