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“海外” タグの記事一覧

2022.10.26

【セミナー案内】知っておきたい「イスラム市場」の知識

シェアシマinfoで連載していただいているハラル・ジャパン協会様からのセミナー案内です。 岐阜県ではイスラム市場向けの販路開拓・販売促進を図るプロジェクトを実施しています。今年度は、第1ステップとして11月1日にオンライン研修セミナーを開催し、第2ステップとしてFOODEX JAPAN2023(国際食品・飲料展)への出展事業を実施します。このたび、イスラム市場への輸出に向けたハラールビジネスオンライン研修セミナーを、下記のとおり実施しますので、海外販路開拓を目指す県内企業の方は、ぜひご参加ください。 【セミナー情報】知っておきたい「イスラム市場」の知識 日時:2022年11月1日(火) 13:30-16:00 会場:オンライン配信 対象:国内外へ販路開拓を目指す岐阜県内の食品・健康食品製造業者、食品を扱う卸売業者、農林水産業の生産者など 参加条件:無料 申し込み (10/27 17:00締切) タイムテーブル:WEBサイトよりご確認ください 【提供団体情報】 一般社団法人ハラル・ジャパン協会(岐阜県「イスラム市場販路開拓促進支援業務」受託者) 東京都豊島区南池袋2-49-7 池袋パークビル1F TEL:03-4540-7564 FAX:050-3730-7549 E-mail:info@jhba.jp
【セミナー案内】知っておきたい「イスラム市場」の知識
2022.08.24

食品産業排水を代替小麦粉へアップサイクル。米フードテック企業の成功例

​​​​廃棄されるはずのものを、価値ある新しい商品として生まれ変わらせる「アップサイクル」。このアップサイクルにより、アメリカのフードテック企業が、グルテンフリーで栄養豊富な代替小麦粉の生産を成功させました。地球温暖化対策に資する、カーボンニュートラルな製造法も話題となっています。 食品工場で廃棄される砂糖水に着目 米国のフードテック企業ハイフェフーズは、食品工場で排出される砂糖水を利用して、菌糸体由来の代替小麦粉を生産しています。これを原料とするパスタ「ハイフェパスタ」は、高タンパク、低炭水化物、アレルゲンフリーな代替小麦粉になると注目を集めています。 ハイフェフーズ共同創業者の1人、ミシェル・ルイズ氏は、アメリカの大手石油会社で化学技術者としての勤務経験があります。同氏が働いていた廃水処理施設では、有機物を食べて水を浄化する微生物のえさが常に不足しており、過剰になった大量の微生物が日々捨てられてメタンガス発生の原因となっていました。無駄な微生物の廃棄を止めれば、地球の温室効果ガス削減に貢献することもできます。同氏は、この飢えた微生物のえさを効率的に得る方法を探しました。 ルイズ氏が着目したのは、毎日数百万リットルもの排水を出す、ビールなどの大規模な醸造所、トウモロコシの製粉所や缶詰工場です。実はこの食品産業排水は、製造過程で濃縮されており、糖分を多く含んでいて栄養豊富です。しかしながら、企業は費用を払って廃棄物としてこれらを処理していました。糖分を含んだ排水は、ルイズ氏を悩ませていた廃水処理施設の微生物のえさとして利用できます。 さらに同氏は、この排水を代替小麦の原料として再利用し、価値あるものに生まれ変わらせることを考えました。微生物を扱うプロであり、排水の隠れた価値を知っていた同氏だからこそ、微生物による発酵作用で作るハイフェパスタを完成させることができました。 アップサイクルが食料問題解決の糸口に バイオテクノロジーで開発された代替小麦粉によるハイフェパスタは、1人前で鶏のむね肉1枚分ものタンパク質を含み、食物繊維も豊富です。豆類やナッツ類から成る代替小麦粉は、炭水化物以外の栄養素に欠けるという点がネックでしたが、ハイフェパスタなら、健康を損なわずに、小麦に限りなく近い食事のメニューを楽しむことができます。 一般的な小麦粉製品とは違って「グルテンフリー」であることも特筆すべき点です。 同時に、ハイフェフーズは止まらない食品値上げへの具体的対策も提示しています。通常、米国の食品メーカーは、工場で排出される砂糖水を浄化するために課徴金を支払っています。同社は課徴金よりも低い料金で、砂糖水を食品として再利用することを可能にします。食品メーカーはその分、コストを節約することができるため、最終商品の価格として消費者に還元できるというロジックです。 ハイフェパスタは、世界中あらゆる場所で入手可能な食品産業排水を原料としています。栄養価の高い食品を確実に各地へと供給できるハイフェフーズの代替小麦粉は、今後深刻化すると言われている食料問題を解決する糸口になるかもしれません。
食品産業排水を代替小麦粉へアップサイクル。米フードテック企業の成功例
2022.08.10

NYの公立学校でヴィーガン給食がスタート、気になるその背景とは

2022年2月、アメリカ・ニューヨーク市の公立学校では、肉や魚を使わない「ヴィーガンメニュー」の給食を提供する試みがスタート。この試みはどのような理由から始まり、現場ではどのような給食が提供されているのでしょうか。今回の記事では、ニューヨークにおけるヴィーガン給食の概要について紹介します。 ヴィーガン給食が食生活を見直すきっかけに ニューヨーク市の公立学校では、毎週金曜日にヴィーガン給食を提供する「ヴィーガンフライデー」が始まりました。アメリカでは約2割の子どもが肥満と言われていて、子どもの肥満は長年の課題になっています。特に、経済的に困窮する過程や、ヒスパニック系や黒人の子どもに肥満の割合が多いというデータもあります。 ヴィーガン給食には様々な効果が期待されていますが、そのひとつに「食生活を見直すきっかけをつくること」があります。今回の試みは、ニューヨークの新市長であるEric Adams氏が進めたものです。同氏には、ジャンクフードを止めてプラントベースの食事を実践することで、糖尿病を克服し自身の健康を取り戻したという経験があります。こうした経験に基づき「健康的な食事は生活の質を向上させる」「ヴィーガンの食事は環境保護にも役立つ」と語ります。 子どもたちにも好評のヴィーガンメニュー ニューヨーク市のヴィーガン給食では、どんなメニューが提供されているのでしょうか。ヴィーガンフライデー初日に提供されたのは、野菜を使ったタコスと、トルティーヤチップス(サルサソース付)、味付けされたブロッコリーなど。学生が事前に試食したメニューであり、好評だったのだとか。 同市の教育局によれば、金曜日以外の日であっても、ヴィーガンメニューを選ぶことができます。公立学校の生徒達はヴィーガン以外の料理を選択することもでき、牛乳やサンドイッチなどはいつも用意されているのだとか。ヴィーガンを強要し過ぎないように配慮しているのも、大きなポイントです。 以前から同市では、揚げ物をやめて生野菜や果物を提供するなどの、給食メニューの改善に取り組んできました。子ども達の食生活に大きな影響を与える、学校給食。健康的な食べ方を早い時期から身に着けておくことは、大人になってからの健康維持に大いに役立つかもしれません。
NYの公立学校でヴィーガン給食がスタート、気になるその背景とは
2022.07.28

