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“ハラル” タグの記事一覧

2022.10.28

インドネシアのハラル認証BPJPHとは【食品ハラルビジネス進化論〜ハラル認証原料編vol.7】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。10月は記録的な円安・原料高騰と原料メーカーにとっては暗く厳しい話題が多い1か月となりました。一方、明るい話題としては、個人向けのインバウンド解禁と共に外国人旅行客が増えてきました。対応に追われる事業者も多いと思いますが、人手不足もまた深刻化しています。まずは足元の原料価格の安定を期待しつつ、新商品開発(?!)または円安を活用した輸出進出にもチャレンジしていきたいものです。 今回は、インドネシアのハラル(ハラール)認証「BPJPH」について解説していきます。インドネシアのハラル認証を学ぶと、ハラル認証ビジネスの本質が見えてきます。 2024年問題勃発?!インドネシアのハラル認証が大きく変わる インドネシアのハラル認証制度はジョコ大統領が就任した2014年から大きく動き出しました。延期・移行期間を経て、2024年には完全実施されると公式に政府コメントが出ています。 では、現在のハラル認証機関・監査機関などはどうなるのか? LPPOM MUI(インドネシアウラマー評議会の食品・医薬品・化粧品研究所)などは認証機関から監査のみの団体になると言われています(LPPOM MUIを含めて3団体程度)。したがって認証を発行するのは、国の機関であるBPJPHのみになります。 もう一つが、マレーシアが推進してきたハラル認証のアライアンス制度であり、世界中の国の機関や団体と締結して普及させてきた「相互認証制度」をインドネシアBPJPHでは基本的に用いない、としています。そこでインドネシアはハラル品には認証取得を、ハラル品ではないものはハラルでないことを記載することが必要になります。 【参考】ハラル・ジャパン協会ホームページ 日本と海外のハラル認証機関 [caption id="attachment_2518" align="alignnone" width="512"] BPJPHロゴ商品[/caption] BPJPHでハラル認証は「標準装備」に まずは原料について。今後ハラル認証は標準装備になるような予感がします。前回もお話しましたが、食品・健康食品だけでなく、「肌につけるもの」の分野に当たるハラル製品は今、インドネシアで大きく進化しようとしています。ハラル化粧品の分野は、インドネシアで現在、多くの原材料にハラル認証が要求される分野のひとつでもあります。 「身に着けるもの」である衣料品のハラル認証も、インドネシアで大きく変わろうとしています。例えば、紙おむつ類はインドネシアではほとんどハラル認証がついています。おしりふき、粉ミルクといったベビー用品には特に多いのが特徴です。 その他、冷蔵庫・テレビ・眼鏡・綿棒・浄水器・リップクリーム・目薬など、多くの関連商品にもハラル認証がついて販売されています。こうした新種のハラル認証商品は特にインドネシアで増えていて、必然的に原料にもハラル認証、ハラル性を要求されます。 また最近では、飲食チェーンの農林水産品の原料にハラル認証を要求されるところが増えつつあります。 【参考】ハラル・ジャパン協会ホームページ 【速報】インドネシアハラル認証BPJPHのロゴがついに決定!! [caption id="attachment_2519" align="alignnone" width="345"] BPJPHの元気寿司[/caption] 次回は原材料の「国内ハラルマーケット分析」について解説したいと考えます。11月第4金曜日を楽しみにお待ちください。2022年も残り2か月ですが、引き続きよろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)
インドネシアのハラル認証BPJPHとは【食品ハラルビジネス進化論〜ハラル認証原料編vol.7】
2022.10.26

【セミナー案内】知っておきたい「イスラム市場」の知識

シェアシマinfoで連載していただいているハラル・ジャパン協会様からのセミナー案内です。 岐阜県ではイスラム市場向けの販路開拓・販売促進を図るプロジェクトを実施しています。今年度は、第1ステップとして11月1日にオンライン研修セミナーを開催し、第2ステップとしてFOODEX JAPAN2023(国際食品・飲料展)への出展事業を実施します。このたび、イスラム市場への輸出に向けたハラールビジネスオンライン研修セミナーを、下記のとおり実施しますので、海外販路開拓を目指す県内企業の方は、ぜひご参加ください。 【セミナー情報】知っておきたい「イスラム市場」の知識 日時:2022年11月1日(火) 13:30-16:00 会場:オンライン配信 対象:国内外へ販路開拓を目指す岐阜県内の食品・健康食品製造業者、食品を扱う卸売業者、農林水産業の生産者など 参加条件:無料 申し込み (10/27 17:00締切) タイムテーブル:WEBサイトよりご確認ください 【提供団体情報】 一般社団法人ハラル・ジャパン協会(岐阜県「イスラム市場販路開拓促進支援業務」受託者) 東京都豊島区南池袋2-49-7 池袋パークビル1F TEL:03-4540-7564 FAX:050-3730-7549 E-mail:info@jhba.jp
【セミナー案内】知っておきたい「イスラム市場」の知識
2022.09.23

