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アップサイクル食品はフードロス削減の強力な一手となるか

2021.09.13

持続可能な循環型社会を目指し、リサイクルが活発化しています。

リサイクルでは製品を別の製品の原料にして別の製品を生み出します。しかし古紙が再生紙になる例のとおり、より良い品質と価値を持った製品に生まれ変わるわけではなく、どちらかと言えば価値の下がった製品へと変換される場合が大半です。古いタオルやシャツを雑巾として再利用するのも同様の例で、これらはダウンサイクリングと呼ばれます。

これに対し、副産物や廃棄物を新たな価値とより良い品質の製品にリサイクルするのがアップサイクリングです。創造的再利用とも呼ばれ、これまではアートやファッション、インテリアの分野が主でした。

しかし今や食品の分野にもこのアップサイクリングの波が来ています。米国での動きを中心にレポートをお届けします。

<業界団体による標準的な定義の制定>

コーヒーの果実の皮を原料にした紅茶飲料やビール醸造の際に出る穀物廃棄物を原料としたプロテインバーなど、米国内では食品廃棄物を活用したアップサイクル食品への関心が高まっています。

米国企業を中心に70社ほどが参加して設立された業界団体「アップサイクル食品協会」(本部コロラド州デンバー)は、市場拡大を受け2020年5月アップサイクル食品の定義を定めました。「本来は人間の食用とならなかった食材を使用して、検証可能なサプライチェーンにより調達・生産され、環境に良い影響をもたらす食品」ということで、実際に食品廃棄物の削減につながるものだけを「アップサイクル食品」と定義しました。

アップサイクル食品という言葉の持つ良いイメージだけを利用して売り込む偽物との差別化を図り、フードロスを削減し持続可能な社会を実現したいという強い意図が感じられます。

食品廃棄物による世界経済のロスは年間でどれほどになるかご存じですか。なんとその額は100兆円を超えるという試算もあります。アップサイクル食品への取り組みにより、この膨大な経済損失を削減できる可能性があるのです。

日本には昔から「もったいない」という言葉がある通り、廃棄物削減の意識は比較的高いと言えるでしょう。しかし米国は廃棄物に寛容な風潮があり、供給された食料のうち3~4割がロスとなっているとも言われているのです。

ただ、米国でも時代は動いてきているようで、ミレニアル世代(1980年代~1995年生まれ)やZ世代(1996年~2012年生まれ)は消費者としての意識が高く、芯のある理念をもちメッセージを発する企業やブランドを購入する傾向があるのだそう。今後世代交代が進むにつれ、フードロス削減を掲げるアップサイクル食品市場はどんどん拡大していくことが予想されます。

米国の動きをお伝えしましたが、日本国内でもアップサイクル食品は続々と増えています。これまで廃棄されていた米やパン耳を使ったビール、規格外野菜や規格外フルーツを原料とした加工食品など、環境に良いから、フードロス削減につながるからといった理由がなくても味わってみたい魅力的な食品が目白押しです。

アップサイクル食品という言葉が生まれたということは、大量生産大量消費をベースにした一定の無駄には目をつぶるという社会から、より持続可能な循環型社会へと社会風潮が成熟してきていることを示します。時代は変わり、動きます。そのただなかにいるのだと思うと少し不思議な感じもしますが、この大きなうねりを楽しむ気持ちを持ちたいものですね。