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“ 食品ハラルビジネス進化論 ”

NEW 2022.07.29

ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.4】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。今年は暑い日が続いた後で雨の日が続いたりと、梅雨明けと梅雨時期がテレコになったような「異常気象」ですが、その異常が通常になることがとても怖いです。コロナ禍も含め、新しい課題の原料高、資源高、さらには燃料高などがありますが、人間の叡智で何とか乗り越えていきたいものです。 今回は「ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス」を解説していきます。ハラルビジネスに取り組むには大きく2通りの方法があります。一つはハラル(ハラール)認証を取得して対応する方法、もう一つはイスラム教やハラルなどをきちんと学び、原材料成分や扱い方で対応する方法です。今回はこのことについて具体的にお話していきます。 ハラル認証取得は「パスポート」⁈ ハラル認証が必要なハラルビジネスは、多くの原材料メーカー様が直面している、現在進行形の課題です。イスラム諸国のバイヤー等にハラル認証取得を要求され、指定のハラル認証を取得して、輸出します。日本では原材料メーカーのハラル認証取得はここからスタートしたといっても過言ではありません。 最近は高い経済成長の東南アジアのイスラム市場で、マレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンからもハラル認証原材料の引き合いが多いと思います。今後もこの傾向は続き、ハラル認証を取得しての輸出も増えますが、現地製造のために海外進出する企業も並行して増えていくと見ています。輸出するものか?現地で製造するものか?の種分けの時代に入ったと考えられます。 エビデンスハラル(成分ハラル)の有効性 ハラル認証がいらないハラルビジネスでは、ハラル認証を取得してはいないが、「原材料はハラルですよ」「作っている工場やラインはこんな状況ですよ」ということをバイヤーと確認しながら輸出を進める、いわゆる「エビデンスハラル(成分ハラル)」という手法があります。 海外へ輸出するには、原材料を輸出したい国の「輸出可否」をそれぞれ確認する必要があります。原材料の詳細スペックを確認する必要があるので、事前に社内の研修やセミナーでイスラム教ないしはハラルの基本を学習しておけば、プラスアルファで「エビデンスハラル(成分ハラル)」を確認することができます。その情報を商談でバイヤーに伝えることで、ハラル認証は取得していないが、実質ハラル原料だから使用可能だったり、マレーシアやインドネシアなどで製造するハラル認証食品の原料として扱われたりします。 インバウンド対応はソフトに 国内のインバウンド対応に目を向けると、これからはアフターコロナ時代に入ります。日本に働きに来る外国人、学びに来る外国人、そして遊びに来る外国人はこれからもどんどん増えます。しかし、日本は非イスラム教の国ですから、本格的なイスラム教対応は難しく、国内で展開される手法の多くは、ハラル認証に頼らないマーケティングになると考えられます。ただし、素材や物にもよります。畜肉そのもの、または畜肉由来、油脂及び油脂由来などの原材料には、日本国内であってもハラル認証取得が有効な場合がありますので、対応を準備しておくといいと思います。国内は基本的な対応を学べば、ハラル認証に頼らない方法で問題ないと考えています。 次回は原材料の「ハラル認証が有効な国、そうでない国」について解説したいと考えます。8月の第4金曜日を楽しみにしていてください。また、夏バテや熱中症にも留意ください。引き続き、よろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)
ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.4】
2022.06.24

