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欧米が注目する「第3の代替肉」。植物性でも動物性でもない新素材

2022.09.14

目に見えない菌類を主原料とする​​​​新しい代替肉が欧米で注目されています。代替肉にはさまざまなカテゴリーがありますが、キノコ由来の微生物を培養して作る「第3の代替肉」は、美味しさや汎用性の高さに加え、環境への負荷が少ないのが特徴です。地球環境を守るという点において最も優れた代替肉と言えるかもしれません。 

キノコ由来の菌類をベースに生成

環境への負担に配慮して作られる代替肉は、これまで大きく2種類に分けることができました。大豆などを原料とした植物由来(プラントベース)のものと、研究室で細胞を培養する動物由来のもの(培養肉)です。しかし欧米では今、これまでとは全く違う形で作られる「第3の代替肉」に注目が集まっています。それが、菌類などの微生物から作られる代替肉です。

菌類を含む微生物は、私たちの食生活にとって、とても身近な存在です。とりわけ日本はその結びつきが強く、味噌や納豆、日本酒といった発酵食品は伝統的な食文化となっています。また、ビールやパンも同じように、微生物による発酵の作用で作られる食品です。

「第3の代替肉」は、例えるなら、キノコとバイオテクノロジーを掛け合わせて製造するというようなイメージです。主な原料となるのは、キノコの根っこの部分に当たる菌糸体です。糸状菌の集合体である菌糸体は、動物の筋肉組織に非常に似ているため、応用力に優れています。好きな形状、質感、風味で調理することができ、赤身の肉と同じくらいジューシーで柔らかく美味しいという三拍子そろった逸材です。

加えて、タンパク質、鉄分、ビタミン、ミネラルといった栄養素が豊富に含まれている点も、大切なポイントです。糸状菌の集合体である菌糸体は食物繊維も豊富で、食後に満腹感が得られやすく、食事量の調節や体重管理にも向いており、健康食品としても優秀です。

最も環境にやさしい代替肉

近年、地球環境を意識してベジタリアンになる人が増えています。とはいえ、そうした流れを飲み込むような猛烈な勢いで、世界人口が増えているのも揺るぎない事実です。

第3の代替肉の原料になる微生物は、糖分をえさとして培養液の中で育ちます。この微生物と同量のタンパク質を得るには、牛であれば放牧や飼料生産のための広大な農地を必要とします。微生物のえさとなる砂糖を生産するためのコストを考慮したとしても、微生物由来の代替肉は、畜産よりもはるかに省スペースかつ省エネルギーで効率よく製造できます。

ドイツとスウェーデンの研究チームは、2050年までに人が食べる牛肉の20%を菌類由来の代替品に置き換えると、森林破壊を50%も削減できることを明らかにしています。菌類由来の代替肉を増やして、肉牛の数を減らせば、森林伐採を食い止めるだけでなく、牛が排出するメタンガスなどの温室効果ガスを削減できます。

地球環境が危ぶまれる時代に、大きな環境負荷をかけずとも、優れた栄養・食感・味を持つ自然食品を提供してくれる微生物のポテンシャルは底しれません。この新しい代替肉は、私たちの食のシステムを変えていくための重要な足掛かりになるでしょう。