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NEW 2022.09.28

自社商品への情熱ゆえ?環境配慮のマーケティングに潜むリスク

スウェーデンに拠点を置き、20か国で植物性ミルクを販売する大手企業「Oatly(オートリー)」。環境配慮をアピールする同社の広告表現が誇張されており、消費者に誤解を招きかねない内容だとして、イギリス広告基準局(ASA)が禁止措置を講じました。環境への取り組みをマーケティングに利用する企業が増える中、果たしてそれがエビデンスに基づくふさわしい内容なのか、環境意識の高い欧州で問題視されるようになっています。その背景には、日本でも浸透している「サステナブル」などの言葉の定義のあいまいさがあるようです。 植物性ミルクの最大手、100件以上の苦情が殺到 ASAは2021年9月、根拠がなく誤解を招くような環境に関する主張を宣伝する企業に対して、以前より厳しく取り締まる姿勢を明らかにしました。そうした中、自社の植物性ミルクが一般的な牛乳より優れており、肉や乳製品を摂取することが環境に悪いと訴えたオートリーの翌年1月の広告に対し、自社製品を有利にしようと環境配慮を誇張しているのではないかと、市民や団体などから100件以上の苦情が寄せられました。   イギリスの広告分野における独立規制機関であるASAは、オートリーの広告は内容を裏付けるだけの十分な根拠を示しておらず、消費者の誤解を招くものであったとし、苦情の大半を支持し、同社に対して広告の禁止を言い渡したのです。   オートリーは、この経緯を全面的に受け入れ、より科学的な根拠に基づいた分かりやすい表現を心掛けるべきだったとして、禁止を受けた広告を削除しました。ただし、苦情が寄せられた広告すべてに環境配慮を誇張した表現があった訳ではありませんでした。一部については、客観的に実証された内容であり苦情の内容に当たらないと、ASAから掲載の継続を認められています。 環境配慮を装う「グリーンウォッシュ」が問題に 気候変動対策が迫られる今、企業がマーケティングにおいて「サスティナブル」や「環境に良い」といった言葉を使う機会は急増しています。そうした中で顕在化してきた問題が、自社のブランドが「環境に優しい」ことを強調し、消費者の関心を引くやり方です。 中には環境意識の高い消費者をあざむく悪質なものもあり、「グリーン=環境に配慮した」と「ホワイトウォッシング=都合のいいようにごまかす」を合わせた造語で、「グリーンウォッシュ(グリーンウォッシング)」と呼ばれています。 うそやでまかせが横行すれば、消費者が環境配慮をうたう企業を信用しなくなるばかりか、きちんと環境問題と向き合う誠実な企業まで疑われる皮肉な状況が生まれます。実際には悪意がなくとも、商品のメリットを熱心に訴えたいがあまりに、グリーンウォッシュと捉えられてしまうケースもあります。このような事態を避けるには、情報発信の際は裏付けとなる客観的なデータに基づき、あいまいな表現は控えなければなりません。 企業側が真摯な姿勢を示すことはもちろん、消費者側が冷静に判断することも求められます。「サスティナブル」などの言葉を巧みに利用して、感情に訴えかけるグリーンウォッシュには注意が必要です。
自社商品への情熱ゆえ?環境配慮のマーケティングに潜むリスク
NEW 2022.09.27

食品の「無添加」表示に規制強化。煩雑化やコスト増の懸念も

2022年3月30日、消費者庁は「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定しました。これにより、食品の包装などに「無添加」「不使用」と記載する際の規制が厳しくなります。今回の記事では、その背景と共に、ガイドラインの概要や現場での対応について紹介します。 分かりやすい表示を、添加物にガイドライン 消費者庁が今回のガイドラインを策定した理由として、「消費者の誤解を招くような表示の多さ」が挙げられます。これまで「無添加」「不使用」という表記について明確なルールはなく、食品メーカーの判断に委ねられていました。 そのため、パッケージに「無添加」と書かれていても「具体的に何が不使用なのか分からない」という声もありました。食品を加工する際に添加物を使わない「無添加食品」の場合、原材料には添加物を使っていることもありました。 このような分かりづらい食品表示を改善するために、消費庁が発表したのが今回のガイドラインです。ガイドラインの策定にあたり2021年3月から計8回の検討会が開催され、消費者や事業者に対するヒアリングや、食品添加物の使用状況の調査が行われました。 パッケージ変更を求められる食品メーカー ガイドラインでは、禁止事項に該当する可能性がある不使用表示を10個の類型に分けて示しています。その中には「何が無添加なのか分からない単なる『無添加』の表示」「健康や安全と関連付ける無添加や不使用の表示」が含まれています。 今回のガイドライン策定を受けて、食品メーカーなどではパッケージの変更が必要となり、製造コストや情報管理などの手間が増えることが懸念されています。不適切かつ過度な食品表示を減らし、食の安全を担保することができる一方で、無添加表示が煩雑化していく可能性も否定できません。 2024年(令和6)年3月末までの移行期間が設けられており、ガイドラインに沿った分かりやすい食品表示への移行が求められています。
食品の「無添加」表示に規制強化。煩雑化やコスト増の懸念も
NEW 2022.09.23

ハラル認証の対象商品とは【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.6】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。9月は台風シーズンです。日本列島に毎年いくつかの台風が上陸して大きな影響が出ます。日本は梅雨前線が停滞したり台風の通り道だったりしますが、おいしい水や農作物など恵みもあります、そんな島国ニッポンの原料を世界に発信していきたいですね? 今回は第6回となり、全体の折り返しになりますが、よろしくお願いします。シルバーウィーク中の皆さんも多いと思いますが、夏の疲れをしっかり取って、リフレッシュしてください。そして食欲の秋ですから、全国のおいしいものも食べてください!! 今回は「ハラル(ハラール)認証の対象商品は?」を解説していきます。イスラム諸国でも国によって対象商品が違うことをまずは理解してください。 時代と共に変わるハラル認証の対象商品 イスラム教が誕生して約1400年、ハラル認証ができて約60年ですから、時代によりハラルの対象範囲が違うことは理解できると思います。 また、昔はなかったけれど今あるモノやサービスについては常にハラル性が議論されています。例えば、遺伝子組み換え商品はハラル?それともハラルではない?はたまた、携帯電話の電磁波は?と、ハラル認証は時代によって変化し、進化するものだと考えるといいと思います。ただし、畜肉が一丁目一番地であることはイスラム諸国共通で変わりません。 ハラル認証のメインは「口に入れるもの」、つまり食べ物です。「食品・健康食品」などがメインに展開されています。そして、その次に来るのが「肌につけるもの」。化粧品や生活用品などの製品群になります。最後に、肌着などの「身に着けるもの」。体に触れるハブラシや製品のパッケージ、包装なども対象になると言われています。そうした完成品に使われる原材料は、今後ますますハラル認証の取得を要求されることが多くなってくると考えられます。 前回解説した東南アジア、南西アジア、そして中東の一部の国が主な対象で、特にマレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンでもハラル認証が必要とされています。 インドネシアやマレーシアで広がるハラル認証商品 インドネシアやマレーシアのハラル認証商品の例を見てみましょう。この2か国では従来のハラル認証商品(畜肉、調味料、加工食品など)に加え、こんなものまでハラル認証が必要なの?と思えるモノにまで、ハラル認証商品が広がっています。ある意味、新種ともいえるハラル認証がモノ・サービスの分野で、さまざまなパターンで増加しているのです。 「口に入れるもの」の食品では、最近は農水産物の一次加工品にもハラル認証があります。例えば、米、牛乳、卵、キノコの一次加工品のほか、リンゴジュース、カットした魚のフィレなどがあります。穀物・果物・野菜・水産品のそのものはそもそもハラルであるとされますが、ハラル認証工場で使用する場合の原材料としてハラル認証が求められることが増えてきました。 「肌につけるもの」の分野では、ハラル化粧品は今、インドネシアで大きく進化しようとしています。ハラル化粧品の分野は現在、インドネシアのトップランナーで、多くの原材料にハラル認証が要求されるようになっています。 「身に着けるもの」である衣料品のハラル認証も、インドネシアで大きく進化しています。例えば、紙おむつの類はインドネシアではほとんどハラル認証がついています。おしりふき、粉ミルクといったベビー用品には特に多いのが特徴です。 その他、冷蔵庫、テレビ、めがね、綿棒、浄水器、リップクリーム、目薬など、多くの身近な商品にハラル認証がつくようになりました。こうした新種のハラル認証商品はインドネシア、マレーシアなどハラル認証先進国に多いような気がしますが、国により大きく違うのが特徴です。 次回は原材料の「インドネシアハラル(ハラール)認証BPJPHは」について解説したいと考えます。10月の第4金曜日を楽しみにしてください。引き続きよろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)
ハラル認証の対象商品とは【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.6】
NEW 2022.09.22

ドール初!バナナの量り売り。目指すは食品ロス削減と脱プラスチック

2022年6月から、株式会社ドールはバナナを量り売りする企画を始めました。フルーツロス削減と脱プラスチックに役立つ新しい試みとして話題を集めています。人にも環境にも優しいエシカルな行動を体現する同社の取り組みを紹介します。 プラスチック袋で1房包装の常識を覆す 通常のバナナは、1房ごとにプラスチック袋に包装されて販売されることが一般的です。1房につき4~5本入っていて「食べきれずに廃棄している」という消費者の声の他、「少ない本数で購入したい」「熟成度合の異なるバナナの食べ比べをしたい」といった要望が、以前からドールに寄せられていたそうです。 こうした背景から、バナナを必要な分だけ購入できる「量り売り企画」が店頭でスタート。この取り組みにより、食品ロスとプラスチックゴミの削減が期待されています。 量り売りでの購入方法は、まず、袋詰めされていないバナナを買いたい量だけはかりに載せます。すると、重さに応じて価格が表示され、機械から出てきたラベルを紙袋に貼って、レジで代金を支払うという流れです。 今回の企画は、イトーヨーカ堂やヤオコーなどの量販店と提携して行われています。購入方法を店頭で説明するスタッフを配置するなど、消費者が利用しやすいように工夫が施されています。 「エシカルバリューチェーンプログラム」として展開 ドールではこの量り売り企画を第一弾として、「バナナエシカルバリューチェーンプログラム」を展開しています。このプログラムは、バナナを生産から消費者の食卓に上るまでのプロセスを通して、人や社会、地域、環境に優しい取り組みを行い、その価値をつないでいく試みです。 量り売り企画と併行して、バナナの皮などの生ごみを分解・熟成して堆肥を作る「コンポスト企画」も実施しました。この企画は、量り売りでバナナを購入した人の中から参加者を募り、当選者にコンポストをプレゼントして家庭での生ごみの堆肥化のプロセスを体験してもらうというものです。 こうした一連の取り組みが注目され、同プログラムは、環境省の「令和4年度 地方公共団体及び事業者等による食品廃棄ゼロエリア創出の推進モデル事業等」に採択。食品ロス削減と食品リサイクルを実効的に推進するための先進事例と評価されています。
ドール初!バナナの量り売り。目指すは食品ロス削減と脱プラスチック
NEW 2022.09.21

食べられる昆虫は1900種類!アジアやアフリカに根付く昆虫食文化

タンパク質危機を契機に注目が集まる昆虫食。実は、世界で食べられている昆虫は1900種類にも及ぶとされ、アジアやアフリカ、中南米を中心に昆虫を食べる食文化が見られます。こちらの記事ではこれから昆虫食をリードしていくであろうタイとケニアの昆虫食文化を紹介します。 タイ:コオロギの養殖や商品開発が盛ん 韓国や中国、タイ、ベトナム、ラオスなどのアジアの国々では、古くから昆虫食が盛んです。特に昆虫食が浸透しているタイでは、スーパーマーケットの食材コーナーに昆虫のサナギや幼虫が並んでいたり、昆虫の佃煮を売る屋台を目にしたりすることも珍しくありません。特に人気があるのはコオロギで、タイ国内での養殖が広がっています。 最近のタイでは、コオロギのスナック菓子やコオロギパウダー、コオロギオイルなど、コオロギを原材料にしたさまざまな加工食品が登場しています。スナック菓子「HISO(ハイソー)」は、小さな種類のコオロギを使用したもので、現地のコンビニエンスストアでも入手できます。また、コオロギパウダーは輸出用としての需要も高く、タイの昆虫食ビジネスに注目が集まっています。 タイ・チェンマイの屋台に売られていたコオロギです。(2022年9月) ケニア:栄養豊富なシロアリは伝統食 アフリカには、昆虫を食べる地域が数多くあります。アフリカ東部のケニアで最もよく食べられている昆虫は、シロアリです。現地にはシロアリを使った伝統食「クンビクンビ(kumbikumbi)」という料理があり、シロアリは古くから食べられている食材です。 シロアリには、良質な動物性たんぱく質や脂質のほか、カルシウム、鉄分、アミノ酸などが豊富に含まれています。栄養失調を改善するための食材として、期待が集まっています。 日本ではシロアリと言えば住宅の床下で暮らすアリ(職蟻)を意味することが多いですが、現地で食べられているのは別の種類のアリ(羽蟻)です。職蟻は大量に採集することは難しいですが、羽蟻の場合は5月頃の飛び立つ時期であれば、たくさん捕まえることができます。シロアリはインターネット通販などでも販売されていて、新しいタンパク質源として注目されている昆虫食のひとつです。 昆虫学者である三橋淳氏の書いた『虫を食べる人びと』(平凡社ライブラリー)によれば、世界ではハチやイナゴに加えて、セミやアリ、カブトムシ、カミキリムシの幼虫やサナギ、成虫も食べられているそうです。アジアやアフリカに根付く昆虫食文化は、昆虫食の未来を考えるヒントになるかもしれません。   (写真:インターン_今川恵介)
食べられる昆虫は1900種類!アジアやアフリカに根付く昆虫食文化
NEW 2022.09.15

人と環境にやさしい!注目のプラントベース(植物由来)ミルク​とは

地球環境や自身の健康のことを考えて、プラントベースの食事を選ぶ人が増えてきました。牛や豚の肉を食べないことはもちろんですが、いざ実践してみると、毎日の食卓に欠かせないものが、実は動物由来の食品であったことに改めて気付かされます。その代表格が牛乳です。 プラントベースフードに興味は持ったものの、「牛乳なしではやっていけない・・・」と挫折しそうになっている方も、安心してください。プラントベースフードへの関心が高まる中、多種多様なプラントベースミルクが登場し、美味しいものを選べるようになってきました。 注目のプラントベースミルクをご紹介します。 欧州で人気な「ポテトミルク」 さまざまな種類のプラントベースミルクが次々と登場する中、次にブームになると予測されているのが「ポテトミルク」です。ヨーロッパで新商品が発売されたことを受け、人気に火がつきました。 ジャガイモ由来のプラントベースミルク 名前の通り、ジャガイモを主原料として作られたポテトミルク。従来のポテトミルクは粉末タイプのみでしたが、スウェーデン発のブランド「DUG」が液体タイプのものを発売したところ大ヒット商品に。2021年10月にイギリスの高級スーパーマーケットが「2022年にポテトミルクが人気になる」と予測し、一躍注目を集めました。 ポテトミルクは、ジャガイモ特有の香ばしさがあり、クセが少なく、飲みやすいのが特徴です。植物性ミルクによくある水っぽさも少なく、ミルクらしいクリーミーな味わいがあります。DUGのポテトミルクの原料には、ジャガイモの他に、菜種油やビタミン、香味料、えんどう豆のタンパク質、チコリ由来の食物繊維などが使われています。 栄養豊富なのに低カロリー イギリスでは植物性ミルクの人気が高く、利用する人が増えています。市場調査会社ミンテルの調べでは、植物性ミルクの利用率は2020年の25%に対して2021年には32%に達し、過去最高を更新しています。 さまざまな新商品が登場する植物性ミルク市場にあって、ポテトミルクが注目される理由は大きく2つあります。1つ目は、環境にやさしいということ。ジャガイモは栽培しやすく、大豆やアーモンド、オーツなどの他の植物性ミルクの原料と比較して、約2倍も効率よく土地が利用できるとされています。 また、原料の調達から使用後のリサイクルに至るまでの全工程で排出される温室効果ガスと水の消費量を示した「カーボンフットプリント」と「ウォーターフットプリント」の数値は極めて低く、環境への負荷を大幅に減らすことができます。こうした事実を踏まえて、DUGは「ポテトミルクは最もサステナブルな代替ミルクである」と述べています。 2つ目は、カルシウムや食物繊維などの栄養が豊富であるにもかかわらず、糖質や脂質が少なく低カロリーであること。アレルゲンとされる乳糖や大豆、グルテン、ナッツなどは含まれていません。味だけでなく、人にも環境にもやさしいポテトミルク。日本ではあまり知られていませんが、人気が出る日もそう遠くないかもしれません。 味だけじゃない「オーツミルク」 ポテトミルクと並ぶ、注目株は「オーツミルク」。おいしさはもちろんのこと、その健康効果が話題を集めています。 オーツ麦のプラントベースミルク オーツミルクの主原料は、オーツ麦。別名「えん麦」とも呼ばれる穀物の一種であり、オートミールやグラノーラなどにも使われています。オーツミルクは、オーツ麦を水に浸して混ぜ、裏ごしして作られます。他の植物性ミルクに比べて、味にクセが少なく、クリーミーでほのかな甘みがあるのが特徴です。 市販のオーツミルクは無添加の素朴な甘さのもののほか、砂糖などで甘さを付けたものや栄養素を加えたものなどさまざまなタイプがあります。インターネット通販やスーパー、コンビニエンスストアなどでも購入することができます。 オーツミルクにはさまざまな栄養が含まれており、特に食物繊維を豊富に含有しています。注目すべき点は、オーツミルクの食物繊維には、ベータグルカンが多く含まれているということ。ベータグルカンは悪玉コレステロールの抑制や生活習慣病の予防に効果が期待されています。 他の植物性ミルクと比較して、オーツミルクは原料が穀物であるため、カロリーや糖質はやや高いとされています。ただクリーミーな風味があり、物繊維が豊富に含まれていることから、少量でも満足感を得やすいです。 オートミールと好相性 オーツミルクはそのまま味わうこともできますが、アレンジすることで飽きることなく楽しめます。簡単なアレンジ方法としては、牛乳の代わりにオーツミルクを使ってカフェオレや抹茶オレを作ること。このほか、昨今ブームになっている「ゴールデンラテ」に使うのもよく合います。ゴールデンラテとは、ターメリックというスパイスに牛乳などのミルクを加えて温めた飲み物のこと。栄養価の高いターメリックを手軽においしく摂取できます。 また、オートミールにオーツミルクを加えて朝食を作るのもおすすめです。ホットケーキや焼き菓子などを作る際に、牛乳や豆乳の代わりにオーツミルクを使うのもよく合います。普段の飲み物やお菓子づくりなどにオーツミルクを使ってみると、意外なおいしさを発見できるかもしれません。 最も身近な「アーモンドミルク」 プラントベースミルクの中では割と知られている古株かもしれません。最後に、「アーモンドミルク」について紹介します。 牛乳・豆乳に次ぐ「第3のミルク」 アーモンドミルクはその名の通り、アーモンドを原料にしたプラントベースミルクです。水に浸してふやかしたアーモンドをミキサーなどで細かく砕き、ろ過して作ります。ちょうど大豆から豆乳を作るのと同じような作り方です。舌触りはさらりとしていて、味わいもすっきりとしており舌残りもあまり感じられない軽い飲み口のものが多いという特徴があります。アーモンドの香り、風味がありますが、豆乳のような癖はなく、飲みやすいと感じる人が多そうです。 市販品は、そのタイプにより飲みやすくおいしい味重視のもの、砂糖不使用でアーモンドミルク本来の栄養重視のもの、さまざまなフレーバーつきのものなどラインナップが豊富です。アーモンドの含有率も製品により約3~12%と幅があります。栄養成分表示などで確認してみると良いでしょう。 スーパーの乳製品売り場でも販売されていることが多く、気軽に購入できます。牛乳、豆乳に次ぐ「第3のミルク」と呼ばれることもあるようです。 ナッツ由来だから栄養抜群 アーモンドにはオレイン酸、ビタミンE、食物繊維などが豊富で、そのまま食べてもさまざまな栄養を摂取できます。アーモンドミルクでは細胞壁を砕いて液状にしますので、より効果的に栄養素を吸収できるのです。牛乳や投入に比べて低糖質・低カロリーなので、ダイエットにもぴったり。しかも豊富な栄養素で健康や美容面でも効果も期待できます。 なお、市販品では砂糖などの糖分が添加されている商品が多いので、飲みすぎて糖分の過剰摂取にならないように気をつけましょう。またアーモンドアレルギーがある場合にはアーモンドミルクでもアナフィラキシーショックを起こす場合があるので、注意が必要です。 飲料としてそのまま飲むだけでなく、料理に使うのもおすすめです。カレーやポタージュなどスープのベースにすると牛乳を使う時とは一味違った味わいが楽しめます。アーモンドの風味を生かしてスイーツにアレンジするのもよさそうですね。
人と環境にやさしい!注目のプラントベース(植物由来)ミルク​とは
NEW 2022.09.14

欧米が注目する「第3の代替肉」。植物性でも動物性でもない新素材

目に見えない菌類を主原料とする​​​​新しい代替肉が欧米で注目されています。代替肉にはさまざまなカテゴリーがありますが、キノコ由来の微生物を培養して作る「第3の代替肉」は、美味しさや汎用性の高さに加え、環境への負荷が少ないのが特徴です。地球環境を守るという点において最も優れた代替肉と言えるかもしれません。  キノコ由来の菌類をベースに生成 環境への負担に配慮して作られる代替肉は、これまで大きく2種類に分けることができました。大豆などを原料とした植物由来(プラントベース)のものと、研究室で細胞を培養する動物由来のもの(培養肉)です。しかし欧米では今、これまでとは全く違う形で作られる「第3の代替肉」に注目が集まっています。それが、菌類などの微生物から作られる代替肉です。 菌類を含む微生物は、私たちの食生活にとって、とても身近な存在です。とりわけ日本はその結びつきが強く、味噌や納豆、日本酒といった発酵食品は伝統的な食文化となっています。また、ビールやパンも同じように、微生物による発酵の作用で作られる食品です。 「第3の代替肉」は、例えるなら、キノコとバイオテクノロジーを掛け合わせて製造するというようなイメージです。主な原料となるのは、キノコの根っこの部分に当たる菌糸体です。糸状菌の集合体である菌糸体は、動物の筋肉組織に非常に似ているため、応用力に優れています。好きな形状、質感、風味で調理することができ、赤身の肉と同じくらいジューシーで柔らかく美味しいという三拍子そろった逸材です。 加えて、タンパク質、鉄分、ビタミン、ミネラルといった栄養素が豊富に含まれている点も、大切なポイントです。糸状菌の集合体である菌糸体は食物繊維も豊富で、食後に満腹感が得られやすく、食事量の調節や体重管理にも向いており、健康食品としても優秀です。 最も環境にやさしい代替肉 近年、地球環境を意識してベジタリアンになる人が増えています。とはいえ、そうした流れを飲み込むような猛烈な勢いで、世界人口が増えているのも揺るぎない事実です。 第3の代替肉の原料になる微生物は、糖分をえさとして培養液の中で育ちます。この微生物と同量のタンパク質を得るには、牛であれば放牧や飼料生産のための広大な農地を必要とします。微生物のえさとなる砂糖を生産するためのコストを考慮したとしても、微生物由来の代替肉は、畜産よりもはるかに省スペースかつ省エネルギーで効率よく製造できます。 ドイツとスウェーデンの研究チームは、2050年までに人が食べる牛肉の20%を菌類由来の代替品に置き換えると、森林破壊を50%も削減できることを明らかにしています。菌類由来の代替肉を増やして、肉牛の数を減らせば、森林伐採を食い止めるだけでなく、牛が排出するメタンガスなどの温室効果ガスを削減できます。 地球環境が危ぶまれる時代に、大きな環境負荷をかけずとも、優れた栄養・食感・味を持つ自然食品を提供してくれる微生物のポテンシャルは底しれません。この新しい代替肉は、私たちの食のシステムを変えていくための重要な足掛かりになるでしょう。
欧米が注目する「第3の代替肉」。植物性でも動物性でもない新素材
NEW 2022.09.13

環境意識で割高感をカバー!脱ペットボトルで消費者の心をつかむ

ペットボトルは非常に優れた使い勝手のよい容器ですが、プラスチックごみ問題という環境への影響を考えると、脱ペットボトル・脱プラスチックという方向性を無視することはできません。今回は脱ペットボトルの動きを、大塚製薬のポカリスエット瓶、無印良品のアルミ缶飲料という2つの事例から紹介します。 ポカリスエットはガラスのリターナブル瓶に 2022年7月12日、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、茨城県、京都府のイオン・イオンスタイル66店舗で、大塚製薬「ポカリスエット リターナブル瓶」の販売が開始されました。爽やかな水色のガラス瓶は、おなじみのロゴが入っていながらもペットボトルや缶とは異なるガラスの質感が新鮮です。原材料などの表示は王冠への印字で対応しており、ラベルレスで余分なごみも出ません。空き瓶は売り場に併設された循環型ショッピングプラットフォーム「Loop(ループ)」を利用して回収・洗浄・再利用されます。容器を使い捨てにしないことで容器製造にかかる環境への負荷を低減できるほか、リターナブル瓶の循環を消費者が認識することで循環型社会に参加しているという当事者意識をもたらすメリットもあります。内容量は250mlとペットボトルの半分ながら、価格は248円。この248円にはデポジットの瓶代が含まれており、空き瓶を専用ボックスに返却すると77円が戻ってくるシステムです。ペットボトルに比べると高いのですが、リターナブル瓶という話題性、ガラス瓶のデザイン性の高さ、環境への配慮などから売り切れ続出の人気となっています。 無印良品は全ての飲料をアルミ缶へ 1980年のブランド創生時から環境に配慮した商品開発を続けている無印良品は、2021年4月23日から全ペットボトル飲料をアルミ缶へと容器変更しています。アルミ缶は日本国内のリサイクル率がおよそ98%と非常に高い循環型資源です。しかも、再生アルミはバージン素材からアルミを製造するよりも97%もエネルギーを削減でき、省エネルギー効果に優れています。加えて、アルミ缶を採用したことで遮光性が高く炭酸の抜けにくい容器となり、賞味期限が長くなってフードロスの削減にもつながるといううれしい効果もありました。お茶の賞味期限は270日から310日へと40日間、炭酸飲料では180日から270日へと90日間も伸びました。ただ、アルミ缶は中身が見えないため、ペットボトルの透明感に比べると購買意欲をかき立てる力に欠けます。そして、コスト面から内容量が減り、実質的な値上げになりました。しかしながら、無印良品の環境に配慮する姿勢への共感や、SDGsへの配慮から購入する人も多く、ペットボトルで販売していた時と比べても好調な推移を見せているといいます。 消費者も歓迎する環境配慮の意識 どちらの事例も、ペットボトルよりも実質的に高いというデメリットをはねのけて話題を呼び、好評を博しているのが印象的です。価格は購入要因として重要ではありますが、それだけが決定打となるわけではありません。環境への取り組みやペットボトルとは異なる容器の魅力をアピールすることで、価格面でのデメリットははねのけることができると、これら2つの事例が証明してくれています。SDGsという言葉が広く使われるようになり、社会全体の環境意識が年々高まる中、環境に配慮する企業の姿勢は消費者の共感を呼び、高く評価されているといえそうです。
環境意識で割高感をカバー!脱ペットボトルで消費者の心をつかむ
NEW 2022.09.08

プラントベースの新メニュー続々と。スタバはソイパティのマフィンを発表

2022年6月1日、スターバックスが「プラントベース」フードメニューを拡充しました。プラントベースの需要が高まりつつある昨今。市場の変化をいち早く捉えた大手企業の動きに、注目が集まります。 スタバの定番「シュガードーナツ」も新登場 スターバックスはサマーシーズン第2弾として“Yori Dori Midori”をテーマにして、おいしい「“ミドリ」”、楽しい「“ミドリ」”、サステナブルな地球の未来に想いを込めた「“ミドリ」”が感じられる商品やサービスを展開しています。その一つとして、プラントベースという選択肢が提案されています。 プラントベース商品は、主な原材料に動物性食材を使わず、植物性食材を使用したものです。今回発表されたフードメニューは、5つあります。朝食や昼食にも適した「スピナッチコーン&ソイパティ イングリッシュマフィン」と「トマト&ソイボール 石窯フィローネ」、「シェイクンミール ソイボロネーゼ」に加えて、コーヒータイムにぴったりの「シュガードーナツ」と「アーモンドミルクの抹茶ムース」です。 イングリッシュマフィンには肉の代わりに大豆を使ったソイパティ、石窯フィローネには豆から作られたソイボールとプラントベースのチーズ(乳不使用)を挟んでいます。どちらも風味が豊かで、食べ応えのある商品です。また、スターバックスの定番商品「シュガードーナツ」は、プラントベースにリニューアルして再登場。「長年愛されてきた従来品に負けないおいしさ」と好評のようです。 カゴメやミツカンもプラントベース商品を展開 スターバックスだけでなく、プラントベース商品の開発に取り組む企業は増える傾向にあります。 カゴメは、プラントベースのレトルトカレーやパスタソース、エスニック料理用のソースなどを販売しています。手軽に利用できるように、一人分のサイズで提供しているのも特徴です。 ミツカンでは、素材本来のおいしさと栄養を最大限に引き出したプラントベース食品「ZENB(ゼンブ)」を展開。野菜を丸ごとペースト状にした「ZENB PASTE(ゼンブペースト)」や黄エンドウ豆100%の麺「ZENB NOODLE(ゼンブヌードル)」など、さまざまなバリエーションがあります。SNSを中心に「おいしい」「身体にやさしい」といった口コミで話題になっています。
プラントベースの新メニュー続々と。スタバはソイパティのマフィンを発表
NEW 2022.09.07

米国で話題!一歩先を行く「プラントベースホールフード」とは

植物性の食材から作られるプラントベースの食品は、肉や魚、卵に代わるものとして急速に広がりつつあります。アメリカではプラントベースのホールフードという考え方が登場し、味と健康を両立するとして話題を集めています。日本でも食肉代替の植物性食品が急速に広まる中、一歩先を行くアメリカの最新事情を紹介します。 プラントベースホールフードは未精製・未加工の植物性食品 プラントベースホールフードを一言で説明すると、精製・加工がされていない植物性の食品のことです。プラントベースフードの中でもより自然に近い食品を指し、素材を丸ごと食べることを意味しています。 たとえば、大豆ミートは大豆などの植物性の原料を加工した食品であり、プラントベースフードの代表的な食品です。しかし、加工しているという点から、大豆ミートはプラントベースホールフードには含まれません。 プラントベースホールフードの例としては、野菜や果物、玄米やキヌアなどの全粒穀物、豆類、ナッツなどが挙げられます。プラントベースホールフードの基本は、野菜や果物の皮や茎、種まで食べること。購入する際には、自然栽培で作られたものなど残留農薬の不安がないものを選ぶようにするようにするのがおすすめです。 日本には昔から「一物全体食」という考え方があり、白米よりも玄米を選んだり、野菜や果物は皮ごと食べたりすることが推奨されてきました。プラントベースホールフードは、一物全体食にも通じる考え方と言えるでしょう。 プラントベースホールフードは環境負荷が少なく、栄養が豊富 プラントベースホールフードを取り入れるメリットは、大きく2つあります。1つ目は、環境負荷が少なくて済むということ。食材を丸ごと食べるので食材の無駄が少なく、食品ロスの削減につながります。また、自然栽培などの食材を選ぶことにより、化学肥料や農薬の使用を減らすことができます。 2つ目は、安全な食材を選び丸ごと食べることで、栄養をしっかりと摂取できるということです。野菜や果物の皮には栄養が豊富に含まれているためです。 アメリカで人気が高まっている、プラントベースのホールフード。WHO(世界保健機関)やFAO(国際連合食糧農業機関)においてもその効果が認められていて、今後さらなる注目が予想されます。
米国で話題!一歩先を行く「プラントベースホールフード」とは
NEW 2022.09.06