ハラル認証取得の基本を学ぶ【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.3】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。6月中旬、マレーシア、シンガポールに2年ぶりに出張に行きました。現地で見て聞いて、食品原材料のハラル(ハラール)ビジネスはますます盛んになると確信を持ちました。3回目となるこちらの回では、本丸のハラル認証について解説します。 国際認証のハラル認証に世界統一基準がない!? ハラル認証は「国際認証のひとつ」ですが、世界統一基準がありません。世界中に350以上のハラル認証団体(機関)が存在しています。国が運営する機関から、各種団体、株式会社、個人が運営する団体まで、さまざまです。この多くのハラル認証機関・団体等々の中から、自社の目的に合わせて選ぶ必要があることを、まずは念頭に置いてください。 特に日本はイスラム教徒の国ではないことから、ハラル認証団体は許認可団体ではありません。したがって輸出国、製品、目的により、話の前提となるハラル認証の有無から、取得すべきハラル認証も違うことを理解する必要があります。自社でハラル認証団体を選択することが最も大切な点です。 ハラル認証は、大きな部分ではイスラム教のハラルが原理原則ですが、多少の差異があります。具体的には、5つのカテゴリーを確認してハラル認証の発行がされています。1つ目は商品の選定で、最終製品であればネーミングなども関係することがあります。2つ目は原材料がハラルかどうか?です。入口の原材料がハラルでなければハラル認証は取得できません。3つ目は工場の確認で、製造工場の建屋、製造ラインの確認をします。ヴィーガン認証等は少し違い、現地で接触コンタミ(コンタミネーション:混入)がないか?の確認を行います。4つ目は原材料、中間製造物、最終製品の倉庫(置場)がハラル品とレギュラー品(一般品)とできちんと分けられているか?の確認もあります。5つ目はイスラム教徒の従業員等がいなくてもハラルチーム(他のFSSC、HACCPなど国際基準と同様)を作り、内部規定で管理することなどを満たしているか?これらのチェックを経て、ハラル認証の証明書やハラルロゴマークを発行しています。 東南アジアイスラム市場ではハラル認証が輸出パスポートに ハラル認証団体(機関)により難易度、料金、取得期間、対応言語、申請種類等が違います。ピンキリとは言いませんが、大きく違うことを理解しておくといいと思います。まずは初期費用、更新費用などを照会し、見積書をもらうこと、そして実際にハラル認証商品の効果測定ができる3年間のトータル金額をハラルビジネスの専門家に助言を受けるといいと考えます。最近は高経済成長の東南アジアイスラム市場で、マレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンからもハラル認証原材料の引き合いが多くなっています。 それぞれの国でハラル認証商品を作り、東南アジア域内や南西アジア、中東等に輸出していると考えられます。ハラル認証原材料が他の国際認証と同様、一般品に付与される、一種の輸出時のパスポート的な国際認証の一つになる勢いです。 次回の4回目は原材料の「ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス」を解説したいと考えます。7月第4金曜日を楽しみにしていてください。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)
ハラル認証取得の基本を学ぶ【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.3】
2022.05.27

食品原材料とハラルビジネスの親和性【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.2】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。5月20日まで3日間、食品原材料の展示商談会「ifia JAPAN 2022(アイフィア・ジャパン)第27回 国際食品素材/添加物展・会議」に協賛団体として出展していました。期間中、多くの事業者との新たな出会いに恵まれました。そこでシリーズ第2回の今回は、この折に改めて感じた原材料とハラル(ハラール)ビジネスの親和性についてお話していこうと思います。 原材料の「由来の担保」の現状 「日本の原材料」という、日本でしか作れないメイドインジャパンの原材料が、海外とりわけアジアで重宝されていることは十二分にご存じだと思います。海外生産の日本食品で、その味を再現するのに使われるフレーバーや添加物などはその代表です。東南アジア諸国や南西アジア等の経済発展により、そうした食品の自国流通が増えるようになると、イスラム教徒への対応、つまりハラル認証商品も必然的に多くなります。そこで、原材料の「ハラル性」も要求されます。 これまでは原材料の規格書とアンケートなどで「成分(エビデンス)ハラル」の原材料であれば、問題なく輸出ができていました。当協会も、自社で成分ハラルの推奨マークやエビデンスの証明書発行を行っています。現状は「由来の担保」はハラル認証でなくとも東南アジアのタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどに輸出できていますが、その流れが今後も続くかどうかは不透明です。 東南アジア諸国ではハラル認証商品が今後ますます増えることが予想されます。原材料にもハラル認証を要求されることを念頭に、今から準備を始めておくことをお勧めします。   日本の原材料はハラル認証がスタンダードに [caption id="attachment_1695" align="aligncenter" width="744"] ※こちらの画像はハラル認証やヴィーガン認証ではありません[/caption] 東南アジアで、食品のハラル認証商品は、増加の一途をたどっています。つまり、ハラル認証商品がスタンダード化している傾向があります。そのような国々に輸出をするには最低でもノーアニマル、ノーポーク/ノーアルコール、ノーアニマル/ノーアルコールの3種類のいずれかを示すことができると有効です。 しかしながら、この2、3年で特に顕著な傾向として、当協会に相談される原材料メーカー様のほぼすべてが買い手からハラル認証を要求されています。米、卵、きのこ、魚といった農林水産品にもハラル認証が付き始めた現状を考えると、加工度が高い物の原材料は当然ハラル認証を要求されると考えておくべきでしょう。 そのために準備しておくことが大きく3つあります。1つはハラル認証を取得したい製品は原材料の規格書ベースでそもそもハラルかどうか?2つ目はハラル認証は国際認証ですが、世界統一基準がなく自社で選ぶ必要があります。そのためどの国に輸出するのか、ターゲットを明確にしておくこと。そして3つ目は自社の工場がそもそもどこのハラル認証を取得できるかのか可能性を診断し、事前に対策を立てておくことです。これらの準備をしておけば怖いものはありません。 まずは自社の原材料を規格書ベースで確認してください。二次原料までの追跡、確認は現時点では必要ありません。ハラル認証機関(団体)によって指導が違うからです。次回は「ハラル認証取得の基本を学ぶ」についてもう少し詳しく解説したいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   前回の記事はこちら: https://reports.shareshima.com/1520/
食品原材料とハラルビジネスの親和性【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.2】
2022.04.29

ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.1】

はじめまして、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。今回ハラルビジネスで業務提携を結んでいるシェアシマの新メディア「シェアシマinfo」で連載することになりました、よろしくお願いします。 (一社)ハラル・ジャパン協会はハラルビジネスのコンサルティング会社で、ハラル(ハラール)認証団体ではありません。現在一般会員150社、情報会員24,000人(約8,500社)で主にイスラム教徒向け(東南アジア・南西アジア・中東等)市場の輸出・進出及び国内・インバウンド対応に特化したコンサルティングを行っています。ハラルビジネスは原材料メーカー様にとっても相性抜群の事業領域です。第1回目の今回は、ハラルという言葉が初めての事業者のための入門的な話として、「ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析」をテーマとしました。   ハラルを正しく理解する イスラム教のHALAL(ハラル)の基本がわかるとハラルビジネスのポイントがわかります。ハラルの意味は「やっていいこと」、つまり食べ物でいえば、「食べていいもの」を意味します。イスラム教も宗教なので、仏教同様に食の禁忌があるということです。ライフスタイル全般にやっていいことを意味しますが、口に入れるもの、肌に触れるもの、身に着けるものが広く対象になると覚えておくといいと思います。 代表的なものは動物(畜肉)由来のコントロールで、豚肉・由来のモノは使用できません。また牛・鶏・羊は食べられますが、イスラム教徒のルールに従った方法で屠畜(とちく)しなくてはなりません。特に油・ゼラチン類・ショートニング・乳化剤などの添加物にも注意が必要です。アルコールは考え方がいろいろありますが、基本は酔わせるアルコールが禁止と覚えてください。消毒用アルコール、工業用アルコールなどは個人差がありますが、問題ではありません。酔わせる可能性がある種類のアルコールが問題と考えてください。 その他の水の中、土の中から採れる食べ物そのものは基本ハラル(「やっていいこと」)ですので、野菜・果物・穀物及び水産品は基本問題ないと考えてください。日本にある食べ物及び由来原料はハラルが多いと思います。特に明治時代までの日本の食べ物は穀物中心とした仏教(精進)料理で基本的にはハラルですね? 結局ハラルは動物由来とアルコール由来のコントロールが大事であり、ノーアニマル、ノーポーク、ノーアルコールの組み合わせの原材料で成立します。原材料の由来がとても重要です。   イスラム教は未来あるマーケット イスラム教徒は世界に約19億人いる世界人口の1/4のマーケットです。砂漠や熱帯雨林だけで信仰されているのではありません。世界宗教の1つと覚えてください。そして人口が増えていて、若年層が多く、これから経済発展する国が多いことも特徴です。未来あるマーケットで今世紀末には世界人口の1/3になるという予測データもあります。日本は超少子高齢社会で、人口も胃袋の大きさも減少しますが、イスラム教徒の国の多くは人口も増え、胃袋も大きく増加します。 特に東南アジアのマレーシア・シンガポール・インドネシア、南西アジアのインド・バングラデシュ・パキスタンなど、また中東はUAE(アラブ首長国連邦、ドバイは首長国の一つ)・サウジアラビア・イラン・トルコ、中央アジア、アフリカ、EUや北アメリカにも多くのイスラム教徒(ムスリムと言います)が生活しています。 このマーケットは日本にとってはブルーオーシャンですが、海外は何年も前から取り組んで日本は地球1周半遅れのスタートです。次回は「原材料のハラルビジネス」についてもう少し詳しく解説したいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   つづきを読む: https://reports.shareshima.com/1693/
ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.1】

