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“食文化” タグの記事一覧

NEW 2022.11.22

昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?

コオロギなどの昆虫を原料にした食品「昆虫食」。日本にも、貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、多くの人にとってはなじみの薄いものでしょう。しかし今、環境負荷の少ないサステナブルな食料として、世界が昆虫食に注目しています。 一体なぜ、これほどまで昆虫食が話題になるのか。この記事では、昆虫食が期待される背景を解説した上で、栄養価の高さなど注目の理由を解説します。他方で、「本当に安全性に問題はないの?」「昆虫を食べるリスクは」といった疑問や不安の声にもお答えします。 昆虫食が注目を集める背景 無印良品で話題となった「コオロギせんべい」をはじめ、日本では勢いのあるベンチャー企業が、昆虫食ビジネスを盛り上げています。そうした流れに至るまでに、どのような背景があったのでしょう。 増える世界人口、ひっ迫するタンパク源 日本は少子化に直面していますが、世界全体では人口は増加し続けています。このまま行けば、2050年に世界人口は100億人に達すると言われています。 近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足する恐れがあると言われています。「タンパク質危機(タンパク質クライシス)」を避けるために、大豆ミートをはじめとしたプラントベースフードの開発が進みました。しかし、植物由来の食べ物からは、植物性のタンパク質しか得られません。そこで、注目されたのが「昆虫食」。なぜなら昆虫は、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができるからです。 転機の国連食糧農業機関(FAO)報告 2013年、国際連合食糧農業機関(FAO)が「ある報告書」を発表しました。それは、世界の食糧危機への対策として昆虫食を推奨するというもの。この報告書を契機とし、世界各地で昆虫食の研究・開発が加速しました。昆虫を食べる習慣のなかった欧州でも、2018年、欧州連合(EU)が昆虫を新規の食品として域内で販売することを認めました。 昆虫食を選ぶメリット さぁここから、他にはない昆虫食のメリットを深掘りしていきます。 非常に優れた環境負荷の低さ 狭いスペースで飼育・加工ができる 昆虫は牛や豚、鶏などの家畜よりも狭い場所で飼育できます。コオロギ1キロを生産するのに必要な農地は、鶏肉や豚肉の約3分の1、牛肉なら約13分の1しか必要としません。また、出荷用にパウダーなどに加工する場合でも、小規模な施設で行えます。飼育・加工に場所を取らないということは、それだけ効率的に生産できるということです。 飼育に必要な資源が少ない 昆虫の生産は、家畜に比べて少量の水や飼料で可能です。牛肉を1キロ生産するためにはおよそ8キロのえさを必要とするのに対し、昆虫1キロの生産には約2キロのえさを使うだけで済みます。生産に必要な水についても同様で、コオロギの生産に必要な水は、牛肉の場合の約2500分の1で済んでしまいます。 温室効果ガスの排出量が少ない 牛1頭がげっぷなどで出すメタンガスは1日160リットル以上で、地球温暖化を促進していると言われています。しかし、昆虫の飼育に伴う温室効果ガスの排出量はその10分の1以下。昆虫食は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減にも効果があるというわけです。 丸ごと食べられて、食品ロスにも貢献 昆虫食は食品ロスの削減にも貢献します。牛1頭の可食部はおよそ4割ですが、昆虫はそのほとんどが食べられるので無駄がありません。また昆虫のえさには、残飯など本来なら捨てられてしまうものを利用できます。焼却コストのかかる生ごみの量が減り、一方で、貴重なタンパク質源になるというのですから、昆虫食の利点が際立ちます。 牛や豚に負けない栄養価の高さ それで終わらないのが、昆虫食のすごさです。ガやハチの幼虫の場合、体重の50%がタンパク質と言われています。牛や豚が1〜3%ですから、それに比べると非常に高い含有率です。昆虫は、良質なタンパク質だけでなく、食物繊維や、カルシウム、銅、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含む上に、脂肪分は少ないという健康に良い食品です。 昆虫食のデメリット 栄養価が高く、環境にも良い昆虫食。その一方で、なじみの薄い昆虫食に対するネガティブな考えも少なくありません。今度は、考えられる昆虫食のデメリットを見ていきましょう。 安全面でのリスクは? 専門家の助言なしに、自然採集した虫を食べるのは、危険を伴う行為です。なぜなら、野生の昆虫には、毒を持つものや、寄生虫や病原菌を媒介するものもいるからです。一方で、管理された環境下で生産されたものは、昆虫とはいえ、他の食材と同様に安全です。 安心を担保する「コオロギ生産ガイドライン」 消費者により安心してもらえる環境を整えようと、2022年8月、民間団体が「コオロギ生産ガイドライン」をまとめました。研究機関や企業などでつくる「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)」が、コオロギの生産過程の衛生管理を中心に行動指針を決めました。公的なルール整備がない中で、民間主導で一定のルールを示すことで信頼性を高め、昆虫食のさらなる普及につながることを期待しています。 アレルギーリスクについて 昆虫食は、食物アレルギーを持つ人には注意が必要です。昆虫には、エビやカニなど同様の甲殻類アレルギーの原因となる「トロポミオシン」という成分が含まれているからです。昆虫に限らずすべての食材に言えることですが、これまで口にしたことのない食材を食べる時には、これまでアレルギーの自覚症状がなかった人でも、慎重を期すようにしましょう。 見た目への抵抗感 多くの人にとって、昆虫を食べることに対して、心理的なハードルがあります。初めて口にするものに対して拒絶反応が出るのは、動物的な本能として当たり前のことです。もしかしたら、これが昆虫食にとっての最大の問題かもしれません。日本でも昆虫食品の開発は大変盛んで、さまざまな商品ラインナップがあります。まずは、昆虫の姿を連想しづらいパウダー入りの菓子やパンなどから試してみるのがいいかもしれません。 そして、「まずいものをわざわざ食べたくない」というのが、大半の人の率直な気持ちだと思います。実際のところ、昆虫の味は実に多種多様で、思いきって食べてみると、おいしく感じるものもたくさんあります。バッタはエビやカニに似た食感、タガメは洋ナシや青リンゴのようなフルーティな香りだとか。セミに至っては、幼虫だとナッツのようなクリーミーな風味で、成虫になるとエビのような風味が楽しめます。 昆虫食とは 1900種類の食べられる昆虫 世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫学者である三橋淳氏の書いた『虫を食べる人びと』(平凡社ライブラリー)によれば、世界ではハチやイナゴに加えて、カブトムシ、カミキリムシなども食べられているそうです。 世界の昆虫食  タイ 昆虫食が住民生活に浸透しているタイでは、スーパーマーケットの食材コーナーに昆虫のサナギや幼虫が並んでいたり、昆虫の佃煮を売る屋台を目にしたりすることも珍しくありません。特に人気があるのはコオロギで、盛んに養殖されています。最近では、コオロギのスナック菓子やコオロギパウダー、コオロギオイルなど、コオロギを原材料にしたさまざまな加工食品が登場しています。特にコオロギパウダーは輸出用としての需要が高く、国もその動きを後押ししています。 ケニア アフリカ東部のケニアで最もよく食べられている虫は、シロアリです。日本でシロアリと言えば、住宅の床下で暮らすアリ(職蟻)を意味することが多いですが、現地で食べられているのは別の種類のアリ(羽蟻)です。このシロアリを使った「クンビクンビ(kumbikumbi)」という伝統料理があり、栄養失調を改善する効果があると言われています。実際、シロアリには、良質な動物性たんぱく質や脂質のほか、カルシウム、鉄分、アミノ酸などが豊富に含まれています。ケニアのシロアリはインターネット通販などでも販売されています。 日本の昆虫食 長野県に根付く昆虫食文化 日本で昆虫食文化が盛んな地域といえば、長野県です。信州でよく食べられている昆虫といえば、ハチノコやイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼ばれているそうです。 ハチノコはスズメバチの幼虫やさなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。長野県はかつて養蚕が盛んで、カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫です。ザザムシは水生昆虫で、ヒゲナガカワトビケラなどの幼虫のことを指し、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷地域で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。イナゴやカイコは、稲作や養蚕を営む過程で副産物として発生するもので、昆虫食は、自然と共生する地域の暮らしに深く結びついていたのでしょう。 まとめ 昆虫食のメリットとデメリットを押さえてきましたが、環境負荷が低くて栄養価も高いという特徴を踏まえると、昆虫食がこれだけ話題になっていることもうなずけると思います。昆虫を食べるという行為に対して抵抗感はあるかもしれませんが、以前は「生で魚を食べるなんてありえない」と言っていた欧米人が、「Sushi(寿司)」を高級料理としてもてはやしているのを見ると、さほど大きな問題でないようにも思えます。先入観だけで昆虫食という選択肢を排除せず、機会があったらぜひともチャレンジしてみてください。
昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?
2022.08.30

