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“食品ロス” タグの記事一覧

NEW 2022.11.22

昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?

コオロギなどの昆虫を原料にした食品「昆虫食」。日本にも、貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、多くの人にとってはなじみの薄いものでしょう。しかし今、環境負荷の少ないサステナブルな食料として、世界が昆虫食に注目しています。 一体なぜ、これほどまで昆虫食が話題になるのか。この記事では、昆虫食が期待される背景を解説した上で、栄養価の高さなど注目の理由を解説します。他方で、「本当に安全性に問題はないの?」「昆虫を食べるリスクは」といった疑問や不安の声にもお答えします。 昆虫食が注目を集める背景 無印良品で話題となった「コオロギせんべい」をはじめ、日本では勢いのあるベンチャー企業が、昆虫食ビジネスを盛り上げています。そうした流れに至るまでに、どのような背景があったのでしょう。 増える世界人口、ひっ迫するタンパク源 日本は少子化に直面していますが、世界全体では人口は増加し続けています。このまま行けば、2050年に世界人口は100億人に達すると言われています。 近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足する恐れがあると言われています。「タンパク質危機(タンパク質クライシス)」を避けるために、大豆ミートをはじめとしたプラントベースフードの開発が進みました。しかし、植物由来の食べ物からは、植物性のタンパク質しか得られません。そこで、注目されたのが「昆虫食」。なぜなら昆虫は、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができるからです。 転機の国連食糧農業機関(FAO)報告 2013年、国際連合食糧農業機関(FAO)が「ある報告書」を発表しました。それは、世界の食糧危機への対策として昆虫食を推奨するというもの。この報告書を契機とし、世界各地で昆虫食の研究・開発が加速しました。昆虫を食べる習慣のなかった欧州でも、2018年、欧州連合(EU)が昆虫を新規の食品として域内で販売することを認めました。 昆虫食を選ぶメリット さぁここから、他にはない昆虫食のメリットを深掘りしていきます。 非常に優れた環境負荷の低さ 狭いスペースで飼育・加工ができる 昆虫は牛や豚、鶏などの家畜よりも狭い場所で飼育できます。コオロギ1キロを生産するのに必要な農地は、鶏肉や豚肉の約3分の1、牛肉なら約13分の1しか必要としません。また、出荷用にパウダーなどに加工する場合でも、小規模な施設で行えます。飼育・加工に場所を取らないということは、それだけ効率的に生産できるということです。 飼育に必要な資源が少ない 昆虫の生産は、家畜に比べて少量の水や飼料で可能です。牛肉を1キロ生産するためにはおよそ8キロのえさを必要とするのに対し、昆虫1キロの生産には約2キロのえさを使うだけで済みます。生産に必要な水についても同様で、コオロギの生産に必要な水は、牛肉の場合の約2500分の1で済んでしまいます。 温室効果ガスの排出量が少ない 牛1頭がげっぷなどで出すメタンガスは1日160リットル以上で、地球温暖化を促進していると言われています。しかし、昆虫の飼育に伴う温室効果ガスの排出量はその10分の1以下。昆虫食は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減にも効果があるというわけです。 丸ごと食べられて、食品ロスにも貢献 昆虫食は食品ロスの削減にも貢献します。牛1頭の可食部はおよそ4割ですが、昆虫はそのほとんどが食べられるので無駄がありません。また昆虫のえさには、残飯など本来なら捨てられてしまうものを利用できます。焼却コストのかかる生ごみの量が減り、一方で、貴重なタンパク質源になるというのですから、昆虫食の利点が際立ちます。 牛や豚に負けない栄養価の高さ それで終わらないのが、昆虫食のすごさです。ガやハチの幼虫の場合、体重の50%がタンパク質と言われています。牛や豚が1〜3%ですから、それに比べると非常に高い含有率です。昆虫は、良質なタンパク質だけでなく、食物繊維や、カルシウム、銅、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含む上に、脂肪分は少ないという健康に良い食品です。 昆虫食のデメリット 栄養価が高く、環境にも良い昆虫食。その一方で、なじみの薄い昆虫食に対するネガティブな考えも少なくありません。今度は、考えられる昆虫食のデメリットを見ていきましょう。 安全面でのリスクは? 専門家の助言なしに、自然採集した虫を食べるのは、危険を伴う行為です。なぜなら、野生の昆虫には、毒を持つものや、寄生虫や病原菌を媒介するものもいるからです。一方で、管理された環境下で生産されたものは、昆虫とはいえ、他の食材と同様に安全です。 安心を担保する「コオロギ生産ガイドライン」 消費者により安心してもらえる環境を整えようと、2022年8月、民間団体が「コオロギ生産ガイドライン」をまとめました。研究機関や企業などでつくる「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)」が、コオロギの生産過程の衛生管理を中心に行動指針を決めました。公的なルール整備がない中で、民間主導で一定のルールを示すことで信頼性を高め、昆虫食のさらなる普及につながることを期待しています。 アレルギーリスクについて 昆虫食は、食物アレルギーを持つ人には注意が必要です。昆虫には、エビやカニなど同様の甲殻類アレルギーの原因となる「トロポミオシン」という成分が含まれているからです。昆虫に限らずすべての食材に言えることですが、これまで口にしたことのない食材を食べる時には、これまでアレルギーの自覚症状がなかった人でも、慎重を期すようにしましょう。 見た目への抵抗感 多くの人にとって、昆虫を食べることに対して、心理的なハードルがあります。初めて口にするものに対して拒絶反応が出るのは、動物的な本能として当たり前のことです。もしかしたら、これが昆虫食にとっての最大の問題かもしれません。日本でも昆虫食品の開発は大変盛んで、さまざまな商品ラインナップがあります。まずは、昆虫の姿を連想しづらいパウダー入りの菓子やパンなどから試してみるのがいいかもしれません。 そして、「まずいものをわざわざ食べたくない」というのが、大半の人の率直な気持ちだと思います。実際のところ、昆虫の味は実に多種多様で、思いきって食べてみると、おいしく感じるものもたくさんあります。バッタはエビやカニに似た食感、タガメは洋ナシや青リンゴのようなフルーティな香りだとか。セミに至っては、幼虫だとナッツのようなクリーミーな風味で、成虫になるとエビのような風味が楽しめます。 昆虫食とは 1900種類の食べられる昆虫 世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫学者である三橋淳氏の書いた『虫を食べる人びと』(平凡社ライブラリー)によれば、世界ではハチやイナゴに加えて、カブトムシ、カミキリムシなども食べられているそうです。 世界の昆虫食  タイ 昆虫食が住民生活に浸透しているタイでは、スーパーマーケットの食材コーナーに昆虫のサナギや幼虫が並んでいたり、昆虫の佃煮を売る屋台を目にしたりすることも珍しくありません。特に人気があるのはコオロギで、盛んに養殖されています。最近では、コオロギのスナック菓子やコオロギパウダー、コオロギオイルなど、コオロギを原材料にしたさまざまな加工食品が登場しています。特にコオロギパウダーは輸出用としての需要が高く、国もその動きを後押ししています。 ケニア アフリカ東部のケニアで最もよく食べられている虫は、シロアリです。日本でシロアリと言えば、住宅の床下で暮らすアリ(職蟻)を意味することが多いですが、現地で食べられているのは別の種類のアリ(羽蟻)です。このシロアリを使った「クンビクンビ(kumbikumbi)」という伝統料理があり、栄養失調を改善する効果があると言われています。実際、シロアリには、良質な動物性たんぱく質や脂質のほか、カルシウム、鉄分、アミノ酸などが豊富に含まれています。ケニアのシロアリはインターネット通販などでも販売されています。 日本の昆虫食 長野県に根付く昆虫食文化 日本で昆虫食文化が盛んな地域といえば、長野県です。信州でよく食べられている昆虫といえば、ハチノコやイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼ばれているそうです。 ハチノコはスズメバチの幼虫やさなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。長野県はかつて養蚕が盛んで、カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫です。ザザムシは水生昆虫で、ヒゲナガカワトビケラなどの幼虫のことを指し、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷地域で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。イナゴやカイコは、稲作や養蚕を営む過程で副産物として発生するもので、昆虫食は、自然と共生する地域の暮らしに深く結びついていたのでしょう。 まとめ 昆虫食のメリットとデメリットを押さえてきましたが、環境負荷が低くて栄養価も高いという特徴を踏まえると、昆虫食がこれだけ話題になっていることもうなずけると思います。昆虫を食べるという行為に対して抵抗感はあるかもしれませんが、以前は「生で魚を食べるなんてありえない」と言っていた欧米人が、「Sushi(寿司)」を高級料理としてもてはやしているのを見ると、さほど大きな問題でないようにも思えます。先入観だけで昆虫食という選択肢を排除せず、機会があったらぜひともチャレンジしてみてください。
昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?
NEW 2022.11.08

規格外の野菜を有効活用で「隠れ食品ロス」を削減

消費者の食品ロスへの関心が高まる中、規格外野菜を有効活用する動きが進んでいます。今回の記事では、ちまたで「隠れ食品ロス」と呼ばれる問題について言葉の意味を解説し、そうした問題をビジネスで解決しようとする事例を紹介します。 「隠れ食品ロス」とは? 色や形、大きさが市場出荷の規格を満たしていない野菜は「規格外野菜」と呼ばれます。規格外野菜の多くは「外観が基準から外れている」というもので、味は通常販売されている野菜と変わりません。 規格外野菜はカット野菜やジュース、加工食品に利用されているものもありますが、約3~4割は廃棄されている現実があります。しかし、規格外野菜は市場に出回る前に廃棄されるケースが多いため、農林水産省が発表する食品ロスの統計には含まれていません。 多くの人が知らないところで規格外野菜が捨てられてしまう問題は「隠れ食品ロス」と呼ばれ、食品ロスと共に解決が求められています。 ビジネスで規格外野菜の活路を見出す 隠れ食品ロスを削減するために、これまでとは異なる方法で規格外野菜の加工や販売に取り組むビジネスが盛んになっています。いくつかその事例を見てみましょう。 最初の事例は、「おやさいクレヨン」。グラフィックデザイナーが開発したクレヨンで、優しい色合いが魅力的です。規格外を理由に廃棄されてしまう野菜で作られていて、小さな子どもも安心して使えます。 次に紹介するのは、「VEGHEET(ベジート)」。同社が展開している規格外野菜を使った野菜シートは、料理を巻いたり飾ったりする時に使えるだけでなく、水に溶かして野菜スープにするなど、料理の材料として活用することもできます。原材料は野菜と寒天のみで、国際基準の安全性を満たしています。また、規格外野菜を定価で買い取ることにより、農家の支援にも貢献しています。 最後の事例は、「UP FOOD PROJECT(アップ・フード・プロジェクト)」。規格外野菜など食のアップサイクルに関する情報が豊富に掲載されているウェブサイトで、フードロス削減に取り組む、生産者、食品製造業者、外食・流通事業者、小売業者、メディア事業者など、多種多様な事業者が参加しています。 本来は流通を促進するために設定された「規格」ですが、規格外野菜が廃棄されるなど、解決すべき課題が見えてきます。今回紹介した3つの事例を参考に、今一度あるべき姿を考えてみる必要があるかもしれません。
規格外の野菜を有効活用で「隠れ食品ロス」を削減
NEW 2022.11.01

日本最大の青果市場で生まれた食品ロス削減のサービス

日本最大の青果市場である「大田市場」(東京都)の仲卸業者が抱えていた悩みから生まれた、ある食品ロス削減のウェブサービスが消費者から好評を得ています。その名は「みたあじ」。「みためとあじはちがう店」という直球のネーミングでユニークなサービスを展開しており、規格外野菜を有効活用する画期的な仕組みとして、注目を集めています。 「規格外野菜をおいしく届けたい」 従来、野菜の選別や出荷作業をする過程で市場の規格に該当しないものが発生すると、その多くは廃棄されていました。けれど実際には、サイズが異なっていたり、多少の傷があったりしても、味はほとんど変わらずおいしく食べられるものばかりです。そこで、仲卸業者は「規格外野菜を消費者においしく届けられないか」と頭をひねりました。そこで彼らが考え出したのが「みたあじ」です。 みたあじでは、ネットショップを経由して野菜を市場から直送しています。小売を経由する通常の販売ルートとは異なるため、収穫したばかりの新鮮な野菜を消費者に届けることができます。2021年2月にサイトの運用が開始されてから、口コミやSNSなどで話題になり、ファンを集めています。 一般消費者向けに販売している商品の中で最も人気があるのは「みたあじ・野菜おまかせ2,000円パック」。野菜と果物が10~12種類程度入っていて、2~3人の家族向けです。市場の様子を見て品目が決まるため、中身はその日によって異なります。 飲食店や流通・小売事業者向けの大量セットのラインアップもあります。「食べ物を大切に、フードロスをなくす」というみたあじのコンセプトに共感する企業が参加し、利用している事業者は、みたあじのホームページで「食の輪サポーター」として紹介されています。 利用者に寄り添い、課題を乗り越え みたあじには「自分では買わない野菜や果物に出合える」「手軽にSDGsや社会貢献に取り組める」といった魅力があります。 一方でサイトをオープンしてから、利用者の声などを通じて見えてきた課題がありました。それは、規格外の野菜や果物は通常のものに比べてデリケートであるということです。形状に凹凸があるため配送時に傷が付きやすかったり、傷口から傷みやすかったりという問題がありました。この課題を解決すべく、みたあじでは昔ながらの知恵をヒントに、野菜や果物に応じた梱包方法を採用しています。 また、利用者が野菜や果物の状態を適切に判断できるように「どこまで食べられるのか」を見極めるポイントを伝授しています。利用者に寄り添ったサービスであることも、みたあじが人気を集める大きな理由となっています。
日本最大の青果市場で生まれた食品ロス削減のサービス
NEW 2022.10.31

【令和4年10月31日】新着情報(厚生労働省・消費者庁)

厚生労働省 フランスから輸入される牛肉等,及びめん羊肉等の対日輸出認定施設のリストに変更がありました。(令和4年10月24日) 「食品衛生法施行規則の一部を改正する省令」が公布され、新規添加物(L-酒石酸カルシウム)が指定されました。(令和4年10月26日) 「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」、及び「食品衛生法第13条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質(平成17年厚生労働省告示第498号)」が改正され、「L-酒石酸カルシウム」の成分規格・使用基準の設定、及び「フェロシアン化カリウム」の使用基準の改正が行われました。また、11種類の農薬等について、食品中の残留基準値が設定されると共に、「アブシン酸」が追加されました。(令和4年10月26日) 「安全性審査の手続を経た旨の公表がなされた遺伝子組換え食品及び添加物一覧」、及び「安全性審査継続中の遺伝子組換え食品及び添加物一覧」(令和4年10月27日現在版) が更新されました。(令和4年10月27日) 輸入時における輸入食品違反事例速報が公表されました。 ・令和4年10月分(令和4年10月28日) 消費者庁 「機能性表示食品制度届出データベース 届出情報」が更新されました。(令和4年10月27日)
【令和4年10月31日】新着情報(厚生労働省・消費者庁)
2022.10.05

食べられるかの判断は消費者で、英で広がる賞味期限撤廃の動き

食品の廃棄量が増えると、生産するために消費した資源やエネルギーを無駄にすることになります。イギリスの小売業界では、食品の廃棄による環境負荷を少しでも軽減しようと、賞味期限を撤廃する企業が増えています。食の安全に関わるセンシティブな問題ですが、一部では消費期限を廃止する動きさえあります。イギリスでも、まだ正解は見出されていないようですが、食品廃棄の問題を考える上での重要な問題提起と言えそうです。 英高級スーパー、300店舗で賞味期限を廃止 ​​イギリス国内で300店舗以上展開する高級スーパーマーケット「ウェイトローズ」は、食品廃棄物を減らすための取り組みとして、店頭に並ぶ約500種類の生鮮食品に表示されている「賞味期限」を9月から撤廃する方針を発表しました。ウェイトローズの運営会社「ジョン・ルイス・パートナーシップ」は、この取り組みによって消費者自身が食べられるかどうかを判断するようになり、食品を使い切る機会が増え、食品廃棄量の削減につながることを見込んでいます。 イギリスの家庭における食品廃棄量は、毎年450万トンともされており、環境に与える影響も無視できないものです。また、消費者にとっては、食品の無駄を減らすことで食費を節約できるのも、大きなメリットになります。 同社は、安全性の観点から消費期限(Used by)は商品に残すとの見解を示しています。ちなみに、賞味期限(Best before)は、「いつまでに消費すれば、品質、味、食感が最も良い状態であるか」を示す目安です。賞味期限が過ぎた食品を食べても、必ずしも安全性に問題があるとは言えず、何の問題もない場合もあります。対して消費期限は、その食品の安全性を示しています。期限内に食べ切らなければ、食中毒などを引き起こす可能性もあり、より警告の意味合いが強い表示だと言えます。 賞味期限撤廃の流れはどこへ向かうのか ​​ウェイトローズの賞味期限撤廃の決定は、イギリス国内の他の大手小売業者による同様の動きに追随したものです。2018年、世界展開するスーパーマーケット「テスコ」は100以上の商品から賞味期限を撤廃。さらに今年7月、イギリスの老舗スーパーの「マークス&スペンサー」は300品以上の生鮮食品から賞味期限を撤廃すると発表しています。 テスコのライバル企業「モリソンズ」は今年1月、イギリスで毎年約2億8000万リットル廃棄されているとされる牛乳について、自社ブランドの商品の大半について消費期限の廃止を決めました。同社は、牛乳が飲めるかどうかを消費者自身が匂いで判断する「嗅覚テスト」を顧客に促すという少々大胆な計画も発表しています。しかしながら英国食品基準庁(FSA)は、特に食中毒を引き起こす可能性のある牛乳のような食品には、モリソンズが奨励する「嗅覚テスト」は必ずしも適切な方法ではないと指摘しています。 一方、FSAは、賞味期限と消費期限のどちらを表示するかは、食品の製造方法やリスクの高さなどの要因によって異なるため、あくまで製造者の判断に委ねるとしています。いずれにせよイギリスの大手スーパーで相次ぐ賞味期限撤廃の流れは、不可逆的なものに思えます。消費者の意識変革を迫るこうした流れが世界の潮流になるのか、遠く離れた日本にとっても無関心ではいられない問題です。
食べられるかの判断は消費者で、英で広がる賞味期限撤廃の動き
2022.09.30

