シェアシマが発信する「食品開発者のための専門メディア」
業界情報や製品・サービス紹介などの食にまつわる情報をお届け!

menu icon

人気のタグはこちら

“フードシェア” タグの記事一覧

2022.08.18

食品の3分の1が捨てられる世界、解決方法は「フードシェアリング」

少子高齢化が問題となっている日本では実感できませんが、世界の人口は増え続けています。2050年にはなんと97億人にまで増えると言われていて、さらに多くの食品が必要になることが見込まれます。すでに現在、8億人が飢えに苦しんでいる状況で、対策は急務です。その一方で、世界で作られる食料品のおよそ3分の1が捨てられています。世界の食料品廃棄量は年間13億トンにも上ります。どのくらいの量かイメージがつかないと思いますが、飢えに苦しむ人たちが必要とする食料品の数倍分に当たる、実に20億人分の食料品が失われているのです。 食べ切る・使い切ることを目標に 日本での食品廃棄物のうち、まだ食べられるものを「フードロス」というのですが、その量は約646万トン、そのうち製造・卸・小売・外食事業者による廃棄が357万トンと半分以上を占めています。ちなみに世界全体の食料援助が320万トンですから、どれほどの食料品がムダになっているのかお分かりいただけると思います。日本でも「食品リサイクル法」などを制定して廃棄量を減らす方向に進んでいますが、根本的な解決には至っていません。やはり食料品は食べ切る!使い切る!ということを第一の目標にしなければならないでしょう。そこで注目されているのが「フードシェアリング」です。 買い手・売り手の双方にメリット フードシェアリングは、使わなかったり、余ったりした食料品を、事業者や個人の間で取引する新しい仕組みです。社会貢献ができる仕組みだと思う人も多いと思いますが、これを上手く使いこなせば企業にとっても大きなメリットがあります。例えば、今までなら余らせてしまった食料品は廃棄するしかなく、経営的な損失となっていました。しかし、この仕組みを利用することで、売り手は損失を抑えることができ、また買い手は仕入れコストを抑えることができます。つまり、フードシェアリングは食料品の新しい取引方法なのです。 フードシェアリングの仕組みは世界各国で始まっていますが、まだスケールの小さいものがほとんどです。この仕組みが国全体、ひいては世界全体へと広がっていけば、廃棄される食品が大きく減るのは間違いないでしょう。
食品の3分の1が捨てられる世界、解決方法は「フードシェアリング」
2022.07.20

スペインが食品ロスの厳罰化へ。世界が注目する本気の新法案

「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標の1つに、2030年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させることが盛り込まれるなど、国際的な食品ロス削減の機運が高まっています。日本においても2019年に食品ロス削減推進法が施行されました。そうした中、スペインでは6月、食品廃棄物を減らすために厳罰を伴う新たな法案が国会に提出され、その野心的な内容が世界の注目を集めました。 食品ロスの企業に最高6800万円相当の罰金 この法案によれば、スーパーマーケットなどの食品の生産や供給に関わるすべての企業は、食品廃棄物の削減を計画することを義務づけられます。もし売れ残りなどの食品廃棄の量を減らす取り組みを怠れば、最高6万ユーロ(約800万円)の罰金が科せられ、これが悪質な場合だと最高50万ユーロ(約6800万円)にもなるというから驚きです。 この厳しい罰を回避するために、スペインのフードチェーンでは、食品の無駄な損傷を防ぐための正しい取り扱い、保管、輸送について今まで以上に十分な教育が求められます。そして、最適な鮮度を保つための冷蔵庫などの設備の適切な管理・維持へもより一層の配慮が必要になります。 スペインの多くのスーパーマーケットでは、以前から賞味期限が近い果物や野菜には、そのことを示すラベルが目立つように貼られていました。新法案が可決されれば、今後はそれだけでなく、そうした商品の価格を早めに下げて売り切ることや、期限が切れる前に慈善団体に寄付するケースが増えることになります。こと、大企業に関していえば、賞味期限が切れる前の食品を寄付する計画を事前に提出することなども課されています。 農場やメーカーでも、売れ残りやすい形やサイズが小さな果物は、ジュースやジャムに加工することが求められます。人が食べるには適さないけれど、カビや害がない場合は、動物の餌にするといった対策へもこれまで以上に積極的に取り組まなければなりません。人や動物が食べられなくないものは、家畜の飼料や肥料、バイオ燃料の生産へと回されます。 飲食店では無料の持ち帰り袋の提供を義務化 バーやレストランといった飲食店については、顧客が希望した場合、無料の持ち帰り袋「ドギーバッグ」の提供を義務付けることを盛り込みました。元々、食べ残しを持ち帰るという習慣が一般的でなかったスペインの人々にとっては、これは画期的な施策です。 また、飲食店には食べ残しをフードバンクやNGOに提供することも義務付けようとしています。 今回の法案は、学校や病院といった公共機関も、食品ロス対策の当事者に位置付けています。例えば、あまり空腹でない生徒や患者の皿には食べ物を盛りすぎないようにするといった食品廃棄を減らすための工夫をしなければなりません。 スペインのこの新法案は、農場からスーパーやレストランを経て消費者に至るまで、食品供給の一連の流れであるフードチェーンに関係するすべての人々や企業・団体を対象としています。EU全体で、食品廃棄物の53%が消費者から出ていて、この状況はスペインでも同様です。政府は個々の家庭から罰金を取ることまではしませんが、消費者の行動を変えるための教育キャンペーンも実施していく方針です。 EUは国連の目標に沿って、2030年までにEU域内の食品廃棄物を50%削減させることを約束しています。この地球規模の問題に取り組むべく、今回のスペイン政府の思い切った決断は、その一翼を担う国としての責任と覚悟が示されたものだといえそうです。  
スペインが食品ロスの厳罰化へ。世界が注目する本気の新法案
2021.06.16

コロナ禍における、フードバンクの意味や役割とは?