代替肉の注目素材!世界で愛されるひよこ豆

肉の代替食材として、豆類を使った食品が数多く登場しています。そんな中、昨今注目を集めているのがひよこ豆です。海外では広く親しまれている豆のひとつですが、日本でもプラントベースフードのニーズが高まるにつれてあらためて注目されています。この記事では、ひよこ豆の魅力とともに、代替肉としても活用できるひよこ豆料理について紹介します。 アジア原産、インドや欧米では一般的 ひよこ豆の原産はアジア西方であり、そこからインドやヨーロッパに広まったと言われています。インドでは、ひよこ豆を割った豆をスープやカレーなどに使ったり、粉状にしたものを小麦粉の代わりに利用したりしています。ベジタリアンの多いインドでは、日常的に使われる豆のひとつです。 ひよこ豆は大豆と同じくらいの大きさです。鳥の頭のような形をしていることからこの名前が付けられました。ひよこ豆は「ガルバンゾ」という名前で呼ばれることもあり、これはスペイン語に由来しています。また、英語でひよこを意味する「チック」に丸い豆という意味の「ピー」を組み合わせて、「チックピー」と呼ばれることもあります。 日本ではひよこ豆はなじみが薄いかもしれませんが、インドや欧米諸国、中近東などでは一般的によく知られた豆です。タンパク質が多く食物繊維が豊富で脂肪分が少ないことから、昨今では食肉に代わるヘルシーな食材として話題を集めています。 市販の水煮缶で簡単!スープやサラダに ひよこ豆はナッツにも似た独特の香りがあり、食感が良く食物繊維が多いことから、満足感を得やすいという特徴があります。乾燥したひよこ豆を食べるためには「水で戻して煮る」という工程が必要ですが、市販の水煮缶を利用すれば、調理の手間を大幅に省くことができます。 ひよこ豆の水煮缶があれば、スープやサラダ、カレーにそのまま利用できます。また、中東や地中海地域の定番料理「フムス」や「ファラフェル」にも挑戦できます。フムスはひよこ豆のディップ、ファラフェルは中東発祥のコロッケのことで、どちらもひよこ豆を煮てからすりつぶして作る料理です。 ひよこ豆はヴィーガン料理に昔からよく使われており、肉の代わりとしてさまざまな料理に活用することができます。料理のバリエーションが豊富にあることも、ひよこ豆が代替肉として注目される大きな理由となっています。
代替肉の注目素材!世界で愛されるひよこ豆
2022.08.10

NYの公立学校でヴィーガン給食がスタート、気になるその背景とは

2022年2月、アメリカ・ニューヨーク市の公立学校では、肉や魚を使わない「ヴィーガンメニュー」の給食を提供する試みがスタート。この試みはどのような理由から始まり、現場ではどのような給食が提供されているのでしょうか。今回の記事では、ニューヨークにおけるヴィーガン給食の概要について紹介します。 ヴィーガン給食が食生活を見直すきっかけに ニューヨーク市の公立学校では、毎週金曜日にヴィーガン給食を提供する「ヴィーガンフライデー」が始まりました。アメリカでは約2割の子どもが肥満と言われていて、子どもの肥満は長年の課題になっています。特に、経済的に困窮する過程や、ヒスパニック系や黒人の子どもに肥満の割合が多いというデータもあります。 ヴィーガン給食には様々な効果が期待されていますが、そのひとつに「食生活を見直すきっかけをつくること」があります。今回の試みは、ニューヨークの新市長であるEric Adams氏が進めたものです。同氏には、ジャンクフードを止めてプラントベースの食事を実践することで、糖尿病を克服し自身の健康を取り戻したという経験があります。こうした経験に基づき「健康的な食事は生活の質を向上させる」「ヴィーガンの食事は環境保護にも役立つ」と語ります。 子どもたちにも好評のヴィーガンメニュー ニューヨーク市のヴィーガン給食では、どんなメニューが提供されているのでしょうか。ヴィーガンフライデー初日に提供されたのは、野菜を使ったタコスと、トルティーヤチップス(サルサソース付)、味付けされたブロッコリーなど。学生が事前に試食したメニューであり、好評だったのだとか。 同市の教育局によれば、金曜日以外の日であっても、ヴィーガンメニューを選ぶことができます。公立学校の生徒達はヴィーガン以外の料理を選択することもでき、牛乳やサンドイッチなどはいつも用意されているのだとか。ヴィーガンを強要し過ぎないように配慮しているのも、大きなポイントです。 以前から同市では、揚げ物をやめて生野菜や果物を提供するなどの、給食メニューの改善に取り組んできました。子ども達の食生活に大きな影響を与える、学校給食。健康的な食べ方を早い時期から身に着けておくことは、大人になってからの健康維持に大いに役立つかもしれません。
NYの公立学校でヴィーガン給食がスタート、気になるその背景とは
2022.07.28

発展途上国の子どもを救う「ゴールデンライス」、期待の裏で続く議論

2021年、遺伝子組み換え米「ゴールデンライス」の商業栽培がフィリピンで初めて認可され、話題になりました。ゴールデンライスは、発展途上国の子どもたちの健康を守るために開発された作物ですが、環境への負荷や人体への影響を巡る議論が続いています。この記事ではゴールデンライスが生まれた経過から、商業栽培認可の各国動向までを解説します。 ビタミン不足を防ぐ遺伝子組み換え米 ゴールデンライスは、ビタミンAを強化した遺伝子組み換え米です。発展途上国では、「ビタミンA欠乏症」による子どもの失明や死亡が相次いでいます。ビタミンAには目などの粘膜を正常に保つ働きがあるとされています。ビタミンAが慢性的に不足した状態が続くと、目が見えなくなり、最悪の場合は死に至ることもあります。ビタミンAを含む食品は数多くあり、先進国では不足しづらい栄養素です。しかし、世界では5歳未満の子どもの約3分の1は、ビタミンAの不足により失明の危険性があると言われています。 この問題を解決するために生まれたのが、ゴールデンライスです。ドイツのフライブルグ大学の教授とスイスの植物科学研究所の職員によって、約8年間の研究を経て生まれました。アジアの貧困地域では、おかずなしでごはんだけを食べるケースが少なくないため、ビタミンAを多く含む食材として米が選定されたのです。 議論を呼ぶ中、商業栽培認可へ 発展途上国の子どもたちを救う目的で開発された、ゴールデンライス。その一方で実用化に至るまでには、自然環境や地域住民への影響、安全性などの面からさまざまな議論がありました。一般的に遺伝子組み換え作物の栽培には、農薬や化学肥料が必要であり、土の質が悪くなる場合があります。また、種子を入手するために多額の費用がかかることから、農家にとっては負担が大きく、生活が厳しくなる場合があります。さらに、ゴールデンライスを食べた場合の人体への影響についても懸念の声が挙がっています。 こうした状況の中で、フィリピン政府がゴールデンライスの商業栽培を世界で初めて認可しました。バングラデシュも認可を目指していて、その動向に注目が集まっています。オーストラリアや米国、カナダの食品安全規制当局ではゴールデンライスを安全と評価しているものの、商業栽培の認可はしておらず判断が分かれています 私たちの食事は世界の問題、そして人間の健康と深く関わっています。簡単に答えを導くことのできるような課題ではありませんが、ゴールデンライスの事例はそのことを私たちに示してくれています。
発展途上国の子どもを救う「ゴールデンライス」、期待の裏で続く議論
2022.07.21