青いトマトがおいしく大変身!液体塩こうじでつくる食品ロスのない社会〜醸造の奥深さを知るみそメーカーだからできるSDGsプロジェクト〜

昨今、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて食品業界ではさまざまな取り組みが行われています。2022年7月、ハナマルキ株式会社とイオンアグリ創造株式会社のコラボレーションによる「液体塩こうじ×青いトマトプロジェクト」がスタート。食品ロスの削減につながるだけでなく、「青いトマトがおいしく変身する」と多方面から注目を集めています。 そこで今回は、ハナマルキのマーケティング部長の平田伸行(ひらた・のぶゆき)さんとマーケティング部営業推進室でレシピ開発担当の松田有加(まつだ・ゆうか)さんへの取材から、プロジェクトの魅力や商品開発に至る経緯、目指す未来像についてお伝えします。(取材・構成=松橋かなこ) ハナマルキが食品ロス対策に取り組む理由 1918(大正7)年に長野県で創業し、日本を代表するみそメーカーとして、食卓に欠かせない商品を提供し続けてきたハナマルキ。近年ではSDGs達成や持続可能な社会の実現に向けて、「安心・安全」や「次世代の成長支援」「自然との共生」「多様性の促進」という4つの柱を軸に活動を展開。その一つとして「液体塩こうじを使用することで食品ロス削減」の取り組みを推進しています。 食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず捨てられている食品のこと。農林水産省が公表した2019年度の日本の食品ロスは570万トン。世界には全人口を賄えるだけの十分な食糧がある状態でありながら、8億人が飢餓に苦しんでいると言われています。こうした状況を受けて、行政にとどまらず企業やNGOなどでも食品ロス削減のチャレンジが盛んに行われています。 ハナマルキが取り組む「液体塩こうじ×青いトマトプロジェクト」は、これまで廃棄処分されてきた青いトマトを液体塩こうじと組み合わせて、青いトマトの特徴を生かしたおいしい料理に変身させるというもの。イオン農場ECサイトにて、液体塩こうじと青いトマト、ミニレシピリーフレット付のセット販売を行っています(1セットにつき液体塩こうじ1本と青いトマト6個入りで税込1000円、送料別)。 実は、液体塩こうじを使った食品ロス削減の取り組みは、これが初めてではありません。2019年7月、国連WFP協会主催「Zero Hunger Challenge for AFRICA 食品ロス×飢餓ゼロ」に参画。SNSキャンペーンに、野菜や果物の切れ端や皮などを使った液体塩こうじのレシピ4品を披露しました。ここでの想いや経験が、青いトマトプロジェクトにつながっています。 液体塩こうじと青いトマトの出合い 液体塩こうじと青いトマトは、どのようにして出合ったのでしょうか。平田さんが出張料理人の工藤英良(くどう・えいりょう)さんに「トマトと液体塩こうじを組み合わせたメニューをPRしたい」と相談したのが、その始まりです。工藤さんは、カナダや中国、フランスの大使館で料理人を約10年間務めた経験を持っています。平田さんがおすすめのトマトを尋ねてみると、工藤さんは「イオン農場のトマトが抜群においしい」と推薦。農場に連絡すると「ぜひ見学に来てください」と、話はトントンと進みました。 2021年9月、平田さんは埼玉県久喜市の「イオン埼玉久喜農場」を訪問しました。そこで目にしたのは、山積みにされた青いトマト。これは一体どういうことだろうと思い、農場長の髙橋寛(たかはし・ひろし)さんに質問しました。 トマトは花が咲いて実を付けると、緑色から赤色に変化します。農場ではトマトを一定期間育てた後新しい苗に植え替えますが、その時にまだ緑色のトマトは出荷することができません。平田さんは、髙橋さんとのやりとりの中で「かなりの量の青いトマトが廃棄されている」という現状を知りました。 青いトマトは市場に出回りませんが、実際に目にした光景はショッキングなものでした。そして、トマト栽培に情熱を注いでいる髙橋さんにとって、「青いトマトも真心込めて育てた大切な存在に変わりない」という言葉にも心を動かされました。 平田さんの頭に、あるアイデアが浮かびました。それは、青いトマトを液体塩こうじと組み合わせて、セット販売するという企画です。その場で髙橋さんに持ちかけてみると、 「それはいいアイデアですね!」と前向きな返答が。二人は意気投合し、具体的な検討へと進んでいきました。 醸造の「プロ」の力でおいしい新商品に ハナマルキでは液体塩こうじと赤いトマトを組み合わせたメニューをそれまでにも開発していました。しかし、青いトマトと液体塩こうじの組み合わせは実際に試したことがありませんでした。 このプロジェクトを成功させるには「おいしいレシピ」が必要でした。社内に持ち帰って相談したのが、液体塩こうじのレシピ開発を担当している松田さんです。 平田さんから相談された時のことを松田さんはこう語ります。「青いトマトが食べられるということは知っていたものの、実際に扱うのは初めてでした。不安な気持ちがなかったわけではありませんが、液体塩こうじで『青いトマトでもきっとおいしくできるだろう』と思ってはいました」。 試しに、松田さんが青いトマトを刻んで液体塩こうじに漬けてみたところ、独特の青臭さが消えて、想像以上においしく食べられることを確認。それだけでなく、青いトマトだからこそ出せる「爽やかな酸味」を発見しました。青いトマトならではの強みを最大限生かすべく、液体塩こうじに漬けた青いトマトを使って、繰り返し料理の試作に取り組みました。 イオンアグリ創造側を交えて2021年11月に開催した試食会では、「確かにこれはおいしい」「ぜひ商品化しましょう」と大好評。「さわやかトマトキーマカレー」「シャキシャキトマトピクルス」など5つの料理を厳選し、レシピをまとめたリーフレットの制作を進めて、2022年7月から商品の販売が始まりました。 「青いトマトは赤いものに比べて硬さがあって水分が少ないです。通常の液体塩こうじのレシピであれば30分~1時間漬け込みますが、青いトマトは漬け込み時間をそれより長い一晩に設定しました。家庭でも手軽に実践しやすく、しかも青いトマトの特徴を生かした絶品料理が作れるようにと工夫を凝らしました」と、松田さんはレシピ集のポイントを話していました。 レシピを基に調理、実食してみると 今回の記事制作に際して、私自身も青いトマトと液体塩こうじを組み合わせた料理を試作して、食べ比べてみました。調理に使ったのは、イオン農場SHOPで販売されている液体塩こうじと青いトマトがセットになった商品です。まずは、写真左上から時計回りに「1.そのままの青いトマト」「2.青いトマトを液体塩こうじに漬けたもの」「3.2を加熱したもの」「4.2を刻んで加熱したドライカレー」と4種類を用意して、味を確かめてみました。生食ではやはり青臭さが気になるものの、液体塩こうじに半日程度浸けるとその香りが軽減し、別物に変わります。加熱すると、酸味がよりマイルドになり、ほのかな甘味が出るのが印象的でした。 松田さん考案のレシピを基に、他の具材と調味料を加えて作ったキーマカレーは、後味として青いトマトの爽やかな香りとシャキシャキとした食感が楽しめました。まさに、「青いトマトならではの一品」です。家族全員で試食しましたが、「おいしい」「キーマカレーは青いトマトで作ってほしい」という思った以上の人気ぶりでした。 青いトマトプロジェクトが目指す未来 いろいろな人との出会いと情熱によって育まれてきた青いトマトプロジェクト。最後に、この取り組みの先にどのような未来を描いているのかを平田さんと松田さんに尋ねました。 「農場を訪れた時、食品ロスの現状を目の当たりにして、食品ロスへの取り組みの必要性を強く感じました。今回のこの液体塩こうじと青いトマトの取り組みを知っていただくことで、食品ロスへ取り組む方がさらに増えていくとうれしいですね。」(平田さん) 「青いトマトは、ハナマルキと一般消費者とのコミュニケーションにも役立っています。青いトマトに限らず、食べられるのに捨てられている食材がたくさんあります。そうした食材をおいしく食べる方法を、これからも提案していきたいです」(松田さん) 実際、ハナマルキの公式Twitterアカウントで今回のプロジェクトについて投稿した時に、家庭菜園でトマトを育てている人から「青いトマトの使い方が分からずに困っていた」というリアクションがあったそうです。 実はわが家でも、「どうして今日は青いトマトなの?」と子供から尋ねられ、トマト栽培や食品ロス、食の多様性についての話になりました。「おいしい」という食体験から、家族みんなで食のあり方について考えるーー。青いトマトはそうした貴重な時間を提供してくれる、とても心強い存在です。  
青いトマトがおいしく大変身!液体塩こうじでつくる食品ロスのない社会〜醸造の奥深さを知るみそメーカーだからできる…
2022.09.22

ドール初!バナナの量り売り。目指すは食品ロス削減と脱プラスチック

2022年6月から、株式会社ドールはバナナを量り売りする企画を始めました。フルーツロス削減と脱プラスチックに役立つ新しい試みとして話題を集めています。人にも環境にも優しいエシカルな行動を体現する同社の取り組みを紹介します。 プラスチック袋で1房包装の常識を覆す 通常のバナナは、1房ごとにプラスチック袋に包装されて販売されることが一般的です。1房につき4~5本入っていて「食べきれずに廃棄している」という消費者の声の他、「少ない本数で購入したい」「熟成度合の異なるバナナの食べ比べをしたい」といった要望が、以前からドールに寄せられていたそうです。 こうした背景から、バナナを必要な分だけ購入できる「量り売り企画」が店頭でスタート。この取り組みにより、食品ロスとプラスチックゴミの削減が期待されています。 量り売りでの購入方法は、まず、袋詰めされていないバナナを買いたい量だけはかりに載せます。すると、重さに応じて価格が表示され、機械から出てきたラベルを紙袋に貼って、レジで代金を支払うという流れです。 今回の企画は、イトーヨーカ堂やヤオコーなどの量販店と提携して行われています。購入方法を店頭で説明するスタッフを配置するなど、消費者が利用しやすいように工夫が施されています。 「エシカルバリューチェーンプログラム」として展開 ドールではこの量り売り企画を第一弾として、「バナナエシカルバリューチェーンプログラム」を展開しています。このプログラムは、バナナを生産から消費者の食卓に上るまでのプロセスを通して、人や社会、地域、環境に優しい取り組みを行い、その価値をつないでいく試みです。 量り売り企画と併行して、バナナの皮などの生ごみを分解・熟成して堆肥を作る「コンポスト企画」も実施しました。この企画は、量り売りでバナナを購入した人の中から参加者を募り、当選者にコンポストをプレゼントして家庭での生ごみの堆肥化のプロセスを体験してもらうというものです。 こうした一連の取り組みが注目され、同プログラムは、環境省の「令和4年度 地方公共団体及び事業者等による食品廃棄ゼロエリア創出の推進モデル事業等」に採択。食品ロス削減と食品リサイクルを実効的に推進するための先進事例と評価されています。
ドール初!バナナの量り売り。目指すは食品ロス削減と脱プラスチック
2022.08.31

異常な熱波に苦しむジンバブエ、危機を救うのはアノ農作物⁈

アフリカ南部のジンバブエ共和国。気候変動による異常な熱波が、ジンバブエ国民の生活を容赦なく襲っています。国民のほとんどが小規模農家で自給自足の暮らしをしている同国では、ここ数十年で最悪の経済状態となっています。ところが近年ある作物の栽培に力を入れ始めたことで、復興の兆しが見えてきました。 熱波に負けない農家たちの“救世主” 首都から400キロ以上離れたゴクウェ南部。以前は盛んだったトウモロコシや綿花の栽培は、熱波の影響でほぼ不可能な状態にまでなっています。干ばつになると、トウモロコシなどの通常の作物は2週間も持ちません。そこでこれらに代わる、干ばつに強い作物への移行が急がれていました。 民間の国際協力組織が状況を打開するために動きました。農業ビジネスセンター、通称ABCと呼ばれる組織です。ABCは、ドイツの世界飢餓援助機構 (WHH) が運営し、欧州連合(EU)から資金提供を受けています。 ジンバブエの農業の救世主として白羽の矢が立ったのは、ヒマワリです。ヒマワリは干ばつに強い作物で、1ヶ月もの乾期を生き延びることができます。厳しい経済状況にあるジンバブエでは、農家が必要な資材を購入することも困難ですが、ヒマワリは大量の栄養剤を与えずとも豊作が期待できます。まさにジンバブエの土地柄に適した作物でした。 当時のジンバブエではヒマワリ市場は確立されておらず、多くのヒマワリ農家は零細産業として脇に追いやられていました。そこで、ABCは地域の6000以上の小規模農家と契約を結び、ヒマワリの栽培ノウハウを提供。個別の農家の所得向上を支援しています。ヒマワリの種子からヒマワリ油を加工できることにも着目し、さらなる収益性の向上を模索しています。 ヒマワリに続く期待の作物はマンゴー 厳しい日差しのもとでよく育つマンゴーは、ジンバブエ農業にとって期待の作物です。ところがここ数年、収穫したマンゴーを捨てざるを得ないという事態が相次いでいます。 新型コロナウイルスの大流行により、ゴクウェを含む地方の農家は、都市部に果物を売りに行くことができなくなりました。そこで、ABCは生のマンゴーを農家から買い取り、工場で加工してドライマンゴーとして売り出す支援を始めました。これにより、食べられるマンゴーの廃棄を防ぐと同時に、失業者が多くを占めていた若者世代の雇用を生み出しました。 ドライマンゴーは生のマンゴーと比べて4倍の価格で売れることに加え、国内外の需要も見込める魅力的な商品です。現在、ゴクウェ南部に4つの加工センターを運営するABCは、これまで国内向けだったゴクウェ産のドライマンゴーの販売を海外に広げ、輸出市場を積極的に開拓していく考えです。 ジンバブエの人々に寄り添う一連の支援は、SDGs(持続可能な開発目標)の一つ、「パートナーシップで目標を達成しよう」にも貢献するものとなっています。
異常な熱波に苦しむジンバブエ、危機を救うのはアノ農作物⁈
2022.08.18

食品の3分の1が捨てられる世界、解決方法は「フードシェアリング」

少子高齢化が問題となっている日本では実感できませんが、世界の人口は増え続けています。2050年にはなんと97億人にまで増えると言われていて、さらに多くの食品が必要になることが見込まれます。すでに現在、8億人が飢えに苦しんでいる状況で、対策は急務です。その一方で、世界で作られる食料品のおよそ3分の1が捨てられています。世界の食料品廃棄量は年間13億トンにも上ります。どのくらいの量かイメージがつかないと思いますが、飢えに苦しむ人たちが必要とする食料品の数倍分に当たる、実に20億人分の食料品が失われているのです。 食べ切る・使い切ることを目標に 日本での食品廃棄物のうち、まだ食べられるものを「フードロス」というのですが、その量は約646万トン、そのうち製造・卸・小売・外食事業者による廃棄が357万トンと半分以上を占めています。ちなみに世界全体の食料援助が320万トンですから、どれほどの食料品がムダになっているのかお分かりいただけると思います。日本でも「食品リサイクル法」などを制定して廃棄量を減らす方向に進んでいますが、根本的な解決には至っていません。やはり食料品は食べ切る!使い切る!ということを第一の目標にしなければならないでしょう。そこで注目されているのが「フードシェアリング」です。 買い手・売り手の双方にメリット フードシェアリングは、使わなかったり、余ったりした食料品を、事業者や個人の間で取引する新しい仕組みです。社会貢献ができる仕組みだと思う人も多いと思いますが、これを上手く使いこなせば企業にとっても大きなメリットがあります。例えば、今までなら余らせてしまった食料品は廃棄するしかなく、経営的な損失となっていました。しかし、この仕組みを利用することで、売り手は損失を抑えることができ、また買い手は仕入れコストを抑えることができます。つまり、フードシェアリングは食料品の新しい取引方法なのです。 フードシェアリングの仕組みは世界各国で始まっていますが、まだスケールの小さいものがほとんどです。この仕組みが国全体、ひいては世界全体へと広がっていけば、廃棄される食品が大きく減るのは間違いないでしょう。
食品の3分の1が捨てられる世界、解決方法は「フードシェアリング」
2022.08.04

賞味期限の年月表示化と「食品ロス」削減に向けた取り組みとは

賞味期限の年月表示化の意味とは 数年前より、食品や飲料などの賞味期限の表示を「年月日」から「年月」に変更する動きが進んでいます。年月で表示する場合、賞味期限は「表示された月の末日」です。たとえば、「21年12月」という表示があれば「2021年12月31日」までおいしく食べられるということになります。 こうした変更の背景には、2015年9月に国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」における17の目標のうち「12 つくる責任 つかう責任」が大きく関係しています。目標のなかのターゲットには「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」というものがあります。 賞味期限を年月で表示することにより、おいしく食べられる期限が延長し、その結果として食品ロスの削減に貢献できるのではと期待されています。 物流の効率化にもつながる 賞味期限の年月表示による大きなメリットとしては、「物流が効率化する」ことも挙げられます。小売店に商品を納める場合の商習慣として、「賞味期限がそれ以前に納品したものと同じか、新しいものでなければならない」というルールがあります。年月日による表示の場合、メーカーや業者は1日刻みで商品の在庫を管理する必要が発生します。 さらに、メーカーと小売店が取り引きする際には「3分の1ルール」というものもあります。これは、賞味期限の3分の1以内の期間に小売店に商品を納めて、店頭では残り3分の1になる期間まで販売することができるというルールです。つまり、賞味期限が9カ月の商品の場合、製造してから3カ月を経過すると出荷できず廃棄され、食品ロスになってしまいます。つまり、賞味期限の年月表示は食品ロス削減とともに、物流の効率を改善することにもつながります。 日本の食品ロスは、年間約600万トン(平成30年度)といわれており、これは東京ドーム5杯分にあたる量です。日本は食料自給率が低く、多くの食料を海外から輸入しています。それにも関わらず、大量の食品ロスを出しているという現状があります。 2019年10月に「食品ロス削減推進法」がスタートし、食品ロスに対する関心も高まりつつあります。賞味期限の年月表示など大きな流れを把握するとともに、私たちが身近にできることを考えてみませんか。
賞味期限の年月表示化と「食品ロス」削減に向けた取り組みとは
2022.07.22

すぐに捨てるのはもったいない!日本で深刻化しているフードロス問題の原因と対策

皆さんは「フードロス」や「食品ロス」という言葉を聞いたことはありますか。人が食べるために作られたはずの食品が、作りすぎや食べ残し、期限間近という理由でまだ食べることができるのに、廃棄をしてしまうことを「フードロス」といいます。国連の食糧農業機関(FAO)によれば、世界で廃棄されている食品の量は13億トンにも及びます。環境省が発表した日本における食品廃棄物は2759万トンで、そのうち本来食べられるのに捨てられてしまった食品は643万トンにも伸びります。フードロスはさまざまな影響を及ぼします。無駄に廃棄することによって、ゴミの処理コストが大幅にかかってしまったり、作っても食べない食品やその原材料を作るための多くの肥料や水が無駄になってしまい、自然環境に悪影響が出ます。また、今現在地球上で9人に1人(約8~9億人)が飢餓に苦しんでいます。もしフードロスの原因である廃棄量分を分配することができれば、飢餓に苦しむ人がいなくなるとさえ言われています。 フードロスを招く「3分の1」ルール フードロスが起こる原因は、さまざまな段階で発生しています。例えば、過剰生産した原材料の廃棄や加工段階での不良品の処分など。ところが中でも大きな原因として、「3分の1ルール」という日本の商慣習が挙げられます。3分の1ルールとは、食品を製造してから賞味期限までの3分の1の期間が経過するまでに小売企業のもとに納品できなかった食品は製造会社に返品されるというものです。この3分の1ルールが原因となって、多くの食品が廃棄されてしまっているのが現状です。他にも、パッケージの印字ミスやレストランや店舗などでの食べ残しのほか、消費者のもとで食品が賞味期限切れとなってしまうこともフードロスを発生させる原因となっています。 フードロス対策は家庭でも 最近ではフードロスをなくすための対策や改善していくための働きが増えています。日本を含む世界では、これらの事情により廃棄せざるを得なくなった食品や、規格外で販売することができなくなった食品を買い取り、インターネット上や地域イベントなどで販売することによって、無駄をなくしていく活動があります。 他にも、企業間で必要な材料、食品を必要な分だけ買い取ることにより、過剰製造や食べ残しを減らすサービスも増えています。 一般家庭でも十分フードロスをなくす対策をすることができます。食品を購入する際に、賞味期限の近いものから必要な分だけ購入し、期限が切れる前に使い切りましょう。外食の際に頼みすぎによる食べ残しを減らすだけでもだいぶ変わってきます。こうした1人1人の心掛けからフードロス改善につながっていくからです。
すぐに捨てるのはもったいない!日本で深刻化しているフードロス問題の原因と対策
2022.07.20

スペインが食品ロスの厳罰化へ。世界が注目する本気の新法案

「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標の1つに、2030年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させることが盛り込まれるなど、国際的な食品ロス削減の機運が高まっています。日本においても2019年に食品ロス削減推進法が施行されました。そうした中、スペインでは6月、食品廃棄物を減らすために厳罰を伴う新たな法案が国会に提出され、その野心的な内容が世界の注目を集めました。 食品ロスの企業に最高6800万円相当の罰金 この法案によれば、スーパーマーケットなどの食品の生産や供給に関わるすべての企業は、食品廃棄物の削減を計画することを義務づけられます。もし売れ残りなどの食品廃棄の量を減らす取り組みを怠れば、最高6万ユーロ(約800万円)の罰金が科せられ、これが悪質な場合だと最高50万ユーロ(約6800万円)にもなるというから驚きです。 この厳しい罰を回避するために、スペインのフードチェーンでは、食品の無駄な損傷を防ぐための正しい取り扱い、保管、輸送について今まで以上に十分な教育が求められます。そして、最適な鮮度を保つための冷蔵庫などの設備の適切な管理・維持へもより一層の配慮が必要になります。 スペインの多くのスーパーマーケットでは、以前から賞味期限が近い果物や野菜には、そのことを示すラベルが目立つように貼られていました。新法案が可決されれば、今後はそれだけでなく、そうした商品の価格を早めに下げて売り切ることや、期限が切れる前に慈善団体に寄付するケースが増えることになります。こと、大企業に関していえば、賞味期限が切れる前の食品を寄付する計画を事前に提出することなども課されています。 農場やメーカーでも、売れ残りやすい形やサイズが小さな果物は、ジュースやジャムに加工することが求められます。人が食べるには適さないけれど、カビや害がない場合は、動物の餌にするといった対策へもこれまで以上に積極的に取り組まなければなりません。人や動物が食べられなくないものは、家畜の飼料や肥料、バイオ燃料の生産へと回されます。 飲食店では無料の持ち帰り袋の提供を義務化 バーやレストランといった飲食店については、顧客が希望した場合、無料の持ち帰り袋「ドギーバッグ」の提供を義務付けることを盛り込みました。元々、食べ残しを持ち帰るという習慣が一般的でなかったスペインの人々にとっては、これは画期的な施策です。 また、飲食店には食べ残しをフードバンクやNGOに提供することも義務付けようとしています。 今回の法案は、学校や病院といった公共機関も、食品ロス対策の当事者に位置付けています。例えば、あまり空腹でない生徒や患者の皿には食べ物を盛りすぎないようにするといった食品廃棄を減らすための工夫をしなければなりません。 スペインのこの新法案は、農場からスーパーやレストランを経て消費者に至るまで、食品供給の一連の流れであるフードチェーンに関係するすべての人々や企業・団体を対象としています。EU全体で、食品廃棄物の53%が消費者から出ていて、この状況はスペインでも同様です。政府は個々の家庭から罰金を取ることまではしませんが、消費者の行動を変えるための教育キャンペーンも実施していく方針です。 EUは国連の目標に沿って、2030年までにEU域内の食品廃棄物を50%削減させることを約束しています。この地球規模の問題に取り組むべく、今回のスペイン政府の思い切った決断は、その一翼を担う国としての責任と覚悟が示されたものだといえそうです。  
スペインが食品ロスの厳罰化へ。世界が注目する本気の新法案
2022.07.15

食品業界で話題の「アップサイクル」、フードロス対策の切り札になるか

持続可能な循環型社会を目指し、リサイクルが活発化しています。リサイクルでは製品を別の製品の原料にして別の製品を生み出します。しかし、古紙が再生紙になるように、どちらかと言えば価値の低い製品に変換されるケースが大半です。古いタオルやシャツを雑巾として再利用するのも同様で、これらは「ダウンサイクリング」と呼ばれます。 これに対し、副産物や廃棄物を新たな価値を持った製品に生まれ変わらせるのがアップサイクリングです。「創造的再利用」とも呼ばれ、これまではアートやファッション、インテリアの分野が主でした。しかし、今や食品の分野にもこのアップサイクリングの波が来ています。アメリカでの動きを中心にレポートをお届けします。 食品のアップサイクルの流れはアメリカから アメリカでは、コーヒーの果実の皮を原料にした紅茶飲料や、ビール醸造の際に出る穀物廃棄物を原料としたプロテインバーなど、食品廃棄物を活用したアップサイクル食品への関心が高まっています。 米国企業を中心に70社ほどが参加して設立された業界団体「アップサイクル食品協会」(本部=コロラド州デンバー)は、市場拡大を受け、2020年5月アップサイクル食品の定義を定めました。「本来は人間の食用とならなかった食材を使用して、検証可能なサプライチェーンにより調達・生産され、環境に良い影響をもたらす食品」ということで、実際に食品廃棄物の削減につながるものだけを「アップサイクル食品」と定義しました。 アップサイクル食品という言葉の持つ良いイメージだけを利用して売り込む偽物との差別化を図り、フードロスを削減し持続可能な社会を実現したいという強い意図が感じられます。 世界では100兆円超の期待のマーケット 食品廃棄物による世界経済のロスは年間でどれほどになるかご存じですか。なんとその額は100兆円を超えるという試算もあります。アップサイクル食品への取り組みにより、この膨大な経済損失を削減できる可能性があるのです。 日本には昔から「もったいない」という言葉がある通り、廃棄物削減の意識は比較的高いと言えるでしょう。しかし米国は廃棄物に寛容な風潮があり、供給された食料のうち3~4割がロスとなっているとも言われているのです。 ただ、米国でも時代は動いてきているようで、ミレニアル世代(1980年代~1995年生まれ)やZ世代(1996年~2012年生まれ)は消費者としての意識が高く、芯のある理念やメッセージを発する企業・ブランドの商品を購入する傾向があるのだそう。今後、世代交代が進むにつれて、フードロス削減を掲げるアップサイクル食品市場はどんどん拡大していくことが予想されます。 国内でも発売相次ぐアップサイクル食品 アメリカの動きをお伝えしましたが、日本でもアップサイクル食品は続々と増えています。従来は廃棄されていた米やパン耳を使ったビール、規格外野菜や規格外フルーツを原料とした加工食品など、味わってみたい魅力的な食品が目白押しです。 アップサイクル食品の登場は、廃棄を前提とした大量生産・大量消費の社会から、持続可能な循環型社会へと変化が生じていることの兆しとも言えそうです。時代は変わり、動きます。その只中にいるのだと思うと少し不思議な感じもしますが、この大きなうねりを楽しむ気持ちを持ちたいものですね。
食品業界で話題の「アップサイクル」、フードロス対策の切り札になるか
2022.06.03

食品ロスの発生元をたどる─行き着く先は事業者?一般家庭?