ハラル認証の対象商品とは【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.6】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。9月は台風シーズンです。日本列島に毎年いくつかの台風が上陸して大きな影響が出ます。日本は梅雨前線が停滞したり台風の通り道だったりしますが、おいしい水や農作物など恵みもあります、そんな島国ニッポンの原料を世界に発信していきたいですね? 今回は第6回となり、全体の折り返しになりますが、よろしくお願いします。シルバーウィーク中の皆さんも多いと思いますが、夏の疲れをしっかり取って、リフレッシュしてください。そして食欲の秋ですから、全国のおいしいものも食べてください!! 今回は「ハラル(ハラール)認証の対象商品は?」を解説していきます。イスラム諸国でも国によって対象商品が違うことをまずは理解してください。 時代と共に変わるハラル認証の対象商品 イスラム教が誕生して約1400年、ハラル認証ができて約60年ですから、時代によりハラルの対象範囲が違うことは理解できると思います。 また、昔はなかったけれど今あるモノやサービスについては常にハラル性が議論されています。例えば、遺伝子組み換え商品はハラル?それともハラルではない?はたまた、携帯電話の電磁波は?と、ハラル認証は時代によって変化し、進化するものだと考えるといいと思います。ただし、畜肉が一丁目一番地であることはイスラム諸国共通で変わりません。 ハラル認証のメインは「口に入れるもの」、つまり食べ物です。「食品・健康食品」などがメインに展開されています。そして、その次に来るのが「肌につけるもの」。化粧品や生活用品などの製品群になります。最後に、肌着などの「身に着けるもの」。体に触れるハブラシや製品のパッケージ、包装なども対象になると言われています。そうした完成品に使われる原材料は、今後ますますハラル認証の取得を要求されることが多くなってくると考えられます。 前回解説した東南アジア、南西アジア、そして中東の一部の国が主な対象で、特にマレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンでもハラル認証が必要とされています。 インドネシアやマレーシアで広がるハラル認証商品 インドネシアやマレーシアのハラル認証商品の例を見てみましょう。この2か国では従来のハラル認証商品(畜肉、調味料、加工食品など)に加え、こんなものまでハラル認証が必要なの?と思えるモノにまで、ハラル認証商品が広がっています。ある意味、新種ともいえるハラル認証がモノ・サービスの分野で、さまざまなパターンで増加しているのです。 「口に入れるもの」の食品では、最近は農水産物の一次加工品にもハラル認証があります。例えば、米、牛乳、卵、キノコの一次加工品のほか、リンゴジュース、カットした魚のフィレなどがあります。穀物・果物・野菜・水産品のそのものはそもそもハラルであるとされますが、ハラル認証工場で使用する場合の原材料としてハラル認証が求められることが増えてきました。 「肌につけるもの」の分野では、ハラル化粧品は今、インドネシアで大きく進化しようとしています。ハラル化粧品の分野は現在、インドネシアのトップランナーで、多くの原材料にハラル認証が要求されるようになっています。 「身に着けるもの」である衣料品のハラル認証も、インドネシアで大きく進化しています。例えば、紙おむつの類はインドネシアではほとんどハラル認証がついています。おしりふき、粉ミルクといったベビー用品には特に多いのが特徴です。 その他、冷蔵庫、テレビ、めがね、綿棒、浄水器、リップクリーム、目薬など、多くの身近な商品にハラル認証がつくようになりました。こうした新種のハラル認証商品はインドネシア、マレーシアなどハラル認証先進国に多いような気がしますが、国により大きく違うのが特徴です。 次回は原材料の「インドネシアハラル(ハラール)認証BPJPHは」について解説したいと考えます。10月の第4金曜日を楽しみにしてください。引き続きよろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)
ハラル認証の対象商品とは【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.6】
2022.08.26

ハラル認証が有効な国、そうでない国【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.5】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。残暑お見舞い申し上げます。といってもまだまだ暑い日が続きます。今回は第5回になりますがよろしくお願いします。夏休みがある人もない人も、今年は規制が少ない夏だったと思います。コロナが拡大傾向で第7波も警戒水準を超えて心配ですが、「アフターウィズコロナの時代」を見据えて、前向きに国内、海外を含めたマルチバンド対応にシフトしておきたいものです。 今回は「ハラル(ハラール)認証が有効な国、でない国」を解説していきます。ハラルビジネスにはハラル認証を使う方法と、使わない方法があることは以前に学んだと思います。そのハラル認証が有効な国、有効ではない国があることを今回はもう少し具体的にお話したいと思います。 ハラル認証が「有効な国」はどこ ハラル認証が有効なイスラム市場の国は多くありますが、やはり、東南アジア、南西アジア、そして中東の一部の国が有効と言われています。特に肉由来や原材料そのものにハラル認証が必要とされ、イスラム市場へ輸出・進出するのに重要な要素となります。高経済成長中である東南アジア・イスラム市場のマレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンでも、ハラル認証が商談で有効だとバイヤーからは話が出ます。 南西アジアのインド、パキスタン、バングラデシュ等も同じです。少し東南アジアと違いますが、総じてハラル認証は有効性があると思います。 そして中東、UAEドバイやイランなどもハラル認証制度を東南アジア同様、またはそれ以上に進化させようと躍起になっています。(ハラル認証は時代とともに状況が遷移しますので、あくまでも現時点での考察になりますので、ご理解ください。) ハラル認証が必要な国を挙げると、マレーシア、シンガポール、インドネシア等の国々を中心とした東南アジア・イスラム市場をコアに、その他東南アジア、南西アジア、中東と広がっているようです。 [caption id="attachment_2171" align="alignnone" width="300"] マレーシア、インドネシア、シンガポールのハラル認証ロゴマーク[/caption] ハラル認証が「有効でない国」はどこ アフリカ・イスラム諸国(※1)を筆頭に、中央アジア諸国(CIS諸国、※2)などの国々は、肉以外のハラル認証制度が確立していない国も多いため、幾分ハラル認証制度の普及が遅れているようです。経済の発展と比例して、多数のイスラム諸国のハラル認証制度は発達すると言われていますので、時間の問題かもしれません。 また発展途上国が多く経済的な理由から、まずは「生きるための食糧確保」が第一になっている印象もあります。今後は経済の発展と共に、ハラル認証制度が普及するかもしれません。人口爆発のエリアでもありますので、今後の動向に注目したいところです。 ※1:アフリカ・イスラム諸国(市場)はアルジェリア、イエメン、ウガンダ、エジプト、オマーン、ガイアナ、カタール、ガボン、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、コモロ、シエラレオネ、ジブチ、スーダン、スリナム、セネガル、チャド、チュニジア、トーゴ、ナイジェリア、ブルキナファソ、ベナン、マリ、モザンビーク、モーリタニア、モロッコ、リビア、中央アフリカなど ※2:CIS諸国とは、正式加盟国はロシア・モルドバ・アゼルバイジャン・ベラルーシ・カザフスタン・アルメニア・ウズベキスタン・キルギス・タジキスタンの9か国。 トルクメニスタンが準加盟。 独立国家共同体 [caption id="attachment_2172" align="alignnone" width="300"] ハラル認証の肉[/caption] ハラルビジネスを学習して柔軟に対応する 要は「郷に入れば郷に従う」理論です。輸出・進出のルールは、簡単に言えば1か国1ルールです。アウェイでの戦いは相手国のやり方(ルール)で柔軟に対応する。ハラル認証がいる場合といらない場合、そして数か国で共有する場合としない場合など、準備しておくことがとても重要になります。この準備がハラルビジネスの社員研修や可能性診断、認証団体選定などになるかもしれません。 次回の6回目は原材料の「ハラル認証の対象商品は?」を解説したいと考えます。9月第4金曜日を楽しみにしてください。少しだけ朝夕は秋を感じる場面もちらほら。季節は秋に向かっています。引き続き、よろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら  
ハラル認証が有効な国、そうでない国【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.5】
2022.07.29

ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.4】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。今年は暑い日が続いた後で雨の日が続いたりと、梅雨明けと梅雨時期がテレコになったような「異常気象」ですが、その異常が通常になることがとても怖いです。コロナ禍も含め、新しい課題の原料高、資源高、さらには燃料高などがありますが、人間の叡智で何とか乗り越えていきたいものです。 今回は「ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス」を解説していきます。ハラルビジネスに取り組むには大きく2通りの方法があります。一つはハラル(ハラール)認証を取得して対応する方法、もう一つはイスラム教やハラルなどをきちんと学び、原材料成分や扱い方で対応する方法です。今回はこのことについて具体的にお話していきます。 ハラル認証取得は「パスポート」⁈ ハラル認証が必要なハラルビジネスは、多くの原材料メーカー様が直面している、現在進行形の課題です。イスラム諸国のバイヤー等にハラル認証取得を要求され、指定のハラル認証を取得して、輸出します。日本では原材料メーカーのハラル認証取得はここからスタートしたといっても過言ではありません。 最近は高い経済成長の東南アジアのイスラム市場で、マレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンからもハラル認証原材料の引き合いが多いと思います。今後もこの傾向は続き、ハラル認証を取得しての輸出も増えますが、現地製造のために海外進出する企業も並行して増えていくと見ています。輸出するものか?現地で製造するものか?の種分けの時代に入ったと考えられます。 エビデンスハラル(成分ハラル)の有効性 ハラル認証がいらないハラルビジネスでは、ハラル認証を取得してはいないが、「原材料はハラルですよ」「作っている工場やラインはこんな状況ですよ」ということをバイヤーと確認しながら輸出を進める、いわゆる「エビデンスハラル(成分ハラル)」という手法があります。 海外へ輸出するには、原材料を輸出したい国の「輸出可否」をそれぞれ確認する必要があります。原材料の詳細スペックを確認する必要があるので、事前に社内の研修やセミナーでイスラム教ないしはハラルの基本を学習しておけば、プラスアルファで「エビデンスハラル(成分ハラル)」を確認することができます。その情報を商談でバイヤーに伝えることで、ハラル認証は取得していないが、実質ハラル原料だから使用可能だったり、マレーシアやインドネシアなどで製造するハラル認証食品の原料として扱われたりします。 インバウンド対応はソフトに 国内のインバウンド対応に目を向けると、これからはアフターコロナ時代に入ります。日本に働きに来る外国人、学びに来る外国人、そして遊びに来る外国人はこれからもどんどん増えます。しかし、日本は非イスラム教の国ですから、本格的なイスラム教対応は難しく、国内で展開される手法の多くは、ハラル認証に頼らないマーケティングになると考えられます。ただし、素材や物にもよります。畜肉そのもの、または畜肉由来、油脂及び油脂由来などの原材料には、日本国内であってもハラル認証取得が有効な場合がありますので、対応を準備しておくといいと思います。国内は基本的な対応を学べば、ハラル認証に頼らない方法で問題ないと考えています。 次回は原材料の「ハラル認証が有効な国、そうでない国」について解説したいと考えます。8月の第4金曜日を楽しみにしていてください。また、夏バテや熱中症にも留意ください。引き続き、よろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら
ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.4】
2022.06.24

ハラル認証取得の基本を学ぶ【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.3】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。6月中旬、マレーシア、シンガポールに2年ぶりに出張に行きました。現地で見て聞いて、食品原材料のハラル(ハラール)ビジネスはますます盛んになると確信を持ちました。3回目となるこちらの回では、本丸のハラル認証について解説します。 国際認証のハラル認証に世界統一基準がない!? ハラル認証は「国際認証のひとつ」ですが、世界統一基準がありません。世界中に350以上のハラル認証団体(機関)が存在しています。国が運営する機関から、各種団体、株式会社、個人が運営する団体まで、さまざまです。この多くのハラル認証機関・団体等々の中から、自社の目的に合わせて選ぶ必要があることを、まずは念頭に置いてください。 特に日本はイスラム教徒の国ではないことから、ハラル認証団体は許認可団体ではありません。したがって輸出国、製品、目的により、話の前提となるハラル認証の有無から、取得すべきハラル認証も違うことを理解する必要があります。自社でハラル認証団体を選択することが最も大切な点です。 ハラル認証は、大きな部分ではイスラム教のハラルが原理原則ですが、多少の差異があります。具体的には、5つのカテゴリーを確認してハラル認証の発行がされています。1つ目は商品の選定で、最終製品であればネーミングなども関係することがあります。2つ目は原材料がハラルかどうか?です。入口の原材料がハラルでなければハラル認証は取得できません。3つ目は工場の確認で、製造工場の建屋、製造ラインの確認をします。ヴィーガン認証等は少し違い、現地で接触コンタミ(コンタミネーション:混入)がないか?の確認を行います。4つ目は原材料、中間製造物、最終製品の倉庫(置場)がハラル品とレギュラー品(一般品)とできちんと分けられているか?の確認もあります。5つ目はイスラム教徒の従業員等がいなくてもハラルチーム(他のFSSC、HACCPなど国際基準と同様)を作り、内部規定で管理することなどを満たしているか?これらのチェックを経て、ハラル認証の証明書やハラルロゴマークを発行しています。 東南アジアイスラム市場ではハラル認証が輸出パスポートに ハラル認証団体(機関)により難易度、料金、取得期間、対応言語、申請種類等が違います。ピンキリとは言いませんが、大きく違うことを理解しておくといいと思います。まずは初期費用、更新費用などを照会し、見積書をもらうこと、そして実際にハラル認証商品の効果測定ができる3年間のトータル金額をハラルビジネスの専門家に助言を受けるといいと考えます。最近は高経済成長の東南アジアイスラム市場で、マレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンからもハラル認証原材料の引き合いが多くなっています。 それぞれの国でハラル認証商品を作り、東南アジア域内や南西アジア、中東等に輸出していると考えられます。ハラル認証原材料が他の国際認証と同様、一般品に付与される、一種の輸出時のパスポート的な国際認証の一つになる勢いです。 次回の4回目は原材料の「ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス」を解説したいと考えます。7月第4金曜日を楽しみにしていてください。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら
ハラル認証取得の基本を学ぶ【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.3】
2022.05.27