発展途上国の子どもを救う「ゴールデンライス」、期待の裏で続く議論

2021年、遺伝子組み換え米「ゴールデンライス」の商業栽培がフィリピンで初めて認可され、話題になりました。ゴールデンライスは、発展途上国の子どもたちの健康を守るために開発された作物ですが、環境への負荷や人体への影響を巡る議論が続いています。この記事ではゴールデンライスが生まれた経過から、商業栽培認可の各国動向までを解説します。 ビタミン不足を防ぐ遺伝子組み換え米 ゴールデンライスは、ビタミンAを強化した遺伝子組み換え米です。発展途上国では、「ビタミンA欠乏症」による子どもの失明や死亡が相次いでいます。ビタミンAには目などの粘膜を正常に保つ働きがあるとされています。ビタミンAが慢性的に不足した状態が続くと、目が見えなくなり、最悪の場合は死に至ることもあります。ビタミンAを含む食品は数多くあり、先進国では不足しづらい栄養素です。しかし、世界では5歳未満の子どもの約3分の1は、ビタミンAの不足により失明の危険性があると言われています。 この問題を解決するために生まれたのが、ゴールデンライスです。ドイツのフライブルグ大学の教授とスイスの植物科学研究所の職員によって、約8年間の研究を経て生まれました。アジアの貧困地域では、おかずなしでごはんだけを食べるケースが少なくないため、ビタミンAを多く含む食材として米が選定されたのです。 議論を呼ぶ中、商業栽培認可へ 発展途上国の子どもたちを救う目的で開発された、ゴールデンライス。その一方で実用化に至るまでには、自然環境や地域住民への影響、安全性などの面からさまざまな議論がありました。一般的に遺伝子組み換え作物の栽培には、農薬や化学肥料が必要であり、土の質が悪くなる場合があります。また、種子を入手するために多額の費用がかかることから、農家にとっては負担が大きく、生活が厳しくなる場合があります。さらに、ゴールデンライスを食べた場合の人体への影響についても懸念の声が挙がっています。 こうした状況の中で、フィリピン政府がゴールデンライスの商業栽培を世界で初めて認可しました。バングラデシュも認可を目指していて、その動向に注目が集まっています。オーストラリアや米国、カナダの食品安全規制当局ではゴールデンライスを安全と評価しているものの、商業栽培の認可はしておらず判断が分かれています 私たちの食事は世界の問題、そして人間の健康と深く関わっています。簡単に答えを導くことのできるような課題ではありませんが、ゴールデンライスの事例はそのことを私たちに示してくれています。
発展途上国の子どもを救う「ゴールデンライス」、期待の裏で続く議論
2022.07.27

海藻が世界を救う?ヨーロッパで養殖産業化の流れ

アジアでは食べ物としてなじみ深い海藻ですが、ヨーロッパでは日常的に海藻を食べる習慣はありませんでした。しかしながら、健康志向の高まりや食生活の変化を受けて、栄養豊富な海藻がヨーロッパの食卓に広まりつつあります。気候変動により地球上の資源がますます逼迫していくことが懸念される中、ヨーロッパでは養殖産業化の機運が高まっています。 ヨーロッパで高まる海藻ニーズ ヨーロッパの海藻の売上は今、急成長しており、欧州連合(EU)や国連食糧農業機関(FAO)でも、世界の食糧安全保障のために海藻を含む海産物の重要性が唱えられています。今後、ヨーロッパでの海藻の売上高は2030年までに20億ユーロから30億ユーロにまで増加するという見込みもあります。 平均余命が伸び続ける中、消費者は年齢を重ねながらも健康を維持するための方法を求めています。ヨーロッパでこうした健康志向が高まると共に、サプリメントなどの栄養補助食品の需要が増加。今あらためて、海藻の栄養価の高さが注目されています。海藻は、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、タンパク質などの必須栄養素を豊富に含むことから、それを使ったサプリメントがヨーロッパの消費者に浸透しつつあります。 ヨーロッパでの海藻需要の高まりは、肉食からタンパク質代替への転換という流れも、大きく後押ししています。現在、ヨーロッパのビーガンと菜食主義者は推定7500万人とされ、ここ数年での世界の代替肉のおよそ4割がヨーロッパで消費されています。環境への負担が大きい肉食を避けたいヨーロッパの人々にとって、栄養も豊富で環境に優しい海藻がヨーロッパの日常の食生活になじむのにそう時間はかからないでしょう。 また、海藻は人の食料だけにとどまらず、家畜や養殖魚のえさ、化粧品や医薬品、バイオ包装、バイオ燃料、繊維、洗剤、建材にも活用されます。海藻産業が環境への負担を減らす効果は大きく期待されており、海藻製品の活用により、ヨーロッパの人々の年間最大80万人分の温室効果ガス排出を相殺できるとする報告もあります。 採取から養殖へ:持続可能な海藻産業へのシフト 世界の海藻生産量の99%がアジアで生産されており、ヨーロッパは全体の1%程度というのが現状です。しかも、そのほとんどが天然海藻の採取によるもので、持続可能な収穫量は限界を迎えつつあります。そこで、将来を見据えた海藻の養殖への移行が、ヨーロッパの海藻産業には求められています。 冷たくて栄養豊富なヨーロッパの海水は、実は海藻にとって理想的な生育条件であり、ヨーロッパの海藻産業は今後成長する可能性が大いにあります。投資、生産技術、政策などをうまく組み合わせることで、ヨーロッパの海藻生産は現在の約30万トンから10年以内に約800万トンにまで拡大すると言われています。 ヨーロッパでの持続可能な海藻養殖が普及すれば、これまでの採取とは違って海洋環境に害を与えずに、海藻の生産量を増やすことができます。海藻は魚のえさになり住みかにもなるので、海藻養殖は海の生態系をより理想的なものにします。 また、海藻は植物と同じように大気中の二酸化炭素を吸収します。主に太陽光と海水があれば育つ海藻の養殖は、陸での農業と違い、広大な開墾された農地や水といった限りある資源を過剰に必要としません。ポルトガルの3倍の広さの海藻栽培で、世界のタンパク質需要がまかなえるとの話もあるほどです。 今後ますます懸念される気候変動と人口増加による土地と水の不足、そこから引き起こされる食糧不足という脅威が差し迫る中、持続可能な海藻の養殖はこれらの問題解決にも一役買うのではと期待が高まっているのです。
海藻が世界を救う?ヨーロッパで養殖産業化の流れ
2022.07.21