日本では1年間にどれほどの食料が出荷されているかご存知でしょうか。農林水産省の発表によれば、2016年度は8,088万トン(※1)もの食料が出荷されたそうです。ところが、そのうち約34%に当たる2,759万トンが食品廃棄物として処分され、さらには廃棄された食品のうち約23%にあたる643万トンがまだ食べられるものだと言うのです。こうした食品ロスはさまざまな場所で発生しており、全体の55%が食品関連事業者から、残る45%が一般家庭からとおよそ半分ずつ。それぞれの立場でこの現状と向き合う必要があることが分かります。 食品ロスの現状を知る 食品関連事業者は大きく4つに分けられ、食品ロスの大部分を占めているのは食品製造業と外食産業、次いで食品小売業、食品卸売業で、それぞれの発生要因は以下の通りです。 食品製造業:製造工程のロス(パンの耳や畜水産物の骨など)、返品など 外食産業:食べ残し、仕込みロスなど 食品小売業、食品卸売業:過剰生産、売れ残り、破損品、納品期限切れなど 食品廃棄物の業種別内訳でみると食品製造業が約82%と圧倒的に多いですが、大豆粕や米ぬか、パンくず、おからなど均質で量が安定していることから分別が容易で、飼料や肥料へのリサイクルに適しているとされています。一方、分別が困難なのは外食産業から排出される廃棄物。調理くずや食べ残しは家畜に対して有害なものが混入する可能性があり、飼料へのリサイクルには不向きなものが多いとされています。代わりに、他のリサイクル手法に比べて分別が多少粗くても対応できるメタル化が行われています。   それでは、一般家庭の食品ロスの現状はどうでしょうか。家庭の食事(世帯食)における食品ロス量は、2014年度の世帯調査によると一人1日当たり40.9g。食品別で見ると、最も多いのは野菜類(19.5g)で、次いで果実類(7.3g)や調理加工食品(4.2g)などが続きます。一人1日当たりの食品使用量は約1.1kgなのでそこまで多く感じませんが、これが何百人、何千人、何億人…と増えていくと莫大な量になるのは明らかです。また、食品使用量の世帯員構成別では単身世帯が約1.5kgと最も多く、2人世帯は約1.3kg、3人以上世帯は約950gという結果が出ており、これと比例して食品ロスが発生しています。要因としては過剰除去(※2)や食べ残し、直接廃棄(※3)などが挙げられます。 食品ロスは食品関連事業者と一般家庭、どちらかが気をつければいいという問題ではありません。まずは現状を理解し、その上で双方が食品ロス削減のためにできることを考え、対策に動き出すことが必要です。   (※1)粗食料と加工用の合計。粗食料とは、1年間に国内で消費に回された食料のうち、食用向けの量を表す。 (※2)調理技術の不足や過度な健康志向により廃棄すること。例えば野菜や果物の皮を厚く剝き過ぎるなど。 (※3)買いすぎや長持ちしない保存方法により廃棄すること。
食品ロスの発生元をたどる─行き着く先は事業者?一般家庭?
2022.05.25

「3010(さんまるいちまる)運動」で食べ残しを減らそう

国内で発生している食品ロスは年間約640万トンを超えますが、そのうち約5分の1を外食産業が占めています。大きく分けると食堂・レストラン、結婚披露宴、宴会の3つですが、中でも宴会の割合が高く、2015年度の調査ではおよそ7皿に1皿が食べ残しされているという結果になりました。こうした宴会での食べ残しを減らそうと、各地の自治体で行われているのが「3010(さんまるいちまる)運動」です。2011年に長野県松本市で始まった運動で、以下の項目が提唱されています。 ・「乾杯後30分間」は、席を立たずに料理を楽しむ ・「お開き10分前」になったら、自分の席に戻り、再度料理を楽しむ 環境省では「3010運動」を推進するため、飲食店向けの卓上三角柱POPを作成し、無料ダウンロードできるようにするなど、認知の拡大に取り組んでいます。 また、「3010運動」をはじめ、食品ロス削減に取り組む自治体間のネットワークとして2016年に設立されたのが「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」。2019年5月の時点で389自治体が参加しており、「3010運動」も各自治体に合わせてアレンジされています。例えば北海道札幌市の「2510(にこっと)スマイル宴(うたげ)」。終了前10分間は「3010運動」と同じですが、開始後の食事時間を25分間としています。他にも、千葉県館山市では終了前15分間とした「30・15(さんまる・いちご)運動」、長野県駒ヶ根市では開始後20分間とした「駒ヶ根2010(にーまるいちまる)運動」をそれぞれ推進しています。 残さない意識、食べる人も 宴会や会食、結婚披露宴など一度に大量の料理が提供される場では、消費者と事業者の双方が食べ残しを防ぐために意識する必要があります。消費者側は予約の際に料理内容や注文する量を店側に相談したり、料理を食べきるように参加者同士で声掛けするといいでしょう。他方、事業者側にとっては、食べ残しが発生することは損失です。食べきってもらえるように提供する量を調整したり、小盛りや小分けの商品を採用するなどの工夫が求められます。 食べ物を無駄にしない意識がみんなに広がるよう、「3010運動」のさらなる広がりに期待したいところです。
「3010(さんまるいちまる)運動」で食べ残しを減らそう
2022.05.18

廃棄予定の食品を販売するスーパー:世界の食品ロス対策(2)

通常なら廃棄されてしまう食品のみを取り扱うスーパーマーケットが、イギリス、デンマーク、オーストラリアにあることをご存知でしょうか。いずれも賞味期限が切れてしまったり、パッケージに傷や汚れがあったりする品を販売していますが、設立の趣旨やお国柄の違いがあり、各店には異なる特色が表れています。   イギリス:Community Shop イギリスで2013年にオープンした「Community Shop」。店舗から一定のエリア内に住む福祉手当受給者を対象に、別のスーパーで余った商品を定価の3割ほどの値段で販売しています。当時すでに、ヨーロッパ各地では低所得者向けのスーパーはありましたが、フードロス対策の試みという観点で脚光を浴びました。また、スーパーの目的は“援助ではなく救済”であることから、利用者が次のステップへ進めるよう、債務処理や料理の方法、履歴書の書き方などをアドバイスする窓口も設けています。   デンマーク:We Food 続いて、デンマーク。2016年にオープンした「We Food」は、賞味期限切れまたは消費期限内でも不要になった商品をはじめ、傷のついた野菜や果物などが定価の3~5割ほどの値段で並びます。スーパーはホームレスを支援する非営利団体とキリスト教系の慈善団体が共同運営しており、オープンセレモニーにはデンマーク王室の皇太子妃殿下も参列するなど、大きな話題となったそうです。このことが追い風となり、デンマークの食料廃棄量は徐々に減少していると言います。   オーストラリア:OZ HARVEST MARKET 最後に紹介する、オーストラリアの「OZ HARVEST MARKET」は、何と言っても最大の特徴が“すべて無料”であることです。店内には値札やレジが一切なく、利用者は買い物かご1つ分の商品を自由に選び、持ち帰ることができます。運営しているのは、オーストラリア各地で食事提供事業を行う市民団体。店内の食品を無料で提供する代わりに利用者に寄付を募り、集まった資金を運営費に充てています。オープン時には5週間で約170万円も集まったとか。店のスタッフはボランティア、家賃や光熱費はビルのオーナーの厚意で無料など、この場所だから実現できた取り組みかもしれませんが、この店がきっかけとなり食品ロスの問題に関心を持つ人が増えることでしょう。   さて、日本ではこれからどんな活動が広がっていくのでしょうか。   つづきを読む: https://reports.shareshima.com/150/
廃棄予定の食品を販売するスーパー:世界の食品ロス対策(2)
2022.05.13

対応を急ぐヨーロッパ:世界の食品ロス対策(1)

世界の食品廃棄量、いわゆる食品ロスは年間約13億トンにも上ります。これは、生産された食料の約3分の1に相当するのだとか。今や世界全体で解決すべき課題となった食品ロス。日本では2019年10月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が制定されましたが、他国ではどのような対策が行われているのでしょうか。3回にわたってご紹介します。まずはヨーロッパの取り組みから。   対策先進国のヨーロッパ諸国 世界でいち早く食品ロス対策に乗り出したのはヨーロッパです。EU(欧州連合)の立法機関である欧州議会が2014年を「ヨーロッパ反食品廃棄物年」とし、期限表示や包装の適正化、フードバンク活動の優遇などを実施しました。さらに、欧州委員会は2025年までに食品ロスの30%削減を提案しています。ヨーロッパ各国でも独自の取り組みを行っていますが、今回はその中からフランスとイタリアの「食品廃棄禁止法」、スペインの「連帯冷蔵庫」を紹介します。   フランス・イタリア:食品廃棄禁止法 フランスでは2016年2月、「食品廃棄禁止法(通称:反フードロス法)」が施行されました。流通業者や小売業者は食品を意図的に廃棄することを禁じられ、違反した場合は罰金を支払わなければなりません。 また、売場面積400平方メートル以上のスーパーマーケットは、慈善団体との食品寄付の契約を締結するよう義務付けられました。実はこれに先立ち、2013年に国の行政機関と事業者間で「2025年までに食品廃棄を50%削減する(2013年比)」といった目標を掲げる協定が策定されていましたが、より規制を強める必要があるとの声が上がり、食品廃棄禁止法の施行に至ったと言われています。 イタリアではフランスと同年に食品廃棄禁止法が成立しましたが、フランスと異なるのは、違反した場合でも特に罰則がないこと。ただし食品寄付をした際には税控除を受けられます。いずれにしても、法制化によって国全体で食品ロス問題と向き合う姿勢が感じられます。   スペイン:連帯冷蔵庫 他方、スペインの食品ロス対策として代表的なのは「連帯冷蔵庫」。2015年5月、バスク州のガスダカオの街中に設置された冷蔵庫のことで、残り物や賞味期限切れなどで今まで廃棄していた食品をシェアし、誰でも自由に持ち帰ることができるというものです。 設置したのはフードバンクを運営する地元のボランティア団体。生活困窮者への食糧支援と廃棄物削減を目的としています。冷蔵庫に入れるものは生ものを除き、何でもOK。自宅で余らせてしまった食品を入れる近隣住民や、店で余った料理を入れるレストランのオーナーなどがいるそうです。冷蔵庫の中身は運営団体が定期的にチェックしていますが、持ち帰りはあくまで自己責任。持ち帰った食品を口にして食中毒になった場合でも、設置者が責任を問われることのない特別な取り決めが設けられています。   このように各国で進んでいる食品ロス対策。日本で取り入れられるもの、できないものとがありますが、他国の取り組みを参考にしながら問題解決に臨みたいものです。   つづきを読む: https://reports.shareshima.com/144/
対応を急ぐヨーロッパ:世界の食品ロス対策(1)
2022.04.27

映画で学ぶ食の課題、おすすめドキュメンタリー3選

食の未来を考える機運が高まる中、大阪や名古屋、九州など各地で「オーガニック映画祭」が開催されているのをご存知でしょうか? 例えば「なごや国際オーガニック映画祭」は、有機農業の意義を伝え、より多くの人に関心を持ってもらうことを目的に活動しています。有機農業に関わる有志により、2011年に実行委員会が設立されました。以来、2012年2月、2014年2月、2016年4月に計3回の映画祭が開催され、多くの人に食の未来を考えるきっかけを提供してきました。 食の安全・安心への関心は年々高まっており、こうした映画の与える影響は大きいです。そこで今回は、映画祭などで話題になったものを中心に、食の未来を考えるためには必見のドキュメンタリー映画3本をご紹介します。   1.未来の食卓 南フランスの小さな村で実際に起こった1年間の物語をつづっています。子どもの未来を守るために「学校の給食と高齢者の宅配給食をオーガニックにする」という村長の提案に挑戦!最初は戸惑っていた村民たちでしたが、子どもの味覚から始まって、小さな村が少しずつ変化していきます。この映画の公開後、フランスでは一大オーガニックブームが起き、多くの人が自身の食生活を見直すようになったと言われています。   2.フードインク 食品業界の裏側に潜入し、食の安全について疑問を投げ掛ける米国のドキュメンタリーです。サブタイトルは「ごはんがあぶない」。値段は高いけれど安全でおいしいオーガニック食品と、スーパーに並んでいる安価な食材を比較し、その価格差の背景にあるさまざまな状況を明らかにします。大規模工場で飼育される食肉産業の実態や、飛行機で大量に農薬を散布する様子なども映し出されています。「第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門」にノミネートされ、米国では映画公開後に大反響を巻き起こした映画です。   3.ありあまるごちそう 世界で生産されている食料は120億人分あるにもかかわらず、飢餓に苦しんでいる人は10億人もいると言われています。この「食の不均衡」をテーマにしたオーストリアの映画です。大量のパンが毎日捨てられているウィーンと、小麦を輸出していながら2億人もの人が食料に飢えているインド。食品を扱う世界最大級の企業や、漁師・農家・家畜業者といった生産者へのインタビューを通して、飢餓が生まれるメカニズムをまとめています。   食の未来に向けて、私たちは何をすればいいのか。そのことを考えるきっかけとして、まずは映画を鑑賞してみては?
映画で学ぶ食の課題、おすすめドキュメンタリー3選
2022.04.22

注目のサーキュラーエコノミー、原点は江戸時代に

エコな暮らしを考える時によく登場する言葉が、「循環型社会」です。これは、大量生産・大量消費という仕組みに代わるものとして登場した考え方です。大きな流れとしては2000年に「循環型社会形成推進基本法」が発表され、資源の有効活用や環境への負荷軽減の取り組みが行われるようになりました。近年では「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」という言葉も定着しつつあります。そうした中、古くて新しい取り組みとして改めて注目されているのが、江戸時代の社会です。 現代日本では、エネルギーや食糧、木材などの大部分を海外からの輸入で賄っています。それに対し、鎖国をしていた江戸時代には、輸入に頼ることなくほぼ全てを国内で自給自足していました。例えば、当時は「ゴミ問題」もあまり存在しなかったのだとか。理由として、物を大切に扱う習慣が社会に浸透しており、ゴミが発生することが少なかったと言われています。子どもたちが「寺子屋」で使う教科書は、子どもの所有物ではなく、学校の備品として扱われていました。中には1冊の本が100年以上使われたという記録も残っているそうです。 また、「陶磁器の焼き接ぎ」や「古着屋」など、今で言うところのリユースやリサイクルをする業者も数多くあり、一つの物を大切に使い続ける仕組みも整っていました。   江戸時代の精神を受け継いで 江戸時代の循環型社会をモデルとして生まれた事例として、岐阜県中津川市の「ちこり村」をご紹介したいと思います。「後継者不足」や「休耕地の増加」などの農業を取り巻く厳しい状況、それに加えて「日本の低い自給率」を何とか改善したいという想いのもと始まった取り組みです。 まず「地域で出来ることから始めよう」とスタートしたのが、西洋野菜「チコリ」の国産化。チコリには血糖値の上昇を抑えるといった健康効果があるとされていますが、現状ではそのほとんどを輸入に頼っています。そこで、「チコリが国内で生産できれば、自給率アップに貢献できるのでは」という考えから取り組みが始まりました。 ちこり村のもう一つの特徴は、お年寄りが生き生きと働ける場所になっていることです。ここでは農業の活性化と共に、地域とそこに住む人を元気にしています。 地球温暖化をはじめとした環境問題の深刻化により、私たちは従来の大量生産・大量消費のスタイルから、循環型社会へと舵を切らなければならない時が来ています。そのヒントの一つとして、改めて江戸時代に注目してみてはいかがでしょうか。   【参考】ちこり村公式HP:https://www.chicory.jp
注目のサーキュラーエコノミー、原点は江戸時代に
2022.04.21

コロナ禍で節約レシピが人気上昇!その真相とは

コロナ禍での暮らしが長期化するなかで、人気が高まっている「節約レシピ」(または「節約料理」)。料理に関する雑誌やテレビ番組、SNSなどでは、食費を抑える方法や節約レシピなどが多数投稿され、多くの支持を集めています。ここでは、その背景と節約レシピの概要とともに、食費の節約がフードロス削減にもつながる理由を解説します。 コロナ禍で節約レシピが人気の理由とは コロナ禍では自宅で過ごす時間が増え、「おうち時間」という言葉もよく聞くようになりました。自炊をしたり家族で食卓を囲む機会が増えたりするのに伴って、「(こんなときだからこそ)食事を楽しみたい」という声だけでなく、「食費がかさむようになった」という悩みの声も増加しています。 これらを背景とし、昨今人気が上昇しているのが「節約レシピ」や「節約料理」です。食費を抑えるといってもストイックになるのではなく、見栄えもよくておいしい料理が数多く登場しています。たとえば、ほかの肉に比べて比較的安価な「鶏むね肉」や「豚こまぎれ肉」などを使った、少し目先の変わった料理もよく見かけます。 また、手の込んだものではなく簡単に作れる料理が多いのも、人気の理由です。節約するために料理を作ろうと思っても、時間がかかりすぎて長続きしないようであれば、あまり意味がありません。たとえば「フライパンひとつで料理できる」など、仕事や子育てなどで忙しい人にも作りやすいレシピがそろっています。 食費の節約は、フードロス削減にもつながる 食費を抑えるためには、一日単位ではなく、1週間単位で献立を考えることも大切です。その週の献立を決めたら、1週間分の食材をまとめて購入します。こうすることで、どれだけ食費がかかっているかが明瞭になり、食材を効率よく準備することができます。余計な買い物をしてしまう可能性を大幅に減らすことができるでしょう。 食費の節約と聞くと「安い食材を買う」というイメージも強いですが、「食材を余らせない」ことも重要です。たとえば、買い物に行く前に冷蔵庫に何があるかを確認したり、買い物リストを書いたりする方法もおすすめです。まとめて購入する方がお得な場合には、必要に応じて小分けにして冷凍するといった方法もあります。 必要な分だけ食材を購入することは、食費が節約できるだけでなく、フードロス削減にもつながります。上手に食費を節約することで、家計にも環境や社会にもやさしい暮らしを目指してみてはいかがでしょうか。
コロナ禍で節約レシピが人気上昇!その真相とは
2022.04.20