植物由来のえびが話題に。肉から魚に拡大する代替食品

2021年10月、スイス食品大手ネスレがエビ代替食品を開発したことを発表し、一躍注目を集めました。植物由来の原料で肉を代替するプラントベース商品は魚介類にも広がり、ますます勢いを増しています。今回の記事では、植物由来のエビの原材料や特徴と共に、各国で開発が盛んに行われているプラントベースフードの現況を紹介します。 ネスレが植物由来のエビを開発 ネスレはエビの代替食品を開発し、スイスとドイツの一部店舗でテスト販売を開始すると発表しました。同社では植物由来食品の開発に力を入れていて、すでに肉や魚、牛肉の代替品を販売しています。シーフードについては商品ラインナップの拡充を進めている段階で、エビだけでなくヴィーガン用ツナ缶の販売をスタートしました。 今回開発された植物由来のエビは、海藻やえんどう豆、こんにゃくなどの原材料から作られています。エビ独特のジューシーな食感と風味を再現するべく、原材料の選定や加工を行いました。植物由来のエビの利用シーンとして、サラダやパスタ、ピザなどへの展開が想定されています。 30年で100倍に拡大するマーケット 植物由来の代替食材に対する需要は年々高まっていて、世界中で新商品が登場しています。金融大手クレディ・スイスが2021年6月に実施した調査によれば、世界の肉類や乳製品の代替食品の市場規模は2050年までに1兆4000億ドルにも上ると言われています。2021年時点での市場規模は140億ドルなので、約30年間で100倍の規模に拡大するという計算になります。 現時点では代替シーフードの売り上げは少ないものの、植物由来食品の人気は、魚介類にも今後広がっていくと予想されています。こうした流れを受けて、ネスレだけでなく、他の企業も植物由来のシーフードの開発に着手しています。 世界最大規模のタイのシーフード食品加工会社「Thai Union Group」では、「植物由来のエビで天ぷらを提供する」と発表。同社では、カニのハンバーグや点心などをすでに発売していて、今後の展開に注目が集まります。 この他、数々のヴィーガン商品を手掛けてきた「Upton’s Naturals」では、バナナの花を使った魚肉の代替食品を発表する予定。バナナの花は、東南アジアやインドなどでは食材として用いられることも多く、料理すると魚によく似た食感になります。また、米大手スーパー「Trader Joe's」では、プラントベースのシーフードの入荷を検討するなど、シーフードの代替食材の市場規模は確実に拡大しつつあります。
植物由来のえびが話題に。肉から魚に拡大する代替食品
NEW 2022.09.02

タイ産コオロギの魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.3】

初めまして、私は昆虫食の生産、製造に携わっているタイ国 BRICKET社のタナプーンと申します。タイ国は昆虫食の伝統を活かし、生産・製造に関する法令等も整備し、安全で安心な商品をタイ国 ばかりでなく世界に提供しています。又、「美味しい食品」を目指して昆虫を使った数々の商品を開発・提供し ています。 弊社 BRICKET 社は2021年4月にアジア初のバーガ ー・レストランをオープンしました。このレストランで はバーガーだけでなく、コオロギを使用したパンも、調味料も、飲み物も提供しています。 バーガーのパティは先ず、新鮮なコオロギを茹で、脚, 羽、触手を丁寧に取り除き、細かく擦りおろしたうえで 厳選した牛肉と混ぜ合わせて製造しています。ハンバー ガーには欠かせないパンにもコオロギのパウダーを使用し、開発しました。調味料にもコオロギパウダーを使用 しています。コオロギパウダーを混ぜることにより、従 来の調味料の「うま味」が増しました。大きな驚きでした。 弊社は最近、新しいプロジェクトをスタートしました。 従来の“バウンスバーガー”から“BOUNCE to the Taste of Thailand’s Cricket”に拡大しました。従来のバーガー だけでなく、コオロギを使ったあらゆる食品を一堂にご 提供することにしました。フラッペ、クロッフル、タイ の伝統的なミニライスクラッカー、クリスピーアーモン ドトゥイル等々。又、コオロギばかりでなくタイ国で生 産されるサゴワーム、エリサン等各種昆虫ベースの食品 も一堂に集めてお客様に提供しています。勿論、すべて 安全、安心な食品です。「オール・イン・ワンプレイス」 を目指しています。 お客様個々のご関心に応え、常に私どもは新しい昆虫 食品の開発・提供を心掛けています。昆虫食の美味しさ を、そしてその将来性、可能性を信じ、タイ国全土に、 そして世界中の皆様に弊社の食品を提供するという大き な夢に向かって!! ( タナプーン/RICKET 社マネージング・ディレクター) 「TAKEO」と「ニチレイ」で 昆虫のいちばんおいしい瞬間を食卓へ 2022 年 7 月、TAKEO㈱は㈱ニチレイと資本提携にいたりました。TAKEO は昆虫食専門企業として、昆虫が野菜、魚、肉などと同じような食として楽しまれるより豊かな食卓の実現に向けて様々な事業に取り組んできました。今回の提携を通じてニチレイが持つ食品開発力を活用し、昆虫食品の開発、製造、販売を強化していきます。 昆虫の「いちばんおいしい瞬間」は、きっと採れたてのフレッシュな状態です。TAKEO が築いたお客様との信頼関係とニチレイの冷凍食品技術が組み合わせれば、近い将来、昆虫の「いちばんおいしい瞬間」を届けることができるようにはずです。今後のTAKEO にご期待ください。(ニチレイのプレスリリースはこちら) (三橋亮太/TAKEO 株式会社) TV ではこの時期になると、カブトムシやクワガタなどを取り上げた番組が数多く放映されます。日本では当たり前になっている、昆虫を採集して飼育する文化は世界でも稀なことの様です。日本には昔から昆虫と共に生活 をしてきた文化が根付いているのでしょうね。 ニュースレターは、NPO法人昆虫食普及ネットワークの公式HPで配信中です。
タイ産コオロギの魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.3】
NEW 2022.08.31

異常な熱波に苦しむジンバブエ、危機を救うのはアノ農作物⁈

アフリカ南部のジンバブエ共和国。気候変動による異常な熱波が、ジンバブエ国民の生活を容赦なく襲っています。国民のほとんどが小規模農家で自給自足の暮らしをしている同国では、ここ数十年で最悪の経済状態となっています。ところが近年ある作物の栽培に力を入れ始めたことで、復興の兆しが見えてきました。 熱波に負けない農家たちの“救世主” 首都から400キロ以上離れたゴクウェ南部。以前は盛んだったトウモロコシや綿花の栽培は、熱波の影響でほぼ不可能な状態にまでなっています。干ばつになると、トウモロコシなどの通常の作物は2週間も持ちません。そこでこれらに代わる、干ばつに強い作物への移行が急がれていました。 民間の国際協力組織が状況を打開するために動きました。農業ビジネスセンター、通称ABCと呼ばれる組織です。ABCは、ドイツの世界飢餓援助機構 (WHH) が運営し、欧州連合(EU)から資金提供を受けています。 ジンバブエの農業の救世主として白羽の矢が立ったのは、ヒマワリです。ヒマワリは干ばつに強い作物で、1ヶ月もの乾期を生き延びることができます。厳しい経済状況にあるジンバブエでは、農家が必要な資材を購入することも困難ですが、ヒマワリは大量の栄養剤を与えずとも豊作が期待できます。まさにジンバブエの土地柄に適した作物でした。 当時のジンバブエではヒマワリ市場は確立されておらず、多くのヒマワリ農家は零細産業として脇に追いやられていました。そこで、ABCは地域の6000以上の小規模農家と契約を結び、ヒマワリの栽培ノウハウを提供。個別の農家の所得向上を支援しています。ヒマワリの種子からヒマワリ油を加工できることにも着目し、さらなる収益性の向上を模索しています。 ヒマワリに続く期待の作物はマンゴー 厳しい日差しのもとでよく育つマンゴーは、ジンバブエ農業にとって期待の作物です。ところがここ数年、収穫したマンゴーを捨てざるを得ないという事態が相次いでいます。 新型コロナウイルスの大流行により、ゴクウェを含む地方の農家は、都市部に果物を売りに行くことができなくなりました。そこで、ABCは生のマンゴーを農家から買い取り、工場で加工してドライマンゴーとして売り出す支援を始めました。これにより、食べられるマンゴーの廃棄を防ぐと同時に、失業者が多くを占めていた若者世代の雇用を生み出しました。 ドライマンゴーは生のマンゴーと比べて4倍の価格で売れることに加え、国内外の需要も見込める魅力的な商品です。現在、ゴクウェ南部に4つの加工センターを運営するABCは、これまで国内向けだったゴクウェ産のドライマンゴーの販売を海外に広げ、輸出市場を積極的に開拓していく考えです。 ジンバブエの人々に寄り添う一連の支援は、SDGs(持続可能な開発目標)の一つ、「パートナーシップで目標を達成しよう」にも貢献するものとなっています。
異常な熱波に苦しむジンバブエ、危機を救うのはアノ農作物⁈
NEW 2022.08.30

代替肉の注目素材!世界で愛されるひよこ豆

肉の代替食材として、豆類を使った食品が数多く登場しています。そんな中、昨今注目を集めているのがひよこ豆です。海外では広く親しまれている豆のひとつですが、日本でもプラントベースフードのニーズが高まるにつれてあらためて注目されています。この記事では、ひよこ豆の魅力とともに、代替肉としても活用できるひよこ豆料理について紹介します。 アジア原産、インドや欧米では一般的 ひよこ豆の原産はアジア西方であり、そこからインドやヨーロッパに広まったと言われています。インドでは、ひよこ豆を割った豆をスープやカレーなどに使ったり、粉状にしたものを小麦粉の代わりに利用したりしています。ベジタリアンの多いインドでは、日常的に使われる豆のひとつです。 ひよこ豆は大豆と同じくらいの大きさです。鳥の頭のような形をしていることからこの名前が付けられました。ひよこ豆は「ガルバンゾ」という名前で呼ばれることもあり、これはスペイン語に由来しています。また、英語でひよこを意味する「チック」に丸い豆という意味の「ピー」を組み合わせて、「チックピー」と呼ばれることもあります。 日本ではひよこ豆はなじみが薄いかもしれませんが、インドや欧米諸国、中近東などでは一般的によく知られた豆です。タンパク質が多く食物繊維が豊富で脂肪分が少ないことから、昨今では食肉に代わるヘルシーな食材として話題を集めています。 市販の水煮缶で簡単!スープやサラダに ひよこ豆はナッツにも似た独特の香りがあり、食感が良く食物繊維が多いことから、満足感を得やすいという特徴があります。乾燥したひよこ豆を食べるためには「水で戻して煮る」という工程が必要ですが、市販の水煮缶を利用すれば、調理の手間を大幅に省くことができます。 ひよこ豆の水煮缶があれば、スープやサラダ、カレーにそのまま利用できます。また、中東や地中海地域の定番料理「フムス」や「ファラフェル」にも挑戦できます。フムスはひよこ豆のディップ、ファラフェルは中東発祥のコロッケのことで、どちらもひよこ豆を煮てからすりつぶして作る料理です。 ひよこ豆はヴィーガン料理に昔からよく使われており、肉の代わりとしてさまざまな料理に活用することができます。料理のバリエーションが豊富にあることも、ひよこ豆が代替肉として注目される大きな理由となっています。
代替肉の注目素材!世界で愛されるひよこ豆
2022.08.26

ハラル認証が有効な国、そうでない国【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.5】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。残暑お見舞い申し上げます。といってもまだまだ暑い日が続きます。今回は第5回になりますがよろしくお願いします。夏休みがある人もない人も、今年は規制が少ない夏だったと思います。コロナが拡大傾向で第7波も警戒水準を超えて心配ですが、「アフターウィズコロナの時代」を見据えて、前向きに国内、海外を含めたマルチバンド対応にシフトしておきたいものです。 今回は「ハラル(ハラール)認証が有効な国、でない国」を解説していきます。ハラルビジネスにはハラル認証を使う方法と、使わない方法があることは以前に学んだと思います。そのハラル認証が有効な国、有効ではない国があることを今回はもう少し具体的にお話したいと思います。 ハラル認証が「有効な国」はどこ ハラル認証が有効なイスラム市場の国は多くありますが、やはり、東南アジア、南西アジア、そして中東の一部の国が有効と言われています。特に肉由来や原材料そのものにハラル認証が必要とされ、イスラム市場へ輸出・進出するのに重要な要素となります。高経済成長中である東南アジア・イスラム市場のマレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンでも、ハラル認証が商談で有効だとバイヤーからは話が出ます。 南西アジアのインド、パキスタン、バングラデシュ等も同じです。少し東南アジアと違いますが、総じてハラル認証は有効性があると思います。 そして中東、UAEドバイやイランなどもハラル認証制度を東南アジア同様、またはそれ以上に進化させようと躍起になっています。(ハラル認証は時代とともに状況が遷移しますので、あくまでも現時点での考察になりますので、ご理解ください。) ハラル認証が必要な国を挙げると、マレーシア、シンガポール、インドネシア等の国々を中心とした東南アジア・イスラム市場をコアに、その他東南アジア、南西アジア、中東と広がっているようです。 [caption id="attachment_2171" align="alignnone" width="300"] マレーシア、インドネシア、シンガポールのハラル認証ロゴマーク[/caption] ハラル認証が「有効でない国」はどこ アフリカ・イスラム諸国(※1)を筆頭に、中央アジア諸国(CIS諸国、※2)などの国々は、肉以外のハラル認証制度が確立していない国も多いため、幾分ハラル認証制度の普及が遅れているようです。経済の発展と比例して、多数のイスラム諸国のハラル認証制度は発達すると言われていますので、時間の問題かもしれません。 また発展途上国が多く経済的な理由から、まずは「生きるための食糧確保」が第一になっている印象もあります。今後は経済の発展と共に、ハラル認証制度が普及するかもしれません。人口爆発のエリアでもありますので、今後の動向に注目したいところです。 ※1:アフリカ・イスラム諸国(市場)はアルジェリア、イエメン、ウガンダ、エジプト、オマーン、ガイアナ、カタール、ガボン、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、コモロ、シエラレオネ、ジブチ、スーダン、スリナム、セネガル、チャド、チュニジア、トーゴ、ナイジェリア、ブルキナファソ、ベナン、マリ、モザンビーク、モーリタニア、モロッコ、リビア、中央アフリカなど ※2:CIS諸国とは、正式加盟国はロシア・モルドバ・アゼルバイジャン・ベラルーシ・カザフスタン・アルメニア・ウズベキスタン・キルギス・タジキスタンの9か国。 トルクメニスタンが準加盟。 独立国家共同体 [caption id="attachment_2172" align="alignnone" width="300"] ハラル認証の肉[/caption] ハラルビジネスを学習して柔軟に対応する 要は「郷に入れば郷に従う」理論です。輸出・進出のルールは、簡単に言えば1か国1ルールです。アウェイでの戦いは相手国のやり方(ルール)で柔軟に対応する。ハラル認証がいる場合といらない場合、そして数か国で共有する場合としない場合など、準備しておくことがとても重要になります。この準備がハラルビジネスの社員研修や可能性診断、認証団体選定などになるかもしれません。 次回の6回目は原材料の「ハラル認証の対象商品は?」を解説したいと考えます。9月第4金曜日を楽しみにしてください。少しだけ朝夕は秋を感じる場面もちらほら。季節は秋に向かっています。引き続き、よろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら  
ハラル認証が有効な国、そうでない国【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.5】
2022.08.25

廃棄を防ごう!食べられる「未利用魚」、食品ロス削減へ貢献も

未利用魚とは、形が悪かったり傷がついていたりすることで、出荷されない魚のこと。市場に出回らない魚を上手に活用することで、SDGsや食品ロス削減にも貢献できると昨今話題になっています。今回は、未利用魚の定義や活用する意義について解説します。 規格外に傷物、処理が面倒な魚も 未利用魚とは、名前の通り「利用されていない魚」のこと。規格外や傷があるもののほか、トゲなどの下処理に手間がかかるものや、知名度が低く購入される見込みが少ないものなども未利用魚に含まれます。 このほか、特定の地域だけで食べられている地魚や収穫量が過剰で余っている魚も、未利用魚になることがあります。未利用魚と似ている言葉として「低利用魚」があり、これは利用されることも利用されないこともある魚という意味です。 未利用魚と聞くと「食べられない魚」というイメージを持つ人もいるかもしれません。でも実際には、新鮮な地魚が未利用魚になるケースもあります。未利用魚には明確な定義はなく、さまざまな理由によって利用されていない魚の総称と言えます。 未利用魚の活用は社会的な課題 日本の漁獲量は年々減りつつあります。あるデータによれば、1990年に約957万トンだった漁獲量は、2021年には約319万トンまで減少しています。漁獲量が急速に減少している昨今、未利用魚の価値が見直され、注目度が高まっています。未利用魚の販売は漁業従事者の収入の底上げにもつながるため、日本の漁業の活性化も期待できるでしょう。 FAO(国際連合食糧農業機関)が2020年に発表した報告書によれば、世界の多くの地域において、漁獲量全体の30~35%程度が廃棄されているとされています。廃棄されることが多かった未利用魚の活用が進めば、SDGsの中で課題として挙げられている食品ロス削減にも貢献できます。 最近では、未利用魚を購入できるオンラインの直販サービスや、未利用魚を使った料理を提供するレストランなども複数登場しています。また、一般の利用者にとっては、未利用魚を食べることは、珍しい魚に出会うチャンスでもあります。「日本人の魚離れ」を解消する効果も期待できるなど、未利用魚の活用にはさまざまなメリットがあると言えそうです。
廃棄を防ごう!食べられる「未利用魚」、食品ロス削減へ貢献も
2022.08.24

食品産業排水を代替小麦粉へアップサイクル。米フードテック企業の成功例

​​​​廃棄されるはずのものを、価値ある新しい商品として生まれ変わらせる「アップサイクル」。このアップサイクルにより、アメリカのフードテック企業が、グルテンフリーで栄養豊富な代替小麦粉の生産を成功させました。地球温暖化対策に資する、カーボンニュートラルな製造法も話題となっています。 食品工場で廃棄される砂糖水に着目 米国のフードテック企業ハイフェフーズは、食品工場で排出される砂糖水を利用して、菌糸体由来の代替小麦粉を生産しています。これを原料とするパスタ「ハイフェパスタ」は、高タンパク、低炭水化物、アレルゲンフリーな代替小麦粉になると注目を集めています。 ハイフェフーズ共同創業者の1人、ミシェル・ルイズ氏は、アメリカの大手石油会社で化学技術者としての勤務経験があります。同氏が働いていた廃水処理施設では、有機物を食べて水を浄化する微生物のえさが常に不足しており、過剰になった大量の微生物が日々捨てられてメタンガス発生の原因となっていました。無駄な微生物の廃棄を止めれば、地球の温室効果ガス削減に貢献することもできます。同氏は、この飢えた微生物のえさを効率的に得る方法を探しました。 ルイズ氏が着目したのは、毎日数百万リットルもの排水を出す、ビールなどの大規模な醸造所、トウモロコシの製粉所や缶詰工場です。実はこの食品産業排水は、製造過程で濃縮されており、糖分を多く含んでいて栄養豊富です。しかしながら、企業は費用を払って廃棄物としてこれらを処理していました。糖分を含んだ排水は、ルイズ氏を悩ませていた廃水処理施設の微生物のえさとして利用できます。 さらに同氏は、この排水を代替小麦の原料として再利用し、価値あるものに生まれ変わらせることを考えました。微生物を扱うプロであり、排水の隠れた価値を知っていた同氏だからこそ、微生物による発酵作用で作るハイフェパスタを完成させることができました。 アップサイクルが食料問題解決の糸口に バイオテクノロジーで開発された代替小麦粉によるハイフェパスタは、1人前で鶏のむね肉1枚分ものタンパク質を含み、食物繊維も豊富です。豆類やナッツ類から成る代替小麦粉は、炭水化物以外の栄養素に欠けるという点がネックでしたが、ハイフェパスタなら、健康を損なわずに、小麦に限りなく近い食事のメニューを楽しむことができます。 一般的な小麦粉製品とは違って「グルテンフリー」であることも特筆すべき点です。 同時に、ハイフェフーズは止まらない食品値上げへの具体的対策も提示しています。通常、米国の食品メーカーは、工場で排出される砂糖水を浄化するために課徴金を支払っています。同社は課徴金よりも低い料金で、砂糖水を食品として再利用することを可能にします。食品メーカーはその分、コストを節約することができるため、最終商品の価格として消費者に還元できるというロジックです。 ハイフェパスタは、世界中あらゆる場所で入手可能な食品産業排水を原料としています。栄養価の高い食品を確実に各地へと供給できるハイフェフーズの代替小麦粉は、今後深刻化すると言われている食料問題を解決する糸口になるかもしれません。
食品産業排水を代替小麦粉へアップサイクル。米フードテック企業の成功例
2022.08.23

肉の代わりになるスゴイ豆!その可能性に注目

レンズのように平たい形状をした「レンズ豆」。欧州などではよく知られた豆であり、特にヴィーガンやベジタリアンの人たちに親しまれています。というのも、近年はレンズ豆が代替肉として使われることが多く、あらためてその活用法に注目が集まっています。レンズ豆の特徴や魅力、代替肉としての活用法に迫ります。 レンズ豆ってどんな豆? レンズ豆はマメ科ヒラマメ属の植物であり、実の部分がレンズ豆と呼ばれています。和名は「ヒラマメ」、英語では「レンティル(lentil)」です。レンズ豆には緑色やオレンジ色、褐色などさまざまな色があり、3~6ミリ程度と非常に小さいことも特徴です。 日本ではあまり親しみがありませんが、レンズ豆はインドやネパールではカレーの具材として、イタリアやフランスなどの国では煮込み料理やサラダなどによく使われています。レンズ豆は石器時代から食べられてきたと言われ、マメ類の中で最も古い歴史を持つとされています。 菜食主義者の人たちから根強い人気のあるレンズ豆ですが、その大きな理由は「栄養が豊富に含まれている」ことです。レンズ豆の栄養としては、ビタミンB群やタンパク質、鉄分、食物繊維を多く含有しています。特に、皮付きの茶色のレンズ豆には100グラム中に9.4ミリグラムの鉄分が含まれていて、これは大豆の含有量よりも多いと言われています。レンズ豆は世界五大健康食品(※)のひとつとされていて、健康的な食材であることが世界的に認められています。 ※世界五大健康食品……インドのレンズ豆のほか、日本の大豆、韓国のキムチ、スペインのオリーブオイル、ギリシャのヨーグルトが選ばれている 手軽で便利な代替肉の素材に レンズ豆は粒が小さいので、ひき肉のような感覚で利用することができます。例えば、ハンバーグや煮込み料理、カレーなどに使ってみてはいかがでしょうか。レンズ豆には特有の匂いがありますので、気になる場合は、スパイスを加えたり、濃いめに味付けをしたりしてみましょう。また、肉独特のうまみを再現するために、きのこ類や発酵調味料などと組み合わせるのも良いでしょう。 レンズ豆は水を吸収しやすいのであらかじめ水で戻す必要がなく、そのまま料理に使うことができます。また、乾燥した状態であれば長期保存が可能です。 料理に使いやすく、栄養がたっぷり含まれているレンズ豆。代替肉と言えば大豆を使った製品をよく見かけますが、新しい食材としてレンズ豆に注目してみてはいかがでしょうか。
肉の代わりになるスゴイ豆!その可能性に注目
2022.08.19

日本人にこその選択肢、魚を食べる“菜食主義”とは

最近、ベジタリアンやヴィーガンなどの菜食主義を表す言葉をよく見かけるようになりました。菜食主義とは、一般的に動物性の食材を食べない食生活を意味しています。それに対して、肉は食べないけれど魚は食べる「ペスカトリアン」への注目度が高まっていることをご存知でしょうか。この記事では、ペスカトリアンの定義やメリットについて解説します。 肉以外は何でも食べる「ペスカトリアン」 ペスカトリアンは、魚介類は食べるものの肉類は食べない菜食主義者のこと。イタリア語で魚という意味がある「ペスカ」と、主義者の意味を持つ「タリアン」を組み合わせた言葉です。別名「ペスクタリアン」と呼ばれることもあります。 肉類と一口に言ってもさまざまな種類がありますが、ペスカトリアンは、哺乳類と鳥類のものは食べることができません。豚肉や牛肉はわかりやすいNG食品例ですが、哺乳類に属するクジラや、鶏ガラや豚骨など動物由来の原料で作られた食品も食べないとされています。 実践しやすく健康にも環境にも利点 もともと日本食では、魚介類はよく食べるものの、肉類はあまり使いません。そのため日本でベジタリアンやヴィーガンを実践しようとすると、魚介類のだしも避ける必要があり、特に外食などでは苦労することも多いでしょう。しかし、ペスカトリアンの場合は魚介類を食べることができるので、選択肢の幅がぐっと広がります。ベジタリアンやヴィーガンに比べて「実践しやすい」というのも大きな魅力です。 もうひとつ、人々がペスカトリアンになる大きな動機として身体や環境に良いということが挙げられます。肉は優れたタンパク源でありエネルギー源でもありますが、世界保健機構(WHO)が肉を発がん性物質に指定するなど、健康へのリスクも懸念されています。また、畜産により発生する温室効果ガスは、地球温暖化の要因のひとつであると指摘されています。もちろん漁業においても温室効果ガスは発生しますが、畜産よりは少ないとされています。肉から魚に切り替えることで、自身の健康維持だけでなく温暖化対策にも貢献できると言えるでしょう。
日本人にこその選択肢、魚を食べる“菜食主義”とは
2022.08.18

食品の3分の1が捨てられる世界、解決方法は「フードシェアリング」

少子高齢化が問題となっている日本では実感できませんが、世界の人口は増え続けています。2050年にはなんと97億人にまで増えると言われていて、さらに多くの食品が必要になることが見込まれます。すでに現在、8億人が飢えに苦しんでいる状況で、対策は急務です。その一方で、世界で作られる食料品のおよそ3分の1が捨てられています。世界の食料品廃棄量は年間13億トンにも上ります。どのくらいの量かイメージがつかないと思いますが、飢えに苦しむ人たちが必要とする食料品の数倍分に当たる、実に20億人分の食料品が失われているのです。 食べ切る・使い切ることを目標に 日本での食品廃棄物のうち、まだ食べられるものを「フードロス」というのですが、その量は約646万トン、そのうち製造・卸・小売・外食事業者による廃棄が357万トンと半分以上を占めています。ちなみに世界全体の食料援助が320万トンですから、どれほどの食料品がムダになっているのかお分かりいただけると思います。日本でも「食品リサイクル法」などを制定して廃棄量を減らす方向に進んでいますが、根本的な解決には至っていません。やはり食料品は食べ切る!使い切る!ということを第一の目標にしなければならないでしょう。そこで注目されているのが「フードシェアリング」です。 買い手・売り手の双方にメリット フードシェアリングは、使わなかったり、余ったりした食料品を、事業者や個人の間で取引する新しい仕組みです。社会貢献ができる仕組みだと思う人も多いと思いますが、これを上手く使いこなせば企業にとっても大きなメリットがあります。例えば、今までなら余らせてしまった食料品は廃棄するしかなく、経営的な損失となっていました。しかし、この仕組みを利用することで、売り手は損失を抑えることができ、また買い手は仕入れコストを抑えることができます。つまり、フードシェアリングは食料品の新しい取引方法なのです。 フードシェアリングの仕組みは世界各国で始まっていますが、まだスケールの小さいものがほとんどです。この仕組みが国全体、ひいては世界全体へと広がっていけば、廃棄される食品が大きく減るのは間違いないでしょう。
食品の3分の1が捨てられる世界、解決方法は「フードシェアリング」
2022.08.10

NYの公立学校でヴィーガン給食がスタート、気になるその背景とは

2022年2月、アメリカ・ニューヨーク市の公立学校では、肉や魚を使わない「ヴィーガンメニュー」の給食を提供する試みがスタート。この試みはどのような理由から始まり、現場ではどのような給食が提供されているのでしょうか。今回の記事では、ニューヨークにおけるヴィーガン給食の概要について紹介します。 ヴィーガン給食が食生活を見直すきっかけに ニューヨーク市の公立学校では、毎週金曜日にヴィーガン給食を提供する「ヴィーガンフライデー」が始まりました。アメリカでは約2割の子どもが肥満と言われていて、子どもの肥満は長年の課題になっています。特に、経済的に困窮する過程や、ヒスパニック系や黒人の子どもに肥満の割合が多いというデータもあります。 ヴィーガン給食には様々な効果が期待されていますが、そのひとつに「食生活を見直すきっかけをつくること」があります。今回の試みは、ニューヨークの新市長であるEric Adams氏が進めたものです。同氏には、ジャンクフードを止めてプラントベースの食事を実践することで、糖尿病を克服し自身の健康を取り戻したという経験があります。こうした経験に基づき「健康的な食事は生活の質を向上させる」「ヴィーガンの食事は環境保護にも役立つ」と語ります。 子どもたちにも好評のヴィーガンメニュー ニューヨーク市のヴィーガン給食では、どんなメニューが提供されているのでしょうか。ヴィーガンフライデー初日に提供されたのは、野菜を使ったタコスと、トルティーヤチップス(サルサソース付)、味付けされたブロッコリーなど。学生が事前に試食したメニューであり、好評だったのだとか。 同市の教育局によれば、金曜日以外の日であっても、ヴィーガンメニューを選ぶことができます。公立学校の生徒達はヴィーガン以外の料理を選択することもでき、牛乳やサンドイッチなどはいつも用意されているのだとか。ヴィーガンを強要し過ぎないように配慮しているのも、大きなポイントです。 以前から同市では、揚げ物をやめて生野菜や果物を提供するなどの、給食メニューの改善に取り組んできました。子ども達の食生活に大きな影響を与える、学校給食。健康的な食べ方を早い時期から身に着けておくことは、大人になってからの健康維持に大いに役立つかもしれません。
NYの公立学校でヴィーガン給食がスタート、気になるその背景とは
2022.08.09

えのき生産者が開発!新しい代替肉「エノキ―ト」って何?

