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2022.07.08

「UMAMI EGG」徹底解剖!開発秘話と今後の展望【代表インタビュー】

さまざまなメディアで取り上げられ、注目を集めている植物性卵「UMAMI EGG」。こんにゃく粉を使って卵らしさを出すことに成功し、急速に販路が拡大しています。しかし、最初から順調に進んでいたのかといえば、決してそうではありませんでした。UMAMI UNITED JAPAN株式会社(以下「UMAMI UNITED JAPAN」)の代表取締役である山﨑寛斗(やまざき ひろと)さんに、開発の経緯や苦労したエピソード、こんにゃくに見る可能性を聞きました。食品開発に従事する人へのメッセージもお届けします。(取材・構成=松橋かなこ)   「ONE TABLE」を実現すべく、こんにゃく粉を使った植物性卵の開発へ ――UMAMI UNITED JAPANの設立に至るまでの、山﨑さんのご経歴を教えてください。 学生時代にインターンで関わった活動を通して、食の多様性を学びました。同時に外国人へのボランティアガイドをしていましたが、海外の国に比べて日本は食の選択肢が少ないことを痛感しました。こうした課題に取り組みたいと考え始めたのは学生の頃です。卒業後、食の多様性(フードダイバーシティ)に特化した会社で業務に携わりました。現在の開発担当者との出会いにより、2022年にUMAMI UNITED JAPANを設立。その前後で、UMAMI EGG2.0の開発を進めました。   ――植物性卵の開発に取り組もうと思ったきっかけはどんなことでしたか。また、植物性卵にこんにゃく粉を使おうと考えた理由は。 私たちの会社のミッション「ONE TABLEで未来を創る」を実現しようと考えたときに、卵にニーズがありそうだという話になりました。そこで、植物性卵に取り組んでいる海外の競合会社や類似商品をリサーチし、プロトタイプ(試作品)を作りました。そのプロトタイプをレストランなどに提供し、実際に使ってもらい感想を集めました。そこで見えてきたのは「味はおいしいけれど、通常の卵と比べて使い勝手があまりに違う」ということ。具体的には、加熱すると固まるという卵の特性が上手く表現できていませんでした。そこで、卵の特性を出すために「こんにゃく粉を使ってはどうか」という話になりました。   ――こんにゃく粉以外に、検討した材料はありましたか。 他の素材としては、加熱で固まる特性を持つ「水溶性タンパク質」を使うことを考えました。海外の植物性卵では、植物性のタンパク質を使うケースが多いです。他の国から素材を取り寄せて試作しましたが、なかなか思うように進みませんでした。そこで、「自分たちの身近にあるもので何ができるか」をもう一度考えたのです。その結果、日本にふさわしい素材のこんにゃく粉にたどり着きました。   マーケティングとの連携やニーズの選定に苦労することも ――商品開発、そして販売へと動くなかで、特に苦労したことは何でしたか。 1~2カ月かけて試作品を作った後、同じくらいの時間をかけていろいろな人に使ってもらいながら改良を重ねました。開発にはトータルで半年程度の時間がかかりました。 「開発とマーケティングをどう連携させていくのか」については、社内でいつも議論しています。どこの市場に、どんな価格帯でどんなポジションとして打ち出していくのか。これまで世になかったものを提案する立場なので、ニーズの選定に難しさを感じることが多いです。国によっては使用できない原料がある場合も多く、最初はとても苦労しました。 今は国内での受注が8~9割を占めていて、残りの1~2割が海外です。しかし、海外での市場のほうが圧倒的に大きいので、今後はこの比率を逆転させたいと考えています。そのために、「卵のどういう部分や機能を求めているのか」を徹底的にリサーチして、ニーズの掘り起こしや細分化をしています。   ――マーケティングのポイントは、どこに重きを置いているのでしょうか。 特別に決まったスタイルがあるのではなく、「やりながら考える」ということを大切にしています。定量的なデータだけでなく、定性的なデータも集めています。誰もが知っているようなことであれば、ベンチャーがあえて取り組む意味はないのではと。「掘ってみたら、偶然にも温泉が出てきた」というような意外性のあるニーズを探しています。 その上で、基準は大きく2つあります。会社のミッションに合っているのかどうかと、ある程度の市場規模があるのかということです。市場規模は大きくても、会社のミッションに合わないものであれば、選択しないこともあります。   こんにゃくや海外市場への可能性に向けて   ――国内外問わず、こんにゃくへの注目が高まっています。こんにゃくの可能性について、感じていることがあれば教えてください。 海外ではこんにゃくを使ったパスタが人気を集めていて、大手企業もこんにゃくに注目しています。こんにゃくは日本の伝統食材であり、日本らしさを前面に出した海外市場への展開にも向いていると思います。 特に、こんにゃくとプラントベースの組み合わせは相性が良いと感じています。たとえば、こんにゃくとおからを組み合わせた「おからこんにゃく」を揚げてトンカツ風にすると、とてもおいしいです。新しい食の選択肢として、こんにゃくにはさまざまな可能性を感じています。茨城県の伝統食材に「凍みこんにゃく」というものがあり、作るのに大変手間がかかることから、生産者が減少しているそうです。そうした食材をどう活用するのかを考えるのも、面白いのではと思っています。   ――食品業界で開発に携わっている方々に向けて、メッセージがあればお聞かせください。 日本の市場が縮小化するなかで、海外に目を向けるとニーズが大幅に拡大します。特に、プラントベースではその傾向が強いと感じます。日本には素晴らしい開発者がたくさんいるので、国を超えて展開していくとよいのではないでしょうか。海外市場を見据えて、クオリティーの高い商品を一緒に作っていきたい。同じ気持ちを持つ方がいれば、ぜひとも声を掛けてください!   UMAMI EGGについての商品情報はこちら。   関連記事: https://reports.shareshima.com/1903/
「UMAMI EGG」徹底解剖!開発秘話と今後の展望【代表インタビュー】
2022.07.01