食べられる炭?豊富な栄養にダイエット効果も

炭は古くから私たちの暮らしに密接な関わりがありますが、最近「食べる炭」の人気が高まっていることをご存知でしょうか。炭を食べる習慣は昔からあったものの、その栄養や効果が再び注目され、さまざまな商品や食事法などが登場しています。この記事では、食用炭の歴史や栄養と、簡単な活用法について紹介します。 食用炭の歴史と使われ方 炭と一口に言っても、備長炭や竹炭、木炭(白炭・黒炭)など材料や焼き方によってさまざまな種類があります。一般的な用途として、燃料や水の浄化、土壌改良、調湿・脱臭などがあります。そこに加えて、昨今注目を集めているのが「炭を食べる」という使い方です。 炭を食べる習慣は最近始まったものではありません。「炭職人に胃腸の悪い人はいない」と昔から言われていて、炭職人たちは調子が優れない時に炭を食べていたとされています。また、忍者が解毒剤として炭を携帯していたという話もあります。これは炭の持つ吸着効果を利用したもので、腸内にたまった老廃物を排出する働きが期待されています。 また、炭には細かい穴がたくさん開いていて、そこに地中のカルシウムやカリウム、鉄分などのミネラルが豊富に含まれています。つまり、炭を食べることによって、ミネラルを手軽に摂取することができるのです。 セレブに話題のダイエット活用術も 最近の食用炭はパウダー状になったものが多く、耳かき2~3杯分を1日の摂取量の目安として、料理やデザート、飲み物などに加えます。食用炭を加えると黒色になるので、コーヒーなどに加えて混ぜたり、ソースやドレッシング、焼き菓子などにアクセントとして加えたりするのがおすすめの使い方です。どうしても色や風味が苦手という場合は、サプリメントを利用するという方法もあります。 炭は英語で「チャコール」と呼ばれ、海外では美と健康に欠かせない食材として注目を集めています。セレブ達の間で話題の「チャコールクレンズダイエット」は、炭のパウダーを水やジュースなどで割って飲むだけの食事法です。寝る前に飲むことで、翌朝にデトックス効果が期待できるとされています。炭の作用により、厳しい食事制限をすることなく、体を内側から整えることができるのも人気の理由のひとつです。 食用炭を使ったお菓子やドリンクは、見た目のインパクトもあり、SNSでも話題になっています。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
食べられる炭?豊富な栄養にダイエット効果も
2022.07.13

マクドナルドがベジタリアン対応でインド人の心をつかめた訳

米マクドナルドは1990年代にインドへ進出して以来、市場競争、経済危機、パンデミックなどを乗り越え、インドでのファーストフードの第一人者として信頼されるブランドであり続けています。インド市場におけるマクドナルドの成功のために重要な役割を果たしたのが、ブランドのローカライゼーション(地域化)でした。 ユニークで巨大な​​インドの市場に挑む 数百年におよぶユニークな食文化を持ち、人口の8割はヒンドゥー教徒であるインド人を米国風の食事様式に巻き込むのは、当初困難とされていました。 そこでマクドナルドは、それまで共通だった海外向けメニューを、潔く「インド化」します。ヒンドゥー教徒が神聖な動物として崇める牛肉のパティをやめて、鶏や羊の肉のバーガーをインド市場向けに提供。さらにまったく肉を食べない菜食主義者たちも利用できるようにと、ベジタリアンメニューを用意しました。 また、当時高価だったマクドナルド製品のインドでの市場価格をわずか25ルピー(およそ50セント)という低価格にしました。インドマクドナルドは、食材を地元から取り寄せ、物流管理をインド国内の会社に請け負わせることで、インドの中流家庭が気軽に利用できるような低価格を実現させたのです。 生産元や物流をインドに置くことは、海外からのインド進出を脅威とみなしていた、地元の政治家や社会運動家からの反対を回避することにも役立ちました。 家族との家での食事を重視し、外食は日常的でなかったインド家庭に合わせて、インドマクドナルドは、ファストフード店というより高級なファミレスというイメージを打ち出しました。清潔でゆったりした内装のほか、デリーの警察や消防と提携し、安全性をアピールしました。 他にも、それぞれの宗教観や信条を尊重していることをアピールするため、商品の包装や調理場のスタッフが着るユニフォームをベジタリアンとノンベジタリアンのものとで区別しました。そうした細やかな配慮により、インドの人々の信頼を着実に獲得していったのです。 ローカライゼーションで海外進出を成功に導く ローカライゼーションとは、製品やサービスを現地で受け入れられるように最適化することを指します。マクドナルドはこの技術を最大限に活用し、インドを含む世界100カ国以上、計4万店舗にも上る、世界最大のレストランチェーンとして成功を収めています。 どの国にも、その土地の雰囲気、食べ物、それぞれの需要や興味、関心があります。宗教的な習慣やタブーなど人にはさまざまな考え方があり、同じブランドでも国や地域によって受け入れられるかどうかには違いが生じます。こと食べ物に関していえば、世界のある地域では珍味や好物とされているものが、他の国では禁忌と見なされることが起こり得ます。 マクドナルドでは、各国にローカライズの専門チームがあり、新たな国に進出するとき、その国の文化の違いを理解し、それぞれの国の方針に従うことを心掛けています。同社が海外進出に成功してきた戦略のひとつは、ビッグマックを代表とした一貫性のあるメニューですが、地元の人々の傾向によって時にメニューを大きく変更することもいといませんでした。 多国籍フードチェーンにとって、インドの巨大な市場は魅力的でありつつ、その独特な価値観や宗教観ゆえに、ハードルの高い未開の市場でした。マクドナルドは柔軟で行き届いたローカライズを可能にすることで、インドの家庭に「家族でアメリカ風の外食を楽しむ」という新しい価値観を生み出したのです。    
マクドナルドがベジタリアン対応でインド人の心をつかめた訳
2022.07.07