フードバンクとは? コロナ禍で苦境に立たされている人達を救う取り組みが、全国各地で進んでいます。そのひとつが、フードバンクによる活動です。 活動事例を紹介する前に、まずフードバンクとはどんな意味なのでしょうか。一般社団法人全国フードバンク推進協議会のホームページによれば、次のように定義されています。 「フードバンクとは、安全に食べられるのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で流通に出すことができない食品を企業などから寄贈していただき、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動です。」 フードバンクの活動は、1967年にアメリカでスタートしたもの。アメリカには200以上ものフードバンクの団体があるとされています。また、フランスやカナダ、オーストラリアなどでもフードバンクの活動が盛んです。ちなみに、日本でフードバンクの活動が始まったのは、2000年以降とされています。 フードバンクの活動が進む背景には、食べられるのにも関わらず廃棄される「食品ロス」や、「子どもの貧困問題」などが深く関わっています。これらの根本的な課題を解決するためには、行政や企業、地域住民と連携しながら、フードバンクの活動していく姿勢が求められるでしょう。 コロナ禍における、NPO法人セカンドハーベスト・ジャパンの取り組みとは? 日本で初めてフードバンクの活動をスタートしたのは、「NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン」という団体です。この団体では、食品製造メーカーや農家、個人から食べられるのにも関わらず廃棄される食品を集めて、児童養護施設の子どもたちやDV被害者のシェルター、路上生活者など必要とする方に届ける活動を行っています。 また、コロナ禍における新しい取り組みとして、経済的に厳しい状況に置かれた学生に対して、食料を支援する活動をスタート。食料の支援により、学業の継続をサポートすることを目指しています。具体的な内容としては、「学生証+奨学生証」「学生証+公共料金支払書」などを提示することで、予め決められた「パントリー」「フードパントリー」という場所で食料を受け取ることができます。 日本ではまだまだ認識の薄いフードバンクですが、コロナ禍における貴重な活動が各方面から注目されています。その活動の意味や役割を認識し、自分や自社にできそうなことを考えてみてはいかがでしょうか。
コロナ禍における、フードバンクの意味や役割とは?
2021.03.23

「世界食料デー」SDGsの取り組みをみんなで考えよう

「世界食料デー」月間とは?国連は10月16日を「世界食料デー」、10月を世界食料デー月間と定めています。世界の飢餓や食糧問題について考えるとともに、その解決に取り組む1ヵ月としています。日本では2008年からこの世界食料デー月間の期間を活用して、NPO/NGOや国連機関などとの連携による情報発信を行っています。 特定非営利活動法人国際連合世界食糧計画WFP協会によれば、2018年時点での世界の飢餓人口は約8億2000万人以上とされています。これは「世界の人口のうち、約9人に1人が飢餓で苦しんでいる」という計算になります。世界食料デー月間では、飢餓や食糧問題はその課題に苦しんでいる当事者だけでなく、社会全体の課題であるとされ、より多くの人による多面的な取り組みが必要です。 例えば、飢餓が深刻化する一方で、食べられるのに廃棄されてしまう「食品ロス」などの問題があります。解決方法のひとつとしては、消費者は「(賞味期限の長いものを選ぶのではなく)賞味期限の短いものを買う」「購入した食材は残さず食べ切る」といった心掛けが重要です。また食材や料理を提供する側としては「食べられる量を提供する」など、それぞれの立場で身近にできることから実践することが求められます。 世界食料デー月間とSDGs 世界食料デー月間に関連して、持続可能な開発目標(SDGs)における17の目標のひとつに「飢餓をゼロに」というものがあります。これは、次に挙げるような他の目標とも密接に関わっています。 例えば、「貧困をなくそう」という目標について言えば、極度の貧困状態にある人々(1日あたり1.9ドル以下で暮らす人々)の数は、1990年以降大幅に減りました。しかし依然として、2015年時点では世界に約7億3700万人が極度の貧困状態にあるとされ、飢餓にも深くつながっています。 「つくる責任 つかう責任」という目標では、「生産された食料のうち、約3分の1が廃棄もしくは損失している」という現実が大きな問題となっています。飢餓で苦しむ人が減り、より多くの方が食べられるようにするために、環境にも配慮しながら持続可能な生産・消費の仕組みを構築していくことが望まれています。 最後に「パートナーシップで目標を達成しよう」という目標は、行政・企業・NPOなどさまざまな主体が関わっていくことの重要性を意味しています。これは飢餓だけでなく他の課題にも通じることですが、世界規模での課題を解決するためには、それぞれの専門分野を越えて取り組んでいくことが大切です。 食料デー月間をきっかけに、私たちが身近にできることを考えてみてはいかがでしょうか。
「世界食料デー」SDGsの取り組みをみんなで考えよう
2020.11.30

コロナ禍で売れ残った高級食材、新しい売り方とは

高級食材が売れ残っている現状 新型コロナウィルスの影響により、結婚式などのイベントや接待などが大幅に減っています。それに伴って、高級食材や引き出物用のお菓子などが大量に売れ残っていることをご存知でしょうか。 例えば、私の暮らす愛知県で盛んに生産されている紅色のしょうがの一種「はじかみ」。和食の焼き魚などに添えられることも多く、料亭などでよく利用されてきました。ところがコロナ禍でそうした需要も少なっています。はじかみが大量に売れ残ってしまい農家さんが困っている、というニュースが新聞などでも取り上げられました。 はじかみ農家だけでなく、こうした状況に追い込まれている生産者や加工業者は全国に数多く存在します。そこで、この現状を解決すべく、コロナ禍で売れ残った高級食材を売るためにいろいろな活動がスタートしています。 高級食材を売るための活動がスタート まずご紹介するのは、結婚式などの引き出物に使われる高級菓子や高級グルメなどを格安で販売するサイト「PIARY(ピアリー)」。行き場を失った食品の数は、なんと約600万個にものぼるのだとか。こうした食品を「引き出物おまかせ10点詰め合わせセット」として、手頃な価格かつ送料無料で販売しています。「フードロス削減のための支援・協力」ということだけでなく、「幸せのおすそわけ」というコンセプトも魅力のひとつです。 次にご紹介するのは、プロ料理人向けの産直食材仕入れサイト「リーチストック」。全国で一万店舗以上の飲食店が利用しているサービスです。コロナ禍では「コロナに負けるな!食材レスキュープロジェクト」が立ち上がり、飲食店などでプロが使用する食材を、一般家庭向けに良心的な価格で販売しています。例えば、「真鯛のお刺身セット」も人気を集めている商品のひとつです。半身にして骨を取った状態で真空パックにしているため、自宅ですぐに食べることができます。 今回ご紹介したのは2つの支援サイトですが、他にもいろいろな活動が始まっています。普段はなかなか味わえない高級食材をおいしく味わいながら、生産者や日本の食文化をしっかりと応援していきたいですね。
コロナ禍で売れ残った高級食材、新しい売り方とは
2020.11.19