食品ロスが「先進国の問題」は間違い?視点を変えて考えてみる

全世界で生産されている食料は毎年40億トンもあり、実は地球上の全人類が生きていくための必要量を上回っています。けれど、生産された食品の3分の1がさまざまな理由で捨てられているのです。こういう話をすると必ず、「先進国がムダにしているんだ!贅沢しているんだ!」という食の不均衡の話になります、しかしそれは理由のひとつ。実際には、発展途上国でも別の理由で食品ロスが発生しているのです。食品ロスの先進国と発展途上国での違いとは一体何でしょうか。 先進国では流通や保存技術が進歩しており、食品が長持ちするという特徴があります。また家庭では、家計に占める食費の割合が比較的低いため、食べる以上に食品を買い、ムダにしてしまうということがあります。事業者側では、仕入れのミスや需要の変更、ブームによって、食材を使いきれなくなり廃棄する場合も多くあります。それに見た目が良くないと消費者に売れないという現実があることから、食べられるものでも色や形で選別し、販売さえできないということもあります。 先進国ではこうした食品ロスをなくすために、売りに出せないけれど食べられる食品を加工し、売れる商品を新たに開発しています。最近では余った食品を業者や個人の間でシェアする取り組みも盛んです。少しずつではありますが、食品ロスを減らす対策は進んでいるのです。 一方、発展途上国側では、別の原因で食品ロスが発生しています。それは、先進国では克服されている、流通や保存の問題です。例えば、農家の生産物を保存する技術や施設がないため、食品が廃棄されています。その廃棄を防ぐために加工すればいいという話もありますが、加工食品を作る技術も設備もないのです。さらに、交通手段が未発達の場合、市場まで食品を運ぶことができず、また運んでいる最中に痛んでしまって、食べられるものが減ってしまうのです。これを解消するための開発が進み、自然環境を犠牲にしたことで、砂漠化が進んでしまった地域もあります。だから、先進国は発展途上国に食料を援助しましょうというだけでなく、技術や設備を提供し、世界全体が豊かになる支援をしていく必要があります。 食品ロスの問題は、まずは自分たちの周りのムダをなくしていくことから解決しなくてはなりません。しかし、自分たちがムダを減らせば世界の人々が救われるという単純な話でもないわけです。世界の人口はこれからますます増えていきます。未来のためにどう行動すべきか、一人一人が考えなければならない時代を、私たちは生きています。
食品ロスが「先進国の問題」は間違い?視点を変えて考えてみる
2022.04.15

フードロス(食品ロス)って何が問題なの? 私たちにもできること

売れ残りや食べ残しなど、本来食べられるはずの食品が廃棄されてしまう「フードロス(食品ロス)」。今、このフードロスを削減していこうという取り組みが広がっています。 「646万トン」。ある年に日本国内で1年間に出たフードロスの量です(※)。何万トンの食べ物と言ってもちょっと想像しにくいですが、これを国民一人あたりに換算すると、毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てているという計算になります。これは世界中で行われている、途上国などへ向けた食糧援助の量のおよそ2倍に当たるのだそうです。日本の食料自給率はおよそ40%。大半を輸入に頼っています。そうした状況下で大量に食べ物を捨ててしまっているのが、日本の食の現状なのです。 廃棄食糧を大量に処分するには、それだけ資源やエネルギーを使うことになります。燃やすのであれば、二酸化炭素を排出することになりますし、埋めるのであれば、土壌や水質への悪影響が懸念されます。これらのこともフードロスが問題視される理由の一つとなっています。 フードロスの問題は、日本だけではなく、先進国の間でも共通の課題になっています。G7(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国)の環境相会合でも、2030年までに世界全体の1人あたりの食品廃棄量を半減することを目指し、各国が協調して取り組むことで一致しました。 フードロスを減らすことは、食べ物がもったいないからということだけにとどまらず、企業にとってはコストの削減、消費者にとっては無駄な支出を減らすことにつながります。食品を廃棄すれば、原材料費などが無駄になりますし、廃棄するにも費用がかかります。これらのコストは、最終的には価格に上乗せされ、消費者が負担することになります。 こうした中、企業と消費者の間で意識を変えて向き合おうとする動きが起きています。見直しの対象となっているのが、フードロスを生み出す原因になっている「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習です。これは、例えば賞味期限が12カ月の食品の場合だと、賞味期限の3分の1、つまり製造から4カ月までに小売店に納品されない食品は廃棄に。さらに、4カ月先の8カ月までに売れない場合も廃棄になるというものです。そもそもは、消費者に新鮮な食品を届けるためのルールでしたが、フードロスを減らすために食品業界ではこのルールを緩和し、一部で廃棄のタイミングを遅らせるようにしています。   まずは身の回りから、消費のあり方を見直す。 消費者の間でも、これまで捨ててしまっていた食品を大切にして見直していこうという意識が広がっています。近年、人気を集めているのが「サルベージ・パーティー」です。サルベージとは、「救い出す」という意味。家庭の余り物の食材を持ち寄って、プロの料理人のアドバイスをもらい、ひと味違った料理を作って、みんなで楽しもうというパーティーです。 全国各地で開催され、リピーターが増えているようです。例えば、大量のマロニーはちゃんこ鍋用スープでチャンポン風に。冷蔵庫にしまわれていた缶チューハイはデミグラスソースの隠し味に。また、缶詰の豆はフードプロセッサーでつぶしてクラッカーに乗せてお酒のおつまみに、お麩(ふ)は乾燥したまま春雨サラダに乗せれば、食感にアクセントが加わります。参加者は調理を手伝いながら持参した食材がおいしい料理に生まれ変わっていく様子に驚き、完成するそばから食べて、ワイワイと会話を楽しみます。食べて、飲んで、楽しんでいるだけのように見えて、参加者のフードロスへの意識は確実に高まります。 フードロスと言うと、節分の後に恵方巻きが大量に売れ残ったり、飲食店で予約が直前にキャンセルされたりすることがニュースになるなど、商業シーンで起こっているイメージが強いかもしれません。ところが、実際のフードロスは食品事業者が全体の55%を占めるのに対し、45%は家庭からのものです。フードロスを削減するには、事業者と消費者双方の意識の変化が必要です。   ※平成27年度推計。消費者庁「食品ロス削減関係参考資料」(平成30年6月21日版 )より
フードロス(食品ロス)って何が問題なの? 私たちにもできること
2022.04.13

安全で美味!アメリカ発祥の〝Farm to table(ファーム・トゥー・テーブル)〟とは

〝Farm to table〟という言葉を聞いたことはありますか?アメリカで生まれた食に対する考え方で、農場(生産者)から食卓(消費者)まで安全で新鮮な食材を届けるというものです。レストランなどでは少し前から話題を集めており、「地産地消」や「サステナブル(持続可能)」な食のあり方にもつながるものです。では具体的にどんなものなのか、その実践例を見ていきましょう! まずご紹介するのは、温暖な気候に恵まれたアメリカのカルフォルニア州にあるレストラン「Central Market」。こちらのオーナーシェフのトニーさんは、自宅を農場の敷地内に建設し、そこで野菜や家畜を育てています。大切にしているのは、野菜などは遺伝子組み換えをしていない種を厳選し、家畜の飼料にはオーガニックのものを使い、安心安全な食材をつくるということ。レストランで使用するソーセージやサラミは、自身の農場で育った家畜の肉を使い手作りするなど、細かい部分にまで気を配っています。 農場とレストランが近いということは「安心安全で美味しい食材が提供できる」だけでなく、「環境にやさしい」というメリットもあります。例えば、食材を箱詰めするための容器や包装紙は不要になりますし、運搬することで発生する温室効果ガスの削減にもつながります。 もともとトニーさんは、ニューヨークやサンフランシスコで活躍していたシェフでした。都会で仕事をする中で「オーガニックの畑があり、その近くでレストランを開きたい」という想いを長年抱いていたのだそう。その想いに当てはまる場所を探していたところ、ちょうどよいタイミングで見つかったのが、今の場所というわけです。 いろいろなこだわりが詰まっているということもあり、このレストランで提供される食材は安心して食べられる新鮮なものばかりで、もちろん料理が美味しい!夕方のオープン時間になると、地元の客が次々に店内に入り始めて、トニーさんと親しげに会話を始めるのだとか。こうしたレストランの在り方から、地元の人たちにとても愛されている存在になっています。 この〝Farm to table〟の考え方は、日本にも広がりつつあります。次にご紹介するのは、東京のレストラン「navarre Tokyo」。オレゴン州ポートランドで人気を集めるレストランが、日本に出店したものです。有機農業を実践している農家から食材を仕入れ、その日ごとに変化する「スペシャル」として、料理が提供されています。現地のスタイルのように、週末限定でブランチも食べられるのだとか。ポートランドにも通じる「ゆったりとした空気」を楽しみながら、オリジナルの料理を味わってみてはいかがでしょうか。
安全で美味!アメリカ発祥の〝Farm to table(ファーム・トゥー・テーブル)〟とは
2022.03.30

オーガニック給食と日本の現状とは

オーガニック給食とは 給食は子どもの成長に欠かせないものであるとともに、将来の健康的な生活の基盤を作るものでもあります。また、給食には貧困や食などの格差を少なくする意味もあります。その一方で、身近な食べもののなかには農薬や食品添加物などが使われているものも多く、給食にどのような食材を使うかや、子どもの体調不良との関係についてはさまざまな意見が出ています。 こうした給食の課題は、世界の国々にも共通するものです。たとえば、フランスでは「2022年までに学校の給食に使う食材の50%をオーガニックまたは環境に良いという認証付きの食材にする」という法律が2018年に制定されました。韓国では、ソウル市の小学校や中学校、高等学校における「オーガニック無償給食」の取り組みが2021年から始まっています。 日本でも広がるオーガニック給食の取り組み 海外の国々に比べて「オーガニックへの理解や普及が遅れている」といわれてきた日本ですが、昨今さまざまな取り組みが進んでいます。千葉県いすみ市では、2017年から市内すべての小中学校の給食に有機米を使っています。十分な量の有機米を確保するために、2014年から有機稲作を本格的にスタート。行政と農家が協力しながら、体制を整えてきたのも大きな特徴です。こうした一連の取り組みは、たくさんのメディアで紹介されました。 オーガニック給食は全国的に広がりつつあります。高知県四万十市では、学校給食に有機栽培の食材を使う取り組みを15年以上も前から行っています。また、2021年には愛知県名古屋市の小学校の給食で有機栽培のメキシコ産バナナを提供。給食でオーガニック食材を使用するのは政令指定都市では初の試みであり、注目を集めました。バナナを食べた子どもたちからは「おいしい」「味が濃い」といった感想も出ていたそうです。 オーガニック給食を実践している学校やその周辺の地域では、「給食を残す子どもが少なくなった」「給食が魅力になって移住者が増えた」という変化もあるのだとか。オーガニック給食の導入にはいろいろなハードルがありますが、実践することで得られる効果は想像以上に大きいといえるでしょう。 子どもだけでなく大人や地域にとっても、大切な存在である給食。この機会にどんな給食を食べてみたいか、考えてみてはいかがでしょうか。  
オーガニック給食と日本の現状とは
2022.03.16

時代で文化は変わっていく~中国が食べ残しに罰金

食文化には地域性がある、というのは皆さん体感したことがありますよね。日本料理、中華料理、フランス料理などの料理自体の違いもさることながら、食事マナーにも国や地域によって独自性があります。 今回は中国の食事マナーから文化の変遷について考えてみましょう。 <食べ残しを法律で禁止> 中国では外食で客をもてなす際、もてなす側が食べきれないほどの食事を注文し、客はわざと料理を残すという文化があります。日本では「もったいない」という土台が共通しているためか、食事を残すのはあまりよくないイメージがありますよね。日本では子供のころに「残さず食べなさい」と育てられた人も多そうですが、中国では逆に食べ残すことで有り余るほど満たされ感謝しているという意味合いになるのだそうです。 しかし近年の世界的な食品ロス削減の流れや将来の食糧不足を警戒し、中国政府は食べ残しを減らすよう取り組みを進めてきました。2021年4月29日には食品の浪費を禁じる「反食品浪費法」が可決。禁止された大食い番組や動画の公開にはおよそ170万円以下の罰金、客に過剰に注文させた飲食店にもおよそ17万円以下の罰金が科せられる可能があるといいます。 文化を法律で取り締まるのは日本では考えにくいですが、中国らしいとも言えそうなこの法整備。トップダウンで食べ残しをしない新しい文化が生まれるのか、それともこれまでの文化はそうたやすく変化しないのか。 一人ひとりの感覚では、おいしそうに完成している料理をゴミ箱に捨てることに罪悪感を覚えている人も多いのではないかと考えられます。ただ、マナーとして残すのが正しいとされている中では、礼儀を欠くわけにはいかないからと大量の食べ残しも是としているのではないでしょうか。法律と礼儀のどちらをとるか、中国の人々の判断に今後も注目していきたいと思います。 フードロスの削減は中国だけに限らない、世界的課題です。自分一人だけが行動しても何も変わらないと思ってしまうかもしれませんが、地球上の人々の多くが「行動しよう」と考えて動き出せば、それは全体の大きなうねりとなります。 始めないことには、何も始まりません。一人ひとりが意識し、少しずつでも行動に移していけばやがて結果に繋がります。買いすぎない、腐らせない、食べ残さない。できるところから実践してみてくださいね。
時代で文化は変わっていく~中国が食べ残しに罰金
2022.02.28

冷凍食品の賞味期限とは?おいしく食べるためのコツを解説!

冷凍食品の賞味期限とは 食品を冷凍すれば長期間食べられるようになりますが、永遠に保存できるというわけではありません。では、冷凍食品の賞味期限はどのように決まるのでしょうか。この記事では、賞味期限の設定方法とともに、おいしく食べるためのコツについて説明します。 市販の冷凍食品の賞味期限は、約3~4カ月と設定されているものが多いです。商品によっては、1~2カ月程度で食べたほうがよいものもあります。ほとんどの冷凍食品は、マイナス18℃で保存ができることを想定しています。しかし、普通の家庭では冷凍庫の扉を開け閉めすることも多く、そのたびに庫内の温度が変動し、品質が少しずつ落ちてしまいます。そのため、設定されている賞味期限に関わらず、早めに食べるのがおすすめといえるでしょう。 賞味期限が切れた冷凍食品は食べられる? 賞味期限を過ぎた途端に、味が急に悪くなってしまうわけではありません。逆に、賞味期限内であっても保存の仕方や環境によっては、味が落ちている場合もあります。冷凍食品の品質が落ちているかどうかを見分けるには、いくつかのポイントがあります。 たとえば、霜が付いていたり冷凍焼けしていたりするものは味が劣化している可能性が高いといえるでしょう。冷凍焼けとは、冷凍することにより水分が飛んで乾燥してしまった状態のことです。また、パッケージが膨らんでいるものや、一度開封したものを冷凍したものなども品質が落ちていることがあります。 冷凍食品をおいしく食べるためのコツとは 冷凍食品を購入する際には、その商品のパッケージに記載されている保存方法や賞味期限を確認し、自宅で適切に保存できるかどうかや、賞味期限内に食べきれるかを判断しましょう。また、一度開封した冷凍食品を再び保存する場合には、空気をしっかりと抜いてクリップなどで止めておくようにしてください。解凍したものを再冷凍すると味が落ちてしまうので、解凍した場合は冷蔵庫で保管し早めに食べ切るようにします。 解凍や加熱調理をする際には、商品の袋に記載されている調理方法を参照することも大切です。電子レンジを使う場合は、ワット数や加熱時間などの表示をしっかりと確認しましょう。 冷凍食品は生鮮食品などに比べて賞味期限が長いため、忙しい時などに役立つことも多いです。賞味期限の意味や食べ方のコツなどを把握して、長期間楽しみたいですね!
冷凍食品の賞味期限とは?おいしく食べるためのコツを解説!
2021.08.11

身体も心も元気づける自家製保存食づくり

身近なスーパーでも外国の珍しい野菜や手軽で便利な冷凍野菜がいつでも購入できるいい時代になりました。こういった野菜はマンネリになりがちな食卓を力強く助けてくれます。しかしそうはいってもメインになるのは安くておいしい旬の露地野菜でしょう。果物などでも、缶詰は便利ではありますがやはり旬の露地物はフレッシュなおいしさに溢れています。短い旬の間に堪能するのが醍醐味かもしれませんが、保存しておいてそのあと好きなタイミングで食べられたら嬉しいですよね。 あるいは家庭菜園をしている人であれば、大豊作の収穫時期が一気に来てしまって消費が追いつかず嬉し悲しという経験をしたことがあるかもしれません。 そんなときには一工夫。かつて冷蔵庫も冷凍庫もなかった時代の知恵を拝借して、自家製保存食づくりに挑戦してみましょう。 <食べ物を保存する体験そのものまで楽しむ> 保存食と言うとどのようなものを思い浮かべるでしょうか。 ぱっと思いつくだけでも乾燥させる、塩漬け、砂糖漬け、酢漬け、マリネ(油漬け)、燻製、発酵などのさまざまな方法が挙げられます。 この中から今回は家庭でも取り組みやすい乾燥・塩漬け・砂糖漬けの例をご紹介しましょう。 切り干し大根や干しシイタケに限らず、根菜類やキノコは乾燥させることで旨味が濃縮してとてもおいしくなります。カラッと晴れた日にバットやザルに乗せて日光に当て、時々裏返してまんべんなく乾燥させましょう。水分が残っているとカビの原因になるので、できるだけカラカラに乾かします。密閉容器や袋に入れて冷凍庫に保存し1か月程度を目安に食べきるようにします。 ジャガイモやナス、ニンジンやトマトなどを薄切りにして干してみてください。生のままとは一味違う新しい野菜の魅力に引き込まれること間違いなしです。果物でもイチゴやキウイなどは家庭でも乾燥させやすいので、ぜひ挑戦してみてくださいね。 じっくりと保存食づくりに取り組んでみたい場合には、塩漬けの一つとも言える梅干しづくりがぴったりです。作った人によれば自家製梅干しは掛けた手間暇の分とても愛着がわき、食べるのがもったいないほどおいしく感じられるのだとか。ただし梅は一年のうちほんの一時期しかスーパーに並ばないので、やると決めたら時機を逸さず行動を始めてくださいね。なお青い梅の実を生食するとめまいや頭痛などの中毒症状が出る恐れがあるので、生では食べないように注意しましょう。 砂糖漬けというとちょっと耳慣れないかもしれませんが、ジャムと言えばとても身近に感じますよね。鍋でコトコトと自家製ジャムを煮ることは、それ自体が一つの体験として楽しめます。市販品では低糖で甘さ控えめのものが主流になっていますが、家庭で作る場合には糖度60~65%を目安にすると保存性が高まりますのでおすすめです。イチゴやリンゴだけでなく、桃やメロン、マスカットなどお好みの果物でジャムづくりを楽しんでみてくださいね。 安くておいしい旬の時期に買って保存性を高めるために手をかける保存食づくり。冷蔵庫の性能がいくら良くなっていると言っても、ただ冷やして保存するだけでは長期保存は難しく、食材が痛んでしまうことも少なくありません。そうなる前にひと手間かけることで、単なる冷蔵保存よりもぐんと食材を長持ちさせることができます。 とかく合理性や効率が重視される毎日の中ですが、だからこそあえてひと手間かけて保存食を作ってみませんか。作っている最中のゆったりとした時間の流れが心を癒し、出来上がった保存食が身体をおいしく元気づけてくれます。
身体も心も元気づける自家製保存食づくり
2021.06.16

コロナ禍における、フードバンクの意味や役割とは?