こんにゃく粉を使った植物性卵「UMAMI EGG」が注目を集める理由

近年、健康ブームや地球環境の保護、動物愛護といった観点から、プラントベース(植物由来)食品への関心や需要が高まっています。そんな状況下で、話題を集めているのが2022年春に登場した植物性卵「UMAMI EGG」。UMAMI UNITED JAPAN株式会社(以下「UMAMI UNITED JAPAN」)の代表取締役である山﨑寛斗(やまざき・ひろと)さんへの取材から、UMAMI EGGの魅力や「卵らしさ」の理由、目指す未来像についてお伝えします。(取材・構成=松橋かなこ)   こんにゃく粉が主原料の植物性卵「UMAMI EGG」とは UMAMI EGGは粉末タイプの卵食材であり、植物性の素材だけで作られています。粉末に豆乳を加えて混ぜた後に加熱することで、卵にそっくりの見た目と味、食感を再現できます。ここで着目したいのは、主原料としてこんにゃく粉を使っているということ。植物性卵は欧米ではスーパーマーケットの棚に並ぶほど広がりつつあるものの、緑豆など豆由来の原料を使った商品が多く、こんにゃく粉を使用したものはこれが初めてです。 世界中を見渡してみても、こんにゃくを食べる食文化を持つ地域は限られています。ここには「日本の魅力を世界に発信したい」という会社のビジョンがあります。   UMAMI EGGの「卵らしさ」の理由 卵を使っていないのに、卵にそっくりのUMAMI EGG。こんにゃく粉を使うことにより、「加熱すると固まる」という卵の最大の特徴が再現できます。また、こんにゃく粉には保水性があるので、しっとりとした仕上がりになります。こうした特性によって、スクランブルエッグなどの代表的な卵料理を手軽に作ることができます。 UMAMI EGG2.0と豆乳の配合を変えれば、料理のレパートリーがぐっと広がります。たとえば、豆乳の量を増やすとトロリとした食感が出るので、オムライスやオムレツに最適です。さらに量を増加させると、茶碗蒸しも作れます。それどころか、プロの料理人が茶碗蒸しを試作したところ「今までで一番おいしくできた」と賞賛されたそうです。 こんにゃく粉以外の原材料としては、卵らしい色味を出すために、かぼちゃパウダーやにんじんパウダーを使っています。人工的な着色料ではなく、できるだけ自然な素材を使うこともこだわりのひとつです。   製菓店からのニーズが多く、幼稚園にも「プリン」を提供 山﨑さんによれば「焼き菓子作りに使うのもおすすめ」とのこと。アレルギーなどの理由から卵や小麦粉を避けている場合、米粉を使ってお菓子を作ることも多いですが、パサパサした食感になりやすいもの。しかし、UMAMI EGGを粉の重量に対して0.5~1%程度加えることで、パサつきが少なくもっちりとした食感になります。 さらに、フランスの洋菓子「カヌレ」やカスタードクリームとの相性も抜群です。「卵を使わないと作れない」「卵アレルギーがあるから食べられない」と思っていたお菓子が、UMAMI EGG2.0を使うことで、安心しておいしく食べられるようになります。