生産者を応援!コロナ禍で話題の「オンラインマルシェ」

コロナ禍でも人気を集める「オンラインマルシェ」 マルシェとは、フランス語で「市場」の意味。食べ物や雑貨、手作りアクセサリーなどを扱う店が並ぶイベントのようなもので、週末などに公園やお寺などのスペースを利用して全国各地で開催され、人気を集めています。私の自宅近くでもマルシェが定期的に行われていますが、生産者と消費者が顔を合わせて、会話をしながら商品を直接購入できるのが大きな魅力です。 しかしながら2020年の新型コロナウィルスの影響により、各地で予定されていたマルシェが続々と開催中止になっています。また、こだわりを持って作られた商品が売れ残っている現状を解決したいという想いのもと、「マルシェの魅力を維持しながら、コロナ禍でも安心して買い物ができるように」という考えから始まったのが、オンラインマルシェです。 農家・漁師直送の「ポケットマルシェ」 新鮮な野菜や魚・肉類などを農家や漁師などの生産者から直接購入できるサービスとして人気を集めているのが「ポケットマルシェ」。コロナ禍でも着実に売り上げを伸ばしていることからも、話題になっています。 こちらのホームページでは、野菜・果物・米といった「商品カテゴリ」と北海道・東北・関東などの「エリア」に加えて、「生産者」のリストからも商品を検索することができ、希望に合った商品を探しやすいのも特徴のひとつです。遠方になかなか足を運べない状況だからこそ、故郷の味や思い出の味をオンラインマルシェで見つけてみるのもいいかもしれません。 中小企業が集結「茨城まごころオンラインマルシェ」 茨城県内の中小企業や小規模事業者のスタートアップのために東京で開催予定だったマルシェを、急遽オンラインで実施することにした「茨城まごころオンラインマルシェ」。開催に向けて、より多くの方にマルシェの存在を知ってもらうために、クラウドファンディングを行いました。 コロナ禍では、多くの生産者や事業者を含めてたくさんの人たちが予期していなかった状況下に置かれています。そのなかで、オンラインマルシェは、従来のマルシェの魅力を保ちながら、生産者と消費者がつながる貴重な場として今後さらに人気を集めていくのではないでしょうか。今後の展開も、ぜひチェックしていきたいですね。
生産者を応援!コロナ禍で話題の「オンラインマルシェ」
2020.05.18

食品ロスを削減するWEBサービス(後編)

前回に引き続き、食品ロス低減に向けた取り組みと新しいWEBサービスを紹介します。 前編はこちらです⇒食品ロスを削減するWEBサービス(前編) 農林水産省と環境省による平成29年度(2017年度)の推計によると、年間2550万トンの食品廃棄物等が出されています。このうち、“まだ食べられるのに廃棄される食品”=「食品ロス」は約612万トン(事業系328万トン・家庭系284万トン)。これは、国民一人あたりにすると、1日約132 g(ごはん茶碗1杯分)、年間で約48 kgとなります。推計を開始した平成24年度以降では最少となり、取り組みの効果が出始めているといえるかもしれません。 一方で、食料自給率(カロリーベース)が37 %しかないわが国の現状をみると、さらなる削減の取り組みや事業者と消費者双方の意識を高めるためのコミュニケーションが大事になるでしょう。海外にも広く紹介された「もったいない」という日本の言葉を思い出しながら、必要な分だけを買う、使い切るための工夫をしていきたいですね。新型コロナウイルス対策と同様に、食品ロス低減もみんなで取り組むことで進んでいきます。 恵方巻などの季節・行事食ついては、コンビニ・スーパーなどが予約制を採用しながら、当日の店頭販売数を抑えることで廃棄される量も減って改善が進みつつあります。また加工食品では、賞味期限の延長の検討や賞味期限の「年月日」表示から「年月」表示への変更(3カ月以上のもの)に加え、小売店への納入期限ルール変更などが行われています。さらに、賞味・消費期限まで“安全においしく”食べられるようにする観点から、食品添加物の適切な利用も有効な選択肢の一つです。 ●フードシェアリングサービス「TABETE」 【株式会社コークッキング】 https://www.cocooking.co.jp/ 予約客のキャンセルや悪天候による来客数の減少などの理由により、廃棄される恐れのある商品を抱える飲食店等と消費者をつなぎ、フードロス削減を目指すフードシェアリングのマッチングサービス。 ●「Otameshi」 【株式会社SynaBiz】 https://otame4.jp/ 品質には問題はないが通常の流通が難しく時間の経過と共に処分されてしまう、従来廃棄されていた商品を消費者がお得に購入でき、かつ購入者が選んだ社会貢献活動団体に売上の一部を寄付できる社会貢献型ECショッピングサイト。 ●「ロスゼロ」 【株式会社ビューティフルスマイル】 https://www.losszero.jp/ 食品メーカーの規格外品・1/3ルールにより販路不足となる食品を買い取り、一般消費者や法人(定期購入含む)に、作り手のストーリーとともに届けるWEBプラットフォームを運営。またオフラインでは、規格外食材を当該地域で消費できる食事会を開催する。 ●「No Food Loss」 【みなとく株式会社】 https://www.nofoodloss.com/ 小売店において販売期限や季節限定パッケージなどの理由からまだ食べられるのにやむなく捨てられてしまう商品がクーポン形式にて発行されお得なお買い物が楽しめるアプリ。 ●割引・特売・詰め放題ショッピングサービス「Render」 【Render株式会社】 https://www.render.co.jp/ 食品の生産・製造・販売に関わる傷モノや規格落ち品、B品、訳あり品などを、販売時設定した連打ゲームにトライすることで「楽しく、おトク」を感じられる販売方法により今までにない新しい買い物の仕方を提供するwebショッピング。 これからもどんどん新しいサービスが始まると思います。 皆さんも手軽に始めれるWEBサービスを利用して食品ロス問題の解決にご協力ください!
食品ロスを削減するWEBサービス(後編)
2020.05.15

食品ロスを削減するWEBサービス(前編)