食べられる炭?豊富な栄養にダイエット効果も

炭は古くから私たちの暮らしに密接な関わりがありますが、最近「食べる炭」の人気が高まっていることをご存知でしょうか。炭を食べる習慣は昔からあったものの、その栄養や効果が再び注目され、さまざまな商品や食事法などが登場しています。この記事では、食用炭の歴史や栄養と、簡単な活用法について紹介します。 食用炭の歴史と使われ方 炭と一口に言っても、備長炭や竹炭、木炭(白炭・黒炭)など材料や焼き方によってさまざまな種類があります。一般的な用途として、燃料や水の浄化、土壌改良、調湿・脱臭などがあります。そこに加えて、昨今注目を集めているのが「炭を食べる」という使い方です。 炭を食べる習慣は最近始まったものではありません。「炭職人に胃腸の悪い人はいない」と昔から言われていて、炭職人たちは調子が優れない時に炭を食べていたとされています。また、忍者が解毒剤として炭を携帯していたという話もあります。これは炭の持つ吸着効果を利用したもので、腸内にたまった老廃物を排出する働きが期待されています。 また、炭には細かい穴がたくさん開いていて、そこに地中のカルシウムやカリウム、鉄分などのミネラルが豊富に含まれています。つまり、炭を食べることによって、ミネラルを手軽に摂取することができるのです。 セレブに話題のダイエット活用術も 最近の食用炭はパウダー状になったものが多く、耳かき2~3杯分を1日の摂取量の目安として、料理やデザート、飲み物などに加えます。食用炭を加えると黒色になるので、コーヒーなどに加えて混ぜたり、ソースやドレッシング、焼き菓子などにアクセントとして加えたりするのがおすすめの使い方です。どうしても色や風味が苦手という場合は、サプリメントを利用するという方法もあります。 炭は英語で「チャコール」と呼ばれ、海外では美と健康に欠かせない食材として注目を集めています。セレブ達の間で話題の「チャコールクレンズダイエット」は、炭のパウダーを水やジュースなどで割って飲むだけの食事法です。寝る前に飲むことで、翌朝にデトックス効果が期待できるとされています。炭の作用により、厳しい食事制限をすることなく、体を内側から整えることができるのも人気の理由のひとつです。 食用炭を使ったお菓子やドリンクは、見た目のインパクトもあり、SNSでも話題になっています。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
食べられる炭?豊富な栄養にダイエット効果も
2022.07.20

スペインが食品ロスの厳罰化へ。世界が注目する本気の新法案

「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標の1つに、2030年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させることが盛り込まれるなど、国際的な食品ロス削減の機運が高まっています。日本においても2019年に食品ロス削減推進法が施行されました。そうした中、スペインでは6月、食品廃棄物を減らすために厳罰を伴う新たな法案が国会に提出され、その野心的な内容が世界の注目を集めました。 食品ロスの企業に最高6800万円相当の罰金 この法案によれば、スーパーマーケットなどの食品の生産や供給に関わるすべての企業は、食品廃棄物の削減を計画することを義務づけられます。もし売れ残りなどの食品廃棄の量を減らす取り組みを怠れば、最高6万ユーロ(約800万円)の罰金が科せられ、これが悪質な場合だと最高50万ユーロ(約6800万円)にもなるというから驚きです。 この厳しい罰を回避するために、スペインのフードチェーンでは、食品の無駄な損傷を防ぐための正しい取り扱い、保管、輸送について今まで以上に十分な教育が求められます。そして、最適な鮮度を保つための冷蔵庫などの設備の適切な管理・維持へもより一層の配慮が必要になります。 スペインの多くのスーパーマーケットでは、以前から賞味期限が近い果物や野菜には、そのことを示すラベルが目立つように貼られていました。新法案が可決されれば、今後はそれだけでなく、そうした商品の価格を早めに下げて売り切ることや、期限が切れる前に慈善団体に寄付するケースが増えることになります。こと、大企業に関していえば、賞味期限が切れる前の食品を寄付する計画を事前に提出することなども課されています。 農場やメーカーでも、売れ残りやすい形やサイズが小さな果物は、ジュースやジャムに加工することが求められます。人が食べるには適さないけれど、カビや害がない場合は、動物の餌にするといった対策へもこれまで以上に積極的に取り組まなければなりません。人や動物が食べられなくないものは、家畜の飼料や肥料、バイオ燃料の生産へと回されます。 飲食店では無料の持ち帰り袋の提供を義務化 バーやレストランといった飲食店については、顧客が希望した場合、無料の持ち帰り袋「ドギーバッグ」の提供を義務付けることを盛り込みました。元々、食べ残しを持ち帰るという習慣が一般的でなかったスペインの人々にとっては、これは画期的な施策です。 また、飲食店には食べ残しをフードバンクやNGOに提供することも義務付けようとしています。 今回の法案は、学校や病院といった公共機関も、食品ロス対策の当事者に位置付けています。例えば、あまり空腹でない生徒や患者の皿には食べ物を盛りすぎないようにするといった食品廃棄を減らすための工夫をしなければなりません。 スペインのこの新法案は、農場からスーパーやレストランを経て消費者に至るまで、食品供給の一連の流れであるフードチェーンに関係するすべての人々や企業・団体を対象としています。EU全体で、食品廃棄物の53%が消費者から出ていて、この状況はスペインでも同様です。政府は個々の家庭から罰金を取ることまではしませんが、消費者の行動を変えるための教育キャンペーンも実施していく方針です。 EUは国連の目標に沿って、2030年までにEU域内の食品廃棄物を50%削減させることを約束しています。この地球規模の問題に取り組むべく、今回のスペイン政府の思い切った決断は、その一翼を担う国としての責任と覚悟が示されたものだといえそうです。  
スペインが食品ロスの厳罰化へ。世界が注目する本気の新法案
2022.07.14

食品や原材料の相次ぐ値上げ、その理由とは?

2021年秋ごろから、大手食品メーカーによる商品価格の値上げが相次ぎ発表されています。食品や食品原材料の値上げが続いていますが、これにはどのような理由があるのでしょうか。そして、なぜこれほどまでに話題になっているのでしょうか。 原油高や円安によるコスト増 食品や食品原材料の価格は、年々上昇し続けています。これは、世界規模での人口の増加や人件費の高騰、地球温暖化や天候不順による収穫量の減少などが主な理由とされています。これに加えて、最近の値上げは脱炭素化の動きやロシアのウクライナ侵攻により原油価格が跳ね上がったことや、急速に円安が進んだことも大きく関係しています。原油高が進むと物流コストが上昇し、円安が進むと輸入コストが増大するためです。 ほかにも、値上げの背景には、コロナ禍での生産規模の縮小や中国の食糧需要拡大などさまざまな要因が絡んでいます。原材料によって値上げの理由は少しずつ異なりますが、食品の原材料の多くを輸入に頼っている日本では、深刻な問題となっています。 特に、小麦粉や植物油脂、大豆、砂糖の値上げが目立っていて、小麦粉を主原料とするパンや、食用油を使ったマヨネーズの価格改定が相次いでいます。これらの原材料の値上げは、冷凍食品や醤油、食肉や魚の加工品、豆乳の価格にも影響します。食品メーカーでは、調達コストの削減や商品のリニューアル、仕入れ量の管理による食品ロス削減などの対策を講じているものの、値上げが止まらないというのが現状です。 値上げが話題になっているのは、なぜか? 値上げや物価上昇自体は、必ずしも悪いものではありません。物価上昇は景気拡大と同調しているケースも多く、商品の値上げにより企業の売上高が増加すれば、社員の給料アップと消費活動の活発化につながるからです。これにより、景気が好調になる可能性もあります。 しかし問題なのは、物価が上昇しているにもかかわらず給料が増えない状況です。不況であるのに物価上昇が進むことを「スタグフレーション」と呼び、昨今の値上げラッシュはこちらに傾いていると言えそうです。1970年代のオイルショック後の日本の状態と似ていて、暮らしやビジネスに大きなダメージを与えます。これは、値上げが話題になっている理由に大きく関わっています。 日本の食品業界だけでなく、食品の値上げは世界規模で進行しています。  
食品や原材料の相次ぐ値上げ、その理由とは?
2022.07.13