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NEW 2022.08.10

NYの公立学校でヴィーガン給食がスタート、気になるその背景とは

2022年2月、アメリカ・ニューヨーク市の公立学校では、肉や魚を使わない「ヴィーガンメニュー」の給食を提供する試みがスタート。この試みはどのような理由から始まり、現場ではどのような給食が提供されているのでしょうか。今回の記事では、ニューヨークにおけるヴィーガン給食の概要について紹介します。 ヴィーガン給食が食生活を見直すきっかけに ニューヨーク市の公立学校では、毎週金曜日にヴィーガン給食を提供する「ヴィーガンフライデー」が始まりました。アメリカでは約2割の子どもが肥満と言われていて、子どもの肥満は長年の課題になっています。特に、経済的に困窮する過程や、ヒスパニック系や黒人の子どもに肥満の割合が多いというデータもあります。 ヴィーガン給食には様々な効果が期待されていますが、そのひとつに「食生活を見直すきっかけをつくること」があります。今回の試みは、ニューヨークの新市長であるEric Adams氏が進めたものです。同氏には、ジャンクフードを止めてプラントベースの食事を実践することで、糖尿病を克服し自身の健康を取り戻したという経験があります。こうした経験に基づき「健康的な食事は生活の質を向上させる」「ヴィーガンの食事は環境保護にも役立つ」と語ります。 子どもたちにも好評のヴィーガンメニュー ニューヨーク市のヴィーガン給食では、どんなメニューが提供されているのでしょうか。ヴィーガンフライデー初日に提供されたのは、野菜を使ったタコスと、トルティーヤチップス(サルサソース付)、味付けされたブロッコリーなど。学生が事前に試食したメニューであり、好評だったのだとか。 同市の教育局によれば、金曜日以外の日であっても、ヴィーガンメニューを選ぶことができます。公立学校の生徒達はヴィーガン以外の料理を選択することもでき、牛乳やサンドイッチなどはいつも用意されているのだとか。ヴィーガンを強要し過ぎないように配慮しているのも、大きなポイントです。 以前から同市では、揚げ物をやめて生野菜や果物を提供するなどの、給食メニューの改善に取り組んできました。子ども達の食生活に大きな影響を与える、学校給食。健康的な食べ方を早い時期から身に着けておくことは、大人になってからの健康維持に大いに役立つかもしれません。
NYの公立学校でヴィーガン給食がスタート、気になるその背景とは
NEW 2022.08.09

えのき生産者が開発!新しい代替肉「エノキ―ト」って何?