世界初!味をデータ化する「フードNFT」とは

最近、いろいろな分野で「NFT(エヌエフティー)」という言葉を聞くようになりました。食品業界では「フードNFT」が登場し、注目を集めています。とはいえ、まだ一般にはなじみの薄いフードNFT。その言葉の意味や現状について、こちらの記事でわかりやすく解説していきます。 フードNFTって何? フードNFTとは、誰もが「食べてみたい」「作ってみたい」「伝えたい」と思う世界中の魅力的な料理のレシピや味をデータ化したものです。、株式会社味香り戦略研究所(東京)が有する味覚データ分析技術を活用しています。 フードNFTという名称は、料理や食品という意味を持つ「Food」と、「Non-FungibleToken」の略称である「NFT」を組み合わせたものです。NFTは直訳すると「非代替性トークン」で、「世界にひとつしかない物やデータ、技術」「作成者や所有権などを証明できる仕組み」という意味を持ちます。 フードNFT市場を創出するために設立された「NFTコンソーシアム」には、企業や学校、個人などさまざまな主体が参加しています。同コンソーシアムのホームページによれば、ミッションは「レシピ味をデータ化した『フードNFT』市場を世界に創出すること」。彼らは「世界中の味の記憶遺産(資産)」、「未来に残すべき伝統の味」、「文化として価値ある味」を後世に残していくことをヴィジョンに掲げています。 「味の著作権」の運用が可能に レシピや味をデータ化した「レシピデータ」と「味覚データ」を、強固な安全性を誇るブロックチェーンの技術を活用して保存し、NFT化します。こうすることで、データが永久的に保存・証明され、効果的な活用が可能になり、「味の著作権」の運用が可能になります。 そして日本で2022年4月、世界初のフードNFTが誕生しました。セディカル株式会社(山口県周南市)が同年発売した健康志向と食の楽しさを両立するチョコレート「ケトサポート」のレシピデータと味覚データがNFTコンソーシアムに提供され、海外からも注目を集めました。 フードNFTはまだ新しい概念ですが、その先にはさまざまな可能性が広がっています。今後もその動向に注目していきたいものです。
世界初!味をデータ化する「フードNFT」とは
2022.07.05

樹木由来の蜂蜜「甘露蜜」に注目!栄養はマヌカハニー以上

健康志向が高まる中、蜂蜜の効能が注目を集めています。いろいろな種類の蜂蜜がありますが、その中でも「甘露蜜」はトップクラスの栄養があるとされています。この記事では、樹蜜ハニーの概要と、味や香り、栄養について紹介します。 ハチミツの種類と甘露蜜の定義 蜂蜜には花由来のものと樹液によるものの大きく2種類があります。前者の対象となるのは、野山や樹木の花、ナッツや果物の花、ハーブの花などいろいろな花々の蜜です。一種類の花から採蜜されることもあれば、蜜蜂が複数の花の蜜を集めてブレンドした「百花蜜」もあります。花の種類によって色や香り、味などに違いがあります。また、同じ花であっても採れる場所や気候によって少しずつ変化が生じます。 これに対して、後者の樹液からつくられる蜂蜜は「甘露蜜」「甘露蜂蜜」「ハニーデューハニー」と呼ばれます。ヨーロッパでは「森の蜜」と呼ばれることもあります。利用される主な樹木は、松やオーク、菩提樹、アカシア、レザーウッド、トチなどです。 一般的に「蜂蜜」と言うと、花由来の蜂蜜を指すことが多いです。花由来の蜂蜜に比べると甘露蜜は希少品であるため、日本ではあまり知られていないかもしれません。しかしヨーロッパでは、甘露蜜は「栄養が豊富で体に良い」「抗酸化作用が高い」とされ、高い人気を誇っています。樹液が昆虫の体内を通過する際に虫の酵素と合わさるため、ミネラルを豊富に含有しているといわれています。 ギリシャでは兵士の元気の源だった ギリシャの小さな町・スパルタは、甘露蜜の生産地のひとつです。特定の木の枝に付いているカイガラムシが分泌する糖度の高い液を蜜蜂が吸い、蜂蜜が作られます。雨の日はカイガラムシが動かないので採れる量が減ることもあり、希少な蜂蜜です。ここで採れる蜂蜜は優しい甘さがあり、かつては「兵士の元気の源」とされていました。2400年ほど前のスパルタはアテネと並ぶ強い都市として知られていましたが、甘露蜜も関係していたのではと言われています。 豊富な栄養があり、古代ギリシャでは元気の源とされてきた甘露蜜。日本ではまだ親しみの少ない食材ですが、マヌカハニーに続いて、今後人気が高まっていくかもしれません。ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。 ※蜂蜜は、ボツリヌス菌が含まれている場合があるため、1歳未満の子どもには食べさせないように注意しましょう。  
樹木由来の蜂蜜「甘露蜜」に注目!栄養はマヌカハニー以上
2022.06.28

古くて新しい昆虫食、日本のルーツは郷土料理にあり

タンパク質危機の課題解決のひとつとして、「昆虫食の普及」が推進され始めています。昆虫食と聞くと新しい食事法のように感じるかもしれません。実は、信州など日本の郷土料理には昆虫を使ったものも多く、世界的にも注目を集めています。この記事では、昆虫を使った郷土料理について解説します。 タンパク質危機で脚光浴びる昆虫食 2025~2030年頃に起こるとされている「タンパク質危機」。タンパク質危機とは、増加し続ける世界人口に対して、牛肉や豚肉を主とするタンパク質の供給が追い付かず大幅に不足してしまうこと。この課題を解決するためのひとつの方法として、昆虫食が注目を集めています。 昆虫食の魅力としては、タンパク質が豊富に含まれることや育てるための水や飼料が少ないこと、飼育の過程で発生する温室効果ガスの排出量が少なくて済むことなどが挙げられます。国連食糧農業機関(FAO)は昆虫食を推奨していて、環境負荷の少ないサステナブルな食料として話題になっています。 その一方で、一般の人たちの間では昆虫食に対するネガティブな意見も少なくありません。ある調査で昆虫食に対するイメージを尋ねたところ、「気持ち悪い」「おいしくなさそう」という声も多く出ていました。 信州の暮らしに根付いた昆虫食文化 日本では、昔から昆虫を食べる地域があります。ここでは、昆虫を使った郷土料理が多いことで全国的に有名な信州の事例を紹介します。 信州でよく食べられている昆虫といえば、蜂の子やイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼び、カイコを除いた3種類は「信州三大珍味」とされています。この中で初心者にも比較的食べやすいのは蜂の子とイナゴで、佃煮(つくだに)にして食べることが多いです。 蜂の子はスズメバチの幼虫・さなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫で、一昔前までは長野県では飼育が盛んでした。ザザムシは水生昆虫でありヒゲナガカワトビケラの幼虫のことで、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。 自然と共生する暮らしの中で生まれた、昆虫食。イナゴやカイコなどは、稲作や製糸業を営む過程で副産物として発生するもので、人々の生活に深く結びついていました。昆虫食をより身近なものとして捉えるために、信州の郷土料理に目を向けてみてはいかがでしょうか。  
古くて新しい昆虫食、日本のルーツは郷土料理にあり
2021.07.07