実際に、グルテンフリーの商品をつくる製菓店などからのオファーも多く、業務用として販路を拡大中です。 東京都のある幼稚園では、給食のおやつとして卵アレルギーの子どもも食べられる「プリン」を350人分提供しました。通常のプリンは卵を使いますが、その代わりに植物性の素材を使ったUMAMI EGGの姉妹商品「らくぷりんミックス」を使用。おいしそうにプリンを食べる園児の様子がとても印象的で、「みんなが一緒に食べられてとても嬉しい」という保護者や先生達からの声もありました。   実際に食べてみると 今回記事を書くにあたり、私自身もUMAMI EGG2.0を使って卵料理を試作し、食べてみました。まず驚いたのは、豆乳を加えてブレンダーで混ぜるとすぐに固まり始めたということ。山﨑さんによれば、これはこんにゃく粉の固形性によるものなのだとか。ちょうど自宅にあったトウモロコシの粒を加えて、フライパンで加熱するとスクランブルエッグのような一品ができあがりました。初めての試作でしたが、想像していたよりもずっと簡単に調理できました。 何も言わずに朝ごはんの食卓に並べてみると、植物性卵を使っていることに、家族の誰も気が付かない様子。実際に食べてみると、子どもは独特の食感が気に入った様子で「卵クリームみたいだね」「おいしい」とのこと。我が家には卵アレルギーを持つ人はいませんが、「選択肢のひとつとして植物性卵がある」というのはとても素晴らしいことだと感じました。   UMAMI EGGを通して、「ONE TABLE」を実現する 国際鶏卵委員会(IEC)によると、国民1人当たりが1年で消費する卵の数は、日本は世界で2番目に多いとされています。たしかに、身近な料理やお菓子に卵を使ったものはとても多く、アレルギーがあると「食べたくても食べられない」という苦痛を毎日のように感じることになります。 UMAMI UNITED JAPANのミッションは「ONE TABLEで未来を創る」。食のニーズは多様化しているものの、現在の日本では選択肢が限られているのが現実です。その結果、みんなでひとつのテーブルを囲めないことも少なくありません。UMAMI EGGには、こうした目に見えない垣根を越えていきたいという熱い想いが込められています。幼稚園の園児達がみんなでテーブルを囲み、おいしそうにプリンを食べる姿には、山崎さん達が思い描く未来があふれています。 現在はUMAMI EGGへの期待として「アレルギー対応」という側面が強いものの、将来的には小学校の給食で当たり前に使われる状態を目指したいと山﨑さんは語ります。「おいしいね」とみんなで一緒に食べた後に、実は「植物性卵だった」と気が付く――。そんな自然な流れのなかにUMAMI EGGが存在する時代に向けて、試行錯誤を重ねています。   UMAMI EGGについての商品情報はこちら。   関連記事: https://reports.shareshima.com/1913/
こんにゃく粉を使った植物性卵「UMAMI EGG」が注目を集める理由