さまざまな種類の代替肉が登場する中で、えのきたけ生産者が開発した「エノキ―ト」が話題です。今回は、エノキートの原材料や食べ方と共に、エノキートの魅力について解説します。 えのきが主原料、エノキートのハンバーグ エノキート(えのきたけ+ミート)は食肉を使わずに、えのきたけを主原料として作られた代替肉です。農業法人である株式会社小池えのき(以下、小池えのき)によって開発されました。小池えのきの本社がある長野県中野市は、日本最大のきのこの生産地として知られ、えのきたけの生産量は全国の約4割を占めます。地元の食材を使った、新しいタイプの代替肉として注目を集めています。 エノキートを材料とするハンバーグは、えのきたけと玉ねぎ、大豆ミート、パン粉、調味料で作られます。原材料の半分以上が、えのきたけと玉ねぎです。5ミリ程度のみじん切りにしたえのきたけを使用することで、肉によく似た食感が生まれます。えのきたけは加熱すると独特のぬめりが出るため、つなぎの代わりになるという点からハンバーグに使うにはピッタリというわけです。 エノキートには、発芽大豆から作られた大豆ミート「ミラクルミート(DAIZ)」を使用しています。ミラクルミートには、大豆独特のくさみがほとんどありません。ミラクルミートに含まれるうまみ成分「グルタミン酸」とえのきたけのグアニル酸を組み合わせることで、うまみが格段にアップします。このように原材料の加工や選定に工夫をこ凝らすことによって、肉や卵などの動物性の素材を使わなくても、おいしいハンバーグを作ることができるのです。 エノキートのハンバーグは合いびき肉を使った通常のものに比べて、脂質やカロリーが少なく食物繊維が多いそうです。大豆ミートを使用しているため、タンパク質の量は通常のハンバーグとほとんど変わりません。ヘルシーでありながらタンパク質がしっかり摂取できるので、ベジタリアンやヴィーガンの人たちだけでなく、健康への意識が高い人にもおすすめと言えるでしょう。 おいしさの決め手は食感と3種類のソース エノキートのハンバーグが支持される理由は、まだまだあります。そのひとつが、食感へのこだわりです。えのきたけは水分量が多く独特の香りがあるため、大量に使用すると食感が悪くなったり、ハンバーグの風味を損ねたりすることがあります。こうした欠点を克服するべく、2年以上の開発期間を経て、えのきたけの使用量の黄金比を発見。おいしさを追求して試行錯誤を繰り返した結果、商品化に至りました。 ハンバーグのパティと併行して、「デミソース」「チリトマトソース」「てりやき」という3種類のソースも開発されました。温めるだけで食べられるという手軽さだけでなく、食べ比べをする楽しさも魅力的です。 2021年11月に新潟市で開催された「フードメッセinにいがた2021」では、エノキートは初登場ながら「準グランプリ」を受賞。代替肉への関心が高まっている昨今、エノキートの今後の展開に注目が集まっています。  
えのき生産者が開発!新しい代替肉「エノキ―ト」って何?
NEW 2022.08.05