食品原材料とハラルビジネスの親和性【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.2】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。5月20日まで3日間、食品原材料の展示商談会「ifia JAPAN 2022(アイフィア・ジャパン)第27回 国際食品素材/添加物展・会議」に協賛団体として出展していました。期間中、多くの事業者との新たな出会いに恵まれました。そこでシリーズ第2回の今回は、この折に改めて感じた原材料とハラル(ハラール)ビジネスの親和性についてお話していこうと思います。 原材料の「由来の担保」の現状 「日本の原材料」という、日本でしか作れないメイドインジャパンの原材料が、海外とりわけアジアで重宝されていることは十二分にご存じだと思います。海外生産の日本食品で、その味を再現するのに使われるフレーバーや添加物などはその代表です。東南アジア諸国や南西アジア等の経済発展により、そうした食品の自国流通が増えるようになると、イスラム教徒への対応、つまりハラル認証商品も必然的に多くなります。そこで、原材料の「ハラル性」も要求されます。 これまでは原材料の規格書とアンケートなどで「成分(エビデンス)ハラル」の原材料であれば、問題なく輸出ができていました。当協会も、自社で成分ハラルの推奨マークやエビデンスの証明書発行を行っています。現状は「由来の担保」はハラル認証でなくとも東南アジアのタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどに輸出できていますが、その流れが今後も続くかどうかは不透明です。 東南アジア諸国ではハラル認証商品が今後ますます増えることが予想されます。原材料にもハラル認証を要求されることを念頭に、今から準備を始めておくことをお勧めします。   日本の原材料はハラル認証がスタンダードに [caption id="attachment_1695" align="aligncenter" width="744"] ※こちらの画像はハラル認証やヴィーガン認証ではありません[/caption] 東南アジアで、食品のハラル認証商品は、増加の一途をたどっています。つまり、ハラル認証商品がスタンダード化している傾向があります。そのような国々に輸出をするには最低でもノーアニマル、ノーポーク/ノーアルコール、ノーアニマル/ノーアルコールの3種類のいずれかを示すことができると有効です。 しかしながら、この2、3年で特に顕著な傾向として、当協会に相談される原材料メーカー様のほぼすべてが買い手からハラル認証を要求されています。米、卵、きのこ、魚といった農林水産品にもハラル認証が付き始めた現状を考えると、加工度が高い物の原材料は当然ハラル認証を要求されると考えておくべきでしょう。 そのために準備しておくことが大きく3つあります。1つはハラル認証を取得したい製品は原材料の規格書ベースでそもそもハラルかどうか?2つ目はハラル認証は国際認証ですが、世界統一基準がなく自社で選ぶ必要があります。そのためどの国に輸出するのか、ターゲットを明確にしておくこと。そして3つ目は自社の工場がそもそもどこのハラル認証を取得できるかのか可能性を診断し、事前に対策を立てておくことです。これらの準備をしておけば怖いものはありません。 まずは自社の原材料を規格書ベースで確認してください。二次原料までの追跡、確認は現時点では必要ありません。ハラル認証機関(団体)によって指導が違うからです。次回は「ハラル認証取得の基本を学ぶ」についてもう少し詳しく解説したいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら 前回の記事はこちら: https://reports.shareshima.com/1520/
食品原材料とハラルビジネスの親和性【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.2】
2022.04.29

ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.1】

はじめまして、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。今回ハラルビジネスで業務提携を結んでいるシェアシマの新メディア「シェアシマinfo」で連載することになりました、よろしくお願いします。 (一社)ハラル・ジャパン協会はハラルビジネスのコンサルティング会社で、ハラル(ハラール)認証団体ではありません。現在一般会員150社、情報会員24,000人(約8,500社)で主にイスラム教徒向け(東南アジア・南西アジア・中東等)市場の輸出・進出及び国内・インバウンド対応に特化したコンサルティングを行っています。ハラルビジネスは原材料メーカー様にとっても相性抜群の事業領域です。第1回目の今回は、ハラルという言葉が初めての事業者のための入門的な話として、「ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析」をテーマとしました。   ハラルを正しく理解する イスラム教のHALAL(ハラル)の基本がわかるとハラルビジネスのポイントがわかります。ハラルの意味は「やっていいこと」、つまり食べ物でいえば、「食べていいもの」を意味します。イスラム教も宗教なので、仏教同様に食の禁忌があるということです。ライフスタイル全般にやっていいことを意味しますが、口に入れるもの、肌に触れるもの、身に着けるものが広く対象になると覚えておくといいと思います。 代表的なものは動物(畜肉)由来のコントロールで、豚肉・由来のモノは使用できません。また牛・鶏・羊は食べられますが、イスラム教徒のルールに従った方法で屠畜(とちく)しなくてはなりません。特に油・ゼラチン類・ショートニング・乳化剤などの添加物にも注意が必要です。アルコールは考え方がいろいろありますが、基本は酔わせるアルコールが禁止と覚えてください。消毒用アルコール、工業用アルコールなどは個人差がありますが、問題ではありません。酔わせる可能性がある種類のアルコールが問題と考えてください。 その他の水の中、土の中から採れる食べ物そのものは基本ハラル(「やっていいこと」)ですので、野菜・果物・穀物及び水産品は基本問題ないと考えてください。日本にある食べ物及び由来原料はハラルが多いと思います。特に明治時代までの日本の食べ物は穀物中心とした仏教(精進)料理で基本的にはハラルですね? 結局ハラルは動物由来とアルコール由来のコントロールが大事であり、ノーアニマル、ノーポーク、ノーアルコールの組み合わせの原材料で成立します。原材料の由来がとても重要です。   イスラム教は未来あるマーケット イスラム教徒は世界に約19億人いる世界人口の1/4のマーケットです。砂漠や熱帯雨林だけで信仰されているのではありません。世界宗教の1つと覚えてください。そして人口が増えていて、若年層が多く、これから経済発展する国が多いことも特徴です。未来あるマーケットで今世紀末には世界人口の1/3になるという予測データもあります。日本は超少子高齢社会で、人口も胃袋の大きさも減少しますが、イスラム教徒の国の多くは人口も増え、胃袋も大きく増加します。 特に東南アジアのマレーシア・シンガポール・インドネシア、南西アジアのインド・バングラデシュ・パキスタンなど、また中東はUAE(アラブ首長国連邦、ドバイは首長国の一つ)・サウジアラビア・イラン・トルコ、中央アジア、アフリカ、EUや北アメリカにも多くのイスラム教徒(ムスリムと言います)が生活しています。 このマーケットは日本にとってはブルーオーシャンですが、海外は何年も前から取り組んで日本は地球1周半遅れのスタートです。次回は「原材料のハラルビジネス」についてもう少し詳しく解説したいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら つづきを読む: https://reports.shareshima.com/1693/
ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.1】