フードバンクとは? コロナ禍で苦境に立たされている人達を救う取り組みが、全国各地で進んでいます。そのひとつが、フードバンクによる活動です。 活動事例を紹介する前に、まずフードバンクとはどんな意味なのでしょうか。一般社団法人全国フードバンク推進協議会のホームページによれば、次のように定義されています。 「フードバンクとは、安全に食べられるのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で流通に出すことができない食品を企業などから寄贈していただき、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動です。」 フードバンクの活動は、1967年にアメリカでスタートしたもの。アメリカには200以上ものフードバンクの団体があるとされています。また、フランスやカナダ、オーストラリアなどでもフードバンクの活動が盛んです。ちなみに、日本でフードバンクの活動が始まったのは、2000年以降とされています。 フードバンクの活動が進む背景には、食べられるのにも関わらず廃棄される「食品ロス」や、「子どもの貧困問題」などが深く関わっています。これらの根本的な課題を解決するためには、行政や企業、地域住民と連携しながら、フードバンクの活動していく姿勢が求められるでしょう。 コロナ禍における、NPO法人セカンドハーベスト・ジャパンの取り組みとは? 日本で初めてフードバンクの活動をスタートしたのは、「NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン」という団体です。この団体では、食品製造メーカーや農家、個人から食べられるのにも関わらず廃棄される食品を集めて、児童養護施設の子どもたちやDV被害者のシェルター、路上生活者など必要とする方に届ける活動を行っています。 また、コロナ禍における新しい取り組みとして、経済的に厳しい状況に置かれた学生に対して、食料を支援する活動をスタート。食料の支援により、学業の継続をサポートすることを目指しています。具体的な内容としては、「学生証+奨学生証」「学生証+公共料金支払書」などを提示することで、予め決められた「パントリー」「フードパントリー」という場所で食料を受け取ることができます。 日本ではまだまだ認識の薄いフードバンクですが、コロナ禍における貴重な活動が各方面から注目されています。その活動の意味や役割を認識し、自分や自社にできそうなことを考えてみてはいかがでしょうか。
コロナ禍における、フードバンクの意味や役割とは?
2021.03.23

「世界食料デー」SDGsの取り組みをみんなで考えよう

「世界食料デー」月間とは?国連は10月16日を「世界食料デー」、10月を世界食料デー月間と定めています。世界の飢餓や食糧問題について考えるとともに、その解決に取り組む1ヵ月としています。日本では2008年からこの世界食料デー月間の期間を活用して、NPO/NGOや国連機関などとの連携による情報発信を行っています。 特定非営利活動法人国際連合世界食糧計画WFP協会によれば、2018年時点での世界の飢餓人口は約8億2000万人以上とされています。これは「世界の人口のうち、約9人に1人が飢餓で苦しんでいる」という計算になります。世界食料デー月間では、飢餓や食糧問題はその課題に苦しんでいる当事者だけでなく、社会全体の課題であるとされ、より多くの人による多面的な取り組みが必要です。 例えば、飢餓が深刻化する一方で、食べられるのに廃棄されてしまう「食品ロス」などの問題があります。解決方法のひとつとしては、消費者は「(賞味期限の長いものを選ぶのではなく)賞味期限の短いものを買う」「購入した食材は残さず食べ切る」といった心掛けが重要です。また食材や料理を提供する側としては「食べられる量を提供する」など、それぞれの立場で身近にできることから実践することが求められます。 世界食料デー月間とSDGs 世界食料デー月間に関連して、持続可能な開発目標(SDGs)における17の目標のひとつに「飢餓をゼロに」というものがあります。これは、次に挙げるような他の目標とも密接に関わっています。 例えば、「貧困をなくそう」という目標について言えば、極度の貧困状態にある人々(1日あたり1.9ドル以下で暮らす人々)の数は、1990年以降大幅に減りました。しかし依然として、2015年時点では世界に約7億3700万人が極度の貧困状態にあるとされ、飢餓にも深くつながっています。 「つくる責任 つかう責任」という目標では、「生産された食料のうち、約3分の1が廃棄もしくは損失している」という現実が大きな問題となっています。飢餓で苦しむ人が減り、より多くの方が食べられるようにするために、環境にも配慮しながら持続可能な生産・消費の仕組みを構築していくことが望まれています。 最後に「パートナーシップで目標を達成しよう」という目標は、行政・企業・NPOなどさまざまな主体が関わっていくことの重要性を意味しています。これは飢餓だけでなく他の課題にも通じることですが、世界規模での課題を解決するためには、それぞれの専門分野を越えて取り組んでいくことが大切です。 食料デー月間をきっかけに、私たちが身近にできることを考えてみてはいかがでしょうか。
「世界食料デー」SDGsの取り組みをみんなで考えよう
2020.11.30

コロナ禍で売れ残った高級食材、新しい売り方とは

高級食材が売れ残っている現状 新型コロナウィルスの影響により、結婚式などのイベントや接待などが大幅に減っています。それに伴って、高級食材や引き出物用のお菓子などが大量に売れ残っていることをご存知でしょうか。 例えば、私の暮らす愛知県で盛んに生産されている紅色のしょうがの一種「はじかみ」。和食の焼き魚などに添えられることも多く、料亭などでよく利用されてきました。ところがコロナ禍でそうした需要も少なっています。はじかみが大量に売れ残ってしまい農家さんが困っている、というニュースが新聞などでも取り上げられました。 はじかみ農家だけでなく、こうした状況に追い込まれている生産者や加工業者は全国に数多く存在します。そこで、この現状を解決すべく、コロナ禍で売れ残った高級食材を売るためにいろいろな活動がスタートしています。 高級食材を売るための活動がスタート まずご紹介するのは、結婚式などの引き出物に使われる高級菓子や高級グルメなどを格安で販売するサイト「PIARY(ピアリー)」。行き場を失った食品の数は、なんと約600万個にものぼるのだとか。こうした食品を「引き出物おまかせ10点詰め合わせセット」として、手頃な価格かつ送料無料で販売しています。「フードロス削減のための支援・協力」ということだけでなく、「幸せのおすそわけ」というコンセプトも魅力のひとつです。 次にご紹介するのは、プロ料理人向けの産直食材仕入れサイト「リーチストック」。全国で一万店舗以上の飲食店が利用しているサービスです。コロナ禍では「コロナに負けるな!食材レスキュープロジェクト」が立ち上がり、飲食店などでプロが使用する食材を、一般家庭向けに良心的な価格で販売しています。例えば、「真鯛のお刺身セット」も人気を集めている商品のひとつです。半身にして骨を取った状態で真空パックにしているため、自宅ですぐに食べることができます。 今回ご紹介したのは2つの支援サイトですが、他にもいろいろな活動が始まっています。普段はなかなか味わえない高級食材をおいしく味わいながら、生産者や日本の食文化をしっかりと応援していきたいですね。
コロナ禍で売れ残った高級食材、新しい売り方とは
2020.11.12

フードロス削減に向けて「量り売り」が加速中⁉その理由と取り組み事例

「量り売り」「ばら売り」が今注目される理由 コロナの影響を受けて一部の農産物や加工品などが売れ残っており、新聞やテレビなどのニュースなどでもよく取り上げられています。こうした背景を受けてさまざまな取り組みが加速していますが、そのなかでも「量り売り」「ばら売り」への注目が集まっていることをご存知でしょうか。 まず前提として、日本の大手スーパーなどでは新型コロナウィルスへの対策のなかで、従来の量り売りやばら売りを中止し、パック詰めのものを販売するスタイルへと切り替わりつつあります。その一方で環境先進国と呼ばれるドイツでは、現在も量り売り販売をする店が支持されているそうです。もちろん、お客さんの手の消毒や、量り売りに使用するカップなどの消毒、試食の中止などは徹底して行っています。これらの事項をまとめた「量り売り専門店における感染防止対策のガイドライン」なども定められました。ウィズコロナのなかでも、ゴミ削減などの問題に取り組む強い姿勢の現れとも言えそうです。 また国内の事例として、東京都世田谷区にある食品専門のミニスーパー「アイアイマーケット」では、廃棄処分を目前に控えた商品を通常の半額以下の価格で販売しており、女性客を中心に人気を集めています。この店の人気の秘密は安さだけでなく、「フードロス」「持続可能」というコンセプトに共感する人たちを惹きつけていることにもあります。これまでは飲食店向けとしていた商品を、個人客向けに少量ずつ販売することで、食品の廃棄量を減らすことに貢献しています。 地域レベルでの取り組みも加速中 フードロス削減に向けて、行政による地域レベルでの取り組みも加速しています。例えば兵庫県加古川市では「加古川市おいしい食べきり運動」を実施し、飲食店や宿泊施設、小売店から発生する食品ロスの削減を目指しています。また、「小盛りやハーフサイズの設定」「食料品の量り売りやばら売りの実施」「規格外品の安売りや有効利用」などを行う店舗も支援しています。 フードロス削減に向けた解決方法としても、注目されている「量り売り」「ばら売り」。コロナウィルスの感染防止対策をどう進めるのかなど課題はたくさんありますが、海外や国内での事例をもとに具体的な進め方を考えてみるのもいいかもしれません。
フードロス削減に向けて「量り売り」が加速中⁉その理由と取り組み事例
2020.11.09

「エシカル消費」することで世界の問題は解決される?

「エシカル消費」という言葉が世に出始めて、10年ほどが経つでしょうか。 一過性の爆発的なブームなどではなく、良い形で少しずつ少しずつ浸透してきているように感じます。 今後ますます、商品選択にあたって品質や価格以外に「エシカル」という要素が重要になっていく時代へと社会は進んでいくのか。 今回は「エシカル消費」について解説します。 エシカル消費は社会問題解決への第一歩になる 「エシカル(ethical)」は「倫理的」「道徳的」を意味します。 倫理的な消費と言われても、消費活動と倫理が結びつかない方も多いかもしれません。 しかし実は、衣食住といった生きていく上で欠かせない消費活動だけに限っても膨大なエシカル消費の選択肢があります。 その商品を生産するにあたって、人・環境・地域に過度な負担を強いない、むしろ貢献することを目指すのがエシカル消費です。 具体例については後述しますが、エシカル消費を実行することで、深刻な世界の問題解決の第一歩を踏み出すことができるのです。 普段食品や衣類を買うときに、その商品が目の前に届くまでの過程を想像することはないかもしれません。 しかし購入しようとしているその商品が、多少なりとも児童労働をはじめとする人権問題・森林伐採などの環境問題・貧困といった犠牲の上に成り立っているかもしれない可能性に思いを馳せてほしいのです。 消費は生きることそのものです。止めることはできません。 だからこそ、消費するモノやサービスの背景まで考え、環境負荷の低いものや生産者からの過度な搾取のないものを選択する、倫理道徳に則って選択することが大切だと言えます。 エシカル消費の具体例 エシカル消費だと自覚していなくても、実はすでに皆さんもエシカルな消費行動をしているかもしれません。 ・エコマーク ・フェアトレード ・カーボンオフセット ・グリーン購入 ・オーガニック 購入するモノやサービスにこれらのキーワードがあればそれはエシカル消費を実行していると言えます。 「エシカル消費」という言葉よりも、具体例の方が耳なじみのある人も多そうですね。 これらは環境や人・社会に配慮された例ですが、地域への配慮という面からは ・地産地消 ・応援消費 などもエシカル消費の一例と言えます。 無理のない「エシカル消費」を続けていく 消費活動は生きている限り続きます。 同じようにお金を払うならば、社会問題を解決する生きたお金を使う。 そう心掛ければ、価格だけを比較した時よりも、より広い目で商品選択をできるような気がしますね。 「より安い」を追求した商品は、得てしてエシカルではない、弱い立場の生産者の犠牲の上に成り立っている場合も多いのだということを心の隅に置いてください。 商品選択に「より安い」だけではない、「より良い」という指標を持てば、企業側にも価格一辺倒ではない商品やサービスの開発を促すことができます。 実際に、寄付つき商品などは価格が高いにもかかわらずよく売れるというデータもあります。 このようなデータが蓄積すれば、企業としてもマーケティング戦略に「エシカル消費」を意識しないわけにはいかなくなります。 もちろん明日から生活のすべてでエシカル消費を実行するのは不可能です。 しかし1つのものからでもエシカル消費は実行できます。 いつでもエシカル消費を実行することができる、実行するほどに社会問題解決の一歩を重ねられるという「気持ち」をまずは持ってみましょう。
「エシカル消費」することで世界の問題は解決される?
2020.11.05

これまだ食べられる? 消費期限と賞味期限を正しく知ろう

食品を購入するとき、消費期限や賞味期限といった期限表示を気にしていますか。 期限が近い商品は割引価格で販売されることもあり、節約上手な人ではこういった商品を上手に購入していることもあるようです。 しかし中には、日付が書いてあるのは知っていても、その日付が何を意味するのか正確に理解していない人もいるかもしれません。 今回はそんな食品の「期限表示」について学んでみましょう。 期限表示の歴史 昭和から平成の初期は、期限表示ではなく「製造年月日表示」だったことを覚えている方はいるでしょうか。あるいは、製造する側として記憶している方もいらっしゃるかもしれません。 期限表示は昭和23年、牛乳等への製造年月日表示が義務付けられたことに始まります。その後、国際規格との整合性をとって、製造年月日表示から期限表示に変更されたのが平成7年。さらに品質保持期限(食品衛生法)と賞味期限(JAS法)が「賞味期限」に統一されたのが平成15年です。 現在の形になったのは意外にも、ほんの5年ほど前のことなのです。 消費期限と賞味期限の違い 消費期限は、食肉・お惣菜・生菓子類などの品質劣化が早めの商品の期限表示です。おおむね製造日から5日以内となっていて、「期限を過ぎたら食べない方が良い期限」を年月日で表示します。 消費期限を超えている場合には、品質劣化が進んでしまっていて安全に食べられない可能性がありますので、食べることはお勧めできないということになります。 対して賞味期限は品質劣化が比較的緩やかなスナック菓子・カップめん・缶詰・ペットボトル飲料などに表示されます。 意味するところは「おいしく食べることができる期限」ということで、適切に保存されていれば、この期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるというわけではありません。製造日から期限までが3か月以内の場合には年月日、3か月を超える場合には年月で表示されます。 同じように日付が表示されていても、消費期限と賞味期限では意味するところは大きく異なりますね。 この違いをしっかりと理解しておきましょう。 またどちらの期限も適切な保存かつ未開封での期限となっていますので、一度開封したらこの期限表示は意味を成しません。 開封後は早めに食べきるように心がけるとともに、においや見た目、味など自分の五感をフル活用して食品の品質劣化具合を見極めましょう。そもそも適切に保存されていなければ、期限内でも品質劣化が進んでしまっている場合もあります。 視覚触覚嗅覚味覚を駆使して、食品の品質劣化を判定し、食べるか食べないかを最終的に決めるのは自分自身なのです。 期限表示のない商品もある? 多くの加工食品に期限表示が行われていますが、実は期限表示のない商品もあることをご存じですか。 砂糖や塩、うま味調味料、冷菓やアイスクリーム類、酒類、氷といった長期間保存しても品質の変化が極めて少ないとされる一部の食品は、賞味期限の表示を省略することができるとされています。 これらについてはいつまでも食べられる、と言うと語弊がありますが、未開封で適切に保存されている場合には基本的に安全に食べることができると言えます。 砂糖や塩の特売に遭遇したら、保管スペースと相談の上、まとめ買いをするのも良さそうですね。 そしてもう一つ大切なこととして、期限表示は「おいしく安全に食べられる期限」の目安であり、新しいほど良いという性質のものではないということを知っておきましょう。 今日買って今日食べるのであれば、消費期限が今日のものでも安心安全なのです。 販売店も割引シールを貼るなどして期限間近の商品の販売促進を図っていますが、これは逆に言えば古い日付になるほどに売れにくくなるということを意味し、売れ残ってしまえば廃棄され、食品ロスにもつながっていきます。 むやみに新しい日付のものを選ぶのではなく、手前に陳列されている商品から順に手に取るよう心掛けたいものですね。 ほんの些細な心掛けが、食品ロスを減らす小さいけれども着実な一歩になります。
これまだ食べられる? 消費期限と賞味期限を正しく知ろう
2020.10.08

食品ロス削減に向けた注目の取り組み「フードシェアリングサービス」とは

フードシェアリングサービスとは?食品ロス削減に向けて、欧州などで広く普及し始めている「フードシェアリングサービス」。日本でもこのサービスを提供する会社が登場し、少し前から注目を集めています。そこで今回は、その内容やコンセプトなどについて紹介したいと思います。 まず、フードシェアリングサービスとはどんな意味なのでしょうか。もともとは、欧州を中心に広がっているスマートフォンのアプリを利用した取り組みがその始まり。早い時期から食品ロス削減に向けてさまざまな活動を行っています。 こうした背景には、まだ食べられる状態であるにもかかわらず「賞味期限が近づいている」といった理由などにより、大量の食品が捨てられているという現実があります。 世界には飢えで苦しむ人たちが大勢いるという事実と照らし合わせても、持続可能な社会を目指していく上で、これは大きな問題です。こうしたグローバルな課題を踏まえて、食品ロスを減らすために生まれたのがフードシェアリングサービスです。 2015年の「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標ターゲットのなかにも、この食品ロスの減少が掲げられ、国際的なテーマとなっています。また、日本では「食品ロス削減推進法」が成立し、国内においても関心が高まりつつあります。 日本での取り組み事例は?フードシェアリングサービスには、大きく分けて「インターネット通販型」と「店舗訪問型」の2種類があります。 インターネット通販型は、ネット上にて商品を購入し、登録した住所に届くというもの。取り組み事例としては「Otameshi」などがあり、購入金額の一部が社会貢献としてさまざまな団体に寄付されます。通常の商品を「お試し価格」で購入できるというのもこのサービスの特徴のひとつです。 これに対して店舗訪問型は、実在する店舗を訪問して、そこで作られた料理や商品などを購入するというもの。取り組み事例としては「tabete」などがあり、廃棄が迫った食品を購入するものです。食品と食べ手をつなぐだけでなく、天候や予想外のアクシデントなどにより注文数が安定しない店舗を応援するという側面もあります。 「食品ロスを減らす」という意味のなかには、食材や作ってくれた料理人への感謝の気持ちも込められているのかもしれません。身近に利用できるサービスも増えていますので、ぜひチェックしてみたいですね!
食品ロス削減に向けた注目の取り組み「フードシェアリングサービス」とは
2020.10.01

在庫処分品の購入は効果薄⁉ 食品ロス削減の鍵となるものとは

食品ロスという言葉は今やすっかり市民権を得、「食品ロスを削減しよう」などというスローガンを目にすることも多くなりました。 ではどうすれば食品ロスを減らすことができるのか。 ここでは主に売れ残り食品のロスに焦点を当てて考察していきます。 在庫処分セールでの購入、食品ロス削減効果はある? コロナ禍という社会状況から、食品の在庫処分セールがあちこちで行われています。お得な商品を買うことで生産者・販売店を応援できるなら、と購入した方も多いかもしれませんね。 ではこの行動に、食品ロス削減効果はあるのでしょうか? 在庫処分セールで売れ残ってしまったものが廃棄されるのであれば、それを購入して消費することでその場での食品ロスは確かに減ります。 しかしここではもう少し俯瞰して考えてみましょう。 食品の購入量全体が一定だとすると、在庫処分セールで購入した分、正規品の購入は減るはずです。 在庫処分セールで買ったものが、普段の食生活とは別にプラスされたものであれば買い控えは起こりませんが、実際には完全なプラスではなくどこかで置き換えられていることが多いからです。 在庫処分セールでお米を買ったとしましょう。そのお米がある間は、本来なら買うはずだった通常価格のお米を買わずに済みますね。 では何もなければ買われるはずだった通常価格のお米はどうなるか。 乱暴に推測すれば、それは在庫処分にまわると考えられます。 つまり、在庫処分品を買った分正規品が売れ残り、新たな在庫処分品が生まれるという堂々巡りになってしまうわけです。 在庫処分品の購入は食品ロス削減の観点から考えると、一時的には効果がありそうですが、長期的包括的に考えると効果があるとは言い切れないということになりそうです。 意識改革が食品ロス削減の鍵になる? そもそも在庫処分セールが行われるということは、売れ残りがあるということを示します。 消費者の「できるだけ新しいものを、欲しい時にいつでも買いたい。品切れは許さない」という意識と、販売側の「品切れは怖い、売れ残りは仕方ない」という意識。 この不足よりも過剰を是とする意識が在庫過多を招き、食品ロスを生んでしまってはいないでしょうか。 「豊かな時代」を皆が享受する大量生産大量消費の流れが長く続いてきました。しかしそろそろ次の段階へと進んでも良い頃合いでしょう。 多いほど豊かという考えから脱却し、「適量」を是とする社会へと成熟していくことが期待されます。 需要と供給のアンバランスを完全に解消することは難しいでしょう。どれだけ精緻に予測しても想定外の事態は起きますし、天候を意のままにすることはできず、ブームは急に来て急に去るのが常です。 そういった状況の中、社会全体に「自らが不足を受け入れる」という寛容さがあれば、それは食品ロスを削減することつながっていくように思えてなりません。また逆に言えば「自らが過剰を受け入れ一口多く食べる」ことも寛容さの一種になるかもしれません。 まとめ 意識改革というと大仰ですが、目の前の食品ロスを減らすには、まずはシンプルに一人ひとりが ・食べきれる量を ・過度な鮮度志向を控えて購入し ・残さず・捨てず ・品切れを快く受け入れる これらを心掛けることが大切です。 在庫処分セールでの購入も否定されるものではありませんので、上手に利用できるとよいですね。
在庫処分品の購入は効果薄⁉ 食品ロス削減の鍵となるものとは
2020.09.14

急伸する「フードテック」を知ろう(後編)~キーワードは「パーソナライズ化」~

前編の記事はこちらです フードテックは食×テクノロジー(技術)を意味し、食品関連分野にサイエンスやITを導入することにより更なる食の可能性を探る動きを指します。 前編では食品ロスや将来のたんぱく源不足といった食糧問題や人手不足などの社会問題の解決を目指す点からフードテックを見てみましたが、それだけではフードテックの一面を捉えたにすぎません。 フードテックにはパーソナライズ化されたニーズを満たし、食の多様化、食の可能性をより広げられるのではないかという期待も込められているのです。 後編ではこの視点からフードテックを考察します。 食のパーソナライズ化の可能性を探る ITが急速に生活に浸透し、もはやインターネットなしで生活していたころを思い出せないと感じたことはありませんか。ほんの20年ほどの間に、一家に一台のパソコンから一人一台のスマホでインターネットとIT環境は一気に充実しました。5Gの時代がやってくれば車や家電それぞれがインターネットに通じ、再び世界は激変すると考えられています。 この技術革新を背景に、従来では追跡することのできなかった人々の消費行動や食にまつわる欲求などの詳細なデータを獲得することができるようになってきました。 スマホでアレルギーや味の好みを登録しておけば、冷蔵庫内の食材を画像解析した上で好みに合わせたレシピを提案する、必要な食材をオンライン購入する、スマート家電で自動調理するなどといったサービスがこの先どんどん展開されていくでしょう。 あるいは遺伝子・血液などの情報を含む健康診断の結果や運動量をもとにした基礎代謝の状況などを解析して健康状態にあったレシピやメニューを提案したり、食材や不足しがちな栄養のサプリメントはもちろんのこと調理済みの料理を配達したりするなどというサービスも考えられます。 食のパーソナライズ化は家の外へも拡がる さらには家の中だけでなく、外出先でもこういったパーソナライズ化された食の可能性は広がっています。 例えば自動販売機にスマホをかざすと好みのサラダやスムージーが出てきたら嬉しいですよね。欧米ではすでにサラダベンディングマシンやフレッシュスムージーをその場で作ってくれる自動販売機が実用化され、徐々に普及してきているといいます。 日本国内でも遠くない将来、同様のサービスが展開されていくことでしょう。 外食時でも決まったメニューから選ぶのではなく、好みの食材と調理法・味付けを選べば、ロボットが調理してくれる。あるいは「今日のあなたをより健康に導くのはこの料理です」と不足している栄養素を補う料理が提案される。 そんな未来も全くの絵空事ではなく、現実味を帯びてきています。 まとめ フードテックについて前後編で考察してきました。 現段階では可能性として語られているサービスのうちのいくつかは、近いうちに実用化され、きっかけさえあれば日本国内でも一気に普及するかもしれません。 5G普及の過渡期はまさに人々の「常識」が変革する真っただ中にあると言えそうです。 20年後、日常生活はどう変わっているのか。まだ想像の域を出ませんが、今日の私たちが20年前を懐かしむと同程度、あるいはそれ以上に世界は変わっていくと思うと、ワクワクが止まりませんね。
急伸する「フードテック」を知ろう(後編)~キーワードは「パーソナライズ化」~
2020.09.10