マクドナルドがベジタリアン対応でインド人の心をつかめた訳

米マクドナルドは1990年代にインドへ進出して以来、市場競争、経済危機、パンデミックなどを乗り越え、インドでのファーストフードの第一人者として信頼されるブランドであり続けています。インド市場におけるマクドナルドの成功のために重要な役割を果たしたのが、ブランドのローカライゼーション(地域化)でした。 ユニークで巨大な​​インドの市場に挑む 数百年におよぶユニークな食文化を持ち、人口の8割はヒンドゥー教徒であるインド人を米国風の食事様式に巻き込むのは、当初困難とされていました。 そこでマクドナルドは、それまで共通だった海外向けメニューを、潔く「インド化」します。ヒンドゥー教徒が神聖な動物として崇める牛肉のパティをやめて、鶏や羊の肉のバーガーをインド市場向けに提供。さらにまったく肉を食べない菜食主義者たちも利用できるようにと、ベジタリアンメニューを用意しました。 また、当時高価だったマクドナルド製品のインドでの市場価格をわずか25ルピー(およそ50セント)という低価格にしました。インドマクドナルドは、食材を地元から取り寄せ、物流管理をインド国内の会社に請け負わせることで、インドの中流家庭が気軽に利用できるような低価格を実現させたのです。 生産元や物流をインドに置くことは、海外からのインド進出を脅威とみなしていた、地元の政治家や社会運動家からの反対を回避することにも役立ちました。 家族との家での食事を重視し、外食は日常的でなかったインド家庭に合わせて、インドマクドナルドは、ファストフード店というより高級なファミレスというイメージを打ち出しました。清潔でゆったりした内装のほか、デリーの警察や消防と提携し、安全性をアピールしました。 他にも、それぞれの宗教観や信条を尊重していることをアピールするため、商品の包装や調理場のスタッフが着るユニフォームをベジタリアンとノンベジタリアンのものとで区別しました。そうした細やかな配慮により、インドの人々の信頼を着実に獲得していったのです。 ローカライゼーションで海外進出を成功に導く ローカライゼーションとは、製品やサービスを現地で受け入れられるように最適化することを指します。マクドナルドはこの技術を最大限に活用し、インドを含む世界100カ国以上、計4万店舗にも上る、世界最大のレストランチェーンとして成功を収めています。 どの国にも、その土地の雰囲気、食べ物、それぞれの需要や興味、関心があります。宗教的な習慣やタブーなど人にはさまざまな考え方があり、同じブランドでも国や地域によって受け入れられるかどうかには違いが生じます。こと食べ物に関していえば、世界のある地域では珍味や好物とされているものが、他の国では禁忌と見なされることが起こり得ます。 マクドナルドでは、各国にローカライズの専門チームがあり、新たな国に進出するとき、その国の文化の違いを理解し、それぞれの国の方針に従うことを心掛けています。同社が海外進出に成功してきた戦略のひとつは、ビッグマックを代表とした一貫性のあるメニューですが、地元の人々の傾向によって時にメニューを大きく変更することもいといませんでした。 多国籍フードチェーンにとって、インドの巨大な市場は魅力的でありつつ、その独特な価値観や宗教観ゆえに、ハードルの高い未開の市場でした。マクドナルドは柔軟で行き届いたローカライズを可能にすることで、インドの家庭に「家族でアメリカ風の外食を楽しむ」という新しい価値観を生み出したのです。    
マクドナルドがベジタリアン対応でインド人の心をつかめた訳
2022.06.29

食品原料高の背景に「水不足」。世界の穀倉地帯で表面化するリスク

日本で暮らしていると、「水不足」と聞いても、ピンとこないかもしれません。しかし実は今、世界の穀倉地帯が深刻な水不足に陥っています。背景には、干ばつや洪水による不作があります。ロシアのウクライナ侵攻の影響で、食品値上げのニュースが毎日のように報じられていますが、近い将来、私たちも向き合わなければならない水の問題をひも解きます。 異常気象が小麦産地を襲う アメリカ アメリカの穀倉地帯は、以前から干ばつ被害に悩まされており、2012年の中西部での大干ばつが代表的です。2021年も熱波と干ばつが重なったことで小麦が不作となりました。特に米南西部は、「メガドラウト」と呼ばれる大規模な干ばつ被害に悩まされています。 アジア アジアの小麦生産大国インドも、記録的な熱波による不作に見舞われています。ウクライナ情勢の影響を危ぶみ、一時、小麦の輸出を停止しました。アジアにおけるもう一つの小麦大国・中国も、昨年の大雨と洪水で2022年は「史上最悪」の小麦不足です。 ヨーロッパ 小麦生産高世界5位のフランスも、熱波や干ばつで収穫量が減少しています。専門家の調査によると、土壌の水分レベルは過去10数年の中で「最低」。ウクライナ情勢のあおりで小麦不足が懸念される中東・北アフリカからも頼られているだけに、この問題は深刻です。 中東・北アフリカ 中東トップの小麦生産国はイラン、そして、アフリカ最大がモロッコです。ここも同様に干ばつの影響で小麦の生産を大きく落としています。地理的に干ばつ傾向の強いアフリカですが、近年はインド洋の温暖化によって引き起こされる洪水被害も目立ちます。 水不足を起こす要因 水不足の直接的要因としては、干ばつや熱波といった気候変動が目立ちます。しかしこの問題を掘り下げると、背景に人口増加と産業活動があり、それらが密接に関わり合っています。 水の需要が増したのは、産業革命によって工業化が急速に進んだ18世紀半ばから19世紀にかけて。人口が集中する都市が各地に生まれ、世界中で水が求められるようになりました。日本は世界の中で最も早く少子高齢化に直面し、すでに人口減少の局面に入っていますが、世界では人口が増え続けています。 人口の増加は、水を汚染します。生活排水の他、工場など産業活動に伴う水の汚染は公害問題を引き起こしました。私たちが生きることと水を汚染すること、それらは決して切り離すことのできない関係性にあります。 干ばつや熱波、洪水といった気候変動が2050年までに世界農業にもたらす経済的損失は、16%に上るという試算もあります。
食品原料高の背景に「水不足」。世界の穀倉地帯で表面化するリスク
2022.06.22