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NEW 2022.09.28

自社商品への情熱ゆえ?環境配慮のマーケティングに潜むリスク

スウェーデンに拠点を置き、20か国で植物性ミルクを販売する大手企業「Oatly(オートリー)」。環境配慮をアピールする同社の広告表現が誇張されており、消費者に誤解を招きかねない内容だとして、イギリス広告基準局(ASA)が禁止措置を講じました。環境への取り組みをマーケティングに利用する企業が増える中、果たしてそれがエビデンスに基づくふさわしい内容なのか、環境意識の高い欧州で問題視されるようになっています。その背景には、日本でも浸透している「サステナブル」などの言葉の定義のあいまいさがあるようです。 植物性ミルクの最大手、100件以上の苦情が殺到 ASAは2021年9月、根拠がなく誤解を招くような環境に関する主張を宣伝する企業に対して、以前より厳しく取り締まる姿勢を明らかにしました。そうした中、自社の植物性ミルクが一般的な牛乳より優れており、肉や乳製品を摂取することが環境に悪いと訴えたオートリーの翌年1月の広告に対し、自社製品を有利にしようと環境配慮を誇張しているのではないかと、市民や団体などから100件以上の苦情が寄せられました。   イギリスの広告分野における独立規制機関であるASAは、オートリーの広告は内容を裏付けるだけの十分な根拠を示しておらず、消費者の誤解を招くものであったとし、苦情の大半を支持し、同社に対して広告の禁止を言い渡したのです。   オートリーは、この経緯を全面的に受け入れ、より科学的な根拠に基づいた分かりやすい表現を心掛けるべきだったとして、禁止を受けた広告を削除しました。ただし、苦情が寄せられた広告すべてに環境配慮を誇張した表現があった訳ではありませんでした。一部については、客観的に実証された内容であり苦情の内容に当たらないと、ASAから掲載の継続を認められています。 環境配慮を装う「グリーンウォッシュ」が問題に 気候変動対策が迫られる今、企業がマーケティングにおいて「サスティナブル」や「環境に良い」といった言葉を使う機会は急増しています。そうした中で顕在化してきた問題が、自社のブランドが「環境に優しい」ことを強調し、消費者の関心を引くやり方です。 中には環境意識の高い消費者をあざむく悪質なものもあり、「グリーン=環境に配慮した」と「ホワイトウォッシング=都合のいいようにごまかす」を合わせた造語で、「グリーンウォッシュ(グリーンウォッシング)」と呼ばれています。 うそやでまかせが横行すれば、消費者が環境配慮をうたう企業を信用しなくなるばかりか、きちんと環境問題と向き合う誠実な企業まで疑われる皮肉な状況が生まれます。実際には悪意がなくとも、商品のメリットを熱心に訴えたいがあまりに、グリーンウォッシュと捉えられてしまうケースもあります。このような事態を避けるには、情報発信の際は裏付けとなる客観的なデータに基づき、あいまいな表現は控えなければなりません。 企業側が真摯な姿勢を示すことはもちろん、消費者側が冷静に判断することも求められます。「サスティナブル」などの言葉を巧みに利用して、感情に訴えかけるグリーンウォッシュには注意が必要です。
自社商品への情熱ゆえ?環境配慮のマーケティングに潜むリスク
NEW 2022.09.27

食品の「無添加」表示に規制強化。煩雑化やコスト増の懸念も

2022年3月30日、消費者庁は「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定しました。これにより、食品の包装などに「無添加」「不使用」と記載する際の規制が厳しくなります。今回の記事では、その背景と共に、ガイドラインの概要や現場での対応について紹介します。 分かりやすい表示を、添加物にガイドライン 消費者庁が今回のガイドラインを策定した理由として、「消費者の誤解を招くような表示の多さ」が挙げられます。これまで「無添加」「不使用」という表記について明確なルールはなく、食品メーカーの判断に委ねられていました。 そのため、パッケージに「無添加」と書かれていても「具体的に何が不使用なのか分からない」という声もありました。食品を加工する際に添加物を使わない「無添加食品」の場合、原材料には添加物を使っていることもありました。 このような分かりづらい食品表示を改善するために、消費庁が発表したのが今回のガイドラインです。ガイドラインの策定にあたり2021年3月から計8回の検討会が開催され、消費者や事業者に対するヒアリングや、食品添加物の使用状況の調査が行われました。 パッケージ変更を求められる食品メーカー ガイドラインでは、禁止事項に該当する可能性がある不使用表示を10個の類型に分けて示しています。その中には「何が無添加なのか分からない単なる『無添加』の表示」「健康や安全と関連付ける無添加や不使用の表示」が含まれています。 今回のガイドライン策定を受けて、食品メーカーなどではパッケージの変更が必要となり、製造コストや情報管理などの手間が増えることが懸念されています。不適切かつ過度な食品表示を減らし、食の安全を担保することができる一方で、無添加表示が煩雑化していく可能性も否定できません。 2024年(令和6)年3月末までの移行期間が設けられており、ガイドラインに沿った分かりやすい食品表示への移行が求められています。
食品の「無添加」表示に規制強化。煩雑化やコスト増の懸念も
NEW 2022.09.23