昆虫食王国タイにおける 昆虫食の魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.2】

トロピカルフルーツや鶏肉の産地として名高いタイですが、実は昆虫食王国の一面も併せ持っています。高温多湿の気候が昆虫資源の宝庫を生み出し、追求された美味しさや栄養価の高さによって、昆虫食は身近な食材として地位を確立させています。 昆虫食を伝統食文化として親しみをもつタイは、早い時期から産業化へと舵を切り、産官学で研究開発を重ねて、国際基準に準拠する生産レベルを高めることに成功しました。かつては屋台で見かけることが多かったですが、現在では、多様な昆虫食の商品がスーパーやコンビニの店頭に並ぶ光景は決して珍しくありません。 タイ農業・協同組合省は昆虫食を推進するために、2017 年にコオロギ養殖場の生産工程管 理 (GAP) TAS8202(G)-2017 を制定しました。近い将来、他の昆虫食の規格も公表する予定です。また、「世界の昆虫食ハブ」という目標を設定し、チェンマイ大学、 メジョー大学、コンケン大学、カセサート大学に昆虫食分野を特化した農業イノベーションセンターを設立して、 昆虫産業をさらに盛り上げようとしています。現在では、 昆虫養殖農家が全国に約2万戸にも上り、昆虫食の生産と輸出が目覚ましい成長を遂げています。一方、民間企業でも「タイ昆虫産業協会」を年内に立ち上げるために最終調整に入っています。豊かな資源、蓄積されたノウハウ、そして、連携の取れたステークホルダーを強みにもち、タイ昆虫食産業が今後更に加速化することに違いありません。  (サコン・ワナセッティー/タイ大使館農務担当官事務所)   「セミ会」【今月のトピック】  当NPO理事長の内山昭一が始めた「セミ会」は昆虫食界の夏の風物詩となって各地に拡がっています。現代では難しい「自分で狩って。料理して、食べる」、この当たり前を体験できる魅力がセミ会にはあります。しかし、それに勝る魅力はセミが美味しいという事実です。どんな味と聞かれますが、説明は難しいので是非ご自分の舌で体験していただきたいと私は思います。勇気をもって参加した時、アリストテレスが「きわめて甘美なり」と 表現したセミの味、あなたならどう感じるでしょう?心 に残る夏の体験になること間違いないです。  (増田隆紀/NPO法人昆虫食普及ネットワーク副理事長)   どんな味?香りも楽しむ昆虫メニュー【おススメの一皿 】   5 月14 日、米とサーカス高田馬場店にて皆さんと昆虫料理を。この日は夏野菜と昆虫をテーマにレシピを考案。 タガメの香りを楽しむキャロットラペ、ジャイミル入り のペペロンチーノ、オオスズメバチの洋風じゃが、そし て試作メニューの山梨名物ほうとう(ミックス昆虫入り)でお腹いっぱい! 毎回違うメニューで参加スタッフ一同も楽しみにしています。コロナ禍が落ち着いたら、一緒に調理に参加してもらえる形で開催できるといいですね。  (阿南)   ニュースレターは、NPO法人昆虫食普及ネットワークの公式HPで配信中です。
昆虫食王国タイにおける 昆虫食の魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.2】
NEW 2022.08.04

賞味期限の年月表示化と「食品ロス」削減に向けた取り組みとは

賞味期限の年月表示化の意味とは 数年前より、食品や飲料などの賞味期限の表示を「年月日」から「年月」に変更する動きが進んでいます。年月で表示する場合、賞味期限は「表示された月の末日」です。たとえば、「21年12月」という表示があれば「2021年12月31日」までおいしく食べられるということになります。 こうした変更の背景には、2015年9月に国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」における17の目標のうち「12 つくる責任 つかう責任」が大きく関係しています。目標のなかのターゲットには「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」というものがあります。 賞味期限を年月で表示することにより、おいしく食べられる期限が延長し、その結果として食品ロスの削減に貢献できるのではと期待されています。 物流の効率化にもつながる 賞味期限の年月表示による大きなメリットとしては、「物流が効率化する」ことも挙げられます。小売店に商品を納める場合の商習慣として、「賞味期限がそれ以前に納品したものと同じか、新しいものでなければならない」というルールがあります。年月日による表示の場合、メーカーや業者は1日刻みで商品の在庫を管理する必要が発生します。 さらに、メーカーと小売店が取り引きする際には「3分の1ルール」というものもあります。これは、賞味期限の3分の1以内の期間に小売店に商品を納めて、店頭では残り3分の1になる期間まで販売することができるというルールです。つまり、賞味期限が9カ月の商品の場合、製造してから3カ月を経過すると出荷できず廃棄され、食品ロスになってしまいます。つまり、賞味期限の年月表示は食品ロス削減とともに、物流の効率を改善することにもつながります。 日本の食品ロスは、年間約600万トン(平成30年度)といわれており、これは東京ドーム5杯分にあたる量です。日本は食料自給率が低く、多くの食料を海外から輸入しています。それにも関わらず、大量の食品ロスを出しているという現状があります。 2019年10月に「食品ロス削減推進法」がスタートし、食品ロスに対する関心も高まりつつあります。賞味期限の年月表示など大きな流れを把握するとともに、私たちが身近にできることを考えてみませんか。
賞味期限の年月表示化と「食品ロス」削減に向けた取り組みとは
NEW 2022.08.03