さまざまな種類の代替肉が登場する中で、えのきたけ生産者が開発した「エノキ―ト」が話題です。今回は、エノキートの原材料や食べ方と共に、エノキートの魅力について解説します。 えのきが主原料、エノキートのハンバーグ エノキート(えのきたけ+ミート)は食肉を使わずに、えのきたけを主原料として作られた代替肉です。農業法人である株式会社小池えのき(以下、小池えのき)によって開発されました。小池えのきの本社がある長野県中野市は、日本最大のきのこの生産地として知られ、えのきたけの生産量は全国の約4割を占めます。地元の食材を使った、新しいタイプの代替肉として注目を集めています。 エノキートを材料とするハンバーグは、えのきたけと玉ねぎ、大豆ミート、パン粉、調味料で作られます。原材料の半分以上が、えのきたけと玉ねぎです。5ミリ程度のみじん切りにしたえのきたけを使用することで、肉によく似た食感が生まれます。えのきたけは加熱すると独特のぬめりが出るため、つなぎの代わりになるという点からハンバーグに使うにはピッタリというわけです。 エノキートには、発芽大豆から作られた大豆ミート「ミラクルミート(DAIZ)」を使用しています。ミラクルミートには、大豆独特のくさみがほとんどありません。ミラクルミートに含まれるうまみ成分「グルタミン酸」とえのきたけのグアニル酸を組み合わせることで、うまみが格段にアップします。このように原材料の加工や選定に工夫をこ凝らすことによって、肉や卵などの動物性の素材を使わなくても、おいしいハンバーグを作ることができるのです。 エノキートのハンバーグは合いびき肉を使った通常のものに比べて、脂質やカロリーが少なく食物繊維が多いそうです。大豆ミートを使用しているため、タンパク質の量は通常のハンバーグとほとんど変わりません。ヘルシーでありながらタンパク質がしっかり摂取できるので、ベジタリアンやヴィーガンの人たちだけでなく、健康への意識が高い人にもおすすめと言えるでしょう。 おいしさの決め手は食感と3種類のソース エノキートのハンバーグが支持される理由は、まだまだあります。そのひとつが、食感へのこだわりです。えのきたけは水分量が多く独特の香りがあるため、大量に使用すると食感が悪くなったり、ハンバーグの風味を損ねたりすることがあります。こうした欠点を克服するべく、2年以上の開発期間を経て、えのきたけの使用量の黄金比を発見。おいしさを追求して試行錯誤を繰り返した結果、商品化に至りました。 ハンバーグのパティと併行して、「デミソース」「チリトマトソース」「てりやき」という3種類のソースも開発されました。温めるだけで食べられるという手軽さだけでなく、食べ比べをする楽しさも魅力的です。 2021年11月に新潟市で開催された「フードメッセinにいがた2021」では、エノキートは初登場ながら「準グランプリ」を受賞。代替肉への関心が高まっている昨今、エノキートの今後の展開に注目が集まっています。  
えのき生産者が開発!新しい代替肉「エノキ―ト」って何?
2022.08.05

昆虫食王国タイにおける 昆虫食の魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.2】

トロピカルフルーツや鶏肉の産地として名高いタイですが、実は昆虫食王国の一面も併せ持っています。高温多湿の気候が昆虫資源の宝庫を生み出し、追求された美味しさや栄養価の高さによって、昆虫食は身近な食材として地位を確立させています。 昆虫食を伝統食文化として親しみをもつタイは、早い時期から産業化へと舵を切り、産官学で研究開発を重ねて、国際基準に準拠する生産レベルを高めることに成功しました。かつては屋台で見かけることが多かったですが、現在では、多様な昆虫食の商品がスーパーやコンビニの店頭に並ぶ光景は決して珍しくありません。 タイ農業・協同組合省は昆虫食を推進するために、2017 年にコオロギ養殖場の生産工程管 理 (GAP) TAS8202(G)-2017 を制定しました。近い将来、他の昆虫食の規格も公表する予定です。また、「世界の昆虫食ハブ」という目標を設定し、チェンマイ大学、 メジョー大学、コンケン大学、カセサート大学に昆虫食分野を特化した農業イノベーションセンターを設立して、 昆虫産業をさらに盛り上げようとしています。現在では、 昆虫養殖農家が全国に約2万戸にも上り、昆虫食の生産と輸出が目覚ましい成長を遂げています。一方、民間企業でも「タイ昆虫産業協会」を年内に立ち上げるために最終調整に入っています。豊かな資源、蓄積されたノウハウ、そして、連携の取れたステークホルダーを強みにもち、タイ昆虫食産業が今後更に加速化することに違いありません。  (サコン・ワナセッティー/タイ大使館農務担当官事務所)   「セミ会」【今月のトピック】  当NPO理事長の内山昭一が始めた「セミ会」は昆虫食界の夏の風物詩となって各地に拡がっています。現代では難しい「自分で狩って。料理して、食べる」、この当たり前を体験できる魅力がセミ会にはあります。しかし、それに勝る魅力はセミが美味しいという事実です。どんな味と聞かれますが、説明は難しいので是非ご自分の舌で体験していただきたいと私は思います。勇気をもって参加した時、アリストテレスが「きわめて甘美なり」と 表現したセミの味、あなたならどう感じるでしょう?心 に残る夏の体験になること間違いないです。  (増田隆紀/NPO法人昆虫食普及ネットワーク副理事長)   どんな味?香りも楽しむ昆虫メニュー【おススメの一皿 】   5 月14 日、米とサーカス高田馬場店にて皆さんと昆虫料理を。この日は夏野菜と昆虫をテーマにレシピを考案。 タガメの香りを楽しむキャロットラペ、ジャイミル入り のペペロンチーノ、オオスズメバチの洋風じゃが、そし て試作メニューの山梨名物ほうとう(ミックス昆虫入り)でお腹いっぱい! 毎回違うメニューで参加スタッフ一同も楽しみにしています。コロナ禍が落ち着いたら、一緒に調理に参加してもらえる形で開催できるといいですね。  (阿南)   ニュースレターは、NPO法人昆虫食普及ネットワークの公式HPで配信中です。
昆虫食王国タイにおける 昆虫食の魅力【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.2】
2022.08.04

賞味期限の年月表示化と「食品ロス」削減に向けた取り組みとは

賞味期限の年月表示化の意味とは 数年前より、食品や飲料などの賞味期限の表示を「年月日」から「年月」に変更する動きが進んでいます。年月で表示する場合、賞味期限は「表示された月の末日」です。たとえば、「21年12月」という表示があれば「2021年12月31日」までおいしく食べられるということになります。 こうした変更の背景には、2015年9月に国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」における17の目標のうち「12 つくる責任 つかう責任」が大きく関係しています。目標のなかのターゲットには「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」というものがあります。 賞味期限を年月で表示することにより、おいしく食べられる期限が延長し、その結果として食品ロスの削減に貢献できるのではと期待されています。 物流の効率化にもつながる 賞味期限の年月表示による大きなメリットとしては、「物流が効率化する」ことも挙げられます。小売店に商品を納める場合の商習慣として、「賞味期限がそれ以前に納品したものと同じか、新しいものでなければならない」というルールがあります。年月日による表示の場合、メーカーや業者は1日刻みで商品の在庫を管理する必要が発生します。 さらに、メーカーと小売店が取り引きする際には「3分の1ルール」というものもあります。これは、賞味期限の3分の1以内の期間に小売店に商品を納めて、店頭では残り3分の1になる期間まで販売することができるというルールです。つまり、賞味期限が9カ月の商品の場合、製造してから3カ月を経過すると出荷できず廃棄され、食品ロスになってしまいます。つまり、賞味期限の年月表示は食品ロス削減とともに、物流の効率を改善することにもつながります。 日本の食品ロスは、年間約600万トン(平成30年度)といわれており、これは東京ドーム5杯分にあたる量です。日本は食料自給率が低く、多くの食料を海外から輸入しています。それにも関わらず、大量の食品ロスを出しているという現状があります。 2019年10月に「食品ロス削減推進法」がスタートし、食品ロスに対する関心も高まりつつあります。賞味期限の年月表示など大きな流れを把握するとともに、私たちが身近にできることを考えてみませんか。
賞味期限の年月表示化と「食品ロス」削減に向けた取り組みとは
2022.08.03

欧米でフレキシタリアンが急増中。私たちにとって本当の持続可能な食とは

​​​​気候変動は加速しており、私たち人間が何を選んで食べるのかという食の選択も地球の存続に関わる大きな課題です。けれども地球のためとはいえ、あまりにも厳格な食事制限には躊躇してしまう人が多いでしょう。そこで今、欧米で急増しているのが、準菜食主義=フレキシタリアンという柔軟でバランスの取れた食事のスタイルです。 フレキシブル+ベジタリアン=フレキシタリアン 「柔軟な(フレキシブル)」と「菜食主義(ベジタリアン)」という言葉を組み合わせた「準菜食主義(フレキシタリアン)」。ヴィーガンは動物性食品を全く食べませんが、フレキシタリアンは、植物性食品に重点を置きつつ、肉、チーズ、卵、牛乳などの動物性食品も時折摂取します。そしてフレキシタリアンの多くは、味や食感、価格などが適切であれば、大豆などの植物性タンパク質から成る代替肉も抵抗なく受け入れます。 最新の研究によると、地球上の温室効果ガスの26%が食料生産によるもので、その中でも農業分野が排出する温室効果ガスのうち、肉や乳製品によるものが60%を占めています。肉や乳製品の消費を減らすフレキシタリアン食は、温室効果ガスの排出を確実に減らす手段です。科学誌「ネイチャー」掲載の研究によると、今後人間がより植物ベースのフレキシタリアン食に移行することで、2050年の温室効果ガスの排出が52%も削減できる可能性があるとしています。 世界人口が拡大すると共に、肉を食べる人が確実に増え続けています。そうした中、いくら肉を避けるヴィーガンが増えても、残念ながら世界全体の肉の消費量が減ることはありません。人間の食事が地球環境に影響を及ぼすことを避けるには、より大きな集団で実践しなければ意味がありません。そこでフレキシタリアンのように、多くの人が参加しやすい柔軟な考え方や手段が求められます。 地球上の全ての人が肉を全く食べないというのは、非現実的な話です。それよりも地球のためになる食事を、より多くの人が試しやすいフレキシタリアン食は、人類の未来にとって達成可能な目標と言うことができそうです。 極端なヴィーガンの限界、より現実的な選択を 動物性食品の消費を減らすことが、心臓病、がん、糖尿病のリスクを下げることは科学的に明らかになっています。実際、野菜がメインの食事はこれまで賞賛されてきました。その一方で、厳格すぎる植物性の食生活を送る人は、人間の体に必要なビタミン、ミネラル、カロリーの摂取量が足りていなかったり、栄養不足のためにうつ病のリスクが高まるとの報告もあります。 肉を完全に避けるヴィーガン食の方が、私たちの健康にとっても地球環境にとっても、フレキシタリアンに勝ると考えられてきました。しかし実際のところ、一概にヴィーガンが勝るとは言いきれません。問題はもっと複雑です。 例えば、肉の生産も全てが悪なのではなく、やり方によっては牛の飼育が土壌侵食や炭素排出の抑制につながり、森林を破壊して生産されたコーヒーやカカオ豆よりも温室効果ガスの発生を抑えるという事例があります。一方、ヴィーガンが好む牛乳の代替品のアーモンドミルク。その原料のアーモンドは、栽培に大量の水、肥料、農薬を必要とし、地球の資源を枯渇させる恐れがあり、健康上のメリットがあるとはいえ、環境保護の点においては疑問が残る食材と言えるわけです。 フレキシタリアンは、こういった食品の生産過程が環境にもたらす利害も認識した上で、食事を選びます。単純に動物性か植物性かが問題ではなく、どちらがより地球にとって持続可能な選択肢かで判断します。そう遠くない未来に、世界人口は100億人に至るでしょう。人間にとって何が重要で、どのような選択が現実的なのか、私たち自身が正しい選択をする必要があり、柔軟性に優れたフレキシタリアンの考え方はそのヒントになるはずです。  
欧米でフレキシタリアンが急増中。私たちにとって本当の持続可能な食とは
2022.08.02

昨今話題の「16時間断食ダイエット」ってどんなもの?

16時間断食ダイエットとは 数ある食事法やダイエット法のなかで、少し前から話題を集めているのが「16時間断食ダイエット」。昨今、食べ過ぎによる不調が多方面で指摘されています。断食の健康効果に関する研究が進むとともに、断食への注目も高まっています。しかし、長時間の断食はハードルが高いと思っている人も多いでしょう。 16時間断食ダイエットは「プチ断食」のようなものであり、初心者でも取り組みやすいという特徴があります。このダイエット法は、文字通り空腹時間を1日あたり16時間つくるという意味です。つまり、食事を1日2食摂取することができます。たとえば、夜8時に夕食を済ませたら、次の日の朝食はなしで昼食を12時以降に食べるという流れになります。 では、16時間の断食をすることでどんなメリットが期待できるのでしょうか。それは大きく3つあります。まずは「胃腸を休ませることができる」ということです。1日3食の生活では、胃腸は常に稼働している状態ですが、胃腸に休息を与えることで弱っていた消化器官が回復するといわれています。 2つ目のメリットは、「脂肪が燃えてダイエットや生活習慣の予防ができる」ということです。空腹の状態が続くと、体の脂肪が分解されます。これによりダイエットだけでなく、生活習慣病の予防にもつながります。 最後に「アンチエイジングになる」というメリットもあります。16時間の断食により、アンチエイジングにも役立つ「オートファジー」が活性化するといわれています。オートファジーとは、古くなったたんぱく質を除去して細胞が新しく生まれ変わる仕組みのことです。東京工業大学の大隅良典教授がオートファジーの研究により、2016年ノーベル生理学・医学賞を受賞したことでも知られています。細胞が生まれ変わることで、若返りや病気の予防にもつながります。 16時間断食ダイエットの注意点 16時間断食ダイエットには注意点もあるので、押さえておきましょう。まず、一般的に1日3食から2食になることで、1日の摂取カロリーが減る傾向があります。そのため、成長期の子どもや妊娠中の人、体力のない人、闘病中の人などは控えるようにしてください。どうしても試してみたい場合には、医師に相談するようにしましょう。 また、16時間断食ダイエットの効果を高めるためには、断食後に何を食べるかも大切です。お腹が空いたからといって、高カロリーのものを食べたり、量を食べ過ぎたりすると逆効果になってしまいます。栄養バランスをしっかり考えてから、スタートするようにしたいですね。  
昨今話題の「16時間断食ダイエット」ってどんなもの?
2022.07.29

ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.4】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。今年は暑い日が続いた後で雨の日が続いたりと、梅雨明けと梅雨時期がテレコになったような「異常気象」ですが、その異常が通常になることがとても怖いです。コロナ禍も含め、新しい課題の原料高、資源高、さらには燃料高などがありますが、人間の叡智で何とか乗り越えていきたいものです。 今回は「ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス」を解説していきます。ハラルビジネスに取り組むには大きく2通りの方法があります。一つはハラル(ハラール)認証を取得して対応する方法、もう一つはイスラム教やハラルなどをきちんと学び、原材料成分や扱い方で対応する方法です。今回はこのことについて具体的にお話していきます。 ハラル認証取得は「パスポート」⁈ ハラル認証が必要なハラルビジネスは、多くの原材料メーカー様が直面している、現在進行形の課題です。イスラム諸国のバイヤー等にハラル認証取得を要求され、指定のハラル認証を取得して、輸出します。日本では原材料メーカーのハラル認証取得はここからスタートしたといっても過言ではありません。 最近は高い経済成長の東南アジアのイスラム市場で、マレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンからもハラル認証原材料の引き合いが多いと思います。今後もこの傾向は続き、ハラル認証を取得しての輸出も増えますが、現地製造のために海外進出する企業も並行して増えていくと見ています。輸出するものか?現地で製造するものか?の種分けの時代に入ったと考えられます。 エビデンスハラル(成分ハラル)の有効性 ハラル認証がいらないハラルビジネスでは、ハラル認証を取得してはいないが、「原材料はハラルですよ」「作っている工場やラインはこんな状況ですよ」ということをバイヤーと確認しながら輸出を進める、いわゆる「エビデンスハラル(成分ハラル)」という手法があります。 海外へ輸出するには、原材料を輸出したい国の「輸出可否」をそれぞれ確認する必要があります。原材料の詳細スペックを確認する必要があるので、事前に社内の研修やセミナーでイスラム教ないしはハラルの基本を学習しておけば、プラスアルファで「エビデンスハラル(成分ハラル)」を確認することができます。その情報を商談でバイヤーに伝えることで、ハラル認証は取得していないが、実質ハラル原料だから使用可能だったり、マレーシアやインドネシアなどで製造するハラル認証食品の原料として扱われたりします。 インバウンド対応はソフトに 国内のインバウンド対応に目を向けると、これからはアフターコロナ時代に入ります。日本に働きに来る外国人、学びに来る外国人、そして遊びに来る外国人はこれからもどんどん増えます。しかし、日本は非イスラム教の国ですから、本格的なイスラム教対応は難しく、国内で展開される手法の多くは、ハラル認証に頼らないマーケティングになると考えられます。ただし、素材や物にもよります。畜肉そのもの、または畜肉由来、油脂及び油脂由来などの原材料には、日本国内であってもハラル認証取得が有効な場合がありますので、対応を準備しておくといいと思います。国内は基本的な対応を学べば、ハラル認証に頼らない方法で問題ないと考えています。 次回は原材料の「ハラル認証が有効な国、そうでない国」について解説したいと考えます。8月の第4金曜日を楽しみにしていてください。また、夏バテや熱中症にも留意ください。引き続き、よろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら
ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.4】
2022.07.28

発展途上国の子どもを救う「ゴールデンライス」、期待の裏で続く議論

2021年、遺伝子組み換え米「ゴールデンライス」の商業栽培がフィリピンで初めて認可され、話題になりました。ゴールデンライスは、発展途上国の子どもたちの健康を守るために開発された作物ですが、環境への負荷や人体への影響を巡る議論が続いています。この記事ではゴールデンライスが生まれた経過から、商業栽培認可の各国動向までを解説します。 ビタミン不足を防ぐ遺伝子組み換え米 ゴールデンライスは、ビタミンAを強化した遺伝子組み換え米です。発展途上国では、「ビタミンA欠乏症」による子どもの失明や死亡が相次いでいます。ビタミンAには目などの粘膜を正常に保つ働きがあるとされています。ビタミンAが慢性的に不足した状態が続くと、目が見えなくなり、最悪の場合は死に至ることもあります。ビタミンAを含む食品は数多くあり、先進国では不足しづらい栄養素です。しかし、世界では5歳未満の子どもの約3分の1は、ビタミンAの不足により失明の危険性があると言われています。 この問題を解決するために生まれたのが、ゴールデンライスです。ドイツのフライブルグ大学の教授とスイスの植物科学研究所の職員によって、約8年間の研究を経て生まれました。アジアの貧困地域では、おかずなしでごはんだけを食べるケースが少なくないため、ビタミンAを多く含む食材として米が選定されたのです。 議論を呼ぶ中、商業栽培認可へ 発展途上国の子どもたちを救う目的で開発された、ゴールデンライス。その一方で実用化に至るまでには、自然環境や地域住民への影響、安全性などの面からさまざまな議論がありました。一般的に遺伝子組み換え作物の栽培には、農薬や化学肥料が必要であり、土の質が悪くなる場合があります。また、種子を入手するために多額の費用がかかることから、農家にとっては負担が大きく、生活が厳しくなる場合があります。さらに、ゴールデンライスを食べた場合の人体への影響についても懸念の声が挙がっています。 こうした状況の中で、フィリピン政府がゴールデンライスの商業栽培を世界で初めて認可しました。バングラデシュも認可を目指していて、その動向に注目が集まっています。オーストラリアや米国、カナダの食品安全規制当局ではゴールデンライスを安全と評価しているものの、商業栽培の認可はしておらず判断が分かれています 私たちの食事は世界の問題、そして人間の健康と深く関わっています。簡単に答えを導くことのできるような課題ではありませんが、ゴールデンライスの事例はそのことを私たちに示してくれています。
発展途上国の子どもを救う「ゴールデンライス」、期待の裏で続く議論
2022.07.27

海藻が世界を救う?ヨーロッパで養殖産業化の流れ

アジアでは食べ物としてなじみ深い海藻ですが、ヨーロッパでは日常的に海藻を食べる習慣はありませんでした。しかしながら、健康志向の高まりや食生活の変化を受けて、栄養豊富な海藻がヨーロッパの食卓に広まりつつあります。気候変動により地球上の資源がますます逼迫していくことが懸念される中、ヨーロッパでは養殖産業化の機運が高まっています。 ヨーロッパで高まる海藻ニーズ ヨーロッパの海藻の売上は今、急成長しており、欧州連合(EU)や国連食糧農業機関(FAO)でも、世界の食糧安全保障のために海藻を含む海産物の重要性が唱えられています。今後、ヨーロッパでの海藻の売上高は2030年までに20億ユーロから30億ユーロにまで増加するという見込みもあります。 平均余命が伸び続ける中、消費者は年齢を重ねながらも健康を維持するための方法を求めています。ヨーロッパでこうした健康志向が高まると共に、サプリメントなどの栄養補助食品の需要が増加。今あらためて、海藻の栄養価の高さが注目されています。海藻は、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、タンパク質などの必須栄養素を豊富に含むことから、それを使ったサプリメントがヨーロッパの消費者に浸透しつつあります。 ヨーロッパでの海藻需要の高まりは、肉食からタンパク質代替への転換という流れも、大きく後押ししています。現在、ヨーロッパのビーガンと菜食主義者は推定7500万人とされ、ここ数年での世界の代替肉のおよそ4割がヨーロッパで消費されています。環境への負担が大きい肉食を避けたいヨーロッパの人々にとって、栄養も豊富で環境に優しい海藻がヨーロッパの日常の食生活になじむのにそう時間はかからないでしょう。 また、海藻は人の食料だけにとどまらず、家畜や養殖魚のえさ、化粧品や医薬品、バイオ包装、バイオ燃料、繊維、洗剤、建材にも活用されます。海藻産業が環境への負担を減らす効果は大きく期待されており、海藻製品の活用により、ヨーロッパの人々の年間最大80万人分の温室効果ガス排出を相殺できるとする報告もあります。 採取から養殖へ:持続可能な海藻産業へのシフト 世界の海藻生産量の99%がアジアで生産されており、ヨーロッパは全体の1%程度というのが現状です。しかも、そのほとんどが天然海藻の採取によるもので、持続可能な収穫量は限界を迎えつつあります。そこで、将来を見据えた海藻の養殖への移行が、ヨーロッパの海藻産業には求められています。 冷たくて栄養豊富なヨーロッパの海水は、実は海藻にとって理想的な生育条件であり、ヨーロッパの海藻産業は今後成長する可能性が大いにあります。投資、生産技術、政策などをうまく組み合わせることで、ヨーロッパの海藻生産は現在の約30万トンから10年以内に約800万トンにまで拡大すると言われています。 ヨーロッパでの持続可能な海藻養殖が普及すれば、これまでの採取とは違って海洋環境に害を与えずに、海藻の生産量を増やすことができます。海藻は魚のえさになり住みかにもなるので、海藻養殖は海の生態系をより理想的なものにします。 また、海藻は植物と同じように大気中の二酸化炭素を吸収します。主に太陽光と海水があれば育つ海藻の養殖は、陸での農業と違い、広大な開墾された農地や水といった限りある資源を過剰に必要としません。ポルトガルの3倍の広さの海藻栽培で、世界のタンパク質需要がまかなえるとの話もあるほどです。 今後ますます懸念される気候変動と人口増加による土地と水の不足、そこから引き起こされる食糧不足という脅威が差し迫る中、持続可能な海藻の養殖はこれらの問題解決にも一役買うのではと期待が高まっているのです。
海藻が世界を救う?ヨーロッパで養殖産業化の流れ
2022.07.26

大豆ミートに代わる食卓の新定番「大豆チップス」のポテンシャル

大豆を主原料として作られる、大豆チップス。植物性の素材から作られているため、グルテンを含まない「グルテンフリー」が基本で、動物性の食材を控えている人達も安心して食べられます。低糖質でタンパク質が多く、ヘルシーなおやつとして人気を集めています。大豆チップスの魅力から簡単なアレンジ方法までを紹介します。 現代人に不足しがちな栄養素が豊富 大豆チップスはたんぱく質のほかに、亜鉛や鉄、マグネシウム、食物繊維などを含有しています。現代人に不足しがちな栄養素が豊富なのが人気の理由です。また、糖質が少ないのも大きな特徴です。大豆チップスの糖質量は、一般的なポテトチップスの4分の1程度とされています。 大豆チップスと一口に言っても、いろいろな種類があります。例えば、油で揚げているものと揚げていないもの(ノンフライ)、味や香りが付いているものなど。カレー味や青のり味などの味が付いたタイプは、大豆特有の匂いが和らぎ食べやすいものが多いです。 購入できる場所は、以前は自然食品店や輸入食材店、インターネット通販が主流でしたが、昨今の人気を受けて、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでも入手できるようになりました。 大豆ミートの代わりにも!簡単アレンジで食卓に 大豆チップスはそのまま食べられますが、ひと手間加えることで、さらにおいしく味わうことができます。 例えば、大豆チップスにトマトソースやサルサソース、アボガドをつぶしたものなどを添えると、おつまみや軽い食事としても楽しむことができます。味が付いていない大豆チップスか薄味のものを使うのがおすすめです。大豆ミートのような感覚で食卓に並べることができるのでご家庭でも重宝します。 こうしたアレンジを加えると、食べ方のバリエーションが広がってお客様をもてなす際にも喜ばれるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。  
大豆ミートに代わる食卓の新定番「大豆チップス」のポテンシャル
2022.07.22

すぐに捨てるのはもったいない!日本で深刻化しているフードロス問題の原因と対策

皆さんは「フードロス」や「食品ロス」という言葉を聞いたことはありますか。人が食べるために作られたはずの食品が、作りすぎや食べ残し、期限間近という理由でまだ食べることができるのに、廃棄をしてしまうことを「フードロス」といいます。国連の食糧農業機関(FAO)によれば、世界で廃棄されている食品の量は13億トンにも及びます。環境省が発表した日本における食品廃棄物は2759万トンで、そのうち本来食べられるのに捨てられてしまった食品は643万トンにも伸びります。フードロスはさまざまな影響を及ぼします。無駄に廃棄することによって、ゴミの処理コストが大幅にかかってしまったり、作っても食べない食品やその原材料を作るための多くの肥料や水が無駄になってしまい、自然環境に悪影響が出ます。また、今現在地球上で9人に1人(約8~9億人)が飢餓に苦しんでいます。もしフードロスの原因である廃棄量分を分配することができれば、飢餓に苦しむ人がいなくなるとさえ言われています。 フードロスを招く「3分の1」ルール フードロスが起こる原因は、さまざまな段階で発生しています。例えば、過剰生産した原材料の廃棄や加工段階での不良品の処分など。ところが中でも大きな原因として、「3分の1ルール」という日本の商慣習が挙げられます。3分の1ルールとは、食品を製造してから賞味期限までの3分の1の期間が経過するまでに小売企業のもとに納品できなかった食品は製造会社に返品されるというものです。この3分の1ルールが原因となって、多くの食品が廃棄されてしまっているのが現状です。他にも、パッケージの印字ミスやレストランや店舗などでの食べ残しのほか、消費者のもとで食品が賞味期限切れとなってしまうこともフードロスを発生させる原因となっています。 フードロス対策は家庭でも 最近ではフードロスをなくすための対策や改善していくための働きが増えています。日本を含む世界では、これらの事情により廃棄せざるを得なくなった食品や、規格外で販売することができなくなった食品を買い取り、インターネット上や地域イベントなどで販売することによって、無駄をなくしていく活動があります。 他にも、企業間で必要な材料、食品を必要な分だけ買い取ることにより、過剰製造や食べ残しを減らすサービスも増えています。 一般家庭でも十分フードロスをなくす対策をすることができます。食品を購入する際に、賞味期限の近いものから必要な分だけ購入し、期限が切れる前に使い切りましょう。外食の際に頼みすぎによる食べ残しを減らすだけでもだいぶ変わってきます。こうした1人1人の心掛けからフードロス改善につながっていくからです。
すぐに捨てるのはもったいない!日本で深刻化しているフードロス問題の原因と対策
2022.07.21

食べられる炭?豊富な栄養にダイエット効果も

炭は古くから私たちの暮らしに密接な関わりがありますが、最近「食べる炭」の人気が高まっていることをご存知でしょうか。炭を食べる習慣は昔からあったものの、その栄養や効果が再び注目され、さまざまな商品や食事法などが登場しています。この記事では、食用炭の歴史や栄養と、簡単な活用法について紹介します。 食用炭の歴史と使われ方 炭と一口に言っても、備長炭や竹炭、木炭(白炭・黒炭)など材料や焼き方によってさまざまな種類があります。一般的な用途として、燃料や水の浄化、土壌改良、調湿・脱臭などがあります。そこに加えて、昨今注目を集めているのが「炭を食べる」という使い方です。 炭を食べる習慣は最近始まったものではありません。「炭職人に胃腸の悪い人はいない」と昔から言われていて、炭職人たちは調子が優れない時に炭を食べていたとされています。また、忍者が解毒剤として炭を携帯していたという話もあります。これは炭の持つ吸着効果を利用したもので、腸内にたまった老廃物を排出する働きが期待されています。 また、炭には細かい穴がたくさん開いていて、そこに地中のカルシウムやカリウム、鉄分などのミネラルが豊富に含まれています。つまり、炭を食べることによって、ミネラルを手軽に摂取することができるのです。 セレブに話題のダイエット活用術も 最近の食用炭はパウダー状になったものが多く、耳かき2~3杯分を1日の摂取量の目安として、料理やデザート、飲み物などに加えます。食用炭を加えると黒色になるので、コーヒーなどに加えて混ぜたり、ソースやドレッシング、焼き菓子などにアクセントとして加えたりするのがおすすめの使い方です。どうしても色や風味が苦手という場合は、サプリメントを利用するという方法もあります。 炭は英語で「チャコール」と呼ばれ、海外では美と健康に欠かせない食材として注目を集めています。セレブ達の間で話題の「チャコールクレンズダイエット」は、炭のパウダーを水やジュースなどで割って飲むだけの食事法です。寝る前に飲むことで、翌朝にデトックス効果が期待できるとされています。炭の作用により、厳しい食事制限をすることなく、体を内側から整えることができるのも人気の理由のひとつです。 食用炭を使ったお菓子やドリンクは、見た目のインパクトもあり、SNSでも話題になっています。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
食べられる炭?豊富な栄養にダイエット効果も
2022.07.20

スペインが食品ロスの厳罰化へ。世界が注目する本気の新法案

「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標の1つに、2030年までに世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させることが盛り込まれるなど、国際的な食品ロス削減の機運が高まっています。日本においても2019年に食品ロス削減推進法が施行されました。そうした中、スペインでは6月、食品廃棄物を減らすために厳罰を伴う新たな法案が国会に提出され、その野心的な内容が世界の注目を集めました。 食品ロスの企業に最高6800万円相当の罰金 この法案によれば、スーパーマーケットなどの食品の生産や供給に関わるすべての企業は、食品廃棄物の削減を計画することを義務づけられます。もし売れ残りなどの食品廃棄の量を減らす取り組みを怠れば、最高6万ユーロ(約800万円)の罰金が科せられ、これが悪質な場合だと最高50万ユーロ(約6800万円)にもなるというから驚きです。 この厳しい罰を回避するために、スペインのフードチェーンでは、食品の無駄な損傷を防ぐための正しい取り扱い、保管、輸送について今まで以上に十分な教育が求められます。そして、最適な鮮度を保つための冷蔵庫などの設備の適切な管理・維持へもより一層の配慮が必要になります。 スペインの多くのスーパーマーケットでは、以前から賞味期限が近い果物や野菜には、そのことを示すラベルが目立つように貼られていました。新法案が可決されれば、今後はそれだけでなく、そうした商品の価格を早めに下げて売り切ることや、期限が切れる前に慈善団体に寄付するケースが増えることになります。こと、大企業に関していえば、賞味期限が切れる前の食品を寄付する計画を事前に提出することなども課されています。 農場やメーカーでも、売れ残りやすい形やサイズが小さな果物は、ジュースやジャムに加工することが求められます。人が食べるには適さないけれど、カビや害がない場合は、動物の餌にするといった対策へもこれまで以上に積極的に取り組まなければなりません。人や動物が食べられなくないものは、家畜の飼料や肥料、バイオ燃料の生産へと回されます。 飲食店では無料の持ち帰り袋の提供を義務化 バーやレストランといった飲食店については、顧客が希望した場合、無料の持ち帰り袋「ドギーバッグ」の提供を義務付けることを盛り込みました。元々、食べ残しを持ち帰るという習慣が一般的でなかったスペインの人々にとっては、これは画期的な施策です。 また、飲食店には食べ残しをフードバンクやNGOに提供することも義務付けようとしています。 今回の法案は、学校や病院といった公共機関も、食品ロス対策の当事者に位置付けています。例えば、あまり空腹でない生徒や患者の皿には食べ物を盛りすぎないようにするといった食品廃棄を減らすための工夫をしなければなりません。 スペインのこの新法案は、農場からスーパーやレストランを経て消費者に至るまで、食品供給の一連の流れであるフードチェーンに関係するすべての人々や企業・団体を対象としています。EU全体で、食品廃棄物の53%が消費者から出ていて、この状況はスペインでも同様です。政府は個々の家庭から罰金を取ることまではしませんが、消費者の行動を変えるための教育キャンペーンも実施していく方針です。 EUは国連の目標に沿って、2030年までにEU域内の食品廃棄物を50%削減させることを約束しています。この地球規模の問題に取り組むべく、今回のスペイン政府の思い切った決断は、その一翼を担う国としての責任と覚悟が示されたものだといえそうです。  
スペインが食品ロスの厳罰化へ。世界が注目する本気の新法案
2022.07.19

食べてSDGsを実践!サステナブルチョコレートって何?