ハラル認証の対象商品とは【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.6】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。9月は台風シーズンです。日本列島に毎年いくつかの台風が上陸して大きな影響が出ます。日本は梅雨前線が停滞したり台風の通り道だったりしますが、おいしい水や農作物など恵みもあります、そんな島国ニッポンの原料を世界に発信していきたいですね? 今回は第6回となり、全体の折り返しになりますが、よろしくお願いします。シルバーウィーク中の皆さんも多いと思いますが、夏の疲れをしっかり取って、リフレッシュしてください。そして食欲の秋ですから、全国のおいしいものも食べてください!! 今回は「ハラル(ハラール)認証の対象商品は?」を解説していきます。イスラム諸国でも国によって対象商品が違うことをまずは理解してください。 時代と共に変わるハラル認証の対象商品 イスラム教が誕生して約1400年、ハラル認証ができて約60年ですから、時代によりハラルの対象範囲が違うことは理解できると思います。 また、昔はなかったけれど今あるモノやサービスについては常にハラル性が議論されています。例えば、遺伝子組み換え商品はハラル?それともハラルではない?はたまた、携帯電話の電磁波は?と、ハラル認証は時代によって変化し、進化するものだと考えるといいと思います。ただし、畜肉が一丁目一番地であることはイスラム諸国共通で変わりません。 ハラル認証のメインは「口に入れるもの」、つまり食べ物です。「食品・健康食品」などがメインに展開されています。そして、その次に来るのが「肌につけるもの」。化粧品や生活用品などの製品群になります。最後に、肌着などの「身に着けるもの」。体に触れるハブラシや製品のパッケージ、包装なども対象になると言われています。そうした完成品に使われる原材料は、今後ますますハラル認証の取得を要求されることが多くなってくると考えられます。 前回解説した東南アジア、南西アジア、そして中東の一部の国が主な対象で、特にマレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンでもハラル認証が必要とされています。 インドネシアやマレーシアで広がるハラル認証商品 インドネシアやマレーシアのハラル認証商品の例を見てみましょう。この2か国では従来のハラル認証商品(畜肉、調味料、加工食品など)に加え、こんなものまでハラル認証が必要なの?と思えるモノにまで、ハラル認証商品が広がっています。ある意味、新種ともいえるハラル認証がモノ・サービスの分野で、さまざまなパターンで増加しているのです。 「口に入れるもの」の食品では、最近は農水産物の一次加工品にもハラル認証があります。例えば、米、牛乳、卵、キノコの一次加工品のほか、リンゴジュース、カットした魚のフィレなどがあります。穀物・果物・野菜・水産品のそのものはそもそもハラルであるとされますが、ハラル認証工場で使用する場合の原材料としてハラル認証が求められることが増えてきました。 「肌につけるもの」の分野では、ハラル化粧品は今、インドネシアで大きく進化しようとしています。ハラル化粧品の分野は現在、インドネシアのトップランナーで、多くの原材料にハラル認証が要求されるようになっています。 「身に着けるもの」である衣料品のハラル認証も、インドネシアで大きく進化しています。例えば、紙おむつの類はインドネシアではほとんどハラル認証がついています。おしりふき、粉ミルクといったベビー用品には特に多いのが特徴です。 その他、冷蔵庫、テレビ、めがね、綿棒、浄水器、リップクリーム、目薬など、多くの身近な商品にハラル認証がつくようになりました。こうした新種のハラル認証商品はインドネシア、マレーシアなどハラル認証先進国に多いような気がしますが、国により大きく違うのが特徴です。 次回は原材料の「インドネシアハラル(ハラール)認証BPJPHは」について解説したいと考えます。10月の第4金曜日を楽しみにしてください。引き続きよろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)
ハラル認証の対象商品とは【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.6】
NEW 2022.09.22