食品ロスという言葉は、食品業界に携わる人だけでなく、一般にも浸透してきています。恵方巻などの行事食の売れ残りが廃棄される様子がSNSで拡散されたり報道されたりしたことで関心が高まりました。そこで本稿では、食品ロスの現状と削減に向けた新しい取り組みとして、WEBサービスを2回にわたって紹介します。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で学校給食や外食店、宿泊施設が休業したことにより、牛乳や野菜を中心とした素材や商品が大量に行き場を失いました。ネット販売や地域ごとの取り組みなどの素早い対応で一部が消費者の手に届きましたが、残りは流通ルートがすぐに確保できずに廃棄せざるを得ない状況になっています。これからは行政と事業者などがアイデアを出しながら、緊急事態の状況下でも食品の流通が柔軟に対応できるようになると食品ロスがより一層減らせるようになるでしょう。 このような中で、農林水産省は「新型コロナウイルス感染症の影響で発生する未利用食品の活用促進について~新たな販路の確保やフードバンクへの寄附の推進~」として食品ロスの発生防止につなげるためのビジネスを紹介しています。スマホのアプリを使って楽しみながら食品ロス削減に貢献するといったアイデアもあり、多くの人がお得に参加できそうです。本サイト「シェアシマ」もB to Bのソリューションとして掲載されています。 ●食品原料WEBマッチングサービス「シェアシマ」 【ICS-net株式会社】https://shareshima.com/ 食品メーカー(工場)が調達する食品原料 分野において、webで商品情報が共有されることにより、今まで廃棄される選択肢しかなかった食品原料を新たに探しているユーザーとマッチングするビジネス。シェアシマは、食品ロス対策だけでなく、普段の食品開発に役立つ加工食品原材料の情報が掲載されています。買う側のユーザーは登録(無料)するだけで材料の検索が可能です。 ●食品ロス削減を目指すサービス 「ecobuy」 【株式会社NTTドコモ】 消費/賞味期限が間近となった対象商品を購入した消費者にポイントを付与し、購入商品の期限間近になると通知やレシピ提案を行う社会貢献型アプリ。登録した小売店で対象商品を購入することでポイントを得ることができる。獲得ポイントは他社ポイントと交換可能。2020年夏頃サービス開始予定。 ●社会貢献型フードシェアリングプラットフォーム 「KURADASHI.jp」 【株式会社クラダシ】 https://www.kuradashi -mottainai.com/ 食品ロス削減への賛同メーカーより協賛価格で提供を受けた商品を消費者へ販売し、売上の一部を社会貢献団体へと寄付する社会貢献型フードシェアリングプラットフォーム。飲食店店舗においてのクラダシ商品の販売支援や長期在庫化した加工食品をクラダシが買い取りオンラインでの再流通、飲食店の空き予約をクラダシが仲介して集客の支援を行う。 ●「temite(テミテ)」 【Creation City Lab株式会社】 https://temite.net/busi ness/ 顧客体験の促進をゲームの様に展開できるプラットフォーム。小売店や食品メーカー等がアプリ掲載者となり、消費期限間近の商品購入や販売期間限定パッケージの購入等をタスクに設定し、アプリ利用者はそのタスクをクリアする事によりリワードを獲得することができる。 他にもまだまだ多くのサイトが開発され、サービスが開始されています。続きは後半の記事でお伝えします! 後編はこちらです⇒食品ロスを削減するWEBサービス(後編)
食品ロスを削減するWEBサービス(前編)
2020.03.09

食品ロスと貧困を改善するフードバンクとは?

日本では本来食べられるのに包装の破損や過剰製造、印字ミスなどの理由によって流通することができずに廃棄される食品が年間で約643万トンもあります。日本全体での食品廃棄は1,561万トンなので、3割以上も占めています。このような現状があるにもかかわらず、現在日本では貧困生活で困っている17歳以下の子供が全国で約280万人もおり、子供のうち7人に1人が貧困生活を強いられています。 そんな食品ロスと貧困問題を改善するべく行われているフードバンク活動というのをご存知でしょうか。 フードバンク活動というのは、まだ安全に食べることが可能であるにも関わらず、廃棄してしまう食品などを企業や個人から無償で寄贈を受けて、生活に困っている人や福祉系の団体に無償で提供する活動です。 元々は海外で始まったこの活動も日本で2006年頃から始められ、日本全国に約70近い団体が活動するまでになりました。このフードバンク活動は食品ロスを軽減するだけでなく、生活困窮者への支援も兼ねているので、一石二鳥の社会貢献となります。 フードバンク活動の流れ (1)まず安全に食べられるのに処分されてしまう食料を企業や個人から買い取ります。種類は様々で、乾麺やレトルト食品、飲料水など、常温で保存がきく食料がメインとなっています。 (2)寄贈を受けた食品を当然無駄にしないため、賞味期限別に分類して、安全に生活困窮者の方々に提供をしています。 フードバンク活動によって、現在食品の取扱量は判明しているだけでも約3,800トン以上も食品ロスの削減することができています。 しかし、日本ではまだ認知度が低く、利用者や寄付者のつながりが浅い状態であり、組織の運営基盤が確立できていないのが現状です。 まだまだ改善できる食品ロスとフードバンク活動ですが、皆さんの周りにも、寄贈を募っているフードバンク活動団体かいるかもしれません。もし在庫を抱えていて、そのまま廃棄してしまうような食品がある場合には、手軽な社会貢献として寄贈して食品ロス削減を目指してみませんか。また、こういったフードバンク活動と並行してそれぞれが食べ残し、作りすぎなどを改善して、食品ロス削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。
食品ロスと貧困を改善するフードバンクとは?
2020.03.04