昨今人気の「スモーク」の魅力とは?簡単レシピ付

スモークが人気を集める理由 スモークとは燻製のこと。スモークが、昨今人気を集めていることをご存知でしょうか。小型の燻製専用の機械や、フライパンでも簡単に作れるスモークレシピなども次々と登場しています。たとえば、ベーコンなども代表的なスモーク料理のひとつです。ベーコンを想像すると分かるように、スモーク料理は少量でも味わい深く、他の食材などと組み合わせることによって奥深い料理に仕上げることができます。 ちなみに、スモークの歴史は古く、今から一万年以上前の石器時代にスモークにも似た調理方法が生まれていたといわれています。当時は、肉や魚などを長期間保存するための方法として使われていたのではないか、とされています。 私たちがスモークに魅了され、スモーク料理を食べたいと思う理由のひとつには、こうした古い歴史も関わっているのかもしれません。 簡単に作れる!スモーク料理レシピ スモークと聞くと、「難しいのでは?」と思う人も多いでしょう。また、スモーク料理といえばキャンプ場で作るイメージも強く「家庭で上手に作れるの?」と心配な人もいるかもしれません。でも、ポイントを押さえれば、自宅のキッチンで簡単にスモーク料理を作ることができます。私も何度も作っていますが、作っている時から楽しめる独特の香りは、一度体験すると忘れられない魅力があります。 では、さっそく作ってみましょう。用意するものは、フライパンと蓋、金網、アルミホイル、スモーク用のチップです。金網は、フライパンの底に直接食材が当たらないようにするための道具です。手持ちのフライパンにぴったり合うサイズの金網を選びましょう。 チップは、桜やヒッコリーなどいろいろな種類があり、ホームセンターなどで入手できます。初心者におすすめのスモーク用の食材は、ナッツ類やドライフルーツ、チーズ、茹で卵などの比較的水分の少ないものです。 作り方は、まずフライパンにアルミホイルを敷き、その上にチップ(ひとつかみ分)を置きます。そして、金網を置き、アルミホイルなどに乗せた食材をセットします。蓋をして強火にかえ、煙が出てきたら弱火~中火にして約10分加熱。火を止めて、約1時間待てばできあがりです。 コツをつかんだら、ベーコンづくりなどにチャレンジしてみましょう。スモークする食材やチップを変えることで、いろいろなバリエーションが楽しめます。自宅で過ごす時間が増えつつある昨今、スモーク料理を作って楽しんでみてはいかがでしょうか。
昨今人気の「スモーク」の魅力とは?簡単レシピ付
2021.06.21

世界三大料理「中華料理」「フランス料理」あと一つは?

ヒトというものは兎角3という数字で物事をまとめたがります。三大○○、御三家、などなど。 料理も例外ではありません。日本でも世界でも、さまざまなくくりで三大○○が挙げられています。 そこで今回は世界三大料理に焦点を当ててみます。 有名なあの料理は入るとして、残り一つは何料理が当てはまるでしょうか? 基準は世界の料理文化への貢献度 世界三大料理と聞いて、何料理を思い浮かべますか。ぱっと思いつくのは、中華料理、フランス料理、日本料理などでしょうか。 イタリア料理やロシア料理、韓国料理もお馴染みですね。 世界三大料理は、伝統的には「中華料理」「フランス料理」「トルコ料理」とされています。 中華料理は四千年の歴史を持つ、宮廷料理として発展してきた料理です。広大な領土でさまざまな食材・料理法が発達し、それが宮廷に集積して開花したと考えられます。 フランス料理もまた宮廷料理に源流があります。現在では優雅なコース料理がイメージされるフランス料理ですが、何と16世紀以前の中世ではテーブルマナーも確立されていないどころか、食器すら使われず手づかみで食事をしていたといいます。これが近世になるとナイフとフォークを使う作法が一般的となり、伝統的な高級宮廷料理「オートキュイジーヌ」が生まれました。今日のレストランやホテルで供されるコースメニューの高級料理の原型と言えます。その後フランス革命が勃発し、職を失った宮廷料理人が地方へと流出して自らの店をもったことで一般庶民にも広まり、さらにフランス料理は発展しました。 最後はトルコ料理です。中華料理、フランス料理に比べると日本ではややマイナーな印象ですが、伝統的な世界三大料理という定義がヨーロッパの歴史家や料理研究家によって決められたことからトルコ料理が入っています。おいしさそのものよりも、のちの料理文化にどのような影響を与えたかが重視されているのだそうです。 トルコの源流は14世紀から20世紀の初めまで地中海地域の半分以上を支配したオスマン帝国にさかのぼります。ヨーロッパと中央アジア、アフリカの要衝に位置するトルコでは、トルコ民族の伝統的な料理と各地方の料理がまじりあい、トルコ料理として独特の発展を遂げました。その影響はギリシャ料理、ブルガリア料理、モロッコ料理からハンガリー、ロシアにまで渡ったのだとか。 トルコ料理が世界三大料理とされるのも、納得ですね。 日本で食べられるトルコ料理と言えばケバブが有名です。逆に言うとケバブ以外のトルコ料理は日本国内ではどちらかというとマイナーで、専門店に行かなければ味わえないとも言えます。トルコを含めた地中海東部地域の料理は大変おいしいので、機会があればぜひ食べてみてください。 世界三大料理は、中華料理、フランス料理、残る一つはトルコ料理でした。 おいしさや知名度ではなく、歴史的な料理文化への影響度などから決められたという由来が意外でしたね。 トルコ料理に限らず、日本に暮らす外国人の祖国料理を食べられる飲食店は思うよりもたくさんあります。各国料理と検索するとヒットしやすいようです。 コロナ禍で海外旅行に行くのは難しい状況が続いていますが、各国料理は日本にいても食べられると考えると楽しく嬉しくなりますね。お口でこっそり海外旅行、ぜひワクワクドキドキの小さな旅を楽しんでみてください。
世界三大料理「中華料理」「フランス料理」あと一つは?

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NEW 2022.11.24

知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?