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)では2030年までの達成を目標として、17のゴール・169のターゲットが設定されています。こうした流れを受けて、食品業界でもさまざまな取り組みが進められています。この記事では、昨今注目を集める「サステナブルチョコレート」とは何かについて、事例を交えて解説します。 チョコレート原産国が抱える課題に対応 私たちが普段食べているチョコレートの原産国では、生産者の貧困や児童労働、森林減少などたくさんの課題が山積みになっています。こうした課題を解決するために生まれたのが「サステナブルチョコレート」です。サステナブルとは「持続可能な」という意味の英語で、サステナブルチョコレートは人権や環境、経済課題に配慮した方法で製造されています。つまり、消費者はこのチョコレートを選ぶことで、生産地や生産者を間接的に支援することができます。 サステナブルチョコレートは昨今、人気が高まっています。自然食品店や輸入食材店、インターネット通販だけでなく、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでもよく見かけるようになりました。美味しくてお洒落なパッケージのものが多いので、自分で食べるのはもちろん、プレゼントにもおすすめです。 サステナブルチョコレートの人気商品2選 サステナブルチョコレートは海外のものも含めると数多くの商品がありますが、ここでは国内で人気の商品を2つピックアップして紹介します。 ピープルツリー フェアトレード&オーガニックをテーマにしたチョコレート。フェアトレードとは、「公正な取引」という意味で、発展途上国の生産者・労働者の生活を改善し、自立を支援する仕組みのこと。カカオ豆だけでなく、砂糖やトッピング素材もすべてオーガニックの素材を使っていて、おいしさにも定評があります。ミルクチョコやビターチョコ、植物性ミルクを使用したベジシリーズなどもあり、定番商品から個性的なものまで幅広いラインナップです。 meiji THE Chocolate(明治ザ・チョコレート) 日本の老舗ブランド「meiji」が手掛けていて、ベネズエラやブラジル、ペルー、ドミニカ共和国という生産地別に、4種類のチョコレートが展開されています。meijiは以前からカカオ農家の支援を行っていて、生産地の井戸の整備や環境に配慮した農法を教える取り組みをしてきました。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでも販売されているので、手軽に試すことができるのも魅力です。   チョコレートをおいしく食べて生産者も幸せになるのであれば、これほど素晴らしいことはないでしょう。これだけSDGsの考え方が広まったことを考えると、消費者にとってもこうした選択肢が当たり前の世の中になるのかもしれません。    
食べてSDGsを実践!サステナブルチョコレートって何?
2022.07.15

食品業界で話題の「アップサイクル」、フードロス対策の切り札になるか

持続可能な循環型社会を目指し、リサイクルが活発化しています。リサイクルでは製品を別の製品の原料にして別の製品を生み出します。しかし、古紙が再生紙になるように、どちらかと言えば価値の低い製品に変換されるケースが大半です。古いタオルやシャツを雑巾として再利用するのも同様で、これらは「ダウンサイクリング」と呼ばれます。 これに対し、副産物や廃棄物を新たな価値を持った製品に生まれ変わらせるのがアップサイクリングです。「創造的再利用」とも呼ばれ、これまではアートやファッション、インテリアの分野が主でした。しかし、今や食品の分野にもこのアップサイクリングの波が来ています。アメリカでの動きを中心にレポートをお届けします。 食品のアップサイクルの流れはアメリカから アメリカでは、コーヒーの果実の皮を原料にした紅茶飲料や、ビール醸造の際に出る穀物廃棄物を原料としたプロテインバーなど、食品廃棄物を活用したアップサイクル食品への関心が高まっています。 米国企業を中心に70社ほどが参加して設立された業界団体「アップサイクル食品協会」(本部=コロラド州デンバー)は、市場拡大を受け、2020年5月アップサイクル食品の定義を定めました。「本来は人間の食用とならなかった食材を使用して、検証可能なサプライチェーンにより調達・生産され、環境に良い影響をもたらす食品」ということで、実際に食品廃棄物の削減につながるものだけを「アップサイクル食品」と定義しました。 アップサイクル食品という言葉の持つ良いイメージだけを利用して売り込む偽物との差別化を図り、フードロスを削減し持続可能な社会を実現したいという強い意図が感じられます。 世界では100兆円超の期待のマーケット 食品廃棄物による世界経済のロスは年間でどれほどになるかご存じですか。なんとその額は100兆円を超えるという試算もあります。アップサイクル食品への取り組みにより、この膨大な経済損失を削減できる可能性があるのです。 日本には昔から「もったいない」という言葉がある通り、廃棄物削減の意識は比較的高いと言えるでしょう。しかし米国は廃棄物に寛容な風潮があり、供給された食料のうち3~4割がロスとなっているとも言われているのです。 ただ、米国でも時代は動いてきているようで、ミレニアル世代(1980年代~1995年生まれ)やZ世代(1996年~2012年生まれ)は消費者としての意識が高く、芯のある理念やメッセージを発する企業・ブランドの商品を購入する傾向があるのだそう。今後、世代交代が進むにつれて、フードロス削減を掲げるアップサイクル食品市場はどんどん拡大していくことが予想されます。 国内でも発売相次ぐアップサイクル食品 アメリカの動きをお伝えしましたが、日本でもアップサイクル食品は続々と増えています。従来は廃棄されていた米やパン耳を使ったビール、規格外野菜や規格外フルーツを原料とした加工食品など、味わってみたい魅力的な食品が目白押しです。 アップサイクル食品の登場は、廃棄を前提とした大量生産・大量消費の社会から、持続可能な循環型社会へと変化が生じていることの兆しとも言えそうです。時代は変わり、動きます。その只中にいるのだと思うと少し不思議な感じもしますが、この大きなうねりを楽しむ気持ちを持ちたいものですね。
食品業界で話題の「アップサイクル」、フードロス対策の切り札になるか
2022.07.14

食品や原材料の相次ぐ値上げ、その理由とは?

2021年秋ごろから、大手食品メーカーによる商品価格の値上げが相次ぎ発表されています。食品や食品原材料の値上げが続いていますが、これにはどのような理由があるのでしょうか。そして、なぜこれほどまでに話題になっているのでしょうか。 原油高や円安によるコスト増 食品や食品原材料の価格は、年々上昇し続けています。これは、世界規模での人口の増加や人件費の高騰、地球温暖化や天候不順による収穫量の減少などが主な理由とされています。これに加えて、最近の値上げは脱炭素化の動きやロシアのウクライナ侵攻により原油価格が跳ね上がったことや、急速に円安が進んだことも大きく関係しています。原油高が進むと物流コストが上昇し、円安が進むと輸入コストが増大するためです。 ほかにも、値上げの背景には、コロナ禍での生産規模の縮小や中国の食糧需要拡大などさまざまな要因が絡んでいます。原材料によって値上げの理由は少しずつ異なりますが、食品の原材料の多くを輸入に頼っている日本では、深刻な問題となっています。 特に、小麦粉や植物油脂、大豆、砂糖の値上げが目立っていて、小麦粉を主原料とするパンや、食用油を使ったマヨネーズの価格改定が相次いでいます。これらの原材料の値上げは、冷凍食品や醤油、食肉や魚の加工品、豆乳の価格にも影響します。食品メーカーでは、調達コストの削減や商品のリニューアル、仕入れ量の管理による食品ロス削減などの対策を講じているものの、値上げが止まらないというのが現状です。 値上げが話題になっているのは、なぜか? 値上げや物価上昇自体は、必ずしも悪いものではありません。物価上昇は景気拡大と同調しているケースも多く、商品の値上げにより企業の売上高が増加すれば、社員の給料アップと消費活動の活発化につながるからです。これにより、景気が好調になる可能性もあります。 しかし問題なのは、物価が上昇しているにもかかわらず給料が増えない状況です。不況であるのに物価上昇が進むことを「スタグフレーション」と呼び、昨今の値上げラッシュはこちらに傾いていると言えそうです。1970年代のオイルショック後の日本の状態と似ていて、暮らしやビジネスに大きなダメージを与えます。これは、値上げが話題になっている理由に大きく関わっています。 日本の食品業界だけでなく、食品の値上げは世界規模で進行しています。  
食品や原材料の相次ぐ値上げ、その理由とは?
2022.07.13

マクドナルドがベジタリアン対応でインド人の心をつかめた訳

米マクドナルドは1990年代にインドへ進出して以来、市場競争、経済危機、パンデミックなどを乗り越え、インドでのファーストフードの第一人者として信頼されるブランドであり続けています。インド市場におけるマクドナルドの成功のために重要な役割を果たしたのが、ブランドのローカライゼーション(地域化)でした。 ユニークで巨大な​​インドの市場に挑む 数百年におよぶユニークな食文化を持ち、人口の8割はヒンドゥー教徒であるインド人を米国風の食事様式に巻き込むのは、当初困難とされていました。 そこでマクドナルドは、それまで共通だった海外向けメニューを、潔く「インド化」します。ヒンドゥー教徒が神聖な動物として崇める牛肉のパティをやめて、鶏や羊の肉のバーガーをインド市場向けに提供。さらにまったく肉を食べない菜食主義者たちも利用できるようにと、ベジタリアンメニューを用意しました。 また、当時高価だったマクドナルド製品のインドでの市場価格をわずか25ルピー(およそ50セント)という低価格にしました。インドマクドナルドは、食材を地元から取り寄せ、物流管理をインド国内の会社に請け負わせることで、インドの中流家庭が気軽に利用できるような低価格を実現させたのです。 生産元や物流をインドに置くことは、海外からのインド進出を脅威とみなしていた、地元の政治家や社会運動家からの反対を回避することにも役立ちました。 家族との家での食事を重視し、外食は日常的でなかったインド家庭に合わせて、インドマクドナルドは、ファストフード店というより高級なファミレスというイメージを打ち出しました。清潔でゆったりした内装のほか、デリーの警察や消防と提携し、安全性をアピールしました。 他にも、それぞれの宗教観や信条を尊重していることをアピールするため、商品の包装や調理場のスタッフが着るユニフォームをベジタリアンとノンベジタリアンのものとで区別しました。そうした細やかな配慮により、インドの人々の信頼を着実に獲得していったのです。 ローカライゼーションで海外進出を成功に導く ローカライゼーションとは、製品やサービスを現地で受け入れられるように最適化することを指します。マクドナルドはこの技術を最大限に活用し、インドを含む世界100カ国以上、計4万店舗にも上る、世界最大のレストランチェーンとして成功を収めています。 どの国にも、その土地の雰囲気、食べ物、それぞれの需要や興味、関心があります。宗教的な習慣やタブーなど人にはさまざまな考え方があり、同じブランドでも国や地域によって受け入れられるかどうかには違いが生じます。こと食べ物に関していえば、世界のある地域では珍味や好物とされているものが、他の国では禁忌と見なされることが起こり得ます。 マクドナルドでは、各国にローカライズの専門チームがあり、新たな国に進出するとき、その国の文化の違いを理解し、それぞれの国の方針に従うことを心掛けています。同社が海外進出に成功してきた戦略のひとつは、ビッグマックを代表とした一貫性のあるメニューですが、地元の人々の傾向によって時にメニューを大きく変更することもいといませんでした。 多国籍フードチェーンにとって、インドの巨大な市場は魅力的でありつつ、その独特な価値観や宗教観ゆえに、ハードルの高い未開の市場でした。マクドナルドは柔軟で行き届いたローカライズを可能にすることで、インドの家庭に「家族でアメリカ風の外食を楽しむ」という新しい価値観を生み出したのです。    
マクドナルドがベジタリアン対応でインド人の心をつかめた訳
2022.07.12

健康的に脂肪を減らせる「MCTオイル(中鎖脂肪酸油)」とは

健康のために「オイル=控えめにすべきもの」という考え方から、最近は「上質なオイルを適度に活用する」ことがメディアなどで推奨されるようになりました。今回は、ココナッツオイルと並んで人気がある「MCTオイル(中鎖脂肪酸油)」の概要と家庭での活用例を紹介します。 消化の速さは通常の4倍、ダイエットにも最適 MCTオイルは、「Medium ChainTriglyceride(ミディアム チェーン トリグリセリド)」の頭文字をとったもので、日本語では中鎖脂肪酸油と呼ばれます。ココナッツオイルやパームオイルに含まれる「中鎖脂肪酸油」だけを精製して作られます。 オリーブオイルなどの植物油やバターなどの動物性油脂に含まれる分子量が大きい「長鎖脂肪酸」に対して、中鎖脂肪酸は分子の長さが約半分とされています。このため、消化・吸収・分解がされやすく、素早くエネルギーになります。そのスピードは長鎖脂肪酸と比較すると約4倍とも言われ、体脂肪としても蓄積されにくいとされています。また、長鎖脂肪酸とは消化経路が異なっており、肝臓で分解・吸収されるのも大きな特徴です。 MCTオイルは、昨今話題の「ケトジェニックダイエット」に利用されることも多いオイルです。ケトジェニックダイエットとは、糖質の量を減らし、その代わりに良質なタンパク質や脂質を摂取することで、脂肪の燃焼を促すというもの。エネルギーを効率よく摂取でき体脂肪として溜まりにくいので、ダイエット中にも適したオイルです。 家庭での活用広がるMCTオイル MCTオイルは無味無臭なので、飲み物や料理の味を損ねません。コーヒーや紅茶、スムージー、ヨーグルト、納豆、サラダ、スープなど、普段の飲み物や料理に加えて、無理なく摂取することができます。アスリートの間では、MCTオイルとプロテインを混ぜたドリンクも人気です。 MCTオイルは一度で大量に摂るのではなく、一日あたり小さじ1~大さじ1を目安に何回かに分けて食べるようにするのがおすすめです。摂り過ぎると、腹痛や胃もたれを起こす場合もあるので、初めての人は少量から始めるようにしましょう。 ひとつ注意したい点として、MCTオイルは加熱には向かないということです。発煙点が低いので、炒めものや揚げものには向いていません。 中鎖脂肪酸は以前から、エネルギーを必要とする人たちの栄養補給として、医療の現場などでも長い間利用されてきました。最近では、糖質に比べて効率よくカロリーが摂取できることから、食が細い人や高齢者にも支持されています。  
健康的に脂肪を減らせる「MCTオイル(中鎖脂肪酸油)」とは
2022.07.08

「UMAMI EGG」徹底解剖!開発秘話と今後の展望【代表インタビュー】

さまざまなメディアで取り上げられ、注目を集めている植物性卵「UMAMI EGG」。こんにゃく粉を使って卵らしさを出すことに成功し、急速に販路が拡大しています。しかし、最初から順調に進んでいたのかといえば、決してそうではありませんでした。UMAMI UNITED JAPAN株式会社(以下「UMAMI UNITED JAPAN」)の代表取締役である山﨑寛斗(やまざき ひろと)さんに、開発の経緯や苦労したエピソード、こんにゃくに見る可能性を聞きました。食品開発に従事する人へのメッセージもお届けします。(取材・構成=松橋かなこ)   「ONE TABLE」を実現すべく、こんにゃく粉を使った植物性卵の開発へ ――UMAMI UNITED JAPANの設立に至るまでの、山﨑さんのご経歴を教えてください。 学生時代にインターンで関わった活動を通して、食の多様性を学びました。同時に外国人へのボランティアガイドをしていましたが、海外の国に比べて日本は食の選択肢が少ないことを痛感しました。こうした課題に取り組みたいと考え始めたのは学生の頃です。卒業後、食の多様性(フードダイバーシティ)に特化した会社で業務に携わりました。現在の開発担当者との出会いにより、2022年にUMAMI UNITED JAPANを設立。その前後で、UMAMI EGG2.0の開発を進めました。   ――植物性卵の開発に取り組もうと思ったきっかけはどんなことでしたか。また、植物性卵にこんにゃく粉を使おうと考えた理由は。 私たちの会社のミッション「ONE TABLEで未来を創る」を実現しようと考えたときに、卵にニーズがありそうだという話になりました。そこで、植物性卵に取り組んでいる海外の競合会社や類似商品をリサーチし、プロトタイプ(試作品)を作りました。そのプロトタイプをレストランなどに提供し、実際に使ってもらい感想を集めました。そこで見えてきたのは「味はおいしいけれど、通常の卵と比べて使い勝手があまりに違う」ということ。具体的には、加熱すると固まるという卵の特性が上手く表現できていませんでした。そこで、卵の特性を出すために「こんにゃく粉を使ってはどうか」という話になりました。   ――こんにゃく粉以外に、検討した材料はありましたか。 他の素材としては、加熱で固まる特性を持つ「水溶性タンパク質」を使うことを考えました。海外の植物性卵では、植物性のタンパク質を使うケースが多いです。他の国から素材を取り寄せて試作しましたが、なかなか思うように進みませんでした。そこで、「自分たちの身近にあるもので何ができるか」をもう一度考えたのです。その結果、日本にふさわしい素材のこんにゃく粉にたどり着きました。   マーケティングとの連携やニーズの選定に苦労することも ――商品開発、そして販売へと動くなかで、特に苦労したことは何でしたか。 1~2カ月かけて試作品を作った後、同じくらいの時間をかけていろいろな人に使ってもらいながら改良を重ねました。開発にはトータルで半年程度の時間がかかりました。 「開発とマーケティングをどう連携させていくのか」については、社内でいつも議論しています。どこの市場に、どんな価格帯でどんなポジションとして打ち出していくのか。これまで世になかったものを提案する立場なので、ニーズの選定に難しさを感じることが多いです。国によっては使用できない原料がある場合も多く、最初はとても苦労しました。 今は国内での受注が8~9割を占めていて、残りの1~2割が海外です。しかし、海外での市場のほうが圧倒的に大きいので、今後はこの比率を逆転させたいと考えています。そのために、「卵のどういう部分や機能を求めているのか」を徹底的にリサーチして、ニーズの掘り起こしや細分化をしています。   ――マーケティングのポイントは、どこに重きを置いているのでしょうか。 特別に決まったスタイルがあるのではなく、「やりながら考える」ということを大切にしています。定量的なデータだけでなく、定性的なデータも集めています。誰もが知っているようなことであれば、ベンチャーがあえて取り組む意味はないのではと。「掘ってみたら、偶然にも温泉が出てきた」というような意外性のあるニーズを探しています。 その上で、基準は大きく2つあります。会社のミッションに合っているのかどうかと、ある程度の市場規模があるのかということです。市場規模は大きくても、会社のミッションに合わないものであれば、選択しないこともあります。   こんにゃくや海外市場への可能性に向けて   ――国内外問わず、こんにゃくへの注目が高まっています。こんにゃくの可能性について、感じていることがあれば教えてください。 海外ではこんにゃくを使ったパスタが人気を集めていて、大手企業もこんにゃくに注目しています。こんにゃくは日本の伝統食材であり、日本らしさを前面に出した海外市場への展開にも向いていると思います。 特に、こんにゃくとプラントベースの組み合わせは相性が良いと感じています。たとえば、こんにゃくとおからを組み合わせた「おからこんにゃく」を揚げてトンカツ風にすると、とてもおいしいです。新しい食の選択肢として、こんにゃくにはさまざまな可能性を感じています。茨城県の伝統食材に「凍みこんにゃく」というものがあり、作るのに大変手間がかかることから、生産者が減少しているそうです。そうした食材をどう活用するのかを考えるのも、面白いのではと思っています。   ――食品業界で開発に携わっている方々に向けて、メッセージがあればお聞かせください。 日本の市場が縮小化するなかで、海外に目を向けるとニーズが大幅に拡大します。特に、プラントベースではその傾向が強いと感じます。日本には素晴らしい開発者がたくさんいるので、国を超えて展開していくとよいのではないでしょうか。海外市場を見据えて、クオリティーの高い商品を一緒に作っていきたい。同じ気持ちを持つ方がいれば、ぜひとも声を掛けてください!   UMAMI EGGについての商品情報はこちら。   関連記事: https://reports.shareshima.com/1903/
「UMAMI EGG」徹底解剖!開発秘話と今後の展望【代表インタビュー】
2022.07.07

世界初!味をデータ化する「フードNFT」とは

最近、いろいろな分野で「NFT(エヌエフティー)」という言葉を聞くようになりました。食品業界では「フードNFT」が登場し、注目を集めています。とはいえ、まだ一般にはなじみの薄いフードNFT。その言葉の意味や現状について、こちらの記事でわかりやすく解説していきます。 フードNFTって何? フードNFTとは、誰もが「食べてみたい」「作ってみたい」「伝えたい」と思う世界中の魅力的な料理のレシピや味をデータ化したものです。、株式会社味香り戦略研究所(東京)が有する味覚データ分析技術を活用しています。 フードNFTという名称は、料理や食品という意味を持つ「Food」と、「Non-FungibleToken」の略称である「NFT」を組み合わせたものです。NFTは直訳すると「非代替性トークン」で、「世界にひとつしかない物やデータ、技術」「作成者や所有権などを証明できる仕組み」という意味を持ちます。 フードNFT市場を創出するために設立された「NFTコンソーシアム」には、企業や学校、個人などさまざまな主体が参加しています。同コンソーシアムのホームページによれば、ミッションは「レシピ味をデータ化した『フードNFT』市場を世界に創出すること」。彼らは「世界中の味の記憶遺産(資産)」、「未来に残すべき伝統の味」、「文化として価値ある味」を後世に残していくことをヴィジョンに掲げています。 「味の著作権」の運用が可能に レシピや味をデータ化した「レシピデータ」と「味覚データ」を、強固な安全性を誇るブロックチェーンの技術を活用して保存し、NFT化します。こうすることで、データが永久的に保存・証明され、効果的な活用が可能になり、「味の著作権」の運用が可能になります。 そして日本で2022年4月、世界初のフードNFTが誕生しました。セディカル株式会社(山口県周南市)が同年発売した健康志向と食の楽しさを両立するチョコレート「ケトサポート」のレシピデータと味覚データがNFTコンソーシアムに提供され、海外からも注目を集めました。 フードNFTはまだ新しい概念ですが、その先にはさまざまな可能性が広がっています。今後もその動向に注目していきたいものです。
世界初!味をデータ化する「フードNFT」とは
2022.07.06

伝統から革新へと脱皮する昆虫食【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.1】

哺乳類の祖先ラオレステスから始まり、猿人、原人、旧人、新人と進化するなかで、人類は 400 万年の間身近で採集しやすい昆虫を日々の糧としてきました。日本でも 1919(大正8)年の調査で 55 種類もの昆虫が食べられていましたが、その後の食の西欧化で一部地域を除き昆虫は食べ物とみなされなくなってしまいました。世界は急速な人口増加と工業化による環境悪化が顕在化し、気候変動対応や生物多様性保全などの「環境」「持続性」が農業政策の最重要項目になってきています。 FAO が 2013 年に出した昆虫食を推奨するレポート『食用昆虫:食料と飼料の安全保障に向けた将来の展望』はこうした背景から生まれたものでした。世界的な趨勢を受けて農林水産省は 2020 年、完全資源循環型の食料供給と高い QOL の実現に向けて「フードテック官民協議会」を設立。そのなかに作業部会「昆虫ビジネス研究開発 WT」が設置されました。 哺乳類誕生とともに食べられてきた伝統食の昆虫が、新たな革新的な価値を付与された食材に脱皮しようとしています。受容傾向(食物新奇性嗜好)の高い消費者への働きかけ、そのための喫食機会の拡大や新たなメニュー開発が急務です。このたび発刊に至ったニュースレターが、昆虫の社会受容性を推進する情報発信ツールとなることを切に願っています。 (内山昭一/NPO法人昆虫食普及ネットワーク理事長)   夏はセミがおすすめ!【7月のトピック】 夏、昆虫食好きの私たちにとって待ち焦がれた狩りのシーズンです。今夏ぜひ狩って、食してもらいたいのは「セミ」。狩って楽しく、食べておいしい食材です。成虫を明るいうちに網で、日没後に羽化のために地面から出てくる幼虫を手で捕らえます。ミンミン、アブラ、ニイニイ、クマゼミ、外来種タケオオツクツク等のセミ種、幼虫と成虫、性別によって味、食感がかなり違いますので食べ比べの楽しみもあります。セミ食に興味が動いたなら、セミ会や昆虫食を楽しむ会等イベント参加をお勧めしたい。そこで得た新しい経験が今もなお私にとって昆虫食の最大の魅力だからです。 (増田隆紀/NPO法人昆虫食普及ネットワーク副理事長)   スズメバチ幼虫・蛹とピーマン、松の実の炒め物【7月の一皿】 スズメバチ幼虫と蛹は 巣から抜いて湯通しし、幼 虫は糞抜きしておく  細切りピーマン、乾燥松 の実、スズメバチをサラダ オイルで炒め、麺つゆで味 付け、最後に擦りごまを振 りかける 食材メモ: スズメバチ幼虫 は丁寧に糞抜きすると臭み も少なく、あっさりした甘味と旨味があります。野菜と炒め物や煮物にするなど何の料理にも使いやすい食材です。成虫の形になっているものは、オオスズメバチの場合は殻が硬く炒める程度では口当たりが悪いので別な料理に使いますが、コガタスズメバチ等では幼虫や蛹と一緒に料理してもまた違った 食感が楽しめます。  (樋口素子)     ニュースレターは、NPO法人昆虫食普及ネットワークの公式HPで配信中です。  
伝統から革新へと脱皮する昆虫食【昆虫食普及ネットワーク・ニュースレターVol.1】
2022.07.05

樹木由来の蜂蜜「甘露蜜」に注目!栄養はマヌカハニー以上

健康志向が高まる中、蜂蜜の効能が注目を集めています。いろいろな種類の蜂蜜がありますが、その中でも「甘露蜜」はトップクラスの栄養があるとされています。この記事では、樹蜜ハニーの概要と、味や香り、栄養について紹介します。 ハチミツの種類と甘露蜜の定義 蜂蜜には花由来のものと樹液によるものの大きく2種類があります。前者の対象となるのは、野山や樹木の花、ナッツや果物の花、ハーブの花などいろいろな花々の蜜です。一種類の花から採蜜されることもあれば、蜜蜂が複数の花の蜜を集めてブレンドした「百花蜜」もあります。花の種類によって色や香り、味などに違いがあります。また、同じ花であっても採れる場所や気候によって少しずつ変化が生じます。 これに対して、後者の樹液からつくられる蜂蜜は「甘露蜜」「甘露蜂蜜」「ハニーデューハニー」と呼ばれます。ヨーロッパでは「森の蜜」と呼ばれることもあります。利用される主な樹木は、松やオーク、菩提樹、アカシア、レザーウッド、トチなどです。 一般的に「蜂蜜」と言うと、花由来の蜂蜜を指すことが多いです。花由来の蜂蜜に比べると甘露蜜は希少品であるため、日本ではあまり知られていないかもしれません。しかしヨーロッパでは、甘露蜜は「栄養が豊富で体に良い」「抗酸化作用が高い」とされ、高い人気を誇っています。樹液が昆虫の体内を通過する際に虫の酵素と合わさるため、ミネラルを豊富に含有しているといわれています。 ギリシャでは兵士の元気の源だった ギリシャの小さな町・スパルタは、甘露蜜の生産地のひとつです。特定の木の枝に付いているカイガラムシが分泌する糖度の高い液を蜜蜂が吸い、蜂蜜が作られます。雨の日はカイガラムシが動かないので採れる量が減ることもあり、希少な蜂蜜です。ここで採れる蜂蜜は優しい甘さがあり、かつては「兵士の元気の源」とされていました。2400年ほど前のスパルタはアテネと並ぶ強い都市として知られていましたが、甘露蜜も関係していたのではと言われています。 豊富な栄養があり、古代ギリシャでは元気の源とされてきた甘露蜜。日本ではまだ親しみの少ない食材ですが、マヌカハニーに続いて、今後人気が高まっていくかもしれません。ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。 ※蜂蜜は、ボツリヌス菌が含まれている場合があるため、1歳未満の子どもには食べさせないように注意しましょう。  
樹木由来の蜂蜜「甘露蜜」に注目!栄養はマヌカハニー以上
2022.07.01

こんにゃく粉を使った植物性卵「UMAMI EGG」が注目を集める理由

近年、健康ブームや地球環境の保護、動物愛護といった観点から、プラントベース(植物由来)食品への関心や需要が高まっています。そんな状況下で、話題を集めているのが2022年春に登場した植物性卵「UMAMI EGG」。UMAMI UNITED JAPAN株式会社(以下「UMAMI UNITED JAPAN」)の代表取締役である山﨑寛斗(やまざき・ひろと)さんへの取材から、UMAMI EGGの魅力や「卵らしさ」の理由、目指す未来像についてお伝えします。(取材・構成=松橋かなこ)   こんにゃく粉が主原料の植物性卵「UMAMI EGG」とは UMAMI EGGは粉末タイプの卵食材であり、植物性の素材だけで作られています。粉末に豆乳を加えて混ぜた後に加熱することで、卵にそっくりの見た目と味、食感を再現できます。ここで着目したいのは、主原料としてこんにゃく粉を使っているということ。植物性卵は欧米ではスーパーマーケットの棚に並ぶほど広がりつつあるものの、緑豆など豆由来の原料を使った商品が多く、こんにゃく粉を使用したものはこれが初めてです。 世界中を見渡してみても、こんにゃくを食べる食文化を持つ地域は限られています。ここには「日本の魅力を世界に発信したい」という会社のビジョンがあります。   UMAMI EGGの「卵らしさ」の理由 卵を使っていないのに、卵にそっくりのUMAMI EGG。こんにゃく粉を使うことにより、「加熱すると固まる」という卵の最大の特徴が再現できます。また、こんにゃく粉には保水性があるので、しっとりとした仕上がりになります。こうした特性によって、スクランブルエッグなどの代表的な卵料理を手軽に作ることができます。 UMAMI EGG2.0と豆乳の配合を変えれば、料理のレパートリーがぐっと広がります。たとえば、豆乳の量を増やすとトロリとした食感が出るので、オムライスやオムレツに最適です。さらに量を増加させると、茶碗蒸しも作れます。それどころか、プロの料理人が茶碗蒸しを試作したところ「今までで一番おいしくできた」と賞賛されたそうです。 こんにゃく粉以外の原材料としては、卵らしい色味を出すために、かぼちゃパウダーやにんじんパウダーを使っています。人工的な着色料ではなく、できるだけ自然な素材を使うこともこだわりのひとつです。   製菓店からのニーズが多く、幼稚園にも「プリン」を提供 山﨑さんによれば「焼き菓子作りに使うのもおすすめ」とのこと。アレルギーなどの理由から卵や小麦粉を避けている場合、米粉を使ってお菓子を作ることも多いですが、パサパサした食感になりやすいもの。しかし、UMAMI EGGを粉の重量に対して0.5~1%程度加えることで、パサつきが少なくもっちりとした食感になります。 さらに、フランスの洋菓子「カヌレ」やカスタードクリームとの相性も抜群です。「卵を使わないと作れない」「卵アレルギーがあるから食べられない」と思っていたお菓子が、UMAMI EGG2.0を使うことで、安心しておいしく食べられるようになります。実際に、グルテンフリーの商品をつくる製菓店などからのオファーも多く、業務用として販路を拡大中です。 東京都のある幼稚園では、給食のおやつとして卵アレルギーの子どもも食べられる「プリン」を350人分提供しました。通常のプリンは卵を使いますが、その代わりに植物性の素材を使ったUMAMI EGGの姉妹商品「らくぷりんミックス」を使用。おいしそうにプリンを食べる園児の様子がとても印象的で、「みんなが一緒に食べられてとても嬉しい」という保護者や先生達からの声もありました。   実際に食べてみると 今回記事を書くにあたり、私自身もUMAMI EGG2.0を使って卵料理を試作し、食べてみました。まず驚いたのは、豆乳を加えてブレンダーで混ぜるとすぐに固まり始めたということ。山﨑さんによれば、これはこんにゃく粉の固形性によるものなのだとか。ちょうど自宅にあったトウモロコシの粒を加えて、フライパンで加熱するとスクランブルエッグのような一品ができあがりました。初めての試作でしたが、想像していたよりもずっと簡単に調理できました。 何も言わずに朝ごはんの食卓に並べてみると、植物性卵を使っていることに、家族の誰も気が付かない様子。実際に食べてみると、子どもは独特の食感が気に入った様子で「卵クリームみたいだね」「おいしい」とのこと。我が家には卵アレルギーを持つ人はいませんが、「選択肢のひとつとして植物性卵がある」というのはとても素晴らしいことだと感じました。   UMAMI EGGを通して、「ONE TABLE」を実現する 国際鶏卵委員会(IEC)によると、国民1人当たりが1年で消費する卵の数は、日本は世界で2番目に多いとされています。たしかに、身近な料理やお菓子に卵を使ったものはとても多く、アレルギーがあると「食べたくても食べられない」という苦痛を毎日のように感じることになります。 UMAMI UNITED JAPANのミッションは「ONE TABLEで未来を創る」。食のニーズは多様化しているものの、現在の日本では選択肢が限られているのが現実です。その結果、みんなでひとつのテーブルを囲めないことも少なくありません。UMAMI EGGには、こうした目に見えない垣根を越えていきたいという熱い想いが込められています。幼稚園の園児達がみんなでテーブルを囲み、おいしそうにプリンを食べる姿には、山崎さん達が思い描く未来があふれています。 現在はUMAMI EGGへの期待として「アレルギー対応」という側面が強いものの、将来的には小学校の給食で当たり前に使われる状態を目指したいと山﨑さんは語ります。「おいしいね」とみんなで一緒に食べた後に、実は「植物性卵だった」と気が付く――。そんな自然な流れのなかにUMAMI EGGが存在する時代に向けて、試行錯誤を重ねています。   UMAMI EGGについての商品情報はこちら。   関連記事: https://reports.shareshima.com/1913/
こんにゃく粉を使った植物性卵「UMAMI EGG」が注目を集める理由
2022.06.30