フードロス削減にアプリを利用!広がるフードシェア

全世界で生産された全食料の1/3が捨てられているフードロス問題。食料を捨てるということは単に食べ物をムダにするということだけではなく、生産や輸送に使ったエネルギーまでムダにしてしまうということなのです。特に先進国では、食べ残しや売れ残り商品の廃棄が、フードロスの大きな原因になっています。そんな世界で、いま、注目されているのが、売れ残ったり、使わなかった食材を販売できるフードシェアという仕組み。そして売り手と消費者をマッチングするアイテムとして使われるスウェーデン発の「Karma(カルマ)」というアプリです。今日はどんなアプリの仕組みなのか、メリットも含めてご紹介したいと思います。 まず登録しているスーパーマーケットやレストラン、カフェ、ホテルが、売れ残った商品をアプリ上にアップします。そしてお客様はアプリ上に表示された商品の中から自分がほしいものを選び、オンラインで決済。最後は、お店に商品を取りに行くという仕組みです。このアプリをフードロス解決に利用することで、多くのメリットが生まれます。 お店側のメリットとしては大きく二つあります。ひとつは廃棄するだけの食材を販売に結びつけることで、損失を抑えることができること。そして、二つ目は、自分のお店の宣伝にも繋がるということです。利用者の声で「美味しいお店を見つけられる」という評判もあり、新しい顧客開拓にもつながっているようです。ここが単純な安売り戦略と違うポイントです。 お客様の側のメリットとしては、もちろん安くて美味しい食べ物を買うことができるということですが、それにプラスして、アプリを使うことでスマートにお買い物ができるということです。例えば、半額シールが貼られる時間帯を狙ってお店に行くというようなことをしなくていいわけです。まさに、クールなシェアリングエコノミーだということです。 このようなフードシェアサービスは、今後、日本でも普及してくると思います。実際、生産者と消費者を結びつけるサービスや、業者間で余剰食材を融通するサービスが実際にはじまっています。お店にも、消費者にも、環境にもやさしい、このようなフードシェアサービスですが、使ってもらわなければ意味がありません。お店側としては廃棄するよりも低コストで販売できる必要があるし、また消費者にとっても安くて美味しい食べ物が簡単に買えるというメリットがないと受け入れてもらえません。ここでアプリを使うという発想は、フードシェアを大きく広げる強いチカラになって行くと思います。 Karmaの紹介動画はこちらからご覧ください↓ https://www.youtube.com/watch?v=ehC8t6w52Kg&feature=youtu.be
フードロス削減にアプリを利用!広がるフードシェア

新着レポートはこちら

NEW 2022.11.24

知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?

地球の人口増加や環境問題により、食肉などのタンパク質が不足するのが「タンパク質危機」です。私たちの食卓に影響するかもしれない世界規模での課題であるにもかかわらず、一般にはそれほど広く認知されていません。こちらの記事では、タンパク質危機とはどのような問題かを解説すると共に、タンパク質危機を避けるための4つの選択肢について説明します。タンパク質危機という問題が生じている理由から取りうる対応策までを紹介し、プラントベースフードなどがにわかに注目を浴びている背景をお伝えしていきます。 タンパク質危機(タンパク質クライシス)とは タンパク質危機は、世界人口の急速な増加に由来する問題です。まずはその背景的な事情からみていきましょう。 少子化真っ只中の日本。でも世界の人口は? 日本では、出生率の低下に伴い若年層の人口が減少する「少子化」が急速に進んでいます。そのためあまり実感がわきませんが、一方で世界の人口は増え続けている状況です。国連の調査によれば、世界の人口は現在約80億人であるところ、2030年には約85億人、2050年には約98億人、2100年には約112億人になると推定されています。 2030年までにタンパク源が足りなくなる恐れ 世界規模での人口増加に伴って、近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足すると予測されています。この予測は「タンパク質危機」と呼ばれていて、欧米諸国を中心に話題になっています。現状のままだと早ければ2025年から2030年ごろまでに需要と供給のバランスが崩れ始めると言われています。 人間の身体を構成するのは、水分が約60%、タンパク質が約15~20%とされています。つまり、タンパク質は水分を除いて体の重量の約半分を構成する、生きていく上で大切な栄養素です。欧米では「プロテインチャレンジ2040」と題したコンソーシアムが立ち上がり、その中から複数のプロジェクトが始動しています。タンパク質危機をどう乗り越えていくのかは、人類が生きていく上で極めて重要な課題です。 タンパク質危機を避けるための4つの選択肢 タンパク質危機を回避するために、世界中でさまざまな検討が行われています。ここでは、その中から代替肉と培養肉、昆虫食、藻類という4つの選択肢について解説します。 代替肉 代替肉とは、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「肉のような食材」のことです。欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされていて、別名「プラントベースミート」と呼ばれることもあります。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも大豆ミートを使ったメニューが登場し、話題になっています。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場するなど、さまざまな研究・開発が進められています。 培養肉 培養肉は、牛などの動物から取った少量の細胞を、再生医療の技術により体外で増やして作られます。プラントベースの代替肉とは異なり「本物の肉を使った代用品」です。従来の食肉の生産方法と比べて、飼育・繁殖する過程における動物へのストレスや環境への負荷が少ないとされています。こうした特徴から、別名「クリーンミート」と呼ばれることもあります。 培養肉は、2013年にオランダの研究者が培養ミンチ肉を作ったのがその始まりです。日本でも培養肉の研究が進められていて、2019年には世界で初めてサイコロステーキ状の培養肉を作ることに成功しました。大きな肉を作るための技術の開発など乗り越えなくてはならないハードルが多いものの、持続可能な食材という意味で期待が寄せられています。 昆虫食 昆虫食とは、コオロギなどの昆虫を原料にした食品のことです。大豆ミートなどのプラントベースフードは植物性のタンパク質しか得られないのに対して、昆虫食の場合、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができます、また、昆虫食は飼育・加工に必要なスペースや資源が最小限で済み、環境負荷が低いというメリットもあります。 日本にも貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫食には食品の安全性や見た目への抵抗感といった課題があるものの、環境負荷の少ないサステナブルな食材として注目を集めています。 藻類 細胞分裂をして増殖する藻類はタンパク質含有量が50~75%であり、新たなタンパク質源としての可能性を持っています。藻類は良質なタンパク質だけでなく、炭水化物や脂質、ビタミン、ミネラルなども豊富に含まれています。現在市場に流通しているのはタンパク質が豊富に含まれるクロレラやスピルリナで、藻類をそのまま乾燥させて粉末状にしたものが主流です。 藻類は栄養価が豊富であるものの、藻類を乾燥した粉末は独特の匂いがあることや、藻類バイオマスの生産コストが肉や大豆に比べて価格が高いことなどから、タンパク質源としてはこれまで積極的に利用されていませんでした。しかし、近い将来に訪れるとされるタンパク質危機を前に、藻類の利活用が見直され始めています。 まとめ 世界の人口増加に伴って、近い将来訪れると言われているタンパク質危機。この記事では、タンパク質危機を回避するために私たちが取りうる選択肢として、代替肉、培養肉、昆虫食、藻類の4つを紹介しました。食品としての安全性や抵抗感、生産コストなど、それぞれに乗り越えるべき障壁はありますが、タンパク質危機を避けるために、世界中でさまざまな研究・開発が行われています。これまでの常識にとらわれない、新しい食の選択肢が求められていると言えそうです。
知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?
NEW 2022.11.22

昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?