地球の人口増加や環境問題により、食肉などのタンパク質が不足するのが「タンパク質危機」です。私たちの食卓に影響するかもしれない世界規模での課題であるにもかかわらず、一般にはそれほど広く認知されていません。こちらの記事では、タンパク質危機とはどのような問題かを解説すると共に、タンパク質危機を避けるための4つの選択肢について説明します。タンパク質危機という問題が生じている理由から取りうる対応策までを紹介し、プラントベースフードなどがにわかに注目を浴びている背景をお伝えしていきます。 タンパク質危機(タンパク質クライシス)とは タンパク質危機は、世界人口の急速な増加に由来する問題です。まずはその背景的な事情からみていきましょう。 少子化真っ只中の日本。でも世界の人口は? 日本では、出生率の低下に伴い若年層の人口が減少する「少子化」が急速に進んでいます。そのためあまり実感がわきませんが、一方で世界の人口は増え続けている状況です。国連の調査によれば、世界の人口は現在約80億人であるところ、2030年には約85億人、2050年には約98億人、2100年には約112億人になると推定されています。 2030年までにタンパク源が足りなくなる恐れ 世界規模での人口増加に伴って、近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足すると予測されています。この予測は「タンパク質危機」と呼ばれていて、欧米諸国を中心に話題になっています。現状のままだと早ければ2025年から2030年ごろまでに需要と供給のバランスが崩れ始めると言われています。 人間の身体を構成するのは、水分が約60%、タンパク質が約15~20%とされています。つまり、タンパク質は水分を除いて体の重量の約半分を構成する、生きていく上で大切な栄養素です。欧米では「プロテインチャレンジ2040」と題したコンソーシアムが立ち上がり、その中から複数のプロジェクトが始動しています。タンパク質危機をどう乗り越えていくのかは、人類が生きていく上で極めて重要な課題です。 タンパク質危機を避けるための4つの選択肢 タンパク質危機を回避するために、世界中でさまざまな検討が行われています。ここでは、その中から代替肉と培養肉、昆虫食、藻類という4つの選択肢について解説します。 代替肉 代替肉とは、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「肉のような食材」のことです。欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされていて、別名「プラントベースミート」と呼ばれることもあります。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも大豆ミートを使ったメニューが登場し、話題になっています。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場するなど、さまざまな研究・開発が進められています。 培養肉 培養肉は、牛などの動物から取った少量の細胞を、再生医療の技術により体外で増やして作られます。プラントベースの代替肉とは異なり「本物の肉を使った代用品」です。従来の食肉の生産方法と比べて、飼育・繁殖する過程における動物へのストレスや環境への負荷が少ないとされています。こうした特徴から、別名「クリーンミート」と呼ばれることもあります。 培養肉は、2013年にオランダの研究者が培養ミンチ肉を作ったのがその始まりです。日本でも培養肉の研究が進められていて、2019年には世界で初めてサイコロステーキ状の培養肉を作ることに成功しました。大きな肉を作るための技術の開発など乗り越えなくてはならないハードルが多いものの、持続可能な食材という意味で期待が寄せられています。 昆虫食 昆虫食とは、コオロギなどの昆虫を原料にした食品のことです。大豆ミートなどのプラントベースフードは植物性のタンパク質しか得られないのに対して、昆虫食の場合、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができます、また、昆虫食は飼育・加工に必要なスペースや資源が最小限で済み、環境負荷が低いというメリットもあります。 日本にも貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫食には食品の安全性や見た目への抵抗感といった課題があるものの、環境負荷の少ないサステナブルな食材として注目を集めています。 藻類 細胞分裂をして増殖する藻類はタンパク質含有量が50~75%であり、新たなタンパク質源としての可能性を持っています。藻類は良質なタンパク質だけでなく、炭水化物や脂質、ビタミン、ミネラルなども豊富に含まれています。現在市場に流通しているのはタンパク質が豊富に含まれるクロレラやスピルリナで、藻類をそのまま乾燥させて粉末状にしたものが主流です。 藻類は栄養価が豊富であるものの、藻類を乾燥した粉末は独特の匂いがあることや、藻類バイオマスの生産コストが肉や大豆に比べて価格が高いことなどから、タンパク質源としてはこれまで積極的に利用されていませんでした。しかし、近い将来に訪れるとされるタンパク質危機を前に、藻類の利活用が見直され始めています。 まとめ 世界の人口増加に伴って、近い将来訪れると言われているタンパク質危機。この記事では、タンパク質危機を回避するために私たちが取りうる選択肢として、代替肉、培養肉、昆虫食、藻類の4つを紹介しました。食品としての安全性や抵抗感、生産コストなど、それぞれに乗り越えるべき障壁はありますが、タンパク質危機を避けるために、世界中でさまざまな研究・開発が行われています。これまでの常識にとらわれない、新しい食の選択肢が求められていると言えそうです。
知らないとまずい?!タンパク質危機。20XX年までに肉や魚が足りなくなる?
NEW 2022.11.22

昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?

コオロギなどの昆虫を原料にした食品「昆虫食」。日本にも、貴重なタンパク源として昆虫を食べる地域の文化が残っていますが、多くの人にとってはなじみの薄いものでしょう。しかし今、環境負荷の少ないサステナブルな食料として、世界が昆虫食に注目しています。 一体なぜ、これほどまで昆虫食が話題になるのか。この記事では、昆虫食が期待される背景を解説した上で、栄養価の高さなど注目の理由を解説します。他方で、「本当に安全性に問題はないの?」「昆虫を食べるリスクは」といった疑問や不安の声にもお答えします。 昆虫食が注目を集める背景 無印良品で話題となった「コオロギせんべい」をはじめ、日本では勢いのあるベンチャー企業が、昆虫食ビジネスを盛り上げています。そうした流れに至るまでに、どのような背景があったのでしょう。 増える世界人口、ひっ迫するタンパク源 日本は少子化に直面していますが、世界全体では人口は増加し続けています。このまま行けば、2050年に世界人口は100億人に達すると言われています。 近い将来、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が不足する恐れがあると言われています。「タンパク質危機(タンパク質クライシス)」を避けるために、大豆ミートをはじめとしたプラントベースフードの開発が進みました。しかし、植物由来の食べ物からは、植物性のタンパク質しか得られません。そこで、注目されたのが「昆虫食」。なぜなら昆虫は、肉や魚と同様、必須アミノ酸である動物性タンパク質を得ることができるからです。 転機の国連食糧農業機関(FAO)報告 2013年、国際連合食糧農業機関(FAO)が「ある報告書」を発表しました。それは、世界の食糧危機への対策として昆虫食を推奨するというもの。この報告書を契機とし、世界各地で昆虫食の研究・開発が加速しました。