「電子レンジ対応」で広がるレトルト食品の可能性

疲れていたり、時間がなかったりするときに便利なレトルト食品。簡単に短時間で美味しく食べられることから、災害時の備蓄としてストックしている人も多いかもしれませんね。近頃では電子レンジ対応のレトルト食品も増えてきました。パウチをそのまま電子レンジで温められるので、お湯を沸かす手間すら必要なく、より便利で時短にもなります。今回はそんな電子レンジ対応のレトルト食品について、登場の背景や今後の展望を考察します。 レトルト食品の特徴は何といっても湯せんで温めるだけで食べられる点です。「食べたいその時にお湯さえ沸かせばお腹を満たせる。なんという魅力!」レトルト食品の黎明期にはそんな感激があったに違いありません。しかしレトルト食品が普及するにしたがって、簡単手軽な湯せんという調理法も当たり前のものと受け止められるようになっていきました。それどころか、一から食材を準備して調理するのに比べれば圧倒的に簡便なのに、お湯を沸かすことすら手間だと感じられてしまうようになってきました。 その背景には電子レンジの存在が見え隠れします。現在電子レンジの家庭への普及率は100%に近く、まさに「一家に一台」が現実のものとなっています。作り置きの料理や冷凍食品などを電子レンジで温めて食べることが一般的となった今では、湯せんは簡単ではあるけれども一手間かかる調理法となってしまったのかもしれません。 食品メーカーは電子レンジの可能性を強く意識しました。2003年には大塚食品から世界で初めての電子レンジ対応レトルトカレーが登場。湯せんではなく電子レンジ対応になったことで、調理はより簡単かつ短時間で済むようになりました。それだけではなく、電子レンジ調理の方が湯せん調理に比べて二酸化炭素の排出量が少ないので、環境負荷も軽減されます。簡便、時短かつエコな電子レンジ対応レトルト食品は多くの食品メーカーにより開発が進み、カレーだけでなくパスタソースやスープ、丼やお惣菜などバラエティに富んだラインナップが展開されています。 コロナ禍で外食機会が減った代わりに、調理済み食品を購入し家で食べる「中食」市場は拡大し、冷凍食品やレトルト食品の利用も増加しています。食品メーカーの努力と技術の進歩により、レトルト食品はよりおいしくなり、今や「おいしいから」とレトルト食品の多彩なメニューを楽しむ人も増えてきています。 食生活のニーズは多様化しています。以前の「おいしくない」「手抜き」といったマイナスイメージは払拭されつつあり、個食化や高齢化などからも電子レンジ対応レトルト食品の需要はさらに高まるでしょう。またコロナ禍をきっかけとした健康意識の高まりもあり、塩分制限やタンパク質制限などに対応した治療食、成人病予防食などの分野への進出も考えられます。電子レンジ対応レトルト食品は私たちの未来の食卓の選択肢を広げ、より健康で豊かな食生活を支えてくれそうです。
「電子レンジ対応」で広がるレトルト食品の可能性
2022.06.29

食品原料高の背景に「水不足」。世界の穀倉地帯で表面化するリスク

日本で暮らしていると、「水不足」と聞いても、ピンとこないかもしれません。しかし実は今、世界の穀倉地帯が深刻な水不足に陥っています。背景には、干ばつや洪水による不作があります。ロシアのウクライナ侵攻の影響で、食品値上げのニュースが毎日のように報じられていますが、近い将来、私たちも向き合わなければならない水の問題をひも解きます。 異常気象が小麦産地を襲う アメリカ アメリカの穀倉地帯は、以前から干ばつ被害に悩まされており、2012年の中西部での大干ばつが代表的です。2021年も熱波と干ばつが重なったことで小麦が不作となりました。特に米南西部は、「メガドラウト」と呼ばれる大規模な干ばつ被害に悩まされています。 アジア アジアの小麦生産大国インドも、記録的な熱波による不作に見舞われています。ウクライナ情勢の影響を危ぶみ、一時、小麦の輸出を停止しました。アジアにおけるもう一つの小麦大国・中国も、昨年の大雨と洪水で2022年は「史上最悪」の小麦不足です。 ヨーロッパ 小麦生産高世界5位のフランスも、熱波や干ばつで収穫量が減少しています。専門家の調査によると、土壌の水分レベルは過去10数年の中で「最低」。ウクライナ情勢のあおりで小麦不足が懸念される中東・北アフリカからも頼られているだけに、この問題は深刻です。 中東・北アフリカ 中東トップの小麦生産国はイラン、そして、アフリカ最大がモロッコです。ここも同様に干ばつの影響で小麦の生産を大きく落としています。地理的に干ばつ傾向の強いアフリカですが、近年はインド洋の温暖化によって引き起こされる洪水被害も目立ちます。 水不足を起こす要因 水不足の直接的要因としては、干ばつや熱波といった気候変動が目立ちます。しかしこの問題を掘り下げると、背景に人口増加と産業活動があり、それらが密接に関わり合っています。 水の需要が増したのは、産業革命によって工業化が急速に進んだ18世紀半ばから19世紀にかけて。人口が集中する都市が各地に生まれ、世界中で水が求められるようになりました。日本は世界の中で最も早く少子高齢化に直面し、すでに人口減少の局面に入っていますが、世界では人口が増え続けています。 人口の増加は、水を汚染します。生活排水の他、工場など産業活動に伴う水の汚染は公害問題を引き起こしました。私たちが生きることと水を汚染すること、それらは決して切り離すことのできない関係性にあります。 干ばつや熱波、洪水といった気候変動が2050年までに世界農業にもたらす経済的損失は、16%に上るという試算もあります。
食品原料高の背景に「水不足」。世界の穀倉地帯で表面化するリスク
2022.06.28

古くて新しい昆虫食、日本のルーツは郷土料理にあり

タンパク質危機の課題解決のひとつとして、「昆虫食の普及」が推進され始めています。昆虫食と聞くと新しい食事法のように感じるかもしれません。実は、信州など日本の郷土料理には昆虫を使ったものも多く、世界的にも注目を集めています。この記事では、昆虫を使った郷土料理について解説します。 タンパク質危機で脚光浴びる昆虫食 2025~2030年頃に起こるとされている「タンパク質危機」。タンパク質危機とは、増加し続ける世界人口に対して、牛肉や豚肉を主とするタンパク質の供給が追い付かず大幅に不足してしまうこと。この課題を解決するためのひとつの方法として、昆虫食が注目を集めています。 昆虫食の魅力としては、タンパク質が豊富に含まれることや育てるための水や飼料が少ないこと、飼育の過程で発生する温室効果ガスの排出量が少なくて済むことなどが挙げられます。国連食糧農業機関(FAO)は昆虫食を推奨していて、環境負荷の少ないサステナブルな食料として話題になっています。 その一方で、一般の人たちの間では昆虫食に対するネガティブな意見も少なくありません。ある調査で昆虫食に対するイメージを尋ねたところ、「気持ち悪い」「おいしくなさそう」という声も多く出ていました。 信州の暮らしに根付いた昆虫食文化 日本では、昔から昆虫を食べる地域があります。ここでは、昆虫を使った郷土料理が多いことで全国的に有名な信州の事例を紹介します。 信州でよく食べられている昆虫といえば、蜂の子やイナゴ、カイコ、ザザムシがあります。これら4種類を総称して「信州四大珍味」と呼び、カイコを除いた3種類は「信州三大珍味」とされています。この中で初心者にも比較的食べやすいのは蜂の子とイナゴで、佃煮(つくだに)にして食べることが多いです。 蜂の子はスズメバチの幼虫・さなぎ、イナゴは稲作の害虫とされるバッタのことです。カイコは生糸の生産のために飼育されていた虫で、一昔前までは長野県では飼育が盛んでした。ザザムシは水生昆虫でありヒゲナガカワトビケラの幼虫のことで、主に天竜川で採集できます。長野県の伊那谷で食べられていますが、世界的には食べる習慣がほとんどありません。 自然と共生する暮らしの中で生まれた、昆虫食。イナゴやカイコなどは、稲作や製糸業を営む過程で副産物として発生するもので、人々の生活に深く結びついていました。昆虫食をより身近なものとして捉えるために、信州の郷土料理に目を向けてみてはいかがでしょうか。  
古くて新しい昆虫食、日本のルーツは郷土料理にあり
2022.06.24

ハラル認証取得の基本を学ぶ【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.3】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。6月中旬、マレーシア、シンガポールに2年ぶりに出張に行きました。現地で見て聞いて、食品原材料のハラル(ハラール)ビジネスはますます盛んになると確信を持ちました。3回目となるこちらの回では、本丸のハラル認証について解説します。 国際認証のハラル認証に世界統一基準がない!? ハラル認証は「国際認証のひとつ」ですが、世界統一基準がありません。世界中に350以上のハラル認証団体(機関)が存在しています。国が運営する機関から、各種団体、株式会社、個人が運営する団体まで、さまざまです。この多くのハラル認証機関・団体等々の中から、自社の目的に合わせて選ぶ必要があることを、まずは念頭に置いてください。 特に日本はイスラム教徒の国ではないことから、ハラル認証団体は許認可団体ではありません。したがって輸出国、製品、目的により、話の前提となるハラル認証の有無から、取得すべきハラル認証も違うことを理解する必要があります。自社でハラル認証団体を選択することが最も大切な点です。 ハラル認証は、大きな部分ではイスラム教のハラルが原理原則ですが、多少の差異があります。具体的には、5つのカテゴリーを確認してハラル認証の発行がされています。1つ目は商品の選定で、最終製品であればネーミングなども関係することがあります。2つ目は原材料がハラルかどうか?です。入口の原材料がハラルでなければハラル認証は取得できません。3つ目は工場の確認で、製造工場の建屋、製造ラインの確認をします。ヴィーガン認証等は少し違い、現地で接触コンタミ(コンタミネーション:混入)がないか?の確認を行います。4つ目は原材料、中間製造物、最終製品の倉庫(置場)がハラル品とレギュラー品(一般品)とできちんと分けられているか?の確認もあります。5つ目はイスラム教徒の従業員等がいなくてもハラルチーム(他のFSSC、HACCPなど国際基準と同様)を作り、内部規定で管理することなどを満たしているか?これらのチェックを経て、ハラル認証の証明書やハラルロゴマークを発行しています。 東南アジアイスラム市場ではハラル認証が輸出パスポートに ハラル認証団体(機関)により難易度、料金、取得期間、対応言語、申請種類等が違います。ピンキリとは言いませんが、大きく違うことを理解しておくといいと思います。まずは初期費用、更新費用などを照会し、見積書をもらうこと、そして実際にハラル認証商品の効果測定ができる3年間のトータル金額をハラルビジネスの専門家に助言を受けるといいと考えます。最近は高経済成長の東南アジアイスラム市場で、マレーシア、シンガポール、インドネシアを筆頭に、タイ、ベトナム、フィリピンからもハラル認証原材料の引き合いが多くなっています。 それぞれの国でハラル認証商品を作り、東南アジア域内や南西アジア、中東等に輸出していると考えられます。ハラル認証原材料が他の国際認証と同様、一般品に付与される、一種の輸出時のパスポート的な国際認証の一つになる勢いです。 次回の4回目は原材料の「ハラル認証がいるハラルビジネス、いらないハラルビジネス」を解説したいと考えます。7月第4金曜日を楽しみにしていてください。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら
ハラル認証取得の基本を学ぶ【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.3】
2022.06.23

それってマーガリン?「植物性バター」とは

タンパク質危機や健康志向の高まりに合わせて、植物性の代替食品が次々と登場しています。そんな中、話題を集めている「植物性バター」をご存知でしょうか。植物性の素材で作られたバターのことで、じわじわと支持を集めています。この記事では、マーガリンとはまた異なる、植物性バターについて解説します。 バターなのに乳製品は不使用 植物性バターは、乳製品不使用の植物性油脂食品です。別名「ヴィーガンバター」と呼ばれることもあります。大豆やオリーブ、アボガド、ココナッツなどの植物性の油をベースにして、そこに水や香料、保存料などを加えて作られます。固形またはペーストの状態をしていて、硬さは通常のバターにそっくり。乳製品特有の香りがなくさっぱりとした口当たりですが、植物性とは思えないほどのコクや濃厚な味わいがあります。 植物性バターは、通常のバターと同じように利用できます。パンに塗って食べるのはもちろん、料理やお菓子づくりに使うのもおすすめです。植物性バターは大手スーパーやインターネット通販で入手できます。植物性バターと一口に言ってもいろいろな商品があり、添加物が含まれていないものやそのまま食べてもおいしいものもあります。購入する前に原材料などのラベルをしっかり確認するようにしましょう。 マーガリンとの違いは?  バターによく似た植物性の食材と言えば、マーガリンもよく知られています。マーガリンは、バター不足を解消するための代替品として生まれたもので、バターの代用として使われることもあります。では、植物性バターとマーガリンの違いはどんな所にあるのでしょうか。  マーガリンの定義は「日本農林規格(JAS規格)」に定められており、「油脂が80%以上含まれるもの」とされています。一般的なバターは牛乳の脂肪分からできていますが、マーガリンはコーン油や大豆油、パーム油、なたね油、実油などをベースに、乳や乳製品、食塩、ビタミンA、乳化剤などを加えて作られます。  一昔前までは「バターよりもマーガリンはヘルシー」と言われていましたが、最近はトランス脂肪酸の危険性が指摘されることもあります。それを受けて、トランス脂肪酸を極力減らしたマーガリンの開発に取り組む企業も出始めています。  植物性バターとマーガリンには原料の違いがあり、商品によっては体への影響も異なると言えそうです。用途や目的によって選択する幅が増えるのは、消費者にとってはうれしいことです。植物性バターを店頭で見つけたら、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
それってマーガリン?「植物性バター」とは
2022.06.22

世界最大規模の米トウモロコシが危機に。気候変動のはらむリスクとは

アメリカ中西部で東西へとベルト状に広がるトウモロコシの農業地帯は「コーンベルト」と呼ばれています。ここでのトウモロコシ生産高は米国全体でのおよそ8割を占め、世界総生産高の3分の1に達します。米エモリー大学の新たな研究によると、​​​​気候変動による気温の上昇により、2100年までにアメリカのコーンベルトはトウモロコシ栽培にそぐわなくなる可能性があると報告されました。食だけにとどまらない、私たちの暮らしに及ぶ影響とは─。 19世紀から続く大産地に変化の兆し 大規模農業が盛んなアメリカでは、​​​​本土の3分の2が農作物の栽培に利用されており、農地のおよそ8割は、トウモロコシ、大豆、小麦、綿花、牧草、アルファルファの6つの商品作物の耕作に占められています。 エモリー大学の研究では、特に産業活動による人為的な温室効果ガスに焦点を当て、農地と人間の介入に関するデータを分析し、主要な作物の栽培への影響を予測しました。その結果、3段階のうち中程度の排出シナリオ(​​人間活動に伴う温室効果ガス等の大気中の濃度が、将来どの程度になるかを想定したもの​​)であっても、トウモロコシ、大豆、アルファルファ、小麦の理想的な栽培条件はいずれも北に移動するということでした。 この研究により、2100年までに中西部のコーンベルトがトウモロコシの栽培に適さなくなることが示唆されました。1800年代から肥沃な土壌と技術革新に支えられ、安定した穀物生産を可能にしてきたアメリカ農業の主戦場のひとつが近い将来危機にさらされるという衝撃的な事態です。トウモロコシは他の作物に比べてもなお影響が大きく、生産場所が国境を越えてカナダに移ってしまうことになります。 様々な分野で活用されるトウモロコシ アメリカで生産されるトウモロコシのうち、ポップコーンなどの形で直接消費されるのは10分の1以下です。食用で使われるうちの多くは甘味料の原料となっていて、例えば世界の甘味料市場の9%を占める高果糖コーンシロップなどに加工されています。肥満の原因とされる甘味料のひとつですが、コカコーラなどをはじめとした世界中で販売される多くのソフトドリンクに使用されています。 また、アメリカのトウモロコシの4割は、乳牛、鶏や豚といった家畜の飼料に使用されています。それはつまり、牛乳や乳製品、卵、ソーセージなど、日々の食卓に並ぶ多くの食料品にトウモロコシが間接的に関係しているということです。他にも、サケなど養殖魚の餌の主原料にもトウモロコシが使われています。 これだけ見ても、私たちの食生活に与える影響の大きさは計り知れません。さらには日用品でも、歯磨き粉の主成分であるソルビトールはコーンシロップに由来していますし、コーンスターチは汗を吸収するデオドラント剤に使われる成分のひとつなのです。 バイオマス燃料への期待が増す昨今。トウモロコシは燃料としても活躍の場を広げています。石油燃料の削減のため、米政府は原油価格が高騰した2000年代初頭からコーンエタノールの開発に力を入れてきました。現在、国内生産量のうちの4割がこのエタノール燃料に回っています。 日本は世界トップクラスのトウモロコシ輸入国で、年間消費量1500万トンのうち3分の2に当たる1000万トンをアメリカから輸入しています。この事実から言えるのは、私たち日本人も、気候変動のはらむリスクに目を向けるべき当事者だということです。  
世界最大規模の米トウモロコシが危機に。気候変動のはらむリスクとは
2022.06.21

食事も個別最適化の時代へ、味のデジタル化の先は

視覚や聴覚は、音や光という物理的刺激を量で測定できる、シンプルな感覚だと言えます。対する味覚は、食品に含まれる数百種類もの化学物質の絡み合いの中で捉えられる繊細で複雑な感覚です。味覚センサーは1990年代に実用化され、進化してきました。現在では香りや複雑な味わいを数値で示し、それをデータベース化して解析することもできるようになっています。主観的感覚とも言える味覚を測定し、客観的な数値として表す「味覚のデジタル化」。急速に発達してきたこの技術は、私たちの食を巡る身近な風景にどのような変化をもたらすことになるのでしょう。 味覚のデジタル化により、既にある味を再現するだけではなく、意外な組み合わせで生じる新しい「おいしさ」も発見されています。プリン+醤油=ウニ、牛乳+たくあん=コーンスープといった組み合わせによる味の変化を耳にしたことはありませんか。これらは味をデジタル化し、分析したことで分かった新しい味の組み合わせの一例です。 そもそも味を測定するという概念は、ここ10年ほどの考え方です。それまでは味わいとは一人ひとりの主観的感覚で、測定できるとは考えられていなかったのです。味覚センサーは急速に進化してきています。さまざまな味を測定して数値化するだけでなく、かなり正確に味や香りを再現できるようになってきました。九州大学特任教授の都甲潔氏は、音楽を視覚化して再現可能にする楽譜と同じように、味や香りを再現する「食譜」を作り出すことも夢ではない、と言います。味をデータとして蓄え、再現できるようになれば、あまたある味の中から好きな味を選択することもできるようになるでしょう。 味のデジタル化により、消費者は自分の好みを見つけやすくなるでしょう。すでに現在でも、お茶やコーヒー、アルコール類などでは味の特徴を示したチャートが存在しますが、ゆくゆくは食品全般にこのようなチャートが活用されることが考えられます。そして、グルメ番組のレポーターによる料理紹介にも、食レポと共にチャートや食譜が使われるようになるのかも?  
食事も個別最適化の時代へ、味のデジタル化の先は
2022.06.17

タンパク質危機で浮上する、昆虫食という選択肢

少子化が叫ばれて久しい日本ではあまりピンと来ないかも知れませんが、世界では今、人口過剰による食糧問題が深刻化しています。世界人口は2011年には70億人に達し、増加のペースは加速度的に上がっていて、2056年には100億人を突破するとも言われています。増え続ける人間の数に対して、従来通りの食料供給に頼っていては、いずれ限界を迎えるのは明らかなことです。特に魚や動物から摂取する必要のあるタンパク質は資源に限りがあることから、増え続ける人類すべてを賄うことは難しいとされています。 タンパク質代替の「切り札」 そこで世界的に注目されているのがタンパク質の代替食料。中でも食糧問題の切り札とされているのが昆虫食です。昆虫食が見直されるきっかけとなったのは、2013年に国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した報告書がきっかけと言われています。 増え続ける世界人口に対し、昆虫食が問題解決のひとつになると提案したこの報告書をきっかけに、世界各地で一斉に昆虫食の取り組みが始まりました。2015年にはそれまで昆虫を食べる習慣のなかった欧州連合(EU)で、昆虫を新規の食品にすると規定されました。また、東南アジアには世界最大規模のコオロギの養殖場も完成。常時700万頭以上が飼育されています。 コオロギが牛や豚に替わる食材に? ここで疑問になるのが、昆虫が牛や豚の代わりになるのか? という点です。まず、栄養価の面で見ると、ガやハチの幼虫の場合、体重の50%がタンパク質と言われています。牛や豚が1~3%ですから、それに比べると非常に高い含有率です。 また、環境問題の観点で考えても、極めて優秀です。牛1頭がゲップなどで1日に吐き出すメタンガスは160~320リットル。全世界にはおよそ15億頭の牛が飼育されているため、一部研究では地球温暖化の原因の一つとして指摘されています。対する昆虫自体はほとんど温室効果ガスを放出しないので、そうした問題もありません。 最後に、昆虫を食べるという行為に対する私たちの抵抗感が問題になります。しかし、考えてみればほんの数年前まで、西洋諸国では生で魚介類を食べる習慣がありませんでした。それが、今やアメリカやヨーロッパでも寿司は高級料理としてもてはやされています。近い将来、昆虫も私たちの食卓に当たり前に並ぶ時代が来るのかもしれませんね。
タンパク質危機で浮上する、昆虫食という選択肢
2022.06.16

香港発のエッグワッフル、ウィズコロナ時代の新定番に?

香港の屋台で大人気のローカルスイーツ「鶏蛋仔(ガイダンチャイ)」。日本ではエッグワッフルやバブルワッフルの名で知られていて、今、人気が急上昇しています。店舗だけではなくキッチンカーでも販売できることから、その機動性はまさに「ウィズコロナ時代向け」。SNS映えするその見た目も相まってファンを獲得し続けています。 香港で1950年代から広く親しまれているという鶏蛋仔は、タピオカ粉を使用したボリューム満点のワッフル。本場ベルギーで使われる格子状の型ではなく、小さな卵が並んだような独特の型を使うことで、ぷくぷくとしたインパクト抜群の形になります。作り方のポイントは手早く焼き上げた後、金網に乗せて自然の風で乾かすこと。この一手間が外はカリカリ、中はモチモチの食感を引き出す鍵なのだそうです。 香港では生地そのものを味わう「プレーン」が主流のようですが、ニューヨークのチャイナタウンでは、アイスクリームやフルーツを豪華にトッピングするアレンジが発展しました。このニューヨークの流れから、日本でも豪華なアレンジバージョンが人気となっています。ボリューミーでSNS映えする形状が好評で、インスタグラムでは#バブルワッフルで3万件、#エッグワッフルで1.9万件もの投稿があります。 エッグワッフルは店舗だけでなく、全国津々浦々のキッチンカーでも販売されています。昔からキッチンカーの王道商品と言えばクレープですが、エッグワッフルは同じような原材料と設備で作ることができます。定番であるがゆえに目新しさがなくなったクレープから、次なるブームへの期待が高まるエッグワッフルに成り代わる選択肢は十分あり得ます。 移動式のキッチンカーは、ウィズコロナの社会との親和性が高い販売形態です。コロナ禍の終息がいつになるかはいまだ見通せないものの、SNS映えするトレンドスイーツを食べ歩きしたいという欲求は、コロナ禍の2年間で蓄積されていることでしょう。街角やイベント会場などでエッグワッフルのキッチンカーが増えたら、その人気に火がつくかもしれません。ウィズコロナ時代の新しいトレンドに注目したいところです。
香港発のエッグワッフル、ウィズコロナ時代の新定番に?
2022.06.15

止まらぬ食品の値上げ。ウクライナ侵攻後、混迷極まる世界の食品流通

日本でも連日、食品値上げのニュースが流れていますが、ロシアによるウクライナ侵攻の余波で、世界各国に影響が生じています。急激な食品インフレを抑えるために輸出を制限する国もみられますが、それにより世界の食品流通はますます混迷を深めています。 小麦に砂糖、油…相次ぐ輸出規制 ロシアは国内の食料インフレに対処するため、2021年から小麦の輸出上限を設け、新たな関税を課しました。それに加え、翌年2月のウクライナへの侵攻後には、旧ソ連諸国への小麦の輸出を一時的に禁止しました。 一方、紛争の当事者であるウクライナは、小麦とトウモロコシを世界中に供給する「穀物の輸出大国」です。ウクライナはロシアによる侵攻後、国民への食料確保のため、小麦やオーツ麦など主要穀物の輸出制限をせざるを得なくなりました。人道支援物資を送る「人道回廊」も満足に機能せず、他に自国民を守る手段が見出せなかったからです。 世界的な生産大国であるロシアとウクライナが、紛争により小麦などの食料の輸出を規制したことで、各国も対応に追われました。世界第2位の小麦生産国のインドは、自国の食料安全保障を守ることを目的とし、4月に小麦の輸出禁止を決定。さらに5月末、砂糖の輸出を制限することも発表しました。 ウクライナ情勢が各国に与えた余波はそれだけにとどまりません。インドネシアでは4月末から1カ月弱もの間、パーム油の輸出を禁止。世界で最多の消費を誇る植物油であるパーム油の輸出がストップしたことにより、市場は大きな混乱に陥りました。 食品値上げは長期化の様相に 現在、世界貿易機関には、輸出制限を効果的に規律するルールがありません。とはいえ、各国が目先の食料確保に動くことで、世界の食料供給が逼迫することは明らかです。それにより食料価格がますます押し上げられる悪循環に陥っています。 インド政府は今回の小麦の輸出禁止を「国内で安定的な供給を確保し、物価の安定を図るため」だと説明していますが、国内の食糧価格は4月、前年同月比8.38%上昇しており、これは昨年10月の同0.85%増と比べるとはるかに高い水準です。 日本を含め、食品の値上げに次ぐ値上げは当面避けられない状況です。途上国を援助する世界銀行は、こうした食料インフレは2024年まで続くと予想しており、問題は長期化する様相を呈しています。  
止まらぬ食品の値上げ。ウクライナ侵攻後、混迷極まる世界の食品流通
2022.06.14

最古の植物「スピルリナ」。その豊富な栄養に熱視線

地球上に存在する最古の植物とも言われる、「スピルリナ」。最近はサプリメントなどでもよく見かけるようになり、その豊富な栄養が注目を集めています。この記事では、スピルリナの概要と栄養、簡単な活用法を紹介します。 スーパーフードのスピルリナとは? スピルリナは塩水湖に生息する藍藻類の一種であり、約30億年前から地球に生息しているとされています。その形は円を描くようならせん状になっており、スペイン語でらせんを意味する「Spira」からスピルリナと命名されました。 スピルリナには、質の良いたんぱく質やベータカロテン、ビタミンB群、鉄などのミネラルなどの栄養を含有しています。たんぱく質には、人体では合成されない必須アミノ酸がすべて含まれています。また、日本人女性に不足しがちといわれる鉄は、スピルリナ4gを摂取すると一日摂取量目安の半分をとることができます。 このほか、高血圧予防に効果が期待されるカリウム、骨を丈夫にするために必要とされるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも豊富に含んでいます。こうしたことから、「スーパーフード」と呼ばれることもあります。昨今の研究などにより、スピルリナが糖尿病や高血圧などの生活習慣病の予防に役立つという論文なども出ています。 スピルリナの簡単な活用法 スピルリナを摂取する方法はいくつかありますが、スピルリナのパウダーを利用すれば、手軽に摂取することができます。このパウダーはきれいな緑色をしていて、独特の香りがあります。青汁のパウダーを使うような感覚で、お湯などで割ったり、ヨーグルトにかけたりして食べることができます。スムージーやドレッシングを作る際に加えたり、パンケーキや焼き菓子などに混ぜたりするなど、いろいろな料理に活用することができます。 「香りが苦手」「一定の量を毎日摂取したい」という場合には、スピルリナのサプリメントを活用するのもおすすめです。サプリメントであれば、簡単に決まった量を毎日摂取することができます。サプリメントには錠剤やカプセルなど、いろいろな形状があるので好みにあったものを探してみるといいでしょう。 昨今注目を集めているスピルリナには、栄養が豊富に含まれていることが分かりました。気になる人は、食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
最古の植物「スピルリナ」。その豊富な栄養に熱視線
2022.06.10

SDGsって何の略?意味と目的をあらためて解説

いつの間にか完全に世間に浸透した「SDGs(エスディージーズ)」という言葉。実はこれ、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称なのですが、言葉の意味をきちんと説明できますか?家族でテレビのニュースを見ていて、子どもにふと尋ねられた時、「わ、分からない…」なんて言えませんよね。改めてこの機会に復習しておきましょう! SDGsとは、2015年8月に開催された国連のサミットにおいて決められた、世界共通の目標のこと。2016年から2030年までの15年間の開発の指針を示すものとして、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。その中心となる開発目標のことを、SDGsと呼んでいます。 ちなみに、SDGsの前身として「MDGs(エムディージーズ)」というものがあり、これは2015年までの開発目標として8つのゴールを掲げていました。この目標が達成期限を迎えたことを受けて、次に決定されたのがSDGsという流れとなっています。 SDGsの17の目標と169のターゲット SDGsの具体的な内容について見ていきましょう!まず、17の目標が示されています。 その目標とは、「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」「5.ジェンダー平等を実現しよう」「6.安全な水とトイレを世界中に」「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「10.人や国の不平等をなくそう」「11.住み続けられるまちづくりを」「12.つくる責任 つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「14.海の豊かさを守ろう」「15.陸の豊かさも守ろう」「16.平和と公正をすべての人に」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」です。 開発目標と聞くと「開発途上国が対象」と捉えてしまいがちですが、それぞれの目標を見ていくと、先進国にも当てはまる内容が多く見られます。また、陸や海の話も出てくるので、国レベルの話を越えたもっと大きなテーマを設定していることがよく分かりますね! そして、この17の目標に対して「169のターゲット」が設定されています。一つの目標に対して、平均して10個程度のターゲットが存在するイメージです。SDGsの大きな特徴は、目標を掲げるだけでなく、その達成状況を定期的にモニタリングするということ。「国連ハイレベル政治フォーラム」という枠組みを使って、毎年7月ごろに国ごとの進捗状況を共有していきます。 SDGsについて調べてみると、私たちの生活と深く関わっている内容がたくさんあることが分かります。だからこそ、SDGsという言葉がこれだけ社会に深く浸透したのかもしれませんね。
SDGsって何の略?意味と目的をあらためて解説
2022.06.09

塩麹の次は「玉ねぎ麹」がくる!簡単でおいしい作り方と活用法

発酵食ブームとともに、塩麴やしょうゆ麹などの発酵調味料の人気が続いています。では、昨今にわかに注目度が高まっている「玉ねぎ麹」をご存知でしょうか。塩麴のように、日々の料理に活用することができる万能調味料です。ここでは、玉ねぎ麹の魅力と作り方、簡単な活用法を紹介します。 万能調味料「玉ねぎ麹」とは? 玉ねぎ麹の材料は、玉ねぎと麹、塩です。玉ねぎ麹には旨味がたっぷりと含まれているので、コンソメやうま味調味料の代わりに活用することができます。玉ねぎ独特の甘さや香りがあり、10分ほどで簡単に仕込めるのも大きな魅力です。「料理を簡単に作りたい」「化学調味料に頼りたくない」という人にぴったりです。 また、玉ねぎ麹を使うことで玉ねぎの健康成分を摂取することもできます。玉ねぎの匂いの素である「硫化アリル」という成分には、血液をサラサラにしたり冷えを緩和したりする効果があるとされています。この成分は熱に弱いため、生の状態で食べる場合に有効と言われています。 玉ねぎの健康成分としてはポリフェノールの一種「ケルセチン」も有名です。アレルギー症状の緩和や脂肪分解酵素の働きを促進するなどの効果が期待されています。この成分は、油との相性がよく熱に弱いとされています。 麹には、30種類以上の酵素が含まれており、消化促進やビタミンB群の生成を促す働きがあるのだとか。つまり、玉ねぎ麹を日々の料理に使うことによって、料理の味がワンランクアップするとともに、体に良い効果も期待できるということです。 玉ねぎ麹の作り方と活用法 玉ねぎ麹を作るための材料は、玉ねぎ(すりおろしたもの)300g、乾燥した麹100g、塩35gです。麹は板状のものであれば、事前に手で細かくしておきましょう。すべての材料をよく混ぜ合わせて、清潔な保存瓶に入れて常温で1週間~10日程度寝かせれば、できあがりです。 おいしく作るポイントは、2点あります。ひとつめは、1日1回混ぜるようにすること。こうすることで、発酵が促進されます。もうひとつは、蓋は軽くかぶせておくようにすること。密閉してしまうと空気が入らないため、発酵が進みにくくなってしまいます。 玉ねぎ麹の簡単な活用法としては、お湯で溶いて即席スープにしたり、サラダのドレッシングや和え物に使ったりするのがおすすすめです。また、塩麴と同様に魚や肉の下味として素材にもみこんでおくと、加熱しても柔らかい食感に仕上げることができます。 簡単に作れて、体にもうれしい効果が期待できる玉ねぎ麹。一度試してみてはいかがでしょうか。  
塩麹の次は「玉ねぎ麹」がくる!簡単でおいしい作り方と活用法
2022.06.08