急伸する「フードテック」を知ろう(前編)~社会問題の解決を目指すフードテック~

「フードテック」という言葉を聞いたことがありますか? フードテックは食×テクノロジー(技術)を意味し、食品関連分野にサイエンスやITを導入することにより更なる食の可能性を探る動きを指します。生きていく上での根幹ともいえる「食」は農業漁業から、食品製造、流通・保存、調理、配送など様々な分野にまたがります。関連したお仕事をしている方も多いでしょうし、末端の消費者として考えれば、フードテックによる新サービスや新ビジネスはまさに私たち一人ひとりの生活に直結しているわけです。 とはいっても、「フードテック」という言葉だけでは具体的なイメージは湧きにくいかもしれませんね。まずは社会問題の解決という視点から、フードテックを探ります。 食糧問題の解決を目指すフードテック フードテックの目指す一つの行き先は食品ロスや将来のたんぱく源不足の解消といった食糧問題の解決です。食品ロスの問題は大変深刻です。国連食糧農業機関(FAO)によれば、食糧廃棄量は世界中では年間約13トン。これは人の消費のために生産された食料のおよそ1/3にも上るといいます。 ITを活用することで需要と供給をより精緻に予測することができれば、家庭に届く前までの食品ロスが減少すると考えられます。家庭に届いたあと、さらに最新技術により品質を保持できる保存期間が延長され、誰でも簡単においしく調理できる自動調理などが実現すれば、家庭内での食品ロスも減っていくでしょう。食品パッケージが変わってくれば、プラスチックごみの減少へもつながるでしょうし、流通のロスが少なくなればその分の輸送量が減り、排出CO2も削減できるなど、影響は計り知れません。たんぱく源不足も大きな食糧問題ですが、代替肉や培養肉の分野が解決の糸口となる可能性を秘めています。さらにはたんぱく源不足だけではなく、貧困層の栄養不良による健康問題、それとは逆の富裕層の食べすぎによる健康被害といった問題に対応できる代替肉や培養肉は、今後ますます注目されていくことでしょう。 人手不足をテクノロジーが解決する? 日本の人口は10年連続で減少し続けています。少子高齢化の流れは今後も加速の一途をたどりそうです。この労働力人口の減少をテクノロジーによって解決できるのでしょうか。 実は、その可能性は十分にあります。ドローンを活用した農薬散布、AIによる自動灌漑、食品工場でのロボット化などはすでに実現していますし、畑ではなく工場で野菜を生産することも今後ますます増えていくでしょう。さらには小売り・飲食業界でも調理や接客をロボットが行うことも当たり前の時代がやってくるかもしれません。あるいは小売という業態が変化していく可能性もあります。一昔前は、どのようなものでも出かけて行って店舗で買うのが一般的でしたが、現在の通信販売の躍進は皆さんご存じのところです。今後この流れがますます加速し、もしかしたら普段食べる生鮮食品についてもオンラインで購入し届けてもらう形が普及していくのかもしれません。 近い将来の購買形態がどうなるかは未知数ですが、フードテックがさまざまな可能性に満ちていることは確かです。 今回の記事のまとめ 以上のように、フードテックは社会問題の解決を目指して急伸してきています。しかしそれだけではフードテック全体をとらえたとは言えません。もう一つ別のアプローチとして、フードテックは食の多様化を目指しています。次回後編ではこの食の多様化、パーソナライズ化されたニーズを満たすフードテックについてお伝えします。 後編はこちら
急伸する「フードテック」を知ろう(前編)~社会問題の解決を目指すフードテック~
2020.08.27

今こそ活用したい! 冷凍野菜の真の実力

スーパーではまとめ買いをしたいと思うものの、すぐに萎れる葉物野菜などは頻繁に買いに行かざるを得ないと嘆いている方にこそ知ってほしい「冷凍野菜」。冷凍食品コーナーを休日の昼食とお弁当のおかずにしか使わないなんて、もったいない! 実は優秀な、冷凍野菜の真の実力をお伝えします。 <冷凍野菜の栄養価は生野菜よりも劣るって本当?> 冷凍野菜に生野菜よりも栄養素が減っているイメージを抱く人は多いのではないでしょうか。しかし実のところ、冷凍野菜だからと言って極端に栄養素が損失しているわけではなく、勝負は互角です。 冷凍野菜に使われるのは、旬の一番いい時期に計画的に収穫された野菜です。スーパーで売られている野菜よりもむしろ新鮮で栄養価の高い野菜を、鮮度が落ちないうちに加工します。 加工は工場で手早く行われます。選別・洗浄などの前処理を施した野菜は、ほとんどの場合ブランチング(軽い湯通し)され、急速冷凍されます。このブランチングによって野菜の持っている酵素を不活性化させて変色を抑えたり、食品表面の殺菌効果が得られたり、冷凍耐性が向上したりします。 冷凍保存するということで特筆して栄養価が損なわれることはありません。 例えば、ご家庭で買ってきたほうれん草を明日食べよう、明日食べようと3日も冷蔵庫に入れっぱなしにしておくとみるみるうちに萎れてきますよね。見た目だけでなく、味も栄養価も日に日に落ちていってしまいます。 しかし冷凍野菜ならばそこまで焦る必要はありません。食べたいときに食べたい量を便利に使うことができ、しかもその栄養価は生野菜と遜色ないのです。 一つだけ注意したいのは、すでに半加熱されているので、加熱し過ぎないようにするということ。風味や歯触りの面では、生野菜に分があることは否定できません。 <キノコは冷凍した方がおいしさも栄養素もアップする!> キノコ類に限っては、冷凍した方がおいしさも栄養素も断然アップします。常温のキノコを買ってきた場合、翌日までに食べる予定がない場合には冷凍保存一択!と言い切っていいほど。 冷凍することで水分が凍って体積が膨張することにより、細胞壁が破壊されます。キノコのうまみ成分である「グアニル酸」はキノコの細胞が壊れて初めて出てくるほか、うまみ成分を作り出す酵素の働きでアミノ酸が3倍にも増えるので、おいしさも栄養価も高まるというわけです。 調理するときには凍ったまま使うのがポイント。複数のキノコを混ぜて冷凍しておくミックス冷凍キノコはとても便利です。自家製で冷凍した場合には1か月を目安に使い切りましょう。 水分の多い野菜は冷凍には適さないので、すべての野菜を冷凍野菜で賄うことは現実的ではありません。サラダで食べる野菜はやはり生野菜のイメージですよね。 しかし、ほうれん草やブロッコリーなどの葉物野菜を冷凍野菜で常備しておけば、毎日の食事に大活躍すること間違いなし! 張り切って購入したけれど調理する段階で力尽きてしまう人、量が多すぎて食べきれず腐らせてしまいがちな人にとっては救世主ともいえます。 いつでも旬で手間いらず、栄養価も保存性も高く、コストパフォーマンス抜群な冷凍野菜。上手に活用してみてくださいね!
今こそ活用したい! 冷凍野菜の真の実力
2020.08.20

食べても使っても。エコライフにもおすすめの「ヘチマ」の使い方とは。

幅広い用途に使える「ヘチマ」 夏の暑さをしのぐために、庭先やベランダなどでよく見かける「グリーン・カーテン」。ゴーヤーを使う方が多いようですが、最近はヘチマを使う方も増えているようです。ウリ科の植物・ヘチマは、暑さや陽射しにも強く、比較的簡単に育てることができます。 ヘチマと言えばすぐに思いつくのが「ヘチマタワシ」ですが、実はタワシだけでなく、化粧水や石鹸、料理など幅広い用途に使えることをご存知でしょうか。ちなみに、食べる場合は7~9月頃に収穫できる30㎝よりも小さい実が美味しくておすすめ。大きく成長したものは、タワシや化粧水などに使います。 ヘチマタワシの作り方 ヘチマタワシには、全体的に黄色っぽくなり、繊維質がしっかりと発達したものが向いています。時期的に言えば、9月頃のものを使いましょう。 いくつかの作り方がありますが、最も簡単なのは、収穫したヘチマを茶色くなるまで放置するという方法です。次に、茶色く変色したへちまの皮を手で剥いて、種を取り出して中身をよく洗います。その後、ヘチマを水に漬けて数日間置き、実を腐敗させて繊維だけでにして乾燥させます。 火を使わないので子どもにも作りやすいのですが、水に漬ける間に腐敗臭が漂う場合があります。この臭いが苦手な方は、ヘチマを煮てから作る方法もあります。私も作ったことがありますが、おうち時間の楽しみ方としても、子どもの夏の自由研究としてもおすすめです。 ヘチマを食べてみよう! 沖縄ではヘチマのことを「ナーベラー」と呼び、煮物や炒めもの、スープなどに入れて食べる習慣があります。また、ヘチマは薬膳料理でも古くから食用として親しまれてきました。熟す前の柔らかいヘチマは、水分が多くて淡泊な味わいなので、どんな料理にも合わせやすく食べやすのが特徴です。ただし、生食はできませんので注意してくださいね。 ヘチマを初めて食べるという方には「スープ」がおすすめです。しっかりと加熱すると、トロトロの食感が楽しめます。豆腐や卵などと組み合わせれば、ボリューム感のある一品になります。 少し慣れてきたら、次は味噌煮を作ってみましょう。しっかりと濃い味付けもよく合います。沖縄では、ヘチマをスパムや豆腐などと炒めて味噌で味付けをした定番料理があります。 いろんな用途に使えるへチマは、エコライフを実践したい方にもぴったりの素材です。機会があればぜひお試しくださいね。
食べても使っても。エコライフにもおすすめの「ヘチマ」の使い方とは。
2020.08.10

すいかの皮を捨てないで!漬物やスープなどの美味しい活用法

すいかの皮は、食べられる! 夏を代表する果物のひとつ「すいか」。今年もすいかが美味しく感じられる季節がやって来ました!甘くて水分をたっぷりと含んだ果肉が人気を集めていますが、実は、その皮も食べられることをご存知でしょうか。 普段捨ててしまう部分を使うことでゴミの量も減りますし、夏の身体に嬉しい栄養価もギュッと詰まっています。もちろん美味しいので、本当にいいことづくめ!では、すいかの皮の栄養と食べ方をご紹介していきますね。 皮に含まれる栄養とは? まず、すいかの皮に含まれる栄養についてですが「シトルリン」という成分が豊富に含まれています。この成分はアミノ酸の一種で「血流の改善」「ホルモンバランスの調整」などに効果が期待されると言われています。すいかの果肉にも含まれていますが、皮に含まれる量はその約2倍もあるのだとか。また漢方ではすいかの皮は「西瓜翠衣(せいかすいい)」と呼ばれ、漢方薬の原料や中国料理などにも古くから使われてきました。 すいかの皮を使った簡単料理 次に使い方について、見ていきましょう。一番手軽な食べ方は「漬物」です。果肉を食べ終えた後の皮の部分を刻み、塩を振って少し待てば出来上がり。もちろん、浅漬けやピクルス、キムチなどに使うのもよく合います。緑色の硬い部分だけを薄く切って、白い部分を中心に召し上がってくださいね。 また、漬物のような生食だけでなく、加熱した料理に使うのもおすすめです。夏の薬膳料理でよく作られるのは「豚スペアリブとすいかの皮のスープ」。豚肉とすいかの皮を煮込んで、塩味などでシンプルに味付けをします。薬膳の考え方では、豚肉とすいかの皮のどちらにも「身体を潤す」効果が期待されています。つまり、たくさんの汗をかいて身体が乾きやすい夏にもぴったりの料理ということですね。 この他、炒めものや麺類の具材に加えても美味しくいただけます。ちなみに、赤い果肉の部分を多めに残すようにすると、甘さが強くなります。お好みにもよりますが、甘さがあるとお子さんにも食べやすいのでおすすめです。今年の夏は、ぜひすいかを丸ごと美味しく食べてみませんか。
すいかの皮を捨てないで!漬物やスープなどの美味しい活用法
2020.07.13

ヤフーが飲食店のテイクアウト事前注文サービスを提供!どんなサービス?

2019年10月から消費税増税に伴った軽減税率がスタートしました。店内であれば消費税が10%でテイクアウトであれば8%になるということで、テイクアウトの需要が高くなったように感じます。 そういった流れに合わせてここ数年で、テイクアウトを事前に注文できるサービスやアプリがいくつか出てきており、満を持してこのタイミングでヤフーでも同様のサービスがリリースされました。それがこの「Yahoo!ロコ モバイルオーダー」になります。 ヤフーが提供している「Yahoo! MAP」で周辺の「Yahoo!ロコ モバイルオーダー」対応店舗を検索できるほかにも、オンライン決済サービスの「Yahoo!ウォレット」によりキャッシュレス決済にも対応しています。このサービスを使って提供予定時刻にお店に行けば待ったり、行列に並ぶ必要もなくスムーズに商品を受け取ることができる仕組みとなっています。 現在は都内を中心とした『いきなり!ステーキ』『串カツ田中』『ぼてぢゅう』の一部店舗で利用することができますが、これからどんどん全国に広がっていくでしょう。 初期費用・月額利用料ともに0円でサービスを始めることができますし、商品の提供効率の促進、店頭での現金のやりとりが不要となるためのコストの削減も見込めるので飲食店側にもさまざまなメリットが期待できます。ヤフーは「Yahoo!ロコ モバイルオーダー」をはじめとする、各種サービスへの店舗情報の掲載によって新規顧客獲得への貢献も目指すと明言しています。 2019年10月に始まった軽減税率制度で、テイクアウトを利用するお客様は今後ますます増えていくでしょう。今回紹介したヤフーの「Yahoo!ロコ モバイルオーダー」以外にも事前注文サービスは続々と登場しています。テイクアウトを行っている飲食店関係者の方は、こういった事前注文サービスのそれぞれの特徴をしっかりと比較した上で、お店に合うサービスの導入を検討してみてるのもいいかもしれませんね。
ヤフーが飲食店のテイクアウト事前注文サービスを提供!どんなサービス?
2020.06.17

余った野菜が美味しく変身!「ベジブロス」とは

にんじんのヘタや玉ねぎの皮など、通常料理に使わない野菜の切れ端などはどうしていますか?おそらく「捨てている」という方も多いと思います。こうした野菜の切れ端には、昨今注目されている成分「フィトケミカル」などを含め、実は栄養が豊富に詰まっています。つまり、捨ててしまうのはもったいない!そこで今回は、こうした余った野菜を使った絶品スープストック「ベジブロス」についてご紹介します。 ベジブロスとは、野菜の切れ端を使ったスープのこと。旨味がたっぷり感じられるので、市販のスープの素などに頼らなくても、とても美味しいスープを作ることができます。またアンチエイジングなどにも効果が期待されている「フィトケミカル」は加熱することで体内に吸収されやすくなるため、ベジブロスにして食べるという方法はとても理にかなっています。 ではまず材料についてご紹介しますね。ベジブロスに使うことのできるのは、野菜のヘタや芯、皮、種など。できれば、オーガニックや無農薬のものがおすすめです。もし農薬が気になる場合には、流水でよく洗うか水にさらすなどして、農薬を洗い流すようにしてください。 基本的にはどんな野菜でも使うことができますが、ゴーヤーなどのアクの強い野菜は避けたほうが無難です。セロリの葉や玉ねぎの皮など香りのよい食材を使うと、風味豊かなベジブロスになるのでおすすめ!2~3種類から作れますが、できればたくさんの種類を入れたほうが美味しくなります。 野菜を切り落とすたびにタッパーなどに入れて冷蔵庫で保管し、ある程度たまったらベジブロスを作ってみましょう。野菜の切れ端を鍋に入れて、かぶるくらいの水と少量の酒を加熱していきます。沸騰したら弱火にして、じっくりと煮出します。その後、ザルなどで野菜を濾せば完成!密閉容器に入れて、冷蔵庫で3日程度保存できます。出来上がったベジブロスは、昆布やかつおの出汁などと同じように、スープや味噌汁、煮込み料理などのベースに使ってくださいね。もしじっくり煮出す時間がないという場合には、圧力鍋を使うと短い時間で作ることができます。 普段捨てていた野菜の切れ端を使って、美味しくて身体にも優しいスープストックが作れるのは、家計にもやさしく、とても嬉しいですね!ぜひお試しください。
余った野菜が美味しく変身!「ベジブロス」とは
2020.05.18

食品ロスを削減するWEBサービス(後編)

前回に引き続き、食品ロス低減に向けた取り組みと新しいWEBサービスを紹介します。 前編はこちらです⇒食品ロスを削減するWEBサービス(前編) 農林水産省と環境省による平成29年度(2017年度)の推計によると、年間2550万トンの食品廃棄物等が出されています。このうち、“まだ食べられるのに廃棄される食品”=「食品ロス」は約612万トン(事業系328万トン・家庭系284万トン)。これは、国民一人あたりにすると、1日約132 g(ごはん茶碗1杯分)、年間で約48 kgとなります。推計を開始した平成24年度以降では最少となり、取り組みの効果が出始めているといえるかもしれません。 一方で、食料自給率(カロリーベース)が37 %しかないわが国の現状をみると、さらなる削減の取り組みや事業者と消費者双方の意識を高めるためのコミュニケーションが大事になるでしょう。海外にも広く紹介された「もったいない」という日本の言葉を思い出しながら、必要な分だけを買う、使い切るための工夫をしていきたいですね。新型コロナウイルス対策と同様に、食品ロス低減もみんなで取り組むことで進んでいきます。 恵方巻などの季節・行事食ついては、コンビニ・スーパーなどが予約制を採用しながら、当日の店頭販売数を抑えることで廃棄される量も減って改善が進みつつあります。また加工食品では、賞味期限の延長の検討や賞味期限の「年月日」表示から「年月」表示への変更(3カ月以上のもの)に加え、小売店への納入期限ルール変更などが行われています。さらに、賞味・消費期限まで“安全においしく”食べられるようにする観点から、食品添加物の適切な利用も有効な選択肢の一つです。 ●フードシェアリングサービス「TABETE」 【株式会社コークッキング】 https://www.cocooking.co.jp/ 予約客のキャンセルや悪天候による来客数の減少などの理由により、廃棄される恐れのある商品を抱える飲食店等と消費者をつなぎ、フードロス削減を目指すフードシェアリングのマッチングサービス。 ●「Otameshi」 【株式会社SynaBiz】 https://otame4.jp/ 品質には問題はないが通常の流通が難しく時間の経過と共に処分されてしまう、従来廃棄されていた商品を消費者がお得に購入でき、かつ購入者が選んだ社会貢献活動団体に売上の一部を寄付できる社会貢献型ECショッピングサイト。 ●「ロスゼロ」 【株式会社ビューティフルスマイル】 https://www.losszero.jp/ 食品メーカーの規格外品・1/3ルールにより販路不足となる食品を買い取り、一般消費者や法人(定期購入含む)に、作り手のストーリーとともに届けるWEBプラットフォームを運営。またオフラインでは、規格外食材を当該地域で消費できる食事会を開催する。 ●「No Food Loss」 【みなとく株式会社】 https://www.nofoodloss.com/ 小売店において販売期限や季節限定パッケージなどの理由からまだ食べられるのにやむなく捨てられてしまう商品がクーポン形式にて発行されお得なお買い物が楽しめるアプリ。 ●割引・特売・詰め放題ショッピングサービス「Render」 【Render株式会社】 https://www.render.co.jp/ 食品の生産・製造・販売に関わる傷モノや規格落ち品、B品、訳あり品などを、販売時設定した連打ゲームにトライすることで「楽しく、おトク」を感じられる販売方法により今までにない新しい買い物の仕方を提供するwebショッピング。 これからもどんどん新しいサービスが始まると思います。 皆さんも手軽に始めれるWEBサービスを利用して食品ロス問題の解決にご協力ください!
食品ロスを削減するWEBサービス(後編)
2020.05.15

食品ロスを削減するWEBサービス(前編)

食品ロスという言葉は、食品業界に携わる人だけでなく、一般にも浸透してきています。恵方巻などの行事食の売れ残りが廃棄される様子がSNSで拡散されたり報道されたりしたことで関心が高まりました。そこで本稿では、食品ロスの現状と削減に向けた新しい取り組みとして、WEBサービスを2回にわたって紹介します。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で学校給食や外食店、宿泊施設が休業したことにより、牛乳や野菜を中心とした素材や商品が大量に行き場を失いました。ネット販売や地域ごとの取り組みなどの素早い対応で一部が消費者の手に届きましたが、残りは流通ルートがすぐに確保できずに廃棄せざるを得ない状況になっています。これからは行政と事業者などがアイデアを出しながら、緊急事態の状況下でも食品の流通が柔軟に対応できるようになると食品ロスがより一層減らせるようになるでしょう。 このような中で、農林水産省は「新型コロナウイルス感染症の影響で発生する未利用食品の活用促進について~新たな販路の確保やフードバンクへの寄附の推進~」として食品ロスの発生防止につなげるためのビジネスを紹介しています。スマホのアプリを使って楽しみながら食品ロス削減に貢献するといったアイデアもあり、多くの人がお得に参加できそうです。本サイト「シェアシマ」もB to Bのソリューションとして掲載されています。 ●食品原料WEBマッチングサービス「シェアシマ」 【ICS-net株式会社】https://shareshima.com/ 食品メーカー(工場)が調達する食品原料 分野において、webで商品情報が共有されることにより、今まで廃棄される選択肢しかなかった食品原料を新たに探しているユーザーとマッチングするビジネス。シェアシマは、食品ロス対策だけでなく、普段の食品開発に役立つ加工食品原材料の情報が掲載されています。買う側のユーザーは登録(無料)するだけで材料の検索が可能です。 ●食品ロス削減を目指すサービス 「ecobuy」 【株式会社NTTドコモ】 消費/賞味期限が間近となった対象商品を購入した消費者にポイントを付与し、購入商品の期限間近になると通知やレシピ提案を行う社会貢献型アプリ。登録した小売店で対象商品を購入することでポイントを得ることができる。獲得ポイントは他社ポイントと交換可能。2020年夏頃サービス開始予定。 ●社会貢献型フードシェアリングプラットフォーム 「KURADASHI.jp」 【株式会社クラダシ】 https://www.kuradashi -mottainai.com/ 食品ロス削減への賛同メーカーより協賛価格で提供を受けた商品を消費者へ販売し、売上の一部を社会貢献団体へと寄付する社会貢献型フードシェアリングプラットフォーム。飲食店店舗においてのクラダシ商品の販売支援や長期在庫化した加工食品をクラダシが買い取りオンラインでの再流通、飲食店の空き予約をクラダシが仲介して集客の支援を行う。 ●「temite(テミテ)」 【Creation City Lab株式会社】 https://temite.net/busi ness/ 顧客体験の促進をゲームの様に展開できるプラットフォーム。小売店や食品メーカー等がアプリ掲載者となり、消費期限間近の商品購入や販売期間限定パッケージの購入等をタスクに設定し、アプリ利用者はそのタスクをクリアする事によりリワードを獲得することができる。 他にもまだまだ多くのサイトが開発され、サービスが開始されています。続きは後半の記事でお伝えします! 後編はこちらです⇒食品ロスを削減するWEBサービス(後編)
食品ロスを削減するWEBサービス(前編)
2020.04.29

みかんの皮を捨てないで。簡単な利用法をご紹介!