コオロギなどの昆虫を原料にした食品「昆虫食」。日本にも、貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、多くの人にとってはなじみの薄いものでしょう。しかし今、環境負荷の少ないサステナブルな食料として、世界が昆虫食に注目しています。 一体なぜ、これほどまで昆虫食が話題になるのか。この記事では、昆虫食が期待される背景を解説した上で、栄養価の高さなど注目の理由を解説します。他方で、「本当に安全性に問題はないの?」「昆虫を食べるリスクは」といった疑問や不安の声にもお答えします。 昆虫食が注目を集める背景 無印良品で話題となった「コオロギせんべい」をはじめ、日本では勢いのあるベンチャー企業が、昆虫食ビジネスを盛り上げています。そうした流れに至るまでに、どのような背景があったのでしょう。 増える世界人口、ひっ迫するタンパク源 日本は少子化に直面していますが、世界全体では人口は増加し続けています。このまま行けば、2050年に世界人口は100億人に達すると言われています。 近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足する恐れがあると言われています。「タンパク質危機(タンパク質クライシス)」を避けるために、大豆ミートをはじめとしたプラントベースフードの開発が進みました。しかし、植物由来の食べ物からは、植物性のタンパク質しか得られません。そこで、注目されたのが「昆虫食」。なぜなら昆虫は、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができるからです。 転機の国連食糧農業機関(FAO)報告 2013年、国際連合食糧農業機関(FAO)が「ある報告書」を発表しました。それは、世界の食糧危機への対策として昆虫食を推奨するというもの。この報告書を契機とし、世界各地で昆虫食の研究・開発が加速しました。昆虫を食べる習慣のなかった欧州でも、2018年、欧州連合(EU)が昆虫を新規の食品として域内で販売することを認めました。 昆虫食を選ぶメリット さぁここから、他にはない昆虫食のメリットを深掘りしていきます。 非常に優れた環境負荷の低さ 狭いスペースで飼育・加工ができる 昆虫は牛や豚、鶏などの家畜よりも狭い場所で飼育できます。コオロギ1キロを生産するのに必要な農地は、鶏肉や豚肉の約3分の1、牛肉なら約13分の1しか必要としません。また、出荷用にパウダーなどに加工する場合でも、小規模な施設で行えます。飼育・加工に場所を取らないということは、それだけ効率的に生産できるということです。 飼育に必要な資源が少ない 昆虫の生産は、家畜に比べて少量の水や飼料で可能です。牛肉を1キロ生産するためにはおよそ8キロのえさを必要とするのに対し、昆虫1キロの生産には約2キロのえさを使うだけで済みます。生産に必要な水についても同様で、コオロギの生産に必要な水は、牛肉の場合の約2500分の1で済んでしまいます。 温室効果ガスの排出量が少ない 牛1頭がげっぷなどで出すメタンガスは1日160リットル以上で、地球温暖化を促進していると言われています。しかし、昆虫の飼育に伴う温室効果ガスの排出量はその10分の1以下。昆虫食は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減にも効果があるというわけです。 丸ごと食べられて、食品ロスにも貢献 昆虫食は食品ロスの削減にも貢献します。牛1頭の可食部はおよそ4割ですが、昆虫はそのほとんどが食べられるので無駄がありません。また昆虫のえさには、残飯など本来なら捨てられてしまうものを利用できます。焼却コストのかかる生ごみの量が減り、一方で、貴重なタンパク質源になるというのですから、昆虫食の利点が際立ちます。 牛や豚に負けない栄養価の高さ それで終わらないのが、昆虫食のすごさです。ガやハチの幼虫の場合、体重の50%がタンパク質と言われています。牛や豚が1〜3%ですから、それに比べると非常に高い含有率です。昆虫は、良質なタンパク質だけでなく、食物繊維や、カルシウム、銅、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含む上に、脂肪分は少ないという健康に良い食品です。 昆虫食のデメリット 栄養価が高く、環境にも良い昆虫食。その一方で、なじみの薄い昆虫食に対するネガティブな考えも少なくありません。今度は、考えられる昆虫食のデメリットを見ていきましょう。 安全面でのリスクは? 専門家の助言なしに、自然採集した虫を食べるのは、危険を伴う行為です。なぜなら、野生の昆虫には、毒を持つものや、寄生虫や病原菌を媒介するものもいるからです。一方で、管理された環境下で生産されたものは、昆虫とはいえ、他の食材と同様に安全です。 安心を担保する「コオロギ生産ガイドライン」 消費者により安心してもらえる環境を整えようと、2022年8月、民間団体が「コオロギ生産ガイドライン」をまとめました。研究機関や企業などでつくる「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)」が、コオロギの生産過程の衛生管理を中心に行動指針を決めました。公的なルール整備がない中で、民間主導で一定のルールを示すことで信頼性を高め、昆虫食のさらなる普及につながることを期待しています。 アレルギーリスクについて 昆虫食は、食物アレルギーを持つ人には注意が必要です。昆虫には、エビやカニなど同様の甲殻類アレルギーの原因となる「トロポミオシン」という成分が含まれているからです。昆虫に限らずすべての食材に言えることですが、これまで口にしたことのない食材を食べる時には、これまでアレルギーの自覚症状がなかった人でも、慎重を期すようにしましょう。 見た目への抵抗感 多くの人にとって、昆虫を食べることに対して、心理的なハードルがあります。初めて口にするものに対して拒絶反応が出るのは、動物的な本能として当たり前のことです。もしかしたら、これが昆虫食にとっての最大の問題かもしれません。日本でも昆虫食品の開発は大変盛んで、さまざまな商品ラインナップがあります。まずは、昆虫の姿を連想しづらいパウダー入りの菓子やパンなどから試してみるのがいいかもしれません。 そして、「まずいものをわざわざ食べたくない」というのが、大半の人の率直な気持ちだと思います。実際のところ、昆虫の味は実に多種多様で、思いきって食べてみると、おいしく感じるものもたくさんあります。バッタはエビやカニに似た食感、タガメは洋ナシや青リンゴのようなフルーティな香りだとか。セミに至っては、幼虫だとナッツのようなクリーミーな風味で、成虫になるとエビのような風味が楽しめます。 昆虫食とは 1900種類の食べられる昆虫 世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫学者である三橋淳氏の書いた『虫を食べる人びと』(平凡社ライブラリー)によれば、世界ではハチやイナゴに加えて、カブトムシ、カミキリムシなども食べられているそうです。 世界の昆虫食  タイ 昆虫食が住民生活に浸透しているタイでは、スーパーマーケットの食材コーナーに昆虫のサナギや幼虫が並んでいたり、昆虫の佃煮を売る屋台を目にしたりすることも珍しくありません。特に人気があるのはコオロギで、盛んに養殖されています。最近では、コオロギのスナック菓子やコオロギパウダー、コオロギオイルなど、コオロギを原材料にしたさまざまな加工食品が登場しています。特にコオロギパウダーは輸出用としての需要が高く、国もその動きを後押ししています。 ケニア アフリカ東部のケニアで最もよく食べられている虫は、シロアリです。日本でシロアリと言えば、住宅の床下で暮らすアリ(職蟻)を意味することが多いですが、現地で食べられているのは別の種類のアリ(羽蟻)です。このシロアリを使った「クンビクンビ(kumbikumbi)」という伝統料理があり、栄養失調を改善する効果があると言われています。実際、シロアリには、良質な動物性たんぱく質や脂質のほか、カルシウム、鉄分、アミノ酸などが豊富に含まれています。ケニアのシロアリはインターネット通販などでも販売されています。 日本の昆虫食 長野県に根付く昆虫食文化 日本で昆虫食文化が盛んな地域といえば、長野県です。信州でよく食べられている昆虫といえば、ハチノコやイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼ばれているそうです。 ハチノコはスズメバチの幼虫やさなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。長野県はかつて養蚕が盛んで、カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫です。ザザムシは水生昆虫で、ヒゲナガカワトビケラなどの幼虫のことを指し、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷地域で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。イナゴやカイコは、稲作や養蚕を営む過程で副産物として発生するもので、昆虫食は、自然と共生する地域の暮らしに深く結びついていたのでしょう。 まとめ 昆虫食のメリットとデメリットを押さえてきましたが、環境負荷が低くて栄養価も高いという特徴を踏まえると、昆虫食がこれだけ話題になっていることもうなずけると思います。昆虫を食べるという行為に対して抵抗感はあるかもしれませんが、以前は「生で魚を食べるなんてありえない」と言っていた欧米人が、「Sushi(寿司)」を高級料理としてもてはやしているのを見ると、さほど大きな問題でないようにも思えます。先入観だけで昆虫食という選択肢を排除せず、機会があったらぜひともチャレンジしてみてください。
昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?
NEW 2022.11.17