世界最大規模の米トウモロコシが危機に。気候変動のはらむリスクとは

アメリカ中西部で東西へとベルト状に広がるトウモロコシの農業地帯は「コーンベルト」と呼ばれています。ここでのトウモロコシ生産高は米国全体でのおよそ8割を占め、世界総生産高の3分の1に達します。米エモリー大学の新たな研究によると、​​​​気候変動による気温の上昇により、2100年までにアメリカのコーンベルトはトウモロコシ栽培にそぐわなくなる可能性があると報告されました。食だけにとどまらない、私たちの暮らしに及ぶ影響とは─。 19世紀から続く大産地に変化の兆し 大規模農業が盛んなアメリカでは、​​​​本土の3分の2が農作物の栽培に利用されており、農地のおよそ8割は、トウモロコシ、大豆、小麦、綿花、牧草、アルファルファの6つの商品作物の耕作に占められています。 エモリー大学の研究では、特に産業活動による人為的な温室効果ガスに焦点を当て、農地と人間の介入に関するデータを分析し、主要な作物の栽培への影響を予測しました。その結果、3段階のうち中程度の排出シナリオ(​​人間活動に伴う温室効果ガス等の大気中の濃度が、将来どの程度になるかを想定したもの​​)であっても、トウモロコシ、大豆、アルファルファ、小麦の理想的な栽培条件はいずれも北に移動するということでした。 この研究により、2100年までに中西部のコーンベルトがトウモロコシの栽培に適さなくなることが示唆されました。1800年代から肥沃な土壌と技術革新に支えられ、安定した穀物生産を可能にしてきたアメリカ農業の主戦場のひとつが近い将来危機にさらされるという衝撃的な事態です。トウモロコシは他の作物に比べてもなお影響が大きく、生産場所が国境を越えてカナダに移ってしまうことになります。 様々な分野で活用されるトウモロコシ アメリカで生産されるトウモロコシのうち、ポップコーンなどの形で直接消費されるのは10分の1以下です。食用で使われるうちの多くは甘味料の原料となっていて、例えば世界の甘味料市場の9%を占める高果糖コーンシロップなどに加工されています。肥満の原因とされる甘味料のひとつですが、コカコーラなどをはじめとした世界中で販売される多くのソフトドリンクに使用されています。 また、アメリカのトウモロコシの4割は、乳牛、鶏や豚といった家畜の飼料に使用されています。それはつまり、牛乳や乳製品、卵、ソーセージなど、日々の食卓に並ぶ多くの食料品にトウモロコシが間接的に関係しているということです。他にも、サケなど養殖魚の餌の主原料にもトウモロコシが使われています。 これだけ見ても、私たちの食生活に与える影響の大きさは計り知れません。さらには日用品でも、歯磨き粉の主成分であるソルビトールはコーンシロップに由来していますし、コーンスターチは汗を吸収するデオドラント剤に使われる成分のひとつなのです。 バイオマス燃料への期待が増す昨今。トウモロコシは燃料としても活躍の場を広げています。石油燃料の削減のため、米政府は原油価格が高騰した2000年代初頭からコーンエタノールの開発に力を入れてきました。現在、国内生産量のうちの4割がこのエタノール燃料に回っています。 日本は世界トップクラスのトウモロコシ輸入国で、年間消費量1500万トンのうち3分の2に当たる1000万トンをアメリカから輸入しています。この事実から言えるのは、私たち日本人も、気候変動のはらむリスクに目を向けるべき当事者だということです。  
世界最大規模の米トウモロコシが危機に。気候変動のはらむリスクとは
2021.06.21

世界三大料理「中華料理」「フランス料理」あと一つは?

ヒトというものは兎角3という数字で物事をまとめたがります。三大○○、御三家、などなど。 料理も例外ではありません。日本でも世界でも、さまざまなくくりで三大○○が挙げられています。 そこで今回は世界三大料理に焦点を当ててみます。 有名なあの料理は入るとして、残り一つは何料理が当てはまるでしょうか? 基準は世界の料理文化への貢献度 世界三大料理と聞いて、何料理を思い浮かべますか。ぱっと思いつくのは、中華料理、フランス料理、日本料理などでしょうか。 イタリア料理やロシア料理、韓国料理もお馴染みですね。 世界三大料理は、伝統的には「中華料理」「フランス料理」「トルコ料理」とされています。 中華料理は四千年の歴史を持つ、宮廷料理として発展してきた料理です。広大な領土でさまざまな食材・料理法が発達し、それが宮廷に集積して開花したと考えられます。 フランス料理もまた宮廷料理に源流があります。現在では優雅なコース料理がイメージされるフランス料理ですが、何と16世紀以前の中世ではテーブルマナーも確立されていないどころか、食器すら使われず手づかみで食事をしていたといいます。これが近世になるとナイフとフォークを使う作法が一般的となり、伝統的な高級宮廷料理「オートキュイジーヌ」が生まれました。今日のレストランやホテルで供されるコースメニューの高級料理の原型と言えます。その後フランス革命が勃発し、職を失った宮廷料理人が地方へと流出して自らの店をもったことで一般庶民にも広まり、さらにフランス料理は発展しました。 最後はトルコ料理です。中華料理、フランス料理に比べると日本ではややマイナーな印象ですが、伝統的な世界三大料理という定義がヨーロッパの歴史家や料理研究家によって決められたことからトルコ料理が入っています。おいしさそのものよりも、のちの料理文化にどのような影響を与えたかが重視されているのだそうです。 トルコの源流は14世紀から20世紀の初めまで地中海地域の半分以上を支配したオスマン帝国にさかのぼります。ヨーロッパと中央アジア、アフリカの要衝に位置するトルコでは、トルコ民族の伝統的な料理と各地方の料理がまじりあい、トルコ料理として独特の発展を遂げました。その影響はギリシャ料理、ブルガリア料理、モロッコ料理からハンガリー、ロシアにまで渡ったのだとか。 トルコ料理が世界三大料理とされるのも、納得ですね。 日本で食べられるトルコ料理と言えばケバブが有名です。逆に言うとケバブ以外のトルコ料理は日本国内ではどちらかというとマイナーで、専門店に行かなければ味わえないとも言えます。トルコを含めた地中海東部地域の料理は大変おいしいので、機会があればぜひ食べてみてください。 世界三大料理は、中華料理、フランス料理、残る一つはトルコ料理でした。 おいしさや知名度ではなく、歴史的な料理文化への影響度などから決められたという由来が意外でしたね。 トルコ料理に限らず、日本に暮らす外国人の祖国料理を食べられる飲食店は思うよりもたくさんあります。各国料理と検索するとヒットしやすいようです。 コロナ禍で海外旅行に行くのは難しい状況が続いていますが、各国料理は日本にいても食べられると考えると楽しく嬉しくなりますね。お口でこっそり海外旅行、ぜひワクワクドキドキの小さな旅を楽しんでみてください。
世界三大料理「中華料理」「フランス料理」あと一つは?

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NEW 2022.11.24

知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?