冬の代表的な果物と言えば、「みかん」ですよね!家族でこたつに入って、みかんを食べながら温かいお茶を飲んでほっこりする時間もいいものです。 では、みかんを食べた後の皮は皆さんどうしていますか?「捨てている」という方も多いと思いますが、実は中国では「陳皮(ちんぴ)」とも呼ばれる立派な生薬のひとつ。捨てるなんてもったいない!ということで、今回はみかんの皮の手軽な利用法をご紹介したいと思います。 まず一番簡単な利用法ですが、入浴剤の代わりに湯船に浮かべてみてはいかがでしょうか。柑橘類独特の爽やかな香りが、心身の疲れを癒してくれます。また、身体の巡りが良くなるので全身がぽかぽかと温まります! 続いて紹介するのは、みかんの皮を干して食べるという活用法です。出来るだけ、無農薬や有機栽培のものを使うのがおすすめです。まず中身を食べた後の皮を、カラカラになるまでしっかり乾かします。冬の寒い渇いた空気にあてておくと、数日~1週間位で完全に乾かすことができます。乾燥したものは、密閉できる容器や袋などに入れて保存しましょう。お菓子などについている「シリカゲル」といった乾燥材があれば、一緒に入れておくとベストです! 干したみかんの皮は、刻んだものを紅茶やルイボスティーなどの茶葉に加えて、ブレンドティーとして楽しむこともできます。煮込み料理やカレーなどに加えると、肉や魚の臭みを消し、爽やかな香りをプラスしてくれるのでおすすめです。実際に、カレー粉などの原材料として「陳皮」が使われていることも多くあります。また、日本のオリジナルスパイス「七味唐辛子」の香辛料として陳皮が使われることも多く、身近なところでも昔から食用として親しまれてきたようです。 中国でよく使われる生薬のひとつ「陳皮」には、「胃腸の働きを整える」「気の巡りを良くする」などの働きが期待されています。また、ビタミンCが含まれていることから、美肌や風邪予防にも昔からよく使われてきたのだとか、ちなみに中国では「古ければ古い方がいい」とも言われているので、まとめて陳皮を作ったら長期間保存してみるのもいいかもしれません。 みかんの皮を捨てるなんてもったいない!みかんを食べた後の皮は捨てずに、ぜひ利用してみてくださいね。
みかんの皮を捨てないで。簡単な利用法をご紹介!
2020.04.20

食の在り方を考える一冊「カレーライスを一からつくる」

安全・安心な食の在り方をめぐって、さまざまな動きが広がっています。今回紹介するおすすめの一冊「カレーライスを一からつくる」もそのひとつです。 タイトルにある通り、カレーライスを始めから作ってみるという本なのですが、「ルーを使わずにスパイスを調合してつくる」という内容ではありません!カレーライスに使う野菜や米、スパイスはもちろん、家畜を育てて肉までも手作りするという内容です。探検家である関野吉晴氏が、武蔵野美術大学で学生たちと一緒に行った食のゼミの様子を書籍にまとめたものです。書籍が好評であったことを受けて、映画化もされており、全国各地で自主上映会などが行われています。 本のなかで、関野先生はこの9ヵ月間のゼミの目的について「カレーライスを一から手作りすることによって、学生たちにいろいろな気付きをしてもらうこと」と語っています。実際に始めから作ることで見えてくるものや感じることがたくさんあり、それらが本のなかで鮮明に綴られています。 例えば、家畜を育てて肉にするという時に学生たちは「殺すか、殺さないか」という議論を真剣に行っている場面。もともとはカレーライスに使う肉として家畜を育てたはずが、飼育する間に愛情が芽生えてしまい「殺すのはかわいそうだ」という学生の声もありました。普段私たちは「生き物の命をいただいている」という実感をあまり持つことなく、動物性の食材を口にしていることも多いと思いますが、この本を読んでいると「いただきます」の本当の意味を考えさせられるシーンがいくつもあります。 ゼミでは「塩や皿までも手作り」しています。さすが探検家とも言うべき徹底的なこだわりですよね。でも「カレーライスをゼロから作る」ではなく「一からつくる」としているのには、関野先生の想いが表れているのだとか。それは「自然のものは本当の最初から、ゼロから作ることはできない」という、命や自然に対する尊敬の念でもあります。 私も本を読みましたが、「カレーライスを一から作る」という一見シンプルな話のなかにさまざまなドラマがあり、命をいただくことについて深く考えるきっかけになりました!子どもにも分かりやすいストーリーなので、親子で一緒に読んでみるのもおすすめです。
食の在り方を考える一冊「カレーライスを一からつくる」
2020.04.13

半日で完成!身近な発酵食「ぬか漬け」を始めよう

発酵食と言うと、「時間がかかる」「技術が必要」というイメージを持っている人も多いですよね。どれだけ身体に良いものであっても、心身への負担の大きいものは長続きしません。そのなかでも、ぬか漬けは最短だと半日程度で完成することから、最も簡単な発酵食品のひとつです。発酵食を手軽に生活に取り入れたいという方に、とてもおすすめ。そこで今回は、ぬか漬けの始め方を紹介します! ではさっそく、ぬか漬けを作るための準備を始めましょう。まず必要な材料は、ぬか、水、塩。密閉容器にぬかと塩を入れて、少しずつ水を足しよく混ぜて練っていきます。味噌や耳たぶくらいの固さになればOKです。野菜からも水分が出るので、少し固めに用意しておきましょう。塩は味の決め手になるので、ぜひ美味しいものを利用してくださいね。ぬかは、スーパーなどで売られている炒りぬかでも作れますが、生ぬかを使うのがおすすめです。お米屋さんなどで分けてもらえます。 ここに、旨味を出す材料として、昆布や鰹節、干し椎茸などをお好みで加えます。防腐効果を高めるために、唐辛子や辛子パウダーなどを加えることもあります。 続いて「捨て漬け」をしましょう。これは、ぬかを発酵させるためのプロセスです。食べるわけではないので、にんじんのヘタの部分やキャベツの芯など、料理に使った後の野菜で大丈夫です。野菜の水分が抜けてシナシナになったら交換し、これを3回くらい繰り返します。これで、ぬか床の準備が完了です。 いよいよ、本漬けです。大根やナス、にんじんなどお好みの野菜を容器に入る大きさに切り、適量の塩をまぶしてから、ぬか床に入れます。出来上がりはお好みですが、気温や塩の量によって味の深まり方が異なってきます。ナスなど味が染みやすいものなら、半日程度で美味しく食べられます。火を使わずに、放っておくだけで一品が出来上がるので、忙しい時はとても助かりますよね! 野菜をぬか床に漬けることによって旨味が増し、便秘解消や美肌効果も期待できるとされています。旬の野菜をいろいろ漬けて、お気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。
半日で完成!身近な発酵食「ぬか漬け」を始めよう
2020.04.01

旬の果物「柿」を丸ごと利用する方法とは?

秋から冬にかけて旬を迎える人気の果物「柿」。熟れた果実を生のまま食べるのも美味しいですが、葉もヘタも余すところなく利用できるのをご存知でしょうか。今回は、先人の知恵の宝庫とも言うべき、柿の利用法をご紹介したいと思います! まずは、柿の葉を利用して「柿の葉茶」を作ってみましょう。7~8月頃の緑色の葉を使います。渋柿でも甘柿でもどちらでも利用できます。葉を摘んだ後、数時間天日で干してから切り刻みます。その後、せいろなどに入れて10分ほど蒸し、カラカラになるまで陰干しすれば出来上がり!熱湯を注いで数分待つだけで美味しくいただけます。柿の葉にはビタミンCが豊富に含まれ、風邪予防などに昔からよく飲まれてきました。やさしい甘味があって飲みやすいですし、ノンカフェインなので子どもや妊娠・授乳中の方にもおすすめです。 また柿の葉には殺菌効果があるとされ、「柿の葉寿司」などにもよく使われています。酢飯の上にサーモンやしめさばなど具材を乗せて、柿の葉で巻いたお寿司は素朴でありながらも滋味あふれる一品ですよね!現在のような保存技術がなかった時代ならではの、自然の恵みを活用した食の知恵と言えそうです。 次に、柿のヘタの利用法についてご紹介しましょう。「ヘタは捨てている」という方が大半だと思いますが、生薬名では「シテイ」と呼ばれ、漢方薬にも使われているんです!成熟したヘタを乾燥させたものをスパイスや生姜などと煮詰めた「シテイ湯」という飲み物は、1000年以上前の書物にも登場しています。そもそもしゃっくりは胃のけいれんによるもので、冷えや熱がこもっていることが原因とされていますが、その不調を緩和する効果があるようですね。 生で食べるのには適さない「渋柿」もいろいろな用途に使うことができます。有名なところでは「干し柿」がありますね。冬に柿の木が多い里山などに行くと、軒先に干し柿を吊るしている風景をよく見かけます。干すことによって渋さが抜けて、甘さだけが残るので、とても美味しくいただけます。そのまま食べるのはもちろん、神社などのお供え物や、砂糖の代わりの甘味付けとしても使うことができます。 完熟した柿がたくさんある場合には、「柿酢」を作ってみるのもおすすめです!保存瓶などに、完熟柿を手でつぶして入れておくだけで作れます。小さな泡が出てきて発酵が進むのですが、アルコール発酵を経て、酢に変わっていく様子は眺めているだけでもとても面白いです。昔は、各家庭でよく作られていたそうです。 無駄なく余すところなく食べられる柿には、自然の恵みを楽しむ先人の知恵が詰まっています。柿の葉やヘタ、渋柿などが手に入ったら、ぜひお試しくださいね。
旬の果物「柿」を丸ごと利用する方法とは?
2020.03.09

食品ロスと貧困を改善するフードバンクとは?

日本では本来食べられるのに包装の破損や過剰製造、印字ミスなどの理由によって流通することができずに廃棄される食品が年間で約643万トンもあります。日本全体での食品廃棄は1,561万トンなので、3割以上も占めています。このような現状があるにもかかわらず、現在日本では貧困生活で困っている17歳以下の子供が全国で約280万人もおり、子供のうち7人に1人が貧困生活を強いられています。 そんな食品ロスと貧困問題を改善するべく行われているフードバンク活動というのをご存知でしょうか。 フードバンク活動というのは、まだ安全に食べることが可能であるにも関わらず、廃棄してしまう食品などを企業や個人から無償で寄贈を受けて、生活に困っている人や福祉系の団体に無償で提供する活動です。 元々は海外で始まったこの活動も日本で2006年頃から始められ、日本全国に約70近い団体が活動するまでになりました。このフードバンク活動は食品ロスを軽減するだけでなく、生活困窮者への支援も兼ねているので、一石二鳥の社会貢献となります。 フードバンク活動の流れ (1)まず安全に食べられるのに処分されてしまう食料を企業や個人から買い取ります。種類は様々で、乾麺やレトルト食品、飲料水など、常温で保存がきく食料がメインとなっています。 (2)寄贈を受けた食品を当然無駄にしないため、賞味期限別に分類して、安全に生活困窮者の方々に提供をしています。 フードバンク活動によって、現在食品の取扱量は判明しているだけでも約3,800トン以上も食品ロスの削減することができています。 しかし、日本ではまだ認知度が低く、利用者や寄付者のつながりが浅い状態であり、組織の運営基盤が確立できていないのが現状です。 まだまだ改善できる食品ロスとフードバンク活動ですが、皆さんの周りにも、寄贈を募っているフードバンク活動団体かいるかもしれません。もし在庫を抱えていて、そのまま廃棄してしまうような食品がある場合には、手軽な社会貢献として寄贈して食品ロス削減を目指してみませんか。また、こういったフードバンク活動と並行してそれぞれが食べ残し、作りすぎなどを改善して、食品ロス削減に取り組んでみてはいかがでしょうか。
食品ロスと貧困を改善するフードバンクとは?
2020.03.04

フードロス削減にアプリを利用!広がるフードシェア

全世界で生産された全食料の1/3が捨てられているフードロス問題。食料を捨てるということは単に食べ物をムダにするということだけではなく、生産や輸送に使ったエネルギーまでムダにしてしまうということなのです。特に先進国では、食べ残しや売れ残り商品の廃棄が、フードロスの大きな原因になっています。そんな世界で、いま、注目されているのが、売れ残ったり、使わなかった食材を販売できるフードシェアという仕組み。そして売り手と消費者をマッチングするアイテムとして使われるスウェーデン発の「Karma(カルマ)」というアプリです。今日はどんなアプリの仕組みなのか、メリットも含めてご紹介したいと思います。 まず登録しているスーパーマーケットやレストラン、カフェ、ホテルが、売れ残った商品をアプリ上にアップします。そしてお客様はアプリ上に表示された商品の中から自分がほしいものを選び、オンラインで決済。最後は、お店に商品を取りに行くという仕組みです。このアプリをフードロス解決に利用することで、多くのメリットが生まれます。 お店側のメリットとしては大きく二つあります。ひとつは廃棄するだけの食材を販売に結びつけることで、損失を抑えることができること。そして、二つ目は、自分のお店の宣伝にも繋がるということです。利用者の声で「美味しいお店を見つけられる」という評判もあり、新しい顧客開拓にもつながっているようです。ここが単純な安売り戦略と違うポイントです。 お客様の側のメリットとしては、もちろん安くて美味しい食べ物を買うことができるということですが、それにプラスして、アプリを使うことでスマートにお買い物ができるということです。例えば、半額シールが貼られる時間帯を狙ってお店に行くというようなことをしなくていいわけです。まさに、クールなシェアリングエコノミーだということです。 このようなフードシェアサービスは、今後、日本でも普及してくると思います。実際、生産者と消費者を結びつけるサービスや、業者間で余剰食材を融通するサービスが実際にはじまっています。お店にも、消費者にも、環境にもやさしい、このようなフードシェアサービスですが、使ってもらわなければ意味がありません。お店側としては廃棄するよりも低コストで販売できる必要があるし、また消費者にとっても安くて美味しい食べ物が簡単に買えるというメリットがないと受け入れてもらえません。ここでアプリを使うという発想は、フードシェアを大きく広げる強いチカラになって行くと思います。 Karmaの紹介動画はこちらからご覧ください↓ https://www.youtube.com/watch?v=ehC8t6w52Kg&feature=youtu.be
フードロス削減にアプリを利用!広がるフードシェア
2020.02.19

都会の真ん中でニワトリ飼育!フードロス解決と食材調達の一石二鳥!

今、フードロスを減らすためにあらゆる取り組みが世界中で実施されています。野菜クズなどをペットの餌として食べさせるということも意外な対策のひとつ。そんな中、フランスではフードロスと食材調達の一石二鳥を狙える動物を飼う人が増えているそうです。その動物は、なんとニワトリなんです。 近年、アメリカやヨーロッパでは、狭いゲージに入れてニワトリを飼うバタリーケージから、自由に地面で動き回れる平飼い飼育化がすすめられています。フランスでは2022年に店頭に並ぶ卵をすべて平飼いで育てたものにするとマクロン大統領が発表してもいます。日本でも高い焼き鳥屋さんなどでお肉の説明書きに「平飼い」という言葉を見ることが増えていますし、オーガニックの卵や鶏肉などで平飼いのものを求める人も増えています。少し値段が高いのですが、美味しくて健康にいいものと考えると手を出してしまいますね。 実際に自宅でニワトリを飼うと、2つのメリットが得られます。 まずひとつ目は、産みたての新鮮な卵が食べられること。スーパーのPOPで産みたて新鮮!と書かれていても、出荷され、搬送され、売り場まで運ばれてくるまでに時間がかかっています。鮮度では、目の前で産まれて、自分で収穫した卵にはかないません。 もうひとつのメリットが、野菜クズや残飯などを餌にできること。普通に暮らしていればゴミになるようなものも、ニワトリがいればリサイクルできるのです。しかもその餌で育てたニワトリが卵を産む。まさに一石二鳥のフードロス対策だと思いませんか。 ただニワトリを飼うには、ある程度、設備や環境の整備が必要です。まずニワトリが動き回れる地面があること。逃げないようにしたり、ノラ猫などの襲撃から守れたりできる囲いがあること。止まり木や卵を産む小屋なども必要になります。またニワトリの糞やし尿などの処理、衛生環境をよくするために小まめな掃除や世話も必要になります。また鳴き声が聞こえて周りの家から騒音問題として取り上げられないようにする配慮も必要です。 昔の日本でも地方ではニワトリを飼う家が多かったと聞きます。あるお年寄りは、庭を歩いていたニワトリが晩御飯のすき焼きになっていたという冗談を懐かしく語っておられました。今、フランスで広がりつつあるニワトリを飼うということも、温故知新、現代の私たちが忘れてしまった先人たちの知恵のひとつでしょう。フードロスの削減と聞くと、節約や新しいテクノロジーに目がいきがちですが、少し昔の暮らしに大きなヒントが隠されているのかもしれません。そんなフードロスを減らす昔の知恵を、あなたも探してみてはいかがでしょうか。
都会の真ん中でニワトリ飼育!フードロス解決と食材調達の一石二鳥!

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NEW 2022.11.24

知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?