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NEW 2022.11.24

知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?

地球の人口増加や環境問題により、食肉などのタンパク質が不足するのが「タンパク質危機」です。私たちの食卓に影響するかもしれない世界規模での課題であるにもかかわらず、一般にはそれほど広く認知されていません。こちらの記事では、タンパク質危機とはどのような問題かを解説すると共に、タンパク質危機を避けるための4つの選択肢について説明します。タンパク質危機という問題が生じている理由から取りうる対応策までを紹介し、プラントベースフードなどがにわかに注目を浴びている背景をお伝えしていきます。 タンパク質危機(タンパク質クライシス)とは タンパク質危機は、世界人口の急速な増加に由来する問題です。まずはその背景的な事情からみていきましょう。 少子化真っ只中の日本。でも世界の人口は? 日本では、出生率の低下に伴い若年層の人口が減少する「少子化」が急速に進んでいます。そのためあまり実感がわきませんが、一方で世界の人口は増え続けている状況です。国連の調査によれば、世界の人口は現在約80億人であるところ、2030年には約85億人、2050年には約98億人、2100年には約112億人になると推定されています。 2030年までにタンパク源が足りなくなる恐れ 世界規模での人口増加に伴って、近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足すると予測されています。この予測は「タンパク質危機」と呼ばれていて、欧米諸国を中心に話題になっています。現状のままだと早ければ2025年から2030年ごろまでに需要と供給のバランスが崩れ始めると言われています。 人間の身体を構成するのは、水分が約60%、タンパク質が約15~20%とされています。つまり、タンパク質は水分を除いて体の重量の約半分を構成する、生きていく上で大切な栄養素です。欧米では「プロテインチャレンジ2040」と題したコンソーシアムが立ち上がり、その中から複数のプロジェクトが始動しています。タンパク質危機をどう乗り越えていくのかは、人類が生きていく上で極めて重要な課題です。 タンパク質危機を避けるための4つの選択肢 タンパク質危機を回避するために、世界中でさまざまな検討が行われています。ここでは、その中から代替肉と培養肉、昆虫食、藻類という4つの選択肢について解説します。 代替肉 代替肉とは、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「肉のような食材」のことです。欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされていて、別名「プラントベースミート」と呼ばれることもあります。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも大豆ミートを使ったメニューが登場し、話題になっています。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場するなど、さまざまな研究・開発が進められています。 培養肉 培養肉は、牛などの動物から取った少量の細胞を、再生医療の技術により体外で増やして作られます。プラントベースの代替肉とは異なり「本物の肉を使った代用品」です。従来の食肉の生産方法と比べて、飼育・繁殖する過程における動物へのストレスや環境への負荷が少ないとされています。こうした特徴から、別名「クリーンミート」と呼ばれることもあります。 培養肉は、2013年にオランダの研究者が培養ミンチ肉を作ったのがその始まりです。日本でも培養肉の研究が進められていて、2019年には世界で初めてサイコロステーキ状の培養肉を作ることに成功しました。大きな肉を作るための技術の開発など乗り越えなくてはならないハードルが多いものの、持続可能な食材という意味で期待が寄せられています。 昆虫食 昆虫食とは、コオロギなどの昆虫を原料にした食品のことです。大豆ミートなどのプラントベースフードは植物性のタンパク質しか得られないのに対して、昆虫食の場合、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができます、また、昆虫食は飼育・加工に必要なスペースや資源が最小限で済み、環境負荷が低いというメリットもあります。 日本にも貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫食には食品の安全性や見た目への抵抗感といった課題があるものの、環境負荷の少ないサステナブルな食材として注目を集めています。 藻類 細胞分裂をして増殖する藻類はタンパク質含有量が50~75%であり、新たなタンパク質源としての可能性を持っています。藻類は良質なタンパク質だけでなく、炭水化物や脂質、ビタミン、ミネラルなども豊富に含まれています。現在市場に流通しているのはタンパク質が豊富に含まれるクロレラやスピルリナで、藻類をそのまま乾燥させて粉末状にしたものが主流です。 藻類は栄養価が豊富であるものの、藻類を乾燥した粉末は独特の匂いがあることや、藻類バイオマスの生産コストが肉や大豆に比べて価格が高いことなどから、タンパク質源としてはこれまで積極的に利用されていませんでした。しかし、近い将来に訪れるとされるタンパク質危機を前に、藻類の利活用が見直され始めています。 まとめ 世界の人口増加に伴って、近い将来訪れると言われているタンパク質危機。この記事では、タンパク質危機を回避するために私たちが取りうる選択肢として、代替肉、培養肉、昆虫食、藻類の4つを紹介しました。食品としての安全性や抵抗感、生産コストなど、それぞれに乗り越えるべき障壁はありますが、タンパク質危機を避けるために、世界中でさまざまな研究・開発が行われています。これまでの常識にとらわれない、新しい食の選択肢が求められていると言えそうです。
知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?
NEW 2022.11.22

昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?