昆虫を食べる習慣のなかった欧州でも、2018年、欧州連合(EU)が昆虫を新規の食品として域内で販売することを認めました。 昆虫食を選ぶメリット さぁここから、他にはない昆虫食のメリットを深掘りしていきます。 非常に優れた環境負荷の低さ 狭いスペースで飼育・加工ができる 昆虫は牛や豚、鶏などの家畜よりも狭い場所で飼育できます。コオロギ1キロを生産するのに必要な農地は、鶏肉や豚肉の約3分の1、牛肉なら約13分の1しか必要としません。また、出荷用にパウダーなどに加工する場合でも、小規模な施設で行えます。飼育・加工に場所を取らないということは、それだけ効率的に生産できるということです。 飼育に必要な資源が少ない 昆虫の生産は、家畜に比べて少量の水や飼料で可能です。牛肉を1キロ生産するためにはおよそ8キロのえさを必要とするのに対し、昆虫1キロの生産には約2キロのえさを使うだけで済みます。生産に必要な水についても同様で、コオロギの生産に必要な水は、牛肉の場合の約2500分の1で済んでしまいます。 温室効果ガスの排出量が少ない 牛1頭がげっぷなどで出すメタンガスは1日160リットル以上で、地球温暖化を促進していると言われています。しかし、昆虫の飼育に伴う温室効果ガスの排出量はその10分の1以下。昆虫食は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減にも効果があるというわけです。 丸ごと食べられて、食品ロスにも貢献 昆虫食は食品ロスの削減にも貢献します。牛1頭の可食部はおよそ4割ですが、昆虫はそのほとんどが食べられるので無駄がありません。また昆虫のえさには、残飯など本来なら捨てられてしまうものを利用できます。焼却コストのかかる生ごみの量が減り、一方で、貴重なタンパク質源になるというのですから、昆虫食の利点が際立ちます。 牛や豚に負けない栄養価の高さ それで終わらないのが、昆虫食のすごさです。ガやハチの幼虫の場合、体重の50%がタンパク質と言われています。牛や豚が1〜3%ですから、それに比べると非常に高い含有率です。昆虫は、良質なタンパク質だけでなく、食物繊維や、カルシウム、銅、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含む上に、脂肪分は少ないという健康に良い食品です。 昆虫食のデメリット 栄養価が高く、環境にも良い昆虫食。その一方で、なじみの薄い昆虫食に対するネガティブな考えも少なくありません。今度は、考えられる昆虫食のデメリットを見ていきましょう。 安全面でのリスクは? 専門家の助言なしに、自然採集した虫を食べるのは、危険を伴う行為です。なぜなら、野生の昆虫には、毒を持つものや、寄生虫や病原菌を媒介するものもいるからです。一方で、管理された環境下で生産されたものは、昆虫とはいえ、他の食材と同様に安全です。 安心を担保する「コオロギ生産ガイドライン」 消費者により安心してもらえる環境を整えようと、2022年8月、民間団体が「コオロギ生産ガイドライン」をまとめました。研究機関や企業などでつくる「昆虫ビジネス研究開発プラットフォーム(iBPF)」が、コオロギの生産過程の衛生管理を中心に行動指針を決めました。公的なルール整備がない中で、民間主導で一定のルールを示すことで信頼性を高め、昆虫食のさらなる普及につながることを期待しています。 アレルギーリスクについて 昆虫食は、食物アレルギーを持つ人には注意が必要です。昆虫には、エビやカニなど同様の甲殻類アレルギーの原因となる「トロポミオシン」という成分が含まれているからです。昆虫に限らずすべての食材に言えることですが、これまで口にしたことのない食材を食べる時には、これまでアレルギーの自覚症状がなかった人でも、慎重を期すようにしましょう。 見た目への抵抗感 多くの人にとって、昆虫を食べることに対して、心理的なハードルがあります。初めて口にするものに対して拒絶反応が出るのは、動物的な本能として当たり前のことです。もしかしたら、これが昆虫食にとっての最大の問題かもしれません。日本でも昆虫食品の開発は大変盛んで、さまざまな商品ラインナップがあります。まずは、昆虫の姿を連想しづらいパウダー入りの菓子やパンなどから試してみるのがいいかもしれません。 そして、「まずいものをわざわざ食べたくない」というのが、大半の人の率直な気持ちだと思います。実際のところ、昆虫の味は実に多種多様で、思いきって食べてみると、おいしく感じるものもたくさんあります。バッタはエビやカニに似た食感、タガメは洋ナシや青リンゴのようなフルーティな香りだとか。セミに至っては、幼虫だとナッツのようなクリーミーな風味で、成虫になるとエビのような風味が楽しめます。 昆虫食とは 1900種類の食べられる昆虫 世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。昆虫学者である三橋淳氏の書いた『虫を食べる人びと』(平凡社ライブラリー)によれば、世界ではハチやイナゴに加えて、カブトムシ、カミキリムシなども食べられているそうです。 世界の昆虫食  タイ 昆虫食が住民生活に浸透しているタイでは、スーパーマーケットの食材コーナーに昆虫のサナギや幼虫が並んでいたり、昆虫の佃煮を売る屋台を目にしたりすることも珍しくありません。特に人気があるのはコオロギで、盛んに養殖されています。最近では、コオロギのスナック菓子やコオロギパウダー、コオロギオイルなど、コオロギを原材料にしたさまざまな加工食品が登場しています。特にコオロギパウダーは輸出用としての需要が高く、国もその動きを後押ししています。 ケニア アフリカ東部のケニアで最もよく食べられている虫は、シロアリです。日本でシロアリと言えば、住宅の床下で暮らすアリ(職蟻)を意味することが多いですが、現地で食べられているのは別の種類のアリ(羽蟻)です。このシロアリを使った「クンビクンビ(kumbikumbi)」という伝統料理があり、栄養失調を改善する効果があると言われています。実際、シロアリには、良質な動物性たんぱく質や脂質のほか、カルシウム、鉄分、アミノ酸などが豊富に含まれています。ケニアのシロアリはインターネット通販などでも販売されています。 日本の昆虫食 長野県に根付く昆虫食文化 日本で昆虫食文化が盛んな地域といえば、長野県です。信州でよく食べられている昆虫といえば、ハチノコやイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼ばれているそうです。 ハチノコはスズメバチの幼虫やさなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。長野県はかつて養蚕が盛んで、カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫です。ザザムシは水生昆虫で、ヒゲナガカワトビケラなどの幼虫のことを指し、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷地域で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。イナゴやカイコは、稲作や養蚕を営む過程で副産物として発生するもので、昆虫食は、自然と共生する地域の暮らしに深く結びついていたのでしょう。 まとめ 昆虫食のメリットとデメリットを押さえてきましたが、環境負荷が低くて栄養価も高いという特徴を踏まえると、昆虫食がこれだけ話題になっていることもうなずけると思います。昆虫を食べるという行為に対して抵抗感はあるかもしれませんが、以前は「生で魚を食べるなんてありえない」と言っていた欧米人が、「Sushi(寿司)」を高級料理としてもてはやしているのを見ると、さほど大きな問題でないようにも思えます。先入観だけで昆虫食という選択肢を排除せず、機会があったらぜひともチャレンジしてみてください。
昆虫食のメリットと注目の背景を深堀り!こんなにも話題になる理由とは?
NEW 2022.11.17