開発困難な代替卵(ヴィーガンエッグ)、海外の先端研究事情を追う

動物性タンパク質の最も優れた供給源のひとつである卵を植物性の原料で代替した卵(ヴィーガンエッグ)。卵の複雑な性質ゆえに開発が非常に困難で、植物性の牛乳や肉に比べて遅れを取ってきました。しかし、急速に発達した最新の科学技術を応用し、ここ数年で代替卵の開発は大きく前進しています。海外の最先端の研究事情を追います。 世界の代替卵(ヴィーガンエッグ)市場 2019年、世界では8217万トン以上の卵が生産され、1人当たり平均161個の卵を1年間で消費しています。日本だけでも、1人当たり平均320個の卵を消費しており、これは世界の推計値のおよそ2倍に当たります。 近年、欧米諸国では、多くの企業が代替卵の開発に着手しています。市場の急成長ぶりはかつての代替乳製品のそれに匹敵するほど。植物性の代替卵=ヴィーガンエッグは今後さらに成長が見込まれる熱い市場です。 代替肉は形と味さえ調整すれば商品化の道が開くのに対し、代替卵となるとそうは行きません。卵は、ゼリー状になったり、泡立ったり、固まったりと、複雑に形態変化することが大きな特徴です。そのため、代替卵の開発は長い間、「無謀」とさえ言われてきました。 一方、菜食主義者たちは何十年も前から、卵の代用品を模索してきました。卵白の代わりに使われてきた「アクアファバ」(ひよこ豆の缶詰に入っている煮汁)はその代表例でもあります。しかしそれを、本物の卵にそっくりな代替卵へと進化させた研究チームがドイツにあります。 “本物の卵”の再現へ、熱を帯びる研究開発 ベルリンを拠点とするフードテック企業「Perfeggt((パーフェグト)」は、生命科学研究で有名なオランダのワーヘニンゲン大学と共同研究。植物由来のタンパク質と脂質を組み合わせることで、より本物の卵に近い味と食感を持たせることに成功しました。それが、そら豆を使用したタンパク質豊富な代替卵「Perfeggt」。液状になっていて、卵の代用品としてすぐに使えます。 溶いた鶏卵と同じように、スクランブルエッグやオムレツに使用することが可能で、そのリアルな味、食感、口当たりは、ヴィーガンでない一般の消費者を引き付けるほどのものだそうです。 近年、多数の企業が代替卵の開発に着手しており、アメリカ・テキサス州の「Craft Counter社」によるゆで卵状の代替卵、イスラエル「YO-Egg」による目玉焼き状の白身と黄身の形を模した代替卵など、本物の卵に近い製品の開発が日夜進んでいます。 まだ市場には出回っていない殻付きの代替卵が、スーパーの店頭に並ぶ日もそう遠くないのかもしれません。
開発困難な代替卵(ヴィーガンエッグ)、海外の先端研究事情を追う
2022.06.07

お土産により多くの情報を、QRコード活用術

スーパーで普段用に買うお菓子なら高いと感じる価格でも、お土産品のお菓子であればそうは思わず、つい手が伸びてしまいませんか。お土産には普段食べるお菓子とは異なる魅力があります。旅の記憶、旅してみたいという願望が詰まっているからかもしれません。そんなお土産のパッケージに旅の余韻、あるいは旅への期待を膨らませる情報につながるQRコードを印刷し、アクセスしてもらうことで、現地への訪問者やお土産の売上を増やす可能性が広がります。 入口としてのQRコード スマートフォンの普及はあっという間に進みました。総務省の調査によると、2020時点での世帯保有率は86.8%。もはやスマートフォン、そこから世界へとつながるインターネットは、もはやインフラと言っても過言ではないでしょう。そして、QRコードを使えば長いURLを入力する手間もなく、目的のサイトへ簡単にアクセスすることができます。 しかし、アクセスしてもらわなければ、QRコードはただの模様です。何の情報も伝えることはできません。記号やマークでも何らかの意味を持ちますが、その点QRコードは単なる入口でしかないのです。 いかにしてアクセス率を高めるかが、QRコード活用の鍵となります。 長崎銘菓として親しまれている小浜食糧株式会社の「クルス」には、「景観クルス」というお土産向け商品が展開されています。絵葉書サイズで税込314円。長崎の代表的な観光地や、長崎市の祭り「長崎くんち」がパッケージに印刷されていて、手軽におすそ分けできるお土産として好評なのだそう。裏面にはQRコードが付いていて、地元菓子メーカーだからこその詳細で興味深い情報にアクセスできるようになっています。 QRコードの先に広がる世界 旅先の観光情報などを動画や画像、テキストで見られれば、現地を訪れる前の予習、あるいは逆に一度訪れた地をより鮮やかに思い出す一助となります。さらに、メーカー独自の商品についての豆知識や創業秘話を伝えたり、通信販売サイトへと誘導する機能を持たせたりすることもできます。食べるという行為は味を楽しむだけでなく、そのものにまつわる情報まで含めて味わう体験でもあります。何も知らずに食べるよりも、多くの情報を知って食べる方がより深く味わえるとすれば、パッケージへのQRコード掲載はとても有効な手段だと言えるでしょう。パッケージの限られた面積で伝えられる情報量には限りがありますが、QRコードのアクセス先にはその制限がありません。特にお土産というジャンルでは地域の印象を残すことができるかが鍵を握っており、その影響はリピート率にまで及ぶと考えられます。 毎月、あるいは季節ごとに現地の様子や新製品などの情報を更新していけば、「食べるたびにQRコードにアクセスする楽しみ」が生まれ、これまでにないお土産品の魅力をアピールすることもできそうです。
お土産により多くの情報を、QRコード活用術
2022.06.03

食品ロスの発生元をたどる─行き着く先は事業者?一般家庭?

日本では1年間にどれほどの食料が出荷されているかご存知でしょうか。農林水産省の発表によれば、2016年度は8,088万トン(※1)もの食料が出荷されたそうです。ところが、そのうち約34%に当たる2,759万トンが食品廃棄物として処分され、さらには廃棄された食品のうち約23%にあたる643万トンがまだ食べられるものだと言うのです。こうした食品ロスはさまざまな場所で発生しており、全体の55%が食品関連事業者から、残る45%が一般家庭からとおよそ半分ずつ。それぞれの立場でこの現状と向き合う必要があることが分かります。 食品ロスの現状を知る 食品関連事業者は大きく4つに分けられ、食品ロスの大部分を占めているのは食品製造業と外食産業、次いで食品小売業、食品卸売業で、それぞれの発生要因は以下の通りです。 食品製造業:製造工程のロス(パンの耳や畜水産物の骨など)、返品など 外食産業:食べ残し、仕込みロスなど 食品小売業、食品卸売業:過剰生産、売れ残り、破損品、納品期限切れなど 食品廃棄物の業種別内訳でみると食品製造業が約82%と圧倒的に多いですが、大豆粕や米ぬか、パンくず、おからなど均質で量が安定していることから分別が容易で、飼料や肥料へのリサイクルに適しているとされています。一方、分別が困難なのは外食産業から排出される廃棄物。調理くずや食べ残しは家畜に対して有害なものが混入する可能性があり、飼料へのリサイクルには不向きなものが多いとされています。代わりに、他のリサイクル手法に比べて分別が多少粗くても対応できるメタル化が行われています。   それでは、一般家庭の食品ロスの現状はどうでしょうか。家庭の食事(世帯食)における食品ロス量は、2014年度の世帯調査によると一人1日当たり40.9g。食品別で見ると、最も多いのは野菜類(19.5g)で、次いで果実類(7.3g)や調理加工食品(4.2g)などが続きます。一人1日当たりの食品使用量は約1.1kgなのでそこまで多く感じませんが、これが何百人、何千人、何億人…と増えていくと莫大な量になるのは明らかです。また、食品使用量の世帯員構成別では単身世帯が約1.5kgと最も多く、2人世帯は約1.3kg、3人以上世帯は約950gという結果が出ており、これと比例して食品ロスが発生しています。要因としては過剰除去(※2)や食べ残し、直接廃棄(※3)などが挙げられます。 食品ロスは食品関連事業者と一般家庭、どちらかが気をつければいいという問題ではありません。まずは現状を理解し、その上で双方が食品ロス削減のためにできることを考え、対策に動き出すことが必要です。   (※1)粗食料と加工用の合計。粗食料とは、1年間に国内で消費に回された食料のうち、食用向けの量を表す。 (※2)調理技術の不足や過度な健康志向により廃棄すること。例えば野菜や果物の皮を厚く剝き過ぎるなど。 (※3)買いすぎや長持ちしない保存方法により廃棄すること。
食品ロスの発生元をたどる─行き着く先は事業者?一般家庭?
2022.06.02

話題のえんどう豆プロテイン、素材を生かした味が人気の秘訣

 プロテインブームが続くなか、甘さやフレーバーの入ったタイプではなく、素材そのままの自然な味を求める人も増えていています。今回の記事では、こうした人たちに支持されている「えんどう豆プロテイン」について解説します。 えんどう豆プロテインとは?  たんぱく質の重要性が注目されており、美と健康など多方面から指摘されるようになりました。プロテインとはたんぱく質のことで、不足しがちなたんぱく質を手軽に補うアイテムとして人気を集めています。  えんどう豆プロテインは、えんどう豆を原料とする植物性たんぱく質のこと。乳製品や卵、大豆などのアレルギーの心配がない、アレルゲンフリーの食材です。また、牛などを育てる場合に比べてえんどう豆は栽培しやすく、大量の水やエネルギーを必要としません。動物性プロテインに比べて、環境にやさしいという特徴もあります。  栄養面では、えんどう豆プロテインにはアミノ酸の一種「BCAA(分岐鎖アミノ酸)」や「アルギニン」が多く含まれています。いずれのアミノ酸も筋肉づくりに効果が期待できると言われており、筋トレや運動との相性が良いとされています。また、えんどう豆プロテインは、大豆などのほかの植物性プロテインに比べて、消化・吸収しやすいという性質もあります。 えんどう豆プロテインの活用法  えんどう豆プロテインと一口に言っても、いろいろな種類があります。店頭で見かけることはまだ少ないですが、インターネット通販では手軽に購入できます。素材をそのまま使ったものだけでなく、鉄やカルシウムなど女性に不足しがちな栄養をプラスしたものもあります。また、砂糖などの甘味料やココア味などのフレーバー入りのものもあるので、好みに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。  えんどう豆プロテインを手に入れたら、まずはシンプルに水かお湯で割って飲んでみましょう。えんどう豆特有の風味があるため「飲みにくい」と感じることもあるかもしれません。その場合は、豆乳や牛乳などで割ると飲みやすくなります。クッキーやパンケーキなどを作る際に、粉類に混ぜるのもおすすめです。  砂糖などが添加されていないえんどう豆プロテインは、料理にも活用できます。カレーやシチューなどに振りかけたり、ハンバーグなどの生地に混ぜ込んだりしてみましょう。  昨今話題を集めている、えんどう豆プロテイン。気になる人はぜひ試してみてください。
話題のえんどう豆プロテイン、素材を生かした味が人気の秘訣
2022.06.01

紙ストローの定番化へ、乗り越えるべき課題は

プラスチック製ストローの代替品として注目されているのが「紙製ストロー(以下、紙ストロー)」です。その名の通り、主にクラフト紙で作られたストローのことで、土に還る点が魅力です。外資系企業ではすでに紙ストローの導入を始めており、スターバックスでは世界中の全店舗でプラスチック製ストローを廃止し、紙製ストローや堆肥化可能なプラスチック製ストローを使用すると発表。加えて、ストローを使う必要のないフタを提供する予定だとしていました。またディズニーでは、世界中で運営する全ての施設において、プラスチック製ストロー及びマドラーの使用を禁止することを決定しました。 日本企業はというと、「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングスが2018年11月中旬より、同社グループ内の一部店舗においてプラスチック製ストローを廃止し、客から要望があった場合は紙ストローを提供すると発表。また、飲食店などの経営、開発及びコンサルティングを行うゼットンが、自社で運営する複数のレストランで紙ストローを導入すると発表し、日本製紙の紙ストローを飲食業界で初めて採用するとあって話題になりました。 ストローから考える環境問題 世界的な環境問題に発展している廃棄プラスチックによる海洋汚染。これを受けて近年、使い捨てプラスチック製品の使用を規制・廃止する動きが急速に広まっており、中でもプラスチック製ストローがクローズアップされています。きっかけの一つとなったのは、2015年に撮影されてSNSで広まったある動画でした。米テキサスA&M大学でカメを研究しているチームが、コスタリカの沖合で助けたウミガメの鼻孔からくしゃくしゃに潰れて茶色くなったストローを取り出す、という痛々しいものでした。ストローをすべて取り出すまでの所要時間は約10分。動画は瞬く間に拡散され、世界中の人々に衝撃を与えました。 ところが紙ストローには課題も残っています。まずプラスチック製に比べて5~10倍の製造コストがかかるといわれており、にもかかわらず耐久性の低さが指摘されています。また、原紙をらせん状に巻いて製造していることから、接着剤の使用や紙の粉が生じる可能性も懸念点として挙げられています。消費者側の視点でいうと口当たりに不快感を覚える人もいることから、紙ストローが定番化するまでにはまだ少し時間がかかると思われます。 とはいえ時代の流れは紙ストローに向いており、今後導入する企業も少なくないでしょう。ただ一つ忘れてはならないのは、こうした問題は企業側だけの責任ではないということ。そもそも本当にストローを使って飲む必要があるのか。まずは自分に問いかけてみる必要があるかもしれません。
紙ストローの定番化へ、乗り越えるべき課題は
2022.05.31

話題のスーパーフルーツ「マキベリー」とは

スーパーフルーツとして昨今注目を浴びている、マキベリー。ポリフェノールが多いことで知られ、その含有量は少し前に人気を集めた「アサイー」を超えるといわれています。ほかにもさまざまな美と健康に意識の高い人たちの間で話題になっています。今回の記事では、マキベリーとは何かと簡単な食べ方を紹介します。 マキベリーとは マキベリーとは、チリのパタゴニア地方に自生するホルトノキ科の植物の果実です。この地域で暮らす先住民族が昔から食用や民間療法などに使用してきたといわれています。食用としてはジュースやジャムに、民間療法としては解熱剤などに利用されてきました。また、結婚式や出産などの儀式に神さまにお供えする食材として使われており、神聖な木として認識されています。 ポリフェノールの含有量が多いことで知られるマキベリーですが、その量はアサイーの5.4倍、ブルベリーの14倍にもなるといわれています。ポリフェノールのなかでも特に多く含まれているのが、アントシアニンです。アントシアニンは、眼精疲労の予防に効果が期待できるとされています。 このほか、マキベリーにはビタミンAやビタミンC、ミネラル、鉄分、カリウムなども多く含まれています。強い抗酸化作用を持つとされ、アンチエイジングなどにも効果が期待されています。また、栄養が豊富に含まれることから「スーパーフルーツの王様」とも呼ばれています。 マキベリーの簡単な活用法 日本では、生の状態のマキベリーはほとんど見かけることがありません。乾燥させてパウダー状になったものやサプリなどが多く、インターネット通販などで入手できます。マキベリーは、その名前からも想像できるように、ベリー系の味わいがあります。甘酸っぱい香りがあり、比較的食べやすいのが特徴です。 マキベリーパウダーの手軽な使い方としては、ヨーグルトやアイスクリームの上に振りかけたり、スムージーなどに加えたりする方法があります。また、パンケーキや焼き菓子などの生地に加えるのもおすすめです。 栄養価が高いことから話題を集めている、マキベリー。普段の食生活にぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。    
話題のスーパーフルーツ「マキベリー」とは
2022.05.27

食品原材料とハラルビジネスの親和性【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.2】

こんにちは、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。5月20日まで3日間、食品原材料の展示商談会「ifia JAPAN 2022(アイフィア・ジャパン)第27回 国際食品素材/添加物展・会議」に協賛団体として出展していました。期間中、多くの事業者との新たな出会いに恵まれました。そこでシリーズ第2回の今回は、この折に改めて感じた原材料とハラル(ハラール)ビジネスの親和性についてお話していこうと思います。 原材料の「由来の担保」の現状 「日本の原材料」という、日本でしか作れないメイドインジャパンの原材料が、海外とりわけアジアで重宝されていることは十二分にご存じだと思います。海外生産の日本食品で、その味を再現するのに使われるフレーバーや添加物などはその代表です。東南アジア諸国や南西アジア等の経済発展により、そうした食品の自国流通が増えるようになると、イスラム教徒への対応、つまりハラル認証商品も必然的に多くなります。そこで、原材料の「ハラル性」も要求されます。 これまでは原材料の規格書とアンケートなどで「成分(エビデンス)ハラル」の原材料であれば、問題なく輸出ができていました。当協会も、自社で成分ハラルの推奨マークやエビデンスの証明書発行を行っています。現状は「由来の担保」はハラル認証でなくとも東南アジアのタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどに輸出できていますが、その流れが今後も続くかどうかは不透明です。 東南アジア諸国ではハラル認証商品が今後ますます増えることが予想されます。原材料にもハラル認証を要求されることを念頭に、今から準備を始めておくことをお勧めします。   日本の原材料はハラル認証がスタンダードに [caption id="attachment_1695" align="aligncenter" width="744"] ※こちらの画像はハラル認証やヴィーガン認証ではありません[/caption] 東南アジアで、食品のハラル認証商品は、増加の一途をたどっています。つまり、ハラル認証商品がスタンダード化している傾向があります。そのような国々に輸出をするには最低でもノーアニマル、ノーポーク/ノーアルコール、ノーアニマル/ノーアルコールの3種類のいずれかを示すことができると有効です。 しかしながら、この2、3年で特に顕著な傾向として、当協会に相談される原材料メーカー様のほぼすべてが買い手からハラル認証を要求されています。米、卵、きのこ、魚といった農林水産品にもハラル認証が付き始めた現状を考えると、加工度が高い物の原材料は当然ハラル認証を要求されると考えておくべきでしょう。 そのために準備しておくことが大きく3つあります。1つはハラル認証を取得したい製品は原材料の規格書ベースでそもそもハラルかどうか?2つ目はハラル認証は国際認証ですが、世界統一基準がなく自社で選ぶ必要があります。そのためどの国に輸出するのか、ターゲットを明確にしておくこと。そして3つ目は自社の工場がそもそもどこのハラル認証を取得できるかのか可能性を診断し、事前に対策を立てておくことです。これらの準備をしておけば怖いものはありません。 まずは自社の原材料を規格書ベースで確認してください。二次原料までの追跡、確認は現時点では必要ありません。ハラル認証機関(団体)によって指導が違うからです。次回は「ハラル認証取得の基本を学ぶ」についてもう少し詳しく解説したいと思います。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら 前回の記事はこちら: https://reports.shareshima.com/1520/
食品原材料とハラルビジネスの親和性【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.2】
2022.05.26

青汁に使われることも!長寿の薬草「長命草」とは

 沖縄の伝統的農産物であり長寿の薬草ともいわれる、長命草(ちょうめいそう)。青汁やお茶、サプリメントに使われており、健康志向の人たちの間で注目を集めている食材のひとつです。この記事では、長命草の栄養や活用法を説明します。 長命草の栄養 長命草は、沖縄などの温暖で海に近い場所に自生する、セリ科カワラボウフウ属の常緑多年草です。その名前の通り「長寿につながる草」として料理や民間薬として古くから珍重されてきました。「一株食べると一日長生きする」という言い伝えも残っています。別名「ボタンボウフウ」と言われたり、沖縄の方言では「サクナ」と呼ばれたりすることもあります。 長命草は、ビタミンやミネラル、カルシウム、食物繊維などを豊富に含んでいます。また、アンチエイジングに効果が期待される「クロロゲン酸類」や「ルチン」などのポリフェノールも多く含有しています。強い日差しを浴びて育つことから生命力の強い植物として知られ、高い抗酸化作用や血行促進作用などが期待されています。 長命草の簡単な活用法 長命草は気候などの条件が合えば比較的栽培しやすいことから、沖縄諸島などでは家庭でも育てられています。現地の直売所やファーマーズマーケットなどで売られていることも多く、和え物や天ぷら、刺身のツマなどとして利用されています。独特の香りがあるため、魚料理や肉料理の臭み消しとして使われることもあります。 もっと手軽に入手したいという場合には、長命草の青汁パウダーを利用するのがおすすめです。こちらは、インターネット通販などで入手できます。長命草の青汁は、他の青汁と同じように、水やお湯に溶かせばすぐ飲めて便利です。温めた牛乳や豆乳で溶いて、ラテ風にして味わうのもいいですね。他にも、長命草の青汁をスープやカレーなどに加えて楽しむのもよく合います。 青汁の味が苦手という人は、長命草のサプリメントなどを活用するという方法もあります。沖縄の健康長寿の秘訣とも言われる、長命草。沖縄では古くから食べ物のことを「ぬちぐすい」と呼び、医食同源の考え方が大切にされてきました。気になる人はぜひ試してみてはいかがでしょうか。  
青汁に使われることも!長寿の薬草「長命草」とは
2022.05.25

「3010(さんまるいちまる)運動」で食べ残しを減らそう

国内で発生している食品ロスは年間約640万トンを超えますが、そのうち約5分の1を外食産業が占めています。大きく分けると食堂・レストラン、結婚披露宴、宴会の3つですが、中でも宴会の割合が高く、2015年度の調査ではおよそ7皿に1皿が食べ残しされているという結果になりました。こうした宴会での食べ残しを減らそうと、各地の自治体で行われているのが「3010(さんまるいちまる)運動」です。2011年に長野県松本市で始まった運動で、以下の項目が提唱されています。 ・「乾杯後30分間」は、席を立たずに料理を楽しむ ・「お開き10分前」になったら、自分の席に戻り、再度料理を楽しむ 環境省では「3010運動」を推進するため、飲食店向けの卓上三角柱POPを作成し、無料ダウンロードできるようにするなど、認知の拡大に取り組んでいます。 また、「3010運動」をはじめ、食品ロス削減に取り組む自治体間のネットワークとして2016年に設立されたのが「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」。2019年5月の時点で389自治体が参加しており、「3010運動」も各自治体に合わせてアレンジされています。例えば北海道札幌市の「2510(にこっと)スマイル宴(うたげ)」。終了前10分間は「3010運動」と同じですが、開始後の食事時間を25分間としています。他にも、千葉県館山市では終了前15分間とした「30・15(さんまる・いちご)運動」、長野県駒ヶ根市では開始後20分間とした「駒ヶ根2010(にーまるいちまる)運動」をそれぞれ推進しています。 残さない意識、食べる人も 宴会や会食、結婚披露宴など一度に大量の料理が提供される場では、消費者と事業者の双方が食べ残しを防ぐために意識する必要があります。消費者側は予約の際に料理内容や注文する量を店側に相談したり、料理を食べきるように参加者同士で声掛けするといいでしょう。他方、事業者側にとっては、食べ残しが発生することは損失です。食べきってもらえるように提供する量を調整したり、小盛りや小分けの商品を採用するなどの工夫が求められます。 食べ物を無駄にしない意識がみんなに広がるよう、「3010運動」のさらなる広がりに期待したいところです。
「3010(さんまるいちまる)運動」で食べ残しを減らそう
2022.05.24

アレルギーでも安心な「ヴィーガンエッグ」、気になる原料は

100%植物性の素材を原料とする「ヴィーガンエッグ(代替卵)」をご存知でしょうか。もともとはアメリカの食品会社が作ったもので、最近は日本でも入手できるようになり、注目を集めています。この記事では、ヴィーガンエッグとは何かをご紹介したうえで、気になる味やその原料、栄養価などに迫ります。 ヴィーガンエッグと卵の違いは 見た目も味も鶏卵にそっくりのヴィーガンエッグ。卵焼きなどの卵料理はもちろん、お菓子づくりにも幅広く活用できます。植物性の原料から作られているので、卵にアレルギーのある人や、動物性の食品を避けているヴィーガンの人も安心して食べられるのも大きな魅力です。また、ヴィーガンエッグにはコレステロールが含まれていないので、コレステロールの摂取を控えている人にもおすすめです。 「卵が使われていない卵」と聞いて、原料が気になる人もいるでしょう。商品によって原料は少しずつ異なりますが、主な原料は海藻の粉や海藻由来のプロテイン、豆乳の粉、セルロース(食物繊維の一種)、ゲランガム(ゼラチンの代替製品)、乳酸カルシウム(凝固剤)、カラギーナン(安定剤)などです。そこに、ニュートリショナルイースト(酵母)と塩で、卵らしい風味や色を加えます。 ヴィーガンエッグの多くはパウダーの状態で売られていて、卵の香りがほのかに感じられます。水を加えて混ぜ合わせると溶いた生卵のようになるので、鶏卵の代わりとして活用できます。パウダー状になっているので生卵よりも保存性が高く、簡単に調理でき、ストック食材として利用するのも良さそうですね。 栄養豊富なのにヘルシー ヴィーガンエッグには、動物性に比べて消化しやすいとされる植物性のタンパク質が豊富に含まれています。また、食物繊維を豊富に含有しているため、腸内環境を整える働きが期待できます。このほか、鉄やヨウ素、ビタミンA、亜鉛などの微量栄養素も含まれています。 ヴィーガンエッグのカロリーは通常の卵よりも少なく、ダイエット中の人にもぴったりの食材です。鶏卵1個(約60g)が91kcalに対して、ヴィーガンエッグ1食分は33kcalです。 アメリカではいろいろな場所で販売されていますが、日本ではまだ見かけることの少ないヴィーガンエッグ。健康志向や環境への配慮などにより、動物性から植物性の食材を代替利用する流れが強まっています。ヴィーガンエッグが身近な食材のひとつになる日もそう遠くないかもしれません。  
アレルギーでも安心な「ヴィーガンエッグ」、気になる原料は
2022.05.19

迫るタンパク質危機、植物性の代替素材が鍵

地球の人口増加や環境問題により、食肉などのタンパク質が不足するのが「タンパク質危機」です。これは世界規模での課題であるにもかかわらず、世間ではまだ認知度が十分ではありません。そこで今回は、タンパク質危機とは何かを解説するとともに、課題解決に向けた取り組み事例を紹介します。 2030年までにタンパク源が足りなくなる…? 世界規模での人口の増加により、牛や豚、鶏などの畜産によるタンパク質が将来的に不足するとされています。国連の調査によれば、世界の人口は現在約78億人であるところ、2030年には約85億人、2050年には約100億人になると推定されています。これにより需要と供給のバランスが取れなくなり、2025~2030年頃に「タンパク質危機」と呼ばれる食料問題が生じるといわれています。 タンパク質危機と関係しているのは、人口増だけではありません。健康意識や環境問題への意識の向上、動物愛護などの観点から、私たちの食生活に変化が生じています。たとえば、自身の健康を保つために肉を食べる量を減らして、野菜や豆類などの摂取を増やす人も増えています。また、現在の畜産には多くの穀物が必要です。その過程で大量のメタンガスや温室効果ガスが発生することも指摘されていて、問題は複雑に絡み合っています。 植物性の代替素材が解決の糸口に タンパク質危機という課題を解決していくために、世界各地でさまざまな取り組みが行われています。そのなかでも動物性食品の代わりに植物性の素材を使った「代替タンパク質」を増やす動きが顕著です。これは畜産の過程で発生するメタンガスや温室効果ガスの削減にも役立ち、動物愛護という面でも優れています。 代替タンパク質としては、大豆やえんどう豆などが使われることが多いです。一昔前に比べて、日本のスーパーで「大豆ミート」「代替肉」をよく見かけるようになりました。もうひとつ、最近注目されているのは昆虫食です。栄養が豊富で少ない資源で生成することができることから、サステナビリティ(持続可能性)という観点でも優れています。その一方で、古くから昆虫を食べてきた歴史のある特定の地域を除いては、昆虫を食べることに対する心理的なハードルが高いという現実もあります。 さらに別の選択肢としては「人工培養肉」があります。培養肉とは、牛や豚の幹細胞を採取し特定の栄養を与えることで完成する人工肉のことです。通常の畜産に比べて短期間でできあがることや食肉解体処理を行う必要がないことから、エネルギーの節約や、メタンガスや温室効果ガスの発生を抑制する効果が期待されています。  
迫るタンパク質危機、植物性の代替素材が鍵
2022.05.18

廃棄予定の食品を販売するスーパー:世界の食品ロス対策(2)

通常なら廃棄されてしまう食品のみを取り扱うスーパーマーケットが、イギリス、デンマーク、オーストラリアにあることをご存知でしょうか。いずれも賞味期限が切れてしまったり、パッケージに傷や汚れがあったりする品を販売していますが、設立の趣旨やお国柄の違いがあり、各店には異なる特色が表れています。   イギリス:Community Shop イギリスで2013年にオープンした「Community Shop」。店舗から一定のエリア内に住む福祉手当受給者を対象に、別のスーパーで余った商品を定価の3割ほどの値段で販売しています。当時すでに、ヨーロッパ各地では低所得者向けのスーパーはありましたが、フードロス対策の試みという観点で脚光を浴びました。また、スーパーの目的は“援助ではなく救済”であることから、利用者が次のステップへ進めるよう、債務処理や料理の方法、履歴書の書き方などをアドバイスする窓口も設けています。   デンマーク:We Food 続いて、デンマーク。2016年にオープンした「We Food」は、賞味期限切れまたは消費期限内でも不要になった商品をはじめ、傷のついた野菜や果物などが定価の3~5割ほどの値段で並びます。スーパーはホームレスを支援する非営利団体とキリスト教系の慈善団体が共同運営しており、オープンセレモニーにはデンマーク王室の皇太子妃殿下も参列するなど、大きな話題となったそうです。このことが追い風となり、デンマークの食料廃棄量は徐々に減少していると言います。   オーストラリア:OZ HARVEST MARKET 最後に紹介する、オーストラリアの「OZ HARVEST MARKET」は、何と言っても最大の特徴が“すべて無料”であることです。店内には値札やレジが一切なく、利用者は買い物かご1つ分の商品を自由に選び、持ち帰ることができます。運営しているのは、オーストラリア各地で食事提供事業を行う市民団体。店内の食品を無料で提供する代わりに利用者に寄付を募り、集まった資金を運営費に充てています。オープン時には5週間で約170万円も集まったとか。店のスタッフはボランティア、家賃や光熱費はビルのオーナーの厚意で無料など、この場所だから実現できた取り組みかもしれませんが、この店がきっかけとなり食品ロスの問題に関心を持つ人が増えることでしょう。   さて、日本ではこれからどんな活動が広がっていくのでしょうか。   つづきを読む: https://reports.shareshima.com/150/
廃棄予定の食品を販売するスーパー:世界の食品ロス対策(2)
2022.05.17