地球の人口増加や環境問題により、食肉などのタンパク質が不足するのが「タンパク質危機」です。私たちの食卓に影響するかもしれない世界規模での課題であるにもかかわらず、一般にはそれほど広く認知されていません。こちらの記事では、タンパク質危機とはどのような問題かを解説すると共に、タンパク質危機を避けるための4つの選択肢について説明します。タンパク質危機という問題が生じている理由から取りうる対応策までを紹介し、プラントベースフードなどがにわかに注目を浴びている背景をお伝えしていきます。 タンパク質危機(タンパク質クライシス)とは タンパク質危機は、世界人口の急速な増加に由来する問題です。まずはその背景的な事情からみていきましょう。 少子化真っ只中の日本。でも世界の人口は? 日本では、出生率の低下に伴い若年層の人口が減少する「少子化」が急速に進んでいます。そのためあまり実感がわきませんが、一方で世界の人口は増え続けている状況です。国連の調査によれば、世界の人口は現在約80億人であるところ、2030年には約85億人、2050年には約98億人、2100年には約112億人になると推定されています。 2030年までにタンパク源が足りなくなる恐れ 世界規模での人口増加に伴って、近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足すると予測されています。この予測は「タンパク質危機」と呼ばれていて、欧米諸国を中心に話題になっています。現状のままだと早ければ2025年から2030年ごろまでに需要と供給のバランスが崩れ始めると言われています。 人間の身体を構成するのは、水分が約60%、タンパク質が約15~20%とされています。つまり、タンパク質は水分を除いて体の重量の約半分を構成する、生きていく上で大切な栄養素です。欧米では「プロテインチャレンジ2040」と題したコンソーシアムが立ち上がり、その中から複数のプロジェクトが始動しています。タンパク質危機をどう乗り越えていくのかは、人類が生きていく上で極めて重要な課題です。 タンパク質危機を避けるための4つの選択肢 タンパク質危機を回避するために、世界中でさまざまな検討が行われています。ここでは、その中から代替肉と培養肉、昆虫食、藻類という4つの選択肢について解説します。 代替肉 代替肉とは、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「肉のような食材」のことです。欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされていて、別名「プラントベースミート」と呼ばれることもあります。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも大豆ミートを使ったメニューが登場し、話題になっています。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場するなど、さまざまな研究・開発が進められています。 培養肉 培養肉は、牛などの動物から取った少量の細胞を、再生医療の技術により体外で増やして作られます。プラントベースの代替肉とは異なり「本物の肉を使った代用品」です。従来の食肉の生産方法と比べて、飼育・繁殖する過程における動物へのストレスや環境への負荷が少ないとされています。こうした特徴から、別名「クリーンミート」と呼ばれることもあります。 培養肉は、2013年にオランダの研究者が培養ミンチ肉を作ったのがその始まりです。日本でも培養肉の研究が進められていて、2019年には世界で初めてサイコロステーキ状の培養肉を作ることに成功しました。大きな肉を作るための技術の開発など乗り越えなくてはならないハードルが多いものの、持続可能な食材という意味で期待が寄せられています。 昆虫食 昆虫食とは、コオロギなどの昆虫を原料にした食品のことです。大豆ミートなどのプラントベースフードは植物性のタンパク質しか得られないのに対して、昆虫食の場合、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができます、また、昆虫食は飼育・加工に必要なスペースや資源が最小限で済み、環境負荷が低いというメリットもあります。 日本にも貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫食には食品の安全性や見た目への抵抗感といった課題があるものの、環境負荷の少ないサステナブルな食材として注目を集めています。 藻類 細胞分裂をして増殖する藻類はタンパク質含有量が50~75%であり、新たなタンパク質源としての可能性を持っています。藻類は良質なタンパク質だけでなく、炭水化物や脂質、ビタミン、ミネラルなども豊富に含まれています。現在市場に流通しているのはタンパク質が豊富に含まれるクロレラやスピルリナで、藻類をそのまま乾燥させて粉末状にしたものが主流です。 藻類は栄養価が豊富であるものの、藻類を乾燥した粉末は独特の匂いがあることや、藻類バイオマスの生産コストが肉や大豆に比べて価格が高いことなどから、タンパク質源としてはこれまで積極的に利用されていませんでした。しかし、近い将来に訪れるとされるタンパク質危機を前に、藻類の利活用が見直され始めています。 まとめ 世界の人口増加に伴って、近い将来訪れると言われているタンパク質危機。この記事では、タンパク質危機を回避するために私たちが取りうる選択肢として、代替肉、培養肉、昆虫食、藻類の4つを紹介しました。食品としての安全性や抵抗感、生産コストなど、それぞれに乗り越えるべき障壁はありますが、タンパク質危機を避けるために、世界中でさまざまな研究・開発が行われています。これまでの常識にとらわれない、新しい食の選択肢が求められていると言えそうです。
知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?
NEW 2022.11.22

昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?

コオロギなどの昆虫を原料にした食品「昆虫食」。日本にも、貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、多くの人にとってはなじみの薄いものでしょう。しかし今、環境負荷の少ないサステナブルな食料として、世界が昆虫食に注目しています。 一体なぜ、これほどまで昆虫食が話題になるのか。この記事では、昆虫食が期待される背景を解説した上で、栄養価の高さなど注目の理由を解説します。他方で、「本当に安全性に問題はないの?」「昆虫を食べるリスクは」といった疑問や不安の声にもお答えします。 昆虫食が注目を集める背景 無印良品で話題となった「コオロギせんべい」をはじめ、日本では勢いのあるベンチャー企業が、昆虫食ビジネスを盛り上げています。そうした流れに至るまでに、どのような背景があったのでしょう。 増える世界人口、ひっ迫するタンパク源 日本は少子化に直面していますが、世界全体では人口は増加し続けています。このまま行けば、2050年に世界人口は100億人に達すると言われています。 近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足する恐れがあると言われています。「タンパク質危機(タンパク質クライシス)」を避けるために、大豆ミートをはじめとしたプラントベースフードの開発が進みました。しかし、植物由来の食べ物からは、植物性のタンパク質しか得られません。そこで、注目されたのが「昆虫食」。なぜなら昆虫は、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができるからです。 転機の国連食糧農業機関(FAO)報告 2013年、国際連合食糧農業機関(FAO)が「ある報告書」を発表しました。それは、世界の食糧危機への対策として昆虫食を推奨するというもの。この報告書を契機とし、世界各地で昆虫食の研究・開発が加速しました。昆虫を食べる習慣のなかった欧州でも、2018年、欧州連合(EU)が昆虫を新規の食品として域内で販売することを認めました。 昆虫食を選ぶメリット さぁここから、他にはない昆虫食のメリットを深掘りしていきます。 非常に優れた環境負荷の低さ 狭いスペースで飼育・加工ができる 昆虫は牛や豚、鶏などの家畜よりも狭い場所で飼育できます。コオロギ1キロを生産するのに必要な農地は、鶏肉や豚肉の約3分の1、牛肉なら約13分の1しか必要としません。また、出荷用にパウダーなどに加工する場合でも、小規模な施設で行えます。飼育・加工に場所を取らないということは、それだけ効率的に生産できるということです。 飼育に必要な資源が少ない 昆虫の生産は、家畜に比べて少量の水や飼料で可能です。牛肉を1キロ生産するためにはおよそ8キロのえさを必要とするのに対し、昆虫1キロの生産には約2キロのえさを使うだけで済みます。生産に必要な水についても同様で、コオロギの生産に必要な水は、牛肉の場合の約2500分の1で済んでしまいます。 温室効果ガスの排出量が少ない 牛1頭がげっぷなどで出すメタンガスは1日160リットル以上で、地球温暖化を促進していると言われています。しかし、昆虫の飼育に伴う温室効果ガスの排出量はその10分の1以下。昆虫食は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減にも効果があるというわけです。 丸ごと食べられて、食品ロスにも貢献 昆虫食は食品ロスの削減にも貢献します。牛1頭の可食部はおよそ4割ですが、昆虫はそのほとんどが食べられるので無駄がありません。また昆虫のえさには、残飯など本来なら捨てられてしまうものを利用できます。焼却コストのかかる生ごみの量が減り、一方で、貴重なタンパク質源になるというのですから、昆虫食の利点が際立ちます。 牛や豚に負けない栄養価の高さ それで終わらないのが、昆虫食のすごさです。ガやハチの幼虫の場合、体重の50%がタンパク質と言われています。牛や豚が1〜3%ですから、それに比べると非常に高い含有率です。昆虫は、良質なタンパク質だけでなく、食物繊維や、カルシウム、銅、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含む上に、脂肪分は少ないという健康に良い食品です。 昆虫食のデメリット 栄養価が高く、環境にも良い昆虫食。その一方で、なじみの薄い昆虫食に対するネガティブな考えも少なくありません。今度は、考えられる昆虫食のデメリットを見ていきましょう。 安全面でのリスクは? 専門家の助言なしに、自然採集した虫を食べるのは、危険を伴う行為です。なぜなら、野生の昆虫には、毒を持つものや、寄生虫や病原菌を媒介するものもいるからです。一方で、管理された環境下で生産されたものは、昆虫とはいえ、他の食材と同様に安全です。 安心を担保する「コオロギ生産ガイドライン」 消費者により安心してもらえる環境を整えようと、2022年8月、民間団体が「コオロギ生産ガイドライン」をまとめました。研究機関や企業などでつくる「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)」が、コオロギの生産過程の衛生管理を中心に行動指針を決めました。公的なルール整備がない中で、民間主導で一定のルールを示すことで信頼性を高め、昆虫食のさらなる普及につながることを期待しています。 アレルギーリスクについて 昆虫食は、食物アレルギーを持つ人には注意が必要です。昆虫には、エビやカニなど同様の甲殻類アレルギーの原因となる「トロポミオシン」という成分が含まれているからです。昆虫に限らずすべての食材に言えることですが、これまで口にしたことのない食材を食べる時には、これまでアレルギーの自覚症状がなかった人でも、慎重を期すようにしましょう。 見た目への抵抗感 多くの人にとって、昆虫を食べることに対して、心理的なハードルがあります。初めて口にするものに対して拒絶反応が出るのは、動物的な本能として当たり前のことです。もしかしたら、これが昆虫食にとっての最大の問題かもしれません。日本でも昆虫食品の開発は大変盛んで、さまざまな商品ラインナップがあります。まずは、昆虫の姿を連想しづらいパウダー入りの菓子やパンなどから試してみるのがいいかもしれません。 そして、「まずいものをわざわざ食べたくない」というのが、大半の人の率直な気持ちだと思います。実際のところ、昆虫の味は実に多種多様で、思いきって食べてみると、おいしく感じるものもたくさんあります。バッタはエビやカニに似た食感、タガメは洋ナシや青リンゴのようなフルーティな香りだとか。セミに至っては、幼虫だとナッツのようなクリーミーな風味で、成虫になるとエビのような風味が楽しめます。 昆虫食とは 1900種類の食べられる昆虫 世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫学者である三橋淳氏の書いた『虫を食べる人びと』(平凡社ライブラリー)によれば、世界ではハチやイナゴに加えて、カブトムシ、カミキリムシなども食べられているそうです。 世界の昆虫食  タイ 昆虫食が住民生活に浸透しているタイでは、スーパーマーケットの食材コーナーに昆虫のサナギや幼虫が並んでいたり、昆虫の佃煮を売る屋台を目にしたりすることも珍しくありません。特に人気があるのはコオロギで、盛んに養殖されています。最近では、コオロギのスナック菓子やコオロギパウダー、コオロギオイルなど、コオロギを原材料にしたさまざまな加工食品が登場しています。特にコオロギパウダーは輸出用としての需要が高く、国もその動きを後押ししています。 ケニア アフリカ東部のケニアで最もよく食べられている虫は、シロアリです。日本でシロアリと言えば、住宅の床下で暮らすアリ(職蟻)を意味することが多いですが、現地で食べられているのは別の種類のアリ(羽蟻)です。このシロアリを使った「クンビクンビ(kumbikumbi)」という伝統料理があり、栄養失調を改善する効果があると言われています。実際、シロアリには、良質な動物性たんぱく質や脂質のほか、カルシウム、鉄分、アミノ酸などが豊富に含まれています。ケニアのシロアリはインターネット通販などでも販売されています。 日本の昆虫食 長野県に根付く昆虫食文化 日本で昆虫食文化が盛んな地域といえば、長野県です。信州でよく食べられている昆虫といえば、ハチノコやイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼ばれているそうです。 ハチノコはスズメバチの幼虫やさなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。長野県はかつて養蚕が盛んで、カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫です。ザザムシは水生昆虫で、ヒゲナガカワトビケラなどの幼虫のことを指し、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷地域で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。イナゴやカイコは、稲作や養蚕を営む過程で副産物として発生するもので、昆虫食は、自然と共生する地域の暮らしに深く結びついていたのでしょう。 まとめ 昆虫食のメリットとデメリットを押さえてきましたが、環境負荷が低くて栄養価も高いという特徴を踏まえると、昆虫食がこれだけ話題になっていることもうなずけると思います。昆虫を食べるという行為に対して抵抗感はあるかもしれませんが、以前は「生で魚を食べるなんてありえない」と言っていた欧米人が、「Sushi(寿司)」を高級料理としてもてはやしているのを見ると、さほど大きな問題でないようにも思えます。先入観だけで昆虫食という選択肢を排除せず、機会があったらぜひともチャレンジしてみてください。
昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?
NEW 2022.11.17

代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説

世界中で「代替肉」のブームが到来しています。代替肉とは、その名前の示す通り、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「まるで肉のような食材」のことです。 では実際に、代替肉はどのような素材から作られ、どのように利用されているのでしょうか。この記事では、代替肉の定義を確認した上で、代替肉の原材料や原材料別の使用例について解説します。この記事を読むことで、代替肉の全体像を把握し、代替肉は具体的にどのようなものであるかを理解していただけます。 プラントベースミートと呼ばれることも 代替肉は、欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされています。代替肉は地球が抱える環境問題の解決や世界の人口増加に対する食料不足への対策、食の多様性への対応という側面においても大きな意味を持つと言われています。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場しました。いずれも「植物由来の肉」であることから、英語ではプラントベースミートと呼ばれています。 フェイクミート、オルタナティブミートとはどう違う? 代替肉はプラントベースミート以外に、フェイク(偽物の)ミートやオルタナティブ(代替の)ミートと訳されることもあります。呼び方はそれぞれ異なるものの、いずれも動物の肉に見た目や風味を似せた、植物性原料から作られた食材を意味しています。代替肉のどのような特徴を強調したいのかによって、フェイクミートやオルタナティブミート、プラントベースミートという言葉が使い分けされているようです。 大豆ミート:代替肉の定番でバリエーション豊富 大豆ミートとは 大豆ミートは、その名前の通り大豆で作られた代替肉のことです。ソイミートや大豆肉と呼ばれることもあります。大豆は別名「畑の肉」と呼ばれるほど栄養が豊富で、良質なタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルも多く含有しています。 大豆ミートは代替肉の定番であり商品の数も多く、最近はスーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かける機会も増えました。 大豆ミートは水やお湯などで戻してから利用する「乾燥タイプ」が主流ですが、すぐに使える「レトルトタイプ」や「冷凍タイプ」もあります。また、形状は主に「ミンチタイプ」「フィレタイプ」「ブロックタイプ」という3種類で、用途に応じて使い分けできます。 あの有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも 大豆ミートの需要の高まりを受けて、大豆ミートをメニューに導入する飲食店も増えています。大手ハンバーガーチェーン「モスバーガー」では「ソイパティシリーズ」と題して、大豆ミートを使ったハンバーガーのラインアップが登場しています。 また、大手コーヒーチェーン「スターバックス」はサマーシーズン第2弾として“Yori Dori Midori”をテーマにして、プラントベースという選択肢を提案。新しく加わったメニューのひとつ「スピナッチコーン&ソイパティ イングリッシュマフィン」では、肉の代わりに大豆を使ったソイパティを使用しています。 ひよこ豆の代替肉:味のクセが少なく使いやすい ひよこ豆とは ひよこ豆は大豆と同じくらいの大きさの丸い豆です。アジア西部が原産で、インドや欧米諸国、中近東などでは一般的によく流通しています。タンパク質が多く食物繊維が豊富で脂肪分が少ないことから、少し前から食肉に代わるヘルシーな食材として話題を集めています。 ひよこ豆は日本では馴染みの薄い豆ですが、味にクセが少ないため食べやすいのが特徴です。乾燥した状態の豆は水で戻して煮る必要がありますが、水煮されたレトルトタイプを使えば、手軽に利用できます。 使用例:カレーや揚げ物、おやつにも ひよこ豆の生産量はインドが世界一で、ベジタリアンの多いインドではカレーの具材に使われることも多く、日常的に食べられています。インドでは、ひよこ豆の外側の皮を取り除いて割った豆を「ダール」と呼び、カレーにもよく利用されています。また、ひよこ豆を粉末にした「ベサン粉」は、インド風天ぷら「パコラ」をはじめ、おやつや軽食にも用いられています。 この他にひよこ豆を使った料理としては、ひよこ豆のペースト「フムス」やひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」も有名です。 レンズ豆の代替肉:ひき肉代わりとして使える レンズ豆とは レンズ豆は、レンズのように平たい形状をしています。レンズ豆には緑色やオレンジ色、褐色などさまざまな色があり、3~6ミリ程度と非常に小さいことも特徴です。日本ではあまり知られていない豆ですが、欧州などでは日常的に利用されていて、特にヴィーガンやベジタリアンの人たちに親しまれています。 レンズ豆は「世界五大健康食品」の一つに数えられていて、ビタミンB群やタンパク質、鉄分、食物繊維を多く含有しています。特に、皮付きの茶色のレンズ豆には100グラム中に9.4ミリグラムの鉄分が含まれていて、これは大豆の含有量よりも多いと言われています。 使用例:カレーや煮込み料理、サラダに レンズ豆はインドやネパールではカレーの具材として、イタリアやフランスなどの国では煮込み料理やサラダなどによく使われています。代替肉としての使い方として、レンズ豆は粒が小さいので、ひき肉のような感覚で利用することができます。例えば、ハンバーグを作る際にレンズ豆で代用する方法があります。 レンズ豆には特有の匂いがあるので、気になる場合は、スパイスを加えたり濃い味付けをしたりするのがおすすめです。レンズ豆は水を吸収しやすいため、あらかじめ水で戻す必要がなく、料理にそのまま使うことができるのも魅力です。 エノキート:キノコの旨味でおいしさ追求 エノキートとは エノキートとは、エノキタケとミートを組み合わせた名前です。エノキートはエノキタケを主原料として作られた代替肉で、農業法人である株式会社小池えのき(以下、小池えのき)によって開発されました。小池えのきの本社がある長野県中野市は、日本最大のきのこの生産地として知られ、エノキタケの生産量は全国の約4割を占めます。地元の食材を使った、新しいタイプの代替肉として注目を集めています。 エノキートには、発芽大豆から作られた大豆ミート「ミラクルミート(DAIZ)」を使用しています。ミラクルミートには、大豆独特のくさみがほとんどありません。ミラクルミートにはうまみ成分「グルタミン酸」が含まれていて、エノキタケのグアニル酸を組み合わせることでうまみが格段にアップし、動物の肉に劣らない独特のうまみが実現できます。 使用例:ハンバーグ エノキートを使った代表的な料理は、ハンバーグです。原材料は、エノキタケとタマネギ、大豆ミート、パン粉、調味料。原材料の半分以上が、エノキタケとタマネギです。5ミリ程度のみじん切りにしたエノキタケを使用することで、肉によく似た食感が生まれます。エノキタケは加熱すると独特のぬめりが出るため、つなぎの代わりになるという点からハンバーグに使うのに適しています。 エノキートのハンバーグは合いびき肉を使った通常のものに比べて、脂質やカロリーが少なく食物繊維が多いとされています。大豆ミートを使用しているため、タンパク質の量は通常のハンバーグとほとんど変わりません。ヘルシーでありながらタンパク質がしっかり摂取できるので、ベジタリアンやヴィーガンの人たちだけでなく、健康への意識が高い人にも支持されています。 まとめ 世界中で需要が高まっている、代替肉。代替肉と一口に言ってもその種類は多く、今回紹介した4種類以外にもさまざまなタイプがあります。 代替肉には私たちの健康維持や地球の環境保全につながるメリットがある一方で、原材料の調達や製造プロセス次第では、環境に負荷を与える可能性もあると言われています。今後、こうしたデメリットにどのように対応していくのかが課題でしょう。代替肉の分野は成長過程にあり、これからの展開に注目したいです。
代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説
NEW 2022.11.16

AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線

ゴミとして捨てられるプラスチックの多くが、適切に分別されないことにより、再利用の道が閉ざされているという嘆かわしい現実があります。この問題を高度なIT(情報技術)で乗り越えようと、オーストラリアの研究チームが動きました。飲料容器の分別を自動的に行うことができる「スマートビン技術」を搭載した画期的なゴミ箱を開発しました。 ITでゴミを自動分別、リサイクル率を向上 ​​オーストラリア最大の都市・シドニーがあるニューサウスウェールズ州では、年間80万トン出るプラスチックゴミのうち、リサイクルされているのはわずか10%だそう。これは、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の調べで分かりました。 プラスチックのリサイクルのプロセスは非常に複雑です。適切に分別がされないと、こうした事態に陥ります。リサイクルできない廃棄物の一部が焼却場行きとなれば、その分温室効果ガスの排出量が増えます。これらがきちんとリサイクルに回れば、地球温暖化にも大いに貢献するでしょう。 問題解決に向けて、シドニー工科大学(UTS)の共同研究チームは、ゴミの中から自動的に飲料容器を選り分ける機能を搭載したゴミ箱を開発しました。その名は「スマートビン技術」。これにより、最も多い廃棄物のひとつである飲料容器のリサイクル率を向上させることができます。 人工知能(AI)、ロボット工学、画像の認識技術などを組み合わせた先端テクノロジーが搭載されたこのゴミ箱は、ガラスや金属、プラスチックなど素材別に仕分けしてくれます。さらに、ペットボトルの素材となるポリエチレンテレフタレート(PET)や、シャンプーボトルに使われる高密度ポリエチレン(HDPE)など、プラスチックをさらに細かい種類別に分けることができます。 方法としては、まずゴミをカメラで撮影し、AIアルゴリズムを実行して、膨大なデータを処理・分析することにより分類します。そしてIoT(モノのインターネット)を含む最新のロボット技術により、重さや物質、素材を感知してゴミを分別するという仕組みです。 スマートビン技術の社会実装の日は近い 今後、あらゆる地域でスマートビン技術搭載のゴミ箱が利用されるようになれば、プラスチックゴミのリサイクル率は飛躍的に向上し、業者による回収作業もより素早く正確になります。研究チームは、このゴミ箱を管理するシステムの開発を進めています。システムが実用化されれば、ゴミ箱の所有者が、ゴミ箱の充填具合などの状態を遠隔で監視、点検できるようになります。ゴミ箱が満杯になった時、ゴミ箱を空にする必要があることを知らせる通知が表示されるという仕組みです。また、地域の人々にとっては、自分がどれだけリサイクル活動に貢献しているかがアプリに記録され、そのことを通知として受け取ることができます。 この実証実験は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究プログラムの一環として行われています。同機構は2030年までに、オーストラリアで排出されるプラスチック廃棄物を80%削減することを目指しています。スマートビン技術はまだ試作段階ですが、いずれはショッピングセンター、学校、映画館、カフェ、企業、空港などにスマートビン技術搭載のゴミ箱が設置される予定です。
AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線