代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説

世界中で「代替肉」のブームが到来しています。代替肉とは、その名前の示す通り、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉の代わりに、植物性原料で作られた「まるで肉のような食材」のことです。 では実際に、代替肉はどのような素材から作られ、どのように利用されているのでしょうか。この記事では、代替肉の定義を確認した上で、代替肉の原材料や原材料別の使用例について解説します。この記事を読むことで、代替肉の全体像を把握し、代替肉は具体的にどのようなものであるかを理解していただけます。 プラントベースミートと呼ばれることも 代替肉は、欧米諸国を中心とした健康への意識の高まりがきっかけで広がったとされています。代替肉は地球が抱える環境問題の解決や世界の人口増加に対する食料不足への対策、食の多様性への対応という側面においても大きな意味を持つと言われています。 代替肉の素材として最も有名なものは、大豆が主原料の「大豆ミート」でしょう。このほか、ひよこ豆、レンズ豆といった豆類も、代替肉の素材として注目されています。最近では、エノキタケを使った新しい代替肉「エノキート」も登場しました。いずれも「植物由来の肉」であることから、英語ではプラントベースミートと呼ばれています。 フェイクミート、オルタナティブミートとはどう違う? 代替肉はプラントベースミート以外に、フェイク(偽物の)ミートやオルタナティブ(代替の)ミートと訳されることもあります。呼び方はそれぞれ異なるものの、いずれも動物の肉に見た目や風味を似せた、植物性原料から作られた食材を意味しています。代替肉のどのような特徴を強調したいのかによって、フェイクミートやオルタナティブミート、プラントベースミートという言葉が使い分けされているようです。 大豆ミート:代替肉の定番でバリエーション豊富 大豆ミートとは 大豆ミートは、その名前の通り大豆で作られた代替肉のことです。ソイミートや大豆肉と呼ばれることもあります。大豆は別名「畑の肉」と呼ばれるほど栄養が豊富で、良質なタンパク質をはじめ、ビタミンやミネラルも多く含有しています。 大豆ミートは代替肉の定番であり商品の数も多く、最近はスーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かける機会も増えました。 大豆ミートは水やお湯などで戻してから利用する「乾燥タイプ」が主流ですが、すぐに使える「レトルトタイプ」や「冷凍タイプ」もあります。また、形状は主に「ミンチタイプ」「フィレタイプ」「ブロックタイプ」という3種類で、用途に応じて使い分けできます。 あの有名ハンバーガー店やコーヒーチェーンでも 大豆ミートの需要の高まりを受けて、大豆ミートをメニューに導入する飲食店も増えています。大手ハンバーガーチェーン「モスバーガー」では「ソイパティシリーズ」と題して、大豆ミートを使ったハンバーガーのラインアップが登場しています。 また、大手コーヒーチェーン「スターバックス」はサマーシーズン第2弾として“Yori Dori Midori”をテーマにして、プラントベースという選択肢を提案。新しく加わったメニューのひとつ「スピナッチコーン&ソイパティ イングリッシュマフィン」では、肉の代わりに大豆を使ったソイパティを使用しています。 ひよこ豆の代替肉:味のクセが少なく使いやすい ひよこ豆とは ひよこ豆は大豆と同じくらいの大きさの丸い豆です。アジア西部が原産で、インドや欧米諸国、中近東などでは一般的によく流通しています。タンパク質が多く食物繊維が豊富で脂肪分が少ないことから、少し前から食肉に代わるヘルシーな食材として話題を集めています。 ひよこ豆は日本では馴染みの薄い豆ですが、味にクセが少ないため食べやすいのが特徴です。乾燥した状態の豆は水で戻して煮る必要がありますが、水煮されたレトルトタイプを使えば、手軽に利用できます。 使用例:カレーや揚げ物、おやつにも ひよこ豆の生産量はインドが世界一で、ベジタリアンの多いインドではカレーの具材に使われることも多く、日常的に食べられています。インドでは、ひよこ豆の外側の皮を取り除いて割った豆を「ダール」と呼び、カレーにもよく利用されています。また、ひよこ豆を粉末にした「ベサン粉」は、インド風天ぷら「パコラ」をはじめ、おやつや軽食にも用いられています。 この他にひよこ豆を使った料理としては、ひよこ豆のペースト「フムス」やひよこ豆のコロッケ「ファラフェル」も有名です。 レンズ豆の代替肉:ひき肉代わりとして使える レンズ豆とは レンズ豆は、レンズのように平たい形状をしています。レンズ豆には緑色やオレンジ色、褐色などさまざまな色があり、3~6ミリ程度と非常に小さいことも特徴です。日本ではあまり知られていない豆ですが、欧州などでは日常的に利用されていて、特にヴィーガンやベジタリアンの人たちに親しまれています。 レンズ豆は「世界五大健康食品」の一つに数えられていて、ビタミンB群やタンパク質、鉄分、食物繊維を多く含有しています。特に、皮付きの茶色のレンズ豆には100グラム中に9.4ミリグラムの鉄分が含まれていて、これは大豆の含有量よりも多いと言われています。 使用例:カレーや煮込み料理、サラダに レンズ豆はインドやネパールではカレーの具材として、イタリアやフランスなどの国では煮込み料理やサラダなどによく使われています。代替肉としての使い方として、レンズ豆は粒が小さいので、ひき肉のような感覚で利用することができます。例えば、ハンバーグを作る際にレンズ豆で代用する方法があります。 レンズ豆には特有の匂いがあるので、気になる場合は、スパイスを加えたり濃い味付けをしたりするのがおすすめです。レンズ豆は水を吸収しやすいため、あらかじめ水で戻す必要がなく、料理にそのまま使うことができるのも魅力です。 エノキート:キノコの旨味でおいしさ追求 エノキートとは エノキートとは、エノキタケとミートを組み合わせた名前です。エノキートはエノキタケを主原料として作られた代替肉で、農業法人である株式会社小池えのき(以下、小池えのき)によって開発されました。小池えのきの本社がある長野県中野市は、日本最大のきのこの生産地として知られ、エノキタケの生産量は全国の約4割を占めます。地元の食材を使った、新しいタイプの代替肉として注目を集めています。 エノキートには、発芽大豆から作られた大豆ミート「ミラクルミート(DAIZ)」を使用しています。ミラクルミートには、大豆独特のくさみがほとんどありません。ミラクルミートにはうまみ成分「グルタミン酸」が含まれていて、エノキタケのグアニル酸を組み合わせることでうまみが格段にアップし、動物の肉に劣らない独特のうまみが実現できます。 使用例:ハンバーグ エノキートを使った代表的な料理は、ハンバーグです。原材料は、エノキタケとタマネギ、大豆ミート、パン粉、調味料。原材料の半分以上が、エノキタケとタマネギです。5ミリ程度のみじん切りにしたエノキタケを使用することで、肉によく似た食感が生まれます。エノキタケは加熱すると独特のぬめりが出るため、つなぎの代わりになるという点からハンバーグに使うのに適しています。 エノキートのハンバーグは合いびき肉を使った通常のものに比べて、脂質やカロリーが少なく食物繊維が多いとされています。大豆ミートを使用しているため、タンパク質の量は通常のハンバーグとほとんど変わりません。ヘルシーでありながらタンパク質がしっかり摂取できるので、ベジタリアンやヴィーガンの人たちだけでなく、健康への意識が高い人にも支持されています。 まとめ 世界中で需要が高まっている、代替肉。代替肉と一口に言ってもその種類は多く、今回紹介した4種類以外にもさまざまなタイプがあります。 代替肉には私たちの健康維持や地球の環境保全につながるメリットがある一方で、原材料の調達や製造プロセス次第では、環境に負荷を与える可能性もあると言われています。今後、こうしたデメリットにどのように対応していくのかが課題でしょう。代替肉の分野は成長過程にあり、これからの展開に注目したいです。
代替肉とはどんな肉?大豆やきのこなど、原材料別に特徴を解説
NEW 2022.11.16

AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線

ゴミとして捨てられるプラスチックの多くが、適切に分別されないことにより、再利用の道が閉ざされているという嘆かわしい現実があります。この問題を高度なIT(情報技術)で乗り越えようと、オーストラリアの研究チームが動きました。飲料容器の分別を自動的に行うことができる「スマートビン技術」を搭載した画期的なゴミ箱を開発しました。 ITでゴミを自動分別、リサイクル率を向上 ​​オーストラリア最大の都市・シドニーがあるニューサウスウェールズ州では、年間80万トン出るプラスチックゴミのうち、リサイクルされているのはわずか10%だそう。これは、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の調べで分かりました。 プラスチックのリサイクルのプロセスは非常に複雑です。適切に分別がされないと、こうした事態に陥ります。リサイクルできない廃棄物の一部が焼却場行きとなれば、その分温室効果ガスの排出量が増えます。これらがきちんとリサイクルに回れば、地球温暖化にも大いに貢献するでしょう。 問題解決に向けて、シドニー工科大学(UTS)の共同研究チームは、ゴミの中から自動的に飲料容器を選り分ける機能を搭載したゴミ箱を開発しました。その名は「スマートビン技術」。これにより、最も多い廃棄物のひとつである飲料容器のリサイクル率を向上させることができます。 人工知能(AI)、ロボット工学、画像の認識技術などを組み合わせた先端テクノロジーが搭載されたこのゴミ箱は、ガラスや金属、プラスチックなど素材別に仕分けしてくれます。さらに、ペットボトルの素材となるポリエチレンテレフタレート(PET)や、シャンプーボトルに使われる高密度ポリエチレン(HDPE)など、プラスチックをさらに細かい種類別に分けることができます。 方法としては、まずゴミをカメラで撮影し、AIアルゴリズムを実行して、膨大なデータを処理・分析することにより分類します。そしてIoT(モノのインターネット)を含む最新のロボット技術により、重さや物質、素材を感知してゴミを分別するという仕組みです。 スマートビン技術の社会実装の日は近い 今後、あらゆる地域でスマートビン技術搭載のゴミ箱が利用されるようになれば、プラスチックゴミのリサイクル率は飛躍的に向上し、業者による回収作業もより素早く正確になります。研究チームは、このゴミ箱を管理するシステムの開発を進めています。システムが実用化されれば、ゴミ箱の所有者が、ゴミ箱の充填具合などの状態を遠隔で監視、点検できるようになります。ゴミ箱が満杯になった時、ゴミ箱を空にする必要があることを知らせる通知が表示されるという仕組みです。また、地域の人々にとっては、自分がどれだけリサイクル活動に貢献しているかがアプリに記録され、そのことを通知として受け取ることができます。 この実証実験は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の研究プログラムの一環として行われています。同機構は2030年までに、オーストラリアで排出されるプラスチック廃棄物を80%削減することを目指しています。スマートビン技術はまだ試作段階ですが、いずれはショッピングセンター、学校、映画館、カフェ、企業、空港などにスマートビン技術搭載のゴミ箱が設置される予定です。
AI搭載のゴミ箱で分別。環境大国オーストラリアが行くリサイクル最前線