地球の人口増加や環境問題により、食肉などのタンパク質が不足するのが「タンパク質危機」です。私たちの食卓に影響するかもしれない世界規模での課題であるにもかかわらず、一般にはそれほど広く認知されていません。こちらの記事では、タンパク質危機とはどのような問題かを解説すると共に、タンパク質危機を避けるための4つの選択肢について説明します。タンパク質危機という問題が生じている理由から取りうる対応策までを紹介し、プラントベースフードなどがにわかに注目を浴びている背景をお伝えしていきます。 タンパク質危機(タンパク質クライシス)とは タンパク質危機は、世界人口の急速な増加に由来する問題です。まずはその背景的な事情からみていきましょう。 少子化真っ只中の日本。でも世界の人口は? 日本では、出生率の低下に伴い若年層の人口が減少する「少子化」が急速に進んでいます。そのためあまり実感がわきませんが、一方で世界の人口は増え続けている状況です。国連の調査によれば、世界の人口は現在約80億人であるところ、2030年には約85億人、2050年には約98億人、2100年には約112億人になると推定されています。 2030年までにタンパク源が足りなくなる恐れ 世界規模での人口増加に伴って、近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足すると予測されています。この予測は「タンパク質危機」と呼ばれていて、欧米諸国を中心に話題になっています。現状のままだと早ければ2025年から2030年ごろまでに需要と供給のバランスが崩れ始めると言われています。 人間の身体を構成するのは、水分が約60%、タンパク質が約15~20%とされています。つまり、タンパク質は水分を除いて体の重量の約半分を構成する、生きていく上で大切な栄養素です。欧米では「プロテインチャレンジ2040」と題したコンソーシアムが立ち上がり、その中から複数のプロジェクトが始動しています。タンパク質危機をどう乗り越えていくのかは、人類が生きていく上で極めて重要な課題です。 タンパク質危機を避けるための4つの選択肢 タンパク質危機を回避するために、世界中でさまざまな検討が行われています。ここでは、その中から代替肉と培養肉、昆虫食、藻類という4つの選択肢について解説します。 代替肉 代替肉とは、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「肉のような食材」のことです。欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされていて、別名「プラントベースミート」と呼ばれることもあります。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも大豆ミートを使ったメニューが登場し、話題になっています。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場するなど、さまざまな研究・開発が進められています。 培養肉 培養肉は、牛などの動物から取った少量の細胞を、再生医療の技術により体外で増やして作られます。プラントベースの代替肉とは異なり「本物の肉を使った代用品」です。従来の食肉の生産方法と比べて、飼育・繁殖する過程における動物へのストレスや環境への負荷が少ないとされています。こうした特徴から、別名「クリーンミート」と呼ばれることもあります。 培養肉は、2013年にオランダの研究者が培養ミンチ肉を作ったのがその始まりです。日本でも培養肉の研究が進められていて、2019年には世界で初めてサイコロステーキ状の培養肉を作ることに成功しました。大きな肉を作るための技術の開発など乗り越えなくてはならないハードルが多いものの、持続可能な食材という意味で期待が寄せられています。 昆虫食 昆虫食とは、コオロギなどの昆虫を原料にした食品のことです。大豆ミートなどのプラントベースフードは植物性のタンパク質しか得られないのに対して、昆虫食の場合、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができます、また、昆虫食は飼育・加工に必要なスペースや資源が最小限で済み、環境負荷が低いというメリットもあります。 日本にも貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫食には食品の安全性や見た目への抵抗感といった課題があるものの、環境負荷の少ないサステナブルな食材として注目を集めています。 藻類 細胞分裂をして増殖する藻類はタンパク質含有量が50~75%であり、新たなタンパク質源としての可能性を持っています。藻類は良質なタンパク質だけでなく、炭水化物や脂質、ビタミン、ミネラルなども豊富に含まれています。現在市場に流通しているのはタンパク質が豊富に含まれるクロレラやスピルリナで、藻類をそのまま乾燥させて粉末状にしたものが主流です。 藻類は栄養価が豊富であるものの、藻類を乾燥した粉末は独特の匂いがあることや、藻類バイオマスの生産コストが肉や大豆に比べて価格が高いことなどから、タンパク質源としてはこれまで積極的に利用されていませんでした。しかし、近い将来に訪れるとされるタンパク質危機を前に、藻類の利活用が見直され始めています。 まとめ 世界の人口増加に伴って、近い将来訪れると言われているタンパク質危機。この記事では、タンパク質危機を回避するために私たちが取りうる選択肢として、代替肉、培養肉、昆虫食、藻類の4つを紹介しました。食品としての安全性や抵抗感、生産コストなど、それぞれに乗り越えるべき障壁はありますが、タンパク質危機を避けるために、世界中でさまざまな研究・開発が行われています。これまでの常識にとらわれない、新しい食の選択肢が求められていると言えそうです。
知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?
NEW 2022.11.22

昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?

コオロギなどの昆虫を原料にした食品「昆虫食」。日本にも、貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、多くの人にとってはなじみの薄いものでしょう。しかし今、環境負荷の少ないサステナブルな食料として、世界が昆虫食に注目しています。 一体なぜ、これほどまで昆虫食が話題になるのか。この記事では、昆虫食が期待される背景を解説した上で、栄養価の高さなど注目の理由を解説します。他方で、「本当に安全性に問題はないの?」「昆虫を食べるリスクは」といった疑問や不安の声にもお答えします。 昆虫食が注目を集める背景 無印良品で話題となった「コオロギせんべい」をはじめ、日本では勢いのあるベンチャー企業が、昆虫食ビジネスを盛り上げています。そうした流れに至るまでに、どのような背景があったのでしょう。 増える世界人口、ひっ迫するタンパク源 日本は少子化に直面していますが、世界全体では人口は増加し続けています。このまま行けば、2050年に世界人口は100億人に達すると言われています。 近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足する恐れがあると言われています。「タンパク質危機(タンパク質クライシス)」を避けるために、大豆ミートをはじめとしたプラントベースフードの開発が進みました。しかし、植物由来の食べ物からは、植物性のタンパク質しか得られません。そこで、注目されたのが「昆虫食」。なぜなら昆虫は、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができるからです。 転機の国連食糧農業機関(FAO)報告 2013年、国際連合食糧農業機関(FAO)が「ある報告書」を発表しました。それは、世界の食糧危機への対策として昆虫食を推奨するというもの。この報告書を契機とし、世界各地で昆虫食の研究・開発が加速しました。