欧米でフレキシタリアンが急増中。私たちにとって本当の持続可能な食とは

​​​​気候変動は加速しており、私たち人間が何を選んで食べるのかという食の選択も地球の存続に関わる大きな課題です。けれども地球のためとはいえ、あまりにも厳格な食事制限には躊躇してしまう人が多いでしょう。そこで今、欧米で急増しているのが、準菜食主義=フレキシタリアンという柔軟でバランスの取れた食事のスタイルです。 フレキシブル+ベジタリアン=フレキシタリアン 「柔軟な(フレキシブル)」と「菜食主義(ベジタリアン)」という言葉を組み合わせた「準菜食主義(フレキシタリアン)」。ヴィーガンは動物性食品を全く食べませんが、フレキシタリアンは、植物性食品に重点を置きつつ、肉、チーズ、卵、牛乳などの動物性食品も時折摂取します。そしてフレキシタリアンの多くは、味や食感、価格などが適切であれば、大豆などの植物性タンパク質から成る代替肉も抵抗なく受け入れます。 最新の研究によると、地球上の温室効果ガスの26%が食料生産によるもので、その中でも農業分野が排出する温室効果ガスのうち、肉や乳製品によるものが60%を占めています。肉や乳製品の消費を減らすフレキシタリアン食は、温室効果ガスの排出を確実に減らす手段です。科学誌「ネイチャー」掲載の研究によると、今後人間がより植物ベースのフレキシタリアン食に移行することで、2050年の温室効果ガスの排出が52%も削減できる可能性があるとしています。 世界人口が拡大すると共に、肉を食べる人が確実に増え続けています。そうした中、いくら肉を避けるヴィーガンが増えても、残念ながら世界全体の肉の消費量が減ることはありません。人間の食事が地球環境に影響を及ぼすことを避けるには、より大きな集団で実践しなければ意味がありません。そこでフレキシタリアンのように、多くの人が参加しやすい柔軟な考え方や手段が求められます。 地球上の全ての人が肉を全く食べないというのは、非現実的な話です。それよりも地球のためになる食事を、より多くの人が試しやすいフレキシタリアン食は、人類の未来にとって達成可能な目標と言うことができそうです。 極端なヴィーガンの限界、より現実的な選択を 動物性食品の消費を減らすことが、心臓病、がん、糖尿病のリスクを下げることは科学的に明らかになっています。実際、野菜がメインの食事はこれまで賞賛されてきました。その一方で、厳格すぎる植物性の食生活を送る人は、人間の体に必要なビタミン、ミネラル、カロリーの摂取量が足りていなかったり、栄養不足のためにうつ病のリスクが高まるとの報告もあります。 肉を完全に避けるヴィーガン食の方が、私たちの健康にとっても地球環境にとっても、フレキシタリアンに勝ると考えられてきました。しかし実際のところ、一概にヴィーガンが勝るとは言いきれません。問題はもっと複雑です。 例えば、肉の生産も全てが悪なのではなく、やり方によっては牛の飼育が土壌侵食や炭素排出の抑制につながり、森林を破壊して生産されたコーヒーやカカオ豆よりも温室効果ガスの発生を抑えるという事例があります。一方、ヴィーガンが好む牛乳の代替品のアーモンドミルク。その原料のアーモンドは、栽培に大量の水、肥料、農薬を必要とし、地球の資源を枯渇させる恐れがあり、健康上のメリットがあるとはいえ、環境保護の点においては疑問が残る食材と言えるわけです。 フレキシタリアンは、こういった食品の生産過程が環境にもたらす利害も認識した上で、食事を選びます。単純に動物性か植物性かが問題ではなく、どちらがより地球にとって持続可能な選択肢かで判断します。そう遠くない未来に、世界人口は100億人に至るでしょう。人間にとって何が重要で、どのような選択が現実的なのか、私たち自身が正しい選択をする必要があり、柔軟性に優れたフレキシタリアンの考え方はそのヒントになるはずです。  
欧米でフレキシタリアンが急増中。私たちにとって本当の持続可能な食とは