SDGs達成へ、食品ロス削減にAIを活用

AIを活用した食品ロス削減の取り組みが進んでいます。SDGs(持続可能な開発目標)の目標のひとつである「つくる責任 つかう責任」では食品ロス問題が提起されており、AIの活用はこうした課題解決の手法としても期待されています。この記事では、その具体的な取り組みを紹介します。 コンビニやスーパーでのAIの活用事例 大手コンビニチェーン「ローソン」では、それぞれの店舗の販売実績などを基に、AIを活用して食品がどのくらい売れるかを予測するシステムを導入しています。この予測に応じて値引きや仕入れの量の調整を行うことで、結果として食品が売れ残って廃棄されるのを防ぐことができます。 値引きは、賞味期限に合わせて「50円引き」「30円引き」などと段階的に設定。食品ロス削減に向けて値引きをしていることを、貼り紙などで掲示しました。こうした取り組みの相乗効果によって、食品の廃棄費用は1年間で約3割削減。従来、こうした対応は店舗担当者の判断に頼っていました。AIを活用した仕組みを導入することで、より高い成果へと導くことができます。 飲食店におけるAIの活用事例 飲食店でのAIの活用事例として、天候や直近の客数などを分析して、来客数を予測する動きがあります。これにより無駄の少ない食材調達とともに、スタッフの適正配置による人件費削減を実現することができます。コロナ禍での人の密集を回避できる、というメリットもあります。さまざまなパターンを分析していくことによって、AIが学習し精度が高まるというのも大きな強みです。 AIを活用することは、食品ロスの削減だけでなく、企業の業績向上にもつながると期待されています。今後も最新の動向に注目していきたいと思います!   コンビニだけでなく、大手スーパーなどでもAIの活用が進んでいます。そのひとつが、AIの需要予測に基づいた商品の発注です。これにより、必要な分量だけ注文できるとともに、発注作業時間の短縮にもつながります。 また、レジの混雑を回避するためにAIを活用しているスーパーもあります。一般的な傾向として、コロナ禍では人が密集するのを防ぐために「買い物の頻度を減らす」「利用する時間帯をずらす」などの取り組みが推奨され、実践していた人も多いと思います。混雑を避けるために「スーパーではなくコンビニを利用する」という人もいました。AIにより混雑の予測を行うことで、多くのスーパーが問題視するレジ周辺での密集を避けることができます。  
SDGs達成へ、食品ロス削減にAIを活用
2022.05.13

対応を急ぐヨーロッパ:世界の食品ロス対策(1)

世界の食品廃棄量、いわゆる食品ロスは年間約13億トンにも上ります。これは、生産された食料の約3分の1に相当するのだとか。今や世界全体で解決すべき課題となった食品ロス。日本では2019年10月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が制定されましたが、他国ではどのような対策が行われているのでしょうか。3回にわたってご紹介します。まずはヨーロッパの取り組みから。   対策先進国のヨーロッパ諸国 世界でいち早く食品ロス対策に乗り出したのはヨーロッパです。EU(欧州連合)の立法機関である欧州議会が2014年を「ヨーロッパ反食品廃棄物年」とし、期限表示や包装の適正化、フードバンク活動の優遇などを実施しました。さらに、欧州委員会は2025年までに食品ロスの30%削減を提案しています。ヨーロッパ各国でも独自の取り組みを行っていますが、今回はその中からフランスとイタリアの「食品廃棄禁止法」、スペインの「連帯冷蔵庫」を紹介します。   フランス・イタリア:食品廃棄禁止法 フランスでは2016年2月、「食品廃棄禁止法(通称:反フードロス法)」が施行されました。流通業者や小売業者は食品を意図的に廃棄することを禁じられ、違反した場合は罰金を支払わなければなりません。 また、売場面積400平方メートル以上のスーパーマーケットは、慈善団体との食品寄付の契約を締結するよう義務付けられました。実はこれに先立ち、2013年に国の行政機関と事業者間で「2025年までに食品廃棄を50%削減する(2013年比)」といった目標を掲げる協定が策定されていましたが、より規制を強める必要があるとの声が上がり、食品廃棄禁止法の施行に至ったと言われています。 イタリアではフランスと同年に食品廃棄禁止法が成立しましたが、フランスと異なるのは、違反した場合でも特に罰則がないこと。ただし食品寄付をした際には税控除を受けられます。いずれにしても、法制化によって国全体で食品ロス問題と向き合う姿勢が感じられます。   スペイン:連帯冷蔵庫 他方、スペインの食品ロス対策として代表的なのは「連帯冷蔵庫」。2015年5月、バスク州のガスダカオの街中に設置された冷蔵庫のことで、残り物や賞味期限切れなどで今まで廃棄していた食品をシェアし、誰でも自由に持ち帰ることができるというものです。 設置したのはフードバンクを運営する地元のボランティア団体。生活困窮者への食糧支援と廃棄物削減を目的としています。冷蔵庫に入れるものは生ものを除き、何でもOK。自宅で余らせてしまった食品を入れる近隣住民や、店で余った料理を入れるレストランのオーナーなどがいるそうです。冷蔵庫の中身は運営団体が定期的にチェックしていますが、持ち帰りはあくまで自己責任。持ち帰った食品を口にして食中毒になった場合でも、設置者が責任を問われることのない特別な取り決めが設けられています。   このように各国で進んでいる食品ロス対策。日本で取り入れられるもの、できないものとがありますが、他国の取り組みを参考にしながら問題解決に臨みたいものです。   つづきを読む: https://reports.shareshima.com/144/
対応を急ぐヨーロッパ:世界の食品ロス対策(1)
2022.05.12

使いやすくて美味!「もち米玄米」とは

玄米の豊富な栄養は広く知られていますが、「炊くのが難しい」「パサパサして美味しくない」という声も少なくありません。そんななか、注目を集めているのが「もち米玄米」です。もち米玄米は、料理しやすくて食べやすいことから人気が高まっています。今回は、もち米玄米とは何かと簡単な食べ方を紹介します。 もち米玄米ってどんなもの? もち米玄米とは、精米していないもち米のこと。もち米は、赤飯やおこわ、お餅などを作るときに使われるお米です。私たちが通常「玄米」と呼んでいるのは、精米していないうるち米のこと。一般的な玄米は、独特の香りがあり食感が硬いのが特徴です。それに対して、もち米玄米はもっちりとしておりプチプチとした食感があります。「噛むほどに甘さが出る」というのも大きな特徴です。 こうした食感の違いは、「アミロース」と「アミロペクチン」というデンプンの割合によって生じます。この比率が、うるち米は2:8であるのに対して、もち米にはアミロースは含まれておらず、アミロペクチンだけを含有しています。アミロペクチンには、水と組み合わせることで粘りが出る性質があり、これがもちもち感につながっています。 もち米玄米の栄養としては、ビタミンB1やマグネシウム、食物繊維などが豊富に含まれています。白米と比べて玄米は、ビタミンB1やマグネシウムは約5倍、食物繊維は約6倍含有しています。食物繊維は現代人に不足しがちといわれていますが、もち米玄米には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれており、効率よく摂取することができます。 もち米玄米のおいしい食べ方 はじめに、もち米玄米の基本の炊き方を紹介します。水加減は、白米を炊く場合よりも多めで玄米を炊く場合よりも少な目です。炊飯器におこわやもち米などのモードがある場合は、その目盛りに合わせて水の量を調整してください。 炊き方の手順は、もち米玄米をさっと水洗いした後、最低1時間以上(できれば3時間)水に浸します。その後、水加減をして白米のモードで炊飯します。早炊きモードで炊いてしまうと、パサパサとした食感になってしまいます。また、玄米モードで水加減して炊くとベチャッとした仕上がりになるので、注意するようにしましょう。 炊きあがったら、しゃもじで底から混ぜて蒸らせばできあがり。蒸らすことで、もちもちとした粘り気が出てきます。冷めてもおいしいので、お弁当のごはんに使ったり、おにぎりを作ったりするのもいいですね。保温モードで長時間置いておくと味が落ちてしまいます。すぐに食べない場合は、小分けにしてラップなどに包んで冷凍保存するのがおすすめです。 「完全食」とも呼ばれるほど、栄養を豊富に含む玄米。食感や香りが苦手という理由で玄米を敬遠していた人は、ぜひもち米玄米を試してみてはいかがでしょうか。    
使いやすくて美味!「もち米玄米」とは
2022.05.11

プラントベースフードとは?ヴィーガンやベジタリアンとの違いを解説

最近、「プラントベースフード」という言葉をよく聞くようになりました。ヴィーガンやベジタリアンなどを支持する人の中には、ご存知の方も多いかもしれません。プラントベースフードというのは、動物性の原料を使わずに、植物由来の原材料で作った食べ物のことです。1940年代のイギリスで起こった動物性の食品への反対運動が、「プラントベース」という言葉が生まれるきっかけになったと言われています。現在では食べ物や飲み物に使われることの多い言葉ですが、衣食住の全てに関わる言葉としてライフスタイルを表す際にも使われます。 プラントベースの定義 よく似た意味を持つものとして、ヴィーガンやベジタリアンといった言葉があります。ベジタリアンは一般に、「肉や魚などを食べない」という意味で使われます。ヴィーガンは、動物愛護や環境保護といった考え方に基づき、より厳密に菜食主義を実践している場合が多いです。食べ物だけでなく、衣類など身の回りのものについても、動物性のものを避ける傾向にあります。 これに対してプラントベースは、「動物性のものをできるだけ減らす」ではなく、「植物性のものを増やす」というのがコンセプトになっています。厳しいルールがあるわけではなく、部分的に取り入れることができます。そのため、気軽に実践できる健康法として注目を集めています。 肉や卵、乳製品も では、具体的にどのようにプラントベースを取り入れることができるのでしょうか。プラントベースの考え方を取り入れた食べ物には、例えば「肉や卵を使わないハンバーガー」や「動物性原料を使わないカップラーメン」などが登場しています。 また、代表的な乳製品のひとつ「ヨーグルト」も、牛乳を使わずに豆乳やアーモンドミルクなどを使った製品が開発されています。これらはスーパーやコンビニでも販売されていています。 実践あっての「プラントベース」です。まずは身近な食べ物を通して、体や地球のことを考えてみませんか。
プラントベースフードとは?ヴィーガンやベジタリアンとの違いを解説
2022.05.10

韃靼(だったん)そばの驚くべき栄養と食べ方とは

そばの健康効果が多方面で取り上げられています。なかでも韃靼そばは、普通のそばに比べて栄養価が高いことで知られています。では、実際にどのような栄養が含まれているのでしょうか。この記事では、韃靼そばの栄養と簡単な食べ方について紹介します。 韃靼そばに含まれる栄養 韃靼そばには、ポリフェノールの一種「ルチン」が極めて多く含まれています。その量は普通のそばの120倍ともいわれており、中国では健康食や漢方薬として古くから知られてきました。ルチンは強い抗酸化作用のほか、毛細血管を丈夫にする作用や動脈硬化などを予防する作用が期待されています。ビタミンCの吸収を促す作用もあるとされ、美容への効果も期待できるといわれています。 韃靼そばは別名「苦そば」とも呼ばれ、独特の苦みがあるのが特徴です。この苦みは、ルチンが分解されて生成される「ケルセチン」によるもの。韃靼そばには豊富にルチンが含まれているため苦みがありますが、普通のそばではほとんど感じられません。 ちなみに、韃靼そばの「だったん」はモンゴルの遊牧民族「タタール人」に由来するといわれています。 彼らはこのそばをよく食べていたことから、この名前が付いたそうです。 韃靼そばの食べ方 韃靼そばは、普通のそばと同じように乾麺で売られています。ざるそばなどの冷たい麵料理にしたり、鶏肉や長ネギなどと組み合わせて温かくしたりして食べることができます。独特の苦みが気になる場合には、香りのよい具材を組み合わせたり、そば汁を甘くしたりするなど工夫してみてはいかがでしょうか。 韃靼そばの健康効果を期待するなら、「韃靼そばの実」もおすすめです。そばの実に熱湯を注いで少し待てば、韃靼そば茶ができあがり。香ばしさがあり口当たりが良いので、日常的に飲むことができます。雑穀を使うような感覚で、そばの実を白米などに混ぜて炊くという食べ方もあります。目安は米1合に対して、そばの実を大さじ1程度です。独特の香りが食欲をそそる一品になります。 そばの実は、そのままポリポリと食べることもできます。サラダやスープなどにトッピングしたり、デザートの盛り付けに使ったりするのもいいですね。韃靼そばをおいしく食べて、健やかに過ごせますように。  
韃靼(だったん)そばの驚くべき栄養と食べ方とは
2022.04.29

ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.1】

はじめまして、ハラル・ジャパン協会の佐久間です。今回ハラルビジネスで業務提携を結んでいるシェアシマの新メディア「シェアシマinfo」で連載することになりました、よろしくお願いします。 (一社)ハラル・ジャパン協会はハラルビジネスのコンサルティング会社で、ハラル(ハラール)認証団体ではありません。現在一般会員150社、情報会員24,000人(約8,500社)で主にイスラム教徒向け(東南アジア・南西アジア・中東等)市場の輸出・進出及び国内・インバウンド対応に特化したコンサルティングを行っています。ハラルビジネスは原材料メーカー様にとっても相性抜群の事業領域です。第1回目の今回は、ハラルという言葉が初めての事業者のための入門的な話として、「ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析」をテーマとしました。   ハラルを正しく理解する イスラム教のHALAL(ハラル)の基本がわかるとハラルビジネスのポイントがわかります。ハラルの意味は「やっていいこと」、つまり食べ物でいえば、「食べていいもの」を意味します。イスラム教も宗教なので、仏教同様に食の禁忌があるということです。ライフスタイル全般にやっていいことを意味しますが、口に入れるもの、肌に触れるもの、身に着けるものが広く対象になると覚えておくといいと思います。 代表的なものは動物(畜肉)由来のコントロールで、豚肉・由来のモノは使用できません。また牛・鶏・羊は食べられますが、イスラム教徒のルールに従った方法で屠畜(とちく)しなくてはなりません。特に油・ゼラチン類・ショートニング・乳化剤などの添加物にも注意が必要です。アルコールは考え方がいろいろありますが、基本は酔わせるアルコールが禁止と覚えてください。消毒用アルコール、工業用アルコールなどは個人差がありますが、問題ではありません。酔わせる可能性がある種類のアルコールが問題と考えてください。 その他の水の中、土の中から採れる食べ物そのものは基本ハラル(「やっていいこと」)ですので、野菜・果物・穀物及び水産品は基本問題ないと考えてください。日本にある食べ物及び由来原料はハラルが多いと思います。特に明治時代までの日本の食べ物は穀物中心とした仏教(精進)料理で基本的にはハラルですね? 結局ハラルは動物由来とアルコール由来のコントロールが大事であり、ノーアニマル、ノーポーク、ノーアルコールの組み合わせの原材料で成立します。原材料の由来がとても重要です。   イスラム教は未来あるマーケット イスラム教徒は世界に約19億人いる世界人口の1/4のマーケットです。砂漠や熱帯雨林だけで信仰されているのではありません。世界宗教の1つと覚えてください。そして人口が増えていて、若年層が多く、これから経済発展する国が多いことも特徴です。未来あるマーケットで今世紀末には世界人口の1/3になるという予測データもあります。日本は超少子高齢社会で、人口も胃袋の大きさも減少しますが、イスラム教徒の国の多くは人口も増え、胃袋も大きく増加します。 特に東南アジアのマレーシア・シンガポール・インドネシア、南西アジアのインド・バングラデシュ・パキスタンなど、また中東はUAE(アラブ首長国連邦、ドバイは首長国の一つ)・サウジアラビア・イラン・トルコ、中央アジア、アフリカ、EUや北アメリカにも多くのイスラム教徒(ムスリムと言います)が生活しています。 このマーケットは日本にとってはブルーオーシャンですが、海外は何年も前から取り組んで日本は地球1周半遅れのスタートです。次回は「原材料のハラルビジネス」についてもう少し詳しく解説したいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。 (佐久間朋宏/非営利一般社団法人ハラル・ジャパン協会代表理事)   シェアシマ ハラル特集:こちら つづきを読む: https://reports.shareshima.com/1693/
ハラルの基礎とイスラム教徒マーケット分析【食品ハラルビジネス進化論~ハラル認証原料編vol.1】
2022.04.28

昨今話題の「ヘンププロテイン」の栄養と食べ方とは?

健康志向の高まりにあわせて、プロテインの人気が続いていますね。そんななか、昨今注目を集めているのが「ヘンププロテイン」。SNSや輸入食材店などで時々見かけるようになりましたが、「どんなものなのかわからない」という声も少なくありません。そこで今回は、ヘンププロテインの栄養と味、おすすめの食べ方を紹介します。 ヘンププロテインの栄養と味 ヘンププロテインは、ヘンプシード(麻の実)から作られる植物性のプロテインです。別名「麻の実タンパク」と呼ばれることもあります。ヘンプは生命力が強い植物として知られ、種をまいてから約90日で収穫できます。農薬や肥料を使わずに育てられる、環境にやさしい植物です。 ヘンプの種子は硬い殻があり、これを除去したものがヘンプシード。質のよい植物性のタンパク質とともに、オメガ3やオメガ6などの必須脂肪酸、食物繊維、マグネシウムや亜鉛などのミネラルをバランスよく多く含んでいます。味はクセが少なくて香ばしさがあり、きなこやナッツなどにも似ています。 ホエイプロテインやソイプロテインなどのプロテインとの大きな違いとして、「フレーバーや甘味料などが入っていないものが多い」ということがあります。一般的なプロテインは「ココア味」「バニラ味」「ストロベリー味」といった香り付きのものが多く、「独特の香りが苦手」という人もいるでしょう。ヘンププロテインは人工的な香りがなく、素材そのものの味が楽しめます。従来のプロテインになじめなかったという人にもぴったりです。 ヘンププロテインのおすすめの食べ方 ヘンププロテインはごまやナッツを使うような感覚で、いろいろな料理に活用できます。たとえば、味噌汁やスープなどに少量加えたり、カレーや煮込み料理の隠し味として使ったりするのもおすすめです。このほか、きなこを使うような感覚で、ヨーグルトやお団子などにふりかけるのもいいですね。パンやホットケーキ、焼き菓子の生地に混ぜたり、スムージーなどに加えたりするのもよく合います。 「朝食はパン派」という人は、バターやはちみつなどと混ぜたものをトーストに塗るのも使いやすいです。いつもの料理に加えて、少量でも継続して味わうようにしてみましょう。いろんな料理やお菓子、飲み物に加えて、お気に入りの味を見つけてみてはいかがでしょうか。
昨今話題の「ヘンププロテイン」の栄養と食べ方とは?
2022.04.27

映画で学ぶ食の課題、おすすめドキュメンタリー3選

食の未来を考える機運が高まる中、大阪や名古屋、九州など各地で「オーガニック映画祭」が開催されているのをご存知でしょうか? 例えば「なごや国際オーガニック映画祭」は、有機農業の意義を伝え、より多くの人に関心を持ってもらうことを目的に活動しています。有機農業に関わる有志により、2011年に実行委員会が設立されました。以来、2012年2月、2014年2月、2016年4月に計3回の映画祭が開催され、多くの人に食の未来を考えるきっかけを提供してきました。 食の安全・安心への関心は年々高まっており、こうした映画の与える影響は大きいです。そこで今回は、映画祭などで話題になったものを中心に、食の未来を考えるためには必見のドキュメンタリー映画3本をご紹介します。   1.未来の食卓 南フランスの小さな村で実際に起こった1年間の物語をつづっています。子どもの未来を守るために「学校の給食と高齢者の宅配給食をオーガニックにする」という村長の提案に挑戦!最初は戸惑っていた村民たちでしたが、子どもの味覚から始まって、小さな村が少しずつ変化していきます。この映画の公開後、フランスでは一大オーガニックブームが起き、多くの人が自身の食生活を見直すようになったと言われています。   2.フードインク 食品業界の裏側に潜入し、食の安全について疑問を投げ掛ける米国のドキュメンタリーです。サブタイトルは「ごはんがあぶない」。値段は高いけれど安全でおいしいオーガニック食品と、スーパーに並んでいる安価な食材を比較し、その価格差の背景にあるさまざまな状況を明らかにします。大規模工場で飼育される食肉産業の実態や、飛行機で大量に農薬を散布する様子なども映し出されています。「第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門」にノミネートされ、米国では映画公開後に大反響を巻き起こした映画です。   3.ありあまるごちそう 世界で生産されている食料は120億人分あるにもかかわらず、飢餓に苦しんでいる人は10億人もいると言われています。この「食の不均衡」をテーマにしたオーストリアの映画です。大量のパンが毎日捨てられているウィーンと、小麦を輸出していながら2億人もの人が食料に飢えているインド。食品を扱う世界最大級の企業や、漁師・農家・家畜業者といった生産者へのインタビューを通して、飢餓が生まれるメカニズムをまとめています。   食の未来に向けて、私たちは何をすればいいのか。そのことを考えるきっかけとして、まずは映画を鑑賞してみては?
映画で学ぶ食の課題、おすすめドキュメンタリー3選
2022.04.26

オンラインで広がるフードツーリズムの可能性

ビデオ会議システムの登場で、移動にかかる時間を省く=場所に拘束されないというオンラインのメリットが広く認知されるようになりました。オンライン飲み会などに参加し、集合して顔を突き合わせなくても楽しく飲食できることを実感している人も多いでしょう。 この流れは旅行業界にも押し寄せています。オンラインツアーでも、リアルツアー同様に参加者は単に食事を食べるにとどまらず、食と参加者個人との間の物語(ナラティブ)を楽しめるのです。 コロナ禍を機に高まるフードツーリズムの可能性について考えてみます。 フードツーリズムの醍醐味 旅行の楽しみは何でしょうか。絶景や名跡を見たりさまざまなアクティビティを体験したりもできますが、食事も大きな楽しみの一つですよね。この「食」が旅行の主役であるものが「フードツーリズム」です。単なる食べ歩きから郷土料理教室体験、生産者訪問ツアーまで「食」を多様に楽しむことができます。 地域差を表すものの代表といえば、言葉がまずイメージされがちですが、食も非常に大きな地域差があります。好きなご当地料理を聞けば、出身地が分かってしまう可能性もありますよね。 このように料理は地域によって大きく異なる食材や調理法、味付けで調理され完成します。これを料理そのものの味わいに加えて、料理の裏側で語られている「物語」まで丸ごと楽しむのがフードツーリズムの醍醐味と言えます。 「物語」といっても古くからの伝説や言い伝えなどに限りません。ご当地食材の栽培法、シェフのプロフィール、トレンドで話題、一度食べてみたいと思う自分の気持ち、食事の代金。これらはすべて目の前の料理を意味づける物語です。食を楽しむ主体と食との間で交わされる物語=ナラティブが紡がれるほど、その食は貴重な体験として深く記憶されるでしょう。 オンラインツアーの可能性 コロナ禍もあり、フードツーリズムはオンラインでも行われるようになりました。事前に参加者に飲食物を配送しておいて、スマホやパソコンでガイドを見たり、ビデオ会議システムで現地とつないでガイドや生産者、シェフと交流したりしながら食を楽しんでもらうという形で行われています。 もちろん現地を訪れその空気感を感じながら食べる素晴らしさは揺るぎません。しかしオンラインツアーではその土地の観光情報、詳細なガイドが展開されます。単に情報量という意味では、ガイドなしのリアルツアーよりもガイドの付いたオンラインツアーに軍配が上がるでしょう。 現地購入あるいは現地飲食と同等の味わいが気軽に再現できる新商品の開発などが進めば、オンラインツアーをきっかけに実際に足を運ぶ旅行者と通信販売のリピーターの両方を獲得できる可能性があります。また、観光情報、ガイドの充実も重要ですし、そもそも地域を知ってもらうための情報発信も欠かせません。 コロナ禍で観光業界にとっては厳しい日々が続いています。ただ、コロナ後でもオンラインツアーに一定の需要が残ると考えると、今はその基盤を整える仕込み期間と言えそうです。5Gが普及するころまでには、アイデアあふれる新しいオンラインツアーも登場するかもしれません。
オンラインで広がるフードツーリズムの可能性
2022.04.22

注目のサーキュラーエコノミー、原点は江戸時代に

エコな暮らしを考える時によく登場する言葉が、「循環型社会」です。これは、大量生産・大量消費という仕組みに代わるものとして登場した考え方です。大きな流れとしては2000年に「循環型社会形成推進基本法」が発表され、資源の有効活用や環境への負荷軽減の取り組みが行われるようになりました。近年では「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」という言葉も定着しつつあります。そうした中、古くて新しい取り組みとして改めて注目されているのが、江戸時代の社会です。 現代日本では、エネルギーや食糧、木材などの大部分を海外からの輸入で賄っています。それに対し、鎖国をしていた江戸時代には、輸入に頼ることなくほぼ全てを国内で自給自足していました。例えば、当時は「ゴミ問題」もあまり存在しなかったのだとか。理由として、物を大切に扱う習慣が社会に浸透しており、ゴミが発生することが少なかったと言われています。子どもたちが「寺子屋」で使う教科書は、子どもの所有物ではなく、学校の備品として扱われていました。中には1冊の本が100年以上使われたという記録も残っているそうです。 また、「陶磁器の焼き接ぎ」や「古着屋」など、今で言うところのリユースやリサイクルをする業者も数多くあり、一つの物を大切に使い続ける仕組みも整っていました。   江戸時代の精神を受け継いで 江戸時代の循環型社会をモデルとして生まれた事例として、岐阜県中津川市の「ちこり村」をご紹介したいと思います。「後継者不足」や「休耕地の増加」などの農業を取り巻く厳しい状況、それに加えて「日本の低い自給率」を何とか改善したいという想いのもと始まった取り組みです。 まず「地域で出来ることから始めよう」とスタートしたのが、西洋野菜「チコリ」の国産化。チコリには血糖値の上昇を抑えるといった健康効果があるとされていますが、現状ではそのほとんどを輸入に頼っています。そこで、「チコリが国内で生産できれば、自給率アップに貢献できるのでは」という考えから取り組みが始まりました。 ちこり村のもう一つの特徴は、お年寄りが生き生きと働ける場所になっていることです。ここでは農業の活性化と共に、地域とそこに住む人を元気にしています。 地球温暖化をはじめとした環境問題の深刻化により、私たちは従来の大量生産・大量消費のスタイルから、循環型社会へと舵を切らなければならない時が来ています。そのヒントの一つとして、改めて江戸時代に注目してみてはいかがでしょうか。   【参考】ちこり村公式HP:https://www.chicory.jp
注目のサーキュラーエコノミー、原点は江戸時代に
2022.04.21

コロナ禍で節約レシピが人気上昇!その真相とは

コロナ禍での暮らしが長期化するなかで、人気が高まっている「節約レシピ」(または「節約料理」)。料理に関する雑誌やテレビ番組、SNSなどでは、食費を抑える方法や節約レシピなどが多数投稿され、多くの支持を集めています。ここでは、その背景と節約レシピの概要とともに、食費の節約がフードロス削減にもつながる理由を解説します。 コロナ禍で節約レシピが人気の理由とは コロナ禍では自宅で過ごす時間が増え、「おうち時間」という言葉もよく聞くようになりました。自炊をしたり家族で食卓を囲む機会が増えたりするのに伴って、「(こんなときだからこそ)食事を楽しみたい」という声だけでなく、「食費がかさむようになった」という悩みの声も増加しています。 これらを背景とし、昨今人気が上昇しているのが「節約レシピ」や「節約料理」です。食費を抑えるといってもストイックになるのではなく、見栄えもよくておいしい料理が数多く登場しています。たとえば、ほかの肉に比べて比較的安価な「鶏むね肉」や「豚こまぎれ肉」などを使った、少し目先の変わった料理もよく見かけます。 また、手の込んだものではなく簡単に作れる料理が多いのも、人気の理由です。節約するために料理を作ろうと思っても、時間がかかりすぎて長続きしないようであれば、あまり意味がありません。たとえば「フライパンひとつで料理できる」など、仕事や子育てなどで忙しい人にも作りやすいレシピがそろっています。 食費の節約は、フードロス削減にもつながる 食費を抑えるためには、一日単位ではなく、1週間単位で献立を考えることも大切です。その週の献立を決めたら、1週間分の食材をまとめて購入します。こうすることで、どれだけ食費がかかっているかが明瞭になり、食材を効率よく準備することができます。余計な買い物をしてしまう可能性を大幅に減らすことができるでしょう。 食費の節約と聞くと「安い食材を買う」というイメージも強いですが、「食材を余らせない」ことも重要です。たとえば、買い物に行く前に冷蔵庫に何があるかを確認したり、買い物リストを書いたりする方法もおすすめです。まとめて購入する方がお得な場合には、必要に応じて小分けにして冷凍するといった方法もあります。 必要な分だけ食材を購入することは、食費が節約できるだけでなく、フードロス削減にもつながります。上手に食費を節約することで、家計にも環境や社会にもやさしい暮らしを目指してみてはいかがでしょうか。
コロナ禍で節約レシピが人気上昇!その真相とは
2022.04.20

食品ロスが「先進国の問題」は間違い?視点を変えて考えてみる

全世界で生産されている食料は毎年40億トンもあり、実は地球上の全人類が生きていくための必要量を上回っています。けれど、生産された食品の3分の1がさまざまな理由で捨てられているのです。こういう話をすると必ず、「先進国がムダにしているんだ!贅沢しているんだ!」という食の不均衡の話になります、しかしそれは理由のひとつ。実際には、発展途上国でも別の理由で食品ロスが発生しているのです。食品ロスの先進国と発展途上国での違いとは一体何でしょうか。 先進国では流通や保存技術が進歩しており、食品が長持ちするという特徴があります。また家庭では、家計に占める食費の割合が比較的低いため、食べる以上に食品を買い、ムダにしてしまうということがあります。事業者側では、仕入れのミスや需要の変更、ブームによって、食材を使いきれなくなり廃棄する場合も多くあります。それに見た目が良くないと消費者に売れないという現実があることから、食べられるものでも色や形で選別し、販売さえできないということもあります。 先進国ではこうした食品ロスをなくすために、売りに出せないけれど食べられる食品を加工し、売れる商品を新たに開発しています。最近では余った食品を業者や個人の間でシェアする取り組みも盛んです。少しずつではありますが、食品ロスを減らす対策は進んでいるのです。 一方、発展途上国側では、別の原因で食品ロスが発生しています。それは、先進国では克服されている、流通や保存の問題です。例えば、農家の生産物を保存する技術や施設がないため、食品が廃棄されています。その廃棄を防ぐために加工すればいいという話もありますが、加工食品を作る技術も設備もないのです。さらに、交通手段が未発達の場合、市場まで食品を運ぶことができず、また運んでいる最中に痛んでしまって、食べられるものが減ってしまうのです。これを解消するための開発が進み、自然環境を犠牲にしたことで、砂漠化が進んでしまった地域もあります。だから、先進国は発展途上国に食料を援助しましょうというだけでなく、技術や設備を提供し、世界全体が豊かになる支援をしていく必要があります。 食品ロスの問題は、まずは自分たちの周りのムダをなくしていくことから解決しなくてはなりません。しかし、自分たちがムダを減らせば世界の人々が救われるという単純な話でもないわけです。世界の人口はこれからますます増えていきます。未来のためにどう行動すべきか、一人一人が考えなければならない時代を、私たちは生きています。
食品ロスが「先進国の問題」は間違い?視点を変えて考えてみる
2022.04.19

インパクト抜群「虫糞茶」の魅力

 生きていることの証とも言える排泄。フンは汚いものというのが一般的な認識ですが、世の中は広く、動物のフンを利用した飲食物もあります。有名どころではジャコウネコのフンを利用したコーヒー「コピ・ルアク」が思い浮かぶ人もいるかもしれませんね。 今回ご紹介したいのは、同じくフンを利用した飲み物ですが日本ではあまり知られていない、「虫糞茶(ちゅうふんちゃ)」です うま味と善玉菌を多く含む健康茶 虫糞茶は特定の植物の葉を特定のガの幼虫に食べさせ、そのフンを利用して作られるお茶の一種です。1578年に完成した中国の薬学書「本草綱目」にも記載があり、歴史あるお茶と言えますね。虫糞茶のほかに「虫屎茶(ちゅうしちゃ)」、「龍珠茶(りゅうしゅちゃ)」「茶精(ちゃせい)」等とも呼ばれ、中国の一部で珍重されてきました。現在は湖南省や四川省、貴州省で製造され、一部は東南アジアなどにも輸出されています。 フンというと汚いもののように感じてしまいますが、ガの幼虫はお茶の原料である葉だけを食べ、異臭もありません。それどころか、葉が幼虫により消化吸収される過程で分解されてうま味成分や善玉菌が増えるのだそうです。 使用する植物とガの種類によって味わいが異なり、中国ではブドウ科のトウチャやバラ科のコナシなどをコメシマメイガ、ソトウスグロアツバなどに食べさせて虫糞茶を製造しています。 日本でも先日京都大学の大学院生が虫糞茶の普及を目指して研究に取り組んでいると話題になりました。 SDGsにも合致 一般的に飲まれている煎茶・紅茶・コーヒーなどは、その製造過程において熱処理が必要です。しかし虫糞茶は葉を幼虫に食べさせ、そのフンを自然乾燥させるだけというシンプルな製造法なので資源を節約でき二酸化炭素の排出も抑えられます。まさに持続可能性に満ちていて、SDGsの理念にも合致していると言えるでしょう。 幼虫やそのフンと聞くとまずそのビジュアルがイメージされてしまいがちですが、正体を隠して試飲すれば「おいしいお茶」と感じられそうな虫糞茶。幼虫、フンというイメージを逆にインパクトとして活用したり、SDGs時代の新しい選択肢というブランド構築をしたりといった工夫を凝らして、日本でも商業ベースに乗せられる製品が現れてくるでしょうか。今後に注目です。
インパクト抜群「虫糞茶」の魅力
2022.04.15