昆虫を食べる習慣のなかった欧州でも、2018年、欧州連合(EU)が昆虫を新規の食品として域内で販売することを認めました。 昆虫食を選ぶメリット さぁここから、他にはない昆虫食のメリットを深掘りしていきます。 非常に優れた環境負荷の低さ 狭いスペースで飼育・加工ができる 昆虫は牛や豚、鶏などの家畜よりも狭い場所で飼育できます。コオロギ1キロを生産するのに必要な農地は、鶏肉や豚肉の約3分の1、牛肉なら約13分の1しか必要としません。また、出荷用にパウダーなどに加工する場合でも、小規模な施設で行えます。飼育・加工に場所を取らないということは、それだけ効率的に生産できるということです。 飼育に必要な資源が少ない 昆虫の生産は、家畜に比べて少量の水や飼料で可能です。牛肉を1キロ生産するためにはおよそ8キロのえさを必要とするのに対し、昆虫1キロの生産には約2キロのえさを使うだけで済みます。生産に必要な水についても同様で、コオロギの生産に必要な水は、牛肉の場合の約2500分の1で済んでしまいます。 温室効果ガスの排出量が少ない 牛1頭がげっぷなどで出すメタンガスは1日160リットル以上で、地球温暖化を促進していると言われています。しかし、昆虫の飼育に伴う温室効果ガスの排出量はその10分の1以下。昆虫食は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減にも効果があるというわけです。 丸ごと食べられて、食品ロスにも貢献 昆虫食は食品ロスの削減にも貢献します。牛1頭の可食部はおよそ4割ですが、昆虫はそのほとんどが食べられるので無駄がありません。また昆虫のえさには、残飯など本来なら捨てられてしまうものを利用できます。焼却コストのかかる生ごみの量が減り、一方で、貴重なタンパク質源になるというのですから、昆虫食の利点が際立ちます。 牛や豚に負けない栄養価の高さ それで終わらないのが、昆虫食のすごさです。ガやハチの幼虫の場合、体重の50%がタンパク質と言われています。牛や豚が1〜3%ですから、それに比べると非常に高い含有率です。昆虫は、良質なタンパク質だけでなく、食物繊維や、カルシウム、銅、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含む上に、脂肪分は少ないという健康に良い食品です。 昆虫食のデメリット 栄養価が高く、環境にも良い昆虫食。その一方で、なじみの薄い昆虫食に対するネガティブな考えも少なくありません。今度は、考えられる昆虫食のデメリットを見ていきましょう。 安全面でのリスクは? 専門家の助言なしに、自然採集した虫を食べるのは、危険を伴う行為です。なぜなら、野生の昆虫には、毒を持つものや、寄生虫や病原菌を媒介するものもいるからです。一方で、管理された環境下で生産されたものは、昆虫とはいえ、他の食材と同様に安全です。 安心を担保する「コオロギ生産ガイドライン」 消費者により安心してもらえる環境を整えようと、2022年8月、民間団体が「コオロギ生産ガイドライン」をまとめました。研究機関や企業などでつくる「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)」が、コオロギの生産過程の衛生管理を中心に行動指針を決めました。公的なルール整備がない中で、民間主導で一定のルールを示すことで信頼性を高め、昆虫食のさらなる普及につながることを期待しています。 アレルギーリスクについて 昆虫食は、食物アレルギーを持つ人には注意が必要です。昆虫には、エビやカニなど同様の甲殻類アレルギーの原因となる「トロポミオシン」という成分が含まれているからです。昆虫に限らずすべての食材に言えることですが、これまで口にしたことのない食材を食べる時には、これまでアレルギーの自覚症状がなかった人でも、慎重を期すようにしましょう。 見た目への抵抗感 多くの人にとって、昆虫を食べることに対して、心理的なハードルがあります。初めて口にするものに対して拒絶反応が出るのは、動物的な本能として当たり前のことです。もしかしたら、これが昆虫食にとっての最大の問題かもしれません。日本でも昆虫食品の開発は大変盛んで、さまざまな商品ラインナップがあります。まずは、昆虫の姿を連想しづらいパウダー入りの菓子やパンなどから試してみるのがいいかもしれません。 そして、「まずいものをわざわざ食べたくない」というのが、大半の人の率直な気持ちだと思います。実際のところ、昆虫の味は実に多種多様で、思いきって食べてみると、おいしく感じるものもたくさんあります。バッタはエビやカニに似た食感、タガメは洋ナシや青リンゴのようなフルーティな香りだとか。セミに至っては、幼虫だとナッツのようなクリーミーな風味で、成虫になるとエビのような風味が楽しめます。 昆虫食とは 1900種類の食べられる昆虫 世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫学者である三橋淳氏の書いた『虫を食べる人びと』(平凡社ライブラリー)によれば、世界ではハチやイナゴに加えて、カブトムシ、カミキリムシなども食べられているそうです。 世界の昆虫食  タイ 昆虫食が住民生活に浸透しているタイでは、スーパーマーケットの食材コーナーに昆虫のサナギや幼虫が並んでいたり、昆虫の佃煮を売る屋台を目にしたりすることも珍しくありません。特に人気があるのはコオロギで、盛んに養殖されています。最近では、コオロギのスナック菓子やコオロギパウダー、コオロギオイルなど、コオロギを原材料にしたさまざまな加工食品が登場しています。特にコオロギパウダーは輸出用としての需要が高く、国もその動きを後押ししています。 ケニア アフリカ東部のケニアで最もよく食べられている虫は、シロアリです。日本でシロアリと言えば、住宅の床下で暮らすアリ(職蟻)を意味することが多いですが、現地で食べられているのは別の種類のアリ(羽蟻)です。このシロアリを使った「クンビクンビ(kumbikumbi)」という伝統料理があり、栄養失調を改善する効果があると言われています。実際、シロアリには、良質な動物性たんぱく質や脂質のほか、カルシウム、鉄分、アミノ酸などが豊富に含まれています。ケニアのシロアリはインターネット通販などでも販売されています。 日本の昆虫食 長野県に根付く昆虫食文化 日本で昆虫食文化が盛んな地域といえば、長野県です。信州でよく食べられている昆虫といえば、ハチノコやイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼ばれているそうです。 ハチノコはスズメバチの幼虫やさなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。長野県はかつて養蚕が盛んで、カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫です。ザザムシは水生昆虫で、ヒゲナガカワトビケラなどの幼虫のことを指し、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷地域で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。イナゴやカイコは、稲作や養蚕を営む過程で副産物として発生するもので、昆虫食は、自然と共生する地域の暮らしに深く結びついていたのでしょう。 まとめ 昆虫食のメリットとデメリットを押さえてきましたが、環境負荷が低くて栄養価も高いという特徴を踏まえると、昆虫食がこれだけ話題になっていることもうなずけると思います。昆虫を食べるという行為に対して抵抗感はあるかもしれませんが、以前は「生で魚を食べるなんてありえない」と言っていた欧米人が、「Sushi(寿司)」を高級料理としてもてはやしているのを見ると、さほど大きな問題でないようにも思えます。先入観だけで昆虫食という選択肢を排除せず、機会があったらぜひともチャレンジしてみてください。
昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?
NEW 2022.11.17