代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説

世界中で「代替肉」のブームが到来しています。代替肉とは、その名前の示す通り、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「まるで肉のような食材」のことです。 では実際に、代替肉はどのような素材から作られ、どのように利用されているのでしょうか。この記事では、代替肉の定義を確認した上で、代替肉の原材料や原材料別の使用例について解説します。この記事を読むことで、代替肉の全体像を把握し、代替肉は具体的にどのようなものであるかを理解していただけます。 プラントベースミートと呼ばれることも 代替肉は、欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされています。代替肉は地球が抱える環境問題の解決や世界の人口増加に対する食料不足への対策、食の多様性への対応という側面においても大きな意味を持つと言われています。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場しました。いずれも「植物由来の肉」であることから、英語ではプラントベースミートと呼ばれています。 フェイクミート、オルタナティブミートとはどう違う? 代替肉はプラントベースミート以外に、フェイク(偽物の)ミートやオルタナティブ(代替の)ミートと訳されることもあります。呼び方はそれぞれ異なるものの、いずれも動物の肉に見た目や風味を似せた、植物性原料から作られた食材を意味しています。代替肉のどのような特徴を強調したいのかによって、フェイクミートやオルタナティブミート、プラントベースミートという言葉が使い分けされているようです。 大豆ミート:代替肉の定番でバリエーション豊富 大豆ミートとは 大豆ミートは、その名前の通り大豆で作られた代替肉のことです。ソイミートや大豆肉と呼ばれることもあります。大豆は別名「畑の肉」と呼ばれるほど栄養が豊富で、良質なタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルも多く含有しています。 大豆ミートは代替肉の定番であり商品の数も多く、最近はスーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かける機会も増えました。 大豆ミートは水やお湯などで戻してから利用する「乾燥タイプ」が主流ですが、すぐに使える「レトルトタイプ」や「冷凍タイプ」もあります。また、形状は主に「ミンチタイプ」「フィレタイプ」「ブロックタイプ」という3種類で、用途に応じて使い分けできます。 あの有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも 大豆ミートの需要の高まりを受けて、大豆ミートをメニューに導入する飲食店も増えています。大手ハンバーガーチェーン「モスバーガー」では「ソイパティシリーズ」と題して、大豆ミートを使ったハンバーガーのラインアップが登場しています。 また、大手コーヒーチェーン「スターバックス」はサマーシーズン第2弾として“Yori Dori Midori”をテーマにして、プラントベースという選択肢を提案。新しく加わったメニューのひとつ「スピナッチコーン&ソイパティ イングリッシュマフィン」では、肉の代わりに大豆を使ったソイパティを使用しています。 ひよこ豆の代替肉:味のクセが少なく使いやすい ひよこ豆とは ひよこ豆は大豆と同じくらいの大きさの丸い豆です。アジア西部が原産で、インドや欧米諸国、中近東などでは一般的によく流通しています。タンパク質が多く食物繊維が豊富で脂肪分が少ないことから、少し前から食肉に代わるヘルシーな食材として話題を集めています。 ひよこ豆は日本では馴染みの薄い豆ですが、味にクセが少ないため食べやすいのが特徴です。乾燥した状態の豆は水で戻して煮る必要がありますが、水煮されたレトルトタイプを使えば、手軽に利用できます。 使用例:カレーや揚げ物、おやつにも ひよこ豆の生産量はインドが世界一で、ベジタリアンの多いインドではカレーの具材に使われることも多く、日常的に食べられています。インドでは、ひよこ豆の外側の皮を取り除いて割った豆を「ダール」と呼び、カレーにもよく利用されています。また、ひよこ豆を粉末にした「ベサン粉」は、インド風天ぷら「パコラ」をはじめ、おやつや軽食にも用いられています。 この他にひよこ豆を使った料理としては、ひよこ豆のペースト「フムス」やひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」も有名です。 レンズ豆の代替肉:ひき肉代わりとして使える レンズ豆とは レンズ豆は、レンズのように平たい形状をしています。レンズ豆には緑色やオレンジ色、褐色などさまざまな色があり、3~6ミリ程度と非常に小さいことも特徴です。日本ではあまり知られていない豆ですが、欧州などでは日常的に利用されていて、特にヴィーガンやベジタリアンの人たちに親しまれています。 レンズ豆は「世界五大健康食品」の一つに数えられていて、ビタミンB群やタンパク質、鉄分、食物繊維を多く含有しています。特に、皮付きの茶色のレンズ豆には100グラム中に9.4ミリグラムの鉄分が含まれていて、これは大豆の含有量よりも多いと言われています。 使用例:カレーや煮込み料理、サラダに レンズ豆はインドやネパールではカレーの具材として、イタリアやフランスなどの国では煮込み料理やサラダなどによく使われています。代替肉としての使い方として、レンズ豆は粒が小さいので、ひき肉のような感覚で利用することができます。例えば、ハンバーグを作る際にレンズ豆で代用する方法があります。 レンズ豆には特有の匂いがあるので、気になる場合は、スパイスを加えたり濃い味付けをしたりするのがおすすめです。レンズ豆は水を吸収しやすいため、あらかじめ水で戻す必要がなく、料理にそのまま使うことができるのも魅力です。 エノキート:キノコの旨味でおいしさ追求 エノキートとは エノキートとは、エノキタケとミートを組み合わせた名前です。エノキートはエノキタケを主原料として作られた代替肉で、農業法人である株式会社小池えのき(以下、小池えのき)によって開発されました。小池えのきの本社がある長野県中野市は、日本最大のきのこの生産地として知られ、エノキタケの生産量は全国の約4割を占めます。地元の食材を使った、新しいタイプの代替肉として注目を集めています。 エノキートには、発芽大豆から作られた大豆ミート「ミラクルミート(DAIZ)」を使用しています。ミラクルミートには、大豆独特のくさみがほとんどありません。ミラクルミートにはうまみ成分「グルタミン酸」が含まれていて、エノキタケのグアニル酸を組み合わせることでうまみが格段にアップし、動物の肉に劣らない独特のうまみが実現できます。 使用例:ハンバーグ エノキートを使った代表的な料理は、ハンバーグです。原材料は、エノキタケとタマネギ、大豆ミート、パン粉、調味料。原材料の半分以上が、エノキタケとタマネギです。5ミリ程度のみじん切りにしたエノキタケを使用することで、肉によく似た食感が生まれます。エノキタケは加熱すると独特のぬめりが出るため、つなぎの代わりになるという点からハンバーグに使うのに適しています。 エノキートのハンバーグは合いびき肉を使った通常のものに比べて、脂質やカロリーが少なく食物繊維が多いとされています。大豆ミートを使用しているため、タンパク質の量は通常のハンバーグとほとんど変わりません。ヘルシーでありながらタンパク質がしっかり摂取できるので、ベジタリアンやヴィーガンの人たちだけでなく、健康への意識が高い人にも支持されています。 まとめ 世界中で需要が高まっている、代替肉。代替肉と一口に言ってもその種類は多く、今回紹介した4種類以外にもさまざまなタイプがあります。 代替肉には私たちの健康維持や地球の環境保全につながるメリットがある一方で、原材料の調達や製造プロセス次第では、環境に負荷を与える可能性もあると言われています。今後、こうしたデメリットにどのように対応していくのかが課題でしょう。代替肉の分野は成長過程にあり、これからの展開に注目したいです。
代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説
NEW 2022.11.16

AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線

ゴミとして捨てられるプラスチックの多くが、適切に分別されないことにより、再利用の道が閉ざされているという嘆かわしい現実があります。この問題を高度なIT(情報技術)で乗り越えようと、オーストラリアの研究チームが動きました。飲料容器の分別を自動的に行うことができる「スマートビン技術」を搭載した画期的なゴミ箱を開発しました。 ITでゴミを自動分別、リサイクル率を向上 ​​オーストラリア最大の都市・シドニーがあるニューサウスウェールズ州では、年間80万トン出るプラスチックゴミのうち、リサイクルされているのはわずか10%だそう。これは、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の調べで分かりました。 プラスチックのリサイクルのプロセスは非常に複雑です。適切に分別がされないと、こうした事態に陥ります。リサイクルできない廃棄物の一部が焼却場行きとなれば、その分温室効果ガスの排出量が増えます。これらがきちんとリサイクルに回れば、地球温暖化にも大いに貢献するでしょう。 問題解決に向けて、シドニー工科大学(UTS)の共同研究チームは、ゴミの中から自動的に飲料容器を選り分ける機能を搭載したゴミ箱を開発しました。その名は「スマートビン技術」。これにより、最も多い廃棄物のひとつである飲料容器のリサイクル率を向上させることができます。 人工知能(AI)、ロボット工学、画像の認識技術などを組み合わせた先端テクノロジーが搭載されたこのゴミ箱は、ガラスや金属、プラスチックなど素材別に仕分けしてくれます。さらに、ペットボトルの素材となるポリエチレンテレフタレート(PET)や、シャンプーボトルに使われる高密度ポリエチレン(HDPE)など、プラスチックをさらに細かい種類別に分けることができます。 方法としては、まずゴミをカメラで撮影し、AIアルゴリズムを実行して、膨大なデータを処理・分析することにより分類します。そしてIoT(モノのインターネット)を含む最新のロボット技術により、重さや物質、素材を感知してゴミを分別するという仕組みです。 スマートビン技術の社会実装の日は近い 今後、あらゆる地域でスマートビン技術搭載のゴミ箱が利用されるようになれば、プラスチックゴミのリサイクル率は飛躍的に向上し、業者による回収作業もより素早く正確になります。研究チームは、このゴミ箱を管理するシステムの開発を進めています。システムが実用化されれば、ゴミ箱の所有者が、ゴミ箱の充填具合などの状態を遠隔で監視、点検できるようになります。ゴミ箱が満杯になった時、ゴミ箱を空にする必要があることを知らせる通知が表示されるという仕組みです。また、地域の人々にとっては、自分がどれだけリサイクル活動に貢献しているかがアプリに記録され、そのことを通知として受け取ることができます。 この実証実験は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究プログラムの一環として行われています。同機構は2030年までに、オーストラリアで排出されるプラスチック廃棄物を80%削減することを目指しています。スマートビン技術はまだ試作段階ですが、いずれはショッピングセンター、学校、映画館、カフェ、企業、空港などにスマートビン技術搭載のゴミ箱が設置される予定です。
AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線