フードロス(食品ロス)って何が問題なの? 私たちにもできること

売れ残りや食べ残しなど、本来食べられるはずの食品が廃棄されてしまう「フードロス(食品ロス)」。今、このフードロスを削減していこうという取り組みが広がっています。 「646万トン」。ある年に日本国内で1年間に出たフードロスの量です(※)。何万トンの食べ物と言ってもちょっと想像しにくいですが、これを国民一人あたりに換算すると、毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てているという計算になります。これは世界中で行われている、途上国などへ向けた食糧援助の量のおよそ2倍に当たるのだそうです。日本の食料自給率はおよそ40%。大半を輸入に頼っています。そうした状況下で大量に食べ物を捨ててしまっているのが、日本の食の現状なのです。 廃棄食糧を大量に処分するには、それだけ資源やエネルギーを使うことになります。燃やすのであれば、二酸化炭素を排出することになりますし、埋めるのであれば、土壌や水質への悪影響が懸念されます。これらのこともフードロスが問題視される理由の一つとなっています。 フードロスの問題は、日本だけではなく、先進国の間でも共通の課題になっています。G7(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国)の環境相会合でも、2030年までに世界全体の1人あたりの食品廃棄量を半減することを目指し、各国が協調して取り組むことで一致しました。 フードロスを減らすことは、食べ物がもったいないからということだけにとどまらず、企業にとってはコストの削減、消費者にとっては無駄な支出を減らすことにつながります。食品を廃棄すれば、原材料費などが無駄になりますし、廃棄するにも費用がかかります。これらのコストは、最終的には価格に上乗せされ、消費者が負担することになります。 こうした中、企業と消費者の間で意識を変えて向き合おうとする動きが起きています。見直しの対象となっているのが、フードロスを生み出す原因になっている「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習です。これは、例えば賞味期限が12カ月の食品の場合だと、賞味期限の3分の1、つまり製造から4カ月までに小売店に納品されない食品は廃棄に。さらに、4カ月先の8カ月までに売れない場合も廃棄になるというものです。そもそもは、消費者に新鮮な食品を届けるためのルールでしたが、フードロスを減らすために食品業界ではこのルールを緩和し、一部で廃棄のタイミングを遅らせるようにしています。   まずは身の回りから、消費のあり方を見直す。 消費者の間でも、これまで捨ててしまっていた食品を大切にして見直していこうという意識が広がっています。近年、人気を集めているのが「サルベージ・パーティー」です。サルベージとは、「救い出す」という意味。家庭の余り物の食材を持ち寄って、プロの料理人のアドバイスをもらい、ひと味違った料理を作って、みんなで楽しもうというパーティーです。 全国各地で開催され、リピーターが増えているようです。例えば、大量のマロニーはちゃんこ鍋用スープでチャンポン風に。冷蔵庫にしまわれていた缶チューハイはデミグラスソースの隠し味に。また、缶詰の豆はフードプロセッサーでつぶしてクラッカーに乗せてお酒のおつまみに、お麩(ふ)は乾燥したまま春雨サラダに乗せれば、食感にアクセントが加わります。参加者は調理を手伝いながら持参した食材がおいしい料理に生まれ変わっていく様子に驚き、完成するそばから食べて、ワイワイと会話を楽しみます。食べて、飲んで、楽しんでいるだけのように見えて、参加者のフードロスへの意識は確実に高まります。 フードロスと言うと、節分の後に恵方巻きが大量に売れ残ったり、飲食店で予約が直前にキャンセルされたりすることがニュースになるなど、商業シーンで起こっているイメージが強いかもしれません。ところが、実際のフードロスは食品事業者が全体の55%を占めるのに対し、45%は家庭からのものです。フードロスを削減するには、事業者と消費者双方の意識の変化が必要です。   ※平成27年度推計。消費者庁「食品ロス削減関係参考資料」(平成30年6月21日版 )より
フードロス(食品ロス)って何が問題なの? 私たちにもできること
2022.04.14

昨今話題の「ノニジュース」の栄養とおいしい飲み方

ノニジュースとは 奇跡の果物と呼ばれる「ノニ」。ドリンクタイプとして販売されることが多く、ノニジュースは少し前にもブームになりました。そして昨今の健康ブームをうけて、再び注目を集めています。今回の記事では、ノニジュースの栄養とおいしい飲み方を紹介したいと思います。 ノニの原産地は東南アジアとオセアニア地域とされています。別名インディアン・マルベリーやモリンダと呼ばれることもあります。ビタミンやミネラル、アミノ酸を豊富に含んでおり、含有する栄養素はなんと150種類以上ともいわれています。 「驚異のフルーツ」「神さまからの贈り物」ともいわれ、現地では古くから万能薬として使用されてきました。ちなみに、沖縄県ではノニを染料や薬用として使っていた歴史がありますが、強い匂いがあるため食用としてはあまり浸透しなかったそうです。 食や健康に意識の高い人を中心に人気を集めているノニですが、カリウムを多く含んでいるため、腎臓に障害のある人は注意が必要です。また、妊娠中の人も気を付けたほうがよいでしょう。 ノニジュースのおいしい飲み方 普段の食生活で不足しがちな栄養がたっぷり含まれるノニジュース。メーカーや商品によって多少の違いはあるものの、独特の香りや風味があり飲みにくさを感じる人も少なくないです。そこでおすすめなのは、甘さをプラスして飲むという方法です。 たとえば、りんごジュースやぶどうジュースなどにノニジュースを加えると、とても飲みやすくなります。スムージーを作るときに加えたり、ワインや梅酒などにプラスしたりして飲むのもおすすめです。それでも苦みが強いと感じたら、少量のはちみつを加えてみてはいかがでしょうか。 市販されているノニジュースにはいろいろな種類のものがありますが、ノニの栄養を期待するのであれば、発酵させて作られているものや高温加熱処理がされていないものを選ぶのがよいでしょう。また、原材料名にノニ以外の名前が多く記載されているものを避けるようにするのもポイントです。原材料はノニのみであるか、他の材料が使われているとしても少ないものを選ぶようにするのがおすすめです。 独特の味があり苦手な人も多いノニですが、飲み方を工夫することでおいしく摂取を続けることができます。気になる人はぜひ試してみてくださいね。
昨今話題の「ノニジュース」の栄養とおいしい飲み方
2022.04.13

安全で美味!アメリカ発祥の〝Farm to table(ファーム・トゥー・テーブル)〟とは

〝Farm to table〟という言葉を聞いたことはありますか?アメリカで生まれた食に対する考え方で、農場(生産者)から食卓(消費者)まで安全で新鮮な食材を届けるというものです。レストランなどでは少し前から話題を集めており、「地産地消」や「サステナブル(持続可能)」な食のあり方にもつながるものです。では具体的にどんなものなのか、その実践例を見ていきましょう! まずご紹介するのは、温暖な気候に恵まれたアメリカのカルフォルニア州にあるレストラン「Central Market」。こちらのオーナーシェフのトニーさんは、自宅を農場の敷地内に建設し、そこで野菜や家畜を育てています。大切にしているのは、野菜などは遺伝子組み換えをしていない種を厳選し、家畜の飼料にはオーガニックのものを使い、安心安全な食材をつくるということ。レストランで使用するソーセージやサラミは、自身の農場で育った家畜の肉を使い手作りするなど、細かい部分にまで気を配っています。 農場とレストランが近いということは「安心安全で美味しい食材が提供できる」だけでなく、「環境にやさしい」というメリットもあります。例えば、食材を箱詰めするための容器や包装紙は不要になりますし、運搬することで発生する温室効果ガスの削減にもつながります。 もともとトニーさんは、ニューヨークやサンフランシスコで活躍していたシェフでした。都会で仕事をする中で「オーガニックの畑があり、その近くでレストランを開きたい」という想いを長年抱いていたのだそう。その想いに当てはまる場所を探していたところ、ちょうどよいタイミングで見つかったのが、今の場所というわけです。 いろいろなこだわりが詰まっているということもあり、このレストランで提供される食材は安心して食べられる新鮮なものばかりで、もちろん料理が美味しい!夕方のオープン時間になると、地元の客が次々に店内に入り始めて、トニーさんと親しげに会話を始めるのだとか。こうしたレストランの在り方から、地元の人たちにとても愛されている存在になっています。 この〝Farm to table〟の考え方は、日本にも広がりつつあります。次にご紹介するのは、東京のレストラン「navarre Tokyo」。オレゴン州ポートランドで人気を集めるレストランが、日本に出店したものです。有機農業を実践している農家から食材を仕入れ、その日ごとに変化する「スペシャル」として、料理が提供されています。現地のスタイルのように、週末限定でブランチも食べられるのだとか。ポートランドにも通じる「ゆったりとした空気」を楽しみながら、オリジナルの料理を味わってみてはいかがでしょうか。
安全で美味!アメリカ発祥の〝Farm to table(ファーム・トゥー・テーブル)〟とは
2022.04.12

もち麦の次なるブーム! ? 食物繊維が豊富な「スーパー大麦」とは

スーパー大麦とは スーパー大麦というのは、「バーリーマックス」という機能性大麦のこと。オーストラリア政府が10年かけて開発したもので、日本で販売されるようになったのは2016年頃といわれています。 スーパー大麦は腸内環境の改善や便秘予防にも効果が期待されており、ダイエット中の人やメタボを改善したい人などからも注目されています。昨今ブームになっている一般的な大麦の約2倍の総食物繊維と約4倍のレジスタントスターチが含まれています。レジスタントスターチというのは、難消化性デンプンのことで、体内では食物繊維の役割を果たします。 気になる味ですが、自然な甘さとプチプチとした食感があり、おいしく食べられます。特に、雑穀が好きな人や雑穀入りのごはんに慣れている人には、無理なく食事に取り入れることができそうです。 スーパー大麦はどこで入手できる? スーパー大麦は、大手スーパーや輸入食材店のほかインターネット通販などでも購入できます。いろいろなメーカーから商品が販売されているので、自分の好みに合ったものを選ぶとよいでしょう。 たとえば、お米に混ぜて使うタイプのものだけでなく、ごはんの上にかけてふりかけのようにして食べるタイプ、サラダなどにトッピングできるように蒸したり煮たりしたタイプなどもあります。また、昨今人気のオートミールやグラノーラのように、牛乳やヨーグルトをかければすぐに食べられるフレーク状のものもあります。 このほか、コンビニエンスストア「ファミリーマート」ではスーパー大麦入りのおにぎりが発売されるなど、いろいろな場面でスーパー大麦が注目を集めています。 スーパー大麦の簡単おいしい活用法 スーパー大麦の基本の食べ方は、お米と混ぜて炊くという方法です。スーパー大麦の摂取量の目安は、一日あたり12gとされています。一人分につき水加減は、スーパー大麦の重量に対して、約2倍の水を加えます。 スーパー大麦の風味や食感が好きな人には、そのままゆでて食べるのもおすすめです。鍋にたっぷりの湯を沸かして、スーパー大麦が柔らかくなるまで15~20分程度ゆでればできあがりです。サラダやスープにトッピングして、気軽に摂取することができます。 昨今話題を集めている、スーパー大麦。まずは商品を手に取り、味わってみてはいかがでしょうか。
もち麦の次なるブーム! ? 食物繊維が豊富な「スーパー大麦」とは
2022.04.06

お酒が好きな人必見!しめじにはオルニチンが豊富

しめじにはオルニチンが豊富 二日酔いの予防などにも効果的とされるオルニチン。オルニチンといえば、シジミに豊富に含まれていることで知られています。「お酒を飲んだ翌朝はシジミの味噌汁を飲むようにしている」という人もいるかもしれません。 しかし昨今、しめじにはシジミよりもオルニチンが多く含まれているといわれ、注目を集めていることをご存知でしょうか。今回の記事ではオルニチンの働きとともに、しめじの栄養と簡単な食べ方について紹介したいと思います。 オルニチンは、肝臓を助ける働きを持つアミノ酸であり、疲労回復や二日酔いの予防などに効果が期待できるとされています。脂肪を燃焼させる働きも期待されており、別名「燃焼系アミノ酸」と呼ばれることもあります。 オルニチンの含有量はシジミ100gにつき10~15㎎であるのに対して、ぶなしめじ100gにつき140㎎、ブナピー100gにつき110㎎(参照:ホクト株式会社による発表データによる)といわれています。ひらたけやマイタケ、えりんぎなどにもオルニチンは含まれていますが、ぶなしめじやブナピーの含有量はずば抜けて多いのが特徴です。 しめじの栄養と簡単な食べ方 しめじに含まれる栄養は、オルニチンのほかに、主なものとしてビタミンB1やB2、ビタミンD、ナイアシン、食物繊維などがあります。スーパーなどでは一年中出回っており、価格の変動も少ないため、気軽に購入できる食材のひとつといえるでしょう。 しめじはみそ汁などの汁ものや炒めものなどいろいろな料理に使用できます。しめじをたっぷりと食べたいときは、少量の水を加えて数分間蒸してポン酢などで食べる方法がおすすめです。加熱することでカサが減り、あっという間に1パックを食べることができます。 ちなみにスーパーなどで購入したしめじは、水洗いせずにそのまま使うのがおすすめです。というのは、しめじに含まれる栄養のなかには水溶性のものもあり、水に流れ出てしまうのを防ぐためです。どうしても汚れなどが気になるときは、さっと水で洗うようにしましょう。 オルニチンがたっぷり含まれているしめじ。お酒が好きな人はもちろん、ヘルシーな食事を楽しみたい人は、しめじを普段の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
お酒が好きな人必見!しめじにはオルニチンが豊富
2022.04.04

注目を集める「代替肉バーガー」とは?おすすめ商品を紹介!

代替肉バーガーとは 代替肉とは、牛肉や豚肉、鶏肉などの動物の肉を使用しないで、植物由来の原料で作った肉のこと。従来は菜食主義者によく使われていましたが、昨今では健康面や環境課題への配慮という点からも世界的に注目されています。畜産と環境問題には深い関係があり、環境問題の実情を知ったことがきっかけで菜食主義者になる人も増えています。 ちなみに、代替肉には大豆が使われることが多いですが、エンドウ豆やソラ豆、小麦などが使用される場合もあります。この代替肉を使って作られたのが、代替肉バーガーです。代替肉は、ソイミートやフェイクミート、大豆ミートと呼ばれることもあります。 代替肉バーガーのおすすめ商品 日本の大手ハンバーガーショップなどでは、代替肉バーガーの販売が始まっています。モスバーガーでは、ファストフード業界のなかでも早くから植物性の素材を使ってきました。2015年には大豆由来の植物性タンパク質を使った「ソイ野菜バーガー」、2020年には新しいシリーズとして「グリーンバーガー」が登場。野菜がたっぷり使われており、ヘルシーでありつつも食べ応えがある一品です。健康に意識の高い人はもちろん、代替肉バーガー初心者の人にもおすすめです。 ヘルシー志向のハンバーガーが人気を集めている「フレッシュネスバーガー」でも代替肉バーガーを味わえます。生野菜のシャキシャキした食感と代替肉のしっとりとした食感が絶妙なバランスです。従来の肉を使ったハンバーガーとほとんど変わらない味わいで、おいしく食べることができます。 このほか、ロッテリアやバーガーキングなどでも、代替肉バーガーが登場しています。米マクドナルドが2021年に「代替肉を使ったハンバーガーを試験販売する」と発表し、多方面から注目を集めています。 代替肉のマーケットは世界的に拡大しつつあるものの、日本ではまだまだ一般的に浸透しているとはいえない状況です。しかし、大手ハンバーガーショップなど代替肉バーガーが登場し、気軽に食べることができます。街頭などで見かけたら、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
注目を集める「代替肉バーガー」とは?おすすめ商品を紹介!
2022.03.30

オーガニック給食と日本の現状とは

オーガニック給食とは 給食は子どもの成長に欠かせないものであるとともに、将来の健康的な生活の基盤を作るものでもあります。また、給食には貧困や食などの格差を少なくする意味もあります。その一方で、身近な食べもののなかには農薬や食品添加物などが使われているものも多く、給食にどのような食材を使うかや、子どもの体調不良との関係についてはさまざまな意見が出ています。 こうした給食の課題は、世界の国々にも共通するものです。たとえば、フランスでは「2022年までに学校の給食に使う食材の50%をオーガニックまたは環境に良いという認証付きの食材にする」という法律が2018年に制定されました。韓国では、ソウル市の小学校や中学校、高等学校における「オーガニック無償給食」の取り組みが2021年から始まっています。 日本でも広がるオーガニック給食の取り組み 海外の国々に比べて「オーガニックへの理解や普及が遅れている」といわれてきた日本ですが、昨今さまざまな取り組みが進んでいます。千葉県いすみ市では、2017年から市内すべての小中学校の給食に有機米を使っています。十分な量の有機米を確保するために、2014年から有機稲作を本格的にスタート。行政と農家が協力しながら、体制を整えてきたのも大きな特徴です。こうした一連の取り組みは、たくさんのメディアで紹介されました。 オーガニック給食は全国的に広がりつつあります。高知県四万十市では、学校給食に有機栽培の食材を使う取り組みを15年以上も前から行っています。また、2021年には愛知県名古屋市の小学校の給食で有機栽培のメキシコ産バナナを提供。給食でオーガニック食材を使用するのは政令指定都市では初の試みであり、注目を集めました。バナナを食べた子どもたちからは「おいしい」「味が濃い」といった感想も出ていたそうです。 オーガニック給食を実践している学校やその周辺の地域では、「給食を残す子どもが少なくなった」「給食が魅力になって移住者が増えた」という変化もあるのだとか。オーガニック給食の導入にはいろいろなハードルがありますが、実践することで得られる効果は想像以上に大きいといえるでしょう。 子どもだけでなく大人や地域にとっても、大切な存在である給食。この機会にどんな給食を食べてみたいか、考えてみてはいかがでしょうか。  
オーガニック給食と日本の現状とは
2022.03.28

楊貴妃も愛したスーパーフード「白きくらげ」の栄養と食べ方

白きくらげとは 楊貴妃も愛したといわれる薬膳の定番食材のひとつ、白きくらげ。中華料理によく使われており、コリコリとした独特の食感があります。では、白きくらげにはどんな栄養があるのでしょうか。ここでは、白きくらげの栄養と、簡単でおいしい食べ方について紹介します。 白きくらげは、きのこの仲間です。しいたけやまいたけなどのきのこと同様に、整腸作用や便秘予防の効果が期待できる「食物繊維」やカルシウムの吸収を助ける「ビタミンD」を豊富に含んでいます。ビタミンDには免疫力を高める効果もあるといわれています。 薬膳のもとになる中医学の考え方では、白きくらげには肺を潤す作用のほか、胃腸の働きを助け造血機能を向上させる作用があるとされています。また、植物性コラーゲンも豊富に含んでいます。薬膳料理や台湾のデザートなどにもよく登場しており、美と健康に意識の高い女性を中心に人気を集めています。 白きくらげの簡単でおいしい食べ方 通常、白きくらげは乾燥した状態で販売されていることが多いです。まず、下処理としてたっぷりの水またはぬるま湯に30分以上浸して白きくらげをもどし、ザルなどにあげて水気を切っておきます。この状態で清潔な保存容器に入れて冷蔵保存すれば、3~4日程度は食べることができます。多めに戻しておくのがおすすめです。 白きくらげは淡泊な味わいなので、和え物やサラダ、炒めもの、スープ、煮込み料理、デザートなどいろいろな料理に活用できます。そのなかでも「白きくらげのごま酢和え」は、白きくらげをごまと酢、しょうゆ、ごま油などで和えたもので、常備菜としても重宝する一品です。お好みで、きゅうりや玉ねぎなどを加えるのもよく合います。 白きくらげは卵との相性が良く、この2つの食材を使ってスープや炒めものを作るのもおすすめです。このほか、八宝菜の具材として白きくらげを使ったり、鶏骨付き肉を煮込む際に白きくらげを加えたりするのもおいしいです。 白きくらげをデザートに使う場合はトロトロの状態になるまで煮込むと、いつもとは違った味わいになります。普通のお鍋であれば1時間以上、圧力鍋ならば圧がかかってから約30分を目安に加熱してみましょう。お好みで、クコの実や蓮の実を加えたり、はちみつや黒砂糖で甘さを足したりしてくださいね。 美と健康の維持におすすめの食材、白きくらげ。いろいろな料理に使って、その味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。    
楊貴妃も愛したスーパーフード「白きくらげ」の栄養と食べ方
2022.03.23

エビ養殖が環境破壊に!? 安心安全なエビを選ぶ方法を紹介

エビの養殖と環境破壊の関係 お祝いの席に登場することも多く、日本人が大好きなエビ。エビの養殖は東南アジアなどで行われることも多く、その過程で深刻な環境汚染を招いていることをご存知でしょうか。今回の記事では、その現状を解説するとともに、「ASC認証」「エコシュリンプ」など安心安全なエビを選ぶ方法を紹介します。 エビの養殖では、エビが病気にかからないようにするため、抗生物質などさまざまな種類の薬品が大量使われています。ベトナムの養殖現場の例では、抗生物質はエサの中に入っており、エビの糞として排出されます。また、エビが食べ残したエサは池に沈殿していくため、水がすぐに汚れて頻繁に取り換える必要が出てきます。 池の汚れが限界までくると、新たにマングローブの林を伐採して他の場所に養殖の池を作ります。このようにして、エビの養殖から水の汚染・環境破壊という一連の問題が生まれるのです。マングローブには、カニなどの他の甲殻類や貝類、魚なども暮らしており、こうした生き物の暮らしも脅かされています。 日本に出回っているエビは、ベトナムやインド、インドネシアなどの東南アジアから輸入されたものも多くあります。私たちが見えないところで環境破壊が進んでいることや、こうした環境下で育ったエビを食べることによる健康への影響についても考える必要があるかもしれません。 安心安全なエビの選ぶ方法とは 養殖池が汚染するのを防ぐことができれば、エビが病気になるリスクが減るため抗生物質の使用を控えることができ、好循環を生み出すことができます。こうした考え方をもとに、養殖方法を改善し、安心安全なエビを生産するための動きも進んでいます。 たとえば、イオンのオリジナルブランド「グリーンアイ」のボイルむきエビは、ASC認証を取得したエビです。ASC認証とは、企業が責任をもって養殖された水産物であること示すもので、エビのほかにサーモンなどにも使われています。 このほか「エコシュリンプ」というエビもあります。これは、インドネシアで生態系を守りながら育てられたエビのこと。抗生物質や人工飼料は一切与えていないことが特徴です。エビの飼育環境だけでなく、養殖現場の労働環境の改善にも努めています。安くて不安定な賃金で労働を強いられることが多い従来の養殖方法とは異なり、安定した収入を確保し、福利厚生の充実にも努めています。 深刻な環境被害をもたらしているエビの養殖ですが、その一方で新しい動きも進んでいます。食べる人にとってだけでなく、自然環境や働く人にとっても安心安全な未来を実現するために、私たちに何ができるかを考えてみませんか。  
エビ養殖が環境破壊に!? 安心安全なエビを選ぶ方法を紹介
2022.03.21

メンタルを強くする食事

メンタルの病気と栄養素の関係について考えてみたことはありますか。 鉄分と貧血、カルシウムと骨粗しょう症、亜鉛と味覚障害などのようにダイレクトな関係ではないものの、うつ病患者に足りていないいくつかの共通した栄養素があります。 <食生活と運動とメンタルの関係> これまで日本ではメンタルの不調に対する治療は薬剤の投与や心身の休養が中心でした。しかし近年、特に海外の研究で食生活や運動がメンタルと非常に密接に関係しいるという報告がなされています。むしろ、心身をバラバラに考えていたのが適切ではなかったのかもしれません。食生活が乱れ運動が不足すると身体の健康だけでなく心の健康にも良くない。逆にバランスが良い食生活と適度な運動は、身体だけではなく心の健康にもつながる。考えてみるととても当たり前のことのように感じられますね。 <意識して摂りたい栄養素> メンタルの病気の中でも特にうつ病患者に不足しているとされる栄養素は以下の3種類です。 ・葉酸 緑黄色野菜に多く含まれる水溶性ビタミンB群のひとつ。必要量が多く意識して摂取しないと不足しがちです。妊娠初期に取りたい栄養素として知られており、サプリメントで補うのも良いでしょう。 ・トリプトファン 抑うつや不安感に関係し「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンの材料となるアミノ酸で、乳製品、肉、魚、卵などに多く含まれます。セロトニンから「睡眠ホルモン」とも呼ばれるメラトニンが作られるため、不足すると不眠の原因となることもあります。 ・鉄分 レバー、赤身肉、魚介類に多く含まれます。不足すると疲労感、集中力の低下などの症状が現れることがあります。吸収率の悪い栄養素ですので、毎日意識して摂取する必要があります。毎日の調理に使う鍋やフライパンを鉄製にするのも良い方法です。  栄養素に気を取られてサプリメントばかりに頼るのではなく、できるだけバランスよく3食規則正しく、誰かと一緒にゆっくり食べるのがおすすめです。食事とは栄養素を摂取するだけでなく、心への栄養=美味しく楽しんで食べるという面も持っているのです。 特にコロナ禍以後、感染拡大予防のため会食を控えることが多くなりました。一人暮らしで毎日孤食という人も少なくないでしょう。少しお行儀が悪いですが、スマートフォンで遠くの家族や気の置けない友人とビデオ通話しながらのオンライン会食なども今後は推奨されていくかもしれませんね。
メンタルを強くする食事
2022.03.16

時代で文化は変わっていく~中国が食べ残しに罰金

食文化には地域性がある、というのは皆さん体感したことがありますよね。日本料理、中華料理、フランス料理などの料理自体の違いもさることながら、食事マナーにも国や地域によって独自性があります。 今回は中国の食事マナーから文化の変遷について考えてみましょう。 <食べ残しを法律で禁止> 中国では外食で客をもてなす際、もてなす側が食べきれないほどの食事を注文し、客はわざと料理を残すという文化があります。日本では「もったいない」という土台が共通しているためか、食事を残すのはあまりよくないイメージがありますよね。日本では子供のころに「残さず食べなさい」と育てられた人も多そうですが、中国では逆に食べ残すことで有り余るほど満たされ感謝しているという意味合いになるのだそうです。 しかし近年の世界的な食品ロス削減の流れや将来の食糧不足を警戒し、中国政府は食べ残しを減らすよう取り組みを進めてきました。2021年4月29日には食品の浪費を禁じる「反食品浪費法」が可決。禁止された大食い番組や動画の公開にはおよそ170万円以下の罰金、客に過剰に注文させた飲食店にもおよそ17万円以下の罰金が科せられる可能があるといいます。 文化を法律で取り締まるのは日本では考えにくいですが、中国らしいとも言えそうなこの法整備。トップダウンで食べ残しをしない新しい文化が生まれるのか、それともこれまでの文化はそうたやすく変化しないのか。 一人ひとりの感覚では、おいしそうに完成している料理をゴミ箱に捨てることに罪悪感を覚えている人も多いのではないかと考えられます。ただ、マナーとして残すのが正しいとされている中では、礼儀を欠くわけにはいかないからと大量の食べ残しも是としているのではないでしょうか。法律と礼儀のどちらをとるか、中国の人々の判断に今後も注目していきたいと思います。 フードロスの削減は中国だけに限らない、世界的課題です。自分一人だけが行動しても何も変わらないと思ってしまうかもしれませんが、地球上の人々の多くが「行動しよう」と考えて動き出せば、それは全体の大きなうねりとなります。 始めないことには、何も始まりません。一人ひとりが意識し、少しずつでも行動に移していけばやがて結果に繋がります。買いすぎない、腐らせない、食べ残さない。できるところから実践してみてくださいね。
時代で文化は変わっていく~中国が食べ残しに罰金
2022.03.14

多年草カーンザは世界を救うか

世界中の人々のカロリー源のうち、45%以上が穀物から摂取されています。収穫後の輸送や貯蔵の容易さ、保存性の良さ、エネルギー源としての優秀さを考えれば不思議ではありませんね。 ところが、穀物は一年生植物です。毎年毎年種をまき、手をかけて収穫しなければなりません。田畑を耕し植え替える作業がなくなったらどれだけの資源を節約できるでしょう。 今回のレポートでは地球環境を救うかもしれない多年生植物「カーンザ」を紹介します。 <多年生植物の可能性> カーンザは20年ほど前に誕生した多年生植物です。小麦に似ていますが、種の大きさは小麦の5分の1程度と小さく、これまで飼料として使われてきました。この種が品種改良で小麦に近いサイズになれば、農業に革命が起こるかもしれません。 カーンザは多年生植物ですので、畑を耕したり植え替えたりする必要がないのです。その分のエネルギーや二酸化炭素の排出量を削減できるわけですね。 加えて特徴的なのが、カーンザが3メートルを超える長い根を持つこと。この長い根に空気中の二酸化炭素を蓄えることで、土壌に炭素を貯留する役割を効果的に果たします。地中深くまで張り巡らされた根は、1年を通して土壌を守り、水や炭素、窒素を循環させます。毎年耕す必要がないので地中の根や微生物といった有機物=炭素を外に出さず閉じ込めておけるという利点もあります。一年生植物に比べて、農業による環境悪化を防ぐ効果が大きいのは明らかです。 アウトドアブランドのパタゴニアはこのカーンザに注目しました。同社はSDGsを目指した食品群を販売していますが、その一つとしてカーンザを原料としたビールを2018年に販売し、大きな話題となりました。カーンザという多年生植物が広く認知されるきっかけとなったという意味でも大きな出来事と言えるでしょう。 持続可能な社会が求められる今後は、カーンザをはじめとする多年生植物にますます注目が集まると考えられます。農業における品種改良も育種科学の発展により、厳しい気候や病害虫に強く収量を多くするだけでなく、一年生植物を多年生植物へと改良していく道筋が見えてきているのだそうです。実現はもう少し先になるようですが、いずれカーンザが気候変動を救う救世主となるかもしれませんね。
多年草カーンザは世界を救うか
2022.03.09

アメリカで大注目の「ユズ」

アメリカンセレブの御用達とも言える人気オーガニックスーパー「ホールフーズ」は毎年、食トレンド予想トップ10を発表しています。その2022年の食トレンド予想トップ10の中に、私たちにはとてもお馴染みの「ユズ」が入りました。 果たしてユズはアメリカでブレイクするのでしょうか。 <万能柑橘としての可能性> アメリカの柑橘と言えば、レモンやオレンジが思い浮かぶでしょうか。ヨーロッパでも柑橘類はメジャーな果物ですが、ユズはまだいつでも近所のスーパーで気軽に買える品物ではないようです。 ユズの原産地は中国で、日本へは平安初期に伝わり主に西日本で薬用として栽培されてきました。古くは飛鳥時代から栽培されていたという記録もあるのだとか。現在では生産量消費量とも日本が世界一となっています。近年では国内生産量シェアトップの高知県の尽力もあり、欧米への輸出も着実に増加してきています。 有名レストランのシェフや多くのメーカーの担当者は、ユズの魅力に気が付いたのに違いありません。2022年はアメリカにおいてはさまざまな料理でユズが活用され、ユズフレーバーの食品が販売されるのは確実で、だからこそ食トレンド予想に挙げられたのだと考えられます。 ユズがお馴染みの日本人の感覚とは違い、アメリカ人はユズに新しさを感じているようです。香り高く、果皮・果汁・果肉とそれぞれに魅力があり、甘すぎず酸味があるのでスイーツやドリンクだけでなく料理に使える点もポイントでしょうか。レモンやライムの代わりにユズを使うことで一気にトレンド感を出せるとすれば、シェフやメーカーが飛びつくのも納得です。「ユズをこう使うべきだ」という固定観念のないまっさらの土台からどのようなユズアレンジが生まれてくるのか、とても楽しみですね。 また、その香りや味わいだけでなく健康効果にも目が向けられています。新型コロナウィルスの流行で高まった消費者の健康意識は、ユズに含まれる豊富なビタミンCを重要視しています。この流れはユズのブレイクを後押しする力となりそうです。 アメリカには一足先にメジャーになった「抹茶」があります。今後ユズが抹茶と同等の確固たる地位を築くことになるのか、2022年は注目の1年となりそうです。 シェアシマで掲載されている柚子関連の原料はこちらです⇒高知県産ゆず果汁1800ml
アメリカで大注目の「ユズ」