代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説

世界中で「代替肉」のブームが到来しています。代替肉とは、その名前の示す通り、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「まるで肉のような食材」のことです。 では実際に、代替肉はどのような素材から作られ、どのように利用されているのでしょうか。この記事では、代替肉の定義を確認した上で、代替肉の原材料や原材料別の使用例について解説します。この記事を読むことで、代替肉の全体像を把握し、代替肉は具体的にどのようなものであるかを理解していただけます。 プラントベースミートと呼ばれることも 代替肉は、欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされています。代替肉は地球が抱える環境問題の解決や世界の人口増加に対する食料不足への対策、食の多様性への対応という側面においても大きな意味を持つと言われています。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場しました。いずれも「植物由来の肉」であることから、英語ではプラントベースミートと呼ばれています。 フェイクミート、オルタナティブミートとはどう違う? 代替肉はプラントベースミート以外に、フェイク(偽物の)ミートやオルタナティブ(代替の)ミートと訳されることもあります。呼び方はそれぞれ異なるものの、いずれも動物の肉に見た目や風味を似せた、植物性原料から作られた食材を意味しています。代替肉のどのような特徴を強調したいのかによって、フェイクミートやオルタナティブミート、プラントベースミートという言葉が使い分けされているようです。 大豆ミート:代替肉の定番でバリエーション豊富 大豆ミートとは 大豆ミートは、その名前の通り大豆で作られた代替肉のことです。ソイミートや大豆肉と呼ばれることもあります。大豆は別名「畑の肉」と呼ばれるほど栄養が豊富で、良質なタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルも多く含有しています。 大豆ミートは代替肉の定番であり商品の数も多く、最近はスーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かける機会も増えました。 大豆ミートは水やお湯などで戻してから利用する「乾燥タイプ」が主流ですが、すぐに使える「レトルトタイプ」や「冷凍タイプ」もあります。また、形状は主に「ミンチタイプ」「フィレタイプ」「ブロックタイプ」という3種類で、用途に応じて使い分けできます。 あの有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも 大豆ミートの需要の高まりを受けて、大豆ミートをメニューに導入する飲食店も増えています。大手ハンバーガーチェーン「モスバーガー」では「ソイパティシリーズ」と題して、大豆ミートを使ったハンバーガーのラインアップが登場しています。 また、大手コーヒーチェーン「スターバックス」はサマーシーズン第2弾として“Yori Dori Midori”をテーマにして、プラントベースという選択肢を提案。新しく加わったメニューのひとつ「スピナッチコーン&ソイパティ イングリッシュマフィン」では、肉の代わりに大豆を使ったソイパティを使用しています。 ひよこ豆の代替肉:味のクセが少なく使いやすい ひよこ豆とは ひよこ豆は大豆と同じくらいの大きさの丸い豆です。アジア西部が原産で、インドや欧米諸国、中近東などでは一般的によく流通しています。タンパク質が多く食物繊維が豊富で脂肪分が少ないことから、少し前から食肉に代わるヘルシーな食材として話題を集めています。 ひよこ豆は日本では馴染みの薄い豆ですが、味にクセが少ないため食べやすいのが特徴です。乾燥した状態の豆は水で戻して煮る必要がありますが、水煮されたレトルトタイプを使えば、手軽に利用できます。 使用例:カレーや揚げ物、おやつにも ひよこ豆の生産量はインドが世界一で、ベジタリアンの多いインドではカレーの具材に使われることも多く、日常的に食べられています。インドでは、ひよこ豆の外側の皮を取り除いて割った豆を「ダール」と呼び、カレーにもよく利用されています。また、ひよこ豆を粉末にした「ベサン粉」は、インド風天ぷら「パコラ」をはじめ、おやつや軽食にも用いられています。 この他にひよこ豆を使った料理としては、ひよこ豆のペースト「フムス」やひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」も有名です。 レンズ豆の代替肉:ひき肉代わりとして使える レンズ豆とは レンズ豆は、レンズのように平たい形状をしています。レンズ豆には緑色やオレンジ色、褐色などさまざまな色があり、3~6ミリ程度と非常に小さいことも特徴です。日本ではあまり知られていない豆ですが、欧州などでは日常的に利用されていて、特にヴィーガンやベジタリアンの人たちに親しまれています。 レンズ豆は「世界五大健康食品」の一つに数えられていて、ビタミンB群やタンパク質、鉄分、食物繊維を多く含有しています。特に、皮付きの茶色のレンズ豆には100グラム中に9.4ミリグラムの鉄分が含まれていて、これは大豆の含有量よりも多いと言われています。 使用例:カレーや煮込み料理、サラダに レンズ豆はインドやネパールではカレーの具材として、イタリアやフランスなどの国では煮込み料理やサラダなどによく使われています。代替肉としての使い方として、レンズ豆は粒が小さいので、ひき肉のような感覚で利用することができます。例えば、ハンバーグを作る際にレンズ豆で代用する方法があります。 レンズ豆には特有の匂いがあるので、気になる場合は、スパイスを加えたり濃い味付けをしたりするのがおすすめです。レンズ豆は水を吸収しやすいため、あらかじめ水で戻す必要がなく、料理にそのまま使うことができるのも魅力です。 エノキート:キノコの旨味でおいしさ追求 エノキートとは エノキートとは、エノキタケとミートを組み合わせた名前です。エノキートはエノキタケを主原料として作られた代替肉で、農業法人である株式会社小池えのき(以下、小池えのき)によって開発されました。小池えのきの本社がある長野県中野市は、日本最大のきのこの生産地として知られ、エノキタケの生産量は全国の約4割を占めます。地元の食材を使った、新しいタイプの代替肉として注目を集めています。 エノキートには、発芽大豆から作られた大豆ミート「ミラクルミート(DAIZ)」を使用しています。ミラクルミートには、大豆独特のくさみがほとんどありません。ミラクルミートにはうまみ成分「グルタミン酸」が含まれていて、エノキタケのグアニル酸を組み合わせることでうまみが格段にアップし、動物の肉に劣らない独特のうまみが実現できます。 使用例:ハンバーグ エノキートを使った代表的な料理は、ハンバーグです。原材料は、エノキタケとタマネギ、大豆ミート、パン粉、調味料。原材料の半分以上が、エノキタケとタマネギです。5ミリ程度のみじん切りにしたエノキタケを使用することで、肉によく似た食感が生まれます。エノキタケは加熱すると独特のぬめりが出るため、つなぎの代わりになるという点からハンバーグに使うのに適しています。 エノキートのハンバーグは合いびき肉を使った通常のものに比べて、脂質やカロリーが少なく食物繊維が多いとされています。大豆ミートを使用しているため、タンパク質の量は通常のハンバーグとほとんど変わりません。ヘルシーでありながらタンパク質がしっかり摂取できるので、ベジタリアンやヴィーガンの人たちだけでなく、健康への意識が高い人にも支持されています。 まとめ 世界中で需要が高まっている、代替肉。代替肉と一口に言ってもその種類は多く、今回紹介した4種類以外にもさまざまなタイプがあります。 代替肉には私たちの健康維持や地球の環境保全につながるメリットがある一方で、原材料の調達や製造プロセス次第では、環境に負荷を与える可能性もあると言われています。今後、こうしたデメリットにどのように対応していくのかが課題でしょう。代替肉の分野は成長過程にあり、これからの展開に注目したいです。
代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説
NEW 2022.11.16

AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線

ゴミとして捨てられるプラスチックの多くが、適切に分別されないことにより、再利用の道が閉ざされているという嘆かわしい現実があります。この問題を高度なIT(情報技術)で乗り越えようと、オーストラリアの研究チームが動きました。飲料容器の分別を自動的に行うことができる「スマートビン技術」を搭載した画期的なゴミ箱を開発しました。 ITでゴミを自動分別、リサイクル率を向上 ​​オーストラリア最大の都市・シドニーがあるニューサウスウェールズ州では、年間80万トン出るプラスチックゴミのうち、リサイクルされているのはわずか10%だそう。これは、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の調べで分かりました。 プラスチックのリサイクルのプロセスは非常に複雑です。適切に分別がされないと、こうした事態に陥ります。リサイクルできない廃棄物の一部が焼却場行きとなれば、その分温室効果ガスの排出量が増えます。これらがきちんとリサイクルに回れば、地球温暖化にも大いに貢献するでしょう。 問題解決に向けて、シドニー工科大学(UTS)の共同研究チームは、ゴミの中から自動的に飲料容器を選り分ける機能を搭載したゴミ箱を開発しました。その名は「スマートビン技術」。これにより、最も多い廃棄物のひとつである飲料容器のリサイクル率を向上させることができます。 人工知能(AI)、ロボット工学、画像の認識技術などを組み合わせた先端テクノロジーが搭載されたこのゴミ箱は、ガラスや金属、プラスチックなど素材別に仕分けしてくれます。さらに、ペットボトルの素材となるポリエチレンテレフタレート(PET)や、シャンプーボトルに使われる高密度ポリエチレン(HDPE)など、プラスチックをさらに細かい種類別に分けることができます。 方法としては、まずゴミをカメラで撮影し、AIアルゴリズムを実行して、膨大なデータを処理・分析することにより分類します。そしてIoT(モノのインターネット)を含む最新のロボット技術により、重さや物質、素材を感知してゴミを分別するという仕組みです。 スマートビン技術の社会実装の日は近い 今後、あらゆる地域でスマートビン技術搭載のゴミ箱が利用されるようになれば、プラスチックゴミのリサイクル率は飛躍的に向上し、業者による回収作業もより素早く正確になります。研究チームは、このゴミ箱を管理するシステムの開発を進めています。システムが実用化されれば、ゴミ箱の所有者が、ゴミ箱の充填具合などの状態を遠隔で監視、点検できるようになります。ゴミ箱が満杯になった時、ゴミ箱を空にする必要があることを知らせる通知が表示されるという仕組みです。また、地域の人々にとっては、自分がどれだけリサイクル活動に貢献しているかがアプリに記録され、そのことを通知として受け取ることができます。 この実証実験は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究プログラムの一環として行われています。同機構は2030年までに、オーストラリアで排出されるプラスチック廃棄物を80%削減することを目指しています。スマートビン技術はまだ試作段階ですが、いずれはショッピングセンター、学校、映画館、カフェ、企業、空港などにスマートビン技術搭載のゴミ箱が設置される予定です。
AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線