ドール初!バナナの量り売り。目指すは食品ロス削減と脱プラスチック

2022年6月から、株式会社ドールはバナナを量り売りする企画を始めました。フルーツロス削減と脱プラスチックに役立つ新しい試みとして話題を集めています。人にも環境にも優しいエシカルな行動を体現する同社の取り組みを紹介します。 プラスチック袋で1房包装の常識を覆す 通常のバナナは、1房ごとにプラスチック袋に包装されて販売されることが一般的です。1房につき4~5本入っていて「食べきれずに廃棄している」という消費者の声の他、「少ない本数で購入したい」「熟成度合の異なるバナナの食べ比べをしたい」といった要望が、以前からドールに寄せられていたそうです。 こうした背景から、バナナを必要な分だけ購入できる「量り売り企画」が店頭でスタート。この取り組みにより、食品ロスとプラスチックゴミの削減が期待されています。 量り売りでの購入方法は、まず、袋詰めされていないバナナを買いたい量だけはかりに載せます。すると、重さに応じて価格が表示され、機械から出てきたラベルを紙袋に貼って、レジで代金を支払うという流れです。 今回の企画は、イトーヨーカ堂やヤオコーなどの量販店と提携して行われています。購入方法を店頭で説明するスタッフを配置するなど、消費者が利用しやすいように工夫が施されています。 「エシカルバリューチェーンプログラム」として展開 ドールではこの量り売り企画を第一弾として、「バナナエシカルバリューチェーンプログラム」を展開しています。このプログラムは、バナナを生産から消費者の食卓に上るまでのプロセスを通して、人や社会、地域、環境に優しい取り組みを行い、その価値をつないでいく試みです。 量り売り企画と併行して、バナナの皮などの生ごみを分解・熟成して堆肥を作る「コンポスト企画」も実施しました。この企画は、量り売りでバナナを購入した人の中から参加者を募り、当選者にコンポストをプレゼントして家庭での生ごみの堆肥化のプロセスを体験してもらうというものです。 こうした一連の取り組みが注目され、同プログラムは、環境省の「令和4年度 地方公共団体及び事業者等による食品廃棄ゼロエリア創出の推進モデル事業等」に採択。食品ロス削減と食品リサイクルを実効的に推進するための先進事例と評価されています。
ドール初!バナナの量り売り。目指すは食品ロス削減と脱プラスチック
NEW 2022.09.21

食べられる昆虫は1900種類!アジアやアフリカに根付く昆虫食文化

タンパク質危機を契機に注目が集まる昆虫食。実は、世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。こちらの記事ではこれから昆虫食をリードしていくであろうタイとケニアの昆虫食文化を紹介します。 タイ:コオロギの養殖や商品開発が盛ん 韓国や中国、タイ、ベトナム、ラオスなどのアジアの国々では、古くから昆虫食が盛んです。特に昆虫食が浸透しているタイでは、スーパーマーケットの食材コーナーに昆虫のサナギや幼虫が並んでいたり、昆虫の佃煮を売る屋台を目にしたりすることも珍しくありません。特に人気があるのはコオロギで、タイ国内での養殖が広がっています。 最近のタイでは、コオロギのスナック菓子やコオロギパウダー、コオロギオイルなど、コオロギを原材料にしたさまざまな加工食品が登場しています。スナック菓子「HISO(ハイソー)」は、小さな種類のコオロギを使用したもので、現地のコンビニエンスストアでも入手できます。また、コオロギパウダーは輸出用としての需要も高く、タイの昆虫食ビジネスに注目が集まっています。 タイ・チェンマイの屋台に売られていたコオロギです。(2022年9月) ケニア:栄養豊富なシロアリは伝統食 アフリカには、昆虫を食べる地域が数多くあります。アフリカ東部のケニアで最もよく食べられている昆虫は、シロアリです。現地にはシロアリを使った伝統食「クンビクンビ(kumbikumbi)」という料理があり、シロアリは古くから食べられている食材です。 シロアリには、良質な動物性たんぱく質や脂質のほか、カルシウム、鉄分、アミノ酸などが豊富に含まれています。栄養失調を改善するための食材として、期待が集まっています。 日本ではシロアリと言えば住宅の床下で暮らすアリ(職蟻)を意味することが多いですが、現地で食べられているのは別の種類のアリ(羽蟻)です。職蟻は大量に採集することは難しいですが、羽蟻の場合は5月頃の飛び立つ時期であれば、たくさん捕まえることができます。シロアリはインターネット通販などでも販売されていて、新しいタンパク質源として注目されている昆虫食のひとつです。 昆虫学者である三橋淳氏の書いた『虫を食べる人びと』(平凡社ライブラリー)によれば、世界ではハチやイナゴに加えて、セミやアリ、カブトムシ、カミキリムシの幼虫やサナギ、成虫も食べられているそうです。アジアやアフリカに根付く昆虫食文化は、昆虫食の未来を考えるヒントになるかもしれません。   (写真:インターン_今川恵介)
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