コオロギなどの昆虫を原料にした食品「昆虫食」。日本にも、貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、多くの人にとってはなじみの薄いものでしょう。しかし今、環境負荷の少ないサステナブルな食料として、世界が昆虫食に注目しています。 一体なぜ、これほどまで昆虫食が話題になるのか。この記事では、昆虫食が期待される背景を解説した上で、栄養価の高さなど注目の理由を解説します。他方で、「本当に安全性に問題はないの?」「昆虫を食べるリスクは」といった疑問や不安の声にもお答えします。 昆虫食が注目を集める背景 無印良品で話題となった「コオロギせんべい」をはじめ、日本では勢いのあるベンチャー企業が、昆虫食ビジネスを盛り上げています。そうした流れに至るまでに、どのような背景があったのでしょう。 増える世界人口、ひっ迫するタンパク源 日本は少子化に直面していますが、世界全体では人口は増加し続けています。このまま行けば、2050年に世界人口は100億人に達すると言われています。 近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足する恐れがあると言われています。「タンパク質危機(タンパク質クライシス)」を避けるために、大豆ミートをはじめとしたプラントベースフードの開発が進みました。しかし、植物由来の食べ物からは、植物性のタンパク質しか得られません。そこで、注目されたのが「昆虫食」。なぜなら昆虫は、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができるからです。 転機の国連食糧農業機関(FAO)報告 2013年、国際連合食糧農業機関(FAO)が「ある報告書」を発表しました。それは、世界の食糧危機への対策として昆虫食を推奨するというもの。この報告書を契機とし、世界各地で昆虫食の研究・開発が加速しました。昆虫を食べる習慣のなかった欧州でも、2018年、欧州連合(EU)が昆虫を新規の食品として域内で販売することを認めました。 昆虫食を選ぶメリット さぁここから、他にはない昆虫食のメリットを深掘りしていきます。 非常に優れた環境負荷の低さ 狭いスペースで飼育・加工ができる 昆虫は牛や豚、鶏などの家畜よりも狭い場所で飼育できます。コオロギ1キロを生産するのに必要な農地は、鶏肉や豚肉の約3分の1、牛肉なら約13分の1しか必要としません。また、出荷用にパウダーなどに加工する場合でも、小規模な施設で行えます。飼育・加工に場所を取らないということは、それだけ効率的に生産できるということです。 飼育に必要な資源が少ない 昆虫の生産は、家畜に比べて少量の水や飼料で可能です。牛肉を1キロ生産するためにはおよそ8キロのえさを必要とするのに対し、昆虫1キロの生産には約2キロのえさを使うだけで済みます。生産に必要な水についても同様で、コオロギの生産に必要な水は、牛肉の場合の約2500分の1で済んでしまいます。 温室効果ガスの排出量が少ない 牛1頭がげっぷなどで出すメタンガスは1日160リットル以上で、地球温暖化を促進していると言われています。しかし、昆虫の飼育に伴う温室効果ガスの排出量はその10分の1以下。昆虫食は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減にも効果があるというわけです。 丸ごと食べられて、食品ロスにも貢献 昆虫食は食品ロスの削減にも貢献します。牛1頭の可食部はおよそ4割ですが、昆虫はそのほとんどが食べられるので無駄がありません。また昆虫のえさには、残飯など本来なら捨てられてしまうものを利用できます。焼却コストのかかる生ごみの量が減り、一方で、貴重なタンパク質源になるというのですから、昆虫食の利点が際立ちます。 牛や豚に負けない栄養価の高さ それで終わらないのが、昆虫食のすごさです。ガやハチの幼虫の場合、体重の50%がタンパク質と言われています。牛や豚が1〜3%ですから、それに比べると非常に高い含有率です。昆虫は、良質なタンパク質だけでなく、食物繊維や、カルシウム、銅、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含む上に、脂肪分は少ないという健康に良い食品です。 昆虫食のデメリット 栄養価が高く、環境にも良い昆虫食。その一方で、なじみの薄い昆虫食に対するネガティブな考えも少なくありません。今度は、考えられる昆虫食のデメリットを見ていきましょう。 安全面でのリスクは? 専門家の助言なしに、自然採集した虫を食べるのは、危険を伴う行為です。なぜなら、野生の昆虫には、毒を持つものや、寄生虫や病原菌を媒介するものもいるからです。一方で、管理された環境下で生産されたものは、昆虫とはいえ、他の食材と同様に安全です。 安心を担保する「コオロギ生産ガイドライン」 消費者により安心してもらえる環境を整えようと、2022年8月、民間団体が「コオロギ生産ガイドライン」をまとめました。研究機関や企業などでつくる「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)」が、コオロギの生産過程の衛生管理を中心に行動指針を決めました。公的なルール整備がない中で、民間主導で一定のルールを示すことで信頼性を高め、昆虫食のさらなる普及につながることを期待しています。 アレルギーリスクについて 昆虫食は、食物アレルギーを持つ人には注意が必要です。昆虫には、エビやカニなど同様の甲殻類アレルギーの原因となる「トロポミオシン」という成分が含まれているからです。昆虫に限らずすべての食材に言えることですが、これまで口にしたことのない食材を食べる時には、これまでアレルギーの自覚症状がなかった人でも、慎重を期すようにしましょう。 見た目への抵抗感 多くの人にとって、昆虫を食べることに対して、心理的なハードルがあります。初めて口にするものに対して拒絶反応が出るのは、動物的な本能として当たり前のことです。もしかしたら、これが昆虫食にとっての最大の問題かもしれません。日本でも昆虫食品の開発は大変盛んで、さまざまな商品ラインナップがあります。まずは、昆虫の姿を連想しづらいパウダー入りの菓子やパンなどから試してみるのがいいかもしれません。 そして、「まずいものをわざわざ食べたくない」というのが、大半の人の率直な気持ちだと思います。実際のところ、昆虫の味は実に多種多様で、思いきって食べてみると、おいしく感じるものもたくさんあります。バッタはエビやカニに似た食感、タガメは洋ナシや青リンゴのようなフルーティな香りだとか。セミに至っては、幼虫だとナッツのようなクリーミーな風味で、成虫になるとエビのような風味が楽しめます。 昆虫食とは 1900種類の食べられる昆虫 世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫学者である三橋淳氏の書いた『虫を食べる人びと』(平凡社ライブラリー)によれば、世界ではハチやイナゴに加えて、カブトムシ、カミキリムシなども食べられているそうです。 世界の昆虫食  タイ 昆虫食が住民生活に浸透しているタイでは、スーパーマーケットの食材コーナーに昆虫のサナギや幼虫が並んでいたり、昆虫の佃煮を売る屋台を目にしたりすることも珍しくありません。特に人気があるのはコオロギで、盛んに養殖されています。最近では、コオロギのスナック菓子やコオロギパウダー、コオロギオイルなど、コオロギを原材料にしたさまざまな加工食品が登場しています。特にコオロギパウダーは輸出用としての需要が高く、国もその動きを後押ししています。 ケニア アフリカ東部のケニアで最もよく食べられている虫は、シロアリです。日本でシロアリと言えば、住宅の床下で暮らすアリ(職蟻)を意味することが多いですが、現地で食べられているのは別の種類のアリ(羽蟻)です。このシロアリを使った「クンビクンビ(kumbikumbi)」という伝統料理があり、栄養失調を改善する効果があると言われています。実際、シロアリには、良質な動物性たんぱく質や脂質のほか、カルシウム、鉄分、アミノ酸などが豊富に含まれています。ケニアのシロアリはインターネット通販などでも販売されています。 日本の昆虫食 長野県に根付く昆虫食文化 日本で昆虫食文化が盛んな地域といえば、長野県です。信州でよく食べられている昆虫といえば、ハチノコやイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼ばれているそうです。 ハチノコはスズメバチの幼虫やさなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。長野県はかつて養蚕が盛んで、カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫です。ザザムシは水生昆虫で、ヒゲナガカワトビケラなどの幼虫のことを指し、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷地域で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。イナゴやカイコは、稲作や養蚕を営む過程で副産物として発生するもので、昆虫食は、自然と共生する地域の暮らしに深く結びついていたのでしょう。 まとめ 昆虫食のメリットとデメリットを押さえてきましたが、環境負荷が低くて栄養価も高いという特徴を踏まえると、昆虫食がこれだけ話題になっていることもうなずけると思います。昆虫を食べるという行為に対して抵抗感はあるかもしれませんが、以前は「生で魚を食べるなんてありえない」と言っていた欧米人が、「Sushi(寿司)」を高級料理としてもてはやしているのを見ると、さほど大きな問題でないようにも思えます。先入観だけで昆虫食という選択肢を排除せず、機会があったらぜひともチャレンジしてみてください。
昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?
NEW 2022.11.17

代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説

世界中で「代替肉」のブームが到来しています。代替肉とは、その名前の示す通り、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「まるで肉のような食材」のことです。 では実際に、代替肉はどのような素材から作られ、どのように利用されているのでしょうか。この記事では、代替肉の定義を確認した上で、代替肉の原材料や原材料別の使用例について解説します。この記事を読むことで、代替肉の全体像を把握し、代替肉は具体的にどのようなものであるかを理解していただけます。 プラントベースミートと呼ばれることも 代替肉は、欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされています。代替肉は地球が抱える環境問題の解決や世界の人口増加に対する食料不足への対策、食の多様性への対応という側面においても大きな意味を持つと言われています。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場しました。いずれも「植物由来の肉」であることから、英語ではプラントベースミートと呼ばれています。 フェイクミート、オルタナティブミートとはどう違う? 代替肉はプラントベースミート以外に、フェイク(偽物の)ミートやオルタナティブ(代替の)ミートと訳されることもあります。呼び方はそれぞれ異なるものの、いずれも動物の肉に見た目や風味を似せた、植物性原料から作られた食材を意味しています。代替肉のどのような特徴を強調したいのかによって、フェイクミートやオルタナティブミート、プラントベースミートという言葉が使い分けされているようです。 大豆ミート:代替肉の定番でバリエーション豊富 大豆ミートとは 大豆ミートは、その名前の通り大豆で作られた代替肉のことです。ソイミートや大豆肉と呼ばれることもあります。大豆は別名「畑の肉」と呼ばれるほど栄養が豊富で、良質なタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルも多く含有しています。 大豆ミートは代替肉の定番であり商品の数も多く、最近はスーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かける機会も増えました。 大豆ミートは水やお湯などで戻してから利用する「乾燥タイプ」が主流ですが、すぐに使える「レトルトタイプ」や「冷凍タイプ」もあります。また、形状は主に「ミンチタイプ」「フィレタイプ」「ブロックタイプ」という3種類で、用途に応じて使い分けできます。 あの有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも 大豆ミートの需要の高まりを受けて、大豆ミートをメニューに導入する飲食店も増えています。大手ハンバーガーチェーン「モスバーガー」では「ソイパティシリーズ」と題して、大豆ミートを使ったハンバーガーのラインアップが登場しています。 また、大手コーヒーチェーン「スターバックス」はサマーシーズン第2弾として“Yori Dori Midori”をテーマにして、プラントベースという選択肢を提案。新しく加わったメニューのひとつ「スピナッチコーン&ソイパティ イングリッシュマフィン」では、肉の代わりに大豆を使ったソイパティを使用しています。 ひよこ豆の代替肉:味のクセが少なく使いやすい ひよこ豆とは ひよこ豆は大豆と同じくらいの大きさの丸い豆です。アジア西部が原産で、インドや欧米諸国、中近東などでは一般的によく流通しています。タンパク質が多く食物繊維が豊富で脂肪分が少ないことから、少し前から食肉に代わるヘルシーな食材として話題を集めています。 ひよこ豆は日本では馴染みの薄い豆ですが、味にクセが少ないため食べやすいのが特徴です。乾燥した状態の豆は水で戻して煮る必要がありますが、水煮されたレトルトタイプを使えば、手軽に利用できます。 使用例:カレーや揚げ物、おやつにも ひよこ豆の生産量はインドが世界一で、ベジタリアンの多いインドではカレーの具材に使われることも多く、日常的に食べられています。インドでは、ひよこ豆の外側の皮を取り除いて割った豆を「ダール」と呼び、カレーにもよく利用されています。また、ひよこ豆を粉末にした「ベサン粉」は、インド風天ぷら「パコラ」をはじめ、おやつや軽食にも用いられています。 この他にひよこ豆を使った料理としては、ひよこ豆のペースト「フムス」やひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」も有名です。 レンズ豆の代替肉:ひき肉代わりとして使える レンズ豆とは レンズ豆は、レンズのように平たい形状をしています。レンズ豆には緑色やオレンジ色、褐色などさまざまな色があり、3~6ミリ程度と非常に小さいことも特徴です。日本ではあまり知られていない豆ですが、欧州などでは日常的に利用されていて、特にヴィーガンやベジタリアンの人たちに親しまれています。 レンズ豆は「世界五大健康食品」の一つに数えられていて、ビタミンB群やタンパク質、鉄分、食物繊維を多く含有しています。特に、皮付きの茶色のレンズ豆には100グラム中に9.4ミリグラムの鉄分が含まれていて、これは大豆の含有量よりも多いと言われています。 使用例:カレーや煮込み料理、サラダに レンズ豆はインドやネパールではカレーの具材として、イタリアやフランスなどの国では煮込み料理やサラダなどによく使われています。代替肉としての使い方として、レンズ豆は粒が小さいので、ひき肉のような感覚で利用することができます。例えば、ハンバーグを作る際にレンズ豆で代用する方法があります。 レンズ豆には特有の匂いがあるので、気になる場合は、スパイスを加えたり濃い味付けをしたりするのがおすすめです。レンズ豆は水を吸収しやすいため、あらかじめ水で戻す必要がなく、料理にそのまま使うことができるのも魅力です。 エノキート:キノコの旨味でおいしさ追求 エノキートとは エノキートとは、エノキタケとミートを組み合わせた名前です。エノキートはエノキタケを主原料として作られた代替肉で、農業法人である株式会社小池えのき(以下、小池えのき)によって開発されました。小池えのきの本社がある長野県中野市は、日本最大のきのこの生産地として知られ、エノキタケの生産量は全国の約4割を占めます。地元の食材を使った、新しいタイプの代替肉として注目を集めています。 エノキートには、発芽大豆から作られた大豆ミート「ミラクルミート(DAIZ)」を使用しています。ミラクルミートには、大豆独特のくさみがほとんどありません。ミラクルミートにはうまみ成分「グルタミン酸」が含まれていて、エノキタケのグアニル酸を組み合わせることでうまみが格段にアップし、動物の肉に劣らない独特のうまみが実現できます。 使用例:ハンバーグ エノキートを使った代表的な料理は、ハンバーグです。原材料は、エノキタケとタマネギ、大豆ミート、パン粉、調味料。原材料の半分以上が、エノキタケとタマネギです。5ミリ程度のみじん切りにしたエノキタケを使用することで、肉によく似た食感が生まれます。エノキタケは加熱すると独特のぬめりが出るため、つなぎの代わりになるという点からハンバーグに使うのに適しています。 エノキートのハンバーグは合いびき肉を使った通常のものに比べて、脂質やカロリーが少なく食物繊維が多いとされています。大豆ミートを使用しているため、タンパク質の量は通常のハンバーグとほとんど変わりません。ヘルシーでありながらタンパク質がしっかり摂取できるので、ベジタリアンやヴィーガンの人たちだけでなく、健康への意識が高い人にも支持されています。 まとめ 世界中で需要が高まっている、代替肉。代替肉と一口に言ってもその種類は多く、今回紹介した4種類以外にもさまざまなタイプがあります。 代替肉には私たちの健康維持や地球の環境保全につながるメリットがある一方で、原材料の調達や製造プロセス次第では、環境に負荷を与える可能性もあると言われています。今後、こうしたデメリットにどのように対応していくのかが課題でしょう。代替肉の分野は成長過程にあり、これからの展開に注目したいです。
代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説
NEW 2022.11.16

AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線

ゴミとして捨てられるプラスチックの多くが、適切に分別されないことにより、再利用の道が閉ざされているという嘆かわしい現実があります。この問題を高度なIT(情報技術)で乗り越えようと、オーストラリアの研究チームが動きました。飲料容器の分別を自動的に行うことができる「スマートビン技術」を搭載した画期的なゴミ箱を開発しました。 ITでゴミを自動分別、リサイクル率を向上 ​​オーストラリア最大の都市・シドニーがあるニューサウスウェールズ州では、年間80万トン出るプラスチックゴミのうち、リサイクルされているのはわずか10%だそう。これは、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の調べで分かりました。 プラスチックのリサイクルのプロセスは非常に複雑です。適切に分別がされないと、こうした事態に陥ります。リサイクルできない廃棄物の一部が焼却場行きとなれば、その分温室効果ガスの排出量が増えます。これらがきちんとリサイクルに回れば、地球温暖化にも大いに貢献するでしょう。 問題解決に向けて、シドニー工科大学(UTS)の共同研究チームは、ゴミの中から自動的に飲料容器を選り分ける機能を搭載したゴミ箱を開発しました。その名は「スマートビン技術」。これにより、最も多い廃棄物のひとつである飲料容器のリサイクル率を向上させることができます。 人工知能(AI)、ロボット工学、画像の認識技術などを組み合わせた先端テクノロジーが搭載されたこのゴミ箱は、ガラスや金属、プラスチックなど素材別に仕分けしてくれます。さらに、ペットボトルの素材となるポリエチレンテレフタレート(PET)や、シャンプーボトルに使われる高密度ポリエチレン(HDPE)など、プラスチックをさらに細かい種類別に分けることができます。 方法としては、まずゴミをカメラで撮影し、AIアルゴリズムを実行して、膨大なデータを処理・分析することにより分類します。そしてIoT(モノのインターネット)を含む最新のロボット技術により、重さや物質、素材を感知してゴミを分別するという仕組みです。 スマートビン技術の社会実装の日は近い 今後、あらゆる地域でスマートビン技術搭載のゴミ箱が利用されるようになれば、プラスチックゴミのリサイクル率は飛躍的に向上し、業者による回収作業もより素早く正確になります。研究チームは、このゴミ箱を管理するシステムの開発を進めています。システムが実用化されれば、ゴミ箱の所有者が、ゴミ箱の充填具合などの状態を遠隔で監視、点検できるようになります。ゴミ箱が満杯になった時、ゴミ箱を空にする必要があることを知らせる通知が表示されるという仕組みです。また、地域の人々にとっては、自分がどれだけリサイクル活動に貢献しているかがアプリに記録され、そのことを通知として受け取ることができます。 この実証実験は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究プログラムの一環として行われています。同機構は2030年までに、オーストラリアで排出されるプラスチック廃棄物を80%削減することを目指しています。スマートビン技術はまだ試作段階ですが、いずれはショッピングセンター、学校、映画館、カフェ、企業、空港などにスマートビン技術搭載のゴミ箱が設置される予定です。
AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線